JP3738301B2 - 電磁ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は導電性流体に外部から進行磁場を与えて、この導電性流体に誘導電流を誘起させ、この誘導電流と外部磁界との相互作用によりポンピングを起こさせる電磁ポンプに係り、特に、高速増殖炉の冷却材である液体金属ナトリウムや核融合に用いられるリチウムの循環ポンプ、および電磁冶金における液体金属の移送ポンプなどに好適な電磁ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、三相誘導型の電磁ポンプは、三相交流巻線を導電性流体の流れ方向、すなわち電磁ポンプの軸方向に各相の順に分布させて配置する。そして、この三相交流巻線に三相交流電流を流して、この電流の流れの方向に進行磁界を発生させ、いわゆる「フレミングの右手の法則」の応用により、導電性流体中に誘導電流が流れる。この誘導電流と進行磁界との相互作用により電磁力が生じ、この電磁力が導電性流体を流す力となりポンプとして作用する。この電磁力は誘導電動機におけるトルクを発生させる力、リニアモータにおける推力等と同じである。
【0003】
三相誘導型の電磁ポンプは、構造上大別してフラット・リニア型電磁ポンプとアニュラ・リニア型電磁ポンプとの2種類に分けられる。本発明の電磁ポンプはこの内アニュラ・リニア型電磁ポンプの改良に関するものである。アニュラ・リニア型電磁ポンプは、流体の流れるダクトの流路断面が環状であることから、Annular Linear Induction Pump(以下、ALIPと記す。)と呼ばれ、ダクト構造の信頼性や安全性が高いことから、大容量ポンプ、あるいは高い信頼性が要求される導電性流体のポンプとして採用されている。
【0004】
上記ALIPの基本的な構造を図8に示す。
例えば、液体金属ナトリウムなどの導電性流体2を吸込口から吐出口へ圧送するために、外側ダクト3および内側ダクト4により同心の二重管構造の二重ダクト5を構成し、その外側ダクト3と内側ダクト4により形成された環状流路6に導電性流体2を流すようになっている。
【0005】
外側ダクト3の外側には多数枚の電気鉄板を周方向に積み重ねた外側積層鉄心7が径方向に間隙8を置いて図9に示すように周方向に複数等配されている。各外側積層鉄心7の外側ダクト3側の端部に形成されたスロット9内には環状の外側固定子コイル10が収納され、交流磁場の磁気回路を形成している。なお、外側固定子コイル10は軸方向に多数配置されており、これら外側固定子コイル10は三相交流が進行磁場を作るように結線されている。
【0006】
そして、内側ダクト4の内側には磁気回路を形成するための内側積層鉄心11が配設されている。このように構成された電磁ポンプでは、外側固定子コイル10に三相交流電流を流すことにより、導電性流体2が吸込口である流体入口12から環状流路6を流れ吐出口である流体出口13から外部へ圧送される。
【0007】
そして、このような電磁ポンプ1では、外側固定子コイル10に発生するジュール損失や外側積層鉄心7に発生する鉄損等の内部発熱、および導電性流体2からの入熱等は外側積層鉄心7の外周側に配設されたケーシング14内に外部から冷媒を循環させて除熱するのが一般的である。
【0008】
さらに、近年、電磁ポンプ1を大容量化して、高速増殖炉の主循環系の循環ポンプへの採用が検討されている。このため、図10に示すように内側積層鉄心11にも内側固定子コイル15を配設し、外側固定子コイル10と内側固定子コイル15により励磁することで、進行磁界を強くしてポンプ力を増強することにより、電磁ポンプの小型化を図るとともに一層の信頼性や運転効率の向上が期待されている。
【0009】
また、ケーシング14により、電磁ポンプ1の全体を密封被覆し、導電性流体2中に浸漬して使用する場合もある。したがって、外部からの冷媒循環が不要な高温下でも使用できる電磁ポンプの開発が急務になっている。この場合、前記した内側積層鉄心11,外側積層鉄心7や内側固定子コイル15,外側固定子コイル10のそれぞれの耐熱温度には限界があり、これらの発熱は内側ダクト4,外側ダクト3を介して環状流路6を流れる導電性流体2で除熱する必要がある。
【0010】
例えば、高速増殖炉の主循環系の循環ポンプとして使用する場合は、導電性流体2である液体金属ナトリウムの温度は約350℃であり、外側積層鉄心7,内側積層鉄心11や外側固定子コイル10,内側固定子コイル15の温度はこれ以上になる。したがって、外側固定子コイル10,内側固定子コイル15の電気絶縁の耐熱性や外側積層鉄心7,内側積層鉄心11の磁気特性等の劣化を考慮すると、これらの温度は可能な限り低い方が運転効率や信頼性の点で望ましいことは明らかである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような図10に示す一般的な電磁ポンプ1では、外側ダクト3の外周面29と、これに対向する外側積層鉄心7の内周側端面31との間に間隙が、さらに、内側ダクト4の内周面30と、これに対向する内側積層鉄心11の外周側端面32との間に間隙をそれぞれ設けているので、外側積層鉄心7や外側固定子コイル10,内側積層鉄心11や内側固定子コイル15の発熱の外側ダクト3,内側ダクト4それぞれへの伝導は上記間隙により阻害され、導電性流体2への熱伝導効率は極めて低く、外側積層鉄心7や外側固定子コイル10,内側積層鉄心11や内側固定子コイル15の温度上昇がその許容値以上になる可能性がある。
