JP3737678B2 - 動力伝動用ベルト及びその製造方法 - Google Patents
動力伝動用ベルト及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3737678B2 JP3737678B2 JP2000190500A JP2000190500A JP3737678B2 JP 3737678 B2 JP3737678 B2 JP 3737678B2 JP 2000190500 A JP2000190500 A JP 2000190500A JP 2000190500 A JP2000190500 A JP 2000190500A JP 3737678 B2 JP3737678 B2 JP 3737678B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cog
- reinforcing cloth
- joint
- power transmission
- vulcanization
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スノーモービル、スクーターやその他一般産業用の変速駆動用などに用いられる動力伝動用ベルト及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スノーモービル、スクーターやその他一般産業用の機械分野の駆動系において、駆動プーリーと従動プーリーの間に動力伝動用ベルトを懸架し、プーリの有効径を変化させて変速させるベルト式変速装置が用いられている。ここで使用されている動力伝動用ベルトは、圧縮ゴム層と伸張ゴム層のうち少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向に沿ってコグ山とコグ谷とを交互に配したコグ部を設けて形成されているものであり、ローエッジシングルコグベルトあるいはローエッジダブルコグベルトなどのローエッジコグベルトとして知られている。
【0003】
図7はこのようなローエッジシングルコグベルトとして知られている動力伝動用ベルトAの一例を示すものであり、内周側の圧縮ゴム層1と、外周側の伸張ゴム層23と、両ゴム層間の接着ゴム層24と、接着ゴム層24に埋入された心線16から構成され、圧縮ゴム層1にベルト長手方向に沿ってコグ山2とコグ谷3を交互に配置して形成されるコグ部4が設けてある。コグ部4の表面には補強布5が積層接着してある。
【0004】
そしてこのようなコグ部4を設けて形成される動力伝動用ベルトを製造するにあたっては、まずコグ山成形用凹部とコグ谷成形用突部を表面に交互に配して設けた平板状のコグ成形型を用い、このコグ成形型の表面に補強布5と圧縮ゴム層1形成用の未加硫ゴムシートを重ねる。この未加硫ゴムシートは接着ゴム層24形成用の未加硫ゴムシートとの二層構成になっている。そしてこれを加圧することによって、未加硫ゴムシートの表面にコグ山とコグ谷とが交互に並ぶコグ部を成形すると共にコグ部のコグ山とコグ谷に沿って補強布5を張ったコグパッドを作製する。次に、コグパッドを所定の長さに切断した後、加硫用凹部と加硫用突部を交互に外周に設けた加硫用モールドを用い、コグ山を加硫用凹部にコグ谷を加硫用突部にそれぞれ嵌合させた状態で加硫用モールドの外周にコグパッドを巻き付け、コグパッドの未加硫ゴムシートの両端同士を突き合わせる。次いでこのコグパッドの外周に心線16を巻き付け、さらにその上から伸張ゴム層23形成用の未加硫ゴムシートを巻き付け、この後に加硫することによって、筒状の加硫スリーブを作製する。そしてこの加硫スリーブを加硫用モールドから脱型した後に、切断して輪切りすることによって、動力伝動用ベルトを得ることができるものである。
【0005】
このようにして製造される動力伝動用ベルトにあって、ベルト長手方向での補強布5の両端部のジョイントは、従来ではスプライステープと称されるゴム製の接着テープ25を用いておこなわれていた。すなわち、図8(a)はコグ成形型を用いて成形したコグパッド12を示すものであり、未加硫ゴムシート11の表面にコグ山2とコグ谷3とが交互に並ぶコグ部4が成形されていると共に、コグ部4のコグ山2とコグ谷3の表面に沿って補強布5が張ってある。そしてコグパッド12の一方の端部において補強布5の表面に接着テープ25をその幅の半分がはみ出すように貼り、このコグパッド12を加硫用モールドの外周に巻き付ける際に、接着テープ25のはみ出した半分をコグパッド12の他方の端部の補強布5の表面に貼る。この後に加硫を行って加硫スリーブを作製すると共に輪切り切断することによって、動力伝動用ベルトを得ることができるものであり、図8(b)にこのようにして得た動力伝動用ベルトAの一部の断面図を示す。
【0006】
