JP3738432B2 - スポット溶接の電極研磨用カッター - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スポット溶接に使用する一対の電極の相互を研磨するスポット溶接の電極研磨用カッターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電極研磨用カッターは、基盤の表裏に、それぞれ、対向する一対の電極を研磨可能な凹形状を先端面に備えた刃部を突設させて、構成されていた(特許第2639602号参照)。
【0003】
そして、所定の治具(ドレッサ)に保持させるとともに、電極相互間に挟持されるように配置させ、治具を作動させて、電極研磨用カッターを回転させることにより、電極先端相互を研磨していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の電極研磨用カッターでは、切粉を排出する部位が、基盤の中央側で、基盤の表裏を貫通する連通孔として、構成されていた。
【0005】
そのため、研磨時、刃部の側面の縁(切刃)により研削された切粉が、基盤の中央側に集まって、連通孔を経て排出されることとなっていた。
【0006】
すなわち、カッターの回転中心側に切粉を集めて排出する構成であり、基盤の外周縁側の広い面積部位から、基盤の中央側の狭い面積部位に、切粉が集まることとなって、切粉が円滑に排出されずに連通孔で詰まる場合があり、その場合、詰まった切粉によって、電極を傷付けてしまう。
【0007】
また、基盤の中央側の狭い面積に設けられる連通孔が複数あるため、連通孔間の肉厚が小さくなり、基盤の強度が低くなって、切粉が円滑に排出されずに連通孔で詰まった場合に、連通孔間にヒビが入って、カッターの破損を招く場合もあった。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、切粉の排出が円滑となって、電極を傷付けることなく奇麗に研磨できるとともに、破損する虞れも生じない電極研磨用カッターを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電極研磨用カッターでは、先端相互を対向させて配設されるスポット溶接の一対の電極の相互間に挟持されるように配置されて、回転させることにより前記電極先端相互を研磨するように使用され、
基盤の表裏に、それぞれ、前記各電極を研磨可能な凹形状を先端面に備えた刃部が突設されて構成されるスポット溶接の電極研磨用カッターであって、
前記各刃部における回転方向の切刃形状が、前記基盤の中心側部位を、前記基盤の外周縁側部位に比べて、回転方向に先行させる形状に形成され、
前記基盤の前記刃部の設けられていない部位における外周縁側に、表裏を貫通して切粉を排出可能な凹部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
そして、前記カッターを正・逆回転用に使用する場合には、前記各刃部の両側面の切刃形状として、それぞれ、前記基盤の中心側部位を、前記基盤の外周縁側部位に比べて、正回転及び逆回転の回転方向に先行させる形状に形成することが望ましい。
【0011】
また、前記各刃部は、前記基盤の表裏で、それぞれ、研磨時の回転中心を基準に、放射状に複数突設させることが望ましい。
【0012】
さらに、前記基盤の表裏において、それぞれ、1つの刃部が、研磨時の回転中心を越えてオーバーラップする部位を備えるように構成することが望ましい。
【0013】
さらにまた、前記オーバーラップ部位を備えた前記刃部は、前記オーバーラップ部位を他の刃部に連結させることが望ましい。
【0014】
さらに、研磨時の回転中心を基準として前記オーバーラップ部位に対向するように、周囲の刃部から延設させて、前記電極を位置規制可能な押え部を配置させることが望ましい。
【0015】
【発明の効果】
本発明に係る電極研磨用カッターでは、対向する電極相互に挟持された状態で回転すれば、各刃部の切刃形状が、基盤の中心側部位を、基盤の外周縁側部位に比べて、回転方向に先行させる形状に形成されており、各刃部の切刃で研削されて生じた切粉を、各刃部の切刃に沿って、基盤の中心側から外周縁側へ送ることができる。
【0016】
そして、基盤の刃部の設けられていない部位における外周縁側には、表裏を貫通して切粉を排出可能な凹部が形成されていることから、その凹部から切粉が円滑に排出されることとなる。この切粉排出用の凹部は、従来品と相違して、基盤の外周縁側であることから、基盤の強度低下を招くことなく、容易に大きく開口させることができて、切粉の円滑な排出を容易に確保することができる。
