JP3738663B2 - 歯車伝動機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、歯車を介してトルクを伝達する伝動機構に関し、特に同一軸線上に配置された2本の回転軸が相互に相対回転自在に嵌合され、これらの回転軸に対して第3の軸が平行に配置されている伝動機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯車を使用した伝動機構は、大きいトルクを伝達できるうえに、動力の伝達効率が高い利点がある。その反面、歯が噛み合うことに伴う歯打ち音が生じて騒音の原因となったり、伝達トルクの変化に伴う振動が生じたりする欠点がある。そこで、例えば特開平9−184549号公報に記載されている発明では、アイドリング時に噛み合う歯車の数が少なくなるように変速機を構成している。すなわち、この公報に記載された変速機では、インプットシャフトとアウトプットシャフトとが同一軸線上に配置されるとともに、インプットシャフトの先端部がアウトプットシャフトの後端部の内部に嵌合させられ、さらにその嵌合部分にパイロットベアリングが配置されている。また、これらのインプットシャフトとアウトプットシャフトとに対して平行にカウンタシャフトが配置され、そのカウンタシャフトとインプットシャフトとの間、およびカウンタシャフトとアウトプットシャフトとの間に、複数対のギヤ対が設けられ、さらに、それらのギヤ対をインプットシャフトやカウンタシャフトに選択的に連結する同期機構が設けられている。そして、そのギヤ対の配置を適正化してアイドリング時に噛み合うギヤ対を少なくし、これにより歯打ち音やそれに起因する騒音を低減するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の公報に記載された変速機は、アイドリング時の騒音を低減することを一つの目的として、アイドリング時に噛み合う歯車の数を少なくしている。しかしながら、このような構成では、騒音の発生要因自体を改善していないので、騒音を低減することは困難であり、少なくともアイドリング時以外では、噛み合う歯車の数が多くなるので、騒音が大きくなる不都合がある。
【0004】
特に上記の公報に記載された変速機では、インプットシャフトの先端部をアウトプットシャフトの後端部に嵌合させ、これらの軸端の間に軸受を介在させて、両者の軸が相対回転できるようにしている。そのため、その軸受の部分のガタにより、インプットシャフトとアウトプットシャフトとの端部が、半径方向にガタ分、変位可能ないわゆる自由端となっている。その結果、歯車でのトルクの伝達に伴って生じる曲げ荷重や各軸を互いに離隔もしくは接近させる方向に作用する半径方向荷重さらにはスラスト荷重が、インプットシャフトあるいはアウトプットシャフトをケーシングに対して支持している軸受にそのまま掛かってしまう。そして、その荷重が歯車の噛み合いに伴って変動するので、ケーシングに対して大きい変動荷重が作用し、これが原因となってケーシングの振動やそれに起因する騒音が発生する可能性が多分にある。上記の従来の変速機では、この点でも騒音を改善する余地があった。
【0005】
この発明は、上記の技術的課題に着目し、互いに噛み合う歯車を保持している軸の間で、歯車を介したトルク伝達に伴う荷重を相殺して騒音や振動を低減することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用】