動力伝動用ベルトAの圧縮ゴム層1は未加硫ゴムシート11が加硫されて形成されるものであるが、図8(b)に示すように、圧縮ゴム層1は未加硫ゴムシート11の両端を突き合わせて加硫した接合部7によって、ベルト長手方向に一体化されており、この接合部7を覆うように接着テープ25が積層接着されている。しかし、接着テープ25はゴム製で軟質であるため、未加硫ゴムシート11の両端を隙間なくまた継ぎ目がずれることなく突き合わせて加硫しないと、接着テープ25が入りこんだ状態で接合部7が形成されることになる。そしてこのように接合部7に接着テープ25が入り込んでいると、接合部7の接合強度が弱くなって、動力伝動用ベルトAを走行駆動させる際に接合部7において圧縮ゴム層1に亀裂が発生し易くなるという問題が生じる。
【0007】
そこでこのような接着テープ25を用いず、補強布5をオーバーラップさせて補強布5の端部間の接続を行なうことが試みられている。すなわち、コグパッド12を成形して作製した後、図9(a)に示すように、未加硫ゴムシート11の一方の端部を切断して補強布5の一方の端部をコグパッド12から突出させると共に、補強布5の他方の端部を切除して、コグパッド12の他方の端部の未加硫ゴムシート11を露出させる。そしてこのコグパッド12を加硫用モールドの外周に巻き付ける際に、補強布5の突出する一端部をコグパッド12の他方の端部の露出する未加硫ゴムシート11から補強布5の表面にかけて重ねる。この後に加硫を行って加硫スリーブを作製すると共に輪切り切断することによって、動力伝動用ベルトを得ることができるものであり、図9(b)にこのようにして得た動力伝動用ベルトの一部の断面図を示す。
【0008】
図9(b)に示すように、この動力伝動用ベルトAでは、補強布5はその両端部がオーバーラップした状態で積層接着されており、補強布5の接続強度を高く得ることができるものであり、しかも圧縮ゴム層1の接合部7において圧縮ゴム層1に補強布5が接着されており、接合部7に対する補強布5の補強効果を高く得ることでき、接合部7において圧縮ゴム層1に亀裂が発生することを防ぐことができるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、補強布5の両端部をオーバーラップさせて積層接着すると共に圧縮ゴム層1の接合部7を補強布5で覆うことによって、補強布5の接続強度を高く得ることができると共に圧縮ゴム層1の接合部7に亀裂が発生することを防ぐことができる。
【0010】
しかし、図9(a)のように補強布5の一方の端部をコグパッド12から突出させるように加工するには、コグパッド12を成形する際に、この突出させる部分において未加硫ゴムシート11と補強布5の間に離型フィルム等を挟んでおき、補強布5を残して未加硫ゴムシート11をカットして除去できるようにしておく必要があるなど、加工工数が多くなって生産性が劣るという問題があり、またコグパッド12の未加硫ゴムシート11を所定長より長くカットして除去する必要があるために、コグ成形型で一度に成形して得られるコグパッド12から、例えば従来は加硫モールドに巻き付ける3枚分が得られていたのに、2枚しか得られないようになり、この点でも生産性に問題を有するものであった。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、補強布の端部間の接続強度を高く得ることができ、また圧縮ゴム層の接合部に亀裂が発生することを防ぐことができ、そして生産性高く製造することができる動力伝動用ベルト及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る動力伝動用ベルトは、少なくとも圧縮ゴム層1にベルト長手方向に沿ってコグ山2とコグ谷3とを交互に配したコグ部4を設け、コグ部4の表面に補強布5を接着して積層した動力伝動用ベルトにおいて、補強布5のベルト長手方向の一方の端部と他方の端部は離間しており、補強布5のこの両端部の表面間に跨るように配置されたジョイント用補強布6が補強布5の各端部の表面及び補強布5の両端部間の圧縮ゴム層1の表面に積層接着されて成ることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項2の発明は、請求項1において、圧縮ゴム層1は両端同士が接合されており、この接合部7はコグ部4のコグ山2に位置すると共にジョイント用補強布6で被覆されていることを特徴とするものである。
【0014】
また請求項3の発明は、請求項2において、補強布5にジョイント用補強布6が積層接着されている部分が、上記の圧縮ゴム層1の接合部7に位置しないことを特徴とするものである。
【0015】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、補強布5とジョイント用補強布6が積層接着されている部分は、コグ山2とコグ谷3の間の斜面に位置することを特徴とするものである。
