JP3736430B2 - 酸素濃度検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車載用エンジンの排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車載用エンジンの空燃比制御においては、例えば制御精度を高めるといった要望や環境問題に起因するリーンバーン化への要望があり、これらの要望に対応すべく、被検出ガスとしての排気ガス中の酸素濃度(延いては、エンジンに吸入される混合気の空燃比)を広域に且つリニアに検出可能な酸素濃度センサ(以下、空燃比センサともいう)が提供されている。
【0003】
そして、このような空燃比センサを用いた空燃比検出装置(酸素濃度検出装置)としては、例えば特開平11−201935号公報、特開平11−211692号公報、及び特開平9−292364号公報などに記載されているものがあり、この種の空燃比検出装置では、空燃比センサへの印加電圧を任意に変化させて、空燃比センサの検出動作領域(ダイナミックレンジ)を最適化するようにしている。
【0004】
具体的に説明すると、まず、この種の空燃比検出装置に用いられる空燃比センサは、それの電圧−電流特性を例示する図10のように、電圧の印加に伴って排気ガス中の酸素濃度(延いては空燃比)に応じた電流が流れるように構成されている。尚、図10において、横軸である電圧軸Vは、空燃比センサへの印加電圧の値を表し、縦軸である電流軸Iは、空燃比センサに流れるセンサ電流の値を表している。
【0005】
そして、図10において、電圧軸Vに並行なセンサ電流の直線部分がセンサの限界電流を示しており、この限界電流の値が空燃比(A/F)の値に対応している。
このため、空燃比検出装置は、空燃比センサに所定の電圧を印加しつつ、その空燃比センサに流れる上記限界電流の値を検出して空燃比を算出するが、その限界電流の値を正しく検出するために、空燃比センサへの印加電圧をアクティブに調節する。
【0006】
つまり、図10において、空燃比センサへの印加電圧を同図のVpoとした場合には、A/F=12からA/F=18までの限界電流は検出することができるが、それ以上の空燃比では限界電流を検出することができず、例えばA/F=20とA/F=21との区別は出来なくなってしまう。
【0007】
そこで、上記各公報に記載の空燃比検出装置では、空燃比検出のための各種処理を実行するマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)に内蔵されたD/Aコンバータ、或いは、そのマイコンの外部に設けられたD/Aコンバータを用いて、空燃比センサへの印加電圧を、空燃比センサの検出動作領域が最適となるように変化させるようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、マイコンにおいては、高速処理化及び高集積化に伴って、デジタル化及び小型化が進められている。
つまり、マイコンにおいて、本来のデジタル処理を行うデジタル部は、技術の進歩によって、年々、小型化されているが、D/Aコンバータなどのアナログ部は、小型化するのに限度があり、マイコン全体の小型化及び低コスト化の妨げになるため、近年では、そのようなアナログ部をマイコンに内蔵させない傾向にある。
【0009】
これに対して、例えば上記特開平11−201935号公報や特開平11−211692号公報に記載の空燃比検出装置では、マイコンに内蔵されたD/Aコンバータの出力電圧が、マイコン外部のバッファを介して、空燃比センサの端子へ印加されるように構成し、これにより、空燃比センサへの空燃比検出用の印加電圧を可変にしている。
【0010】
よって、上記両公報に記載の空燃比検出装置では、使用されるマイコンを小型で安価なものにすることができず(換言すれば、D/Aコンバータを内蔵しない小型で安価なマイコンを用いることができず)、その結果、装置全体の小型化及び低コスト化を達成するのに限界が生じてしまう。
【0011】
しかも、高速処理可能なマイコンでは、内部で発生するノイズが大きい傾向にあるため、内蔵されたD/Aコンバータの出力精度に悪影響を与える可能性がある。このため、上記両公報に記載のように、マイコンに内蔵のD/Aコンバータを用いて空燃比センサへの印加電圧を変化させるように構成した場合には、空燃比センサへの印加電圧の制御精度を向上させるという点においても不利な面がある。
【0012】
また、上記特開平9−292364号公報に記載されているように、マイコンとは別体のD/Aコンバータを用いることも考えられるが、空燃比検出装置を構成する部品の数が増加することにより、装置の大型化を招いてしまい、しかも、マイコンが外部のD/Aコンバータを制御するためのシリアル通信線や多数の制御線を装置内に配設しなければならないという問題が生じる。
【0013】
一方更に、空燃比センサへの空燃比検出用の印加電圧は、出来るだけ細かく且つ徐々に変えることが望ましい。つまり、通常の空燃比検出時(酸素濃度検出時)において、空燃比センサへの印加電圧を急に大きく変えてしまうと、その電圧変化に伴う交流電流がセンサに流れてしまい、本来の限界電流値を正確に検出することができなくなってしまうからである。
【0014】
そして、上記各公報に記載の技術では、空燃比センサへの印加電圧を細かく変えるために、高分解能で高価なD/Aコンバータが必要となってしまう。
例えば、D/Aコンバータの電源電圧(即ち最大出力電圧)を5Vとすると、10ビット分解能の高価なD/Aコンバータを使用した場合、空燃比センサへの印加電圧の可変分解能は約4.88mV(=5V/1024)にまで小さくすることができるが、6ビット分解能の安価なD/Aコンバータを使用したならば、空燃比センサへの印加電圧の可変分解能は約78mV(=5V/64)にまで大きくなってしまい、空燃比センサへの印加電圧は、0mV,78mV,156mV,234mV,312mV,390mV,468mVといった具合にしか変えることができなくなってしまう。
【0015】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、酸素濃度センサへ酸素濃度を検出するために印加する検出用電圧を、高分解能且つ高精度に変えることができ、しかも安価な酸素濃度検出装置を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の酸素濃度検出装置は、入力部に入力される指令電圧に応じた電圧を酸素濃度センサへ印加する電圧印加手段と、マイコン(マイクロコンピュータ)とを備えている。そして、マイコンは、被検出ガス中の酸素濃度を検出するための検出用電圧が酸素濃度センサへ印加されるように、電圧印加手段への前記指令電圧を制御すると共に、酸素濃度センサに流れる電流を検出して被検出ガス中の酸素濃度を算出する。
【0017】
そして特に、請求項1の酸素濃度検出装置では、マイコンの出力ポートから出力される2値振幅のオン/オフ信号を積分回路で平滑化した電圧が、電圧印加手段の入力部に指令電圧として供給されるようになっており、マイコンは、上記出力ポートから出力するオン/オフ信号のデューティ比により、電圧印加手段から酸素濃度センサへの検出用電圧(即ち、酸素濃度検出用の印加電圧)を変化させる。
【0018】
つまり、オン/オフ信号は、オンに相当するハイレベルとオフに相当するローレベルとの2値振幅の信号であり、それを積分回路で平滑化した電圧であって、電圧印加手段の入力部に入力される指令電圧(延いては、酸素濃度センサへの印加電圧)は、そのオン/オフ信号のデューティ比に比例して、該デューティ比が大きくなるほど高くなる。このため、マイコンは、積分回路へのオン/オフ信号のデューティ比を変えることで、電圧印加手段から酸素濃度センサへの印加電圧を調節することができる。
【0019】
このような請求項1の酸素濃度検出装置によれば、以下の効果が得られる。
(A)酸素濃度センサに印加する検出用電圧を、マイコン内外のD/Aコンバータを用いることなく可変にすることができるため、装置の小型化及び低コスト化を達成できる。
【0020】