【0017】
したがって、本発明に係る電極研磨用カッターでは、切粉の排出が円滑となって、電極を傷付けることなく奇麗に研磨できるとともに、強度低下を招くことを防止できることから、破損する虞れも生じない。
【0018】
なお、電極研磨用カッターを正・逆回転で使用する場合には、各刃部の両側面の切刃形状として、それぞれ、基盤の中心側部位を、基盤の外周縁側部位に比べて、正回転及び逆回転の回転方向に先行させる形状に形成すれば良い。そして、電極研磨用カッターを正・逆回転で使用すれば、切刃の寿命を延ばすことができ、カッターの耐久性を向上させることができる。
【0019】
また、各刃部として、基盤の表裏で、それぞれ、研磨時の回転中心を基準に、放射状に複数突設させれば、研磨時の研削力が増し、研磨効率を向上させることができる。
【0020】
この場合、基盤の表裏において、それぞれ、1つの刃部が、研磨時の回転中心を越えてオーバーラップする部位を備えるように構成すれば、研削時、電極先端がずれても、オーバーラップ部位によって、電極先端面の全面を確実に研磨することができる。ちなみに、このようなオーバーラップ部位がなければ、電極先端が僅かにずれても、電極先端面に、切刃の当たらない部位が発生する虞れが生じ、その場合には、削り残し部位を発生させてしまう。
【0021】
そして、オーバーラップ部位を備えた刃部は、オーバーラップ部位を他の刃部に連結させることが望ましく、その場合には、オーバーラップ部位の強度を向上させることができる。
【0022】
さらに、研磨時の回転中心を基準としてオーバーラップ部位に対向するように、周囲の刃部から延設させて、電極を位置規制可能な押え部を配置させれば、研磨時の電極のぶれが防止されて、一層、電極先端面の全面を確実に研磨することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
実施形態の電極研磨用カッター9は、図1〜4に示すように、工具鋼等の金属材から形成されて、周囲を所定の治具(ドレッサ)に保持されるとともに、上下の電極1・5に挟持されて、治具の作動に伴う回転により、各電極1・5の裁頭円錐台形状の先端面2・6を研磨するものである。
【0025】
カッター9は、基盤10の表裏から、4つずつの刃部11・21・31・41を突出させて構成されている。なお、カッター9の各刃部11・21・31・41は、カッター9の平面図と底面図とで、研磨時のカッター9の回転中心Oを中心として点対称に配置されている。
【0026】
各刃部11・21・31・41は、回転中心Oを中心として、略90度ずつ分割するように、放射状に突設され、カッター9の正回転(反時計方向M)と逆回転(時計方向N)とで、研磨できるように構成されている。
【0027】
各刃部11・21・31・41は、それぞれ、基盤10の外周縁側に配置されて基盤10からの突出高さを高くする支持部12・22・32・42と、電極1・5の裁頭円錐台形状の先端面2・6における弧面2a・6aに対応した凹形状の本体部13・23・33・43と、を備えて構成されている。さらに、刃部11・41は、それぞれ、電極1・5の先端面2・6の先端における平坦面2b・6bに当接可能な連結部16や押え部46を備えて構成されている。
【0028】
各本体部13・23・33・43は、それぞれの両側面を、電極1・5の裁頭円錐台形状の先端面2・6における弧面2a・6aを研磨可能な切刃14・15・24・25・34・35・44・45を備えている。カッター9の平面図側では、切刃14・24・34・44は、カッター9の反時計方向Mへの正回転時に弧面2a・6aを研磨する部位となり、切刃15・25・35・45は、カッター9の時計方向Nへの逆回転時に弧面2a・6aを研磨する部位となる。なお、カッター9の底面図側では、切刃と回転方向との関係は逆となる。
【0029】
連結部16は、刃部11を刃部21に連結させる部位であり、図5・2に示すように、回転中心Oを越えたオーバーラップ部位16aを備えている。そして、側面の縁に切刃17・18を備えている。カッター9の平面図側では、切刃17は、カッター9の反時計方向Mへの正回転時に平坦面2b・6bを研磨し、切刃18は、カッター9の時計方向Nへの逆回転時に平坦面2b・6bを研磨することとなる。ちなみに、カッター9の底面図側では、既述したように、切刃と回転方向との関係は逆となる。
【0030】
押え部46は、回転中心Oを基準としてオーバーラップ部位16aに対向するように、刃部41の本体部43から延設させたものであり、電極1・5を位置規制するものである。押え部46は、電極1・5の先端面2・6における平坦面2b・6bと弧面2a・6aとの境界部位付近に当接可能に形成されている。