【0016】
本発明の請求項5に係る動力伝動用ベルトの製造方法は、表面にコグ山成形用凹部8とコグ谷成形用突部9を交互に配して設けたコグ成形型10を用い、コグ成形型10の表面に補強布5と圧縮ゴム層形成用の未加硫ゴムシート11を重ねて加圧することによって、未加硫ゴムシート11の表面にコグ山2とコグ谷3とを交互に配したコグ部4を成形すると共にコグ部4に補強布5を張ったコグパッド12を作製し、次に、加硫用凹部13と加硫用突部14を交互に外周に設けた加硫用モールド15を用い、コグ山2を加硫用凹部13にコグ谷3を加硫用突部14にそれぞれ嵌合させた状態で加硫用モールド15の外周にコグパッド12を巻き付けると共にコグパッド12の両端同士を突き合わせ、次いでコグパッド12の外周に心線16を巻き付けると共にその上から未加硫ゴムシート17を巻き付けた後、加硫することによって筒状の加硫スリーブ18を作製し、この加硫スリーブ18を輪切りに切断することによって、動力伝動用ベルトを製造するにあたって、コグパッド12の両端部のうち少なくとも一方の端部において補強布5を切除し、コグパッド12の両端部において補強布5の両端部の表面に跨るようにジョイント用補強布6を重ねて加硫用モールド15の外周にコグパッド12を巻き付け、この状態で加硫を行なうことによって、ジョイント用補強布6を補強布5の各端部の表面と補強布5の端部間の圧縮ゴム層1の表面に積層接着することを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は本発明に係る動力伝動用ベルトAの一例を示すものであって、内周側の圧縮ゴム層1と、外周側の伸張ゴム層23と、両ゴム層1,23間の接着ゴム層24を積層一体化した構造に形成してあり、接着ゴム層24にはベルト長手方向に心線16が埋入してある。そして圧縮ゴム層1と伸張ゴム層23のうち少なくとも圧縮ゴム層1に、ベルト長手方向に沿ってコグ山2とコグ谷3を交互に配置して形成されるコグ部4が設けてある。
【0019】
次に上記のような動力伝動用ベルトAの製造の一例を説明する。図2はコグパッド12の成形の工程を示すものである。コグ成形型10は平板状に形成されるものであり、その上面には溝状に形成されるコグ山成形用凹部8と畦状に形成されるコグ谷成形用突部9がそれぞれ多数本ずつ交互に配して設けてある。そして図2(a)のようにこのコグ成形型10の上に補強布5と圧縮ゴム層1形成用の未加硫ゴムシート11をこの順に重ねる。この未加硫ゴムシート11は接着ゴム層24形成用の未加硫ゴムシートとの二層構成になっている。この後、40〜100℃の所定温度に設定した条件下でプレス板を用いて加圧することによって、図2(b)に示すように、未加硫ゴムシート11の片面にコグ山成形用凹部8によってコグ山2を、コグ谷成形用突部9によってコグ谷3をそれぞれ成形することができるものであり、一定ピッチでコグ山2とコグ谷3を交互に配置して形成されるコグ部4を成形することができるものである。またこのようにコグ部4を成形する際に同時に、コグ部4のコグ山2とコグ谷3の表面に沿って補強布5を張り付けることができるものである。
【0020】
ここで、補強布5としては、綿、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等を平織、綾織、朱子織等に製織した帆布を用いることができるものであり、RFL液で処理した後、ゴム組成物をフィリクション・コーチングしたゴム付き帆布として用いるものである。RFL液はレゾルシンとホルマリンとの初期縮合物を、クロロプレン、スチレン・ブタジエン・ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、NBRなどのラテックスに混合したものである。
【0021】
また圧縮ゴム層1形成用や接着ゴム層24形成用の未加硫ゴムシート11としては、天然ゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレン、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマー等のゴムの組成物を用いることができる。圧縮ゴム層1形成用の未加硫ゴムシート11には繊維を配合して用いるのが好ましい。繊維としては、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、綿等の繊維を用いることができる。繊維長は繊維の種類によって異なるが、1〜10mmの短繊維が用いられ、例えばアラミド繊維であると3〜5mm、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、綿であると5〜10mm程度のものが用いられる。また接着ゴム層24形成用の未加硫ゴムシートには繊維を含有してもよいが、含有しないほうが好ましい。