この発明は、上記の目的を達成するために、同一軸線上に配置された相対回転可能な2本の軸の連結部に介在されている軸受におけるガタをなくして、歯車を介してトルクを伝達することに伴う荷重を、これらの軸およびこれらの軸に対して平行に配置した第3の軸との間で相殺させるように構成したことを特徴とするものである。より具体的には、請求項1の発明は、互いに同一軸線上に配置された第1の軸と第2の軸とが相対回転可能に嵌合されるとともに、これら第1の軸および第2の軸と平行に第3の軸が回転自在に配置され、その第1の軸もしくは第2の軸に設けた歯車とその歯車に噛み合うように前記第3の軸に設けた歯車との間でトルクを伝達する歯車伝動機構において、前記第1の軸と第2の軸とが嵌合している箇所に、内輪と、外輪と、これら内輪および外輪の間に保持した転動体を備え、かつ前記内輪の前記転動体に接触する面と前記外輪の前記転動体に接触する面との少なくともいずれか一方に軸線方向荷重を半径方向荷重に変換する軸線に対して傾斜した傾斜面を備えた、前記第1の軸に対して前記第2の軸を回転自在に支持する一対もしくは複数の軸受が、それらの軸受の少なくとも一対の前記傾斜面が互いに向かい合う方向を向けて配置され、前記内輪と外輪とのいずれか一方に軸線方向の荷重を与えて、前記内輪と外輪との間に半径方向に向けた押圧力を生じさせることにより前記軸受のガタを制限する手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
したがって請求項1の発明では、第1の軸と第2の軸とが軸受を介して連結されているとしても、これら第1の軸と第2の軸とが緩みをなくした状態で連結され、実質的に1本の軸に近い状態となる。すなわち、第1の軸と第2の軸とが、1本の軸に近い剛性で連結されることになり、その結果、歯車の噛み合いに伴う第1の軸もしくは第2の軸と第3の軸との間の荷重の発生状態が、互いに平行な2軸の間での荷重の発生状態に近似し、それらの軸間の歯車あるいは固定支持部を介して荷重が相殺しあってケーシングなどの外部に対して荷重が伝達されることが抑制される。
【0010】
そして、請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記第1の軸が前記軸受に対して軸線方向に離れた箇所で所定の固定部に回転自在に支持されるとともに、前記第2の軸が前記第1の軸を回転自在に支持している前記固定部に対して前記軸受を挟んだ軸線方向での反対側の所定の固定部で回転自在に支持され、さらに第3の軸が前記第1の軸を回転自在に支持している固定部と第2の軸を回転自在に支持している固定部との少なくとも二箇所で支持され、それらの固定部における第1の軸と第3の軸との間の部分および第2の軸と第3の軸との間の部分の剛性を高くする補強構造を備えていることを特徴とする歯車伝動機構である。
【0011】
したがって請求項2の発明では、各軸が補強構造を備えた固定部を介して全体として環状に連結された状態となり、その結果、第1の軸もしくは第2の軸と第3の軸との間での歯車を介したトルクの伝達に伴う荷重を相殺する応力がそれらの軸の間に生じ、歯車を介したトルク伝達に起因する荷重がケーシングなどの外部に伝達されることが抑制される。
【0012】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。図1はこの発明の一例として車両用の変速機の一部を模式化して示しており、中空状のケーシング1における軸線方向での前後両側に、内周側に延びたフランジ状の支持部2,3が設けられている。図1の左側の支持部2を貫通して入力軸4が配置され、その支持部2には、この入力軸4を回転自在に保持する軸受5が取り付けられている。この軸受5は、ボールベアリングやローラーベアリングなどの転がり軸受やその他の滑り軸受などを使用することができる。また、入力軸4の先端側(図1の右端側)には、入力軸4と同一軸線上に出力軸6が配置されている。この出力軸6は、図1の右側の支持部3を貫通するとともに、その貫通部分に取り付けた軸受7によって回転自在に保持されている。この軸受7として、上述した軸受5と同様に、ボールベアリングやローラーベアリングなどの転がり軸受やその他の滑り軸受などを使用することができる。
【0013】