【0031】
この押え部46は、研磨時、電極1・5がオーバーラップ部位16aに押されて、オーバーラップ部位16aから逃げるように外れようとしても、電極1・5の平坦面2b・6bと弧面2a・6aとの境界部位付近を、本体部43との境界部位付近で押えて、その外れを規制し、電極1・5のぶれを防止する役目を果たす。
【0032】
そして、各刃部11・21・31・41では、所定の回転方向の切刃の形状が、基盤10の中心側部位を、基盤10の外周縁側部位に比べて、回転方向に先行させる形状に形成されている。
【0033】
すなわち、カッター9の平面図側では、反時計方向Mへの回転時の研磨に使用される切刃14・17・24・34・44では、図3に示すように、それぞれ、中心側部位14a・17a・24a・34a・44aが、外周縁側部位14b・17b・24b・34b・44bに比べて、回転方向Mに先行させる形状に形成されている。
【0034】
同様に、カッター9の時計方向Nへの回転時の研磨に使用される切刃15・18・25・35・45でも、それぞれ、中心側部位15a・18a・25a・35a・45aが、外周縁側部位15b・18b・25b・35b・45bに比べて、回転方向Nに先行させる形状に形成されている。
【0035】
勿論、カッター9の底面図側では、既述したように、切刃と回転方向との関係は逆となる。
【0036】
そして、実施形態のカッター9では、基盤10の刃部11・21・31・41の設けられていない部位における外周縁側に、表裏を貫通して切粉Kを排出可能な4つの凹部10aが形成されている。
【0037】
実施形態のカッター9では、所定の治具にセットして、対向する電極1・5相互に挟持された状態で回転方向M・Nに順次回転させれば、各刃部11・21・31・41の切刃14・15・17・18・24・25・34・35・44・45の形状が、それぞれ、基盤10の中心側部位を、基盤10の外周縁側部位に比べて、対応する回転方向M・Nに先行させる形状に形成されており、各刃部11・21・31・41の切刃14・15・17・18・24・25・34・35・44・45で研削されて生じた切粉Kを、各刃部11・21・31・41の切刃14・15・17・18・24・25・34・35・44・45に沿って、基盤10の中心側から外周縁側へ送ることとなる。そして、基盤10の外周縁側には、表裏を貫通して切粉Kを排出可能な凹部10aが形成されていることから、それらの凹部10aから切粉Kが円滑に排出されることとなる。この切粉排出用の凹部10aは、従来品と相違して、基盤10の外周縁側であることから、基盤10の強度低下を招くことなく、容易に大きく開口させることができて、切粉Kの円滑な排出を容易に確保することができる。
【0038】
したがって、実施形態の電極研磨用カッター9では、切粉Kの排出が円滑となって、電極1・5を傷付けることなく奇麗に研磨できるとともに、強度低下を招くことを防止できることから、破損する虞れも生じない。
【0039】
そして、実施形態では、電極研磨用カッター9を正・逆回転で使用していることから、切刃14・15・17・18・24・25・34・35・44・45の寿命を延ばすことができ、カッター9の耐久性を向上させることができる。勿論、この点を考慮しなければ、一方向の回転で研磨できるように、刃部を片側だけの切刃で構成しても良い。
【0040】
また、実施形態では、各刃部11・21・31・41が、基盤10の表裏で、それぞれ、研磨時の回転中心Oを基準に、放射状に4つ突設されているため、研磨時の研削力が増し、研磨効率を向上させることができる。ちなみに、このような作用・効果を考慮しなければ、1つの刃部だけを設けるように構成しても良い。勿論、放射状に刃部を設ける場合には、刃部を2個や3個、あるいは、5個以上、設けても良い。ただし、5個以上設ける場合には、切粉排出用の凹部10aの開口面積が小さくなるため、実施形態のように、4個程度の刃部を設けることが、切粉Kの円滑な排出と研削力の増大とを確保できる点で望ましい。
【0041】
さらに、実施形態では、刃部11が、研磨時の回転中心Oを越えたオーバーラップ部位16aを備えており、研磨時、電極1・5の先端がずれても、オーバーラップ部位16aによって、電極先端面2・6の全面を確実に研磨することができる。ちなみに、実施形態の場合、図5に示すように、オーバーラップ量のXとYの値は、ともに0.1mmとしている。なお、このようなオーバーラップ部位16aがなければ、電極1・5先端が僅かにずれても、電極先端面2・6に、切刃の当たらない部位が発生して、削り残し部位を発生させてしまう。
【0042】