【0022】
上記のようにしてコグパッド12を成形した後、コグパッド12を所定寸法に切断する。製造する動力伝動用ベルトの周長に合わせたコグ数になるようにコグパッド12の切断を行なうものであり、切断は図3(a)のようにコグ山2の頂部に沿って行なわれるものである。このとき、従来の図9(a)のように補強布5の一方の端部をコグパッド12から突出させるために未加硫ゴムシート11の一方の端部を切断して除去するような必要がないので、未加硫ゴムシート11と補強布5の間に離型フィルム等を挟んでおいて、補強布5を残して未加硫ゴムシート11を除去できるようにしておく必要がなく、またコグ成形型10で一度に成形して得られるコグパッド12から、例えば従来は加硫モールドに巻き付ける3枚分が得られていたのに、2枚しか得られないようになることもなくなり、生産性を高めることができるものである。
【0023】
次に図3(b)のように、コグパッド12の一方の切断端部において、補強布5を切断して除去し、コグパッド12の一方の端部の未加硫ゴムシート11を表面に露出させる。ここで、補強布5の切断の幅は、コグ山2の頂部からコグ山2とコグ谷3の中間部までの範囲に設定されるものである。この後、図3(c)に示すように、コグパッド12の他方の端部において、補強布5の上にジョイント用補強布6を重ねる。ジョイント用補強布6は補強布5と同じものを用いるものであり、ジョイント用補強布6の幅の半分がコグパッド12の切断端部から突出するように、コグ山2の頂部からコグ山2とコグ谷3の中間部までの範囲で補強布5の上にジョイント用補強布6を重ねるようにしてある。
【0024】
図4は加硫の工程を示すものであり、加硫用凹部13と加硫用突部14を交互に多数本ずつ外周に設けた円筒状の加硫用モールド15を用いる。そしてまず、コグ山2を加硫用凹部13にコグ谷3を加硫用突部14にそれぞれ嵌合させた状態で、加硫用モールド15の外周にコグパッド12を巻き付ける。このとき、図4(a)に示すように、コグパッド12の一方の端部から突出させたジョイント用補強布6をコグパッド12の他方の端部の露出する未加硫ゴムシート11表面及び補強布5の表面に重ねるものである。またコグパッド12の未加硫ゴムシート11の両端面は加硫用凹部13内において突き合わされている。
【0025】
このように加硫用モールド15の外周にコグパッド12を巻き付けた後、図4(b)のようにコグパッド12の外周に心線16をスパイラル状に巻き付け、さらにその上から伸張ゴム層23形成用の未加硫ゴムシート17を巻き付ける。この心線16としてはポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等のコードをRFL液で処理したものを用いることができる。また伸張ゴム層23形成用の未加硫ゴムシート17としては、上記の圧縮ゴム層1成形用の未加硫ゴムシート11と同様な組成のものを用いることができる。ここで上記の実施の形態では、コグパッド12の未加硫ゴムシート11として圧縮ゴム層1形成用の未加硫ゴムシートと接着ゴム層24形成用の未加硫ゴムシートとの二層構成のものを用いたが、コグパッド12の未加硫ゴムシート11として圧縮ゴム層1形成用の未加硫ゴムシートのみの一層構成のものを用いる場合には、加硫用モールド15の外周にコグパッド12を巻き付けた後、この上に接着ゴム層24形成用の未加硫ゴムシートを巻き付け、そしてこの外周に心線16をスパイラル状に巻き付け、さらにその上から伸張ゴム層23形成用の未加硫ゴムシート17を巻き付けるようにするものである。
【0026】
この後に、この加硫用モールド15を加硫缶に入れて、未加硫ゴムシート11、17の加硫を行なう。このように加硫をすることによって、加硫モールド15の外周に加硫スリーブ18が成形されるものであり、そしてこの加硫スリーブ18を加硫用モールド15から脱型した後に、輪切りする方向で加硫スリーブ18を切断すると共に断面V型にトリミングすることによって、図1や図7に示すような動力伝動用ベルトAを得ることができるものである。
【0027】
この動力伝動用ベルトAにあって、補強布5のベルト長手方向の両端部は離れているが、この両端部の表面にジョイント用補強布6の両端部がオーバーラップした状態で積層接着されており、ジョイント用補強布6を介して補強布5を高い接続強度で接続することができるものである。また圧縮ゴム層1は未加硫ゴムシート11の両端を突き合わせて加硫した接合部7によって、ベルト長手方向に一体となっているが、接合部7はコグ部4のコグ山2に形成されるようにしてあるので、コグ谷3に形成する場合よりも、接合面積を大きくすることができて接合強度を高く得ることができるものである。ここで、接合部7の接合面は心線16に対して60〜90°(より好ましくは65〜90°)の角度で傾斜するバイアス面として形成しておくのが好ましい。このように接合部7の接合面をバイアスに形成しておくと、加硫成形の際に接着ゴム層24形成用のゴムがこの接合部7に流れ込むことが少なくなり、接合部7の亀裂が発生し易い個所が低減するものである。
