JP3737539B2 - ポリアゾ金属錯塩染料、その製造法およびその染色方法 - Google Patents

ポリアゾ金属錯塩染料、その製造法およびその染色方法 Download PDF

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Description

【0001】
下記に規定の特定のポリアゾ金属錯塩は染料として、特にアニオン染料で染色可能な基材、特にレザーおよびペルトを染色するのに驚くほど良好な特性を有することが分かった。
【0002】
本発明は特定の金属錯塩染料、その製造法およびその使用に関する。
【0003】
本発明は、このように、錯塩要素の少なくとも1 つが式
【化7】
Figure 0003737539
(式中、A1-(CO) p OHは式H2N-A-(CO)p -OH のジアゾ成分またはその変性された誘導体の基であり、
ここで、置換基-(CO) p -OH はジアゾ化可能なアミノ基-NH2に対してオルト位であり、-A- はオルトの2 価の基であり、そしてp は0 または1 であり、
-X- は芳香族の2 価の基であり、
-B1 はカップリング成分HBまたはその変性された誘導体の基であり、
m は0 または1 であり、
n は0 、1 または2 であり、
そしてM は水素またはカチオンであり、
但し、m+n=1 または2 である。)
のポリアゾ化合物である1:2 金属錯塩染料またはかかる錯塩の混合物を提供する。
【0004】
好ましくは、X は、更に置換されることができる1 個以上の、好ましくは1 または2 個の芳香環を含むことができる芳香族炭素環式基である。
【0005】
有利には、X は更に置換( 例えば、C1-4- アルキル、C1-4アルコキシ、および/ または塩素で) されることができるフェニレン基、またはナフチレン基であり、それは好ましくは更に置換されていない。もしX がナフチレンであるならば、-SO2- 基は好ましくはその1-位にあり、そしてアゾ基は好ましくは3 または4 位にある。もしX がフェニレン基であるならば、基-N=N-B1 は-SO2- 基のメタ- またはパラ位にあり、そして、もし更なる置換基がこのフェニレン基に結合しているならば、それは好ましくは-SO2- に対してメタまたはパラ位のどちらか空いている位置にある。
【0006】
式(I) の好ましい化合物は、次式
【化8】
Figure 0003737539
(式中、R は水素またはメチルである。)
および
【化9】
Figure 0003737539
またはその混合物に対応する。
【0007】
式(I")の-SO2- に対してオルト位にあるH はこの位置が置換されていないことを示す。
【0008】
式(I')および式(II") のうち、式(I')の化合物は好ましい。
【0009】
符号R は好ましくは水素である。
【0010】
-SO2- 結合したアリール基X(好ましくはフェニルまたはナフチル)に結合したアゾ基は、有利には-SO2- 基に対してメタまたはパラのうちの片方の位にある。
【0011】
本発明の化合物は既知の方法と類似の合成方法、即ち、ジアゾ化、カップリング化および金属化反応並びに所望により必要とされる他の改良反応により製造されることができる。
【0012】
式(I) の化合物またはその混合物の製造方法は、式H2N-A-(CO) p -OHのジアゾ化可能なアミンのジアゾ化合物またはその混合物が式
【化10】
Figure 0003737539
の成分にカップリングされ、または式(II)の成分の混合物にカップリングされ、そして、式
【化11】
Figure 0003737539
の得られた化合物またはその混合物はジアゾ化され、そしてカップリング成分H-B またはその混合物にカップリングされ、そして必要に応じてA および/ またはB はA1および/ またはB1にそれぞれ転化されることを特に特徴とする。
【0013】
式(II)の化合物は、例えば、式
【化12】
Figure 0003737539
のそれぞれのアミノ-1- ナフトールモノ- またはジスルホン酸を式
Hal-SO2 -X-L (IIb)
(式中、Hal はハロゲン( 好ましくは臭素または特に塩素) であり、
L は-NO2または-NH-Ac1 であり、ここで、Ac1 は鹸化可能な保護脂肪族アシル基であり、好ましくは脂肪族カルボン酸のアシル基であり、より好ましくはC1-3- アルキル-CO-であり、最も好ましくはアセチルである。) の酸ハロゲン化物でアシル化させ、次いで、-NH-Ac1 の-NH2への選択的な加水分解または-NO2の-NH2への還元によるL の-NH2への転化をそれぞれ行うことにより、本質的に既知の方法により合成されることができる。
【0014】
行われる反応は、本質的に通常の方法により行われることができる。アシル化は脱ハロゲン化水素条件で、有利には適切な塩基、例えば、アルカリ金属水酸化物および/ または炭酸塩の存在下で、好ましくは3 〜8 の範囲のpH、特に4 〜6 のpHで、穏やかな温度条件、例えば、0 〜70℃、好ましくは20〜60℃で適切に行われる。-NH-Ac1 から-NH2への選択的な加水分解は、有利には、塩基条件で( 好ましくは11〜14の範囲のpH、NaOH、KOH および/ またはNaCO3 で) 、制御された加熱、好ましくは60〜90℃の範囲の温度で行われる。-NO2から-NH2への還元は、好ましくは、穏やかな条件、例えば、Bechamp のニトロアリール還元法と類似的に、スルフィド、または、鉄若しくは鉄(II)の塩、および希釈された酸で、適切には穏やかな温度条件で、例えば、10〜50℃の範囲で行われることができる。
【0015】
式(IIa) のアミノ-1- ナフトールスルホン酸として、既知の化合物、主に5-アミノ-1- ナフトール-3- スルホン酸(M- 酸) 、6-アミノ-1- ナフトール-3- スルホン酸(I- 酸またはJ-酸) 、7-アミノ-1- ナフトール-3- スルホン酸( γ- 酸) 、8-アミノ-1- ナフトール-5- スルホン酸(S- 酸またはChicago-酸) 、8-アミノ-1- ナフトール-3,6- ジスルホン酸(H- 酸) 、8-アミノ-1- ナフトール-3,5- ジスルホン酸(K- 酸) 、7-アミノ-1- ナフトール-3,6- ジスルホン酸(Columbia-酸) 、6-アミノ-1- ナフトール-3,5- ジスルホン酸( スルホ-I- 酸) および8-アミノ-1- ナフトール-5,7- ジスルホン酸(SS-酸またはChicago-SS- 酸) が使用されることができ、その中でJ-酸およびγ- 酸が好ましい。
【0016】
別には、式(III) の化合物は、最初に、式HO-(CO) p -A-NH2のアミンのジアゾ化合物またはその混合物を式(IIa) のカップリング成分またはその混合物にカップリングさせることにより製造されることもできて、式
【化13】
Figure 0003737539
の化合物またはその混合物を提供し、それはその後、式(IIb) の化合物によりアシル化される。
【0017】
符号A1はアゾ染料の製造に適切ないずれかのジアゾ成分のオルト2 価基またはその変性された誘導体である。特に、HO-(CO) p -A1-は、更なるアゾ基、例えば、式HO-(CO) p -A'-NH2 のアミンのジアゾ化から誘導された基HO-(CO) p -A'-、または、特に式HO-(CO) p -A"(NH2)Y o ( もしA'= がY o -A"=ならば) のアミンのジアゾ化から誘導されることができる式HO-(CO) p -A"(N=N-B1)-基を必要に応じて含むことができるジアゾ成分であることができ、ここで、Y は-NO2または-NH-Acであり、Acは保護脂肪族アシル基であり、式(II)の成分またはその混合物とカップリングし、Y o の-NH2への転化の時に、ジアゾ化して、そしてH-B にカップリングする。基HO-(CO) p -A1-は式H2N-A"(NH2)-(CO) p-OH のジアミンのビスジアゾ化から誘導された成分の基であることもでき、そして両方のジアゾニウム基が式(II)の化合物にカップリングして、それぞれのジスアゾ以上のポリアゾ化合物を提供する。A1が1 個以上のアゾ基を含む場合、これらは、例えば、事前のジアゾ化およびカップリング反応並びに必要に応じて他の適切な反応( 例えば、アシル化したアミノ基の加水分解、またはニトロ基の還元により第一級アミノ基を提供するもの) から誘導されることができ、HO-(CO) p -A-NH2としてジアゾ化可能な第一級アミノ基を含むアゾ基含有化合物を提供する。
【0018】