【0012】
これに対して、外側積層鉄心7の内周側端面31を外側ダクト3の外周面29に、内側積層鉄心11の外周側端面32を内側ダクト4の内周面30にそれぞれ単に固着させた場合には、前記熱伝導効率を向上させることはできるものの、外側積層鉄心7と外側ダクト3、または内側積層鉄心7と内側ダクト4との熱膨張差をあまり吸収することができず、この熱膨張の拘束等による応力増大あるいは破損を招く恐れがあった。
【0013】
さらに、電磁ポンプ1の大容量化に伴ない電磁ポンプ1が長尺になるために、外側積層鉄心7,内側積層鉄心11の製造や外側固定子コイル10,内側固定子コイル15の組立ておよび組立て後の剛性の点でも問題がある。
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、内側および外側固定子コイルと内側および外側積層鉄心からの発熱の導電性流体への放熱効率の向上と、内側および外側積層鉄心と内側および外側ダクトとの熱膨張差の吸収をともに図り、高温状態でも高信頼性で運転効率が高く、製作性に優れた電磁ポンプを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための、本発明の請求項1に係る電磁ポンプは、外側ダクトとその内部に内蔵される内側ダクトとで形成される二重ダクト内の環状流路に導電性流体を流し、前記外側ダクトの外周側に複数の外側積層鉄心を配設し、この外側積層鉄心の外側ダクト側の端部に形成されたスロット内に外側固定子コイルを収納するとともに、前記内側ダクトの内周側にも複数の内側積層鉄心を配設した電磁ポンプにおいて、外側積層鉄心を外側固定子コイル毎に軸方向に分割して外側積層鉄心ユニットとし、この外側積層鉄心ユニットと外側固定子コイルを軸方向に交互に複数積み重ね、この複数の外側積層鉄心ユニットの外周側を鉄心固定具で固定して固定子モジュールを構成し、その外周側に固定子モジュールを支持する外側フレームを設け、このフレームと鉄心固定具との間に弾性体を装着することを特徴とする。
【0016】
したがって、本発明によれば、多数の外側固定子コイルを有する長尺の電磁ポンプでも、複数の固定子モジュールを積み重ねることにより、製作が容易になる。また、複数の外側積層鉄心ユニットと、複数の外側固定子コイルを軸方向に交互に積み重ねて固定子モジュールとして構成したため、外側固定子コイルの電気絶縁を損傷することなく組立が出来る。
【0017】
また、外側積層鉄心は鉄心固定具を介して外側フレームに支持されているので、横荷重に対する剛性を格段に向上させることができる。さらに、外側積層鉄心を外側ダクトに弾性体で押圧して接触させているので、外側固定子コイルに発生するジュール損失や外側積層鉄心に生じる鉄損により発生する内部発熱を、外側ダクトを介して、この外側ダクトの内周面に流れる導電性流体に放熱することが出来る。
【0018】
よって、外側固定子コイルや外側積層鉄心の温度上昇を許容値内に抑制出来、その結果、外側固定子コイルの電気絶縁材の電気絶縁性能や外側積層鉄心の磁気的性能の劣化を抑制できるので、運転効率すなわちポンプ性能を向上させることが出来る。
【0019】
また、外側積層鉄心の外側に装着した弾性体によって外側積層鉄心の内周面を外側ダクトの外周面に弾性的に押圧して接触させることにより、外側積層鉄心と外側ダクトとの半径方向の熱膨張差をこの弾性体で吸収できるので、外側ダクトに生じる応力を抑制し、電磁ポンプの信頼性を向上させることができる。
【0020】
この目的を達成するための、本発明の請求項2に係る電磁ポンプは、請求項1に記載された電磁ポンプにおいて、弾性体を電磁ポンプの軸方向をビーム長とする板バネにしたことを特徴とする。
【0021】
したがって、本発明によれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、板バネの長さの選択の自由度が大きくなるので、外側積層鉄心を外側ダクトに押圧する力および吸収する径方向の熱膨張差に対する設計自由度が大きくなる。
【0022】
この目的を達成するための、本発明の請求項3に係る電磁ポンプは、請求項1に記載された電磁ポンプにおいて、内側フレームと内側鉄心固定具との間に、内側ダクトと内側積層鉄心および内側フレームの半径方向の熱膨張差を吸収し、かつ、内側積層鉄心の外周面を内側ダクトの内周面に弾性的に押圧して接触させる弾性体を配設することを特徴とする。
【0023】
したがって、本発明によれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、内側積層鉄心を内側ダクトに弾性体で押圧して接触させているので、内側積層鉄心に生じる鉄損により発生する内部発熱を、内側ダクトを介して、この内側ダクトの外周面を流れる導電性流体に放熱することができる。よって、内側積層鉄心の温度上昇を許容値内に抑止できる。その結果、内側積層鉄心の磁気的性能の劣化を抑制できるので、運転効率すなわちポンプ性能を向上することができる。
【0024】
この目的を達成するための、本発明の請求項4に係る電磁ポンプは、請求項1に記載された電磁ポンプにおいて、外側積層鉄心および内側積層鉄心の軸方向最上下端のうち少なくとも下端を転がり軸受けで支承することを特徴とする。
【0025】