(B)印加電圧の可変分解能は、マイコンが出力するオン/オフ信号のデューティ比の分解能に等しいため、D/Aコンバータを用いる従来の方法と比べて、印加電圧を非常に細かく設定することができる。つまり、マイコンが出力するオン/オフ信号のデューティ比の分解能を上げることは、日進月歩で高速化される近年のマイコンにおいては極めて容易なことであり、このため、酸素濃度センサへの印加電圧を非常に細かい分解能で可変にすることができる。
【0021】
(C)マイコン内蔵のD/Aコンバータを用いた場合のようにマイコン内部のノイズの影響がなく、電圧印加手段への指令電圧及び酸素濃度センサへの印加電圧は、マイコンからのオン/オフ信号のデューティ比に忠実なものとなるため、酸素濃度センサへの印加電圧を精度良く制御することができる。
【0022】
(D)マイコンからのオン/オフ信号を積分回路で平滑化するため、酸素濃度センサへの印加電圧をスムーズに変化させることができる。
尚、D/Aコンバータを用いた従来の方法でも積分回路は必要となる。つまり、例えば10ビット分解能のD/Aコンバータを用いたとしても、酸素濃度センサへの印加電圧の可変分解能は約4.88mVであり、印加電圧の変更時に平滑化しないと、センサ電流に少なからず影響を与えてしまうからである。このため、マイコンからのオン/オフ信号を積分回路で平滑化する本構成を採用したことで、回路規模を特に大きくしてしまうことはない。
【0023】
以上のことから、請求項1の酸素濃度検出装置によれば、酸素濃度を検出するために酸素濃度センサへ印加する検出用電圧を、安価な構成で、しかも、高分解能且つ高精度に変えることができるようになる。
次に、請求項2に記載の酸素濃度検出装置は、上記請求項1の酸素濃度検出装置に対して、以下のような変換回路を備えている。
【0024】
即ち、変換回路は、マイコンの出力ポートから出力されるオン/オフ信号を、該オン/オフ信号の振幅を小さくし且つローレベルの電圧を変えたオン/オフ信号に変換して出力する。尚、ここでの振幅とは、オン/オフ信号のローレベルからハイレベルまでの電圧差のことである。
【0025】
そして更に、請求項2の酸素濃度検出装置では、上記変換回路の出力信号(即ち、振幅とローレベル電圧とを変えた後のオン/オフ信号)を積分回路で平滑化した電圧が、電圧印加手段の入力部に指令電圧として供給されるようになっている。
【0026】
そして、このような請求項2の酸素濃度検出装置によれば、酸素濃度センサへの印加電圧を細かく制御するのに非常に有利である。また、積分回路の構成を簡素化することができると共に、酸素濃度センサへの印加電圧を変える際の応答性を向上させることができる。
【0027】
この理由について説明する。
まず、一般に、マイコンの電源電圧は5Vであり、マイコンの出力ポートから出力されるオン/オフ信号は、振幅が5Vで且つローレベルの電圧が0Vとなる。つまり、マイコンから出力されるオン/オフ信号のハイレベルの電圧は5Vであり、ローレベルの電圧は0Vである。
【0028】
このため、請求項1に記載の酸素濃度検出装置において、例えば、電圧印加手段が、入力部に入力される指令電圧と同じ電圧を酸素濃度センサへ印加するものとして説明すると、マイコンから出力されるオン/オフ信号のデューティ比を0%から100%までの全範囲で変えれば、電圧印加手段から酸素濃度センサへの印加電圧は、0Vから5Vまでの範囲で変わることとなる。
【0029】
これに対して、一般に、被検出ガス中の酸素濃度を検出するために酸素濃度センサへ印加すべき検出用電圧は、5Vも変化させる必要がなく、その検出用電圧の最大可変幅は、5Vの10の1程度(例えば0.4V程度)である。
そして、このような場合、即ち、検出用電圧の最大可変幅(上記例では0.4V)がマイコンからのオン/オフ信号の振幅(上記例では5V)に対して非常に小さい場合に、マイコンから出力されるオン/オフ信号を、そのまま積分回路で平滑化した電圧が、電圧印加手段の入力部に指令電圧として供給されるように構成すると、酸素濃度センサへの印加電圧を検出用電圧の最大可変範囲分だけ変化させるためのオン/オフ信号のデューティ比範囲(以下、制御対象デューティ比範囲という)が、0%から100%までの全範囲よりも非常に狭い範囲になってしまい、酸素濃度センサへの印加電圧を細かく制御するのには不利である。
【0030】
つまり、オン/オフ信号のデューティ比の可変分解能が同じであるならば、上記の制御対象デューティ比範囲が狭い場合ほど、酸素濃度センサへの印加電圧を検出用電圧の最大可変範囲で変化させる際の分解能が荒くなってしまうからである。
【0031】
そこで、請求項2に記載の酸素濃度検出装置のように、マイコンから出力されるオン/オフ信号を、そのオン/オフ信号の振幅を小さくし且つローレベルの電圧を変えたオン/オフ信号に変換した上で、積分回路に入力させるように構成すれば、上記の制御対象デューティ比範囲を広くすることができ、酸素濃度センサへの印加電圧を検出用電圧の最大可変範囲で変化させる際の分解能を、非常に細かくすることができるのである。
【0032】
しかも、積分回路に入力されるオン/オフ信号の振幅が小さくなるため、その積分回路での電圧平滑化効果(即ち、フィルタ効果)が小さくても、平滑化後の電圧に生じるリップル(即ち電圧の脈動)を小さく抑えることができる。
このため、積分回路の構成を簡素化することができる。そして更に、積分回路での電圧平滑化効果が小さくて済むため、マイコンからのオン/オフ信号のデューティ比を変えた際に、電圧印加手段への指令電圧が速やかに変わることとなり、その結果、酸素濃度センサへの印加電圧を変える際の応答性も向上させることができる。
【0033】
また特に、請求項2に記載の酸素濃度検出装置において、変換回路から出力されるオン/オフ信号の振幅及びローレベルの電圧は、請求項3に記載の如く、マイコンの出力ポートから出力されるオン/オフ信号のデューティ比を0%から100%までの全範囲で変えることにより、電圧印加手段から酸素濃度センサへの印加電圧が前記検出用電圧の最大可変範囲分だけ変わるように設定することが最も好ましい。
【0034】
つまり、このように設定すれば、制御対象デューティ比範囲が0%から100%までの全範囲となり、オン/オフ信号のデューティ比の可変分解能が同じであるならば、酸素濃度センサへの印加電圧を検出用電圧の最大可変範囲で変化させる際の分解能を、最も細かくすることができるからである。
【0035】
次に、請求項4に記載の酸素濃度検出装置では、上記請求項1〜3の何れかに記載の酸素濃度検出装置において、マイコンは、積分回路で平滑化された電圧を検出し、その検出値に基づいて、酸素濃度センサへの実際の印加電圧と、酸素濃度センサへの目標の印加電圧(即ち、酸素濃度を検出するために酸素濃度センサへ印加すべき目標の印加電圧であり、以下、目標印加電圧という)との差が小さくなるように、上記オン/オフ信号のデューティ比を変化させるようにしている。
【0036】
つまり、請求項4の酸素濃度検出装置では、マイコンが、オン/オフ信号のデューティ比をフィードバック制御するようにしており、このように構成すれば、酸素濃度センサへの印加電圧を、より精度良く最適値に調節することができる。尚、例えば、電圧印加手段が、入力部に入力される指令電圧と同じ電圧を酸素濃度センサへ印加するのであれば、マイコンは、積分回路で平滑化された電圧の検出値と目標印加電圧とを比較して、その差が小さくなるように、オン/オフ信号のデューティ比を変化させれば良い。また、電圧印加手段が、入力部に入力される指令電圧のn倍(n≠1)の電圧を酸素濃度センサへ印加するのであれば、マイコンは、積分回路で平滑化された電圧の検出値をn倍した値と目標印加電圧とを比較して、その差が小さくなるように、オン/オフ信号のデューティ比を変化させれば良い。
【0037】
ところで、マイコンからのオン/オフ信号を平滑化する積分回路は、請求項5に記載のように、コンデンサと抵抗とからなる複数のローパスフィルタ回路を直列に設けた構成のものとすれば、より効果的である。
つまり、積分回路として、コンデンサと抵抗とからなる1つのローパスフィルタ回路を用いても良いが、その場合、平滑化後の電圧に生じるリップルを小さく抑えるためには、静電容量の大きいコンデンサと抵抗値の大きい抵抗とが必要になる。そして、一般に、コンデンサは、静電容量が大きくなると単価が高くなり、また、電子回路では、抵抗値の大きい抵抗を用いると、外来ノイズに弱くなる傾向がある。
【0038】