好ましくは、HO-(CO) p -A- はHO-(CO) p -A'-であり、そしてHO-(CO) p -A'-は好ましくは1 〜4 個の芳香環( ナフタレン基は2 個の芳香環として数える。) を含むベンゼン系および/ またはナフタレン系のジアゾ成分の基であり、そして、2 〜4 個の芳香環を含むならば、それは2 個の非縮合環の間にヘテロ原子の橋掛けを含むことができる。
【0019】
Aにおいて2 個の芳香環の間のヘテロ原子橋掛け基は好ましくは窒素含有橋掛け基、特にアゾ基、イミノ橋掛け基またはアミド橋掛け基( 例えば、カルボニルアミノまたはスルホニルアミノ) であり、A において芳香環はアゾ染料、特にアニオン( ポリ) アゾ染料におけるアゾ成分中の通常の置換基で置換されることができる。
【0020】
A は好ましくはベンゼン系であり、そして1 〜3 、より好ましくは1 または2 個のベンゼン環を含み、そして、それが2 個以上の環を含むならば、これらは、有利には、ヘテロ原子の橋掛け基であって、好ましくはアゾ基でないものを介して結合される。
【0021】
適切な好ましいアミンHO-(CO) p -A-NH2は、特に、次式
【化14】
Figure 0003737539
(式中、R1は水素、ニトロ、-SO3M または-SO2NR3R4 であり、
R2は水素、ニトロ、-SO3M または-SO2NR3R4 であり、
R3は水素、C1-4- アルキル、C1-3- アルキレン-R5 またはC2-3ヒドロキシアルキルであり、
R4は水素、C1-4- アルキル、C1-3- アルキレン-R5 、C2-3ヒドロキシアルキル、ベンジル、または式
【化15】
Figure 0003737539
の基であり、
R5はニトリル、カルバモイルまたは-COOM であり、
R6は水素、メチル、塩素、ニトロ、-COOM または-SO3M であり、
R7は水素、ハロゲン、ニトロ、-SO3M 、-SO2NR3R4 、メチルスルホニル、C1-4- アルキル、または-NH-Acであり、
R8は水素、ハロゲン、ニトロ、-SO3M 、-SO2NR3R4 、メチルスルホニル、C1-4- アルキルまたは-NH-Acであり、
R9はニトロ、-SO3M または-SO2NR3R4 であり、そして、
Acは脂肪族アシル基である。) のアミンである。
【0022】
1 〜4 個の炭素原子を有するアルキルおよびアルコキシ基の中で、低分子量のものは好ましく、特に、エチル、メチル、エトキシおよびメトキシは好ましい。ハロゲンは特にフッ素、塩素または臭素であることができ、そのうちフッ素は好ましく、そして、全ての中で塩素が最も好ましい。
【0023】
R2は好ましくは水素である。式(a1)の好ましい特徴によると、6 位は未置換であり、そしてより好ましくは、3 位も未置換である。
【0024】
R3は好ましくは水素である。
【0025】
R4は、有利には、水素、メチル、エチル、ヒドロキシエチルまたは式(c1)の基であり、ここで、R6は好ましくは水素またはカルボキシである。
【0026】
脂肪族アシル基Acは、有利には、低分子量脂肪族カルボン酸、好ましくは2 〜4 個の炭素原子を有するアルカン酸の基であり、より好ましくはアセチルまたはプロピオニルであり、その中でアセチルが好ましい。
【0027】
式(a2)において、好ましくはR7およびR8のうちの少なくとも片方は水素以外であり、より好ましくはR8は水素以外であり、そしてR7は水素、ニトロ基またはスルホ基である。有利には、同一式(a2)において多くてもR7およびR8のいずれかがスルホ基である。式(a2)の化合物の好ましいサブグループは式(a2') の化合物、即ち、式(a2)の化合物であって、R7およびR8の片方が-NO2であり、そして、もう片方がスルホ基であるものである。
【0028】
好ましくは、A1は少なくとも1 個の親水性置換基を含み、好ましくは-SO3M 、-SO2NR3R4 および-COOM からなる群より選ばれた置換基を含み、より好ましくは同素環式芳香核当たり1 個以下の親水性置換基を含む。
【0029】
H-B はあらゆるカップリング成分であってよく、特にベンゼン、ナフタレン、複素環式または開鎖メチレン活性系であり、そして、適切にはカップリング用化合物H-B を活性化する少なくとも1個の置換基、特に芳香族結合したまたはエノール系の必要に応じてエーテル化したヒドロキシ基、または必要に応じて置換されたアミノ基を含み、それによりカップリング反応は分子H-B の対応する活性化された位置で起こることができる。
【0030】
適切なカップリング成分H-B は、特に次式
【化16】
Figure 0003737539
(式中、R10 は水素、-OR14 または-NHR14であり、
R11 は-OR14 または-NHR14であり、
R12 は水素、-SO3M 、-SO2NR3R4 、-COOM または-CONR3R4であり、
R13 は水素、-SO3M 、-SO2NR3R4 、-COOM または-CONR3R4であり、
R14 は水素、C1-4- アルキル、Ac' または式
【化17】
Figure 0003737539
の基であり、ここで、Ac' は脂肪族カルボン酸のアシル基であり、
Q は-CO-、-SO2- または直接結合であり、
R15 は水素、メチル、-NH-Ac、-COOM または-NO2であるか、または式(c2)中Q が-CO-または-SO2- であるならば-NH2であることもでき、
R16 は-OH または-NH2であり、
R17 は水素、C1-4- アルキル、C1-4- アルコキシ、-OH 、-NR'R"または-NH-Acであり、
R18 は水素、C1-4- アルキルまたはC1-4- アルキシであり、
R'およびR"は、独立に、水素、C1-2- アルキルまたはC2-3- ヒドロキシアルキルであり、
R19 は水素、スルホナフチルまたは式
【化18】
Figure 0003737539
の基であり、ここで、W1は水素、ハロゲン、メチル、メトキシまたは-COOM であり、
W2は水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトリル、ニトロ、-COOM 、-SO3M または-SO2NR3R4 であり、
R20 はC1-4 -アルキル、フェニル、-COOM 、-CONR3R4、-COOCH3 または-COOC2H5であり、
R21 は=Oまたは=NH であり、
R22 は水素、未置換アミノ、フェニルアミノ、スルホナフチル、開鎖C1-8- アルキル、C6-9- シクロアルキル、カルボキシ-(C1-4- アルキル) 、β〜ωの位のうちの1箇所をヒドロキシ、メトキシ、エトキシまたはスルホにより置換されたC2-4- アルキル、または式(c3)の基であり、
R23 は水素、ニトリル、アセチル、-COOM 、カルバモイル、-SO3M 、ピリジニオ、または2-メチル- ピリジニオであり、ここで、R23 がピリジニオまたはオルトメチルピリジニオを表す場合には、分子中に存在するいずれかのスルホ基は内部塩の形で対イオンを形成するようにアニオン-SO3 - の形であることができ、
R24 は水素、ヒドロキシ、メチル、カルボキシ、フェニル、スルホメチルまたはカルバモイルであり、
R25 はヒドロキシ、第一級アミノ、ニトリルアミノ、チオールまたは式
【化19】
Figure 0003737539
の基であり、
R26 はヒドロキシまたは第一級アミノであり、
R27 はヒドロキシまたは第一級アミノであり、
R28 は水素、メチル、塩素、クロロメチルまたはクロロアセチルであり、
G は-O- 、-NH-または直接結合であり、
R29 はナフチル、スルホナフチル若しくはジスルホナフチルまたは式(c3)の基であり、
R30 はC1-4- アルキルであり、そして、
Z は水素、-NH2、-OH 、C1-4- アルコキシ、モノ- 若しくはジ(C1-4-アルキル)-アミノ基またはアシルアミノ基である。) を有するものである。
【0031】
R14 で脂肪族アシル基Ac' はアシル化により導入されうるようなあらゆる脂肪族カルボン酸、特に、C2-12-アルカン系の第一級モノカルボン酸の基であってよく、好ましくはAcに関して上記に記載の通りであり、特にC2-4- アルカノイルであり、最も好ましくはアセチルである。
【0032】
もしR15 が-COOM であるならば、式(c2)のQ は特に-CO-である。もし式(c2)においてQ が直接結合であるならば、R15 は好ましくは水素である。もし式(c2)においてQ が-SO2- であるならば、R15 は好ましくはメチル、アセチルアミノまたは-NH2である。式(c2)においてQ が-CO-であるならば、R15 は好ましくは水素または-NO2である。
【0033】
