JP3738275B2 - 燃料噴射装置を備える船外機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料噴射装置を備える船外機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、船舶に船外機を搭載し、この船外機の上部に内燃機関を備え、この船外機の内燃機関には、燃料噴射弁により燃料を噴射する燃料噴射装置を備え、スロットルバルブとリードバルブの間に吸気チャンバを有するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような内燃機関には、吸入空気の計量精度を上げる等の目的で、各気筒毎にスロットルバルブを設ける場合は、スロットルバルブとリードバルブ間にスペースが大きく取れず、燃料の噴き返しが、スロットルバルブを越えて外部に出たり、吸気騒音を充分低減できず、エンジン音が大きくなる等の問題が起こる。 この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、吸入空気の計量精度を上げることが可能で、しかも燃料の噴き返し、吸気騒音及びエンジン音を低減することが可能な燃料噴射装置を備える船外機を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成されている。
請求項1記載の発明は、船舶に搭載され、上部に内燃機関を備え、この内燃機関に燃料噴射弁により燃料を噴射する燃料噴射装置を備える船外機において、前記内燃機関のクランク室に連通する吸気通路にリードバルブを配置し、前記リードバルブの上流側にスロットルバルブを有するスロットルボディを連結して配置し、前記スロットルボディに吸気サイレンサを取り付け、前記スロットルボディに前記燃料噴射弁を配置し、前記燃料噴射弁を囲むように前記吸気サイレンサ及び燃料ポンプを配置したことを特徴としている。リードバルブの上流側にスロットルボディを連結して配置することで吸入空気の計量精度を上げることができる。しかも、スロットルボディの上流側に吸気サイレンサを配置することで、吸気チャンバとして機能し燃料の噴き返し、吸気騒音及びエンジン音を低減することができる。また、燃料噴射弁が吸気サイレンサ及び燃料ポンプにより囲まれており、燃料噴射弁が水により侵されたり、異物が当たることを防止することができる。
【0005】
請求項2記載の発明は、前記スロットルボディに、シール部材を介して前記吸気サイレンサを一体に取り付けたことを特徴としている。スロットルボディと吸気サイレンサとがシール部材で気密に連結され、吸気サイレンサが吸気チャンバとして効果的に機能し燃料の噴き返し、吸気騒音及びエンジン音を低減することができる。
【0006】
請求項3記載の発明は、前記スロットルボディの吸入口と、前記吸気サイレンサの吸入口とが略同一平面内に形成され、前記吸気サイレンサ内で吸気流が反転するように構成したことを特徴としている。吸気サイレンサの吸入口から吸気されるが、吸気サイレンサ内で吸気流が反転してスロットルボディの吸入口へ向かうため、空気に水分が含まれることがあってもスロットルボディ側へ侵入することが防止される。
【0007】
請求項4記載の発明は、前記吸気サイレンサ内に、隔壁を形成して共鳴箱部を設けたことを特徴としている。吸気サイレンサ内のスペースを利用して共鳴箱部を設けて消音しており、配置スペースの確保が容易で、かつ部品点数が削減できる。
請求項5記載の発明は、前記吸気サイレンサの吸入口側に、網部材を設けることを特徴としている。吸気サイレンサ内に異物が侵入することを網部材により防止できる。
【0009】
請求項6記載の発明は、前記燃料噴射弁を、前記スロットルボディの吸気通路を挟んで前記吸気サイレンサの吸入口と反対側に配置したことを特徴としている。吸気サイレンサの吸入口が燃料噴射弁から離され位置に配置され、吸気に含まれる水分により燃料噴射弁が侵されることが防止される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の燃料噴射装置を備える船外機の実施の形態について説明する。図1は燃料噴射装置を備える船外機を搭載した船舶の側面図である。
図1において、符号1は船舶で、矢印Frは船舶1の進行方向前方を示している。なお、後記する左右とは、前記前方に向っての方向をいうものとする。船舶1は船体2を有し、この船体2の船尾には船外機3が着脱自在に取り付けられている。この船外機3は、船尾に取り付けられるブラケット4と、このブラケット4に対し枢支軸5(Fr方向に直角水平に配置される)により枢支される船外機本体6とで構成されている。船外機本体6は、その外殻を構成する伝動ケース9と、この伝動ケース9内に収容される伝動機構10とを有し、ブラケット4に対し枢支軸5により枢支されている船外機本体6を構成するスイベルブラケット6aに対し、略鉛直方向に配置される不図示の枢支軸により左右方向に揺動可能な伝動ケ−ス9が枢支されている。また、船外機本体6は燃料噴射式内燃機関である2サイクル内燃機関11を有し、この内燃機関11は伝動ケース9の上端に着脱自在に取り付けられて、下カウリング12aと、上カウリング12bで開閉自在に覆われている。上カウリング12bには、さらにカバー12cで覆われている。伝動ケース9は、水中に向って下方に延び、この伝動ケース9の下端に後方に伸びるプロペラシャフト13が支承され、このプロペラシャフト13にプロペラ14が取り付けられている。