そこで、請求項5に記載の如く、積分回路を、コンデンサと抵抗とからなるローパスフィルタ回路を複数段直列に設けたものとすれば、比較的小さい静電容量のコンデンサと低抵抗値の抵抗とを使用して、平滑化後の電圧におけるリップルを十分に抑制できるようになり、その結果、低コストでノイズに強い積分回路を得ることができるのである。
【0039】
一方、積分回路として、上記のように、コンデンサと抵抗とからなる複数のローパスフィルタ回路を直列に設けた構成のものを用いると共に、マイコンが、オン/オフ信号のデューティ比をフィードバック制御するように構成する場合には、請求項6に記載のようにしても良い。
【0040】
即ち、請求項6に記載の酸素濃度検出装置では、請求項1〜3の何れかに記載の酸素濃度検出装置において、積分回路が、コンデンサと抵抗とからなる複数のローパスフィルタ回路を直列に設けて構成されている。
そして、マイコンは、積分回路を成す複数のローパスフィルタ回路のうち、最終段のローパスフィルタ回路以外のローパスフィルタ回路で平滑化された電圧をA/D変換器によりA/D変換すると共に、そのA/D変換値を平均化する平均化処理を行い、該平均化処理で算出した平均値に基づいて、酸素濃度センサへの実際の印加電圧と酸素濃度センサへの目標の印加電圧(目標印加電圧)との差が小さくなるように、出力ポートからのオン/オフ信号のデューティ比を変化させる。
【0041】
尚、例えば、電圧印加手段が、入力部に入力される指令電圧と同じ電圧を酸素濃度センサへ印加するのであれば、マイコンは、平均化処理で算出した平均値と目標印加電圧とを比較して、その差が小さくなるように、オン/オフ信号のデューティ比を変化させれば良い。また、電圧印加手段が、入力部に入力される指令電圧のn倍(n≠1)の電圧を酸素濃度センサへ印加するのであれば、マイコンは、平均化処理で算出した平均値をn倍した値と目標印加電圧とを比較して、その差が小さくなるように、オン/オフ信号のデューティ比を変化させれば良い。
【0042】
このような請求項6の酸素濃度検出装置によれば、酸素濃度センサにリップルがない一定の電圧を印加することと、酸素濃度センサへの印加電圧を精度良く制御することとを、両立させ易くすることができる。
つまり、まず、積分回路の最終段のローパスフィルタ回路から出力される電圧Vendは、電圧印加手段への指令電圧となるため、この電圧Vendは、酸素濃度センサへの印加電圧が脈動してしまわないように、十分に平滑化されたものとなる。
【0043】
よって、積分回路の最終段のローパスフィルタ回路から出力される電圧VendをA/D変換器によりA/D変換するように構成した場合、そのA/D変換器の分解能(1LSB)が大きいと、その電圧Vendの変化を捉えることができず、マイコンによるオン/オフ信号のフィードバック制御の精度を上げることができなくなる。
【0044】
そこで、請求項6の酸素濃度検出装置では、最終段のローパスフィルタ回路以外のローパスフィルタ回路で平滑化された電圧Vmidには、多少の脈動が残っていることに着目して、その電圧VmidをA/D変換器によりA/D変換すると共に、そのA/D変換値を平均化する平均化処理を行い、その平均化処理で算出した平均値を、電圧印加手段への指令電圧の検出値として、デューティ比のフィードバック制御に用いるようにしている。そして、このため、A/D変換器の分解能以上の性能を出すことができ、延いては、酸素濃度センサにリップルがない一定の電圧を印加することと、酸素濃度センサへの印加電圧を精度良く制御することとを、高分解能で高価なA/D変換器を用いなくても、両立させることができるようになるのである。
【0045】
一方、上記請求項1〜6の酸素濃度検出装置において、電圧印加手段は、請求項7に記載の如く、酸素濃度センサの一対の各端子A,Bに対応して入力部を2つ備え、そのうちの一方の入力部に入力される指令電圧(以下、第1の指令電圧という)に応じた電圧を酸素濃度センサの一方の端子Aに印加すると共に、他方の入力部に入力される指令電圧(以下、第2の指令電圧という)に応じた電圧を酸素濃度センサの他方の端子Bに印加するように構成することができる。そして、この場合には、請求項7に記載の如く、積分回路で平滑化された電圧(即ち、オン/オフ信号を積分回路で平滑化した電圧)が、電圧印加手段の前記一方の入力部に第1の指令電圧として供給され、電圧印加手段の他方の入力部へは、予め設定された基準電圧が第2の指令電圧として供給されるように構成すれば良い。
【0046】
つまり、この構成によれば、酸素濃度センサの一方の端子Aには、マイコンからのオン/オフ信号のデューティ比に応じた電圧が印加され、酸素濃度センサの他方の端子Bには、基準電圧に対応した一定の電圧が印加されることとなる。そして、酸素濃度センサの一方の端子Aに印加される電圧が可変となることで、電圧印加手段から酸素濃度センサへの印加電圧が可変となる。
【0047】
但し、上記請求項7の構成を採用した場合、マイコンの出力ポートから電圧印加手段の一方の入力部に至るまでの回路の電圧応答特性と、電圧印加手段の他方の入力部に上記基準電圧を供給するための回路の電圧応答特性とが大きく異なっていると、電源投入時や電源遮断時において、酸素濃度センサの各端子に夫々印加される各電圧の立ち上がり特性及び立ち下がり特性が大きく異なってしまい、その結果、酸素濃度センサの両端子間に過大電圧あるいは負電圧がかかってしまう可能性がある。
【0048】
図11を用いて具体的に説明すると、まず図11(a)は、酸素濃度センサのプラス側端子AF+とマイナス側端子AF−とのうち、プラス側端子AF+への印加電圧の変化特性の方が急峻である場合を表している。そして、この場合、電源投入時(即ち、センサへの電圧印加開始時)には、酸素濃度センサに過大な電圧がかかり、電源遮断時(即ち、センサへの電圧印加停止時)には、酸素濃度センサに負電圧がかかってしまうこととなる。
【0049】
また、図11(b)は、酸素濃度センサのプラス側端子AF+とマイナス側端子AF−とのうち、マイナス側端子AF−への印加電圧の変化特性の方が急峻である場合を表している。そして、この場合、電源投入時には、酸素濃度センサに負電圧がかかり、電源遮断時には、酸素濃度センサに過大電圧がかかってしまうこととなる。
【0050】
そこで、この問題を確実に回避するためにには、請求項8に記載の如く構成するのが効果的である。
即ち、まず、請求項8に記載の酸素濃度検出装置では、上記請求項7の酸素濃度検出装置と同様に、電圧印加手段が、酸素濃度センサの一対の各端子A,Bに対応して入力部を2つ備え、そのうちの一方の入力部に入力される第1の指令電圧に応じた電圧を酸素濃度センサの一方の端子Aに印加すると共に、他方の入力部に入力される第2の指令電圧に応じた電圧を酸素濃度センサの他方の端子Bに印加するように構成されている。そして、積分回路で平滑化された電圧(オン/オフ信号を積分回路で平滑化した電圧)が、電圧印加手段の前記一方の入力部に第1の指令電圧として供給される。
【0051】
そして特に、請求項8の酸素濃度検出装置では、電圧印加手段の前記他方の入力部に対しても、前記積分回路と同じ構成の第2の積分回路が備えられており、マイコンの前記出力ポートとは異なる出力ポート(以下、第2の出力ポートという)から出力される2値振幅のオン/オフ信号を前記第2の積分回路で平滑化した電圧が、電圧印加手段の前記他方の入力部に第2の指令電圧として供給される。
【0052】
つまり、請求項8の酸素濃度検出装置では、電圧印加手段の2つの入力部へ夫々供給する各指令電圧を、同じ構成の回路で生成するようにしている。
このような請求項8の酸素濃度検出装置によれば、マイコンの各出力ポートから電圧印加手段の各入力部に至るまでの各回路の電圧応答特性は、ほぼ等しくなるため、電源投入時や電源遮断時において、酸素濃度センサの各端子に夫々印加される各電圧の立ち上がり及び立ち下がり特性が図11の如く異なってしまうことが防止される。よって、電源投入時や電源遮断時において酸素濃度センサの両端子間に過大電圧や負電圧がかかってしまうことを確実に防止することができる。
【0053】
しかも、請求項8の酸素濃度検出装置によれば、マイコンは、上記第2の出力ポートから出力するオン/オフ信号のデューティ比を変えることで、電圧印加手段への第2の指令電圧(延いては、酸素濃度センサの他方の端子Bへの印加電圧)も任意に変化させることができ、酸素濃度センサの各端子に印加される両方の電圧を調節することができるという利点もある。
