JP3736454B2 - 固体撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
2つの異なるクロックレートで動作するディジタル回路間でデータを受け渡しするためデータのレートを変換するレート変換部を備える固体撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)により形成されたCCDイメージセンサなどの離散的な画素構造を有する固体イメージセンサを撮像手段として用いた固体撮像装置では、上記固体イメージセンサ自体がサンプリング系であるために、上記固体イメージセンサによる撮像信号に空間サンプリング周波数からの折り返し成分が混入することが知られている。従来、撮像光学系に複屈折型の光学的ローパスフィルタを設けて、撮像信号のベースバンド成分の高域成分を抑圧することにより、上記固体イメージセンサによるサンプリング系のナイキスト条件を満たすようにして、撮像信号のベースバンド成分への折り返し成分の発生を防止するようにしている。
【0003】
また、カラー画像を撮像するカラーテレビジョンカメラ装置では、緑色画像撮像用の固体イメージセンサと赤色画素および青色画素用の色コーディングフィルタを設けた固体イメージセンサにより三原色画像を撮像する二板式固体撮像装置や、三原色画像を個別の固体イメージセンサにより撮像する三板式固体撮像装置等の多板式固体撮像装置が実用化されている。
【0004】
さらに、上記多板式固体撮像装置における解像度の向上を図るための手法として、緑色画像撮像用の固体イメージセンサに対して、画素の空間サンプリング周期の1/2だけ、赤色画像撮像用および青色画像撮像用の固体イメージセンサをずらして配置するようにした空間画素ずらし法が知られている。この空間画素ずらし法を採用することによって、アナログ出力の多板式固体撮像装置では、固体イメージセンサの画素数の限界を越える高い解像度を実現することができる。
【0005】
また、放送局などで使用する業務用のディジタルビデオテープレコーダの規格として、D−1規格やD−2規格などが規格化されており、これらの規格に適合したディジタルビデオ関連機器に対するディジタルインターフェースがカラーテレビジョンカメラ装置にも必要とされている。
【0006】
ここで、4:2:2ディジタルコンポーネントビデオ信号の規格であるD−1規格では、サンプリング周波数をNTSC方式における水平周波数fH(NTS C)の858倍に当たるとともにPAL方式における水平周波数fH(PAL)の864倍に当たる13.5MHzとし、どちらの方式での水平周波数の整数倍でロックできるようになっている。また、ディジタルコンポジットビデオ信号の規格であるD−2規格では、サンプリング周波数をサブキャリヤの4倍の4FSCとし、サブキャリヤとサンプリングクロックとのビート妨害を最小にするようになっており、NTSC方式のサンプリング周波数fS(NTSC)は14.3MHzでPAL方式のサンプリング周波数fS(PAL)は17.734MHzである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の如きD−1規格やD−2規格に適合したディジタル画像信号を直接出力するような固体撮像装置を実現しようとする場合に、解像度が高く、折り返し歪みの少ない画質の良好なディジタル画像信号を直接出力するためには、撮像部に使用する固体イメージセンサのサンプリングレート(画素数)は、該固体イメージセンサに対するプリフィルタである光学的ローパスフィルタの不完全さ、すなわち、光学的ローパスフィルタではなだらかなロールオフ特性しか得られず、MTF特性を良好にすることと折り返し歪み成分を少なくすることとの両立が困難であるということを考慮すると、上記D−1規格やD−2規格におけるサンプリングレートよりも高くする必要がある。
【0008】
また、固体イメージセンサによる撮像信号について、該固体イメージセンサの画素毎の欠陥補正処理などをディジタル処理で行うことや、ビート妨害が発生を防止することなどを考慮すると、固体イメージセンサのサンプリングレートと、該固体イメージセンサによる撮像信号をディジタル化するアナログディジタル変換部におけるサンプリングレートと一致させることが望ましい。
【0009】
その場合、現行の最も標準的なCCDイメージセンサは14.3MHz=fSC(NTSC)のクロックレートで駆動されるようになっており、このCCDイメージセンサを撮像部に用いたディジタル処理カメラでは、上記固体イメージセンサから出力される撮像信号を上記14.3MHz=fSC(NTSC)のクロックレートでディジタル化してディジタル信号処理を施すことになる。
【0010】
しかし、上述のように4:2:2ディジタルコンポーネントビデオ信号の規格であるD−1規格でのクロックレートは、輝度信号Yが13.5MHzで色差信号C/Cが6.75MHzであり、上記標準的なCCDイメージセンサを撮像部に用いたディジタル処理カメラにおけるクロックレートとマッチングがとれないという問題点がある。なお、上記D−1規格に対応するために、読み出しレートが13.5MHzのCCDイメージセンサを新規に作るのでは、コスト、汎用性の点で問題がある。
【0011】
また、空間画素ずらし法を採用した多板式固体撮像装置では、CCDイメージセンサのクロックレートfS1に対して2倍のクロックレート2fS1で動作する信号処理系を用いなければ、アナログ出力を高解像度化できない。なお、信号処理系において、fS1,2fS1で信号処理を行った後、一旦fS1又は2fS1でアナログ化し、アナログフィルタで処理してからD−1規格でのクロックレートで再度ディジタル化することも考えられるが、14.3MHz系と13.5MHz系との間でビート妨害が発生し画質劣化の原因となる。
【0012】
本発明は、ディジタル処理カメラ等において、複数のデータレートの信号を容易に取り扱うことがでようにするために、2つの異なるクロックレートで動作するディジタル回路間でデータを受け渡しするためのダウンレートコンバータとアップレートコンバータの2つのレートコンバータの機能を備える固体撮像装置を提供することにある。さらに、レート変換処理を行うディジタル処理手段の構成を簡略化して、固体撮像装置の構成の簡略化を図ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本は詰めに係る固体撮像装置は、第1のクロックレートで駆動される少なくとも1個の固体イメージセンサと、上記固体イメージセンサから出力される撮像信号を所定の位相の第1のクロックレートでディジタル化するアナログディジタル変換部と、上記アナログディジタル変換部により第1のクロックレートでディジタル化された撮像データを第2のクロックレートの映像データに変換するレート変換を行う機能と、第2のクロックレートの映像データを第1のクロックレートの映像データに変換するレート変換を行う機能を有するレート変換部を備え、上記レート変換部は、上記第1のクロックレートから上記第2のクロックレートへのレート変換を行う第1のモード時に、上記第1のクロックレートで動作し、上記第2のクロックレートに対するナイキストフィルタとして機能し、上記第2のクロックレートから上記第1のクロックレートへのレート変換を行う第2のモード時に、上記第2のクロックレートで動作し、上記第1のモード時と同じ周波数特性を呈するフィルタと、上記フィルタを介して供給される信号に対して、上記第1のモード時に上記第1のクロックレートから上記第2のクロックレートへのレート変換処理を行い、上記第2のモード時に上記第2のクロックレートから上記第1のクロックレートへのレート変換処理を行うレート変換フィルタからなり、上記第1のモードと上記第2のモードとで上記フィルタを共用することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に従い詳細に説明する。
【0015】
本発明に係るは、例えば図1に示すような構成の固体撮像装置に適用されるされる。
【0016】
この図1に示す第1の実施形態の固体撮像装置は、撮像部1により得られる撮像信号をディジタル化してD1規格に準拠した画像データとして記録するディジタルカムコーダに適用したもので、撮像部1により得られる三原色撮像信号R,G,Bがアナログ信号処理部2を介して供給されるアナログディジタル変換部3、このアナログディジタル(A/D)変換部3によりディジタル化された各色撮像データR,G,Bが供給される第1のディジタル演算部4、この第1のディジタル演算部4により生成されたディジタル輝度信号Yと2つのディジタル色差信号C ,C が供給される第2のディジタル演算部5やアナログ出力用の信号処理部6などを備え、D1規格に準拠した画像データの記憶再生を行う記録再生部7が上記第2のディジタル演算部5に接続されている。
【0017】
上記撮像部1は、図示しない撮像レンズから光学的ローパスフィルタを介して入射される撮像光を色分解プリズムにより三原色光成分に分解して、被写体像の三原色画像を撮像する三枚のCCDイメージセンサ1R,1G,1Bからなる。
【0018】
この実施の形態において、上記三枚のCCDイメージセンサ1R,1G,1Bは、空間画素ずらし法を採用して、緑色画像撮像用のCCDイメージセンサ1Gに対して、画素の空間サンプリング周期τ の1/2だけ、赤色画像撮像用および青色画像撮像用のCCDイメージセンサ1R,1Bがずらして配置されている。