【0028】
そしてこの接合部7はジョイント用補強布6で被覆されており、しかも補強布5の端部間に露出する圧縮ゴム層1にジョイント用補強布6が直に積層接着された状態で接合部7は被覆されており、接合部7に対するジョイント用補強布6による補強効果を高く得ることできる。従って、動力伝動用ベルトAを変速駆動用として使用する際に、接合部7の個所で圧縮ゴム層1に亀裂が発生することを防ぐことができ、ベルト寿命を長く維持することができるものである。
【0029】
また、図1にみられるように、圧縮ゴム層1の接合部7はコグ山2の頂部の個所にあるが、補強布5にジョイント用補強布6が積層接着されている部分は、コグ山2とコグ谷3の間の中間部の斜面であり、圧縮ゴム層1の接合部7の部分に位置していない。圧縮ゴム層1の接合部7や、補強布5とジョイント用補強布6の接着接続部はいずれも強度が弱く、亀裂が発生し易い部分であるが、この両者が重なっていると、一方の部分に亀裂が入ると他方の部分にもすぐに亀裂が生じてベルト破断となるおそれがあるが、このように圧縮ゴム層1の接合部7と、補強布5とジョイント用補強布6の接続部の位置をずらすことによって、どちらかの部分に亀裂が生じても、他方には亀裂が及ばず、ベルト切断が発生し難い構造となるものである。
【0030】
また、ジョイント用補強布6と補強布5の接着接続部がコグ部4のコグ谷3の底部に存在すると、動力伝動用ベルトAを走行させる際にコグ谷3の屈曲性が悪くなると共に、コグ谷3の屈曲の際にジョイント用補強布6と補強布5の接着接続部に屈曲応力が作用して、ジョイント用補強布6と補強布5の接着接続部に亀裂などが入って破損し易くなるが、上記のようにジョイント用補強布6が補強布5と積層接着される部分がコグ山2とコグ谷3の間の中間部の斜面に位置するようにしてあるので、このような問題はなくなるものである。
【0031】
図5は本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、このものではコグパッド12の端部の補強布5を切断除去するにあたって、図5(a)のように、コグパッド12の両方の端部の補強布5を切断除去し、コグパッド12の両端部において未加硫ゴムシート11を表面に露出させるようにしてある。そして図5(b)に示すように、コグパッド12の一方の端部において、補強布5及び露出された未加硫ゴムシート11の上にジョイント用補強布6を重ね、ジョイント用補強布6の幅の半分がコグパッド12の端部から突出させるようにしてある。後は、上記と同様にして加硫、切断を行なうことによって、図6に示すような動力伝動用ベルトAを製造することができるものである。
【0032】
この動力伝動用ベルトAにあっても、補強布5のベルト長手方向の両端部にジョイント用補強布6の両端部がオーバーラップした状態で積層接着されており、ジョイント用補強布6を介して補強布5を高い接続強度で接続することができるものである。また圧縮ゴム層1の接合部7はコグ山2の頂部に位置するが、ジョイント用補強布6はこのコグ山2の頂部の両側において圧縮ゴム層1に直に積層接着した状態で、接合部7を被覆しており、接合部7に対するジョイント用補強布6による補強効果を一層高く得ることできるものである。
【0033】
次に、動力伝動用ベルトAの耐久性の確認試験について説明する。図1のように作製した動力伝動用ベルトA(実施例1)、図8(b)のように作製した動力伝動用ベルトA(比較例1)、図9(b)のように作製した動力伝動用ベルトA(比較例2)をそれぞれ用い、図10に示すように、直径120mmの駆動プーリ27と直径120mmの従動プーリ28の間に懸架すると共に、背面に直径85mmのアイドルプーリ29を当接させてベルト曲げ角度が120°になるように維持し、従動プーリ28に980N(100kgf)の負荷を与えながら駆動プーリ27を3600rpmで回転させた。
【0034】
その結果、比較例1のものでは、120時間で接合部7の部分に割れが発生した。また比較例2のものでは、297時間でコグ谷3に亀裂が発生、実施例1のものでは301時間で亀裂が発生したが、いずれも接合部7の部分に割れは発生しなかった。