【0054】
尚、請求項8の酸素濃度検出装置において、請求項2に記載の変換回路を備える場合には、マイコンの上記第2の出力ポートと第2の積分回路との間に、上記変換回路と同様の構成の回路(第2の変換回路)を設けるようにして、マイコンの各出力ポートから電圧印加手段の各入力部に至るまでの各回路の電圧応答特性を、より一層等しくなるようにしても良い。
【0055】
ところで、一般に、この種の酸素濃度検出装置では、前述の特開平11−201935号公報や特開平11−211692号公報に記載されているように、酸素濃度センサの素子インピーダンスを定期的に検出して、その検出値を、センサの温度を所定の活性化温度(例えば700℃)にするためのヒータの制御に用いたり、センサの劣化度合を判定するために用いたりしている。
【0056】
そして、センサの素子インピーダンスを検出する際には、センサへの印加電圧を急峻に変化させることとなり、例えば、印加電圧を急峻に変化させる直前のセンサ電流と、印加電圧を急峻に変化させてから所定時間が経過した時のセンサ電流とを検出して、その検出した両センサ電流の差から素子インピーダンスを算出する。
【0057】
そこで、請求項9に記載の酸素濃度検出装置では、上記請求項7又は8の酸素濃度検出装置において、電圧印加手段の前記2つの入力部のうちの何れか一方に、電圧変更回路を接続するようにしており、この電圧変更回路は、マイコンから上記オン/オフ信号とは別に出力される2値振幅の制御信号に応じて、当該回路が接続された電圧印加手段の入力部の電圧を瞬時に変化させる。
【0058】
そして、この請求項9の酸素濃度検出装置において、マイコンは、酸素濃度センサの素子インピーダンスを検出する際には、上記電圧変更回路への制御信号の出力レベルを切り替えることにより、電圧印加手段から酸素濃度センサへの印加電圧を急峻に変化させる。つまり、マイコンが上記制御信号の出力レベルを切り替えると、電圧印加手段の一方の入力部への電圧が電圧変更回路によって瞬時に変化され、それに伴い酸素濃度センサへの印加電圧が急峻に変化するからである。
【0059】
そして、このような請求項9の酸素濃度検出装置によれば、酸素濃度センサへの酸素濃度検出用の印加電圧を調節することに関してだけではなく、酸素濃度センサの素子インピーダンスを検出するために該センサへの印加電圧を急峻に変化させることに関しても、D/Aコンバータを用いる必要がなくなる。よって、酸素濃度センサの素子インピーダンスを検出する機能を備えた酸素濃度検出装置を、より小型化及び低コスト化することができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施形態の空燃比検出装置(酸素濃度検出装置)について、図面を用いて説明する。尚、本実施形態の空燃比検出装置は、自動車に搭載される電子制御ガソリン噴射エンジンに用いられるものであり、同エンジンの空燃比制御システムにおいては、空燃比検出装置による検出結果に基づいてエンジンへの燃料噴射量を所望の空燃比に制御する。そして、以下の記載では、空燃比センサを用いた空燃比の検出と、同センサの素子インピーダンス(交流インピーダンス)の検出とを行うための構成及び処理について詳細に説明する。
【0061】
まず図1は、第1実施形態の空燃比検出装置1の構成を表す回路図である。
図1に示すように、空燃比検出装置1には、酸素濃度センサとしての限界電流式空燃比センサAFSが接続されており、この空燃比センサAFSは、図示しないエンジンの排気管に取り付けられている。
【0062】
尚、空燃比センサAFSは、特開平11−201935号公報や特開平11−211692号公報に記載されているように、固体電解質層の排気ガス側の表面に排気ガス側電極層が固着されると共に、その固体電解質層の大気側の表面に大気側電極層が固着され、更に、上記排気ガス側電極層の外側に拡散抵抗層が形成されたセンサ本体と、そのセンサ本体を加熱するヒータとを備えた周知のものである。そして、この空燃比センサAFSには、電圧の印加に伴って排気ガス中の酸素濃度に応じた電流が流れ、具体的には、センサ本体の上記固体電解質層への検出空燃比(A/F)に応じた流入電流(即ちセンサ電流)と、その固体電解質層への印加電圧(即ちセンサへの印加電圧)とが、前述した図10のような関係となる。
【0063】
そして、図1に示すように、空燃比検出装置1は、マイコン2を備えており、そのマイコン2の3つの端子AD1,AD2,AD3は、当該マイコン2に内蔵されたA/Dコンバータ(A/D変換器)の入力端子である。また、マイコン2の他の端子PB20,PB21,PWM1のうち、端子PWM1は、マイコン2に内蔵された図2(a)の如きPWM信号生成部3で生成されるオン/オフ信号としてのPWM信号を外部へ出力するためのPWM信号専用の出力ポートであり、端子PB20,PB21は、通常の出力ポートである。
【0064】
ここで、PWM信号生成部3は、図2(a)に示すように、PWM信号の周期Tに相当するデジタル値(以下、周期相当値という)がセットされるレジスタ4と、PWM信号の1周期中のハイ時間Thに相当するデジタル値(以下、ハイ時間相当値という)がセットされるレジスタ5と、マイコン2の内部クロックによって0から1ずつカウントアップされると共に、そのカウント値が上記レジスタ4内の周期相当値に達すると、次の内部クロックでカウント値が0に戻るタイマとしてのカウンタ6と、そのカウンタ6のカウント値が上記レジスタ5内のハイ時間相当値よりも小さければ、ハイレベルを出力し、そうでなければ(カウンタ6のカウント値がハイ時間相当値以上であれば)、ローレベルを出力する比較部7とから構成されている。そして、上記比較部7の出力が、PWM信号として、端子PWM1からマイコン2の外部へ出力される。
【0065】
このため、上記内部クロックの周期を“Tck”とし、レジスタ4内の周期相当値を“NT”とし、レジスタ5内のハイ時間相当値を“NTh”とすると、図2(b)に示すように、カウンタ6のカウント値は0〜NTの間でTck毎に1ずつ変化すると共に、マイコン2の端子PWM1からは、周期Tが「Tck×(NT+1)」で、ハイ時間Thが「Tck×NTh」であるPWM信号が出力されることとなる。
【0066】
更に、空燃比検出装置1は、図1に示すように、非反転入力端子がマイコン2の端子PWM1に接続され、反転入力端子と出力端子とが共通接続されたバッファとしての演算増幅器(オペアンプ)10と、演算増幅器10の出力を平滑化する(積分する)抵抗R1及びコンデンサC1からなるローパスフィルタ回路F1と、そのローパスフィルタ回路F1で平滑化された電圧を更に平滑化する抵抗R2及びコンデンサC2からなるローパスフィルタ回路F2と、そのローパスフィルタ回路F2で平滑化された電圧が非反転入力端子に入力され、出力端子が抵抗12を介して空燃比センサAFSのマイナス側端子(即ち、センサ本体の排気ガス側電極層に接続された端子)AF−に接続され、反転入力端子が抵抗14を介して空燃比センサAFSの上記マイナス側端子AF−に接続された演算増幅器16とを備えている。
【0067】
そして、抵抗12と抵抗14との接続点の電圧(即ち、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−の電圧)Vmが、マイコン2の端子AD3へ入力されるようになっている。
また、空燃比検出装置1は、一定の電源電圧Vcc(本実施形態では5V)と接地電位(=0V)との間に順次直列に接続されて、電源電圧Vccを分圧することにより所定の基準電圧Vr(本実施形態では3.3V)を生成する2つの電圧生成用抵抗18,20と、その抵抗18,20同士の接続点に非反転入力端子が接続され、反転入力端子と出力端子とが共通接続されて、その出力端子から上記基準電圧Vr(=3.3V)を出力するバッファとしての演算増幅器22と、該演算増幅器22の出力端子に一端が接続された抵抗24と、エミッタが接地電位に接続され、ベースがマイコン2の端子PB21に接続されたスイッチング素子としてのNPN形トランジスタ26と、一端がトランジスタ26のコレクタに接続され、他端が抵抗24の演算増幅器22側とは反対側の端部に接続された抵抗28と、エミッタが電源電圧Vccに接続され、ベースがマイコン2の端子PB20に接続されたスイッチング素子としてのPNP形トランジスタ30と、一端がトランジスタ30のコレクタに接続され、他端が抵抗24の演算増幅器22側とは反対側の端部に接続された抵抗32と、抵抗24,28,32同士の接続点と接地電位との間に接続されて、その抵抗24,28,32と共にローパスフィルタを成すコンデンサ34とを備えている。