【0019】
なお、本願発明は、この実施の形態のような空間画素ずらし法を採用した3板式固体撮像装置のみに適用可能なものでなく、単板式や2板式の固体撮像装置や空間画素ずらし法を採用しない3板式固体撮像装置などの他の方式の固体撮像装置にも適用することができる。
【0020】
上記三枚のCCDイメージセンサ1R,1G,1Bは、電圧制御型発振器(VCO)8により与えられる2fS1レートのクロックCK(2fS1)に基づいてタイミングジェネレータ(TG)9が発生する駆動クロックCK(fS1)によりfS1レートで駆動される。
【0021】
ここで、上記三枚のCCDイメージセンサ1R,1G,1Bは、EIAではfS1=910f,CCIRではfS1=912fのレートで撮像電荷が読み出されるように、その画素数が選定されている。そして、上記VCO8の発振周波数が2fS1に設定され、上記TG9は、上記クロックCK(2fS1)を1/2分周することにより得られるfS1レートの駆動クロックCK(fS1)により上記三枚のCCDイメージセンサ1R,1G,1Bを駆動するようになっている。
【0022】
上記CCDイメージセンサ1R,1G,1BからfS1レートで読み出された各色撮像信号R(fS1),G(fS1),B(fS1)が上記アナログ信号処理部2に供給される。
【0023】
上記アナログ信号処理部2は、相関二重サンプリング(CDS:Corelated Double Sampling)処理回路21R,21G,21Bとレベル制御回路22R,22G,22Bからなり、上記CCDイメージセンサ1R,1G,1BからfS1レートで読み出された各色撮像信号R,G,Bに対して、それぞれ相関二重サンプリング処理を上記CDS処理回路21R,21G,21Bで施し、さらに、白バランスや黒バランスなどのレベル制御を上記レベル制御回路22R,22G,22Bにより行う。
【0024】
上記撮像部1により得られる各色撮像信号R(fS1),G(fS1),B(fS1)が上記アナログ信号処理部2を介して供給されるA/D変換部3は、それぞれ10ビット語長の3個のA/D変換器3R,3G,3Bからなる。これら各A/D変換器3R,3G,3Bには、上記各色撮像信号R(fS1),G(fS1),B(fS1)のサンプリングレートに等しいfS1レートで所定の位相を有する駆動クロックCK(fS1)が上記TG9から供給されている。そして、このアナログディジタル変換部3は、上記A/D変換器3R,3G,3Bにより、上記fS1レートの各色撮像信号R(fS1),G(fS1),B(fS1)を上記駆動クロックCK(fS1)により所定の位相のfS1レートでディジタル化して、上記各色撮像信号R(fS1),G(fS1),B(fS1)のスペクトルと同じ信号スペクトルの各ディジタル色信号R(fS1),G(fS1),B(fS1)を形成する。
【0025】
なお、上記各A/D変換部器3R,3G,3Bには、必要に応じて語長が12〜14ビット程度のものを使用しても良い。
【0026】
そして、上記A/D変換部3によりディジタル化されたfS1レートの各色撮像データR(fS1),G(fS1),B(fS1)が上記第1のディジタル演算部4に供給される。
【0027】
この第1のディジタル演算部4は、第1のディジタルプロセス処理回路41と第2のディジタルプロセス処理回路42からなる。
【0028】
上記第1のディジタルプロセス処理回路41は、上記TG9から供給される駆動クロックCK(fS1)によりfS1レートで動作して、上記A/D変換部3から供給される各ディジタル色信号R(fS1),G(fS1),B(fS1)について、各種補正信号レベルを検出して、例えば、白バランス制御データ、黒バランス制御データ、黒シェーディング補正データ、白シェーディング補正データや欠陥補正データなどをメモリ43に格納し、各色信号毎にD/A変換器44R,44G,44Bによりアナログ化して上記アナログ信号処理部2の各レベル制御回路22R,22G,22Bにフィードバックすることにより、白黒バランス制御やシェーディング補正や欠陥補正などの画像処理を行う。
【0029】
なお、上記メモリ43は、SRAMからなりバックアップ電源として電池45が接続されている。
【0030】
このように、この実施の形態では、上記CCDイメージセンサ1R,1G,1BからfS1レートで読み出された各色撮像信号R(fS1),G(fS1),B(fS1)を上記A/D変換部3でfS1レートでディジタル化して得られえるfS1レートの各色撮像データR(fS1),G(fS1),B(fS1)を得ているので、上記第1のディジタルプロセス処理回路41をfS1レートで動作させて、シェーディング補正や欠陥補正など画素単位の画像処理を行うことができる。
【0031】
また、上記第2のディジタルプロセス処理回路42は、上記第1のディジタルプロセス処理回路41により画素単位の画像処理が施された各ディジタル色信号R,G,Bについて、画像強調処理、ペデスタル付加、ガンマ,ニーなどの非線形処理、リニアマトリクス処理を行うとともに、マトリクス演算処理によって上記各ディジタル色信号R(fS1),G(fS1),B(fS1)からディジタル輝度信号Y(2fS1)と2つのディジタル色差信号C(fS1),C(fS1)を生成する。
【0032】
ここで、上記第2のディジタルプロセス処理回路42は、上記VCO8から2fS1レートのクロックCK(2fS1)が供給されているとともに上記TG9からfS1レートの駆動クロックCK(fS1)が供給されており、これらのクロックCK(2fS1),CK(fS1)をマスタクロックとして動作して、上記撮像部1における空間画素ずらし法に対応する周知の高解像度化の処理を行い、上記各ディジタル色信号R(fS1),G(fS1),B(fS1)から、2fS1レートのディジタル輝度信号Y(2fS1)と、fS1レートの各ディジタル色差信号C(fS1),C(fS1)を生成する。
【0033】
なお、上記マスタクロックCK(2fS1),CK(fS1)は、水平同期信号HDや垂直同期信号VDなど各種同期信号を形成する同期信号発生器(SG)11にも供給されている。
【0034】
また、上記第2のディジタル演算部5は、fS1レートに関連したデータレートの信号とfS2レートに関連したデータレートの信号との間で双方向にレート変換を行うもので、記録モード時には、上記第1のディジタル演算部4により生成された上記fS1レートに関連したデータレートの信号Y(2fS1),C(fS1),C(fS1)を上記fS2レートに関連したデータレートの信号Y(fS2),C(fS2/2),C(fS2/2)に変換して上記記録再生部7に供給し、再生モード時には、上記記録再生部7から供給される上記fS2レートに関連したデータレートの信号Y(fS2),C(fS2/2),C(fS2/2)を上記fS1レートに関連したデータレートの信号(2fS1),C(fS1),C(fS1)に変換して上記アナログ出力用の信号処理部6に供給する。
【0035】
この第2のディジタル演算部5は、輝度信号用のレート変換回路50Yと色差信号用のレート変換回路50Cとからなる。
【0036】
さらに、上記第2のディジタル演算部5と上記記録再生部7との間に外部機器に対するディジタルインターフェース13が設けられており、上記第2のディジタル演算部5は、外部入力モードにおいて、ディジタルカメラコントロールユニット(D−CCU)14からディジタルカメラアダプタ(D−CA)15を介して入力されるfS2レートに関連したデータレートのディジタルリターン信号Y(fS2),C(fS2/2),C(fS2/2)を上記fS1レートに関連したデータレートの信号Y(2fS1),C(fS1),C(fS1)に変換して上記アナログ出力用の信号処理部6に供給することができるようになっている。
【0037】
また、この実施の形態において、上記アナログ出力用の信号処理部6は、上記第1のディジタル演算部4又は第2のディジタル演算部5により生成される上記fS1レートに関連したデータレートの信号Y(2fS1),C(fS1),C(fS1)に対するアナログインターフェースとして機能するもので、ディジタルアナログ(D/A)変換部61とアナログエンコーダ62からなる。
【0038】
上記D/A変換部61は、それぞれ3個のD/A変換器61Y,61C,61Cとポストフィルタ61PFY,61PFC,61PFCからなる。
【0039】
このD/A変換部61において、2fS1レートのディジタル輝度信号Y(2fS1)は、上記D/A変換器61Yによりアナログ化され、ナイキストフィルタとして機能するポストフィルタ61Yによりサンプリングキャリア成分が除去されて、上記アナログエンコーダ62に供給される。また、fS1レートのディジタル色差信号C(fS1),C(fS1)は、それぞれ上記D/A変換器61C,61Cによりアナログ化され、それぞれナイキストフィルタとして機能するポストフィルタ61PFC,61PFCによりサンプリングキャリア成分が除去されて、上記アナログエンコーダ62に供給される。
【0040】
また、上記アナログエンコーダ62は、通常のNTSC又はPALに準拠したエンコーダであって、コンポーネント信号Y,C,Cとコンポジット信号CSを出力するとともに、ビューファインダ16に供給するモニタ信号YVFを出力する機能を有する。
【0041】