前記出力軸6の後端部(図1での左側の端部)は、中空状に形成され、その中空部分6aに、入力軸4の先端部(図1での右側の端部)が挿入されている。そして、その入力軸4の先端部の外周面と出力軸6の中空部分6aの内周面との間に一対の軸受8が配置され、入力軸4と出力軸6とがこの軸受8を介して回転自在に連結されている。
【0014】
この入力軸4と出力軸6との連結部分を図2に具体的に示してある。図2に示すように、入力軸4と出力軸6とを連結している軸受8は、転動体としてテーパードローラ8aを内輪8bと外輪8cとの間に介在させたテーパードローラーベアリングであって、内輪8bの外周面と外輪8cの内周面とのテーパードローラ8aに接触する面が、軸線に対して傾斜した傾斜面とされている。これら一対の軸受8は、内輪8bの傾斜した外周面が互いに向かい合う方向を向けて入力軸4の軸端部外周面に嵌合されている。すなわち入力軸4の先端部は小径に形成され、図2における左側の軸受8がその小径部分の内奥部すなわち段差部4aに当接した位置に嵌合され、その内輪8bの傾斜した外周面が入力軸4の先端方向(図2の右斜め方向)を向くように入力軸4に取り付けられている。また図2における右側の軸受8における内輪8bの傾斜した外周面が入力軸4の後端方向(図2の左斜め方向)を向くように入力軸4に取り付けられている。
【0015】
また、入力軸4の先端部には、雄ねじ部9が形成され、ここにナット10がねじ込まれている。そのナット10は、入力軸4の外周面より突出して軸受8の内輪8bの側面に到るフランジ状部分を備えており、したがってナット10を締め込むことにより図2の右側の軸受8における内輪8bが軸線方向に押されるようになっている。
【0016】
さらに、前記中空部分6aの内周面には、各軸受8における外輪8cの間に突出した突条11が形成され、各外輪8cがその突条11を挟みつけている。したがって、前記ナット10を締め込むことにより図2の右側の軸受8における内輪8bが図2の左方向に押圧され、それに伴ってテーパードローラ8aおよび外輪8cならびに突条11を介して出力軸6が図2の左方向に押される。さらに、その突条11が図2の左側の軸受8における外輪8cを押圧し、その結果、テーパードローラ8aを介して内輪8bが入力軸4における段差部4aに押し付けられる。
【0017】
このようにナット10を締め込むことにより、各軸受8の内輪8bが、段差部4aとの間で互いに接近する方向に荷重を受けるので、その軸線方向力が内輪8bの外周の傾斜面を介して半径方向で外側にテーパードローラ8aを押す力が生じる。そのため、転動体であるテーパードローラ8aが内輪8bと外輪8cとの間に強く挟み込まれ、軸受8におけるガタが制限もしくは解消される。したがってナット10および段差部4aで一対の軸受8を挟み込む構造がこの発明における軸受のガタを制限する手段となっている。
【0018】
上記のようにいわゆる剛の状態で連結された入力軸4および出力軸6に対して平行に第3の軸であるカウンタ軸12が配置されている。そのカウンタ軸12の両端部は、前述した各支持部2,3に軸受13,14を介して回転自在に支持されている。その一方の軸受13は、入力軸4を回転自在に支持している軸受5の外周側に位置し、また他方の軸受14は出力軸6を支持している軸受7の外周側に位置している。
【0019】
これらの軸受5,7,13,14を取り付けてある支持部2,3がこの発明における固定部に相当し、その支持部2,3のうち、図1の左側の軸受5,13の間の部分、および図1の右側の軸受7,14の間の部分には、その剛性を高くする補強構造2a,3aが採用されている。ここで剛性が高いとは、曲げや引っ張りあるいは圧縮、せん断などに対する強度が高いことを意味し、具体的には、せん断弾性係数と断面二次モーメントとの積が大きくなる形状とされていることを意味する。またその具体的な構造は、断面二次モーメントを大きくするためにリブを形成し、あるいは厚肉に形成し、もしくはせん断弾性係数を大きくするために硬度を高くした構造などである。さらに、剛性が高いとは、前記各支持部2,3における軸受5,7,13,14を取り付けてある箇所より外周側の部分の剛性との比較の上で、剛性が高くなっていることを意味し、一例として、前記補強構造2a,3aの部分の肉厚が、各支持部2,3のそれ以外の部分の肉厚より厚くなっている。