【0068】
そして更に、空燃比検出装置1は、上記抵抗24,28,32とコンデンサ34との接続点の電圧Voが非反転入力端子に入力され、反転入力端子が抵抗36を介して空燃比センサAFSのプラス側端子(即ち、センサ本体の大気側電極層に接続された端子)AF+に接続された演算増幅器38と、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+と演算増幅器38の出力端子との間に接続されたシャント抵抗40と、非反転入力端子が空燃比センサAFSのプラス側端子AF+に接続され、反転入力端子と出力端子とが共通接続されたバッファとしての演算増幅器42と、演算増幅器42の出力を、そのままマイコン2の端子AD1へ出力する入力回路44と、非反転入力端子が演算増幅器38の出力端子に接続され、反転入力端子と出力端子とが共通接続されたバッファとしての演算増幅器46と、演算増幅器46の出力を、そのままマイコン2の端子AD2へ出力する入力回路48とを備えている。
【0069】
尚、入力回路44は、一端が接地電位に接続されたプルダウン用の抵抗50と、その抵抗50の他端に一端が接続された抵抗52と、その抵抗52の抵抗50側とは反対側の端部に一端が接続された抵抗54と、アノードが抵抗52と抵抗54との接続点に接続され、カソードが電源電圧Vccに接続された過電圧保護用のダイオード56と、抵抗54の抵抗52側とは反対側の端部と接地電位との間に接続されたノイズ除去用のコンデンサ58とを備えている。そして、この入力回路44では、抵抗50と抵抗52との接続点が演算増幅器42の出力端子に接続され、抵抗54とコンデンサ58との接続点がマイコン2の端子AD1に接続されている。また、入力回路48も、入力回路44と全く同じ回路構成である。
【0070】
以上のように構成された空燃比検出装置1においては、演算増幅器16及び抵抗12,14からなる出力回路が、演算増幅器16の非反転入力端子(一方の入力部に相当)に入力される電圧(第1の指令電圧に相当)と同じ電圧を、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−に印加する。
【0071】
また、マイコン2の端子PWM1から出力されるPWM信号が、バッファとしての演算増幅器10を介してローパスフィルタ回路F1に入力され、そのローパスフィルタ回路F1により、図2(b)の「1回積分後の電圧」の段に示すように平滑化される。そして更に、そのローパスフィルタ回路F1で平滑化された電圧が、次段のローパスフィルタ回路F2によって、図2(b)の「2回積分後の電圧」の段に示すように一層平滑化され、そのローパスフィルタ回路F2の出力電圧が、演算増幅器16の非反転入力端子に入力される。
【0072】
よって、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−には、マイコン2の端子PWM1から出力されるPWM信号を2段直列のローパスフィルタ回路F1,F2からなる積分回路で平滑化した電圧と同じ電圧が、演算増幅器16及び抵抗12,14からなる出力回路によって印加されることとなる。
【0073】
このため、マイコン2は、端子PWM1から常時出力するPWM信号のデューティ比を変えることで、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−への印加電圧を調節することができる。
そこで、本実施形態において、マイコン2は、上記端子PWM1からのPWM信号のデューティ比により、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−への印加電圧を制御して、空燃比センサAFSの検出動作領域(ダイナミックレンジ)を最適化するようにしている。尚、本実施形態では、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−へ、上記基準電圧Vr(=3.3V)よりも低い3V前後の電圧を、可変で常時印加するようになっている。
【0074】
一方、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+には、演算増幅器38,抵抗36,及びシャント抵抗40からなる出力回路が、演算増幅器38の非反転入力端子(他方の入力部に相当)に入力される電圧(第2の指令電圧に相当)と同じ電圧を印加する。そして、演算増幅器38の非反転入力端子には、抵抗24,28,32同士の接続点の電圧Voが入力される。
【0075】
よって、2つのトランジスタ26,30が共にオフ状態ならば、演算増幅器22から出力される基準電圧Vr(=3.3V)が演算増幅器38の非反転入力端子に入力されるため、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+には、その基準電圧Vrが印加される。
【0076】
そして、このように、上記2つのトランジスタ26,30が共にオフ状態である通常時には、プラス側端子AF+への基準電圧Vrと、マイコン2からのPWM信号のデューティ比に比例したマイナス側端子AF−への電圧Vmとの差圧(=Vr−Vm)が、空燃比センサAFSの両端に、混合気の空燃比(排気ガス中の酸素濃度)を検出するための検出用電圧として印加される。そして、その電圧の印加に伴い、空燃比センサAFSには、その時の排気ガス中の酸素濃度に応じた電流が流れることとなる。
【0077】
これに対し、2つのトランジスタ26,30のうちでトランジスタ26だけがオン状態ならば、基準電圧Vrと接地電位との差圧(即ち、基準電圧Vr)を抵抗24と抵抗28とで分圧した電圧(Vr−ΔVa)が演算増幅器38の非反転入力端子に入力されるため、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+には、基準電圧VrよりもΔVaだけ低い上記分圧電圧(Vr−ΔVa)が印加される。
【0078】
逆に、2つのトランジスタ26,30のうちでトランジスタ30だけがオン状態ならば、電源電圧Vccと基準電圧Vrとの差圧(Vcc−Vr)を抵抗32と抵抗24とで分圧した電圧(Vr+ΔVb)が演算増幅器38の非反転入力端子に入力されるため、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+には、基準電圧VrよりもΔVbだけ高い上記分圧電圧(Vr+ΔVb)が印加される。
【0079】
尚、本実施形態では、例えば上記ΔVaとΔVbとが両方共に0.2Vとなるように、各抵抗24,28,32の抵抗値を設定している。
また、本実施形態の空燃比検出装置1において、シャント抵抗40には、空燃比センサAFSに流れる電流(センサ電流)Iと同じ電流が流れるため、そのシャント抵抗40の両端電位差は、センサ電流Iに比例した値となる。
【0080】
そして更に、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+に印加される電圧(即ち、シャント抵抗40の空燃比センサAFS側の電圧)Voと同じ電圧Voが、演算増幅器42及び入力回路44によってマイコン2の端子AD1に入力され、また、シャント抵抗40の空燃比センサAFS側とは反対側の電圧(即ち、演算増幅器38の出力電圧)と同じ電圧Viが、演算増幅器46及び入力回路48によってマイコン2の端子AD2に入力される。
【0081】
このため、本実施形態の空燃比検出装置1では、マイコン2が図3の検出処理と図4のPWM出力制御処理とを定期的に実行することにより、空燃比センサAFSに流れるセンサ電流Iを検出して混合気の空燃比(排気ガス中の酸素濃度)を求めると共に、所定時間毎に空燃比センサAFSの素子インピーダンスを検出する。
【0082】
ここで、図3の検出処理と図4のPWM出力制御処理とを説明する前に、素子インピーダンスの検出要領について、図5を用い説明しておく。