このアナログエンコーダ62は、例えば図2に示すように構成されている。
【0042】
このアナログエンコーダ62において、上記D/A変換部61から供給される2つのアナログ色差信号C,Cは、それぞれローパスフィルタ63C,63Cにより所定の帯域(fc≒1MHz)に帯域制限され、信号合成器64C,64CによりバーストフラグBFが付加されてから変調器65に供給される。上記変調器65は、上記アナログ色差信号C,Cにより直交2相のサブキャリアSCを変調して、変調クロマ信号COUTを生成する。
【0043】
一方、上記D/A変換部61から供給されるのアナログ輝度信号Yは、上記ローパスフィルタ63C,63Cによる遅延量が遅延回路66により補償されてから、信号合成器67により同期信号やセットアップ信号が付加されることにより、規定の輝度信号YOUTとされる。このようにして得られる輝度信号YOUTは、上述の空間画素ずらし法の応じたディジタル処理により高解像度化が図られ、折り返し歪みが少ないものとなっている。
【0044】
そして、この輝度信号YOUTと上記変調クロマ信号COUTとを信号混合器68で混合することによりコンポジット信号CSOUTを生成する。
【0045】
また、上記輝度信号YOUTは、キャラクタジェネレータ69によるキャラクタ信号が信号混合器70により混合されてから、切換回路71を介してモニタ信号YVFとして出力される。上記切換回路71は、外部から入力されるリターン信号RETと上記輝度信号YOUTとの切り換えを行う。
【0046】
ここで、上記アナログ出力用の信号処理部6は、上記アナログエンコーダ62に代えて、図3に示すように、fS1レートに関連するクロックレートで動作する第3のディジタル演算部によるディジタルエンコーダ73を用い、このディジタルエンコーダ73により生成されるディジタル輝度信号YOUTやディジタルコンポジット信号CSOUT、ディジタルモニタ信号YVFをそれぞれD/A変換器74Y,74CS,75YVFによりアナログ化し、ポストフィルタ74PFY,74PFCS,75PFYVFを介して出力するように構成しても良い。
【0047】
また、この実施の形態において、上記第2のディジタル演算部5は、fS1レートに関連したデータレートの信号とfS2レートに関連したデータレートの信号との間で双方向にレート変換を行うもので、原理的に、記録モード時には、2fS1レートのディジタル輝度信号Y(2fS1)をfS2レートのディジタル輝度信号Y(fS2)にレート変換するとともに、それぞれfS1レートのディジタル色差信号C(fS1),C(fS1)をfS2/2レートのディジタル色差信号C(fS2/2),C(fS2/2)にレート変換し、再生モード時には、fS2レートのディジタル輝度信号Y(fS2)を2fS1レートのディジタル輝度信号Y(2fS1)にレート変換するとともに、それぞれfS2/2レートのディジタル色差信号C(fS2/2),C(fS2/2)をfS1レートのディジタル色差信号C(fS1),C(fS1)にレート変換するのであるが、各レート変換回路50Y,50Cの構成を簡略化するために、再生モード時には、fS2レートのディジタル輝度信号Y(fS2)を2fS2レートのディジタル輝度信号Y(2fS2)にレート変換するとともに、それぞれfS2/2レートのディジタル色差信号C (fS2/2),C(fS2/2)をfS2レートのディジタル色差信号C(fS2),C(fS2)にレート変換するようにしている。
【0048】
そして、上記D/A変換部61のクロックも再生モード時には2fS2,fS2,fS2に切り換えるようにしている。このようにしても、fS1とfS2はかなり近い周波数であり、上記D/A変換部61のポストフィルタ61PFY,61PFC,61PFCは、特性を切り換えずに共用することができる。
【0049】
また、語長に関しては、上記D/A変換部61及びディジタルインターフェースの信号Y,C,Cでは10ビット程度で十分であるが、上記第2のディジタル演算部5に供給する信号Y,C,Cでは、レート変換回路における丸めを考慮して1〜2ビット多く設定することが望ましい。
【0050】
そこで、この実施の形態では上記第1のディジタル演算部4により、11ビットの信号Y,C,Cを生成するようにし、その上位10ビットの信号Y,C,Cを上記D/A変換部61に供給している。そして、上記第2のディジタル演算部5では、さらに2〜3ビット多い演算を行い、終段で10ビットに丸めるようにしている。
【0051】
次に、上記第2のディジタル演算部5を構成している輝度信号用のレート変換回路50Yと色差信号用のレート変換回路50Cの具体例について説明する。
【0052】
上記輝度信号用のレート変換回路50Yは、図4に示すように、ハーフバンドフィルタ51Y,レート変換フィルタ52Y,丸め処理回路53Y,遅延補償回路54Y及び0挿入回路55Yと、これらの入出力を切り換える第1乃至第6の切換回路56Y〜56Yにより構成されている。
【0053】
そして、記録モード時には、このレート変換回路50Yは、図5に示すように、上記第1乃至第6の切換回路56Y 〜56Y が設定される。
【0054】
すなわち、記録モード時には、上記第1のディジタル演算部4により生成された2fS1レートのディジタル輝度信号Y(2fS1)が上記ハーフバンドフィルタ51Yに入力され、レート変換フィルタ52Y,丸め処理回路53Y,遅延補償回路54Yを順に通過されることにより、fS2レートのディジタル輝度信号Y(fS2)にレート変換される。
【0055】
上記ハーフバンドフィルタ51Yは、2fS1レートのディジタル輝度信号Y(2fS1)に対して、2fS1の出力データレートで、fS2/2を通過帯域とするもので、fS2レートに対するナイキストフィルタとして機能する特性を有する。この実施の形態では、0±0.1dB(〜5.75MHz),<−12dB(〜6.75MHz),<−40dB(8.0MHz)とした。
【0056】
また、上記レート変換フィルタ52Yは、上記ハーフバンドフィルタ51Yを介して供給される2fS1レートのディジタル輝度信号Y(2fS1)に含まれる高次のキャリア成分のうち、1〜n−1を抑圧する。このレート変換フィルタ52Yは、2fS1レートで動作して、上記ハーフバンドフィルタ51Yの帯域内の減衰を補償する等化フィルタを含んでいる。
【0057】
そして、上記レート変換フィルタ52Yにより得られるfS2レートのディジタル輝度信号Y(fS2)は、上記丸め処理回路53Yにおいて、スケーリング処理やクリップ処理、丸め処理が施されてから、上記遅延補償回路54Yにより色差信号チャンネルとの遅延補償がなされて出力される。
【0058】
ここで、この実施の形態における輝度信号用のレート変換回路50Yは、原理的にm,nを正の整数としてfS2=fS1・n/mなる関係にある周波数で2m→nのレート変換を行うもので、例えばEIA/CCIRやCCDイメージセンサの画素数によってfS1レートが複数存在する系に対応させるために、表1に示すように、複数のレート変換比を可変設定でき、複数のモードで動作するようになっている。
【0059】
【表1】
Figure 0003736454
【0060】
上記レート変換回路50Yは、各モードに対応してレート変換の特性・動作を変更する必要があるが、ハーフバンドフィルタ51Yは各モードでfS1が近い値なので共通特性でよく、レート変換フィルタ52Yのみ特性・動作を変更する。
【0061】
また、再生モード時には、上記輝度信号用のレート変換回路50Yは、図6に示すように、上記第1乃至第6の切換回路56Y 〜46Y が設定される。
【0062】
すなわち、再生モード時には、上記記録再生部7により再生されたfs2レートのディジタル輝度信号Y(fs2)が上記遅延補償回路54Yに供給され、色差信号チャンネルとの遅延補償がなされてから、0挿入回路55Yを介して上記ハーフバンドフィルタ51Yに供給される。
【0063】
上記0挿入回路55Yは、各サンプル間に0データを挿入することにより、上記fs2レートのディジタル輝度信号Y(fs2)を2fs2レートにアップコンバートする。また、上記ハーフバンドフィルタ51Yは、再生モード時には、上記2fs2レートのディジタル輝度信号Y(fs2)に対して、奇数次キャリア成分を抑圧することにより、fs2→2fs2のアップレート変換フィルタとして機能する。
【0064】
そして、上記ハーフバンドフィルタ51Yにより得られる2fs2レートのディジタル輝度信号Y(fs2)は、上記丸め処理回路53Yにおいて、スケーリング処理やクリップ処理、丸め処理が施されて出力される。
【0065】
なお、再生モード時には、上記レート変換フィルタ62Yは使用しない。
【0066】
また、上記色差信号用のレート変換回路50Cは、図7に示すように、マルチプレクサ/デマルチプレクサ(MPX/DMPX)51C,ハーフバンドフィルタ52C,レート変換フィルタ53C,丸め処理回路54C及び0挿入回路55Cと、これらの入出力を切り換える第1乃至第4の切換回路56C〜56Cにより構成されている。
【0067】
そして、記録モード時には、このレート変換回路50Cは、図8に示すように、上記第1乃至第5の切換回路56C〜56Cが設定される。
【0068】
