JP3737626B2 - 吹き付け施工用ノズル - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不定形耐火物等の吹き付けに用いられる吹き付け施工用ノズルに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
不定形耐火物等の吹き付け施工用ノズルとしては、図２に示す形状のノズルが一般的であった。このノズルは、円筒状の基部１の先に中間径を大きくした混合部２を設けたものであり、基部１の外周には硬化液供給孔３が複数個形成されている。吹き付け材は中心部にポンプまたは加圧空気により圧送され、硬化液供給孔３から供給される硬化液及び吹き付け用の加圧空気と混合されたうえ、ノズル先端から壁面等に吹き付けられる。
【０００３】
この図２に示す形式のノズルは、基部１の先に中間径を大きくした混合部２を設けることにより、吹き付け材と硬化液との混合が均一に行なえるようにしたものである。ところがこのノズルでは、流路の断面積がいったん拡大した後に縮小することとなるため、吹き付け用の加圧空気が膨張収縮することにより大きい抵抗を受ける。その結果、施工壁面に到達する施工圧力を十分に高めることが難しく、リバウンドロス（吹き付けられた材料が壁面に付着せずに落下するロス）が大きくなったり、施工された不定形耐火物の物性や強度が低下するなどの問題があった。
【０００４】
また図３に示したように、基部１の先に基部内径と同径の延長部１ａと、この延長部１ａとほぼ同じ長さの短いテーパ部４とを備えた形式のノズルも一部で用いられている。このノズルはテーパ部４の先端部の内径が３０ｍｍ、延長部１ａの内径が５０ｍｍであって、テーパ部４の長さが５０ｍｍ程度のものである。しかしこのノズルでは吹き付け材と硬化液との混合が均一に行ないにくいうえ、テーパ部４が急激に絞られているために材料圧送にかかる負荷が大きくなり、やはり施工圧力を十分に高めることができないという問題があった。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決して、吹き付け材と硬化液との混合が均一に行なえ、しかもノズル内部における流動抵抗を小さくして高い施工圧力を得ることができるようにした吹き付け施工用ノズルを提供するためになされたものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の吹き付け施工用ノズルは、中心部に圧送される吹き付け材に対して硬化液及び吹き付け用の加圧空気を供給する複数の硬化液供給孔が外周に形成された円筒状の基部と、この基部の出口からノズル先端に至るまで一様なテーパを有するテーパ部とからなり、これらの基部及びテーパ部はともに硬化液との反応が少ないゴムまたは硬質プラスチックよりなり、テーパ部の全長が１００〜２０００ｍｍであり、かつテーパ部の先端部の内径ｄと基部出口の内径Ｄとの比ｄ／Ｄを０．４〜０．８としたことを特徴とするものである。
【０００７】
このノズルは、基部の出口に繋がる細長いテーパ部において吹き付け材と硬化液との混合を均一に行なうことができ、しかも一様な細長いテーパ部は流路断面積の変化が緩やかであるためにノズル内部における流動抵抗が小さく、施工圧力を十分に高めることができる。
以下に本発明の好ましい実施の形態を示す。
【０００８】
【発明の実施の形態】
図１は本発明の吹き付け施工用ノズルの断面図である。本発明の吹き付け施工用ノズルの材質は、硬化液との反応を起こすおそれの少ないゴム又は硬質プラスチックよりなるものとする。１は円筒状の基部であり、その外周には硬化液供給孔３が複数個形成されている。吹き付け材は基部１の中心部にポンプまたは加圧空気により圧送され、従来のものと同様に、硬化液供給孔３から供給される硬化液及び吹き付け用の加圧空気と混合される。
【０００９】
本発明の吹き付け施工用ノズルでは、基部１の先端に基部出口からノズル先端まで一様なテーパを有する細長いテーパ部５が繋がっている。このテーパ部５は、先端部の内径ｄと基部の内径Ｄとの比ｄ／Ｄを、０．４〜０．８としたものであり、またテーパ部５の全長を１００〜２０００ｍｍとしたものである。ここでｄ／Ｄが０．４未満であると流路断面積の変化が大きくなるため、ノズル内部における流動抵抗が大きくなって従来と同様の欠点を招く。逆にｄ／Ｄが０．８を越えると、吹き付け材と硬化液との混合を均一に行なうことができないとの欠点を招く。
【００１０】
一方、テーパ部５の全長が１００ｍｍ未満であると急激な流路断面積の変化のためにノズル内部における流動抵抗が大きくなるとともに、吹き付け材と硬化液との混合を均一に行なうことができない。逆にテーパ部５の全長が２０００ｍｍを越えると、ノズル内部において吹き付け材と硬化液との反応により硬化が始まり流動抵抗が大きくなるとともに、ノズルが長すぎて作業性が悪くなる。
【００１１】
上記のように、本発明の吹き付け施工用ノズルは、基部１の先端に細長いテーパ部５を設け、テーパ部５の先端部の内径ｄと基部出口の内径Ｄとの比ｄ／Ｄ、及びテーパ部５の全長を適正な範囲内に設定したことにより、吹き付け材と硬化液との混合を均一に行なうことができると同時に、ノズル内部における流動抵抗を抑制し、施工圧力を十分に高めることができるようにしたものである。このため、次の実施例に示すようにリバウンドロスが少なく、また施工された不定形耐火物の物性や強度に優れる利点がある。
【００１２】
【実施例】
図１〜図３に示した３種類のノズルを用いて、アルミナ５６％、シルカ３９％の不定形耐火物の吹き付けテストを行なった。また図１のノズルに付いては、ｄ／Ｄの値とテーパ部の全長を変えた数種類のものを用意し、吹き付けテストを行なった。その結果を表１に示す。なお、曲げ強度は付着物の２４時間加熱後の強度を示した。この表のデータから明らかなように、本発明のノズルは高い付着率を得ることができ、また吹き付けられた不定形耐火物も優れた物性を示す。
【００１３】
【表１】

【００１４】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の吹き付け施工用ノズルは、吹き付け材と硬化液との混合が均一に行なえ、しかもノズル内部における流動抵抗を小さくして高い施工圧力を得ることができる。従って本発明の吹き付け施工用ノズルを用いればリバウンドロスが小さく、また吹き付けられた不定形耐火物は優れた物性を示す利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の吹き付け施工用ノズルの断面図である。
【図２】従来の吹き付け施工用ノズルの断面図である。
【図３】従来の他の吹き付け施工用ノズルの断面図である。
【符号の説明】
１ 基部、２ 混合部、３ 硬化液供給孔、４ テーパ部、５ テーパ部

Claims (1)

1. 中心部に圧送される吹き付け材に対して硬化液及び吹き付け用の加圧空気を供給する複数の硬化液供給孔が外周に形成された円筒状の基部と、この基部の出口からノズル先端に至るまで一様なテーパを有するテーパ部とからなり、これらの基部及びテーパ部はともに硬化液との反応が少ないゴムまたは硬質プラスチックよりなり、テーパ部の全長が１００〜２０００ｍｍであり、かつテーパ部の先端部の内径ｄと基部出口の内径Ｄとの比ｄ／Ｄを０．４〜０．８としたことを特徴とする吹き付け施工用ノズル。

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