まず、マイコン2は、空燃比を検出するために空燃比センサAFSへ印加している電圧を、図5の如く所定時間T1(本実施形態では128ms)毎に急峻に変化させる。そして、その際に、下記の(1)〜(7)の手順で空燃比センサAFSの素子インピーダンスを検出する。尚、本実施形態では、プラス側端子AF+への印加電圧Voを急峻に変化させるようにしており、図5(b)は、図5(a)にて楕円で囲んだ部分を拡大して表すものである。
【0083】
(1)まず、マイコン2は、プラス側端子AF+への印加電圧Voを変化させる直前の時刻t1 で、端子AD1に入力される電圧Voを検出する。尚、以下、この時刻t1 で検出された電圧Voを「Vo(t1 )」と記す。
(2)更に、プラス側端子AF+への印加電圧Voを変化させる直前で且つ時刻t1 直後の時刻t2 で、端子AD2に入力される電圧Viを検出する。尚、以下、この時刻t2 で検出された電圧Viを「Vi(t2 )」と記す。
【0084】
(3)そして更に、時刻t2 直後の時刻t3 で、プラス側端子AF+への印加電圧Voを急峻に変化させる。尚、この例では、プラス側端子AF+への印加電圧Voを空燃比検出用の通常電圧よりも所定電圧ΔVaだけ低い電圧に変化させている。
【0085】
(4)次に、時刻t3 から予め定められた所定時間T2が経過した時刻t4 で、端子AD2に入力される電圧Viを検出する。尚、以下、この時刻t4 で検出された電圧Viを「Vi(t4 )」と記す。また、上記所定時間T2は、時刻t3 からセンサ電流Iの変化分ΔIがピークになると予想される時間であり、本実施形態では135μsに設定されている。
【0086】
(5)更に、時刻t4 直後の時刻t5 で、端子AD1に入力される電圧Voを検出する。尚、以下、この時刻t5 で検出された電圧Voを「Vo(t5 )」と記す。そして、シャント抵抗40の抵抗値をRS とすると、下記の式1により、空燃比センサAFSの素子インピーダンスZを算出する。
【0087】
【数1】
【0088】
尚、上記式1においては、{Vo(t1)−Vo(t5)}が印加電圧の変化分ΔVであり、それ以外の部分が、センサ電流Iの変化分ΔIの逆数(1/ΔI)である。また、式1における{Vo(t1)−Vo(t5)}は、既知のΔVaに置き換えることも可能である。
【0089】
(6)その後、時刻t3 から予め定められた所定時間T3(本実施形態では200μs)が経過した時刻t6 で、プラス側端子AF+への印加電圧Voを上記時刻t3 での変化とは反対側に急峻に変化させる。尚、この例では、プラス側端子AF+への印加電圧Voを空燃比検出用の通常電圧よりも所定電圧ΔVbだけ高い電圧に変化させている。
【0090】
(7)そして、時刻t6 から予め定められた所定時間T4(本実施形態では上記T3と同じ200μs)が経過した時刻t7 で、プラス側端子AF+への印加電圧Voを空燃比検出用の電圧に戻す。
つまり、本実施形態の空燃比検出装置1では、式1からも分かるように、空燃比センサAFSへの印加電圧を急峻に変化させる直前のセンサ電流「{Vi(t2)−Vo(t1)}/RS 」と、印加電圧を急峻に変化させてから所定時間T2が経過した時のセンサ電流「{Vi(t4)−Vo(t5)}/RS 」との差に基づいて、素子インピーダンスZを算出している。
【0091】
尚、素子インピーダンスZの検出が終了した時刻t6 において、プラス側端子AF+への印加電圧Voを時刻t3での変化とは反対側に変化させているのは、センサ電流の収束を早めるためである。
次に、マイコン2で実行される検出処理について、図3のフローチャートに沿って説明する。尚、図3の検出処理は、4ms毎に実行される。また、マイコン2の端子PB20,PB21の初期出力レベルは、2つのトランジスタ26,30が共にオフするように、端子PB20がハイレベル(5V)となっており、端子PB21がロウレベル(0V)となっている。
【0092】
図3に示すように、マイコン2が検出処理の実行を開始すると、まずステップ(以下、単に「S」と記す)110にて、端子AD1に入力される電圧(即ち、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+へ実際に印加されている電圧)Voを検出し、その検出した電圧Voを前述のVo(t1 )として記憶する。次にS120にて、端子AD2に入力される電圧(即ち、シャント抵抗40の空燃比センサAFS側とは反対側の電圧)Viを検出し、その検出した電圧Viを前述のVi(t2 )として記憶する。尚、マイコン2は、端子AD1,AD2に夫々入力される各電圧Vo,Viを、自己に内蔵のA/DコンバータでA/D変換することにより検出する。
【0093】
そして、続くS130にて、S120で検出した電圧Vi(t2 )とS110で検出した電圧Vo(t1 )との差(Vi(t2 )−Vo(t1 ))を、シャント抵抗40の抵抗値RS で割ることにより、センサ電流Iの電流値(限界電流値)を算出し、更に、その電流値と予めマイコン2内のROMに記憶されている特性マップとを用いて、混合気の空燃比(排気ガス中の酸素濃度)を算出する。
【0094】
次に、S140にて、マイコン2内のRAMに設定されているカウンタCTの値が、素子インピーダンスの検出周期である所定時間T1(=128ms)に相当する「31」であるか否かを判定する。
ここで、カウンタCTの値が「31」であると判定した場合には、素子インピーダンスの検出タイミングが到来したと判断して、S160に移行し、今回のS120で検出した電圧Vi(t2 )が所定の判定電圧よりも大きいか否かを判定する。尚、この判定電圧は、図10に示す空燃比センサAFSのダイナミックレンジ内における所定値(例えば中央値)の電流がシャント抵抗40に流れた場合の演算増幅器38の出力電圧Viに設定されている。
【0095】
そして、S160で上記電圧Vi(t2 )が判定電圧よりも大きいと判断した場合(つまり、現在のセンサ電流Iがダイナミックレンジ内の上記所定値よりも大きい場合)には、続くS170にて、図6(a)の時刻t3 に示すように、端子PB21の出力レベルをロウレベルからハイレベルにしてトランジスタ26をオンさせ、その後、S190に移行する。すると、図6(a)の時刻t3 に示すように、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+に印加される電圧Voが、基準電圧Vrよりも前述したΔVa(=0.2V)だけ低い電圧(=3.1V)に変化し、それに伴い、端子AD2への入力電圧(演算増幅器38の出力電圧)Vi及びセンサ電流Iも負側に変化することとなる。
【0096】
また、S160で上記電圧Vi(t2 )が判定電圧よりも大きくないと判断した場合(つまり、現在のセンサ電流Iがダイナミックレンジ内の上記所定値よりも大きくない場合)には、S180に移行して、図6(b)の時刻t3 に示すように、端子PB20の出力レベルをハイレベルからロウレベルにしてトランジスタ30をオンさせ、その後、S190に進む。すると、図6(b)の時刻t3 に示すように、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+に印加される電圧Voが、基準電圧Vrよりも前述したΔVb(=0.2V)だけ高い電圧(=3.5V)に変化し、それに伴い、端子AD2への入力電圧Vi及びセンサ電流Iも正側に変化することとなる。
【0097】
S190では、上記S170或いは上記S180の処理を行ってから、センサ電流Iの変化分ΔIがピークになると予想される時間T2(=135μs)が経過したか否かを判定し、その時間T2が経過するまで待機する。そして、上記時間T2が経過したと判定すると、S200に進んで、端子AD2に入力される電圧Viを検出し、その検出した電圧Viを前述のVi(t4 )として記憶する。そして更に、続くS210にて、端子AD1に入力される電圧Voを検出し、その検出した電圧Voを前述のVo(t5 )として記憶する。
【0098】
そして、続くS220にて、上記S110,S120,S200,及びS210で今回検出したVo(t1 ),Vi(t2 ),Vi(t4 ),及びVo(t5 )と、シャント抵抗40の抵抗値RS とから、前述の式1を用いて空燃比センサAFSの素子インピーダンスZを算出する。尚、ここで算出した素子インピーダンスZは、少なくとも空燃比センサAFSに備えられたヒータの加熱制御に用いられる。即ち、マイコン2は、図示しない加熱制御処理を実行することにより、上記S220で算出した素子インピーダンスZと、空燃比センサAFSが十分に活性化していると思われる目標温度に対応する目標素子インピーダンスとの差が無くなるように、ヒータへの通電電流を制御する。