すなわち、記録モード時には、上記第1のディジタル演算部4により生成されたfS1レートのディジタル色差信号C(fS1),C(fS1)が上記MPX/DMPX51Cにより点順次化され2fS1レートのディジタル点順次色差信号C/C(2fS1)として上記ハーフバンドフィルタ52Cに入力され、レート変換フィルタ53C,丸め処理回路54Cを順に通過されることにより、fS2レートのディジタル点順次色差信号C/C(fS2)にレート変換される。
【0069】
上記ハーフバンドフィルタ52Cは、2fS1レートのディジタル点順次色差信号C/C(2fS1)に対して、2fS1の出力データレートで、fS2/2を通過帯域とするもので、fS2レートに対するナイキストフィルタとして機能する特性を有する。
【0070】
また、上記レート変換フィルタ53Cは、上記ハーフバンドフィルタ52Cを介して供給される2fS1レートのディジタル点順次色差信号C /C(2fS1)に含まれる高次のキャリア成分のうち、1〜n−1を抑圧する。このレート変換フィルタ53Cは、2fS1レートで動作して、上記ハーフバンドフィルタ52Cの帯域内の減衰を補償する等化フィルタを含んでいる。
【0071】
そして、上記レート変換フィルタ53Cにより得られるfS2レートのディジタル点順次色差信号C/C(fS2)は、上記丸め処理回路54Cにおいて、スケーリング処理やクリップ処理、丸め処理が施されて出力される。
【0072】
ここで、この実施の形態における色差信号用のレート変換回路50Cは、上述の輝度信号用のレート変換回路50Yと同様に、原理的にm,nを正の整数としてfS2=fS1・n/mなる関係にある周波数で2m→nのレート変換を行うもので、例えばEIA/CCIRやCCDイメージセンサの画素数によってf レートが複数存在する系に対応させるために、複数のレート変換比を可変設定でき、複数のモードで動作するようになっている。
【0073】
この色差信号用のレート変換回路50Cにおいても、各モードに対応してレート変換の特性・動作を変更する必要があるが、ハーフバンドフィルタ52Cは各モードでfS1が近い値なので共通特性でよく、レート変換フィルタ53Cのみ特性・動作を変更する。
【0074】
また、再生モード時には、上記色差信号用のレート変換回路50C/Cは、図9に示すように、上記第1乃至第4の切換回路56C 〜56C が設定される。
【0075】
すなわち、再生モード時には、上記記録再生部7により再生されたfS2レートのディジタル点順次色差信号C/C(fS2)が0挿入回路55Cを介して上記ハーフバンドフィルタ52Cに供給される。
【0076】
上記0挿入回路55Cは、各サンプル間に0データを挿入することにより、上記fs2レートのディジタル点順次色差信号C /C (fS2)を2fs2レートにアップコンバートする。また、上記ハーフバンドフィルタ52Cは、再生モード時には、上記2fs2レートのディジタル点順次色差信号C/C(fS2)に対して、奇数次キャリア成分を抑圧することにより、fs2→2fs2のアップレート変換フィルタとして機能する。
【0077】
そして、上記ハーフバンドフィルタ52Cにより得られる2f S2 レートのディジタル点順次色差信号CR/CB(f S2 は、上記丸め処理回路54Cにおいて、スケーリング処理やクリップ処理、丸め処理が施されてから、上記MPX/DMPX51Cにより、同時化され、レート変換されて S1 レートのディジタル色差信号CR(f S1 ,CB(f S1 として出力される。
【0078】
なお、再生モード時には、上記レート変換フィルタ53Cは使用しない。
【0079】
このように、色差信号用のレート変換回路50Cでは、fS1レートのディジタル色差信号C(fS1),C(fS1)を2fS1レートのディジタル点順次色差信号C/Cとして取り扱うことにより、ハードウエアの規模低減することができ、また、2つの色差信号に対して同じ特性の処理を行うことができる。
【0080】
また、この実施の形態において、上記第1のディジタル演算部4における第2のディジタルプロセス処理回路42の輝度信号チャンネルの出力段には、遅延補償回路42DLYが輝度信号チャンネルに設けられている。
【0081】
この遅延補償回路42DLYは、上記アナログ出力用の信号処理部6におけるアナログエンコーダ62の各ローパスフィルタ63C,63Cの遅延を補償するためのもので、上記信号処理部6からのコンポーネント信号Y,C,Cのみを使用する場合には、上記D/A変換部61の各ポストフィルタ61PFY,61PFC,61PFCの遅延量に対する遅延補償用となり、上記コンポーネント信号Y,C,Cを用いずに、コンポジット信号CS又はY/Cを使用する場合には、さらに、上記アナログエンコーダ62の各ローパスフィルタ63C,63Cの遅延量に対する遅延補償用となるように、その遅延量が設定されている。
【0082】
なお、上記ポストフィルタ61PFYとポストフィルタ61PFC,61PFCとの遅延量の差は、通常fS1レートで1又は2クロック分程度の小さいなものであり、処理系のどこでも補正できる。
【0083】
さらに、この実施の形態では、上記アナログエンコーダ62における各ローパスフィルタ63C,63Cの遅延量をDLLPFとし、その遅延補償回路66の遅延量をDLとし、また、上記第1のディジタル演算部4の輝度信号チャンネルの出力段に設けた上記遅延補償回路42DLYの遅延量をDLとし、さらに、上記輝度信号用のレート変換回路50Yにおけるハーフバンドフィルタ52Y,レート変換フィルタ53Y及び遅延補償回路54Yの各遅延量をDL,DL,DLとし、上記色差信号用のレート変換回路50Cにおけるハーフバンドフィルタ52C及びレート変換フィルタ53Cの各遅延量をDL,DLとして、記録モードにおいて、
DL+DL+DL+DL=DL+DL
再生モードにおいて、
DL+DL=DL+DLLPF
となるように各遅延量を設定してある。
【0084】
ここで、上記輝度信号用のレート変換回路50Yよりも上記色差信号用のレート変換回路50Cの実質的な処理レートが低く、DL<DL,DL<DLである。
【0085】
さらに、上記第1のデジタル演算部4により生成された2fs1レートのディジタル輝度信号Y(2fs1)をfs2レートのディジタル輝度信号Y(fs2)に変換する上記輝度信号用のレート変換回路50Yの具体的な動作の一例として、fs2=18fs1/19すなわち19→9のレート変換比の場合について、図10に示すスペクトラムダイヤグラム及び図11に示すタイムチャートを参照して説明する。
【0086】
すなわち、記録モード時には、上記第1のディジタル演算部4により生成された図10の(A)に示すようなスペクトラムの2fs1レートのディジタル輝度信号Y(2fs1)〔帯域:0〜fs1〕は、上記輝度信号用のレート変換回路50Yにおいて、図10の(B)に示すような特性のハーフバンドフィルタ51Yによりfs2レートに対するナイキスト周波数(fs2/2)に帯域制限され、図10の(C)に示すようなスペクトラムの2fs1レートのディジタル輝度信号Y(2fs1)〔帯域:0〜fs2/2〕として、レート変換フィルタ52Yに供給される。
【0087】
すなわち、例えば図11の(A)に示すような2fs1レートのサンプル列{a}で構成されるディジタル輝度信号Y(2fs1)が上記ハーフバンドフィルタ51Yによりfs2レートに対するナイキスト周波数(fs2/2)に帯域制限されて、上記レート変換フィルタ52Yに供給される。
【0088】
上記レート変換フィルタ52Yでは、入力される2fs1レートのサンプル列{b}に対して、図11の(B)に示すように、各サンプル間を9等分し、サンプル〈b〉が存在する点〔図11の(B)に○で示す〕は元のサンプル{b}とし、サンプル〈b〉が存在しない点〔図11の(B)に・で示す〕に零のサンプルを挿入し、9×2fs1=18fs1レートのサンプル列{b}に変換する。そして、同じく18fs1レートで現されるレート変換フィルタのインパルス応答{h}と上記18fs1レートのサンプル列{b}とのコンボリューションをとることにより、18fs1レートの補間サンプル列を生成する。なお、図11の(B)には、上記レート変換フィルタ52Yによる仮想的な補間サンプル列を×で示し、fs2レートの出力サンプル列{c}を◎で示してある。
【0089】
そして、上記レート変換フィルタ52Yは、図10の(D)で規定されるように、k×18fs1±f(k:整数)を通過帯域とし、それ以外のg×18fs1±f(g:整数)を阻止帯域とする特性を有し、上記ハーフバンドフィルタ51Yから供給される上記2fs1レートのディジタル輝度信号Y(2fs1)について、図10の(C)に示す2fs1,4fs1〜16fs1周辺の2fs1サンプリングキャリア成分を抑圧する。
【0090】
これにより、上記2fs1レートのディジタル輝度信号Y(2fs1)は、図10の(E)に示すように、9倍の18fs1レートにアップレート変換されたディジタル輝度信号Y(18fs1)となる。
【0091】
この18fs1レートのディジタル輝度信号Y(18fs1)の帯域特性は、上記ハーフバンドフィルタ51Yにより規定されたfs2レートのナイキスト特性となっている。
【0092】
ここで、18fs1レートのフィルタリング処理は仮想的なもので、実際には、18fs1レートの信号を19サンプル毎にダウンサンプルしたfs2レートの出力サンプル列{c}である。
【0093】
従って、上記18fs1レートのインパルス応答{h}と18fs1レートのサンプル列{b}とのコンボリューションは、上記サンプル列{b}が非零サンプル{b}の際のみ実行されればよいので、例えば、