【0035】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る動力伝動用ベルトは、少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向に沿ってコグ山とコグ谷とを交互に配したコグ部を設け、コグ部の表面に補強布を接着して積層した動力伝動用ベルトにおいて、補強布のベルト長手方向の一方の端部と他方の端部を離間させ、補強布のこの両端部の表面間に跨るように配置されたジョイント用補強布を補強布の各端部の表面及び補強布の両端部間の圧縮ゴム層の表面に積層接着させるようにしたので、補強布の両端部にジョイント用補強布が積層接着されていると共に、ジョイント用補強布は補強布の端部間に露出する圧縮ゴム層にも直に接着されており、ジョイント用補強布を介して補強布を高い接続強度で接続することができるものである。
【0036】
また請求項2の発明は、圧縮ゴム層は両端同士が接合されており、この接合部はコグ部のコグ山に位置すると共にジョイント用補強布で被覆されているので、コグ山の個所において大きな面積で接合部を形成することができ、接合強度を高く得ることができると共に、接合部をジョイント用補強布で補強することができるものであり、接合部の個所に亀裂が発生することを防止してベルト寿命を長く維持することができるものである。
【0037】
また請求項3の発明は、補強布にジョイント用補強布が積層接着されている部分が、上記の圧縮ゴム層の接合部に位置しないので、圧縮ゴム層の接合部や、補強布とジョイント用補強布の接続部はいずれも強度が弱い部分であるが、両部の位置がずれていることによって、どちらかの部分に亀裂が生じても、他方には亀裂が及ばないようにすることができ、ベルト寿命を長く維持することができるものである。
【0038】
また請求項4の発明は、補強布とジョイント用補強布が積層接着されている部分が、コグ山とコグ谷の間の斜面に位置するので、補強布とジョイント用補強布の接続部にベルト走行時に屈曲応力が加わることを低減することができ、この接続部に亀裂が生じることを防いでベルト寿命を長く維持することができるものである。
【0039】
また本発明の請求項5に係る動力伝動用ベルトの製造方法は、表面にコグ山成形用凹部とコグ谷成形用突部を交互に配して設けたコグ成形型を用い、コグ成形型の表面に補強布と圧縮ゴム層形成用の未加硫ゴムシートを重ねて加圧することによって、未加硫ゴムシートの表面にコグ山とコグ谷とを交互に配したコグ部を成形すると共にコグ部に補強布を張ったコグパッドを作製し、次に、加硫用凹部と加硫用突部を交互に外周に設けた加硫用モールドを用い、コグ山を加硫用凹部にコグ谷を加硫用突部に嵌合させた状態で加硫用モールドの外周にコグパッドを巻き付けると共にコグパッドの両端同士を突き合わせ、次いでコグパッドの外周に心線を巻き付けると共にその上から未加硫ゴムシートを巻き付けた後、加硫することによって筒状の加硫スリーブを作製し、この加硫スリーブを輪切りに切断することによって、動力伝動用ベルトを製造するにあたって、コグパッドの両端部のうち少なくとも一方の端部において補強布を切除し、コグパッドの両端部において補強布の両端部の表面に跨るようにジョイント用補強布を重ねて加硫用モールドの外周にコグパッドを巻き付け、この状態で加硫を行なうことによって、ジョイント用補強布を補強布の各端部の表面と補強布の端部間の圧縮ゴム層の表面に積層接着するようにしたので、コグパッドの端部の補強布を切除してジョイント用補強布を重ねた状態で加硫を行なうことによって、ジョイント用補強布を介して補強布の端部間の接続を行なうことができるものであり、コグパッドの未加硫ゴムシートを切断除去して補強布の一方の端部をコグパッドから突出させるような加工を行なう必要がなくなって、生産性高く動力伝動用ベルトを製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例における動力伝動用ベルトを示す断面図である。
【図2】同上の製造の一工程を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図3】同上の製造の一工程を示すものであり、(a),(b),(c)はそれぞれ断面図である。
【図4】同上の製造の一工程を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図5】本発明の実施の形態の他の一例における一工程を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図6】同上の動力伝動用ベルトを示す断面図である。
【図7】動力伝動用ベルトを示す一部の斜視図である。
【図8】従来例を示すものであり、(a)は製造の一工程の断面図、(b)は動力伝動用ベルトの一部の断面図である。
【図9】他の従来例を示すものであり、(a)は製造の一工程の断面図、(b)は動力伝動用ベルトの一部の断面図である。
【図10】縦型逆曲げ耐久試験の装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 圧縮ゴム層
2 コグ山
3 コグ谷
4 コグ部