式(b1)において、-OR14 は好ましくはヒドロキシであり、そして-NHR14は好ましくは-NHR14' であり、ここで、R14'は水素、メチル、アセチルまたは式(c2)の基である。好ましくはR11 はヒドロキシまたは-NHR14' であり、そしてR10 は水素であり、またはR11 が-OH である場合には基-NHR14であることもできる。より好ましくは、R11 がヒドロキシであって、そしてR10 が水素または-NHR14' であるか、またはR11 が-NHR14' であって、そしてR10 が水素であるかのいずれかである。R12 は好ましくは水素、-SO3M 、-COOM または-CONH2である。R13 は好ましくは水素または-SO3M であり、より好ましくは水素である。
【0034】
式(b2)においてR17 がヒドロキシ、-NR'R"または-NH-Acであるならば、それは好ましくはR16 に対してメタ位であり、そしてR18 は好ましくは水素である。もしR17 がC1-4- アルキルまたはC1-4- アルコキシであるならば、R16 に対して空いているオルト、メタまたはパラのいずれかの位であってよい。より好ましくはR16 はヒドロキシである。有利にはR18 は水素である。
【0035】
1 〜4 個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基のうちで、B においても低分子量のものが好ましく(Aの場合と同様) 、より詳細にはエチル、メチル、エトキシおよびメトキシである。C2-3ヒドロキシアルキル基において、ヒドロキシ基は好ましくはβ- 位にある。
【0036】
式(b3)においてR19 は好ましくは式(c3)の基である。式(c3)のR19 において、好ましくはW1およびW2の少なくとも片方は水素であり、より好ましくはW1が水素である。R20 は好ましくはC1-4- アルキルであり、より好ましくはメチルである。R21 は好ましくは酸素である。
【0037】
R22 において開鎖C3-8- アルキル基は直鎖または枝分かれであってよく、もしそれが6 〜8 個の炭素原子を含むならば、それは好ましくは枝分かれであり;R22のシクロアルキル基は好ましくはシクロヘキシルであり、それは1 〜3 個のメチル基により置換されてよく、より好ましくはそれは未置換シクロヘキシルである。カルボキシ置換C1-4- アルキル基は好ましくはカルボキシメチルまたはβ- カルボキシエチルである。R22 のC2-4- アルキルにおける置換基( ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、スルホ) は好ましくはβ- 位にある。もしR22 が式(c3)の基であるならば、W1は好ましくは水素であり、そしてW2は好ましくはカルボキシ、スルホまたはトリフルオロメチルである。R22 のうちで好ましいのは水素、式(c3)の基、C1-8- アルキル、C2-3- ヒドロキシアルキルおよびC6-9- シクロアルキルである。
【0038】
R23 は好ましくは水素、スルホ基または上記の窒素含有置換基うちの1 つである。
【0039】
R24 は好ましくは水素以外であり、より好ましくはメチルである。
【0040】
式(b5)において、好ましくはR26 およびR27 のうちの少なくとも片方はヒドロキシであり、より好ましくはR26 およびR27 の両方がヒドロキシ基である。
【0041】
もし式(b5)においてR25 が式(c4)の基であるならば、好ましくは-NH-Q-は基-NH-SO2-である。
【0042】
式(b6)において、ヒドロキシ基は好ましくは8 の位にある。もしR28 が水素以外であるならば、それは好ましくは8-位のヒドロキシ基に対してパラ位にある。R28 は好ましくは水素またはメチルであり、より好ましくは水素である。
【0043】
式(b7)において、G は好ましくは-NH-である。R30 は好ましくはメチルである。R29 において、式(c3)の好ましい基は、特にW1が水素であるものである。最も好ましくはW2も水素であり、即ち、R29 は未置換フェニルである。
【0044】
カップリング成分の基B は好ましくは3 個までの環( 同素環、複素環、および、所望により脂環式環- ナフタレンは2 個の環として計算) を含み、より好ましくはB は1 個または2 個のこのような環を含む。
【0045】
上記の式(I) の化合物の中で、A およびB が一緒に2 〜6 個、特に2 〜4 個の環および1 または2 個の親水性基を含むものは好ましく、A1の親水性基は上記に示した通りであり、B1については上記のA1に示した通りであり、または、もしB が式(b4)のカップリング成分の基であるならば、R23 で示したようなカチオン基、特にピリジニウムまたはオルトメチルピリジニウム基であることもできる。
【0046】
M がカチオンであるならば、これはアニオン金属錯塩染料中の本質的に通常のあらゆるカチオンであることができ、便利には非発色性カチオンであって、特にアルカリ金属カチオン( 特にリチウム、ナトリウムおよび/ またはカリウム) またはアンモニウムカチオン( 例えば、未置換アンモニウム、または、C1-2- アルキルおよび/ またはC2-3- ヒドロキシアルキルにより一、二または三置換されたアンモニウム) であり、アルカリ金属カチオンは好ましい。本発明の金属錯塩染料は、有利には、部分的に塩の形であってよく、即ち、M の幾つかは塩形成性カチオンであり、そして、幾つかは水素( またはヒドロオキソニウム) である。
【0047】
式HO-(CO) p -A-NH2および式(III) のアミンのジアゾ化は通常の条件、特に酸性水溶液媒質( 好ましくは塩酸の存在下) で亜硝酸塩( 好ましくは硝酸ナトリウム) とともに、-5℃〜+10 ℃、好ましくは0 〜5 ℃の範囲のような低温で行われることができる。
【0048】
ジアゾニウム化合物のそれぞれのカップリング成分へのカップリング反応も本質的に通常の方法で行われることができ、有利には-5℃〜+30 ℃、好ましくは25℃未満、より好ましくは0 ℃〜10℃の範囲で行われる。式HO-(CO) p -A-NH2アミンのジアゾ化合物またはその混合物のカップリングは明らかな酸性から強塩基のpH条件下、例えば、4 〜12のpHで、好ましくは塩基条件下、より好ましくは8 〜11のpHで行われることができる。式(III) のアミンのジアゾ化合物またはその混合物の対応するカップリング成分H-B へのカップリングは明らかな酸性から強塩基のpH条件下であって、有利には4 〜12のpHで行われることができ、特に式(b1)、(b2)、(b4)、(b5)、(b6)および/ または(b7)のカップリング成分に対しては好ましくは9 〜11のpH範囲で、式(b3)のカプリング成分に対しては5 〜11のpH範囲で行われる。
【0049】
反応は水性媒質中で行われてもまたは水性/ 有機媒質中で行われてもよく、有機媒質は好ましくは水混和性の不活性溶剤である( 例えば、アルコールまたはジオキサン) 。
【0050】
アミノ基の酸ハロゲン化物によるアシル化は有利には脱ハロゲン化水素化剤の存在下で、特にアルカリ金属水酸化物の存在下で、適切には15〜50℃、好ましくは20〜40℃の温度で起こる。
【0051】
カップリング反応の間のpH値の選択により、および、2 箇所以上のカップリング位がある場合、カップリング位はpH値の適切な選択により影響を受けまたは決定されうる。
【0052】
式(I) および/ または(III) の金属化可能な化合物は1:2 錯塩形成性金属化合物と、所望により更なる錯塩形成性配位子H-Lg'-H との組み合わせでの金属化によって、更には、所望により更なる反応をともなってそれぞれの金属錯塩に転化されうる。
【0053】
本発明の1:2 金属錯塩は、特に、次式
【化20】
Figure 0003737539
(式中、Meは1:2 錯塩形成性金属であり、
Lgは配位子または配位子群であり、
t はMe- 錯塩の負電荷の数であり、そして、
(Kat) + は対イオンである。) により表され、特に、
【化21】
Figure 0003737539
により表される。
【0054】
配位子H-Lg'-H はあらゆる発色性または非発色性錯塩形成性配位子または配位子群であってよく、例えば、所望により水および/ またはアンモニアとともに非発色性配位子、例えば、配位結合性脂肪族ポリアミン分子( 例えば、エチレンジアミンまたはジエチレントリアミン) またはヒドロキシカルボン酸( 例えば、酒石酸またはサリチル酸) 、または、発色性配位子、例えば、金属化可能なアゾ化合物分子、例えば、HO-(CO) n -A1-N=N-B1( 式中、HO-(CO) n -A1-は、例えば、HO-(CO) n -A1-NH2 のアゾ成分の基であり、ここで、それは好ましくは式(a1)、(a2)または(a3)であり、B1はカップリング位に対するオルト位での金属化可能な置換基を含む) の種類の分子であり、または、好ましい特徴によると、式(I) の更なる化合物、特に(I")または好ましくは(I')である。