=h−9・b+h・b+h・b−1
=h−8・b+h・b+h10・b
=h−7・b+h・b+h11・b
=h−6・b+h・b+h12・b
=h−5・b+h・b
=h−4・b11+h・b10
=h−12・b14+h−3・b13+h・b12
=h−11・b16+h−2・b15+h・b14
=h−10・b18+h−1・b17+h・b16



の演算を行えば良い。この演算は、例えばfS1レート又はfS2レートで行うことができる。
【0094】
ここで、上記レート変換回路50Yによるレート変換動作において、特性的に重要なことは、次の第1乃至第3の要件である。
【0095】
第1の要件:上記ハーフバンドフィルタ51Yに供給された2fs1レートのディジタル輝度信号Y(2fs1)〔図10の(A)〕と、上記レート変換フィルタ52Yにおいて仮想的に9倍の18fs1レートにアップレート変換されたディジタル輝度信号Y(18fs1)〔図10の(E)〕の0〜fcの帯域での特性が同じであること、すなわち、上記ハーフバンドフィルタ51Yの特性〔図10の(B)〕と上記レート変換フィルタ52Yの特性〔図10の(D)〕との積の特性の0〜fcの帯域が1に近似できることである。
【0096】
第2の要件:上記18fs1レートにアップレート変換されたディジタル輝度信号Y(18fs1)〔図10の(E)〕のfc〜(18fs1−fc)の2fs1サンプリングキャリア成分が十分に抑圧されていること、すなわち、上記ハーフバンドフィルタ51Yの特性〔図10の(B)〕と上記レート変換フィルタ52Yの特性〔図10の(D)〕との積の特性のfc〜(18fs1−fc)の帯域が0に近似できること、特に、上記レート変換フィルタ52Yの特性〔図10の(D)〕2fs1〜16fs1が0となって入力が直流の際に出力に(α・2fs1−βfs2)成分が発生しないこと、さらに、上記ハーフバンドフィルタ51Yの特性〔図10の(B)〕と上記レート変換フィルタ52Yの特性〔図10の(D)〕との積の特性の1fs2〜18fs2が十分に抑圧されていることである。
【0097】
第3の要件:上記レート変換フィルタ52Yにおいて仮想的に9倍の18fs1レートにアップレート変換されたディジタル輝度信号Y(18fs1)〔図10の(E)〕のfc近傍の周波数特性が、規定内にあるように、上記レート変換回路50Yのフィルタ特性を設定することである。
【0098】
この実施の形態におけるレート変換回路51では、2fs1レートのディジタル輝度信号Y(2fs1)を先ずハーフバンドフィルタ51Yに通すことにより、上記第1及び第2の要件を達成し、さらに、レート変換フィルタ52Yにより有効に上記第3の要件を達成することができる。更に、ハーフバンドフィルタ51Yは固定係数のFIRフィルタであるから、各種フィルタの設計法を用いて回路規模を小さくすることができる。また、レート変換フィルタ52Yは、可変係数フィルタとなるので、乗算器を必要とするが、その特性を図10の(D)に示したように、ロールオフ特性が緩やかで、阻止帯域の制約も少なくて良いので、非常に簡単に構成できる。
【0099】
例えば、上記レート変換フィルタ52Yのインパルス応答{h}は、
{1,3,6,10,15,21,28,35,43,49,54,57,58,57,・・・}/78
と24次で実現でき、上記レート変換フィルタ52Yの乗算器は3個で構成できる。また係数語長もこの場合6ビットとなり、係数発生器や乗算器の簡素化することができる。
【0100】
このようなレート変換回路51のレート変換フィルタ52Yは、例えば図12に示すように構成される。
【0101】
この図12に示すレート変換フィルタ52Yの具体例は、出力レートであるfS2で上記演算を実行して、2fs1レートのサンプル列{b}からfS2レートのサンプル列{c}を生成するものであって、4段のシフトレジスタ151、データ並べ変え回路152、ラッチ回路153A,153B,153C、3個の乗算器154A,154B,154C、係数発生器155A,155B,155C、加算器156及びラッチ回路157を備えてなる。
【0102】
このレート変換フィルタ52Yにおいて、上記シフトレジスタ151には、図13の(A)に示す2fs1レートのサンプル列{b}がシリアル入力される。このシフトレジスタ151は、2fs1レートのクロックCK(2fs1)により動作して、上記2fs1レートのサンプル列{b}を順次遅延させる。そして、この4段のシフトレジスタ151により得られる上記サンプル列{b}の1クロック遅延出力〔図13の(B)〕、2クロック遅延出力〔図13の(C)〕、3クロック遅延出力〔図13の(D)〕及び4クロック遅延出力〔図13の(E)〕が上記データ並べ変え回路152に2fs1レートで並列的に入力される。
【0103】
上記データ並べ変え回路152は、上記シフトレジスタ151から2fs1レートで並列的に入力される上記サンプル列{b}の1クロック遅延出力、2クロック遅延出力、3クロック遅延出力及び4クロック遅延出力について、fs2レートで 並べ変えを行い、上述の演算に使用する3種類のサンプル列{b,{b,{b〔図13の(F),(G),(H)〕を生成する。そして、このデータ並べ変え回路152により生成されたfs2レートの各サンプル列{b,{b,{bが上記ラッチ回路153A,153B,153Cを介して乗算器154A,154B,154Cに供給される。
【0104】
また、上記係数発生器155A,155B,155Cは、上述の演算に使用する3種類の乗算係数ACOEF,BCOEF,CCOEFをそれぞれfs2レートで順次発生する。すなわち、上記係数発生器155A,155B,155Cの内の係数発生器155Aは、上述の演算に使用する第1項の乗算係数ACOEF{h−9,h−8,h−7,h−6,h−5,0,h−12,h−11,h−10}〔図13の(I)〕を上記乗算器154Aに順次供給し、係数発生器155Bは、第2項の乗算係数BCOEF{h,h,h,h,h,h−4,h−3,h−2,h−1}〔図13の(J)〕を上記乗算器154Bに順次供給し、さらに、係数発生器155Cは、第3項の乗算係数CCOEF{h,h10,h,h11,h12,0,h,h,h,h}〔図13の(K)〕を上記乗算器154Cに順次供給する。
【0105】
さらに、上記各乗算器154A,154B,154Cは、上記各ラッチ回路12A,12B,12Cの各ラッチ出力すなわち上記データ並べ変え回路152により生成されたfs2レートの各サンプル列{b,{b,{bと上記各係数発生器155A,155B,155Cから供給される各乗算係数ACOEF,BCOEF,CCOEFを並列的に乗算する乗算処理をfs2レートで順次行う。これらの乗算器154A,154B,154Cによる各乗算出力は、上記加算器156に供給される。
【0106】
そして、上記加算器156は、上記乗算器154A,154B,154Cによる各乗算出力を加算することにより、図13の(L)に示すfS2レートのサンプル列{c}、すなわち、
=h−9・b+h・b+h・b−1
=h−8・b+h・b+h10・b
=h−7・b+h・b+h11・b
=h−6・b+h・b+h12・b
=h−5・b+h・b
=h−4・b11+h・b10
=h−12・b14+h−3・b13+h・b12
=h−11・b16+h−2・b15+h・b14
=h−10・b18+h−1・b17+h・b16
を算出する。
【0107】
そして、このようにして2fs1レートのサンプル列{b}から生成したfS2レートのサンプル列{c}は、図13の(M)に示すように、ラッチ回路157を介して順次出力される。
【0108】
ここで、上述の演算処理に使用する各乗算係数ACOEF,BCOEF,CCOEFは、この具体例のように、fs2=18fs1/19の場合、fs2の9クロック毎に循環的に出現させればよいので、記各係数発生器155A,155B,155Cは、例えば図14に示すようにシフトレジスタにより簡単に構成することができる。
【0109】
図14に示した係数発生器155は、縦続接続された第1乃至第3のシフトレジスタ161,162,163と、これら各シフトレジスタ161,162,163のクロックを切り換える第1のスイッチ回路164と、出力を切り換える第2のスイッチ回路165と、上記各スイッチ回路164,165の動作を制御する制御回路166とからなる。
【0110】
上記第1乃至第3のシフトレジスタ161,162,163は、各クロック入力端が上記第1のスイッチ回路164を介して第1又は第2のクロック入力端子160A,160Bに選択的に接続されるようになっている。また、上記第1のシフトレジスタ161のデータ入力端は、上記第2のスイッチ回路165を介して、該第1のシフトレジスタ161のデータ出力端、上記第2のシフトレジスタ162のデータ出力端、上記第3のシフトレジスタ163のデータ出力端、又は係数データ入力端子160Cに選択的に接続されるようになっている。そして、上記第1のシフトレジスタ161は、6段のシフトレジスタであって、そのデータ出力端が係数データ出力端子155Cに接続されている。また、上記第2のシフトレジスタ162は、3段のシフトレジスタである。さらに、上記第3のシフトレジスタ163は、24段のシフトレジスタである。
【0111】
