JP3737142B2 - ビデオシステムの通信チャネルにおけるオフセット特性を補正するための方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は一般に電子的データの通信中に、より特定すれば画像処理装置における画像データの通信中に存在するオフセットと利得のドリフトを補償するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子的データ、特に画像またはビデオデータの通信中に頻発する問題はオフセットのドリフトおよび利得のドリフトである。オフセットと利得のドリフトは画像データの処理または通信に関係する個々の部材の特性に起因することがある。すなわち、電荷結合素子(CCD)から受信した信号のためのバッファとして機能するシフトレジスタは、レジスタ独自に固有のオフセットおよび利得特性を有することがあり、またはスキャナは現在の動作条件すなわち動作温度、光温度、年数等によるオフセットと利得のドリフトに関係することがある。さらに、オフセットと利得のドリフトは、1つの部材から別の部材へ、処理サイクル中にデータを転送する各チャネルの特性に起因することがある。オフセットのドリフトまたは利得のドリフトが充分に特定されない場合、すなわち処理している信号がオフセットまたは利得のドリフトに対処するように調節されていない場合、信号の処理は正確に行なわれず、画像処理システムにおいては生成される画面または画像の品質を低下させることがある。
【0003】
原稿をラスタ走査することにより撮像するための撮像装置たとえば電荷結合素子(CCD)を用いるシステムにおいて、CCDの生成する出力信号はCCD固有の動作特性に帰属し得る電位を含んでいる。CCDの画像出力信号を真の値または絶対値へ復帰させるには、オフセット電位または信号と称するCCDに由来する電位を画像信号から除去する必要がある。しかし、除去したオフセット信号が実際のオフセット信号より大きいまたは小さい場合、画像出力信号に目立つほどの収差または歪曲が現れることがある。CCDの動作特性はしばしば1つのCCDと別のCCDで大幅に変動し、同一のCCDであってもまたは異なる集積率であっても経時的に変動することがあり、除去すべきオフセット信号の正確な決定が困難なことが多い。多数のCCDを使用するシステムにあっては問題はさらに複雑になる。
【0004】
前述の撮像装置を使用するオペレーティング・システムは一定の画像信号利得に対して設計されている。しかし、撮像装置内の個々のCCDの動作特性が変動することがあるため、信号利得はCCDによって変化することがあり、または同一のCCDでも変化することがある。つまり特定の速度で作動する特定のCCDに最適化したシステムでは、CCDの作動特性の変化により、またはCCDを別のものに交換した場合、変化に対応するようにシステムを再設計するかまたは再較正すべきことがある。
【0005】
これらの問題を解決するため、一般的な画像処理システムまたは画像走査システムは所定回数の走査ごとに1回、画像センサの較正を実行している。大半の場合、所定の走査回数は10回以下であるが、多くのシステムでは各走査の前に画像センサを較正している。これらのシステムがオフセットおよび利得のドリフトの問題に対処したとしても、これらのシステムで使用する補償技術はオフセットまたは利得特性における積分変化を完全に補償しておらず、高速でデータを処理しなければならないようなシステム、たとえば定速搬送式画像処理装置に容易に適応し得るものではない。
【0006】
オフセットと利得のドリフトの補正に関連した別の問題は較正中の基準値の確立である。典型的なプラテン走査の構造では、キャリッジが個々の独立した文書の走査を行なう前に較正目標を走査できることから、実質的な問題ではない。しかし、定速搬送システムにおいては、キャリッジが固定してあり、またそのため、個々の文書それぞれの走査の前に較正目標を走査するのは現実的に不可能である。そのため、定速搬送システムに関しては、実際の較正値の生成の間に不定数の走査を行なうことが出来、かつ一般的な作動条件によるオフセットと利得のドリフトを充分に補正し得るような較正システムを有することが必要である。