【0055】
1:2-錯塩形成性金属はあらゆる適切な金属であってよく、特に、クロム、コバルト、鉄、マンガン、チタン、ジルコニウム( またはジルコニル) および/ またはアルミニウムであり、そのうちでクロム、コバルトおよび鉄は好ましく、特にコバルトおよび/ またはクロムであり、後者は特に好ましい。
【0056】
数t はMe、Lgおよび式(I) の化合物により、特に0 、1 または2 であることができる。もしLg、B1および/ またはA1のいずれかが共有結合したカチオン基、例えば、上記に記載のピリジニウムを含むならば、その正電荷は、少なくとも部分的に、錯塩の対応する数の負電荷を中和し、そのためt はそれに従って低下する。しかし、本発明の染料分子において共有結合したアニオン基があることが好ましい。好ましくはt はt'、即ち、0 または1 であり、(Kat) + は、例えば、M について上記に記載したような、それぞれの染料の合成において形成されるいずれのカチオンであってもよく、そして、このように、LgおよびMe更には錯塩形成反応条件( 即ち、pHおよび使用される溶剤) に依存し、またはイオン交換により導入されるカチオンに依存し、そして、それはヒドロオキソニウムイオンのように遊離酸の形で示される。
【0057】
これらの中で金属錯塩の好ましい群は式
【化22】
Figure 0003737539
(式中、Me1 は鉄、コバルトまたはクロムである。)
の金属錯塩であり、特に、
【化23】
Figure 0003737539
の金属錯塩またはこのような錯塩の混合物である。
【0058】
上記に記載の金属錯塩または混合物の製造方法は特に、
a)上記に記載の式(I) の少なくとも1 種の金属化可能な化合物および必要に応じて1 種以上の錯塩形成性配位子を1:2-金属錯塩形成性金属化合物と反応させること、
または、
b)式
【化24】
Figure 0003737539
(式中、Lg" はLgであるか、または、-NH2のN=N-B1への転化後および必要に応じてA のA1への転化後にLgとなる配位子である。) またはその混合物を本発明の金属錯塩、特に式(IV)の金属錯塩またはその混合物に転化させること、
を特徴とする。
【0059】
好ましい式(V) の錯塩は式
【化25】
Figure 0003737539
錯塩である。
【0060】
式(V) の金属錯塩は式(III) のそれぞれの化合物および配位子H-Lg"'-Hを金属化させることにより合成されることができ、ここで、H-Lg"'-HはH-Lg"'-Hのうちの1 つであるか、または、金属化および-NH2のN=N-B1への転化後にLgになるかまたは式(IIIa)の化合物の対応するプリカーサー金属錯塩および適切な配位子を式(IIb) の化合物によりアシル化することによってLg" となる化合物である( 直接的にまたは式(IIb) の化合物によるアシル化時に) 。
【0061】
金属錯塩への金属化は既知の金属錯塩形成反応と同様に行われうる。
【0062】
金属化に関して、特定の式(I) または(III) の化合物において、通常の適切な金属化合物は使用されてよく、例えば、酢酸塩または鉱酸の水溶性塩、特に三塩化クロム、二塩化コバルト、二若しくは三塩化鉄、三フッ化クロム、塩化、酢酸若しくは硫酸マンガン、塩化アルミニウム、塩化チタン、三酢酸若しくは硫酸ジルコニウム、塩化ジルコニル、硫酸若しくは硝酸コバルト、硫酸鉄(II) 若しくは(III) 、硫酸クロム、酢酸クロム若しくはコバルト、硫酸カリウムクロム、硫酸アンモニウムクロム( 例えば、クロムみょうばん) および、必要に応じて、還元剤、例えば、グルコース、更にはクロム酸若しくは重クロム酸ナトリウム若しくはカリウムの添加をともなって使用されうる。
【0063】
クロム化は1:2 クロム錯塩段階に直接的に、または、1:1 クロム錯塩段階、そしてその後更に錯塩化を経て1:2 クロム錯塩段階に段階的に行われることができる。
【0064】
クロム化は水性媒質中で、好ましくは2 〜10の範囲のpH値で、95〜130 ℃の温度で、必要ならば過圧下で行われることができる。必要に応じて、反応は有機溶剤の添加をともなって行われることも、または有機溶剤だけの中で行われることもできる。適切な有機溶剤は、好ましくは、水と混和性のものであり、100 ℃より高い沸点を有し、そして、その中でアゾ染料および金属塩が可溶性であり、例えば、グリコール、エーテルアルコールまたはアミド( 例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、β- エトキシエタノール、β- メトキシエタノール、ホルムアミドまたはジメチルホルムアミド) である。非対称1:2 クロム錯塩化合物の製造では、クロム化は徐々に行われることができ、最初に、錯塩要素のうちの1 つの1:1-クロム錯塩を合成し、そしてこれから第二の錯塩要素1:2 錯塩が合成される。1:1-クロム錯塩は従来の方法、例えば、1:2-クロム錯塩と同様の条件下で製造されてよいが、好ましくは強酸性のpH値、有利にはpH<3で製造される。1:2-クロム混合錯塩を合成すること、例えば、式(I) の異なる錯塩要素およびH-Lg'-H を同時に金属化させること、または、式(V) の錯塩のジアゾ化合物を1 種以上のカップリング成分H-B にカップリングさせること、または、式(V) の錯塩混合物のジアゾ化合物を1 種以上のカップリング成分H-B にカップリングさせることにより合成することも有利である。
【0065】
対称構造の1:2-クロム錯塩、即ち、Me1 がクロムであり、且つ、2 個の符号A1が同一であり、2 個の符号B が同一であり、各インデックスm 、n およびp がその同一のインデックスと同一であり、2 個の基-NH-SO2-X-N=N-B1はナフタレン核の同一の数値の位にあり、そして、もしn が0 でなければ、n は2 個の錯塩要素のうちの1 個のスルホ基は、また、各々、2 個の錯塩のうちのもう1 個の対応するスルホ基と同一の位置番号の位にある。
【0066】
式(I) または(III) のアゾ化合物のそれぞれの鉄錯塩、即ち、1:2 鉄錯塩への金属化は通常の方法において、適切には水性媒質中において、有利には3.5 〜6.5 、好ましくは4 〜6 のpH値で、加熱しながら行われることができる。好ましくは鉄錯塩への金属化は40度から還流温度、好ましくは60〜100 ℃の温度で行われることができる。
【0067】
式(I) または(III) のアゾ化合物の対応する1:2 コバルト錯塩への金属化は通常の方法において、適切に水性媒質中において、有利には9 〜12、好ましくは10〜11のpH値で、必要に応じて加熱しながら行われることができる。好ましくはコバルト錯塩への金属化は30〜90℃、好ましくは40〜70℃の温度で行われることができる。
【0068】
二価の形のMe2+での金属カチオンの金属化合物が錯塩生成に使用されるならば、酸化剤、例えば、H2O2は金属の酸化度=3(Me3+ ) の金属の錯塩生成収率を最適化するために加えられることができる。
【0069】
他の金属化は、本質的に通常のように同様に行われてよい。
【0070】
必要なカップリングおよび金属化並びに更なる任意の変性反応が完了したときに、得られた染料およびその混合物は本質的に通常のように母液から単離されることができ、例えば、強鉱酸による酸性化によりまたは塩析により、または、例えば、適切な膜による透析時に蒸発により単離されうる。望むならば、染料は単離または透析時に、本質的に通常の適切なブレンディング剤、例えば、アルカリ金属塩( 例えば、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムまたは塩化ナトリウム) 、非電解質ブレンディング剤( 主に尿素および/ またはオリゴサッカリド、例えば、デキストリン) および/ またはアニオン界面活性剤、特に炭化水素スルホネートまたは他の有機スルホネート、例えば、スルホン化ヒマシ油、スルホスクシネートまたはリグニンスルホネートとブレンドされてよい。もし界面活性剤が使用されるならば、界面活性剤の染料に対する重量比は、有利には5:95〜40:60 である。望むならば、特に上記のように組成物がアニオン界面活性剤を含むならば、それは液体の濃厚な染料組成物として水と配合されてよく、好ましくは組成物の重量に関して10〜70重量% 、より好ましくは20〜50重量% の範囲の乾燥物質含有率で配合されてよい。
【0071】
