JP3737392B2 - バッテリー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、バッテリーに関し、特に、バッテリーを小型化、軽量化する技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話機、簡易型携帯電話機等の携帯端末に用いられるバッテリーには、略直方体状のバッテリーセルと、このバッテリーセルの各端子に電気的に接続される回路基板とを備え、これらを樹脂によって一体的に固定したものがある。前記バッテリーセルは、アルミニウム材を深絞り加工してなる容器内に、セパレータによって分離された正極フィルムと負極フィルムとを複数層積層したものを電解液と共に封口板によって封入することにより構成されている。この封口板には、その中央に、負極端子が突出状態に配置されている。
【0003】
前記回路基板は、バッテリーセルの充電制御及び電気的保護のためのものであり、前記バッテリーセルの表面に両面テープにより接着されている。回路基板のバッテリーセルへの接着位置は、バッテリーの厚みが増加することを防止するために、バッテリーセルの厚さ方向に沿う側面とされると共に、両面テープによる充分な接着面積を確保するために、平坦な側面が選択されている。また、回路基板は、バッテリーセルの一側面に突出する負極端子と接続する必要から、負極端子に隣接する側面に取り付けられている。
【0004】
さらに、回路基板はバッテリーセルの各端子に金属製の接続板によって接続されている。この接続板は、バッテリーセルの全長にわたって配されている細長い回路基板の両端から、隣接する側面の負極端子及び正極端子に向かってそれぞれ延びており、それぞれの先端を各端子に半田付されることにより、回路基板とバッテリーセルとを電気的及び機械的に接続するようになっている。したがって、これら接続板は、前記バッテリーセルを抱え込むように配置され、回路基板を前記バッテリーセルに固定している。そして、このようにしてバッテリーセルに固定された回路基板及び接続板が、樹脂モールド部によって包み込まれ、バッテリーセルと一体化されている。
すなわち、上述した従来のバッテリーでは、回路基板を取り付けるために、バッテリーセルの3つの側面を使用し、これら回路基板及び接続部材を被覆する樹脂モールド部がバッテリーセルの3側面にわたって形成されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のバッテリーには以下の問題点がある。
すなわち、バッテリーセルの3側面にわたって樹脂モールド部が形成されると、バッテリーの体積が大きくなってしまうという問題がある。
また、回路基板をバッテリーセルに両面テープによって接着する方法では、樹脂モールド部の成形温度によって両面テープの粘着力が低下し、回路基板が脱落し易くなる可能性がある。さらに高い成形温度による回路基板上のIC部品や半田付部分への悪影響を低減する必要もある。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、バッテリーの小型軽量化及び信頼性の向上を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、バッテリーセルと、このバッテリーセルの各端子に電気的に接続される回路基板とを備え、この回路基板が、前記バッテリーセルの表面のうち、面積が最小となる最小面積表面に隙間を介して対向して配置され、前記最小面積表面との隙間に樹脂を充填した樹脂モールド部によって前記バッテリーセルに一体化されているバッテリーを提案している。
【0007】
この発明によれば、バッテリーの最小面積表面に対向させられる回路基板をバッテリーセルの輪郭から突出しないように、最小面積表面より小さく構成すると共に、バッテリーセルを長さ方向に延長するように、樹脂モールド部を成形することが可能となり、最小面積表面のみに樹脂モールド部を有するバッテリーを提供することができる。
その結果、回路基板を包み込む樹脂モールド部を小さくして回路基板を取り付けることによるバッテリーの体積の増加を最小限に抑え、バッテリーを小型化、軽量化することができる。また、使用する樹脂量が少なくて済むので、製品コストを削減できる。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のバッテリーにおいて、前記バッテリーセルが、前記最小面積表面に負極端子と正極端子とを有するバッテリーを提案している。
この発明によれば、バッテリーセルと回路基板とを電気的に接続するための接続部材を回路基板と共に一体的に成形した樹脂の中に含めることができるため、樹脂モールド部によって接続部材を絶縁することができる。また、回路基板とバッテリーセルとを接続する配線距離を短くすることができる。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載のバッテリーにおいて、前記回路基板が、金属製の複数の接続部材を介して、前記負極端子及び正極端子に取り付けられているバッテリーを提案している。
このバッテリーによれば、樹脂モールド部を成形する際に使用される高温の溶融樹脂から回路基板が受ける熱を、伝熱性の良好な金属製の接続部材を介して、回路基板からバッテリーセル側に向かって放熱させることが可能となり、回路基板上のIC部品や半田付部分への悪影響を低減できる。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、請求項3に記載のバッテリーにおいて、前記接続部材が、回路基板をバッテリーセルに固定する支持部材であるバッテリーを提案している。