ここで、上記第1のクロック入力端子160AにはfS2レートのクロックCK(fS2)が供給されており、また、上記第2のクロック入力端子160Bには図示しないシステムコントローラからロードクロックLDCKIが供給される。また、上記係数データ入力端子160Cには図示しないシステムコントローラから係数データCOEFIが供給される。さらに、上記制御回路166には、上記同期信号発生器11から水平同期信号HDが供給されるとともに、図示しないシステムコントローラからモード信号MODEIが供給される。
【0112】
そして、この係数発生器155において、上記各スイッチ回路164,165は、図示しないシステムコントローラから供給されるモード信号MODEIに応じて、上記制御回路166により次のように制御される。
【0113】
すなわち、上記第1のスイッチ回路164は、カメラの起動時に上記システムコントローラから供給されるロードクロックLDCKIを選択し、通常の動作時には、fs2レートのクロックCK(fs2)を選択する。
【0114】
また、上記第2のスイッチ回路165は、カメラの起動時に上記システムコントローラから供給される係数データCOEFIを選択し、通常の動作時には、その動作モードに応じて、上記第1乃至第3のシフトレシジタ161,162,163の出力データを選択して、モード1の場合に上記第1のシフトレシジタ161の出力データを選択し、モード2の場合に上記第2のシフトレシジタ162の出力データを選択し、さらに、モード3の場合に上記第3のシフトレシジタ163の出力データを選択する。
【0115】
このような構成の係数発生器155では、カメラの起動時に、所望のレート変換比でのレート変換に必要な係数データCOEFIを上記システムコントローラから上記第2のスイッチ回路165を介して上記第1のシフトレジスタSR1のデータ入力端に供給し、ロードクロックLDCKにより上記第1乃至第3のシフトレジスタ161,162,163に必要な段数に同期書き込みを行い、所望のレート変換比の係数データCOEFIを上記第1乃至第3のシフトレジスタ161,162,163にセットすることができる。
【0116】
そして、通常の動作時には、その動作モードに応じて、上記第1乃至第3のシフトレジスタ161,162,163にセットされた係数データCOEFIをクロックCK(fs2)によりfs2レートで巡回させることにより、実時間で所望のレート変換比でのレート変換に必要な乗算係数COEFを出力することができる。
【0117】
すなわち、モード1では、上記第1のシフトレジスタ161にセットされた係数データCOEFIをクロックCK(fs2)によりfs2レートで巡回させることにより、
s2=12fs1/13
すなわち、13→6のレート変換比でのレート変換に必要な乗算係数COEFを出力する。
【0118】
また、モード2の場合に上記第1及び第2のシフトレジスタ161,162にセットされた係数データCOEFIをクロックCK(fs2)によりfs2レートで巡回させることにより、
s2=18fs1/19
すなわち、19→9のレート変換比でのレート変換に必要な乗算係数COEFを出力する。
【0119】
さらに、モード3の場合に上記第1乃至第3のシフトレジスタ161,162,163にセットされた係数データCOEFIをクロックCK(fs2)によりfs2レートで巡回させることにより、
s2=33fs1/35
すなわち、70→33のレート変換比でのレート変換に必要な乗算係数COEFを出力する。
【0120】
また、上記係数発生器155は、図15に示すように、ランダムアクセスメモリ171、アドレス制御回路172、制御回路173などにより構成するようにしても良い。
【0121】
この図15に示した係数発生器155において、上記制御回路173は、図示しないシステムコントローラから供給されるモード信号MODEIに応じて、次のような制御動作を行う。
【0122】
すなわち、カメラの起動時には、図示しないシステムコントローラから供給されるロードクロックLDCKに従って書き込みアドレスを生成するように上記アドレス制御回路172を制御するとともに、上記ランダムアクセスメモリ171の書き込み制御を行う。また、通常の動作時には、fs2レートのクロックCK(fs2)に従って読み出しアドレスを生成するように上記アドレス制御回路172を制御するとともに、上記ランダムアクセスメモリ171の読み出し制御を行う。
【0123】
そして、上記ランダムアクセスメモリ171には、カメラの起動時に、所望のレート変換比でのレート変換に必要な係数データCOEFIが図示しないシステムコントローラから上記制御回路173を介して書き込まれる。そして、通常の動作時には、その動作モードに応じて、上記ランダムアクセスメモリ171にセットされた係数データCOEFIがクロックCK(fs2)によりfs2レートで繰り返し読み出され、実時間で所望のレート変換比でのレート変換に必要な乗算係数COEFがラッチ回路174を介して出力される。
【0124】
また、この実施の形態における色差信号用のレート変換回路50Cは、上述のように、fS1レートのディジタル色差信号C(fS1),C(fS1)を2fS1レートのディジタル点順次色差信号C /C として取り扱うものであり、fs2=18fs1/19すなわち19→9のレート変換比の場合の動作を図16及び及び図17のタイムチャートに示すように、上述の輝度信号用のレート変換回路50Yと同様に、原理的にm,nを正の整数としてfS2=fS1・n/mなる関係にある周波数で2m→nのレート変換を行う。
【0125】
この色差信号用のレート変換回路50Cのレート変換フィルタ53Cは、上述の輝度信号用のレート変換回路50Yのレート変換フィルタ52Yと同様な構成とすることができ、図18に示すように、4段のシフトレジスタ251、データ並べ変え回路252、ラッチ回路253A,253B,253C、3個の乗算器254A,254B,254C、係数発生器255A,255B,255C、加算器256及びラッチ回路257により構成される。
【0126】
また、上記レート変換フィルタ53Cの各係数発生器255A,255B,255Cは、図19に示すように、縦続接続された第1乃至第3のシフトレジスタ261,262,263と、これら各シフトレジスタ261,262,263のクロックを切り換える第1のスイッチ回路264と、出力を切り換える第2のスイッチ回路265と、上記各スイッチ回路264,265の動作を制御する制御回路266とから構成したり、図20に示すように、ランダムアクセスメモリ271、アドレス制御回路272、制御回路273などにより構成するすることができる。
【0127】
なお、これらの動作は、上述の輝度信号用のレート変換フィルタ52Yの場合と同様なので、その説明を省略する。
【0128】
ここで、上述のように例えばm=19,n=9とした19→9のレート変換などn×2fs1=mfs2のレート変換処理において、2fs1レートの入力データ列は、その整数倍〔1〜(n−1)〕の周波数に大きなエネルギーを有する。そこで、このレート変換処理を行うレート変換フィルタは、これらの周波数のキャリア成分及び高次のキャリアサイドバンド成分を抑圧するフィルタ特性を有するものとすれば良く、n×2fs1の周波数に零点を有する第1の伝達関数H(z−1)と、上記n×2fs1の周波数の上下にそれぞれ零点を有する第2の伝達関数H(z−1)との積H(z−1)×H(z−1)を展開した形で与えられる整係数のインパルス応答を有するものとすることができる。
【0129】
すなわち、上記輝度信号用のレート変換フィルタ52Yではn×2fs1に少なくとも1個の零点を有し、その近傍に2個ずつの零点を有する整係数のインパルス応答を有するものとすることができる。また、上記色差信号用のレート変換フィルタ53Cではn×fs1に少なくとも1個の零点を有し、その近傍に2個ずつの零点を有する整係数のインパルス応答を有するものとすることができる。
【0130】
そして、上記第1及び第2の伝達関数H(z−1),H(z−1)は、例えば次の第1式及び第2式にて与えられる。
【0131】
【数1】
Figure 0003736454
【0132】
【数2】
Figure 0003736454
【0133】
上記第1の伝達関数H(z−1)は、(n−1)次の整係数を有するもので、例えば、
(z−1)=1+z−1+z−2+z−3+z−4+z−5+z−6+z−7+z−8
にて与えられる。また、上記第2の伝達関数H (z−1)は、2(n−1)次の整係数を有するもので、例えば、
Figure 0003736454
にて与えられる。これにより、レート変換フィルタは、3n次の整係数となり図21に示すような特性となる。なお、上記z−1はn×2fs1に対応する単位遅延演算子である。
【0134】
レート変換フィルタに入力されるデータ列は、このレート変換フィルタのインパルス応答に対してn個おきにしか実サンプルが存在しないので、実際のコンボリュションに必要な乗算器は3個で良い。このように、レート変換フィルタを2fs1の高次キャリア成分の抑圧のためにだけ動作させることにより、実際の回路で必要な乗算器の数を少なくすることができる。なお、ベースバンドの付近では、振幅特性のロールオフがなまってしまうが、ハーフバンドフィルタにより事前に補正することができる。
【0135】