【0020】
上記の入力軸2に第1ドライブギヤ15が取り付けられ、これに噛み合う第1ドリブンギヤ16がカウンタ軸12に取り付けられている。なお、第1ドライブギヤ15が第1ドリブンギヤ16に対して小径であることにより、これらのギヤ対は減速ギヤ対となっている。また、出力軸6に第2ドリブンギヤ17が取り付けられ、これに噛み合う第2ドライブギヤ18がカウンタ軸12に取り付けられている。なお、前者の第2ドリブンギヤ17が後者の第2ドライブギヤ18に対して大径であることにより、これらのギヤ対は減速ギヤ対となっている。
【0021】
上記の歯車伝動機構では、入力軸4に対して図示しない動力源からのトルクが伝達され、その入力軸4と共に第1ドライブギヤ15が回転し、その結果、これに噛み合う第1ドリブンギヤ16からカウンタ軸12にトルクが伝達される。また、第1ドリブンギヤ16と共にカウンタ軸12が回転するので、これに取り付けた第2ドライブギヤ18が回転し、これに噛み合う第2ドリブンギヤ17を介して出力軸4にトルクが伝達される。そしてこれらのギヤ対が“1”より小さい変速比の減速ギヤ対となっているので、入力軸4に対して減速された回転数で出力軸6が回転し、したがって出力トルクが入力されたトルクより大きくなる。
【0022】
このようにしてトルクが伝達される場合、歯車15,16,17,18の歯面でその形状に応じた荷重が生じるが、この発明に係る上記の伝動機構における荷重の作用状態は以下のようになる。先ず、ドライブギヤ15,18がドリブンギヤ16,17を押すことによるラジアル方向の荷重について説明すると、第1のギヤ対15,16においては、図1の紙面に垂直な方向で互いに反対の方向に荷重が作用する。また、第2のギヤ対17,18においては、カウンタ軸12から出力軸6に対してトルクを伝達するので、図1の紙面に垂直な方向であって第1のギヤ対15,16とは反対方向の荷重が作用する。
【0023】
その場合、カウンタ軸12は1本の軸であるから、その第1ドリブンギヤ16と第2ドライブギヤ18とで生じるラジアル方向の荷重が相互に相殺するように作用する。これと同様に、入力軸4と出力軸6とは、一対の軸受8およびこれを締め付けているナット10によって剛の状態に連結されているので、第1ドライブギヤ15および第2ドリブンギヤ17で生じるラジアル方向の荷重が互いに相殺するように作用する。その結果、入力軸4および出力軸6のそれぞれにこれを旋回させる方向のモーメントが生じることはない。また、同一軸線上に配置されている第1ドライブギヤ15と第2ドリブンギヤ17とは、その外径が相違しているので、これらのギヤでのラジアル方向の荷重が相違し、その差に相当する荷重が、支持部2,3に取り付けてある軸受5,7の部分に作用する。これは、カウンタ軸12についても同様である。そして、この支持部2,3に作用するラジアル方向の荷重は、互いに反対向きで同じ大きさであり、それらの荷重は相殺され、ケーシング1の外表面側に伝達されることはなく、あるいは僅少になる。
【0024】
図1には、上記の各荷重を紙面の上下方向を向く矢印で示してあり、この図1から知られるように、入力軸4および出力軸6ならびにカウンタ軸12が、前記の補強構造2a,3aの部分を介して全体として環状に一体化された状態となっている。そのために、入力軸4および出力軸6とカウンタ軸12との互いに対応する箇所の間で生じる荷重が相殺される。その結果、歯車の噛み合いを伴うトルクの伝達が生じても、その際に付随的に生じる荷重がケーシング1の外表面側に伝達されることがなく、言い換えれば、歯車を介したトルク伝達に伴う荷重が外部に現れないので、騒音や振動が防止もしくは抑制される。また、併せてケーシング1の強度を向上させ、もしくは強度を維持する点で有利となる。