このバッテリーでは、接続部材が支持部材を兼用することにより、回路基板をバッテリーセルに取り付ける強度を確保することができる。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、請求項4に記載のバッテリーにおいて、前記負極端子が、前記最小面積表面の中央部に配置され、前記正極端子が、前記負極端子を挟んで両側に配置され、前記支持部材が、これら負極端子、正極端子と前記回路基板とに固定されているバッテリーを提案している。
このバッテリーでは、支持部材によって最小面積表面上にて回路基板の中央部とその両端に支持されるため、バッテリーセルと回路基板との接続を強化することができ、回路基板を含んだ樹脂モールド部が外力によっての脱落することを防止することができる。また、回路基板がバッテリーセルに固定されてから、樹脂によって被覆されるまでの工程において、外力による回路基板の歪みや変形を防ぐことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係るバッテリーの一実施形態を図1から図6を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るバッテリー1の外観を示す斜視図である。バッテリー1は、携帯電話機等の携帯端末に使用されるものであり、バッテリーセル2と樹脂モールド部3とにより構成されている。
【0013】
バッテリーセル2は、例えば、リチウムイオンバッテリーであり、図2に示されるように、深絞り成形されたアルミニウム製の直方体状の容器と、この容器の開口部を密封する封口板2aとを周溶接してなり、内部に図示しないセパレータ及び電極が電解液と共に封入された構造のものである。封口板2aの中央部には、前記封口板2aの表面から突出して負極キャップ2bが設けられている。負極キャップ2bは、封口板2aに対して電気的に絶縁されている。前記封口板2aは、バッテリーセル2の表面のうち、投影面積が最も小さい最小面積表面の一つを構成している。このように構成されたバッテリーセル2では、負極キャップ2bが負極端子として、その他の表面すべてが正極端子として、それぞれ機能している。
【0014】
樹脂モールド部3には、図2に示されるような、回路基板4と支持部材5とが樹脂によって包み込まれている。
回路基板4は、バッテリーセル2の封口板2aの大きさに満たない程度の面積を有するものであって、適当な電子部品や外部接続用のコネクタ6等を搭載している。この電子部品は、バッテリーの充電制御等を行うための部品である。前記回路基板4は、バッテリーセル2の封口板2aに対向して配置されると共に、支持部材5を介してバッテリーセル2に接続されるようになっている。回路基板4には、図2に示すような、接続穴4a,4bが設けられている。接続穴4a,4bには、前記コネクタ6等から導かれた配線(図示略)が接続されている。
【0015】
支持部材5は、例えば、図3に示すように、金属製の板材の両端に接続突起5aを有しており(図3(a))、この板材を折り曲げ部5bに沿って折り曲げ加工することにより、L字状に形成されている(図3(b))。接続突起5aは、回路基板4の接続穴4a,4bに挿入するための突起である。
また、バッテリーセル2の負極端子は正極端子よりも一段高く突出しているので、各端子と回路基板4の接続穴4a,4bとを接続する支持部材5の接続長さは、各端子ごとに異なる。そこで、各端子の支持部材5を構成するために同一の板材を用いて、折り曲げ部5bの位置を変えることにより、支持部材5の接続長さを調整し、支持部材5をバッテリーセル2の各端子に取り付けている。
支持部材5は、バッテリーセル2の負極キャップ2b及び封口板2aの両端にスポット溶接又は半田付によって接続されている(図4)。さらに、支持部材5は、接続突起5aを回路基板4の接続穴4a,4bに挿入した上で、接続穴4a,4b部分にスポット溶接又は半田付によって接続されている(図5)。以上のように、支持部材5は、バッテリーセル2の各端子と回路基板4とを電気的に接続すると共に、両者間の機械的な取り付け強度の確保している。
【0016】
このようにしてバッテリーセル2の最小面積表面に固定された回路基板4及び支持部材5は、樹脂によって包み込まれることにより、これらバッテリーセル2、回路基板4及び支持部材5が樹脂により一体的に固定された樹脂モールド部3が構成される。
【0017】
上記実施形態のバッテリー1によれば、回路基板4は、バッテリーセル2の最小面積表面に対向配置されるので、他のいずれの表面に配置されるよりも、樹脂モールド部3の体積を小さくすることができる。このため、バッテリー1の体積の増加を最小限に抑え、バッテリー1の小型軽量化を実現することができる。また、樹脂モールド部3に要する樹脂の量が少なくて済むので製品コストを削減できる。
【0018】
また、伝熱性の良い金属製の支持部材5が、バッテリーセル2と回路基板4とを接続しているので、その周辺に流し込まれる高温の溶融樹脂から回路基板4が受ける熱を、熱容量の高いバッテリーセル2に向かって放熱することができる。したがって、回路基板4のIC部品や半田付部分を過熱することがなく、熱による悪影響を低減できる。
【0019】