このような構成のディジタルカムコーダでは、fS1レートで駆動される撮像部1の固体イメージセンサ1R,1G,1Bから出力される撮像信号R,G,Bをアナログディジタル変換部3により所定の位相のfS1レートでディジタル化し、上記アナログディジタル変換部3によりディジタル化された撮像データR,G,Bから少なくともディジタル輝度信号Yと2つのディジタル色差信号C,Cを上記fS1レートに関連したクロックレートで動作する第1のディジタル演算部4により生成するので、ビート妨害が発生することなく画質の良好なディジタル画像信号を得ることができる。
【0136】
そして、記録モード時の要部の動作状態を図22に示してあるように、記録モード時には、上記第1のディジタル演算部4により生成された上記fS1レートに関連したディジタル輝度信号Yとディジタル色差信号C,Cが第2のディジタル演算部5により上記fS2レートに関連したディジタル輝度信号Yと2つのディジタル色差信号C,Cに変換されて記録再生部7に供給されるとともに、上記fS1レートに関連したディジタル輝度信号Yとディジタル色差信号C,Cが上記アナログ出力用の信号処理部6を介して出力される。また、再生モード時の要部の動作状態を図23に示してあるように、再生モード時には、上記記録再生部7により再生された上記fS2レートに関連したディジタル輝度信号Yとディジタル色差信号C,Cが上記第2のディジタル演算部5により上記fS1レートに関連したディジタル輝度信号Yと2つのディジタル色差信号C,Cに変換されて上記アナログ出力用の信号処理部6を介して出力される。
【0137】
すなわち、このディジタルカムコーダでは、上記第2のディジタル演算部5がfS1レートに関連したデータレートとfS2レートに関連したデータレートのとの間で双方向にレート変換を行う機能を有し、記録モード時には上記第1のディジタル演算部4により生成されるディジタル輝度信号Yと2つのディジタル色差信号C,Cを上記信号処理部6を介して出力するとともに上記第2のディジタル演算部5を介して上記記録再生部7に供給し、再生モード時には上記記録再生部7により再生される上記fS2レートに関連したデータレートの信号Y,C,Cを上記第2のディジタル演算部7を介して上記信号処理部に供給し、この信号処理部6を介して再生信号を出力するので、上記記録再生部7により、上記fS2レートに関連したデータレートの信号Y,C,Cの記録再生を行うことができる。
【0138】
また、このディジタルカムコーダにおいて、上記第2のディジタル演算部5は、複数のレート変換比が設定可能であって、上記fS1レートに関連した入力データレートの信号Y,C,CをfS2レートに関連した出力データレートの信号Y,C,Cに変換するので、上記撮像部1のCCDイメージセンサ1R,1G,1Bとして標準的なCCDイメージセンサを用いて、D−1規格のクロックレートや他のクロックレートのディジタル画像信号を得ることができる。
【0139】
また、このディジタルカムコーダでは、記録モード時に、上記第1のディジタル演算部4により2fS1レートのディジタル輝度信号Y(2fS1)を生成し、上記第2のディジタル演算部5により上記ディジタル輝度信号Y(2fS1)に対して2fS1→fS2のレート変換処理を行い、再生モード時に、上記記録再生部から供給されるfS2レートのディジタル輝度信号Y(fS2)に対してfS2→2fS1又はfS2→2fS2のレート変換処理を上記第2のディジタル演算部により行うようにしたので、該第2のディジタル演算部の構成を簡略化することができる。
【0140】
また、上記第2のディジタル演算部5は、記録モード時には2fS1,fS1,fS1のクロックレートで動作して、上記第1のディジタル演算部4により生成された各信号Y(2fS1),C(fS1),C(fS1)について、fS2/2,fS2/4,fS2/4のクロックレートに対するナイキストフィルタとして機能し、再生モード時には2fS2,fS2,fS2のクロックレートで動作して記録モード時と同じ周波数特性を呈するハーフバンドフィルタ51Y,52Cを再生モード時と記録モード時とで共用し、記録モード時に、レート変換フィルタ52Y,53Cにより、上記ハーフバンドフィルタ51Y,52Cを介して供給される各信号Y(2fS1),C(fS1),C(fS1)について、ディジタル輝度信号Y(2fS1)に対して2fS1→fS2のレート変換処理を行い、ディジタル色差信号C(fS1),C(fS1)に対して実質的にfS1→fS2/2のレート変換処理を行う。このように、再生モード時と記録モード時とで上記ハーフバンドフィルタ51Y,52Cを共用することにより、上記第2のディジタル演算部5の構成を簡略することができる。
【0141】
さらに、上記第2のディジタル演算部5は、上記第1のディジタル演算部5により生成された入力データレートの信号Y,C,Cに対して、2fS1,fS1,fS1の出力データレートで、fS2/2,fS2/4,fS2/4を通過帯域とするハーフバンドフィルタ51Y,52Cにより帯域制限処理を行い、レート変換フィルタ52Y,53Cにより、2fS1→fS2,fS1→fS2/2又はfS2/4,fS1→fS2/2又はfS2/4のレート変換処理を行い、n×2fS1,n×fS1,n×fS1(nは正の整数)周辺の高次サイドバンド成分を抑圧するだけの低次の直線位相有限長インパルス応答をfS2,fS2/2又はfS2/4,fS2/2又はfS2/4でダウンサンプリングされる形で出力する。また、上記ハーフバンドフィルタ51Y,52Cの特性により上記レート変換フィルタ52Y,53Cの通過ロールオフ特性を補償する。これにより、簡単な構成の第2のディジタル演算部5により、レート変換処理を確実に行うことができる。
【0142】
また、このディジタルカムコーダにおいて、上記ハーフバンドフィルタ51Y,52Cにより帯域制限された信号に対してレート変換処理を行うレート変換フィルタ52Y,53Cは、n×2fS1,n×fS1,n×fS1に少なくとも1個の零点を有し、その近傍に2個ずつの零点を有する整係数のインパルス応答を有するもので、それぞれ3個の乗算器154A〜154C,254A〜254Cで構成することができる。
【0143】
また、上記第1のディジタル演算部4により生成された入力データレートの信号Y,C,Cに対して帯域制限を行うハーフバンドフィルタ51Y,52Cは、整係数で構成された部分フィルタの積で構成される簡単なものとすることができる。
【0144】
さらに、このディジタルカムコーダでは、空間画素ずらし法を採用した撮像部1の色分解光学系に配置された固体イメージセンサ1R,1G,1Bから出力される各撮像信号R,G,BをA/D変換部3によりそれぞれ所定の位相のfS1レートでディジタル化し、第1のディジタル演算部4により少なくとも2fS1レートのディジタル輝度信号Y(2fS1)とそれぞれfS1レートの2つのディジタル色差信号C(fS1),C(fS1)を生成し、複数のレート変換比n/mが設定可能な第2のディジタル演算部5により、2m→n(m,nは正の整数)のレート変換処理を行い、fS2=fS1・n/mレートのディジタル輝度信号Y(fS2)と、実質的にfS2/2レートのディジタル色差信号C(fS2/2),C(fS2/2)を生成するので、空間画素ずらし法を採用して、ビート妨害が発生することなく画質の良好なディジタル画像信号を得ることができ、折り返し歪みが少なく高MTFのディジタル画像信号を得ることができる。
【0145】
さらに、このディジタルカムコーダでは、上記第1のディジタル演算部4により生成された各信号Y(2fS1),C(fS1),C(fS1)を信号処理部6のD/A変換部61によりアナログ化してアナログ輝度信号YOUT とアナログ色差信号YOUT,CROUT,CBOUTを出力するので、高解像度のアナログ画像信号と折り返し歪みが少なく高MTFのディジタル画像信号とを同時に得ることができる。上記信号処理部6は、記録モード時には、上記第1のディジタル演算部4により生成された2fS1レートのディジタル輝度信号Y(2fS1)をD/A変換部61によりアナログ化して出力し、再生モード時には、上記第2のディジタル演算部5により生成された2fS2レートのディジタル輝度信号Y(2fS2)を上記D/A変換部61によりアナログ化して出力するので、記録モード時と再生モード時に高解像度のアナログ輝度信号を得ることができる。
【0146】
また、上記第2のディジタル演算部5は、ディジタルインターフェース13により、ディジタル輝度信号Yが2fS2のクロックレートでディジタル色差信号C,CがそれぞれfS2/2のクロックレートでインターフェースされるので、2fS2レートのディジタル輝度信号Y(2fS2)とfS2/2レートのディジタル色差信号C(fS2/2),C(fS2/2)を外部機器との間で授受することができる。
【0147】
さらに、このディジタルカムコーダでは、上記第1のディジタル演算部4により生成された各信号Y,C,Cを上記信号処理部6のD/A変換部61によりアナログ化してアナログ輝度信号とアナログ色差信号が供給されるアナログエンコーダ62においてアナログ色差信号に帯域制限処理を施すローパスフィルタ63,64による群遅延を補償する第1の遅延補償回路42DLYを上記第1のディジタル演算部4の第2のディジタルプロセス処理回路42の輝度信号チャンネルの出力段に設けてあるので、上記撮像部1のCCDイメージセンサ1R,1G,1Bによる撮像信号R,G,Bから生成される輝度信号Yと色差信号C,Cとの間の遅延差を補償して画質の良好なアナログ画像信号を得ることができる。