本発明の金属錯塩染料は水溶性染料として、特にアニオン染料として作用し; それは水溶性アニオン染料で染色可能な基材の染色に適切である。それは合成されたままの形で使用されてよく、そして、必要ならば、精製されて、または更に従来のブレンディング剤( 例えば、上記に記載の通りであり、特に無機塩、好ましくは炭酸ナトリウム、硫酸塩ナトリウムまたは塩化ナトリウム、非電解質ブレンディング剤、好ましくはデキストリンおよび/ または尿素、および、粒状または液体の形の調製のために必要に応じて対応する適切な添加剤とともに) ブレンドされてよい。染料はあらゆる従来の形であってよく、例えば、粉末、液体組成物または粒体であってよく; 特に電解質分の低い組成物の製造のためには染料は、非電解質ブレンディング剤とのブレンドの前に、例えば、透析により精製されてよい。本発明の染料は、置換基およびその位置並びにMeおよびLgによって多くの色を選択することができ、主にグリーンシェードからオレンジシェードおよびレッドシェードまで( 青がかったレッドシェード、、イエローシェード、ブラウンシェードおよびオリーブシェードも含む) であり、しかし、他のシェードの染料も製造されることができ、特にブルーからグレーおよびブラックシェードまで( バイオレットシェードも含む) の範囲で製造されることができる。
【0072】
水溶性染料、特にアニオン染料により染色可能なあらゆる基材は本発明の金属錯塩で染色されうる基材として適切であり、これらは天然および再生セルロース、ポリウレタン、塩基変性されたポリマー( 例えば、塩基変性されたポリプロピレン) 、天然若しくは合成ポリアミド、または陽極酸化されたアルミニウム、特には、しかしながらレザー基材を含む。染色されようとする基材は通常のあらゆる形であってよく、例えば、ルースファイバー、フィラメント、ヤーン、織物若しくは編物製品、不織布ウェブ、カーペット、半既製および既製柔軟製品並びになめしたレザー若しくはペルトの形であってよい。染料は基材の飽和までのあらゆる所望の濃度で使用されてもよい。
【0073】
染色は染色されようとする基材に適切な従来のあらゆる方法により行われてよく、例えば、吸尽法または浸漬法( 例えば、パッディング、スプレーイング、フォーム適用、またはローラーまたはプリンティングによる適用) により、好ましくは水性媒質中で行われてよく; 合成基材では、染料は必要に応じて合成物質中に含まれてもよい。紙はパルプ中で染色されまたはシート形成後に染色されてよい。
【0074】
本発明の染料は、しかし、主としてレザーおよびペルトの染色に適切である。
【0075】
水性媒質から通常に染色されるあらゆる種類のレザーは適切であり、特に、銀面のレザー( 例えば、シープ、ゴートまたはカウからのナッパおよびカーフまたはカウからのボックスレザー) 、スエードレザー( 例えば、シープ、ゴートまたはカーフからのベロアおよびハンティングレザー) 、スプリットベロア( カウまたはカーフスキンからのもの);バックスキンおよびヌブックレザー; 更にウール付きスキンおよびファー( 例えば、ウールスエードレザー) は適切である。レザーは通常のなめし法、特に植物、鉱物、合成または組み合わせなめしによりによりなめしてあってよい。望むならば、レザーは再なめしされてもよく、再なめしのためには、再なめしに通常に使用されているあらゆるなめし剤は使用されてもよく、例えば、鉱物、植物または合成なめし剤( 例えば、クロム、ジルコニルまたはアルミニウム誘導体、ケブラコ、チェストナットまたはミモザ抽出物、芳香族シンタン、ポリウレタン、( メト) アクリル酸化合物( コ) ポリマー、または、メラミン/ 、ジシアノジアミド/ 、および/ または尿素/ ホルムアルデヒド樹脂) は使用されてよい。このため、アニオン染料に対して非常に高い親和性から非常に低い親和性のレザーは使用されてよい。
【0076】
レザーは様々な厚さであってよく、このため、ブックバインダー用レザーまたはグローブ用レザー( ナッパ) のような非常に薄いレザー、靴の上部のレザーまたは衣料品用レザーおよびハンドバッグ用レザーのような中位の厚さのレザー、または、靴底レザー、家具用レザー、スーツケース用、ベルト用およびスポーツ製品用レザーにような厚いレザーは使用されてよく; ウール付きレザーおよびファーも使用されうる。なめし後であって、染色の前に、レザーのpHは有利には4 〜8 の値に設定され( レザーは中和される);レザーの厚さにより、pH範囲は選択されることができ、銀面のレザーではpHは4 〜6 の範囲の値であり、スエードレザーおよびスプリットベロアおよび非常に薄いレザーでは、pHは4.5 〜8 の範囲の値であり、中程度に乾燥したスエードレザーおよび中程度に乾燥したスプリットベロアでは、pHは5 〜8 の範囲であってよい。レザーのpH値の調節には、通常の補助剤が使用されてよく、酸性のなめされたレザーでは、pHは適切な塩基、例えば、アンモニア、重炭酸アンモニウムまたは弱酸のアルカリ金属塩、例えば、蟻酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは重亜硫酸ナトリウムの添加により調節されてよく、この中で蟻酸ナトリウムおよびアンモニアが好ましい。炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムはレザーの表面pH値の正確な調節のための第二の塩基として特に使用可能である。鉱物なめしされたレザーは所望ならばアルカリ金属蟻酸塩、しゅう酸塩またはポリ燐酸塩または例えば、しゅう酸チタン/ カリウムによりマスクされてもよい。
【0077】
染色は本質的に既知の方法で、適切には水性媒質中で、通常の温度およびpH条件、特に、20〜80℃、好ましくは25〜70℃の温度範囲の穏やかな条件で行われてよく、特に25〜40℃の範囲はより深い浸入の達成およびウール付きスキンおよびファーの染色のためには好ましい。染浴のpH値は、一般に、主としてpH8 〜pH3 の広い範囲であってよく、一般に、染色は、有利には、より高いpH値で始めて、そしてより低いpH値で終了する。好ましくは、染色はpH値≧4 、特に8 〜4 で行われ、染色手順の終了ではpH値は( 例えば、レザー染色技術における通常の酸、例えば、酢酸または蟻酸の添加により) 4 〜3 の範囲の値に低下される。染料濃度は広い範囲であることができ、望むならば基材の湿潤重量と呼ばれる基材の飽和値まで、例えば、5%までであることができる。染色は1 段階以上の段階、例えば、必要に応じて、通常のカチオン補助剤の手段により基材の電荷逆転を導入しながら2 段階で行われてよい。
【0078】
本発明の金属錯塩染料は、望むならば、通常の染色補助剤、主として非イオンまたはアニオン製品( 特に界面活性剤であって、好ましくは親水性ポリサッカリド誘導体、ポリオキシエチル化アルキルフェノールまたはアルコール、リグノスルホネートまたはスルホ基含有芳香族化合物) との組み合わせで使用されてよい。
【0079】
油脂化は、望むならば、染色加工の前および/ または後に、特に同一液中で行われる。染色加工後の油脂化では、油脂化剤は、有利には、液pHが好ましくは3 〜4 の値に低下される前に加えられる。
【0080】
油脂化( 特に油脂溶液漬け) 工程では、あらゆる通常の天然の動物、植物または鉱物脂肪、脂肪油またはワックス、または変性された動物または植物脂肪または油を使用してよく、それは特に牛脂/ 羊脂、魚脂、牛脚油、オリーブ油、ヒマシ油、ナタネ油、綿実油、ゴマ油、コーン油並びに木ロウおよびその化学変性品( 例えば、加水分解、エステル変換、酸化、水素化またはスルホン化製品) 、ミツろう、シナろう、カルナウバろう、モンタンろう、ラノリン、かば油、300 〜370 ℃の沸点の鉱油( 特に所謂「ヘビーアルキレート」) 、軟パラフィン、中パラフィン、ワセリンおよびC14-22- 脂肪酸のメチルエステル; 必要に応じてオキシエチル化脂肪アルコールでのエステル、特に多価塩基酸( 例えば、燐酸) の部分エステルを含む合成皮革油脂化剤は使用されてよい。上記のうちで、メチルエステル、スルホン化製品および燐酸部分エステルは特に好ましい。油脂化剤に関して「スルホン化」という用語は、一般に、スルファト基(=硫酸化) の生成をも含めてスルホ基の導入およびスルフィットまたはSO2(= 亜硫酸化) を伴う反応によるスルホ基の導入を意味する。
【0081】
通常のレザー柔軟剤、特にカチオンレザー柔軟剤は、望むならば、特にスルホン化された油脂浴剤により油脂化されたならば、最終工程において適用されることができる。
【0082】
処理された基材は、その後、通常の方法において更に処理されてよく、即ち、リンスされおよび/ または洗浄され、排水され、乾燥され、そして硬化されることができる。
【0083】