【0025】
なお、軸受5と軸受13とに作用する2つの荷重によるモーメント(左右方向の軸周り)は、ケーシング1に伝達される。軸受7と軸受14とに作用する2つの荷重によるモーメントもケーシング1に伝達される。
【0026】
つぎに各軸4,6,12を離す方向に作用する荷重について説明すると、その荷重の作用状態を図3に矢印で示してある。前述したように入力軸4と出力軸6とは実質的に一体化するように一対の軸受8およびこれを締め付けるナット10によって連結されているので、各ギヤ15,16,17,18でのトルク伝達に伴う軸心方向のラジアル荷重は、入力軸4および出力軸6をカウンタ軸12から離す方向に作用し、また、支持部2,3に取り付けた軸受5,7から各ギヤ16,17までの距離に応じた荷重がその軸受5,7に作用する。このような荷重の作用状態はカウンタ軸12についても同様である。その結果、補強構造2a,3aの部分を挟んで配置されている軸受5,13および7,14には、互いに離れる方向に荷重が作用するが、これは、補強構造2a,3aの部分に対する引っ張り荷重となり、かつ互いに相殺するように作用する。したがって軸心方向のラジアル荷重に起因する荷重がケーシング1の外表面側に伝達されることがなく、言い換えれば、歯車を介したトルク伝達に伴う荷重が外部に現れないので、騒音や振動が防止もしくは抑制される。また、併せてケーシング1の強度を向上させ、もしくは強度を維持する点で有利となる。
【0027】
さらにスラスト方向の荷重について説明する。前述したギヤ15,16,17,18がヘリカルギヤであれば、互いに噛み合っている歯面にスラスト方向の荷重が生じる。その方向はドライブギヤとドリブンギヤとでは反対向きになり、またその大きさは伝達されるトルクに応じた大きさとなる。したがって図4に矢印で示すように、第1のギヤ対15,16でのスラスト方向の荷重に対して第2のギヤ対17,18におけるスラスト方向の荷重が大きくなる。その場合、入力軸4と出力軸6とが実質的に一体化する程度の剛の状態で連結されているので、入力軸4に作用するスラスト荷重と出力軸6に作用するスラスト荷重との差の荷重が入力軸4についての固定部、すなわち前記支持部2に作用する。このようなスラスト荷重の作用状態は、カウンタ軸12についても同様であり、したがってカウンタ軸12に対する固定部、すなわち前記支持部2に作用する。そして、この支持部2に作用するスラスト方向の荷重は、向きが互いに反対でかつ大きさが等しいから、それに起因するモーメントが相殺される。
【0028】
このようにスラスト方向の荷重やそれに基づくモーメントが相殺されるので、歯車を介したトルク伝達に伴うスラスト方向の荷重に起因する荷重がケーシング1の外表面側に伝達されることがなく、もしくは抑制され、そのため、この点においても、騒音や振動が防止もしくは抑制される。また、併せてケーシング1の強度を向上させ、もしくは強度を維持する点で有利となる。
【0029】
なお、上記の具体例では、車両用の変速機にこの発明を適用した例を説明したが、この発明は、上記の具体例に限定されないのであって、歯車を使用する一般的な伝動機構に広く適用することができる。また、上記の具体例では、2軸を剛の状態で連結する軸受としてテーパードローラーベアリングを示したが、この発明では、これに替えてアンギュラーコンタクトベアリングなどのスラスト方向の荷重に基づいてラジアル方向の荷重が生じるベアリングを使用することができ、またその使用する数は、上記の具体例で示したように一対を一組として使用する以外に、複数の軸受を軸線方向に並べて使用することとしてもよい。さらに、この発明で軸受のガタを制限する手段は、上述したナットに限定されないのであり、必要に応じて適宜の構成のものを使用することができる。例えば、内輪を軸線方向に押圧する手段以外に、外輪を軸線方向に押圧する手段を採用してもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、第1の軸と第2の軸とが軸受を介して連結されているとしても、これら第1の軸と第2の軸とが緩みをなくした状態で連結され、実質的に1本の軸に近い状態となる。