【0148】
また、このディジタルカムコーダでは、上記第2のディジタル演算部5により生成されたfS2レートに関連した出力データレートの各信号Y,C,Cを群遅延を揃えて出力する第2の遅延補償回路54Yを上記第2のディジタル演算部5の輝度信号用のレート変換回路50Yに設けてあるので、上記撮像部1のCCDイメージセンサ1R,1G,1Bによる撮像信号R,G,Bから生成される輝度信号Yと色差信号C,Cとの間の遅延差を補償して画質の良好なディジタル画像信号を得ることができる。
【0149】
さらに、このディジタルカムコーダにおいて、上記第2のディジタル演算部5は、上記fS1レートに関連したデータレートとfS2レートに関連したデータレートのとの間で双方向にレート変換を行う機能を有し、外部入力モード時に上記第2の遅延補償回路54Yを介して入力されるfS2レートに関連したデータレートのディジタル輝度信号およびディジタル色差信号を上記第1のディジタル演算部4から出力される各信号Y,C,Cの群遅延と等しい群遅延を有する上記fS1レートに関連したデータレートの信号Y,C,Cを生成して、上記信号処理部6のD/A変換部61に供給するので、外部入力モード時にも輝度信号Yと色差信号C,Cとの間の遅延差を補償して画質の良好なアナログ画像信号を得ることができる。
【0150】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ハーフバンドフィルタをダウンレート変換処理時における出力信号のクロックレートに対するナイキストフィルタとして機能させ、また、アップレート変換処理時にはアップレート変換フィルタとして機能させることにより、構成を簡略化した固体撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したディジタルカムコーダの構成を示すブロック図である。
【図2】上記ディジタルカムコーダにおけるアナログ出力用の信号処理部の構成例を示すブロック図である。
【図3】上記ディジタルカムコーダにおけるアナログ出力用の信号処理部の他の構成例を示すブロック図である。
【図4】上記ディジタルカムコーダにおける輝度信号用のレート変換回路の構成例を示すブロック図である。
【図5】上記輝度信号用のレート変換回路の記録モードにおける接続状態を示すブロック図である。
【図6】上記輝度信号用のレート変換回路の再生モードにおける接続状態を示すブロック図である。
【図7】上記ディジタルカムコーダにおける色差信号用のレート変換回路の構成例を示すブロック図である。
【図8】上記色差信号用のレート変換回路の記録モードにおける接続状態を示すブロック図である。
【図9】上記色差信号用のレート変換回路の再生モードにおける接続状態を示すブロック図である。
【図10】上記輝度信号用のレート変換回路の動作を示すスペクトラムダイヤグラムである。
【図11】上記輝度信号用のレート変換回路の動作を示すタイムチャートである。
【図12】上記輝度信号用のレート変換回路におけるレート変換フィルタの構成例を示すブロック回路図である。
【図13】上記輝度信号用のレート変換フィルタの動作を示すタイムチャートである。
【図14】上記輝度信号用のレート変換フィルタにおける係数発生器の構成例を示すブロック回路図である。
【図15】上記輝度信号用のレート変換フィルタにおける係数発生器の他の構成例を示すブロック回路図である。
【図16】上記色差信号用のレート変換回路の動作を示すタイムチャートである。
【図17】上記色差信号用のレート変換フィルタの動作を示すタイムチャートである。
【図18】上記色差信号用のレート変換回路におけるレート変換フィルタの構成例を示すブロック回路図である。
【図19】上記色差信号用のレート変換フィルタにおける係数発生器の構成例を示すブロック回路図である。
【図20】上記色差信号用のレート変換フィルタにおける係数発生器の他の構成例を示すブロック回路図である。
【図21】上記輝度信号用のレート変換フィルタの特性の具体例を示す特性図である。
【図22】上記ディジタルカムコーダの記録モードにおける主要部の動作状態を示すブロック図である。
【図23】上記ディジタルカムコーダの再生モードにおける主要部の動作状態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 撮像部、1R,1G,1B CCDイメージセンサ、2 アナログ信号処理部、3 A/D変換部、3R,3G,3B A/D変換器、4 第1のディジタル演算部、5 第2のディジタル演算部、6 信号処理部、7 記録再生部、41 第1のディジタルプロセス処理回路、42 第2のディジタルプロセス処理回路、42DLY 第1の遅延補償回路、50Y,50C レート変換回路、51Y,52C ハーフバンドフィルタ、51C MPX/DMPX、52Y,53C レート変換フィルタ、54Y 第2の遅延補償回路、55Y,55C 0挿入回路、61 D/A変換部、62 アナログエンコーダ、63C,63C ローパスフィルタ、73 ディジタルエンコーダ

Claims (8)

  1. 第1のクロックレートで駆動される少なくとも1個の固体イメージセンサと、
    上記固体イメージセンサから出力される撮像信号を所定の位相の第1のクロックレートでディジタル化するアナログディジタル変換部と、
    上記アナログディジタル変換部により第1のクロックレートでディジタル化された撮像データを第2のクロックレートの映像データに変換するレート変換を行う機能と、第2のクロックレートの映像データを第1のクロックレートの映像データに変換するレート変換を行う機能を有するレート変換部を備え、
    上記レート変換部は、上記第1のクロックレートから上記第2のクロックレートへのレート変換を行う第1のモード時に、上記第1のクロックレートで動作し、上記第2のクロックレートに対するナイキストフィルタとして機能し、上記第2のクロックレートから上記第1のクロックレートへのレート変換を行う第2のモード時に、上記第2のクロックレートで動作し、上記第1のモード時と同じ周波数特性を呈するフィルタと、上記フィルタを介して供給される信号に対して、上記第1のモード時に上記第1のクロックレートから上記第2のクロックレートへのレート変換処理を行い、上記第2のモード時に上記第2のクロックレートから上記第1のクロックレートへのレート変換処理を行うレート変換フィルタからなり、上記第1のモードと上記第2のモードとで上記フィルタを共用することを特徴とする固体撮像装置。
  2. 上記フィルタは、上記第1のモードにおいて、上記第1のクロックレートの信号に対して上記第1のクロックレートと等しい出力データレートで、上記第1のクロックレートの1/4のレートを通過帯域として動作し、上記レート変換フィルタは、上記第1のモードにおいて、上記フィルタを介して供給される信号に対して、上記第1のクロックレートのn倍(nは正の整数)周辺の高次サイドバンド成分を抑圧するだけの低次の直線位相有限長インパルス応答を上記第2のクロックレート又は上記第2のクロックレートの1/2でダウンサンプリングされる形で出力するレート変換フィルタからなり、上記フィルタが上記レート変換フィルタの通過ロールオフ特性を補償する特性を有することを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
  3. 上記レート変換フィルタは、複数個の乗算器で構成されることを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
  4. 上記フィルタは整係数で構成された部分フィルタの積で構成されることを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
  5. 上記レート変換フィルタは、上記第1のクロックレートの信号を第2のクロックレートの信号に変換するフィルタ係数の変更により複数のレート変換比が設定可能としたことを特徴する請求項1記載の固体撮像装置。
  6. 上記フィルタを介して上記レート変換フィルタに供給される信号は、上記第1のクロックレートをf S1 レートとし、上記f S1 レートでディジタル化された撮像データから生成される2f S1 レートのディジタル輝度信号であり、上記フィルタの特性は固定とし、上記レート変換フィルタのレート変換比を設定自在としたことを特徴する請求項5記載の固体撮像装置。
  7. 上記フィルタを介して上記レート変換フィルタに供給される信号は、上記第1のクロックレートをf S1 レートとし、上記f S1 レートでディジタル化された撮像データから生成されるf S1 レートのディジタル色差信号であり、上記フィルタの特性は固定とし、上記レート変換フィルタのレート変換比を設定自在としたことを特徴する請求項5記載の固体撮像装置。
  8. 上記フィルタを介して上記レート変換フィルタに供給される信号は、上記第1のクロックレートをf S1 レートとし、上記f S1 レートでディジタル化された撮像データから生成される2f S1 レートのディジタル輝度信号及びf S1 レートのディジタル色差信号であり、上記フィルタの特性を固定とし、上記レート変換フィルタのレート変換比を設定自在としたことを特徴する請求項5記載の固体撮像装置。
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