本発明によると、A1およびB1に水溶化置換基が比較的に少ない数でもまたは全くなくても、水中に高い溶解度を示す金属錯塩染料が得られることができ、特に染料がアルカリ金属塩の形である場合には、それは、電解質( 特に無機イオン) に安定であり、詳細には塩基および酸に安定であることを特徴とし、そして、特にレザー上へのビルドアップ性および、アニオン染料に対する親和性の変化に対する高度の不感受性、顕著な浸入の非常に平均的な染色、高い色収率および広い範囲のシェードが得られることを特徴とする。特にレザー上への染色は優れた堅牢特性を有し、例えば、湿潤堅牢度、摩擦堅牢度および耐光堅牢度およびPVC-マイグレーションに対する安定性を有する。それは特に同様の染色挙動のような他の染料と容易に混合される。非常に均一な強力な繊細な染色を得ることができ、銀面側および肉側は非常に均一に染色され、異なる種類のレザー上の染色物のシェードは均等でありまたは非常に同様であり; 本発明の染料と混合される対応する染料との混合物も、高い収率および最適の堅牢度の非常に強力で規則的な染色が得られる。置換基の選択により、染料の幾つかの特性( 例えば、溶解度、シェード、ビルドアップ性、浸入、均一性等) は更に変えられる。
【0084】
次の実施例では、部および百分率は、特に指示がないかぎり重量基準であり、重量部の体積部に対する関係はグラム対ミリリットルの関係と同様である。温度は摂氏で示される。応用例では、それぞれの染料はそれぞれの染料30% およびグラウバー塩( 硫酸ナトリウム) であるブレンディング剤を含むブレンドされた形で使用され、示した染料の量はブレンドされた形で呼ばれ、応用例で使用される他の製品はレザーの処理に通常の市販の製品である。「C.I.」は「カラーインデックス」を表す。
【0085】
(II) の中間成分の合成
中間成分 Mk.1
23.9部の1-ヒドロキシ-6- アミノナフタレン-3- スルホン酸(J- 酸) を50部の水および4 部の25% 水酸化ナトリウム水溶液とともに50℃で攪拌する。30部のN-アセチルスルファニリルクロリドをゆっくりと加え、炭酸ナトリウムで4 〜5 のpHを維持する。pHがこの範囲に安定化したときに、温度を80℃に上昇し、そして80部の25% 水酸化ナトリウム水溶液を加える。2 時間後に、アセチルアミノ基の加水分解が完了する。組成物のpHが30% 塩酸水溶液の添加により9 〜10に低下される。得られた水性組成物は次の例において更に直接的に使用されることができる。望むならば、得られた生成物は酸性化および吸引濾過により単離されてよい。それは遊離酸の形で、式
【化26】
Figure 0003737539
に対応する。
【0086】
中間成分 Mk.2
23.9部の1-ヒドロキシ-7- アミノナフタレン-3- スルホン酸( γ- 酸) を50部の水および4 部の25% 水酸化ナトリウム水溶液とともに50℃で攪拌する。30部のN-アセチルスルファニリルクロリドをゆっくりと加え、炭酸ナトリウムで5 〜6 のpHを維持する。pHがこの範囲に安定化したときに、温度を80℃に上昇し、そして80部の25% 水酸化ナトリウム水溶液を加える。2 時間後に、アセチルアミノ基の加水分解が完了する。組成物のpHが30% 塩酸水溶液の添加により9 〜10に低下される。得られた水性組成物は次の例において更に直接的に使用されることができる。望むならば、得られた生成物は酸性化および吸引濾過により単離されてよい。それは遊離酸の形で、式
【化27】
Figure 0003737539
に対応する。
【0087】
例1
1.1.1
23.4部の2-アミノ-4- ニトロ-1- フェノール-6- スルホン酸は塩酸の存在下でNaNO2 により通常のようにジアゾ化され、そして39.4部のMk.1とpH9 〜10および温度5 〜10℃でカップリングされる。1 時間後にpHは6 に低下され、そして温度は80℃に上昇され、そして、この温度で12部の酢酸ナトリウムおよび28部のみょうばん(Cr3+ 含有分=10%) は加えられ、そして混合物は2 時間還流下で加熱される。クロム化の最終ポイントは薄層クロマトグラフィーの手段により決定される。クロム化が完了した後、得られた混合物は氷により0 〜5 ℃に冷却され、そして50部の塩酸水溶液の添加により酸性化される。モノアゾ化合物の1:2 クロム錯塩の得られた懸濁液は8 部の亜硝酸ナトリウムでジアゾ化される。ジアゾ化反応が完了したときに、過剰の亜硝酸ナトリウムを1 部のアミノスルホン酸の添加により分解する。14.4部の2-ナフトールを加え、そしてpHを25% 水酸化ナトリウム水溶液の添加により調節する。生成したクロム錯塩染料を塩化ナトリウムで塩析し、吸引濾過し、乾燥し、そして粉砕する。それはブラウンシェードにレザーを染色する黒色粉末である。それは遊離酸の形で式
【化28】
Figure 0003737539
に対応する。
【0088】
1.1.2
例1.1.1 に記載の手順を繰り返すが、最初にカップリング反応を行い、その後、25% 水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpHを11に調節し、混合物を60℃に加熱し、事前に50部の水に溶解した14部の硫酸コバルト六水和物を10分間の間に加え、その直後に、ゆっくりと4 部の過酸化水素を加えることにより、クロム錯塩ではなくコバルト錯塩が製造される点で異なる。コバルト化が完了した後、混合物は氷により0 〜5 ℃に冷却され、そしてモノアゾ化合物のクロム錯塩で例1.1.1 に記載したように更なる反応を行う。生成したクロム錯塩を塩化ナトリウムで塩析し、吸引濾過し、乾燥し、そして粉砕する。ブラウン- ボルドーシェードにレザーを染色する黒色粉末が得られる。このコバルト錯塩は遊離酸の形で式
【化29】
Figure 0003737539
に対応する。
【0089】
1.1.3
例1.1.1 に記載の手順を繰り返すが、Mk.1でなく同一量のMk.2を使用する点で異なる。黒色粉末として対応するクロム錯塩が得られ、それはレザーをブラウンシェードに染色する。このクロム錯塩は遊離酸の形で式
【化30】
Figure 0003737539
に対応する。
【0090】
1.2.2
例1.1.2 に記載の手順を繰り返すが、Mk.1でなく同一量のMk.2を使用する点で異なる。黒色粉末として対応するコバルト錯塩が得られ、それはレザーをブラウン- ボルドーシェードに染色する。このコバルト錯塩は遊離酸の形で式
【化31】
Figure 0003737539
に対応する。
【0091】
2 25
次の表は本発明のジスアゾ染料金属錯塩の更なる例を含み、それらは例1 と同様に合成されうるが、2-アミノ-1- ヒドロキシ-4- ニトロベンゼン-6- スルホン酸( 次の表のジアゾ成分Dk.1) でなく、次の表中に示された等モル量の他のアミン( 次の表中、Dk.2〜25として記載されたジアゾ成分) を使用し; 使用された中間成分は上記のMk.1およびMk.2であり、錯塩形成金属は示すようにクロムまたはコバルトである。それぞれの1:2 金属錯塩でレザー上に得られた染色物のシェードは錯塩形成金属を示す関連のヘッディングの下に示される。
【0092】
(a 2 ) のアミン
【表1】
Figure 0003737539
【0093】
(a 3 ) のアミン
【表2】
Figure 0003737539
【0094】
下式のアミン
【表3】
Figure 0003737539
【0095】
26 103
次の表は本発明の金属錯塩染料の更なる例を含み、それらは、例1 と同様に合成されうるが、カップリング剤2-ナフトール( 次の表のカップリング成分Kk.1) ではなく、次の表に示す等モル量の他のカップリング成分( 次の表中Kk.2〜40とする) を使用し、使用した中間成分は上記に記載のMk.1およびMk.2であり、そして錯塩形成金属は示すようにクロムおよびコバルトである。それぞれの1:2 金属錯塩でレザー上に得られた染色物のシェードは錯塩形成金属を示す関連のヘッディングの下に示される。例46〜103 において、カップリング成分Kk.12 〜40へのカップリング反応はpH5 で行われる。
【0096】
下式のカップリング成分
【表4】
Figure 0003737539
【0097】
下式のカップリング成分
【表5】
Figure 0003737539
【0098】
R 18 が水素である式 (b 2 ) のカップリング成分
【表6】
Figure 0003737539
【0099】
R 20 -CH 3 である式 (b 3 ) のカップリング成分
【表7】
Figure 0003737539
【0100】
R 24 がメチルである式 (b 4 ) のカップリング成分
【表8】
Figure 0003737539
【0101】
【表9】
Figure 0003737539
【0102】
R 26 -OH である式 (b 5 ) のカップリング成分
【表10】
Figure 0003737539
【0103】
下式のカップリング成分
【表11】
Figure 0003737539
【0104】