【0011】
内燃機関11には燃料噴射装置が備えられ、燃料噴射装置の概略回路図を図2に示す。メインスイッチ20を投入すると、メインリレー21が作動してバッテリ37からヒューズ22,23を介してECU24に電源が供給されるとともに、燃料ポンプ25が作動する。また、図示しない始動モータにより内燃機関11が起動して後記するクランク軸が回転してライティングコイル26が発電し、この交流が整流器27で整流して直流が供給される。また、チャージコイル28からCDI点火回路29に電源が供給される。
【0012】
ECU24は、O2センサ30、大気圧センサ31、吸気温度センサ32及び温度センサ33からの情報からCDI点火回路29及び燃料噴射弁34を制御する。また、燃料ポンプ25にはレジスタ35が接続されている。燃料消費量が少ない(例えば、燃料噴射弁34の開弁時間が短いまたはエンジン回転数が少ない)ときに、燃料ポンプ25を冷却すべき燃料が減少するため、それに応じてレジスタ35を作動させて燃料ポンプ25のモータ回転数を低下させて、燃料ポンプ25を冷却する燃料の温度上昇を避けることができる。また、ECU24は、ライン36によりバッテリ電圧を検出している。
【0013】
次に、燃料噴射装置を備える内燃機関11について、図3乃至図7に基づいて説明する。図3は船外機の平面図、図4は船外機の断面図、図5は図3のV-V線に沿う断面図、図6は図3のVI-VI線に沿う断面図、図7はスロットルボディと吸気サイレンサとの取付部の断面図である。
内燃機関11は、V型6気筒エンジンであり、各気筒に共通のクランクケース40及びシリンダボディ41を有し、クランクケース40とシリンダボディ41の合わせ部には軸心がほぼ垂直の縦向きのクランク軸42が収容され、このクランク軸42はクランクケース40及びシリンダボディ41に対しその軸心回りに回転自在に支承されている。シリンダボディ41の突出端にはシリンダヘッド43が着脱自在に取り付けられ、さらにシリンダヘッド43には、各気筒に対応して点火プラグ44が取り付けられている。
【0014】
クランクケース40により形成される各気筒のクランク室80には、吸気通路81が連通して形成され、この吸気通路81にリードバルブ82が配置されている。クランクケース40にはスロットルボディ45が締付ボルト83で一体に取り付けられ、このスロットルボディ45には吸気通路81に連通する吸気通路45a及び吸気空気量を制御するスロットル弁45bが設けられている。このスロットルボディ45に吸気サイレンサ46を取り付けている。リードバルブ82の上流側にスロットルボディ45を連結して配置することで吸入空気の計量精度を上げることができる。しかも、スロットルボディ45の上流側に吸気サイレンサ46を配置することで、吸気サイレンサ46が吸気チャンバとして機能し燃料の噴き返し、吸気騒音及びエンジン音を低減することができる。
【0015】
内燃機関11は上カウリング12bで覆われ、この上カウリング12bの上部のシリンダヘッド43の上方位置に吸気口47が形成され、この吸気口47から外気が吸入され、内燃機関11と上カウリング12bとの間を通って吸気サイレンサ46の吸入口46bから外気が吸気される。内燃機関11には始動スタータ100及び燃料ポンプ25が備えられ、またスロットルボディ45の上部には、冷却フィン50aを有するレジスタ50が配置されている。
【0016】
スロットルボディ45と吸気サイレンサ46とは、図7に示すように吸気サイレンサ46の取付部に凹部46aを環状に形成し、一方スロットルボディ45の取付部に凸部45cを環状に形成し、凹部46aにシール部材84を介して係合し気密に連結され、吸気サイレンサ46が吸気チャンバとして効果的に機能し燃料の噴き返し、吸気騒音及びエンジン音を低減することができるように構成されている。
【0017】
スロットルボディ45の吸入口45dと、吸気サイレンサ46の吸入口46bとが略同一平面L1内に形成され、吸気サイレンサ46内で吸気流が反転するように構成している。吸気サイレンサ46の吸入口46bから吸気された空気は、図3に示すように吸気サイレンサ46内で吸気流が反転してスロットルボディ45の吸入口45dへ向かうため、空気に水分が含まれることがあってもスロットルボディ側へ侵入することが防止される。また、吸気サイレンサ46の吸入口側46bには、全面に網部材85が設けられている。この網部材85により吸気サイレンサ46内に異物が侵入することを防止することができる。
【0018】
吸気サイレンサ46内には、隔壁86,87を形成して共鳴箱部88,89を設けている。吸気サイレンサ46内のスペースを利用して共鳴箱部88,89を設けて消音しており、共鳴箱部88,89の配置スペースの確保が容易で、かつ部品点数が削減できる。
スロットルボディ45に、燃料噴射弁34をそのノズル34aが吸気通路45aを臨むように配置し、ノズル34aから燃料を所定のタイミングで噴射する。この燃料噴射弁34の周りには、吸気サイレンサ46及び燃料ポンプ25等の燃料系電装部品90が配置されている。燃料噴射弁34の頭部は、吸気サイレンサ46の凹部46eに位置している。このように燃料噴射弁34が吸気サイレンサ46及び燃料系電装部品90により囲まれており、燃料噴射弁34が水により侵されたり、異物が当たることを防止することができる。
【0019】
また、燃料噴射弁34及び燃料系電装部品90は、スロットルボディ45の吸気通路45aを挟んで吸気サイレンサ46の吸入口46bと反対側に配置している。このように、吸気サイレンサ46の吸入口46bが燃料噴射弁34及び燃料系電装部品90から離され位置に配置されているため、吸気の流れが当たることがなく、空気に含まれる水分により燃料噴射弁34及び燃料系電装部品90が侵されることが防止される。
【0020】
【発明の効果】
前記したように、請求項1記載の発明では、リードバルブの上流側にスロットルボディを連結して配置したから、吸入空気の計量精度を上げることができる。しかも、スロットルボディの上流側に吸気サイレンサを配置したから、吸気チャンバとして機能し燃料の噴き返し、吸気騒音及びエンジン音を低減することができる。また、燃料噴射弁が吸気サイレンサ及び燃料ポンプにより囲まれており、燃料噴射弁が水により侵されたり、異物が当たることを防止することができる。
【0021】
請求項2記載の発明では、スロットルボディと吸気サイレンサとがシール部材で気密に連結したから、吸気サイレンサが吸気チャンバとして効果的に機能し燃料の噴き返し、吸気騒音及びエンジン音を低減することができる。
請求項3記載の発明では、吸気サイレンサ内で吸気流が反転するように構成したから、吸気サイレンサの吸入口から吸気されるが、吸気サイレンサ内で吸気流が反転してスロットルボディの吸入口へ向かうため、空気に水分が含まれることがあってもスロットルボディ側へ侵入することを防止することができる。
【0022】
請求項4記載の発明では、吸気サイレンサ内に、隔壁を形成して共鳴箱部を設けたから、吸気サイレンサ内のスペースを利用して消音でき、配置スペースの確保が容易で、かつ部品点数が削減可能である。
請求項5記載の発明では、吸気サイレンサの吸入口側に網部材を設けたから、吸気サイレンサ内に異物が侵入することを防止できる。
【0023】
請求項6記載の発明では、吸気サイレンサの吸入口を燃料噴射弁から離され位置に配置したから、吸気に含まれる水分により燃料噴射弁が侵されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料噴射装置を備える船外機を搭載した船舶の側面図である。
【図2】燃料噴射装置の概略回路図である。
【図3】船外機の平面図である。
【図4】船外機の断面図である。
【図5】図3のV-V線に沿う断面図である。
【図6】図3のVI-VI線に沿う断面図である。
【図7】スロットルボディと吸気サイレンサとの取付部の断面図である。
【符号の説明】
1 船舶
3 船外機
11 内燃機関
25 燃料ポンプ
34 燃料噴射弁
45 スロットルボディ
45b スロットルバルブ
46 吸気サイレンサ
80 クランク室
81 吸気通路
82 リードバルブ
Claims (6)
- 船舶に搭載され、上部に内燃機関を備え、この内燃機関に燃料噴射弁により燃料を噴射する燃料噴射装置を備える船外機において、
前記内燃機関のクランク室に連通する吸気通路にリードバルブを配置し、
前記リードバルブの上流側にスロットルバルブを有するスロットルボディを連結して配置し、
前記スロットルボディに吸気サイレンサを取り付け、
前記スロットルボディに前記燃料噴射弁を配置し、
前記燃料噴射弁を囲むように前記吸気サイレンサ及び燃料ポンプを配置したことを特徴とする燃料噴射装置を備える船外機。 - 前記スロットルボディに、シール部材を介して前記吸気サイレンサを一体に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置を備える船外機。
- 前記スロットルボディの吸入口と、前記吸気サイレンサの吸入口とが略同一平面内に形成され、前記吸気サイレンサ内で吸気流が反転するように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の燃料噴射装置を備える船外機。
- 前記吸気サイレンサ内に、隔壁を形成して共鳴箱部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の燃料噴射装置を備える船外機。
- 前記吸気サイレンサの吸入口側に、網部材を設けることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の燃料噴射装置を備える船外機。
- 前記燃料噴射弁を、前記スロットルボディの吸気通路を挟んで前記吸気サイレンサの吸入口と反対側に配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の燃料噴射装置を備える船外機。
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