そして、実施形態では、オーバーラップ部位16aが他の刃部21に連結させており、オーバーラップ部位16aの強度が向上している。
【0043】
さらに、実施形態では、研磨時の回転中心Oを基準としてオーバーラップ部位16aに対向するように、周囲の刃部41から延設させて、電極1・5を位置規制可能な押え部46が配置されており、研磨時の電極1・5のぶれが防止されて、一層、電極先端面2・6の全面を確実に研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態の電極研磨用カッターの正面図である。
【図2】同実施形態の平面図である。
【図3】同実施形態の平面図である。
【図4】同実施形態の側面図である。
【図5】同実施形態のオーバーラップ部位の拡大平面図である。
【符号の説明】
1・5…電極、
2・6…先端面、
9…電極研磨用カッター、
10…基盤、
10a…凹部、
11・21・31・41…刃部、
14・15・17・18・24・25・34・35・44・45…切刃、
14a・15a・17a・18a・24a・25a・34a・35a・44a・45a…中心側部位、
14b・15b・17b・18b・24b・25b・34b・35b・44b・45b…外周縁側部位、
16…連結部、
16a…オーバーラップ部位、
46…押え部、
K…切粉。
【発明の属する技術分野】
本発明は、スポット溶接に使用する一対の電極の相互を研磨するスポット溶接の電極研磨用カッターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電極研磨用カッターは、基盤の表裏に、それぞれ、対向する一対の電極を研磨可能な凹形状を先端面に備えた刃部を突設させて、構成されていた(特許第2639602号参照)。
【0003】
そして、所定の治具(ドレッサ)に保持させるとともに、電極相互間に挟持されるように配置させ、治具を作動させて、電極研磨用カッターを回転させることにより、電極先端相互を研磨していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の電極研磨用カッターでは、切粉を排出する部位が、基盤の中央側で、基盤の表裏を貫通する連通孔として、構成されていた。
【0005】
そのため、研磨時、刃部の側面の縁(切刃)により研削された切粉が、基盤の中央側に集まって、連通孔を経て排出されることとなっていた。
【0006】
すなわち、カッターの回転中心側に切粉を集めて排出する構成であり、基盤の外周縁側の広い面積部位から、基盤の中央側の狭い面積部位に、切粉が集まることとなって、切粉が円滑に排出されずに連通孔で詰まる場合があり、その場合、詰まった切粉によって、電極を傷付けてしまう。
【0007】
また、基盤の中央側の狭い面積に設けられる連通孔が複数あるため、連通孔間の肉厚が小さくなり、基盤の強度が低くなって、切粉が円滑に排出されずに連通孔で詰まった場合に、連通孔間にヒビが入って、カッターの破損を招く場合もあった。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、切粉の排出が円滑となって、電極を傷付けることなく奇麗に研磨できるとともに、破損する虞れも生じない電極研磨用カッターを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電極研磨用カッターでは、先端相互を対向させて配設されるスポット溶接の一対の電極の相互間に挟持されるように配置されて、回転させることにより前記電極先端相互を研磨するように使用され、
基盤の表裏に、それぞれ、前記各電極を研磨可能な凹形状を先端面に備えた刃部が突設されて構成されるスポット溶接の電極研磨用カッターであって、
前記各刃部における回転方向の切刃形状が、前記基盤の中心側部位を、前記基盤の外周縁側部位に比べて、回転方向に先行させる形状に形成され、
前記基盤の前記刃部の設けられていない部位における外周縁側に、表裏を貫通して切粉を排出可能な凹部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
そして、前記カッターを正・逆回転用に使用する場合には、前記各刃部の両側面の切刃形状として、それぞれ、前記基盤の中心側部位を、前記基盤の外周縁側部位に比べて、正回転及び逆回転の回転方向に先行させる形状に形成することが望ましい。
【0011】
また、前記各刃部は、前記基盤の表裏で、それぞれ、研磨時の回転中心を基準に、放射状に複数突設させることが望ましい。
【0012】
さらに、前記基盤の表裏において、それぞれ、1つの刃部が、研磨時の回転中心を越えてオーバーラップする部位を備えるように構成することが望ましい。