【0007】
この目標に到達するには、システムを再較正しなければならない要因を補正する必要がある。これらの要因は一般にセンサ・バー、ビデオ回路、または照明系における熱的変化に起因するプロファイル変動である。ドリフトはオフセット変化または利得変化の形態を取ることがあり、高速走査方向または低速走査方向に発生し得る。低速走査のドリフト補正に対処する方法は多数存在している。
【0008】
しかし、上述の各種方法は高速走査方向に発生するオフセットおよび利得の変化を補正することが出来ず、これらの方法は定速搬送システムで有効でもない。さらに、全幅アレイシステムの最近の開発により、どのようなシステムを使用しているかに関係なく、すなわちプラテン走査か、または定速搬送方式かによらず、高速走査方向におけるオフセットと利得のドリフト変動がより頻繁に見られるようになってきた。これは全幅アレイがいくつかの小型アレイを突き合わせまたは互い違いとなるように相互に結合して作成されているという事実によるものである。
【0009】
高速走査のオフセットドリフトは温度変化と、個々のセンサチップまたはビデオチャネルの間の相違に起因する。一方、高速走査の利得変化は、ランプの熱的動作特性により変化するランプのプロファイルの変化、または実際のセンサチップまたはビデオチャネルの利得ドリフトのいずれかに起因する。
【0010】
利得およびオフセットのドリフトによる問題を起こすような画像処理システムの別の部材は、画像処理システム内の2点間で画像データを転送または通信するのに実際に使用しているチャネルである。より特定すれば、複数の画像またはビデオデータ用チャネルを備えるアナログ・ビデオシステムにおいて、各チャネルが同一の転送機能または応答特性を有することが重要である。チャネル間の何等かの差が最終画像における相違、たとえばチャネルの縞またはムラなどを発生し得る。設計時に各チャネルが同一になるようにしても、各チャネルで使用する部材には各種の許容誤差があるため、各チャネルの性能には必ずわずかな相違が存在してしまう。
【0011】
従来技術の補正システムにおける問題点は、高速走査方向におけるオフセットと利得のドリフトを補正できないこと、または図1に図示したように、高速複写機の構造への実装が容易にできないことである。該補償システムは動作特性の変化に対する、より特定すれば高速走査方向に沿って発生した特性変化に対して、走査の過程の間に較正値を生成することなく、オフセットと利得の設定を迅速に調節可能である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明の目的は、高速走査方向におけるオフセットと利得の変化に容易に応答し、かつ高速複写機に適用可能な方法またはシステムを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は高速走査方向におけるオフセットのドリフトならびに高速走査方向における利得のドリフトを補償することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は通信チャネル内のオフセットのドリフトならびに通信チャネル内の利得のドリフトを補償することである。
【0015】
本発明の別の目的は高速複写機におけるオフセットおよび/または利得のドリフトを連続的に調節可能で、各文書走査の後で再較正過程を必要としないシステムを提供することである。
【0016】
本発明のさらに別の目的は定速搬送システムを使用する場合にオフセットおよび利得のドリフトを補償する方法およびシステムを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの態様では、画像処理装置内で画像生成過程の間に高速走査方向における利得のドリフトを補正する。本実施例は較正ストリップの走査中に複数のアクティブ画素をサンプリングするものである。本発明は回収したサンプルから利得補正値を計算する。本発明もプラテン背景の走査中にアクティブ画素をサンプリングする。これらのサンプルから、プラテン背景の連続サンプルの間の相違によって利得補正値を連続的に調節し、補正値をアクティブ画素の生成した画像データ信号に印加する。
【0018】
本発明の第2の態様では、複数のアクティブ画素と永久的に暗転した画素 (permanently darkened pixel) を含む画像センサおよびこれの制御回路を有する画像処理装置内の多チャネルシステムでオフセット特性を平衡させる。システムが各チャネルの出力をサンプリングし、チャネルオフセット回路が別々のチャネルオフセット電圧を各チャネルごとに生成印加して、チャネルオフセット電圧が各チャネルの連続サンプルに従って変化するようにしてある。
【0019】
本発明の第3の態様では、画像処理装置内の多チャネルシステムで利得特性を平衡させる。システムが各チャネルの出力をサンプリングし、チャネル利得回路が別々のチャネル利得を各チャネルごとに生成印加して、チャネル利得が各チャネルの連続サンプルに従って変化するようにしてある。
【0020】
【実施例】
以下は本発明を説明するために用いるそれぞれの図面の簡単な説明であって、説明のみを目的として提示したものであり、本発明の範囲を制限すべきものではない。
【0021】
図1は定速搬送システムの実施例である。
【0022】
図2は本発明で使用する全幅アレイシステムの実施例である。
【0023】
図3は高速走査方向における利得ドリフトを補償する本発明の実施例を示すブロック図である。
【0024】
図4はオフセットと利得両方のドリフトを補償する本発明の別の実施例を示すブロック図である。
【0025】
図5はチャネル独自の特性に関係するオフセットのドリフトを補償する本発明の実施例を示すブロック図である。
【0026】
図6はチャネル独自の特性に関係する利得のドリフトを補償する本発明の実施例を示すブロック図である。
【0027】
図7はチャネル独自の特性に関係するオフセットと利得両方のドリフトを補償する本発明の実施例を示すブロック図である。
【0028】
図8は高速走査関係において利得のドリフトを補償する本発明の方法を図示した流れ図である。
【0029】
図9は、多チャネルシステムの転送機能を平衡させ、これによって特定チャネル内のオフセットと利得両方のドリフトを補償するような方法を示す流れ図である。
【0030】
以下は本発明を図示した図面の詳細な説明である。説明において、また図面においても、同一のまたは等価な機能を実行する装置または回路または等価回路は同一の参照番号で示してある。
【0031】
本発明に関しては、光学的に画像データを受け入れることの出来るどのような種類の装置でもよい。本発明の好適実施例において、センサは全幅アレイを形成するように組み立てた電荷結合素子(CCD)である。この全幅アレイは電荷結合素子の小型アレイ(センサチップ)を突き合わせるか、または電荷結合素子の小型アレイを互い違いに配置するかのいずれかで構成する。これらの電荷結合素子では個々のアクティブ画素を用いて受け入れた光を検出し、これを表わす電気信号を生成している。
【0032】
全幅アレイ電荷結合素子10の例を図2に図示してある。図2において、複数画素が個々のセンサチップ11の上に配置してある。これらの画素は、受け入れた画像を電気信号に実際に変換するために用いる一組のアクティブ画素13と、オフセット補正値の決定に用いる永久的に暗転した画素12の小さな組を含む。
【0033】
本発明の好適実施例において、個々のセンサチップ11はそれぞれが複数のアクティブ画素13と永久的に暗転した画素12の小さな組を備えている。しかし個々のアクティブ画素それぞれに対応する単一の永久暗転画素を、もっと大きいアクティブ画素の組13に対応する永久暗転画素のグループの代わりに有することも可能である。
【0034】
図3では高速走査方向または定速搬送システムの利得のドリフトを補正する本発明の実施例を示すブロック図を図示してある。図3はマルチプレクサ30、加算回路1、アナログ/デジタル変換回路2、乗算回路3、利得補正値生成回路45を含む。利得補正値生成回路45はコンパレータ41と乗算回路40を有する。画像センサに対応する回路を起動すると、構成ストリップのサンプルを取り、画素間利得補正値が決定される。また、プラテン背景もサンプリングして個々からの値を高速走査プロファイルの基準値として保存する。この基準値は、コンパレータ41へ入力された白ドリフトまたは利得ドリフトに対応する。
【0035】
本発明において、画素間利得補正値は、1つの区画が1つのセンサチップに対応するような多数の区画に分割できる。しかし、断片化をもっと大きく、すなわちチップあたり1つ以上の区画、またはもっと小さく、すなわち区画あたり1つ以上のチップとすることも出来る。断片化の選択は画質に影響を与え得ることに注意する。しかし、各区画の利得基準値は単一の基準値を生成するように平均化される。各チップからの白基準信号を、それぞれのチップについて利得基準値が保存できるように分離して、利得補正値がそれぞれのチップについて列挙し得るようにしている点が重要である。
【0036】
文書走査それぞれの間で、キャリッジが待機位置にあるとき(図1では、スキャナ23が個々の文書21の間に配置してあるプラテン背景をサンプリングできるような定速搬送システムを参照して位置を図示してある)、プラテン背景22を繰返しサンプリングしてセンサ・ビデオ・データとして白基準信号を生成し、これをマルチプレクサが選択して加算回路1へ入力する。白基準信号はコンパレータ41へ入力して利得または白ドリフト設定点と比較する。コンパレータ41は白基準信号を利得または白ドリフト設定点と比較して、センサチップまたは全幅アレイシステムの利得特性に変化が起きたかを決定する。
【0037】
白ドリフト設定点と白基準信号の間に相違がある場合、コンパレータは調節信号またはこの差に対応する値を生成する。利得補正方法が断片化を要求する場合、調節信号は重み付け方式に従って分割され、個々の調節信号を用いて断片化した画素間利得補正値の個別調節を行なう。重み付け方式はたとえば10個の断片がある場合にはそれぞれの断片について係数0.1とすることがあり、または10個の断片がある場合に係数を0.1、0.2、0、0.1、0.5、1.5、0.75、1.25、0、2とすることもある。実際の重み付け方式はスキャナ独自の特性に対応するように実装することが出来る。
【0038】
以上のような調節信号を乗算回路40へ供給し、調節信号を画素間利得補正値と乗算して調節利得補正値を生成する。乗算回路40は調節利得補正値を乗算回路3へ出力し、乗算回路3は実際の画像データを乗算して、断片内の利得ドリフトを補償する。さらに、この調節は所定の重み付け方式に頼ることなく、それぞれのセンサチップに対し個別に行なうことが出来る。
【0039】
上述の実施例では、利得を従来の方法で決定している。より特定すれば、光最大値を表わす基準信号たとえば5ボルトをシステムに供給している。オフセットの補正が必要な場合にはオフセットの補正後、システムから出力した信号の残りの値を5ボルトと比較する。たとえば出力信号が8ボルトであったとすると、利得補正値は0.625であることが判り、後続の走査ではこれを用いて全ての出力光最大値が5ボルトとなるようにする。一方、たとえば出力された信号が4ボルトの場合には、利得補正値が1.25であることが判るので、これを後続の走査に用いる。ここでは5ボルト以外のあらゆる基準値を用いることが出来る。
【0040】
図4は図1に図示したような高速走査方向または定速搬送システムにおけるオフセットおよび利得のドリフトを補償する本発明の実施例を示すブロック図である。
【0041】
図4において、センサからのビデオまたは画像信号はマルチプレクサ30へ入力する。さらに、マルチプレクサ30はデータ列内部の所定位置でセンサ・ビデオデータの一部として黒基準信号を受信する。黒基準信号は図2に図示したような永久暗転画素12のサンプリングから生成する。黒基準信号はセンサが全く光を受け取っていない状況を表わす信号である。アクティブ画素13の生成した画像信号はセンサ・ビデオデータとしてマルチプレクサ30へ入力する。黒基準信号は永久暗転画素12が生成する。
【0042】
マルチプレクサ30は先に決定したオフセット補正値にセンサ・ビデオデータを加算する加算回路1へ接続している。初期較正中はこの値がゼロで、初期オフセットは永久暗転画素12から決定できる。オフセット補正値に加算後、加算回路1はアナログ/デジタル変換回路2へ信号を出力する。アナログ/デジタル変換回路2はオフセットを補正したアナログデータをデジタルデータに変換し、デジタル信号を乗算回路3へ入力する。乗算管理3はアナログ/デジタル変換回路2から受信したデジタル信号と、詳細については後述する利得補正値を乗算する。
【0043】
オフセット補正値を決定するには、図4ではコンパレータ33、加算回路32、デジタル/アナログ変換回路31を含む回路を使用する。これら3つの回路でオフセット補正値生成回路35を構成する。
【0044】
高速走査方向または定速搬送システムの利得ドリフトを補正するため、図4は利得補正値生成回路45を含む。この利得補正値生成回路45はコンパレータ41と乗算回路40を有しており、図3に関連して前述した利得補正値生成回路と同じ機能を果たす。図4では利得の計算および補正以前にオフセットを補正するようなシステムが図示してあることに注意する。これは利得特性の正確な較正を補償するためである。
【0045】
図5には通信チャネルにおけるオフセットドリフトを補正する本発明の実施例を表わすブロック図が図示してある。図5はマルチプレクサ30と、加算回路1とアナログ/デジタル変換回路22とチャネルオフセット補償回路55を含む。このチャネルオフセット補償回路55は可変電圧源51と、スイッチング回路52と、コンパレータ53とを有する。最初に、チャネル黒基準信号をマルチプレクサ30経由でチャネルへ投入する。このチャネル黒基準信号をコンパレータ53がサンプリングして黒信号目標値と比較し、初期オフセット値の点を設定する。すなわち、コンパレータ53がチャネル黒基準信号と黒信号目標値の間の差に関してチャネルのオフセット値を決定する。
【0046】
オフセット値を決定すると、コンパレータ回路53はオフセット値に対応する信号を出力する。この信号はスイッチング回路52を経由して供給され可変電圧源51へ印加される。次にこのオフセット電圧が加算回路1を経由してサンプリングしたチャネルへ印加されて、そのチャネル内でのオフセットドリフトを補償する。
【0047】
装置の作動中に、コンパレータ53はチャネルに沿って送出される後続のチャネル黒基準信号の送信をサンプリングして、そのチャネルのオフセット特性が作動条件のために変化したかを調べる。コンパレータ53は続けてサンプリングしたチャネル黒基準信号を同一の目標値(黒信号設定点)と比較し、続けてサンプリングしたチャネル黒基準信号と同一の目標値の間に相違が見られるかを調べる。信号間に相違がある場合、コンパレータ53は相違に対応する新しい信号を生成し、これによってオフセット特性における変化を連続的に監視する。コンパレータ53が新しく生成したこの信号はスイッチング回路52を経由して可変電圧源51へ出力する。コンパレータ53から受信したこの新しい信号に応じて、可変電圧源51は新しいオフセット電圧を生成して加算回路1を介して該チャネルへ印加し、該チャネルのオフセット特性における何等かの変化を補償する。
【0048】
図6では通信チャネルの利得ドリフトを補正する本発明の実施例を示すブロック図を図示してある。図6はマルチプレクサ30と、乗算回路60と、アナログ/デジタル変換回路2と、チャネル利得補償回路65を含む。
【0049】
チャネル利得補償回路65は可変信号生成回路61と、スイッチング回路62と、コンパレータ63を有する。最初に、チャネル白基準信号をマルチプレクサ30を介してチャネルへ投入する。このチャネル白基準信号をコンパレータ63がサンプリングして白信号目標値と比較し、初期利得値の点を設定する。すなわちコンパレータ63は白基準信号と白信号目標値の間の差に関してそのチャネルの利得値を決定する。
【0050】
利得値を決定すると、コンパレータ回路63は利得値に対応する信号を出力する。この信号をスイッチング回路62経由で供給し可変信号生成回路61へ印加する。可変信号生成回路61はスイッチング回路62から受信した信号に応答して信号を生成する。この信号をサンプリングしたチャネルの乗算回路60へ印加して、そのチャネル内の利得ドリフトを補償する。
【0051】
装置の作動中に、コンパレータ63はチャネルに沿って送出される後続のチャネル白基準信号の送信をサンプリングして、そのチャネルの利得特性が作動条件のために変化したかを調べる。コンパレータ63は続けてサンプリングしたチャネル白基準信号を同一の目標値(白信号設定点)と比較し、続けてサンプリングしたチャネル白基準信号と同一の目標値の間に相違が見られるかを調べる。信号間に相違がある場合、コンパレータ63は相違に対応する新しい信号を生成し、これによって利得特性における変化を連続的に監視する。コンパレータ63が新しく生成したこの信号はスイッチング回路62を経由して可変信号生成回路61へ出力する。コンパレータ63から受信したこの新しい信号に応じて、可変信号生成回路61は新しい信号を生成して、加算回路1を介して該チャネルの乗算回路60へ印加し、該チャネルの利得特性における何等かの変化を補償する。
【0052】
図7は通信チャネルにおけるオフセットと利得両方のドリフトを補償する本発明の実施例を示すブロック図が図示してある。図6はマルチプレクサ30と、加算回路1と、乗算回路60と、アナログ/デジタル変換回路2と、チャネルオフセット補償回路55と、チャネル利得補償回路65を含む。
【0053】
チャネルオフセット補償回路55とチャネル利得補償回路65は、それぞれ図5と図6を参照して前述したのと同じ機能を果たす。よってこれらの詳細な説明は省略する。但し、オフセット補償を利得補償より先に実行してより正確な利得計算を補償していることには注意すべきである。
【0054】
図8は高速走査方向または定速搬送システムにおける利得のドリフトを補正する本発明の方法を図示している。本法は次のような段階を実行することにより画像処理装置のアクティブ画素から出力した信号における高速走査利得ドリフトを補正するものである。
【0055】
段階s10では、本発明は較正ストリップを走査し、較正ストリップの走査の結果として生成したそれぞれのアクティブ画素からの初期出力信号をサンプリングする。段階s11では、段階s10でサンプリングした出力から利得補正値を計算して保存する。段階s12では、それぞれのアクティブ画素からの出力を背景の初期走査中にサンプリングする。この後、段階s13では、段階s12でサンプリングした出力から平均利得値を計算し、基準値として保存する。本法では、段階s14で画像の完全な走査の間に背景の走査の結果として生成したそれぞれのアクティブ画素からの出力をさらにサンプリングする。段階s15では、これら後続のサンプルから、新しい平均利得値を計算する。段階s16では、本発明は保存してある基準値と段階s15で計算した平均利得値の間に相違が見られるかを調べる。段階s16で差が認められると、段階s17では段階s16で決定した差に従って利得補正値を調節する。段階s18では、段階s16の決定に従って、調節した補正利得値または未調節の補正利得値を印加する。この方法で補正利得値を再調整することにより、本発明ではアクティブ画素が出力した信号における高速走査利得ドリフトを補償することが出来る。
【0056】
図9ではデータ転送を行なう複数の通信チャネルにおけるオフセットと利得のドリフトを補正する本発明の方法を図示してある。以下は本法の段階を示す。
【0057】
段階s20では、本発明は同一のチャネル黒基準信号を複数チャネルのそれぞれのチャネルに注入する。段階s21では、本発明はチャネル黒基準信号を注入した点より後方でそれぞれのチャネルからの出力をサンプリングする。本法では次に、サンプリングしたチャネル黒基準信号と同一の黒信号目標値とを比較することにより、段階s22で各チャネルについて独立したオフセット値を計算する。本法ではさらに、段階s23で、それぞれのチャネルへ、そのチャネルに対応する計算オフセット値に従って、オフセット電圧を印加することにより、そのチャネルのオフセット特性を補正し、かつ複数チャネルについてオフセットを平衡させている。
【0058】
段階s24では、本発明は複数チャネルのそれぞれのチャネルに同一のチャネル白基準信号を注入する。段階s25では、本発明はチャネル白基準信号を注入した点より後方で各チャネルからの出力をサンプリングする。本法では次に、サンプリングしたチャネル白基準信号を同一の白信号目標値と比較することにより、段階s26で各チャネルについて独立した利得値を計算する。本法ではさらに、段階s27で、それぞれのチャネルへ、そのチャネルに対応する計算利得値に従って、利得を印加することにより、そのチャネルの利得特性を補正し、かつ複数チャネルについて利得を平衡させている。
【0059】
以上で本発明について詳細に説明したが、本発明の範囲を逸脱することなく、各種の変更を実現することが可能である。
【0060】
本発明は画像処理の分野で説明したが、本発明の方法ならびに概念は他の環境へも容易に応用することが可能である。たとえば、オフセットドリフトおよび利得ドリフトの補償方法は、標準的補償値が大して有効ではないような異なる作動条件に部材がおかれているようなデータ処理システムにも等しく応用可能である。より特定すれば絶対0度付近で作動するセンサのオフセットと利得のドリフトは、室温で作動するセンサのオフセットと利得のドリフトとは異なるはずである。
【0061】
さらに、チャネルの補償過程は、動作条件に化して連続的に変化するような転送機能を有するあらゆる通信経路に等しく応用可能である。より特定すれば、通信チャネルは画像処理装置内のハードウェアに制限されるものではなく、電話回線、放送周波数、またはその他の外部条件に左右されやすいまたは個別の転送機能について補償を必要とするような通信チャネルであってもよい。好適実施例において、多チャネルシステムは小さい断片に区切ったまたは分割した単一の画像を扱い、センサと画像処理装置またはその他の装置の間でこれを並列に通信している。しかしこの多チャネルシステムは、システムが各チャネルに均一の転送機能を必要とする場合には単一の画像を単一のチャネルに割り当て、チャネル間で通信しているデータの種類が単一画像の一部に制限されないような、複数の画像を扱うことが可能である。
【0062】
最後に、画素利得補正回路の白ドリフト設定点の値とチャネル利得補正回路の白ドリフト設定点の値は同じ値または異なる値であってもよい。好適実施例においては、2つの白ドリフト設定点の値が異なっている。
【0063】
本発明は、上記に開示した各種の実施例を参照して説明してきたが、上記で説明した詳細に制限されるものではなく、添付の請求項の範囲内でなしうるであろう変更および変化を含むことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 定速搬送システムの実施例の側面図である。
【図2】 本発明で使用する全幅アレイシステムの実施例の正面図である。
【図3】 高速走査方向における利得ドリフトを補償する本発明の実施例を示すブロック図である。
【図4】 オフセットと利得両方のドリフトを補償する本発明の別の実施例を示すブロック図である。
【図5】 チャネル独自の特性に関係するオフセットのドリフトを補償する本発明の実施例を示すブロック図である。
【図6】 チャネル独自の特性に関係する利得のドリフトを補償する本発明の実施例を示すブロック図である。
【図7】 チャネル独自の特性に関係するオフセットと利得両方のドリフトを補償する本発明の実施例を示すブロック図である。
【図8】 高速走査関係において利得のドリフトを補償する本発明の方法を図示した流れ図である。
【図9】 多チャネルシステムの転送機能を平衡させ、これによって特定チャネル内のオフセットと利得両方のドリフトを補償するような方法を示す流れ図である。
【符号の説明】
1 加算回路、2 アナログ/デジタル変換回路、3 乗算回路、10 全幅アレイ電荷結合素子、11 センサチップ、12 暗転画素、13 アクティブ画素、21 文書、22 プラテン背景、23 スキャナ、30 マルチプレクサ、31 デジタル/アナログ変換回路、32 加算回路、33 コンパレータ、35 オフセット補正値生成回路、40 乗算回路、41 コンパレータ、45利得補正値生成回路、51 可変電圧源、52 スイッチング回路、53 コンパレータ、55 チャネルオフセット補償回路、60 乗算回路、61 可変信号生成回路、62 スイッチング回路、63 コンパレータ、65 チャネル利得補償回路
Claims (3)
- (a)チャネル黒基準信号を通信チャネルに注入する段階と、
(b)前記段階(a)においてチャネル黒基準信号を注入した点より後方で前記通信チャネルからの出力をサンプリングする段階と、
(c)前記段階(b)においてサンプリングした出力に従って前記通信チャネルにおけるチャネルオフセット値を計算する段階と、
(d)前記計算したチャネルオフセット値に従って前記通信チャネルへチャネルオフセット電圧を印加することによって前記通信チャネルにおけるチャンネルオフセット特性を補正する段階と、
(e)較正ストリップの走査の結果として生成したそれぞれのアクティブ画素からの初期出力をさらにサンプリングする段階と、
(f)前記(e)の段階でサンプリングした出力から利得補正値を計算する段階と、
(g)前記利得補正値を蓄積する段階と、
(h)背景の初期走査の結果として生成されたそれぞれのアクティブ画素からの出力をサンプリングする段階と、
(i)前記段階(h)においてサンプリングされた出力から平均利得値を計算する段階と、
(j)平均利得値を基準値として蓄積する段階と、
(k)画像の完全な走査の間における背景の走査の結果として得られたそれぞれのアクティブ画素からの出力をサンプリングする段階と、
(l)前記段階(k)においてサンプリングされた出力から最新の平均利得値を計算する段階と、
(m)蓄積された基準値と前記(l)の段階で蓄積された最新の平均利得値との間の差を求める段階と、
(n)前記利得補正値を前記段階(m)で求められた差に基づいて調整する段階とを有するビデオシステムの通信チャネルにおけるオフセット特性を補正するための方法。 - (o)画像センサと回路を起動するに際して、永久的に暗転した複数の画素のそれぞれからの初期出力をサンプリングする段階と、
(p)対応する永久的に暗転した画素を基準値として、それぞれサンプリングした出力を蓄積する段階と、
(q)画像走査の間、それぞれの永久的に暗転した画素とそれぞれのアクティブ画素からの出力をサンプリングする段階と、
(r)蓄積した基準値と前記(q)の段階でサンプリングした永久的に暗転した画素との間の差に応じて画素オフセット電圧を生成する段階と、
(s)生成された画素オフセット電圧をアクティブ画素によって生成された画素データに印加することによって画素オフセット特性を補正する段階とを、さらに有する請求項1に記載のビデオシステムの通信チャネルにおけるオフセット特性を補正するための方法。 - 複数の通信チャンネルを有するビデオシステムのそれぞれの通信チャネルにおけるオフセット特性を補正するための方法であって、
(a)同じチャネル黒基準信号を複数の通信チャネルのそれぞれの通信チャネルに注入する段階と、
(b)前記(a)の段階でチャネル黒基準信号が注入された点より下流のそれぞれの通信チャネルからの出力をサンプリングする段階と、
(c)前記(b)の段階でサンプリングされた出力に基づいて、それぞれの通信チャネルにおけるチャンネルオフセット値を計算し、それぞれの通信チャネルが、対応する計算したチャンネルオフセット値を有するようにする段階と、
(d)対応する計算したチャネルオフセット値に従って通信チャネルへ対応するチャネルオフセット電圧を印加することによって、対応する通信チャネルにおけるチャンネルオフセット特性を補正する段階と、
(e)較正ストリップの走査の結果として生成したそれぞれのアクティブ画素からの初期出力をさらにサンプリングする段階と、
(f)前記(e)の段階でサンプリングした出力から利得補正値を計算する段階と、
(g)前記利得補正値を蓄積する段階と、
(h)背景の初期走査の結果として生成されたそれぞれのアクティブ画素からの出力をサンプリングする段階と、
(i)前記段階(h)においてサンプリングされた出力から平均利得値を計算する段階と、
(j)平均利得値を基準値として蓄積する段階と、
(k)画像の完全な走査の間における背景の走査の結果として得られたそれぞれのアクティブ画素からの出力をサンプリングする段階と、
(l)前記段階(k)においてサンプリングされた出力から最新の平均利得値を計算する段階と、
(m)蓄積された基準値と前記(l)の段階で蓄積された最新の平均利得値との間の差を求める段階と、
(n)前記利得補正値を前記段階(m)で求められた差に基づいて調整する段階とを有する前記方法。
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