したがって、本発明によれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、外側積層鉄心、外側固定子コイルおよび内側積層鉄心の自重が転がり軸受けで支持されるので、上記外側積層鉄心、外側固定子コイルおよび内側積層鉄心が移動する際の摩擦力が軽減され、弾性体の押圧力による外側積層鉄心の外側ダクトへの接触、あるいは内側積層鉄心の内側ダクトへの接触がそれぞれ確実に達成出来るとともに、各積層鉄心は各ダクトの熱膨張に容易に追従することが出来る。
【0026】
この目的を達成するための、本発明の請求項5に係る電磁ポンプは、請求項1に記載された電磁ポンプにおいて、外側積層鉄心の軸方向上下端にクランプ板を配設し、クランプ板と外側フレームとの取着部に軸方向熱膨張吸収手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
したがって、本発明によれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、外側積層鉄心と外側フレームとの軸方向熱膨張差を吸収できるので、外側積層鉄心や外側フレームに生じる熱応力を低減出来る。また、この熱膨張吸収手段の弾性力により、外側積層鉄心ユニットの軸方向の締付力の低下を抑え、磁気振動を抑制出来る。
【0028】
この目的を達成するための、本発明の請求項6に係る電磁ポンプは、請求項1に記載された電磁ポンプにおいて、外側フレームを非磁性体で、かつ線膨張係数が外側積層鉄心と同等な材料で構成したことを特徴とする。
【0029】
したがって、本発明によれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、外側フレームと外側積層鉄心との軸方向の熱膨張差を小さく出来るので、各外側積層鉄心ユニットの軸方向の締付力の低下を抑え、磁気振動を抑制出来る。
【0030】
この目的を達成するための、本発明の請求項7に係る電磁ポンプは、請求項1記載の電磁ポンプにおいて、外側フレームの外周に配設され、外側積層鉄心、外側固定子コイルおよび外側フレームを外側ダクトと一体に密封内包するケーシングを備え、かつこの外側ダクトと前記ケーシングとで密封された室に、不活性ガスを充填したことを特徴とする。
【0031】
したがって、本発明によれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、ケーシング内に不活性ガスが収容されているので、外側固定子コイルの酸化による強度低下や外側固定子コイルの電気絶縁の酸化劣化を抑制出来る。
【0032】
この目的を達成するための、本発明の請求項8に係る電磁ポンプは、請求項1に記載された電磁ポンプにおいて、外側積層鉄心のスロット内面とこのスロット内に収納された外側固定子コイルとの間にマイカシート等からなる摺動部材を挟着したことを特徴とする。
【0033】
したがって、本発明によれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、外側積層鉄心と外側固定子コイルとの径方向の熱膨張差による相対移動が容易になり、かつ、外側固定子コイルの電気絶縁の損傷が防止出来る。
【0034】
この目的を達成するための、本発明の請求項9に係る電磁ポンプは、請求項3に記載された電磁ポンプにおいて、弾性体を、その変形方向に進退可能なアダプタを介して内側フレームに装着したことを特徴とする。
【0035】
したがって、本発明によれば、上記請求項3記載の発明の作用に加えて、内側ダクトを内側積層鉄心外周に挿入組立てする場合、アダプタを内側フレームの内側に退出させることにより、内側ダクトと内側積層鉄心との隙間を大きく出来るので、組立てが容易になる。なお、内側ダクトを挿入後、アダプタを進入させることにより、弾性体の押圧力や変位量を所定値にセットすることが出来る。
【0036】
この目的を達成するための、本発明の請求項10に係る電磁ポンプは、請求項1に記載された電磁ポンプにおいて、外側固定子コイルと外側ダクトの対向面の少なくとも一方側は黒化処理した部材から成ることを特徴とする。
【0037】
したがって、本発明によれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、黒化処理した面の輻射率が大きくなるので、外側固定子コイルから外側ダクトへの放熱が向上し、結果として、外側固定子コイルの温度上昇を抑制出来る。
【0038】
この目的を達成するための、本発明の請求項11に係る電磁ポンプは、請求項1に記載された電磁ポンプにおいて、外側積層鉄心の内径および内側積層鉄心の外径を、それぞれ電磁ポンプの運転時温度における外側ダクトの外径寸法および内側ダクトの内径寸法に形成したことを特徴とする。
【0039】
したがって、本発明によれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、運転時の温度において外側積層鉄心内周側端面と外側ダクト外周面との接触が密になるため、そこでの熱伝導が良くなり、外側積層鉄心の内部発熱を効率良く外側ダクトの内周側に流れる導電性流体に放熱出来る。
【0040】
この目的を達成するための、本発明の請求項12に係る電磁ポンプは、外側ダクトとその内部に内蔵される内側ダクトとで形成される二重ダクト内の環状流路に導電性流体を流し、前記外側ダクトの外周側に複数の外側積層鉄心を配設し、この外側積層鉄心の外側ダクト側の端部に形成されたスロット内に外側固定子コイルを収納するとともに、前記内側ダクトの内周側にも複数の内側積層鉄心を配設し、この内側積層鉄心の内側ダクト側の端部に形成されたスロット内に内側固定子コイルを収納した電磁ポンプにおいて、内側積層鉄心を内側固定子コイル毎に軸方向に分割して内側積層鉄心ユニットとし、この内側積層鉄心ユニットと内側固定子コイルを軸方向に交互に複数積み重ね、この複数の内側積層鉄心ユニットの内周側を鉄心固定具で固定して固定子モジュールを構成し、その内周側に固定子モジュールを支持する内側フレームを設け、前記内側積層鉄心の軸方向上下端にクランプ板を配設し、クランプ板と内側フレームとの取着部に熱膨張吸収手段を備えたことを特徴とする。
【0041】
したがって本発明によれば、多数の内側固定子コイルを有する長尺の電磁ポンプでも、複数の固定子モジュールを積み重ねることにより、製作が容易になる。
また、複数の内側積層鉄心ユニットと、複数の内側固定子コイルを軸方向に交互に積み重ねて固定子モジュールを構成したので、内側固定子コイルの電気絶縁を損傷することなく組立てが出来る。さらに、内側積層鉄心と内側フレームとの軸方向熱膨張差を、熱膨張吸収手段で吸収出来るので、内側積層鉄心や内側フレームに生じる熱応力を低減出来る。
【0042】
この目的を達成するための、本発明の請求項13に係る電磁ポンプは、請求項5または請求項12のいずれか1項に記載された電磁ポンプにおいて、熱膨張吸収手段はバネであることを特徴とする。
【0043】
この目的を達成するための、本発明の請求項14に係る電磁ポンプは、請求項5または請求項12のいずれか1項に記載された電磁ポンプにおいて、熱膨張吸収手段を、少なくともダクト側のクランプ板の端部にスリットを設けた構造であることを特徴とする。
【0044】
この目的を達成するための、本発明の請求項15に係る電磁ポンプは、内側ダクト内を不活性ガス雰囲気にしたことを特徴とする。
したがって、本発明によれば、上記請求項12記載の発明の作用に加えて、内側固定子コイルの酸化による強度低下や内側固定子コイル電気絶縁の酸化劣化を抑制出来る。
この目的を達成するための、本発明の請求項16に係る電磁ポンプは、固定子モジュールを軸方向に複数積層したことを特徴とする。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図7を用いて説明する。なお、図1乃至図7中、図8乃至図10中で示す部分と同一または対応する部分には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0046】
図1は本発明の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は図1のA−A断面図である。これらの図において、電磁ポンプ1は、外側ダクト3とその内部に内蔵される内側ダクト4とで形成される環状流路6に導電性流体を流す二重ダクト5を構成し、上記外側ダクト3の外周側に複数の外側積層鉄心7を配設し、この外側積層鉄心7の外側ダクト3側の端部に形成されたスロット9内に外側固定子コイル10を収納するとともに、上記内側ダクト4の内周側にも複数の内側積層鉄心11が配設されている。
【0047】
そして、外側積層鉄心7は外側固定子コイル10毎に軸方向に分割された外側積層鉄心ユニット16で構成されており、この外側積層鉄心ユニット16と外側固定子コイル10を軸方向に交互に複数個積み重ねる。さらに、この複数個積み重ねた外側積層鉄心ユニット16と外側固定子コイル10の外周側を鉄心固定具17で固定して固定子モジュール18とし、この固定子モジュール18を複数段軸方向に積み重ねる。この積み重ねた固定子モジュール18の上下端に、転がり軸受け19を配設し、この軸受け19を介してクランプ板20を取り付ける。
【0048】
さらに、積み重ねた固定子モジュール18の外周側には、複数段積み重ねた各固定子モジュール18を一体に支持する外側フレーム21が配設されており、前記クランプ板20が軸方向熱膨張吸収手段22を介して外側フレーム21に締結されている。また、外側フレーム21と鉄心固定具17との間には、外側ダクト3と外側積層鉄心7および外側フレーム21の半径方向の熱膨張差を吸収する弾性体23が装着されている。
【0049】
さらに、この外側フレーム21の外周側には、前記固定子モジュール18、外側フレーム21を外側ダクト3とで密封内包するケーシング14が備えられており、その内部は不活性ガス雰囲気に保たれている。
【0050】
一方、内側積層鉄心11の内周側には、内側積層鉄心11を支持する内側フレーム24が配設されており、かつ、内側フレーム24と内側積層鉄心11との間には、内側ダクト4と内側積層鉄心11および内側フレーム24の半径方向の熱膨張差を吸収する弾性体25が装着されている。また、内側積層鉄心11の下端は転がり軸受け19で支承されている。
【0051】
本実施形態において、弾性体23は電磁ポンプ1の軸方向をビーム長とする板バネが望ましいが、コイルバネ、皿バネでも良い。一方、弾性体25としては、弾性体23よりも吸収熱膨張差が小さく、かつ、軸方向の取り付けスペースを長く出来ないので、皿バネが有利である。しかし、コイルバネ、板バネまたは反発力のある弾性体に置換しても良い。また、熱膨張吸収手段22としては、軸方向熱膨張差や締付力を考慮すると、コイルバネ、皿バネが望ましいが、反発力のある弾性体ならよい。また、ケーシング14内の雰囲気ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素等の不活性ガスが使用出来るが、外側固定子コイル10に巻かれた電気絶縁10aの耐電圧の点からは窒素ガスが良い。
【0052】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、多数の外側固定子コイル10を有する長尺の電磁ポンプ1でも、複数の固定子モジュール18を積み重ねることにより、容易に製作出来る。また、複数の外側積層鉄心ユニット16と、複数の外側固定子コイル10を軸方向に交互に積み重ねて固定子モジュール18を構成出来るので、外側固定子コイル10の電気絶縁10aを損傷することなく組立てが可能である。また、外側積層鉄心7は、鉄心固定具17を介して外側フレーム21で支持されているので、地震等の横荷重に対する剛性を格段に向上させることが出来る。
【0053】
さらに、外側積層鉄心7を外側ダクト3に弾性体23で押圧して接触させているので、外側固定子コイル10に発生するジュール損失や外側積層鉄心7に生じる鉄損により発生する内部発熱を、外側ダクト3を介して、この外側ダクト3の内周側を流れる導電性流体2に放熱することが出来る。
【0054】
したがって、外側固定子コイル10外側積層鉄心7の温度上昇を許容値内に抑制出来る。その結果、外側固定子コイル10の電気絶縁10aの電気絶縁性能や外側積層鉄心7の磁気的性能の劣化を抑制出来るので、運転効率すなわちポンプ性能を向上させることが出来る。
【0055】
また、電磁ポンプ1は運転による内部発熱や導電性流体2である液体金属ナトリウムからの熱で、製作時に比べ格段に高温度になる。例えば、ナトリウム温度が約350℃の場合には、外側固定子コイル10の温度が約520℃、外側積層鉄心7の温度が約470℃に上昇する。
【0056】
したがって、この温度上昇や各部の温度差、および各部の材料の熱膨張係数の相違から、外側積層鉄心7と外側ダクト3および外側フレーム21との間に大きな半径方向の熱膨張差を生じる。しかし、この熱膨張差を弾性体23が吸収するので、外側ダクト3に生じる応力を抑制し、電磁ポンプ1の信頼性を向上させることが出来る。
【0057】
ここで、弾性体23を電磁ポンプ1の軸方向をビーム長とする板バネにすることにより、板バネの長さ選択の自由度が大きくなるので、必要な外側積層鉄心7を外側ダクト3に押圧する力および吸収する熱膨張差に対する設計自由度が大きくなる。
【0058】
また、内側積層鉄心11を内側ダクト4に弾性体25で押圧して接触させているので、内側積層鉄心11に生じる鉄損により発生する内部発熱を、内側ダクト4を介して、その内側ダクト4の外周側を流れる導電性流体2に放熱することが出来る。したがって、内側積層鉄心11の温度上昇を許容値内に抑止出来る。その結果、内側積層鉄心11の磁気的性能の劣化を抑制できるので、運転効率すなわちポンプ性能を向上させることが出来る。
【0059】
さらに、内側積層鉄心11と内側ダクト4および内側フレーム24との半径方向の熱膨張差も、弾性体25で吸収できるので、内側ダクト4に生じる応力を抑制し、電磁ポンプ1の信頼性を向上させることが出来る。
【0060】
また、外側積層鉄心7と外側固定子コイル10、あるいは内側積層鉄心11の自重は転がり軸受け19で支承されているので、この部分の摩擦力を軽減し、弾性体22、25の押圧力を有効に外側ダクト3あるいは内側ダクト4に伝達することが出来るとともに、外側積層鉄心7は外側ダクト3の内側積層鉄心11は、内側ダクト4の熱膨張に各々容易に追従出来る。
【0061】
また、クランプ板20と外側フレーム21との取着部に熱膨張吸収手段22を備えたので、外側積層鉄心7と外側フレーム21との軸方向熱膨張差を吸収でき、外側積層鉄心7や外側フレーム21に生じる熱応力を低減出来る。なお、熱膨張吸収手段22としては、コイルバネ、皿バネが望ましい。また、外側フレーム21を非磁性体でかつ線膨張係数が外側積層鉄心7と同等な材料で構成することにより、この熱膨張差を大幅に低減出来る。したがって、各外側積層鉄心ユニット16の軸方向締付力の低下を抑え、磁気振動を抑制出来る。この場合の材料としては、ニッケル系合金のアロイ600、アロイ625が使用される。
【0062】
さらに、ケーシング14の内部は窒素ガス雰囲気に保たれているので、外側固定子コイル10の酸化による強度低下や固定子コイル電気絶縁10aの酸化劣化を抑止出来る。
【0063】
図3は、本発明の第2の実施形態の要部拡大縦断面図であり、外側積層鉄心7のスロット9内に収納された外側固定子コイル10との間にマイカシート等からなる摺動部材26を挟着した。したがって、本実施形態によれば、外側積層鉄心7と外側固定子コイル10との径方向熱膨張差による相対移動が容易になり、かつ、外側固定子コイル10の電気絶縁10aの損傷を防止出来る。なお、摺動部材26はマイカシートに代えてアルミナ等のセラミックスシートでも良い。
【0064】
図4は本発明の第3の実施形態の要部拡大縦断面図であり、弾性体25の装着に特徴を有する。すなわち、内側フレーム24に螺着したアダプタ27を介在して、弾性体25を内側フレーム24と内側積層鉄心11との間に装着した。
【0065】