【0013】
さらにまた、前記オーバーラップ部位を備えた前記刃部は、前記オーバーラップ部位を他の刃部に連結させることが望ましい。
【0014】
さらに、研磨時の回転中心を基準として前記オーバーラップ部位に対向するように、周囲の刃部から延設させて、前記電極を位置規制可能な押え部を配置させることが望ましい。
【0015】
【発明の効果】
本発明に係る電極研磨用カッターでは、対向する電極相互に挟持された状態で回転すれば、各刃部の切刃形状が、基盤の中心側部位を、基盤の外周縁側部位に比べて、回転方向に先行させる形状に形成されており、各刃部の切刃で研削されて生じた切粉を、各刃部の切刃に沿って、基盤の中心側から外周縁側へ送ることができる。
【0016】
そして、基盤の刃部の設けられていない部位における外周縁側には、表裏を貫通して切粉を排出可能な凹部が形成されていることから、その凹部から切粉が円滑に排出されることとなる。この切粉排出用の凹部は、従来品と相違して、基盤の外周縁側であることから、基盤の強度低下を招くことなく、容易に大きく開口させることができて、切粉の円滑な排出を容易に確保することができる。
【0017】
したがって、本発明に係る電極研磨用カッターでは、切粉の排出が円滑となって、電極を傷付けることなく奇麗に研磨できるとともに、強度低下を招くことを防止できることから、破損する虞れも生じない。
【0018】
なお、電極研磨用カッターを正・逆回転で使用する場合には、各刃部の両側面の切刃形状として、それぞれ、基盤の中心側部位を、基盤の外周縁側部位に比べて、正回転及び逆回転の回転方向に先行させる形状に形成すれば良い。そして、電極研磨用カッターを正・逆回転で使用すれば、切刃の寿命を延ばすことができ、カッターの耐久性を向上させることができる。
【0019】
また、各刃部として、基盤の表裏で、それぞれ、研磨時の回転中心を基準に、放射状に複数突設させれば、研磨時の研削力が増し、研磨効率を向上させることができる。
【0020】
この場合、基盤の表裏において、それぞれ、1つの刃部が、研磨時の回転中心を越えてオーバーラップする部位を備えるように構成すれば、研削時、電極先端がずれても、オーバーラップ部位によって、電極先端面の全面を確実に研磨することができる。ちなみに、このようなオーバーラップ部位がなければ、電極先端が僅かにずれても、電極先端面に、切刃の当たらない部位が発生する虞れが生じ、その場合には、削り残し部位を発生させてしまう。
【0021】
そして、オーバーラップ部位を備えた刃部は、オーバーラップ部位を他の刃部に連結させることが望ましく、その場合には、オーバーラップ部位の強度を向上させることができる。
【0022】
さらに、研磨時の回転中心を基準としてオーバーラップ部位に対向するように、周囲の刃部から延設させて、電極を位置規制可能な押え部を配置させれば、研磨時の電極のぶれが防止されて、一層、電極先端面の全面を確実に研磨することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
実施形態の電極研磨用カッター9は、図1〜4に示すように、工具鋼等の金属材から形成されて、周囲を所定の治具(ドレッサ)に保持されるとともに、上下の電極1・5に挟持されて、治具の作動に伴う回転により、各電極1・5の裁頭円錐台形状の先端面2・6を研磨するものである。
【0025】
カッター9は、基盤10の表裏から、4つずつの刃部11・21・31・41を突出させて構成されている。なお、カッター9の各刃部11・21・31・41は、カッター9の平面図と底面図とで、研磨時のカッター9の回転中心Oを中心として点対称に配置されている。
【0026】
各刃部11・21・31・41は、回転中心Oを中心として、略90度ずつ分割するように、放射状に突設され、カッター9の正回転(反時計方向M)と逆回転(時計方向N)とで、研磨できるように構成されている。
【0027】
各刃部11・21・31・41は、それぞれ、基盤10の外周縁側に配置されて基盤10からの突出高さを高くする支持部12・22・32・42と、電極1・5の裁頭円錐台形状の先端面2・6における弧面2a・6aに対応した凹形状の本体部13・23・33・43と、を備えて構成されている。さらに、刃部11・41は、それぞれ、電極1・5の先端面2・6の先端における平坦面2b・6bに当接可能な連結部16や押え部46を備えて構成されている。
【0028】