すなわち、第1の軸と第2の軸とが、1本の軸に近い剛性で連結されることになり、その結果、歯車の噛み合いに伴う第1の軸もしくは第2の軸と第3の軸との間の荷重の発生状態が、互いに平行な2軸の間での荷重の発生状態に近似し、それらの軸間の歯車あるいは固定支持部を介して荷重が相殺しあってケーシングなどの外部に対して荷重が伝達されることが抑制される。言い換えれば、歯車の噛み合いでトルクが伝達された場合にそれらの軸に作用する荷重が、その軸などを保持しているケーシングなどの外部に伝達され、あるいは現れることがなく、その結果、騒音や振動を防止もしくは抑制することができる。
【0032】
そして、請求項2の発明によれば、各軸が補強構造を備えた固定部を介して全体として環状に連結された状態となり、その結果、第1の軸もしくは第2の軸と第3の軸との間での歯車を介したトルクの伝達に伴う荷重を相殺する応力がそれらの軸の間に生じ、歯車を介したトルク伝達に起因する荷重がケーシングなどの外部に伝達されることが抑制され、それに伴って騒音や振動を防止もしくは抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る歯車伝動機構の一例を模式的に示すスケルトン図である。
【図2】 その入力軸と出力軸との連結部分の構造を示す部分断面図である。
【図3】 この発明に係る歯車伝動機構において軸心に向けたラジアル方向の荷重の作用状態を説明するためのスケルトン図である。
【図4】 この発明に係る歯車伝動機構においてスラスト方向の荷重の作用状態を説明するためのスケルトン図である。
【符号の説明】
2,3…支持部、 4…入力軸、 5,7,13,14…軸受、 6…出力軸、 8…軸受、 8a…テーパードローラー、 8b…内輪、 8c…外輪、 10…ナット、 12…カウンタ軸、 15…第1ドライブギヤ、 16…第1ドリブンギヤ、 17…第2ドリブンギヤ、 18…第2ドライブギヤ。
Claims (2)
- 互いに同一軸線上に配置された第1の軸と第2の軸とが相対回転可能に嵌合されるとともに、これら第1の軸および第2の軸と平行に第3の軸が回転自在に配置され、その第1の軸もしくは第2の軸に設けた歯車とその歯車に噛み合うように前記第3の軸に設けた歯車との間でトルクを伝達する歯車伝動機構において、
前記第1の軸と第2の軸とが嵌合している箇所に、内輪と、外輪と、これら内輪および外輪の間に保持した転動体を備え、かつ前記内輪の前記転動体に接触する面と前記外輪の前記転動体に接触する面との少なくともいずれか一方に軸線方向荷重を半径方向荷重に変換する軸線に対して傾斜した傾斜面を備えた、前記第1の軸に対して前記第2の軸を回転自在に支持する一対もしくは複数の軸受が、それらの軸受の少なくとも一対の前記傾斜面が互いに向かい合う方向を向けて配置され、
前記内輪と外輪とのいずれか一方に軸線方向の荷重を与えて、前記内輪と外輪との間に半径方向に向けた押圧力を生じさせることにより前記軸受のガタを制限する手段が設けられていることを特徴とする歯車伝動機構。 - 前記第1の軸が前記軸受に対して軸線方向に離れた箇所で所定の固定部に回転自在に支持されるとともに、前記第2の軸が前記第1の軸を回転自在に支持している前記固定部に対して前記軸受を挟んだ軸線方向での反対側の所定の固定部で回転自在に支持され、さらに第3の軸が前記第1の軸を回転自在に支持している固定部と第2の軸を回転自在に支持している固定部との少なくとも二箇所で支持され、それらの固定部における第1の軸と第3の軸との間の部分および第2の軸と第3の軸との間の部分の剛性を高くする補強構造を備えていることを特徴とする請求項1に記載の歯車伝動機構。
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