5 補強布
6 ジョイント用補強布
7 接合部
8 コグ山成形用凹部
9 コグ谷成形用突部
10 コグ成形型
11 未加硫ゴムシート
12 コグパッド
13 加硫用凹部
14 加硫用突部
15 加硫用モールド
16 心線
17 未加硫ゴムシート
18 加硫スリーブ
Claims (5)
- 少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向に沿ってコグ山とコグ谷とを交互に配したコグ部を設け、コグ部の表面に補強布を接着して積層した動力伝動用ベルトにおいて、補強布のベルト長手方向の一方の端部と他方の端部は離間しており、補強布のこの両端部の表面間に跨るように配置されたジョイント用補強布が補強布の各端部の表面及び補強布の両端部間の圧縮ゴム層の表面に積層接着されて成ることを特徴とする動力伝動用ベルト。
- 圧縮ゴム層は両端同士が接合されており、この接合部はコグ部のコグ山に位置すると共にジョイント用補強布で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝動用ベルト。
- 補強布にジョイント用補強布が積層接着されている部分が、上記の圧縮ゴム層の接合部に位置しないことを特徴とする請求項2に記載の動力伝動用ベルト。
- 補強布とジョイント用補強布が積層接着されている部分が、コグ山とコグ谷の間の斜面に位置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の動力伝動用ベルト。
- 表面にコグ山成形用凹部とコグ谷成形用突部を交互に配して設けたコグ成形型を用い、コグ成形型の表面に補強布と圧縮ゴム層形成用の未加硫ゴムシートを重ねて加圧することによって、未加硫ゴムシートの表面にコグ山とコグ谷とを交互に配したコグ部を成形すると共にコグ部に補強布を張ったコグパッドを作製し、次に、加硫用凹部と加硫用突部を交互に外周に設けた加硫用モールドを用い、コグ山を加硫用凹部にコグ谷を加硫用突部にそれぞれ嵌合させた状態で加硫用モールドの外周にコグパッドを巻き付けると共にコグパッドの両端同士を突き合わせ、次いでコグパッドの外周に心線を巻き付けると共にその上から未加硫ゴムシートを巻き付けた後、加硫することによって筒状の加硫スリーブを作製し、この加硫スリーブを輪切りに切断することによって、動力伝動用ベルトを製造するにあたって、コグパッドの両端部のうち少なくとも一方の端部において補強布を切除し、コグパッドの両端部において補強布の両端部の表面に跨るようにジョイント用補強布を重ねて加硫用モールドの外周にコグパッドを巻き付け、この状態で加硫を行なうことによって、ジョイント用補強布を補強布の各端部の表面と補強布の端部間の圧縮ゴム層の表面に積層接着することを特徴とする動力伝動用ベルトの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000190500A JP3737678B2 (ja) | 2000-06-26 | 2000-06-26 | 動力伝動用ベルト及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000190500A JP3737678B2 (ja) | 2000-06-26 | 2000-06-26 | 動力伝動用ベルト及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002005242A JP2002005242A (ja) | 2002-01-09 |
JP3737678B2 true JP3737678B2 (ja) | 2006-01-18 |
Family
ID=18689957
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000190500A Expired - Fee Related JP3737678B2 (ja) | 2000-06-26 | 2000-06-26 | 動力伝動用ベルト及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3737678B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6532416B2 (ja) * | 2015-02-27 | 2019-06-19 | 三ツ星ベルト株式会社 | 伝動ベルト、伝動ベルトの製造方法、補強布、及び補強布の製造方法 |
-
2000
- 2000-06-26 JP JP2000190500A patent/JP3737678B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002005242A (ja) | 2002-01-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4813098B2 (ja) | 動力伝動用ベルトの製造方法及びバイアスカット装置 | |