また、回路基板4は、バッテリーセル2の封口板2aの両端及び中央部の負極キャップ2bにそれぞれ取り付けられた支持部材5によって、3点で支持されるので、バッテリーセル2と回路基板4とを十分に高い取り付け強度で固定できる。これにより、樹脂モールド部3に外力が作用しても、脱落しないように保持することができる。また、回路基板4をバッテリーセル2に固定してから、樹脂によって回路基板4とバッテリーセル2とが一体化されるまでの工程において、外力による回路基板4の歪みや変形を防ぐことができる。
【0020】
このように構成された本実施形態に係るバッテリー1は、例えば、図6に示されるように、携帯端末としての携帯電話機Kに装着される。
携帯電話機Kには、バッテリー1を収容する凹状の収容部11が設けられ、該収容部内にはバッテリー1のコネクタ6に接続するためのコネクタ12が配置されている。バッテリー1が収容部11に収容されると、バッテリー1のコネクタ6が収容部11内のコネクタ12に接続されて携帯電話機Kに給電される。また、収容部11に収容されたバッテリー1は、収容部11を密閉する蓋部材13によって落下しないように保持される。
この場合において、本実施形態に係るバッテリー1によれば、収容部11の容積を低減することができ、したがって、携帯端末の小型化を図ることもできる。
【0021】
なお、前記実施形態では、回路基板4は、バッテリーセル2の封口板2aに対向して配置されるとしたが、小型化のみを考慮すると、封口板4aと同じ面積を有する反対側の面に配置されてもよい。
また、回路基板4の両端の接続穴4bは、バッテリーセル2の正極端子と電気的に接続されるとしたが、電気的接続は、一方の接続穴4bにより行うことにしてもよい。
【0022】
また、支持部材5は、金属板を加工した部材としたが、金属製の略円柱、略直方体形状のものでもよい。さらに、支持部材5は、回路基板4を支持する役割と回路基板4から熱を逃がす役割とを兼用しているとしたが、熱を逃がす役割のみを有する部材とすれば、金属製であればよく、網状やコード状の部材でもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は以下の効果をもつ。
請求項1に係る発明によれば、回路基板をバッテリーセルの最小面積表面に樹脂モールド部により一体化することにより、回路基板を取り付けることによるバッテリーの体積増加を最小限に抑えることができ、バッテリーを小型軽量化することができる。
【0024】
請求項2に係る発明によれば、回路基板とバッテリーセルとを電気的に接続するための接続部材を樹脂モールド部に収めることができるため、樹脂モールド部によって接続部材の絶縁をも行うことができる。また、回路基板とバッテリーセルとの電気的な配線長さを最低限にできるため、製品コストの削減を図ることができるという効果もある。
【0025】
請求項3に係る発明によれば、回路基板が高温の溶融樹脂から受ける熱をバッテリーセルに移動させ、回路基板上のIC部品や半田付部分への悪影響を低減でき、バッテリーの信頼性を向上することができるという効果を奏する。
【0026】
請求項4又は請求項5に係る発明によれば、バッテリーセルと回路基板とを接続する取り付け強度が確保でき、外力に対するバッテリーの健全性を保持することができる。
【0027】
請求項5に係る発明によれば、バッテリーセルと回路基板との固定が補強されるため、バッテリーの信頼性が向上する効果をもつ。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態に係るバッテリーを示す斜視図である。
【図2】 図1のバッテリーの樹脂モールド部を分解して示した分解斜視図である。
【図3】 図1のバッテリーに使用される支持部材を示す斜視図であり、(a)は折り曲げ加工前、(b)は折り曲げ加工後の状態を示している。
【図4】 図1のバッテリーの組み上げ手順を示す斜視図である。
【図5】 図1のバッテリーの樹脂モールド部形成前の状態を示す斜視図である。
【図6】 図1のバッテリーを携帯電話機に装着する手順を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 バッテリー
2 バッテリーセル
2a 正極端子
2b 負極端子
3 樹脂モールド部
4 回路基板
5 支持部材(接続部材)
Claims (5)
- バッテリーセルと、このバッテリーセルの各端子に電気的に接続される回路基板とを備え、
この回路基板が、前記バッテリーセルの表面のうち、面積が最小となる最小面積表面に隙間を介して対向して配置され、前記最小面積表面との隙間に樹脂を充填した樹脂モールド部によって前記バッテリーセルに一体化されているバッテリー。 - 前記バッテリーセルが、前記最小面積表面に負極端子と正極端子とを有する請求項1に記載のバッテリー。
- 前記回路基板が、金属製の複数の接続部材を介して、前記負極端子及び正極端子に取り付けられている請求項2に記載のバッテリー。
- 前記接続部材が、回路基板をバッテリーセルに固定する支持部材である請求項3に記載のバッテリー。
- 前記負極端子が、前記最小面積表面の中央部に配置され、前記正極端子が、前記負極端子を挟んで両側に配置され、前記支持部材が、これら負極端子、正極端子と前記回路基板とに固定されている請求項4に記載のバッテリー。
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