各本体部13・23・33・43は、それぞれの両側面を、電極1・5の裁頭円錐台形状の先端面2・6における弧面2a・6aを研磨可能な切刃14・15・24・25・34・35・44・45を備えている。カッター9の平面図側では、切刃14・24・34・44は、カッター9の反時計方向Mへの正回転時に弧面2a・6aを研磨する部位となり、切刃15・25・35・45は、カッター9の時計方向Nへの逆回転時に弧面2a・6aを研磨する部位となる。なお、カッター9の底面図側では、切刃と回転方向との関係は逆となる。
【0029】
連結部16は、刃部11を刃部21に連結させる部位であり、図5・2に示すように、回転中心Oを越えたオーバーラップ部位16aを備えている。そして、側面の縁に切刃17・18を備えている。カッター9の平面図側では、切刃17は、カッター9の反時計方向Mへの正回転時に平坦面2b・6bを研磨し、切刃18は、カッター9の時計方向Nへの逆回転時に平坦面2b・6bを研磨することとなる。ちなみに、カッター9の底面図側では、既述したように、切刃と回転方向との関係は逆となる。
【0030】
押え部46は、回転中心Oを基準としてオーバーラップ部位16aに対向するように、刃部41の本体部43から延設させたものであり、電極1・5を位置規制するものである。押え部46は、電極1・5の先端面2・6における平坦面2b・6bと弧面2a・6aとの境界部位付近に当接可能に形成されている。
【0031】
この押え部46は、研磨時、電極1・5がオーバーラップ部位16aに押されて、オーバーラップ部位16aから逃げるように外れようとしても、電極1・5の平坦面2b・6bと弧面2a・6aとの境界部位付近を、本体部43との境界部位付近で押えて、その外れを規制し、電極1・5のぶれを防止する役目を果たす。
【0032】
そして、各刃部11・21・31・41では、所定の回転方向の切刃の形状が、基盤10の中心側部位を、基盤10の外周縁側部位に比べて、回転方向に先行させる形状に形成されている。
【0033】
すなわち、カッター9の平面図側では、反時計方向Mへの回転時の研磨に使用される切刃14・17・24・34・44では、図3に示すように、それぞれ、中心側部位14a・17a・24a・34a・44aが、外周縁側部位14b・17b・24b・34b・44bに比べて、回転方向Mに先行させる形状に形成されている。
【0034】
同様に、カッター9の時計方向Nへの回転時の研磨に使用される切刃15・18・25・35・45でも、それぞれ、中心側部位15a・18a・25a・35a・45aが、外周縁側部位15b・18b・25b・35b・45bに比べて、回転方向Nに先行させる形状に形成されている。
【0035】
勿論、カッター9の底面図側では、既述したように、切刃と回転方向との関係は逆となる。
【0036】
そして、実施形態のカッター9では、基盤10の刃部11・21・31・41の設けられていない部位における外周縁側に、表裏を貫通して切粉Kを排出可能な4つの凹部10aが形成されている。
【0037】
実施形態のカッター9では、所定の治具にセットして、対向する電極1・5相互に挟持された状態で回転方向M・Nに順次回転させれば、各刃部11・21・31・41の切刃14・15・17・18・24・25・34・35・44・45の形状が、それぞれ、基盤10の中心側部位を、基盤10の外周縁側部位に比べて、対応する回転方向M・Nに先行させる形状に形成されており、各刃部11・21・31・41の切刃14・15・17・18・24・25・34・35・44・45で研削されて生じた切粉Kを、各刃部11・21・31・41の切刃14・15・17・18・24・25・34・35・44・45に沿って、基盤10の中心側から外周縁側へ送ることとなる。そして、基盤10の外周縁側には、表裏を貫通して切粉Kを排出可能な凹部10aが形成されていることから、それらの凹部10aから切粉Kが円滑に排出されることとなる。この切粉排出用の凹部10aは、従来品と相違して、基盤10の外周縁側であることから、基盤10の強度低下を招くことなく、容易に大きく開口させることができて、切粉Kの円滑な排出を容易に確保することができる。
【0038】
したがって、実施形態の電極研磨用カッター9では、切粉Kの排出が円滑となって、電極1・5を傷付けることなく奇麗に研磨できるとともに、強度低下を招くことを防止できることから、破損する虞れも生じない。
【0039】
そして、実施形態では、電極研磨用カッター9を正・逆回転で使用していることから、切刃14・15・17・18・24・25・34・35・44・45の寿命を延ばすことができ、カッター9の耐久性を向上させることができる。勿論、この点を考慮しなければ、一方向の回転で研磨できるように、刃部を片側だけの切刃で構成しても良い。
【0040】