EP0239334B1 (en) | Fabric-covered cogged belt | |
US5961760A (en) | Method of producing power transmission belt | |
JPH04151048A (ja) | Vリブドベルトおよび同ベルトの製造方法 | |
EP1150034B1 (en) | Power transmission belt and a method of forming a power transmission belt | |
US6962639B2 (en) | Power transmission belt and a method of forming a power transmission belt | |
JP3745963B2 (ja) | 動力伝動用ベルトとその製造方法 | |
US5843258A (en) | Method of joining the ends of a fabric layer on a belt/belt sleeve and transferring an identifying mark thereon | |
JP3737678B2 (ja) | 動力伝動用ベルト及びその製造方法 | |
US8012282B2 (en) | Method for fabricating drive belt | |
WO1996022479A1 (fr) | Courroie de transmission et son procede de fabrication | |
JP4152014B2 (ja) | 伝動ベルト及びその製造方法 | |
TW201925642A (zh) | 帶狀皮帶、無端皮帶及其製造方法 | |
JP6352724B2 (ja) | 無端状平ベルトおよびその製造方法 | |
JP4094976B2 (ja) | 伝動用ベルトの製造方法 | |
JP3833901B2 (ja) | 動力伝動用ベルトの製造方法 | |
JP4589136B2 (ja) | 伝動用ベルトの製造方法 | |
JP4566320B2 (ja) | 動力伝動用ベルトの製造方法 | |
JPH0522093B2 (ja) | ||
JP2011126235A (ja) | ベルト端部接合方法、無端ベルト製造方法、および無端平ベルト | |
JP2005351317A (ja) | 伝動用ベルト | |
JP2002089631A (ja) | 動力伝動用ベルト | |
JPS59208245A (ja) | 多リブベルトおよびその製造方法 | |
JP4094978B2 (ja) | 伝動用ベルトの製造方法 | |
JP2006132784A (ja) | 動力伝動用ベルト |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051007 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20051025 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20051027 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081104 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091104 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101104 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101104 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111104 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111104 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121104 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121104 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131104 Year of fee payment: 8 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |