JP3736911B2 - アイドル回転速度制御装置におけるステップモータ制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイドル回転速度制御装置におけるステップモータ制御方法、特に、アイドル調整弁およびステップモータ間に、バックラッシュを有する動力伝達手段が設けられ、基準位置からのステップモータの作動パルス数によって決定されるアイドル調整弁の現在位置とエンジン運転状態に応じて定まる目標位置との差に応じたパルス数のパルス信号で、ステップモータの作動が制御されるアイドル回転速度制御装置におけるステップモータ制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる制御方法は、たとえば特公昭63−42106号公報等により知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報では、ポテンショメータや、リミットスイッチ等の基準位置センサを用いることなく、アイドル調整弁の開度およびステップモータの作動パルス数を簡単に対応付けることを可能とするために、点火スイッチ遮断直後に、アイドル調整弁を全閉あるいは全開位置まで駆動するようにステップモータに一定のパルス数のパルス信号を与え、その全閉あるいは全開位置を基準位置とすべくステップモータの作動パルス数をリセットするようにしている。
【0004】
ところで、上記公報のものでは、アイドル調整弁が閉じ側に弾発付勢されておらず、しかもアイドル調整弁およびステップモータ間に設けられる動力伝達手段がラックおよびピニオンで構成されていてラックおよびピニオン間にはバックラッシュが必ず在るので、エンジン再始動に伴なうアイドリング時に、目標位置までのステップモータの作動と、該ステップモータの作動に伴なうアイドル調整弁の実作動位置との間に、図9で示すような差が生じる。
【0005】
すなわち、図10(a)で示すアイドル調整弁Vの全閉時からステップモータが作動量ΔA′だけ作動するまでは、ラック21およびピニオン22間のバックラッシュと、ステップモータにおける励磁パターンのずれ(一般的な4極2相励磁方式のステップモータでは最大3ステップ分のずれ)とにより、図10(b)で示すように、ラック21すなわちアイドル調整弁Vの開弁作動が開始されることはなく、アイドル調整弁Vの開弁作動に時間ΔTだけ遅れが生じることになる。またアイドル調整弁Vが或る開度まで作動した位置に在る図10(c)の状態からステップモータが作動量ΔA′だけ閉弁方向に作動するまでは、図10(d)で示すように、ラック21すなわちアイドル調整弁Vの閉弁作動が開始されることはなく、アイドル調整弁Vの閉弁作動に時間ΔTだけ遅れが生じることになる。
【0006】
またアイドル調整弁を閉じ側に弾発付勢する戻しばねを有するものでは、エンジン再始動に伴なうアイドリング時に、目標位置までのステップモータの作動と、該ステップモータの作動に伴なうアイドル調整弁の実作動位置との間に、図11で示すような差が生じる。すなわちアイドル調整弁の全閉時からステップモータが作動量ΔA′だけ作動するまでは、動力伝達手段でのバックラッシュと、ステップモータにおける励磁パターンのずれとにより、アイドル調整弁の開弁作動が開始されることはなく、アイドル調整弁の開弁作動に時間ΔTだけ遅れが生じ、アイドル調整弁が或る開度まで作動してからは、アイドル調整弁の作動に時間遅れが生じることはないものの、常に目標位置>実作動位置の関係となる。
【0007】
このように点火スイッチ遮断直後にアイドル調整弁を全閉位置まで駆動してその全閉位置を基準位置とすべくステップモータの作動パルス数をリセットするようにしたものでは、エンジン再始動時には、戻しばねの有無に無関係に目標位置>実作動位置の関係となり、エンジン再始動時にアイドル調整弁の目標開度までの開弁作動が遅れることになり、また始動後のアイドル回転速度制御でもアイドル調整弁の開度が目標開度よりも小さくなる。
【0008】
ところで、アイドル回転速度制御では、アイドル調整弁が全閉となることはなく、全閉近傍での微調整が要求されるが、上記特公昭63−42106号公報で開示されたものでは、アイドル調整弁の開弁駆動および閉弁駆動で実作動位置が異なることになり、正確なアイドル回転速度制御が困難である。また戻しばねを有するものでは、常に目標位置>実作動位置であるので、エンジン回転速度がぎくしゃくしてアイドル回転速度が不安定となり、エンストに至る可能性がある。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、点火スイッチ遮断後の再始動時にアイドル調整弁の開度を応答性よく制御可能とするとともに、アイドル調整弁の低開度での制御を正確にかつ安定的に制御可能としたアイドル回転速度制御装置におけるステップモータ制御方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、アイドリング時に吸気を導く通路の開度を調整するアイドル調整弁と;アイドル調整弁を開閉作動せしめる駆動力を発揮するステップモータと;ステップモータ側の駆動部材およびアイドル調整弁側の被動部材間にバックラッシュを有してステップモータおよびアイドル調整弁間に設けられる動力伝達手段と;アイドル調整弁の開度位置をその基準位置からの前記ステップモータの作動パルス数に予め対応させておき、前記基準位置からの前記ステップモータの作動パルス数によって定まるアイドル調整弁の現在位置をエンジン運転状態に応じて定まる目標位置に一致させるべく目標位置および現在位置間の差に対応したパルス数のパルス信号を出力して前記ステップモータの作動を制御する制御ユニットと;を備え、前記被動部材がアイドル調整弁の弁体に固定されているアイドル回転速度制御装置において、閉じ側に弾発付勢したアイドル調整弁を点火スイッチ遮断直後のステップモータの作動により全閉位置まで駆動するステップと、一定パルス数のパルス信号をステップモータに与えてアイドル調整弁を全閉位置から設定位置まで開弁方向に駆動するステップと、前記設定位置をアイドル回転速度制御の基準位置として定めるべく前記ステップモータの作動パルス数をリセットするステップとを順次経過せしめるようにし、前記一定パルス数が、前記駆動部材を動力伝達手段でのバックラッシュとステップモータにおける励磁パターンのずれとを含む分以上作動せしめてエンジン再始動時にはステップモータの作動に伴なうアイドル調整弁の実作動位置が目標位置より大となるように、前記ステップモータを駆動し得る値であることを特徴とする。
【0011】
点火スイッチ遮断直後に、アイドル調整弁を全閉位置まで駆動した後、ステップモータを動力伝達手段でのバックラッシュとステップモータにおける励磁パターンのずれとを含む分以上作動せしめて、アイドル調整弁を全閉位置から設定位置まで開弁方向に駆動し、その設定位置を基準位置として定めるべくステップモータの作動パルス数をリセットすることにより、エンジン再始動時には、実作動位置>目標位置となり、アイドル調整弁を速やかに目標開度まで開弁駆動することができ、優れた始動性を得ることが可能となる。しかも定常アイドル運転時にも要求開度までのアイドル調整弁の作動を速やかに行なうことができ、エンジン回転がスムーズでエンストが生じるおそれがない。またアイドル調整弁は、その開閉いずれの作動方向であっても同一開度となるので、アイドル調整弁の低開度での制御時に回転むらやエンストが生じる可能性を排除して正確な制御を行なうことが可能となる。さらに点火スイッチ遮断状態でアイドル調整弁は、全閉位置からわずかに開弁した位置にあるので、アイシングが生じるおそれもない。
【0012】
また請求項2記載の発明によれば、ステップモータの作動パルス数のリセット完了後に、外気温度に応じたパルス数だけステップモータを作動せしめ、アイドル調整弁を基準位置から開弁方向に駆動することにより、外気温度に応じたエンジン始動性に応じた開度にアイドル調整弁を開弁したままにしておくことにより、外気温度の変化にかかわらず、始動性をさらに向上することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。 図1ないし図6は本発明の第1実施例を示すものであり、図1はアイドル回転速度制御装置の構成を示す概略断面図、図2はアイドル調整弁およびステップモータの縦断側面図、図3は点火スイッチ遮断直後のステップモータの制御処理手順を示すフローチャート、図4は点火スイッチ遮断直後のステップモータ駆動信号およびアイドル調整弁作動位置の変化を示す図、図5はアイドル調整弁および動力伝達手段の全閉位置からの作動状態を順次示す図、図6はイニシャライズ後のアイドル調整弁の実位置および目標位置の変化を示す図である。
【0014】
先ず図1において、エアクリーナACおよびエンジンE間を結ぶ吸気通路1の中間部にはスロットルボディ2が設けられており、該スロットルボディ2には、吸気通路1の開度を調整するスロットル弁3が回動可能に配設されるとともに、該スロットル弁3を迂回する通路4が設けられる。該通路4は、エンジンEのアイドリング時にアイドル用吸気を導くものであり、該通路4の開度を調整してアイドル回転速度を制御するためのアイドル調整弁Vがスロットルボディ2に配設される。
【0015】
図2を併せて参照して、アイドル調整弁Vは、通路4の上流側4aに連なる弁孔5を形成して通路4の途中に設けられた弁座6と、通路4の下流側4bから弁座6に着座可能な弁体7とを備え、該弁体7が、スロットルボディ2に取付けられるステップモータMに動力伝達手段8を介して連結される。
【0016】
ステップモータMは、従来周知のものであり、その構造について詳細には説明しないが、外周面に永久磁石9を有するロータ10と、該ロータ10の外周面との間にわずかな間隙を隔てて固定配置されるとともに軸方向に隣接した一対のステータ11,12とを備える。両ステータ11,12は、合成樹脂から成る筒状のモールド部13に共通に設けられており、ロータ10は、軸方向の移動を阻止されるようにしてボールベアリング14を介して該モールド部13に回転自在に支承される。
【0017】
動力伝達手段8は、弁体7に一端が固定される被動部材としての弁軸15と、ステップモータM側の駆動部材であるロータ10とが、螺合されて成るものである。すなわち弁軸15に設けられた雄ねじ16が、ロータ10に同軸に設けられたねじ孔17に螺合されるものであり、弁軸15の外面にその軸方向に沿って突出された突条18が、前記モールド部13に設けられた案内溝19に嵌合されることにより、弁軸15の軸線まわりの回転は阻止される。したがってステップモータMの回転に応じて弁軸15が軸方向に作動することになり、それによりアイドル調整弁Vが開閉作動することになる。しかも弁体7と、前記モールド部13との間には、コイル状の戻しばね20が設けられており、この戻しばね20のばね力により、アイドル調整弁Vは閉弁方向、すなわち弁体7を弁座6に着座せしめる方向に付勢されることになる。
【0018】
再び図1において、ステップモータMの作動は、制御ユニットCにより制御されるものであり、この制御ユニットCは、エンジン完爆まではオープンループ制御によりステップモータMの作動を制御するが、エンジン完爆後には、エンジン冷却水温に応じた目標エンジン回転数となるようにフィードバック制御によってステップモータMの作動を制御する。而してエンジン完爆までのオープンループ制御において制御ユニットCは、アイドル調整弁Vの開度位置をその基準位置からのステップモータMの作動パルス数に予め対応させておき、前記基準位置からのステップモータMの作動パルス数によって定まるアイドル調整弁Vの現在位置を、エンジン運転状態(詳しくはエンジン冷却水温)に応じて始動に必要な開度として予め定められる目標位置に一致させるべく、目標位置および現在位置間の差に対応したパルス数のパルス信号を出力してステップモータMの作動を制御する。
【0019】
点火スイッチを遮断した直後には、制御ユニットCは、図3で示す手順に従ってステップモータの作動を制御するものであり、ステップS1では繰返し回数Nを「0」に設定し、ステップS2ではその繰返し回数Nが設定回数「N0」以上となったかどうかを確認し、N<N0であるときには、ステップS3で繰返し回数Nに「1」を加算し、さらにステップS4でステップモータMの作動パルス数MPを「1」だけ減算して、ステップS2に戻る。
【0020】
ところで、前記設定回数「N0」は、アイドル調整弁Vを全開位置から全閉位置まで作動せしめるためのステップモータMの作動パルス数以上の値に設定されるものであり、ステップS1からステップS4までの処理により、点火スイッチ遮断直後の位置がいずれにあっても、アイドル調整弁Vが全閉位置まで駆動されることになる。
【0021】
ステップS2で、N≧N0となったとき、すなわちアイドル調整弁Vが全閉位置となったときには、ステップS5において、ステップモータMの作動パルス数MPを「1」だけ加算し、ステップS6で、作動パルス数MPが所定のパルス数MP0に等しくなったかどうかを判断し、MP<MP0であるときにはステップS5に戻る。
【0022】
ここで、前記所定のパルス数MP0は、動力伝達手段8におけるロータ10を、その動力伝達手段8でのバックラッシュ以上、即ち、そのバックラッシュとステップモータMにおける励磁パターンのずれとを含む分以上作動せしめるようにステップモータMを駆動するに足る値であり、ステップS5,S6の処理により、アイドル調整弁Vが全閉位置から設定位置まで開弁方向に駆動されることになる。
【0023】
このようにアイドル調整弁Vが設定位置まで開弁作動せしめられた後のステップS7では、前記設定位置をアイドル回転速度制御の基準位置として定めるべくステップモータMの作動パルス数Mをリセットしてイニシャライズする。
【0024】
さらに次のステップS8では、ステップモータMの作動パルス数MPを「1」だけ加算し、ステップS9で作動パルス数MPが所定のパルス数MP1に等しくなったかどうかを判断し、MP<MP1であるときにはステップS8に戻る。
【0025】
したがって、ステップモータMの作動パルス数のリセット完了後に、ステップモータMを所定のパルス数MP1だけ作動せしめ、アイドル調整弁Vが基準位置から開弁方向に駆動されることになり、その後、ステップS10で電源をOFFとしてステップモータMの作動を停止する。
【0026】
このような点火スイッチ遮断直後のステップモータMおよびアイドル調整弁Vの作動は、図4で示すようになり、点火スイッチをOFFとしてエンジンを停止した時刻t1 から閉弁方向に設定回数「N0」のパルス数だけステップモータMに駆動信号が与えられることにより、アイドル調整弁Vは、点火スイッチ遮断時にいずれの位置にあっても時刻t2 で確実に全閉状態となり、その後、所定のパルス数MP0だけステップモータMが開弁方向に作動せしめられることにより、時刻t3 でアイドル調整弁Vが全閉位置から設定位置まで開弁方向に駆動されたときに、その位置をアイドル回転速度制御の基準位置として定めるべくステップモータMの作動パルス数Mがリセットされる。さらに時刻t3 からは、所定のパルス数MP1だけステップモータMが開弁方向に作動せしめられ、時刻t4 でアイドル調整弁Vが基準位置からさらに開弁方向に作動したときに、ステップモータMの作動が停止することになる。
【0027】
ここで、アイドル調整弁Vの全閉位置からの作動ならびにそのときの動力伝達手段8の作動状態は、図5で示すようになるものであり、図5(a)で示すアイドル調整弁Vの全閉時から、動力伝達手段8のバックラッシュδと、ステップモータMにおける励磁パターンのずれとを含む分だけステップモータMを作動せしめても、図5(b)で示すように、アイドル調整弁Vは全閉状態にあり、その後、ステップモータMをさらに作動せしめてアイドル調整弁Vを或る開度まで開弁したときにアイドル調整弁Vの基準位置としてステップモータMの作動パルス数がリセットされることになる。
【0028】
次にこの第1実施例の作用について説明すると、点火スイッチ遮断直後には、アイドル調整弁VをステップモータMの作動により全閉位置まで駆動し、その後、動力伝達手段8でのバックラッシュ以上、即ち、そのバックラッシュとステップモータMにおける励磁パ ターンのずれとを含む分以上ロータ10を作動せしめてアイドル調整弁Vを全閉位置から設定位置まで開弁方向に駆動し、その設定位置をアイドル回転速度制御の基準位置として定めるべくステップモータMの作動パルス数をリセットし、さらにステップモータMを所定のステップ数だけ開弁方向に作動せしめてアイドル調整弁Vを基準位置からさらに開弁方向に開弁する。
【0029】
このような制御処理により、ステップモータMの作動パルス数をリセットしたイニシャライズ後には、目標位置までのステップモータMの作動と、該ステップモータMの作動に伴なうアイドル調整弁Vの実作動位置とは、図6で示すように変化する。
【0030】
すなわち、イニシャライズ後には、アイドル調整弁Vの実作動位置は、目標位置よりも作動量ΔA(イニシャライズ時のステップモータMの全作動量から動力伝達手段8のバックラッシュδならびにステップモータMにおける励磁パターンのずれを減算した分)だけ大きくなり、目標位置までのステップモータMの作動に遅れることなくアイドル調整弁Vが開閉作動することになる。したがって、エンジン再始動時に、アイドル調整弁Vを目標開度まで速やかに作動せしめるようにして応答性の向上を図ることができる。しかも全閉近傍での微調整にあたっても、アイドル調整弁Vの開弁駆動および閉弁駆動で実作動位置が異なることはないので、正確なアイドル回転速度制御が可能であり、また実作動位置>目標位置であるので、エンジン回転速度がぎくしゃくすることを回避して安定的なアイドル回転速度制御を可能とし、エンストが生じる可能性を極力排除することができる。
【0031】
しかも点火スイッチ遮断状態でアイドル調整弁Vは、全閉位置からわずかに開弁した位置にあるので、アイシングが生じるおそれもなく、イニシャライズ後にアイドル調整弁Vをさらに開弁保持しておくことにより、エンジン再始動時の目標開度までアイドル調整弁Vを速やかに作動せしめることができ、より一層始動性が向上する。
【0032】
さらにエンジン完爆後には、エンジン冷却水温に応じた目標エンジン回転数となるようにアイドル回転速度のフィードバック制御が行なわれるので、目標位置および実作動位置間にずれがあっても、目標位置に実作動位置が補正されていくので問題は生じない。
【0033】
図7および図8は本発明の第2実施例を示すものであり、図7は点火スイッチ遮断直後のステップモータの制御処理手順を示すフローチャート、図8は点火スイッチ遮断直後のアイドル調整弁作動位置の変化を示す図である。
【0034】
エンジン点火スイッチを遮断した直後には、図7で示す手順に従ってステップモータの作動を制御するものであり、ステップS11〜S17は、図3で示した第1実施例の処理手順と同一であり、ステップS17でステップモータMの作動パルス数Mをリセットしてイニシャライズした後の、ステップS18では、外気温度Texが所定温度Texo たとえば10℃以上であるか否かを判定し、Tex<Texo であったときには、ステップS19において、ステップモータMの作動パルス数MPを「1」だけ加算し、ステップS20で作動パルス数MPが所定のパルス数MP1Lに等しくなったかどうかを判断し、MP<MP1LであるときにはステップS19に戻る。
【0035】
したがって、ステップモータMの作動パルス数のリセット完了後に、Tex<Texo であったときには、ステップモータMを所定のパルス数MP1Lだけ作動せしめ、アイドル調整弁Vが基準位置から開弁方向に駆動されることになり、その後、ステップS23で電源をOFFとしてステップモータMの作動を停止する。
【0036】
またステップS18で、Tex≧Texo であると判定したときには、ステップS21において、ステップモータMの作動パルス数MPを「1」だけ加算し、ステップS22で作動パルス数MPが前記パルス数MP1Lよりも小さく設定された所定のパルス数MP1Hに等しくなったかどうかを判断し、MP<MP1HであるときにはステップS21に戻る。 したがって、ステップモータMの作動パルス数のリセット完了後に、Tex≧Texo であったときには、ステップモータMを所定のパルス数MP1Hだけ作動せしめ、アイドル調整弁Vが基準位置から開弁方向に駆動されることになり、次のステップS23で電源をOFFとしてステップモータMの作動を停止する。
【0037】
この第2実施例によれば、点火スイッチ遮断状態でアイドル調整弁Vは、全閉位置から開弁側に作動した位置に保持される ことになり、しかも図8で示すように、外気温度が低いときの開度を外気温度が高い時の開度よりも大とされるので、より一層始動性が向上する。すなわち、たとえば夏期に外気温度が高いときにはエンジン始動時の目標開度が比較的低いものであり、また冬期に外気温度が低いときにはエンジン始動時の目標開度が比較的高いものであり、そのように外気温度に応じて変化する目標開度へのアイドル調整弁Vの作動を速やかに行なうようにして始動性を向上することができる。
【0038】
ところで、エンジン始動時の目標開度は、詳しくはエンジン冷却水温に応じて設定されるものであり、外気温度が低くてもエンジン冷却水温が高ければ目標開度も低いので、エンジン始動時には目標開度までさらに速やかに到達するか、あるいは逆に閉弁方向に戻されることになるが、始動時の必要開度としては十分であるので始動性が損なわれることはない。
【0039】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0040】
たとえば、動力伝達手段8がラックおよびピニオンで構成されるものであってもよく、またイニシャライズ後のアイドル調整弁Vの開度を外気温度に応じて3段階以上に設定するようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、点火スイッチ遮断直後に、アイドル調整弁を全閉位置まで駆動した後、ステップモータを動力伝達手段でのバックラッシュとステップモータにおける励磁パターンのずれとを含む分以上作動せしめて、アイドル調整弁を全閉位置から設定位置まで開弁方向に駆動し、その設定位置を基準位置として定めるべくステップモータの作動パルス数をリセットするようにして、そのリセットによるイニシャライズ後には、アイドル調整弁の実作動位置が、目標位置よりも所定作動量(即ちイニシャライズ時のステップモータの全作動量から動力伝達手段のバックラッシュ並びにステップモータにおける励磁パターンのずれを減算した分)だけ大きくなるようにしたので、目標位置までのステップモータの作動に遅れることなくアイドル調整弁が開閉作動することになり、エンジン再始動時には、アイドル調整弁を速やかに目標開度まで開弁駆動することができ、優れた始動性を得ることが可能となり、また全閉近傍での微調整にあたっては、アイドル調整弁の開弁駆動および閉弁駆動で実作動位置が異なることはない(即ちアイドル調整弁は開閉いずれの作動方向であっても同一開度となる)ので、正確なアイドル回転速度制御が可能であり、しかも実作動位置>目標位置となることから、エンジン回転速度がぎくしゃくすることを回避して安定的なアイドル回転速度制御を可能とし、エンストが生じる可能性を極力排除することができる。さらに点火スイッチ遮断状態で、アイドル調整弁を全閉位置からわずかに開弁した位置に保持してアイシングの発生を防止することができる。
【0042】
また請求項2記載の発明によれば、ステップモータの作動パルス数のリセット完了後に、外気温度に応じたパルス数だけステップモータを作動せしめ、アイドル調整弁を基準位置から開弁方向に駆動することにより、外気温度に応じたエンジン始動性に応じた開度にアイドル調整弁を開弁保持し、外気温度の変化にかかわらず、始動性をさらに向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例でのアイドル回転速度制御装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】 アイドル調整弁およびステップモータの縦断側面図である。
【図3】 点火スイッチ遮断直後のステップモータの制御処理手順を示すフローチャートである。
【図4】 点火スイッチ遮断直後のステップモータ駆動信号およびアイドル調整弁作動位置の変化を示す図である。
【図5】 アイドル調整弁および動力伝達手段の全閉位置からの作動状態を順次示す図である。
【図6】 イニシャライズ後のアイドル調整弁の実位置および目標位置の変化を示す図である。
【図7】 第2実施例における点火スイッチ遮断直後のステップモータの制御処理手順を示すフローチャートである。
【図8】 点火スイッチ遮断直後のアイドル調整弁作動位置の変化を示す図である。
【図9】 戻しばねを有しない従来例でのイニシャライズ後のアイドル調整弁の実位置および目標位置の変化を示す図である。
【図10】 戻しばねを有しない従来例でのアイドル調整弁および動力伝達手段の全閉位置からの作動状態を順次示す図である。
【図11】 戻しばねを有する従来例でのイニシャライズ後のアイドル調整弁の実位置および目標位置の変化を示す図である。
【符号の説明】
4・・・通路
8・・・動力伝達手段
10・・・駆動部材としてのロータ
15・・・被動部材としての弁軸
C・・・制御ユニット
M・・・ステップモータ
V・・・アイドル調整弁
Claims (2)
- アイドリング時に吸気を導く通路(4)の開度を調整するアイドル調整弁(V)と;アイドル調整弁(V)を開閉作動せしめる駆動力を発揮するステップモータ(M)と;ステップモータ(M)側の駆動部材(10)およびアイドル調整弁(V)側の被動部材(15)間にバックラッシュを有してステップモータ(M)及びアイドル調整弁(V)間に設けられる動力伝達手段(8)と;アイドル調整弁(V)の開度位置をその基準位置からの前記ステップモータ(M)の作動パルス数に予め対応させておき、前記基準位置からの前記ステップモータ(M)の作動パルス数によって定まるアイドル調整弁(V)の現在位置をエンジン運転状態に応じて定まる目標位置に一致させるべく目標位置および現在位置間の差に対応したパルス数のパルス信号を出力して前記ステップモータ(M)の作動を制御する制御ユニット(C)と;を備え、
前記被動部材(15)がアイドル調整弁(V)の弁体(7)に固定されているアイドル回転速度制御装置において、
閉じ側に弾発付勢したアイドル調整弁(V)を点火スイッチ遮断直後のステップモータ(M)の作動により全閉位置まで駆動するステップと、
一定パルス数(MPO)のパルス信号をステップモータ(M)に与えてアイドル調整弁(V)を全閉位置から設定位置まで開弁方向に駆動するステップと、
前記設定位置をアイドル回転速度制御の基準位置として定めるべく前記ステップモータ(M)の作動パルス数をリセットするステップとを順次経過せしめるようにし、
前記一定パルス数(MPO)は、前記駆動部材(10)を動力伝達手段(8)でのバックラッシュ(δ)とステップモータ(M)における励磁パターンのずれとを含む分以上作動せしめてエンジン再始動時にはステップモータ(M)の作動に伴なうアイドル調整弁(V)の実作動位置が目標位置より大となるように、前記ステップモータ(M)を駆動し得る値であることを特徴とする、アイドル回転速度制御装置におけるステップモータ制御方法。 - 前記ステップモータ(M)の作動パルス数のリセット完了後に、外気温度に応じたパルス数だけステップモータ(M)を作動せしめ、アイドル調整弁(V)を基準位置から開弁方向に駆動することを特徴とする請求項1記載のアイドル回転速度制御装置におけるステップモータ制御方法。
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