したがって、内側ダクト4を内側積層鉄心11外周に挿入組立てする場合、アダプタ27を内側フレーム24の内側方向に退出させることにより、内側ダクト4と内側積層鉄心11との間隙を大きく出来るので、組立てが容易になる。なお、内側ダクト4を挿入後、アダプタ27を進入させることにより、弾性体25の荷重や変位を所定値にセットすることが出来る。なお、本実施形態では、アダプタ27を内側フレーム24に螺着したが、これに代えて、アダプタ27をボルト等の進退自在に内側フレーム24に取着しても良い。
【0066】
本発明の第4の実施形態は、外側固定子コイル10と外側ダクト3との対向面の少なくとも一方側を黒化処理したものである。黒化処理としては黒色塗料の塗布、または黒色電気メッキによる。
【0067】
本実施形態によれば、黒化処理した面の輻射率が大きくなるので、外側固定子コイル10から外側ダクト3への放熱が向上し、結果として、外側固定子コイル10の温度上昇を抑制出来る。
【0068】
本発明の第5の実施形態は、外側積層鉄心7の内径および内側積層鉄心11の外径を、それぞれ電磁ポンプ1の運転時の温度における外側ダクト3の外径および内側ダクト4の内径寸法に機械加工したものである。
【0069】
したがって、本実施形態によれば、運転時に外側積層鉄心7の内周側と外側ダクト3の外周側、内側積層鉄心11と内側ダクト4との熱接触が良くなるので、内部発熱を効率良く放熱出来る。
【0070】
図5は本発明の第6の実施形態を示す縦断面図、図6は図5のB−B断面図である。前記の第1の実施形態との相違は、内側固定子コイル15を有している点であり、これらの図において、内側積層鉄心11の内側ダクト4側の端部に形成されたスロット9b内に内側固定子コイル15が収納されている。
【0071】
内側積層鉄心11は内側固定子コイル15毎に軸方向に分割された内側積層鉄心ユニット28で構成されており、この内側積層鉄心ユニット28と内側固定子コイル15を軸方向に交互に複数積み重ね、さらに、この複数の内側積層鉄心ユニット28の内周側を鉄心固定具17bで固定して固定子モジュール18bを構成し、この固定子モジュール18bを複数段軸方向に積み重ねた上下端には、転がり軸受け19を介してクランプ板20が取り付けられている。
【0072】
さらに、その内周側には、各固定子モジュール18bを支持する内側フレーム24が設けられており、前記クランプ板20が熱膨張吸収手段22を介して内側フレーム24に締結されている。
【0073】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用効果について説明する。
本発明によれば、多数の内側固定子コイル15を有する長尺の電磁ポンプ1でも、複数の固定子モジュール18bを積み重ねることにより、容易に製作出来る。また、複数の内側積層鉄心ユニット28と、複数の内側固定子コイル15を軸方向に交互に積み重ねて固定子モジュール18bを構成出来るので、内側固定子コイル15の電気絶縁15aを損傷することなく組立てが出来る。
【0074】
さらに、内側積層鉄心11と内側フレーム24との軸方向熱膨張差を、熱膨張吸収手段22で吸収出来るので、内側積層鉄心11や内側フレーム24に生じる熱応力を低減出来るとともに、熱膨張吸収手段22の弾性力によって、各内側積層鉄心ユニット28の軸方向の締付力の低下を抑え、磁気振動を抑制出来る。
【0075】
また、内側ダクト4内部を窒素ガス雰囲気に保つことにより、内側固定子コイル15の酸化による強度低下や内側固定子コイルの電気絶縁15aの酸化劣化を抑止出来る。
【0076】
図7は本発明の第7の実施形態を示す、図5のC−C矢視平面図である。すなわち、熱膨張吸収手段22のバネに代えて、クランプ板20のダクト側の端部に放射状に複数本のスリット20aを設けて、クランプ板20のバネ効果を積極的に利用したものである。本実施形態によれば、円板状のものと比較して、クランプ板20の許容応力内で大きな変位を得ることが出来る。なお、バネを併用することにより、必要なクランプ力に対して、より大きな変位を得ることが可能である。
なお、他の実施形態として、前記した各実施形態を適宜組み合わせたり、分割しても良い。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に係る本発明によれば、外側積層鉄心ユニットと外側固定子コイルを軸方向に交互に複数積み重ねて固定子モジュールを構成したので、多数の外側固定子コイルを有する長尺の電磁ポンプでも外側固定子コイルの電気絶縁を損傷することなく容易に製作出来る。
【0078】
さらに、外側積層鉄心の内周面を外側ダクトの外周面に弾性体で押圧して接触させたので、外側固定子コイルに発生するジュール損失や外側積層鉄心に生じる鉄損により発生する内部発熱を、外側ダクトを介して、この外側ダクトの内周側を流れる導電性流体に放熱することができるとともに、外側積層鉄心と外側ダクトとの半径方向の熱膨張差を、弾性体で吸収できるので、外側ダクトに生じる応力を抑制し、ポンプ性能および信頼性を向上させることが出来る。
【0079】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に記載の本発明の弾性体を電磁ポンプの軸方向をビーム長とする板バネにしたので、板バネの長さ選択の自由度が大きくなり、外側積層鉄心を外側ダクトに押圧する力および吸収する熱膨張差に対する設計自由度が大きくなる。
【0080】
請求項3に係る本発明によれば、内側積層鉄心の外周面を内側ダクトの内周面に弾性体で押圧して接触させたので、内側積層鉄心に生じる鉄損により発生する内部発熱を、内側ダクトを介して、この内側ダクトの外周側を流れる導電性流体に放熱することが出来るとともに、内側積層鉄心と内側ダクトとの半径方向の熱膨張差を、弾性体で吸収できるので、内側ダクトに生じる応力を抑制し、ポンプ性能および信頼性を向上させることが出来る。
【0081】
請求項4に係る本発明によれば、外側積層鉄心および内側積層鉄心の軸方向最上下端の内少なくとも下端を転がり軸受けで支承したので、摩擦力を軽減し、弾性体の押圧力を有効に外側ダクトあるいは内側ダクトに伝達することが出来るとともに、各積層鉄心は各ダクトの熱膨張に容易に追従出来る。
【0082】
請求項5に係る本発明によれば、外側積層鉄心の軸方向上下端にクランプ板を配設し、クランプ板とフレームとの取着部に熱膨張吸収手段を備えたので、外側積層鉄心とフレームとの軸方向熱膨張差を吸収できるので、積層鉄心やフレームに生じる熱応力を低減出来る。また、熱膨張吸収手段の弾性力によって、各外側積層鉄心ユニットの軸方向の締付力の低下を抑え、磁気振動を抑制出来る。
【0083】
請求項6に係る本発明によれば、請求項1に記載のフレームを非磁性で、かつ線膨張係数が外側積層鉄心と同等な材料で構成したので、フレームと積層鉄心との軸方向の熱膨張差を小さくできる。そのため、各積層鉄心ユニットの軸方向の締付力の低下を抑え、磁気振動を抑制出来る。
【0084】
請求項7に係る本発明によれば、外側ダクトと前記ケーシングとで密封された空間を、不活性ガス雰囲気にしたので、外側固定子コイルの酸化による強度低下や外側固定子コイル電気絶縁の酸化劣化を抑止出来る。
【0085】
請求項8に係る本発明によれば、外側積層鉄心のスロット内に収納された外側固定子コイルとの間にマイカシート等からなる摺動部材を挟着したので、外側積層鉄心と外側固定子コイルとの径方向熱膨張差による相対移動が容易になり、かつ、外側固定子コイルの電気絶縁の損傷を防止出来る。
【0086】
請求項9に係る本発明によれば、請求項3に記載された弾性体をアダプタを介して内側フレームに取着したので、内側ダクトを内側積層鉄心外周に挿入組立てする場合、内側ダクトと内側積層鉄心との隙間を大きくできるので、組立てが容易になる。
【0087】
請求項10に係る本発明によれば、外側固定子コイルと外側ダクトとの対向面の少なくとも一方側を黒化処理したので、黒化処理した面の輻射率が大きくなるため、外側固定子コイルから外側ダクトへの放熱が向上し、外側固定子コイルの温度上昇を抑制出来る。
【0088】
請求項11に係る本発明によれば、外側積層鉄心の内径および内側積層鉄心の外径を、それぞれ電磁ポンプの運転時における外側ダクトの外径および内側ダクトの内径寸法に機械加工したので、外側積層鉄心の内周側と外側ダクトの外周側、および内側積層鉄心の外周側と内側ダクトの内周側との熱接触が良くなり、内部発熱を効率良く放熱出来る。
【0089】
請求項12に係る本発明によれば、内側積層鉄心ユニットと内側固定子コイルを軸方向に交互に複数積み重ねて内側固定子モジュールを構成したので、多数の内側固定子コイルを有する長尺の電磁ポンプでも内側固定子コイルの電気絶縁を損傷することなく容易に製作出来る。さらに、内側積層鉄心の軸方向上下端にクランプ板を配設し、クランプ板と内側フレームとの取着部に熱膨張吸収手段を備えたので、内側積層鉄心と内側フレームとの軸方向熱膨張差を吸収でき、内側積層鉄心や内側フレームに生じる熱応力が低減できる。また、熱膨張吸収手段の弾性力によって各内側積層鉄心ユニットの軸方向の締付力の低下を抑え、磁気振動を抑制出来る。
【0090】
請求項13に係る本発明によれば、請求項5または請求項12のいずれか1項に記載の熱膨張吸収手段がバネであるので、適切な締付力と変位を容易に得ることが出来る。
【0091】
請求項14に係る本発明によれば、請求項5または請求項12のいずれか1項に記載の熱膨張吸収手段として、バネに代えて、クランプ板の少なくともダクト側の端部にスリットを設け、クランプ板のバネ効果を積極的に利用したもので、バネを用いなくてもクランプ板の許容応力内で大きな変位を得ることが出来る。
【0092】
請求項15に係る本発明によれば、内側ダクト内部を不活性ガス雰囲気にしたので、内側固定子コイルの酸化による強度低下や内側固定子コイル電気絶縁の酸化劣化を抑止出来る。
【0093】
請求項16に係る本発明によれば、固定子コイルおよび積層鉄心ユニットがモジュール化されて固定子モジュールとして軸方向に複数積層されているので、製作がさらに容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電磁ポンプの第1の実施形態の縦断面図。
【図2】図1のA−A線に沿って切断した横断面図。
【図3】本発明に係る電磁ポンプの第2の実施形態の要部拡大縦断面図。
【図4】本発明に係る電磁ポンプの第3の実施形態の要部拡大縦断面図。
【図5】本発明に係る電磁ポンプの第6の実施形態の要部縦断面図。
【図6】図5のB−B線に沿って切断した横断面図。
【図7】本発明に係る電磁ポンプの第7の実施形態で、図5のC−C線に沿って切断した横断面図。
【図8】従来の電磁ポンプを示す一部切欠斜視図。
【図9】図8のD−D線に沿って切断した横断面図。
【図10】電磁ポンプの他の従来例を示す横断面図。
【符号の説明】
1…電磁ポンプ
2…導電性流体
3…外側ダクト
4…内側ダクト
5…二重ダクト
6…環状流路
7…外側積層鉄
,9a,9b…スロット
10…外側固定子コイル
10a,15a…固定子コイル電気絶縁
11…内側積層鉄心
12…流体入口
13…流体出口
14…ケーシング
15…内側固定子コイル
16…外側積層鉄心ユニット
17,17a,17b…鉄心固定具
18,18a,18b…固定子モジュール
19…転がり軸受け
20…クランプ板
21…外側フレーム
22…熱膨張吸収手段
23,25…弾性体
24…内側フレーム
26…摺動部材
27…アダプタ
28…内側積層鉄心ユニット
29…外側ダクト外周面
30…内側ダクト内周面
31…外側積層鉄心内周側端面
32…内側積層鉄心外周側端面

Claims (16)

  1. 外側ダクトとその内部に内蔵される内側ダクトとで形成される二重ダクト内の環状流路に導電性流体を流し、前記外側ダクトの外周側に複数の外側積層鉄心を配設し、この外側積層鉄心の外側ダクト側の端部に形成されたスロット内に外側固定子コイルを収納するとともに、前記内側ダクトの内周側にも複数の内側積層鉄心を配設した電磁ポンプにおいて、外側積層鉄心を外側固定子コイル毎に軸方向に分割して外側積層鉄心ユニットとし、この外側積層鉄心ユニットと外側固定子コイルを軸方向に交互に複数積み重ね、この複数の外側積層鉄心ユニットの外周側を鉄心固定具で固定して固定子モジュールを構成し、その外周側に固定子モジュールを支持する外側フレームを設け、この外側フレームと鉄心固定具との間に弾性体を装着したことを特徴とする電磁ポンプ。
  2. 弾性体は、電磁ポンプの軸方向をビーム長とする板バネであることを特徴とする請求項1記載の電磁ポンプ。
  3. 内側積層鉄心の内周側に、内側積層鉄心を支持する内側フレームを配設し、かつ内側フレームと内側積層鉄心との間に弾性体を装着し、内側ダクトと内側積層鉄心および内側フレームの半径方向の熱膨張差を吸収することを特徴とする請求項1記載の電磁ポンプ。
  4. 外側積層鉄心および内側積層鉄心の軸方向最上下端の内、少なくとも下端を転がり軸受けで支承したことを特徴とする請求項1記載の電磁ポンプ。
  5. 外側積層鉄心の軸方向上下端にクランプ板を配設し、クランプ板と外側フレームとの取着部に熱膨張吸収手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電磁ポンプ。
  6. 外側フレームは非磁性体で、かつその線熱膨張係数が外側積層鉄心と同等な材料からなることを特徴とする請求項1記載の電磁ポンプ。
  7. 外側フレームの外周に配設され、外側積層鉄心、外側固定子コイルおよび外側フレームを外側ダクトとで一体に密封内包するケーシングを備え、かつこの外側ダクトと前記ケーシングとで密封された室に、不活性ガスを充填したことを特徴とする請求項1記載の電磁ポンプ。
  8. 外側積層鉄心のスロット内に収容された外側固定子コイルとこのスロット内面との間に摺動部材を挟着したことを特徴とする請求項1記載の電磁ポンプ。
  9. 弾性体を、その変形方向に進退可能なアダプタを介在して内側フレームに装着したことを特徴とする請求項3記載の電磁ポンプ。
  10. 外側固定子コイルと外側ダクトの対向面の少なくとも一方側は黒化処理した部材から成ることを特徴とする請求項1記載の電磁ポンプ。
  11. 外側積層鉄心の内径および内側積層鉄心の外形をそれぞれ電磁ポンプの運転時温度における外側ダクトの外径寸法および内側ダクトの内径寸法にそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1記載の電磁ポンプ。
  12. 外側ダクトとその内部に内蔵される内側ダクトとで形成される二重ダクト内の環状流路に導電性流体を流し、前記外側ダクトの外周側に複数の外側積層鉄心を配設し、この外側積層鉄心の外側ダクト側の端部に形成されたスロット内に外側固定子コイルを収納するとともに、前記内側ダクトの内周側にも複数の内側積層鉄心を配設し、この内側積層鉄心の内側ダクト側の端部に形成されたスロット内に内側固定子コイルを収納した電磁ポンプにおいて、内側積層鉄心を内側固定子コイル毎に軸方向に分割して内側積層鉄心ユニットとし、この内側積層鉄心ユニットと内側固定子コイルを軸方向に交互に複数積み重ね、この複数の内側積層鉄心ユニットの内周側を鉄心固定具で固定して固定子モジュールを構成し、その内周側に固定子モジュールを支持する内側フレームを設け、前記内側積層鉄心の軸方向上下端にクランプ板を配設し、クランプ板と内側フレームとの取着部に熱膨張吸収手段を備えたことを特徴とする電磁ポンプ。
  13. 熱膨張吸収手段は、バネであることを特徴とする請求項5または請求項12のいずれか1項記載の電磁ポンプ。
  14. 熱膨張吸収手段は、クランプ板の少なくともダクト側の端部に、スリットを設けた構造であることを特徴とする請求項5または請求項12のいずれか1項記載の電磁ポンプ。
  15. 内側ダクト内を、不活性ガス雰囲気にしたことを特徴とする請求項12記載の電磁ポンプ。
  16. 固定子モジュールは軸方向に複数積層して成ることを特徴とする請求項1または請求項12のいずれか1項記載の電磁ポンプ。
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