(B 6 ) のカップリング成分
【表12】
Figure 0003737539
【0105】
104.1.1
例1.1.1 に記載の手順を繰り返すが、Mk.1ではなく、等モル量のMk.3を使用する点で異なる。Mk.3は式(II)の中間成分であり、Mk.1に記載と同様に製造されるが、N-アセチルスルファニリルクロリドではなく、等モル量の1-アセチルアミノナフタレン-4- スルホン酸クロリドが使用される点で異なる。得られたダークブラウンのクロム錯塩染料は遊離酸の形で、
【0106】
【化32】
Figure 0003737539
に対応する。
【0107】
104.1.2
例104.1.1 に記載の手順を繰り返すが、例1.2.1 に記載と同様にクロム化ではなくコバルト化を行う点で異なる。得られたコバルト錯塩染料はレザーをボルド- ブラウンシェードに染色する。
【0108】
104.2.1
例1.2.1 に記載の手順を繰り返すが、Mk.2ではなく、等モル量のMk.4を使用しする点で異なる。Mk.4は式(II)の中間成分であり、Mk.2に記載と同様に製造されるが、N-アセチルスルファニリルクロリドではなく、等モル量の1-アセチルアミノナフタレン-4- スルホン酸クロリドが使用される点で異なる。得られたダークブラウンのクロム錯塩染料は遊離酸の形で式
【化33】
Figure 0003737539
に対応する。
【0109】
104.2.2
例104.2.1 に記載の手順を繰り返すが、例1.2.2 に記載と同様にクロム化ではなくコバルト化を行う点で異なる。得られたコバルト錯塩染料はレザーをボルド- ブラウンシェードに染色する。
【0110】
応用例 A
100 部の湿潤なブルーのボックスサイドレザーを染色ドラム中で250 部の水および0.8 部の炭酸ナトリウムで35℃で45分間中和する。レザーをその後、1000部の水で25℃で洗浄する。5 分後、レザーを50℃で250 部の水および0.8 部の、例1.1.1 により製造し、そして事前に50℃の80部の水に溶解させた1:2 クロム錯塩染料で染色する。20分後、4 部の亜硫酸化された魚油の80% エマルジョンを油脂化のために添加し、油脂化を45分間続ける。その後、染浴を0.5 部の85% 蟻酸溶液で酸性化し、ドラミングを20分間続ける。最後に、溶液を排水し、そして、レザーを1000部の水で25℃で濯ぐ。通常の方法でレザーの排水をし、乾燥し、そして硬化させる。顕著な堅牢度( 特に湿潤堅牢度、ドライクリーニングに対する堅牢度、耐光堅牢度およびPVC-マイグレーションに対する耐性) を有する均一なブラウンシェードに染色されたレザーは得られる。
【0111】
応用例 B
100 部の中程度に乾燥したクロムなめしされたスエードスプリットレザーを水800 部、25% アンモニア溶液2 部および1 モルのノニルフェノールに対して10モルのエチレンオキシドの付加物0.5 部で50℃で90分間再湿潤化させ、そして、染浴をその後排水し、50℃の水600 部、25% アンモニア溶液1 部および油脂化溶液剤( 脂肪酸エステルエマルジョン) 1 部を加える。10分後、例1.1.1 により製造し、そして事前に50℃の80部の水に溶解させた1:2 クロム錯塩染料4 部を予備染色のために加える。60分後、2 部の85% 蟻酸溶液を加え、ドラミングを20分間続ける。その後、ジエチレントリアミンのベンジル化生成物のジメチル硫酸エステルによる第四級化により得られる20% 溶液2 部を加え、20分後に、50℃の水200 部に事前に溶解した、予備染色に使用したのと同一の染料2 部を加える。ドラミングを40分間続け、その後、染浴を各1.5 部の85% 蟻酸溶液の添加の間に10分間の間隔で2 回加えることにより酸性化させる。10分後、染浴を排水し、そして、通常の方法でレザーを濯ぎ、排水し、乾燥し、そして硬化させる。顕著な堅牢度( 特に湿潤堅牢度、ドライクリーニングに対する堅牢度、耐光堅牢度およびPVC-マイグレーションに対する耐性) を有する均一なブラウンシェードに染色されたレザーは得られる。
【0112】
応用例 C
100 部のクロムなめしされたボビンアップホルステリーレザーを水800 部、25% アンモニア溶液2 部および1 モルのノニルフェノールに対して10モルのエチレンオキシドの付加物0.5 部で50℃で90分間再湿潤化させる。そして、染浴をその後排水し、レザーを40℃の水400 部、25% アンモニア溶液1.5 部、油脂化溶液剤( 脂肪酸エステルエマルジョン) 2 部およびフェノールシンタン( フェノールと硫酸の縮合生成物)1部で処理する。例1.1.1 で製造し、そして事前に50℃の600 部の水に溶解させた1:2 クロム錯塩染料6 部を加え、60分間ドラミングを続ける。その後、染浴を各1.5 部の85% 蟻酸溶液の添加の間に10分間の間隔で2 回加えることにより酸性化させる。10分後、通常の方法でレザーを排水し、濯ぎ、排水し、乾燥し、そして硬化させる。顕著な堅牢度( 特に湿潤堅牢度、ドライクリーニングに対する堅牢度、耐光堅牢度およびPVC-マイグレーションに対する耐性) を有する均一な高強度のブラウンシェードに染色されたレザーは得られる。
【0113】
応用例 D
100 部のクロムなめしされたボビンアップホルステリーレザーを水800 部、25% アンモニア溶液2 部および1 モルのノニルフェノールに対して10モルのエチレンオキシドの付加物2 部で50℃で90分間再湿潤化させる。そして、溶液をその後排水し、レザーを40℃の水400 部、25% アンモニア溶液1.5 部、油脂化溶液剤( 脂肪酸エステルエマルジョン) 2 部およびフェノールシンタン( フェノールと硫酸の縮合生成物) 1 部で処理する。例1.1.1 で製造し、そして事前に50℃の400 部の水に溶解させた1:2 クロム錯塩染料4 部で予備染色する。60分後、染浴を1 部の85% 蟻酸溶液で酸性化し、10分後、ジエチレントリアミンのベンジル化生成物のジメチルスルフェートによる第四級化により得られた生成物の20% 溶液を加える。20分後に染浴を排水し、そしてレザーを、水400 部、および、事前に50℃の水200 部中に溶解させた予備染色に使用したのと同一の染料2 部で50℃で40分間染色する。その後、染浴を85% 蟻酸溶液1 部で酸性化し、20分後に通常の方法でレザーを排水し、濯ぎ、排水し、乾燥し、そして硬化させる。顕著な堅牢度( 特に湿潤堅牢度、ドライクリーニングに対する堅牢度、耐光堅牢度およびPVC-マイグレーションに対する耐性) を有する均一な高強度のブラウンシェードに染色されたレザーは得られる。
【0114】
応用例 E
100 部の低い親和性のクロム/ 植物なめしされたボビンレザーを水1000部および1 モルのノニルフェノールに対して10モルのエチレンオキシドの付加物0.2 部で50℃で90分間再湿潤化させる。染浴をその後排水し、レザーを40℃の水1000部および、例1.1.1 で製造し、そして事前に50℃の400 部の水に溶解させた1:2 クロム錯塩染料4 部で染色する。1 時間後、染浴を2 部の85% 蟻酸溶液で酸性化し、そして20分後、通常の方法でレザーを濯ぎ、排水し、乾燥し、そして硬化させる。顕著な堅牢度( 特に湿潤堅牢度、ドライクリーニングに対する堅牢度、耐光堅牢度およびPVC-マイグレーションに対する耐性) を有する均一な高強度のブラウンシェードに染色されたレザーは得られる。
【0115】
応用例 E 2
応用例E に記載の手順を繰り返すが、例1.1.1 に記載のクロム錯塩染料4 部ではなく、2 部の例1.1.1 に記載のクロム錯塩染料および2 部のC.I.アシッドイエロー243 の混合物を使用する点で異なる。対応する混合したブラウンに染色されたレザーが得られる。
【0116】
応用例 E 3
応用例E に記載の手順を繰り返すが、例1.1.1 に記載のクロム錯塩染料4 部ではなく、2 部の例1.1.1 に記載のクロム錯塩染料および2 部のC.I.アシッドブラック233 の混合物を使用する点で異なる。対応する混合したダークブラウンに染色されたレザーが得られる。
【0117】
応用例 E 4
応用例E に記載の手順を繰り返すが、例1.1.1 に記載のクロム錯塩染料4 部ではなく、2 部の例1.1.1 に記載のクロム錯塩染料および2 部のC.I.アシッドブラウン432 の混合物を使用する。対応する混合した完全なブラウンに染色されたレザーが得られる。
【0118】
応用例 F
100 部の半クロムのシープレザーを水1000部および両性のマスキング剤( スルホ基を含む脂肪酸アミノアミド)0.5部で45℃で1 時間再湿潤化させる。レザーを50℃の水800 部および、例1.1.1 で製造し、そして事前に50℃の600 部の水に溶解させた1:2 クロム錯塩染料6 部で予備染色する。染料がレザー内部に浸入するまでドラミングを続ける。その後、染浴を85% 蟻酸溶液1.5 部で酸性化し、そして20分後、ジエチレントリアミンのベンジル化生成物のジメチルスルフェートにより第四級化により得られた生成物の20% 溶液を加える。20分後、レザーを、50℃の水600 部に事前に溶解させた予備染色で使用したのと同一の染料6 部で40分間染色する。その後、染浴を85% 蟻酸溶液で酸性化し、そして30分後に、通常の方法でレザーを濯ぎ、排水し、乾燥し、そして硬化させる。顕著な堅牢度( 特に湿潤堅牢度、ドライクリーニングに対する堅牢度、耐光堅牢度およびPVC-マイグレーションに対する耐性) を有する均一な高強度のブラウンシェードに染色されたレザーは得られる。
【0119】
応用例 G
100 部のクロムなめししたクラストのアップホルステリー用ボビンレザーを水300 部および両性のマスキング剤( スルホ基を含む脂肪酸アミノアミド)0.5部で35℃で20分間再湿潤化させる。染浴を排水し、レザーを35℃で水150 部、フェノールシンタン( フェノールと硫酸の縮合生成物の65% 溶液)1部およびジメチロールジヒドロキシエチレンウレア40% 溶液3 部で再なめしする。30分後、蟻酸ナトリウム1.5 部を加え、15分後、ポリペプチドベースの再なめし剤5 部を加える。ドラミングを30分間続け、その後、染浴のpHを重炭酸ナトリウム1.5 部の添加により6 に設定する。30分後、レザーを水300 部で10分間40℃で洗浄する。その後、45℃の水150 部、油脂化溶液剤( 脂肪酸エステルエマルジョン)1部、25% アンモニア溶液1 部およびフェノールシンタン( フェノールと硫酸の縮合生成物)0.5部を加える。15分後、例1.1.1 で得た、事前に50℃の水300 部中に溶解させた1:2 クロム錯塩染料3 部で90分間、即ち、染料が完全に浸入するまで染色する。脂エステルエマルジョン2 部、エトキシル化された脂肪アルコールの燐酸部分エステルおよびエステル化された合成脂肪アルコールの混合物3 部並びに亜硫酸化された魚油6 部を脂肪溶液剤のために加え、そして60分後に、水溶性メラミン- ホルムアルデヒド縮合体2 部を定着のために加える。ドラミングを20分間続け、その後、水で1:20v/v に希釈した85% 蟻酸溶液0.75部を2 回、各々の添加の間の間隔を10分間として添加することにより酸性化する。10分後に、通常の方法でレザーを濯ぎ、排水し、乾燥し、そして硬化させる。顕著な堅牢度( 特に湿潤堅牢度、ドライクリーニングに対する堅牢度、耐光堅牢度およびPVC-マイグレーションに対する耐性) を有する均一な高強度のブラウンシェードに染色されたレザーは得られる。
【0120】
応用例 H
100 部のシープナッパを水200 部および両性マスキング剤( スルホ基を含む脂肪酸アミノアミド)0.5部で40℃で20分間洗浄する。染浴を排水し、35℃で水200 部および蟻酸ナトリウム1.2 部を加え、ドラミングを15分間続ける。ポリペプチドベースの再なめし剤4 部をその後加え、そして30分後に炭酸ナトリウム0.6 部を加えて染浴のpHを5.8 〜6.0 に調節する。40分後、ポリアクリル酸ベースの再なめし剤4 部を加えてドラミングを30分間続け、その後、水溶性の尿素- ホルムアルデヒド縮合体2 部を加え、30分後に染浴を排水する。その後、40℃で水150 部、25% アンモニア溶液1 部および油脂溶液化剤( 脂肪酸エステルエマルジョン)2部を加える。10分後に、例1.1.1 で得た、50℃の水300 部に溶解させた1:2 クロム錯塩染料3 部でレザーを90分間染色する。脂肪酸エステルエマルジョン 2部、亜硫酸化された魚油6 部および脂肪アルコール燐酸部分エステルの水性エマルジョン3 部を油脂化溶液剤のために加える。ドラミングを60分間続け、そしてその後、染浴を85% 蟻酸溶液1.5 部で酸性化する。30分後に、染浴を排水し、そして通常の方法でレザーを濯ぎ、排水し、乾燥し、そして硬化させる。顕著な堅牢度( 特に湿潤堅牢度、ドライクリーニングに対する堅牢度、耐光堅牢度およびPVC-マイグレーションに対する耐性) を有する均一なブラウンシェードに染色されたレザーは得られる。
【0121】
応用例 I
応用例H を繰り返すが、油脂溶液化後で蟻酸の最後の添加前に、染浴を排水し、50℃で水200 部およびエピクロロヒドリンとジメチルアミンの水溶性の高分子反応生成物2 部を加え、ドラミングを30分間続け、その後2-脂肪アルキルイミダゾリン0.5 部を加え、その後ドラミングを更に20分間続ける。その後染浴を排水し、そして通常の方法でレザーを濯ぎ、排水し、乾燥し、そして硬化させる。顕著な堅牢度( 特に湿潤堅牢度、ドライクリーニングに対する堅牢度、耐光堅牢度およびPVC-マイグレーションに対する耐性) を有する均一なブラウンシェードに染色されたレザーは得られる。
【0122】
例1.1.1 によるブラウンの染料と同様に、塩の形で、例1.1.2 〜104.2.2 の各々の染料は上記の応用例A 〜I の各々で使用され、それにより対応するシェード、深さおよび堅牢度の染色物が得られる。

Claims (9)

  1. 錯塩要素の少なくとも1つが下記式のポリアゾ化合物
    Figure 0003737539
    [式中、-A1-(CO) p-OHは式H2N-A-(CO)p -OH のジアゾ成分
    (ここで、置換基-(CO) p -OH はジアゾ化可能なアミノ基-NH2に対してオルト位であり、-A- はオルトの2 価の基であり、そしてp は0 または1 である。)の基であり、
    -X- は芳香族の2 価の基であり、
    -B1 はカップリング成分HB 基であり、
    m は0 または1 であり、
    n は0 、1 または2 であり、
    そしてM は水素またはカチオンであり、
    但し、m+n=1 または2 である。]
    である1:2 金属錯塩またはかかる錯塩の混合物。
  2. 式(I) のいずれかの化合物が
    Figure 0003737539
    (式中、R は水素またはメチルである。)
    に対応する請求項1記載の1:2 金属錯塩または1:2 金属錯塩混合物。
  3. 請求項1または請求項2記載の1:2 金属錯塩または混合物で
    あって、
    式中、-A1-(CO)p -OH が1 〜4 個の芳香環を含むベンゼン系および/ またはナフタレン系のジアゾ成分の基であり、
    ここで、それが2〜4個の芳香環を含むならば、2 個の芳香環の間にヘテロ原子橋かけを含むことができ、
    -B1 はベンゼン、ナフタレン、複素環式若しくは開鎖メチレン活性体系であるカップリング成分の基であり、そして、
    錯塩形成性金属が鉄、クロムまたはコバルトである、
    錯塩または混合物。

  4. Figure 0003737539
    (式中、Meは1:2 錯塩形成性金属であり、
    Lgは配位子または配位子群であり、
    t はMe錯塩の負電荷の数であり、そして、
    (Kat) + は対イオンである。)
    の請求項1〜3のいずれか1項に記載の1:2 金属錯塩またはかかる錯塩の混合物。

  5. Figure 0003737539
    (式中、Me1 は鉄、コバルトまたはクロムであり、そして、
    t'は0 または1 である。)
    の請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属錯塩またはかかる錯塩の混合物。

  6. Figure 0003737539
    の請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属錯塩またはかかる錯塩の混合物。
  7. a)少なくとも1 種の請求項1記載の式(I) の金属化可能な化合物、および、必要に応じて1 種以上の更なる錯塩形成性配位子を1:2 金属錯塩形成性金属化合物と反応させる、または、
    b)式
    Figure 0003737539
    (式中、Lg" はLgであるか、または-NH2のN=N-B1への転化後および必要に応じてA のA1への転化後にLgとなる配位子である。) の1:2 金属錯塩化合物またはその混合物を請求項4記載の式(IV)の金属錯塩またはその混合物に転化させる、
    請求項1または6のいずれか1項に記載の金属錯塩または混合物を製造する方法。
  8. アニオン染料で染色可能な基材の染色方法であって、前記基材が請求項1記載の1:2 金属錯塩またはその混合物で染色される方法。
  9. レザーまたはペルトの染色のための請求項8記載の方法。
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