また、実施形態では、各刃部11・21・31・41が、基盤10の表裏で、それぞれ、研磨時の回転中心Oを基準に、放射状に4つ突設されているため、研磨時の研削力が増し、研磨効率を向上させることができる。ちなみに、このような作用・効果を考慮しなければ、1つの刃部だけを設けるように構成しても良い。勿論、放射状に刃部を設ける場合には、刃部を2個や3個、あるいは、5個以上、設けても良い。ただし、5個以上設ける場合には、切粉排出用の凹部10aの開口面積が小さくなるため、実施形態のように、4個程度の刃部を設けることが、切粉Kの円滑な排出と研削力の増大とを確保できる点で望ましい。
【0041】
さらに、実施形態では、刃部11が、研磨時の回転中心Oを越えたオーバーラップ部位16aを備えており、研磨時、電極1・5の先端がずれても、オーバーラップ部位16aによって、電極先端面2・6の全面を確実に研磨することができる。ちなみに、実施形態の場合、図5に示すように、オーバーラップ量のXとYの値は、ともに0.1mmとしている。なお、このようなオーバーラップ部位16aがなければ、電極1・5先端が僅かにずれても、電極先端面2・6に、切刃の当たらない部位が発生して、削り残し部位を発生させてしまう。
【0042】
そして、実施形態では、オーバーラップ部位16aが他の刃部21に連結させており、オーバーラップ部位16aの強度が向上している。
【0043】
さらに、実施形態では、研磨時の回転中心Oを基準としてオーバーラップ部位16aに対向するように、周囲の刃部41から延設させて、電極1・5を位置規制可能な押え部46が配置されており、研磨時の電極1・5のぶれが防止されて、一層、電極先端面2・6の全面を確実に研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態の電極研磨用カッターの正面図である。
【図2】同実施形態の平面図である。
【図3】同実施形態の平面図である。
【図4】同実施形態の側面図である。
【図5】同実施形態のオーバーラップ部位の拡大平面図である。
【符号の説明】
1・5…電極、
2・6…先端面、
9…電極研磨用カッター、
10…基盤、
10a…凹部、
11・21・31・41…刃部、
14・15・17・18・24・25・34・35・44・45…切刃、
14a・15a・17a・18a・24a・25a・34a・35a・44a・45a…中心側部位、
14b・15b・17b・18b・24b・25b・34b・35b・44b・45b…外周縁側部位、
16…連結部、
16a…オーバーラップ部位、
46…押え部、
K…切粉。
Claims (6)
- 先端相互を対向させて配設されるスポット溶接の一対の電極の相互間に挟持されるように配置されて、回転させることにより前記電極先端相互を研磨するように使用され、
基盤の表裏に、それぞれ、前記各電極を研磨可能な凹形状を先端面に備えた刃部が突設されて構成されるスポット溶接の電極研磨用カッターであって、
前記各刃部における回転方向の切刃形状が、前記基盤の中心側部位を、前記基盤の外周縁側部位に比べて、回転方向に先行させる形状に形成され、
前記基盤の前記刃部の設けられていない部位における外周縁側に、表裏を貫通して切粉を排出可能な凹部が形成されていることを特徴とするスポット溶接の電極研磨用カッター。 - 前記カッターが、正・逆回転用として、前記各刃部の両側面の切刃形状が、それぞれ、前記基盤の中心側部位を、前記基盤の外周縁側部位に比べて、正回転及び逆回転の回転方向に先行させる形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のスポット溶接の電極研磨用カッター。
- 前記各刃部が、前記基盤の表裏で、それぞれ、研磨時の回転中心を基準に、放射状に複数突設されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2記載のスポット溶接の電極研磨用カッター。
- 前記基盤の表裏において、それぞれ、1つの刃部が、研磨時の回転中心を越えてオーバーラップする部位を備えていることを特徴とする請求項3記載のスポット溶接の電極研磨用カッター。
- 前記オーバーラップ部位を備えた前記刃部が、前記オーバーラップ部位を他の刃部に連結させていることを特徴とする請求項4記載のスポット溶接の電極研磨用カッター。
- 研磨時の回転中心を基準として前記オーバーラップ部位に対向するように、周囲の刃部から延設されて、前記電極を位置規制可能な押え部が配置されていることを特徴とする請求項5記載のスポット溶接の電極研磨用カッター。
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