【0099】
次に、マイコン2は、続くS230にて、上記S170或いは上記S180の処理を行ってから、所定時間T3(=200μs)が経過したか否かを判定し、その時間T3が経過するまで待機する。そして、上記時間T3が経過したと判定すると、S240に進んで、S160の場合と全く同様に、S120で検出した電圧Vi(t2 )が上記判定電圧よりも大きいか否かを判定する。
【0100】
そして、S240で上記電圧Vi(t2 )が判定電圧よりも大きいと判断した場合には、続くS250にて、図6(a)の時刻t6 に示すように、端子PB21の出力レベルをハイレベルからロウレベルに戻してトランジスタ26をオフさせると共に、端子PB20の出力レベルをハイレベルからロウレベルにしてトランジスタ30をオンさせ、その後、S270に移行する。すると、図6(a)の時刻t6 に示すように、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+に印加される電圧Voが、基準電圧Vrよりも前述したΔVb(=0.2V)だけ高い電圧(=3.5V)に変化し、それに伴い、端子AD2への入力電圧Vi及びセンサ電流Iも正側に変化することとなる。
【0101】
また、S240で上記電圧Vi(t2 )が判定電圧よりも大きくないと判断した場合には、S260に移行して、図6(b)の時刻t6 に示すように、端子PB20の出力レベルをロウレベルからハイレベルに戻してトランジスタ30をオフさせると共に、端子PB21の出力レベルをロウレベルからハイレベルにしてトランジスタ26をオンさせ、その後、S270に進む。すると、図6(b)の時刻t6 に示すように、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+に印加される電圧Voが、基準電圧Vrよりも前述したΔVa(=0.2V)だけ低い電圧(=3.1V)に変化し、それに伴い、端子AD2への入力電圧Vi及びセンサ電流Iも負側に変化することとなる。
【0102】
S270では、上記S250或いは上記S260の処理を行ってから所定時間T4(=200μs)が経過したか否かを判定し、その時間T4が経過するまで待機する。そして、上記時間T4が経過したと判定すると、S280に進んで、図6(a),(b)の時刻t7 に示すように、端子PB21の出力レベルを初期のロウレベルにしてトランジスタ26をオフさせると共に、端子PB20の出力レベルを初期のハイレベルにしてトランジスタ30をオフさせる。すると、図6(a),(b)の時刻t7 に示すように、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+に印加される電圧Voが元の基準電圧Vrに戻り、端子AD2への入力電圧Vi及びセンサ電流Iも元の状態に収束することとなる。
【0103】
そして最後に、続くS290にて、カウンタCTの値を「0」にリセットし、その後、当該検出処理を終了する。
一方、上記S140にて、カウンタCTの値が「31」ではないと判定した場合には、128ms毎の素子インピーダンス検出タイミングではないと判断して、S150に進み、カウンタCTの値を1インクリメントする。
【0104】
そして、続くS155にて、今回のS130で算出した現在のセンサ電流値から、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−に印加すべき電圧の値である目標の印加電圧値V(k)を算出する。
具体的には、図10における特性線L(即ち、空燃比センサAFSの各検出空燃比における限界電流域のほぼ中心を結んだ線)において、今回のS130で算出したセンサ電流値に対応する印加電圧を、空燃比センサAFSの両端に印加すべき最適な印加電圧とし、その最適な印加電圧からプラス側端子AF+への印加電圧である基準電圧Vrを引いた値を、マイナス側端子AF−への目標の印加電圧値V(k)として算出する。尚、前述のS220で現在検出されている空燃比センサAFSの素子インピーダンスZから、センサ温度(センサ本体の温度)を求め、そのセンサ温度をも加味して、目標の印加電圧値V(k)を算出すれば、その印加電圧値V(k)をより最適化することができる。
【0105】
そして、続くS157にて、上記S155で算出した印加電圧値V(k)を、PWM出力制御処理で参照できるように記憶し、その後、当該検出処理を終了する。
次に、マイコン2で実行されるPWM出力制御処理について、図4(a)のフローチャートに沿って説明する。尚、このPWM出力制御処理は、PWM信号生成部3のレジスタ4,5に値をセットして、端子PWM1から出力されるPWM信号の周期Tとハイ時間Thとを制御するための処理であり、図3の検出処理と並行して例えば1ms毎に実行される。
【0106】
図4(a)に示すように、マイコン2がPWM出力制御処理の実行を開始すると、まずS310にて、端子AD3に入力される電圧(即ち、端子PWM1から出力しているPWM信号を2個のローパスフィルタ回路F1,F2からなる積分回路で平滑化した電圧であり、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−に現在実際に印加されている電圧)VmをA/D変換して、電圧検出値Vadとして読み込むと共に、図3の検出処理におけるS157で記憶されたマイナス側端子AF−への目標の印加電圧値V(k)を読み出し、上記電圧検出値Vadが「目標の印加電圧値V(k)±α」の範囲内に入っているか否かを判定する。
【0107】
尚、αは、例えば数mV或いは数百mVといった極小さい値である。また、端子AD3に入力される電圧VmのA/D変換は、マイコン2に内蔵のA/Dコンバータによって行われる。
そして、電圧検出値Vadが「目標の印加電圧値V(k)±α」の範囲内に入っていれば、そのままS350に移行して、現在の出力設定値VsとPWM信号の周期Tとから、下記の式2に従って、PWM信号のハイ時間Thを算出する。
【0108】
Th=T×Vs/5 …式2
尚、出力設定値Vsは、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−に印加しようとする1ms毎(当該PWM出力制御処理の実行周期毎)の短期的な目標電圧値である。また、式2における「5」は、バッファとしての演算増幅器10から初段のローパスフィルタ回路F1へ出力されるPWM信号のハイレベルの電圧値である。また更に、本実施形態において、PWM信号の周期Tは、可変ではなく、当該PWM出力制御処理の実行周期と同じ1msとしている。
【0109】
このS350でハイ時間Thを算出したら、続くS360にて、PWM信号生成部3にPWM信号の周期Tとハイ時間Thとを設定する。つまり、S350で今回算出したハイ時間の値を“Thn”とすると、PWM信号生成部3のレジスタ5に、ハイ時間相当値として、PWM信号のハイ時間がThnとなる値(=Thn/Tck)をセットすると共に、PWM信号生成部3のレジスタ4に、周期相当値として、PWM信号の周期が1msとなる値(=(1ms/Tck)−1)をセットする。そして、その後、当該PWM出力制御処理を一旦終了する。
【0110】
一方、上記S310にて、電圧検出値Vadが「目標の印加電圧値V(k)±α」の範囲内に入っていないと判定した場合には、出力設定値Vs(延いては、PWM信号のハイ時間Th)を変更する必要があると判断して、S320に進む。
【0111】
そして、このS320にて、今回の電圧検出値Vadが目標の印加電圧値V(k)よりも小さいか否かを判定し、VadがV(k)よりも小さい場合には、続くS330にて、出力設定値Vsを所定電圧値β(本実施形態では1mV)だけ大きくし、その後、前述のS350に進む。
【0112】
また逆に、上記S320にてVadがV(k)よりも小さくないと判定した場合には、S340に移行して、出力設定値Vsを所定電圧値βだけ小さくし、その後、前述のS350に進む。
このようなPWM出力制御処理においては、図7の期間K1に示すように、電圧検出値Vadが「目標の印加電圧値V(k)−α」よりも小さければ、S330の処理により、出力設定値Vsが所定電圧値βだけ大きく設定され、それに伴い、S350,S360の処理でPWM信号生成部3のレジスタ5にセットされるハイ時間相当値が、図8に示す如く、所定電圧値βに相当する値(β相当値)だけ大きくなる。すると、端子PWM1から出力されるPWM信号のハイ時間Thが所定電圧値βに相当する時間(=上記β相当値×Tck)だけ長くなって、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−に実際に印加される電圧Vm(延いては、次の電圧検出値Vad)が所定電圧値βだけ高くなる。そして、このような動作が、図7の期間K1に示すように、電圧検出値Vadが「目標の印加電圧値V(k)±α」の範囲内に入るまで繰り返されることとなる。
【0113】
また、図7の期間K2に示すように、電圧検出値Vadが「目標の印加電圧値V(k)+α」よりも大きければ、S340の処理により、出力設定値Vsが所定電圧値βだけ小さく設定される。そして、それに伴い、S350,S360の処理でPWM信号生成部3のレジスタ5にセットされるハイ時間相当値が、所定電圧値βに相当する値だけ小さくなる。すると、端子PWM1から出力されるPWM信号のハイ時間Thが所定電圧値βに相当する時間だけ短くなって、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−に実際に印加される電圧Vmが所定電圧値βだけ低くなる。そして、このような動作が、図7の期間K2に示すように、電圧検出値Vadが「目標の印加電圧値V(k)±α」の範囲内に入るまで繰り返されることとなる。
【0114】
よって、検出処理のS155,S157により、目標の印加電圧値V(k)が大きく変更されたとしても、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−への印加電圧Vmは、最大でも「β/1ms=1mV/1ms」の割合(1ms当たりに1mVの割合)で徐々に変化されることとなり、通常の空燃比検出時において、印加電圧の変化に伴いセンサAFSに不要な交流電流が流れてしまうことを確実に防止することができる。
【0115】
尚、電源投入直後など、早く目標印加電圧へ近づけたい場合には、応答性を向上させるため、一時的に上記βを通常値よりも大きい値に設定するように構成しても良い。
また、検出している空燃比が所定値よりも高い値の場合(例えば図10におけるA/F=22の場合)に、センサAFSの素子インピーダンス値を求める際には、一時的に上記βを通常値よりも大きくし応答性を向上させて、目標印加電圧を例えば図10のVpo付近まで下げた後、図6に示した印加電圧の掃引処理を行って素子インピーダンス値を算出し、その後、元の空燃比検出用の印加電圧(この例ではA/F=22が検出可能な印加電圧)まで戻す、といった制御を行うこともできる。これは、A/F=22用の目標印加電圧の際に掃引処理を行うと、交流電流検出用のA/D値などが、A/D変換のダイナミックレンジを外れてしまう可能性があるためであり、このような場合には、一時的に印加電圧を変えて、素子インピーダンス値を求めるのである。
【0116】
また更に、PWM出力制御処理において、その変形例を図4(b)に示すように、S310とS320では、電圧検出値Vadの代わりに、現在の出力設定値Vsを用いるようにしても良い。つまり、S310では、現在の出力設定値Vsが「目標の印加電圧値V(k)±α」の範囲内に入っているか否かを判定し、S320では、現在の出力設定値Vsが目標の印加電圧値V(k)よりも小さいか否かを判定するのである。そして、PWM信号出力処理を図4(b)のように変形しても、通常の空燃比検出時において印加電圧の変化に伴う不要な交流電流がセンサAFSに流れてしまうことを確実に防止することができる。
【0117】
但し、図4(a)のPWM出力制御処理によれば、PWM信号を2段のローパスフィルタ回路F1,F2で平滑化した電圧が検出されて、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−への実際の印加電圧と目標の印加電圧値V(k)との差が小さくなるように、演算増幅器10,16のオフセット分などの誤差要因まで含め、PWM信号のデューティ比がフィードバック制御されることとなるため、空燃比センサAFSへの印加電圧を、より精度良く最適値に調節することができ非常に有利である。
【0118】
以上のように、本第1実施形態の空燃比検出装置1では、マイコン2の出力ポートPWM1から出力されるPWM信号を2段のローパスフィルタ回路F1,F2からなる積分回路で平滑化した電圧が、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−に対応した出力回路を成す演算増幅器16の非反転入力端子に供給され、マイコン2は、上記出力ポートPWM1から出力するPWM信号のデューティ比により、空燃比センサAFS(詳しくは、マイナス側端子AF−)に印加する空燃比検出用電圧を変化させるようにしている。
【0119】
よって、本第1実施形態の空燃比検出装置1によれば、前述した(A)〜(D)の効果が得られ、酸素濃度センサとしての空燃比センサAFSに印加する空燃比検出用電圧を、安価な構成で、しかも、高分解能且つ高精度に変えることができるようになる。
【0120】
特に、分解能の面では、マイコン2の内部クロックが一般的な10MHzであるとしても、その内部クロックの周期Tckは0.1μsとなり、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−への印加電圧を、{5V/(1ms/0.1μs)}=0.5mVの分解能で調節することができ、10ビット分解能のD/Aコンバータを用いた場合の約10分の1の高分解能で印加電圧を調節することができる。
【0121】
また、本第1実施形態の空燃比検出装置1では、マイコン2からのPWM信号を、各々がコンデンサと抵抗とからなる2段のローパスフィルタ回路F1,F2で平滑化するようにしているため、静電容量が比較的小さい低価格のコンデンサC1,C2と、耐ノイズ性を悪化させることのない低抵抗値の抵抗R1,R2とを使用して、平滑化後の電圧におけるリップルを十分に抑制することができ、一層の低コスト化と高い耐ノイズ性とを実現することができる。
【0122】
そして更に、本第1実施形態の空燃比検出装置1では、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+に対応した出力回路を成す演算増幅器38の非反転入力端子に、抵抗24,28,32とトランジスタ26,30とからなる電圧変更回路を接続すると共に、マイコン2は、空燃比センサAFSの素子インピーダンスを検出する際に、通常の出力ポートPB20,PB21から上記トランジスタ26,30への制御信号の出力レベルを切り替えることにより、そのトランジスタ26,30をオン/オフさせて、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+に印加される電圧Voを急峻に変化させている。
【0123】
このため、素子インピーダンスの検出時において、空燃比センサAFSへの印加電圧を所望の正確なタイミングで変化させることができ、延いては、同センサAFSの素子インピーダンスを正確に検出することができるようになり、更に、素子インピーダンスを検出するために印加電圧を急峻に変化させることに関しても、D/Aコンバータを用いる必要がないため、マイコン2の内外にD/Aコンバータを設ける必要性を完全に無くすことができる。
【0124】
尚、上記第1実施形態の空燃比検出装置1では、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−に対応して設けられた演算増幅器16及び抵抗12,14からなる出力回路と、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+に対応して設けられた演算増幅器38,抵抗36,及びシャント抵抗40からなる出力回路とが、電圧印加手段に相当している。
【0125】
次に、第2実施形態の空燃比検出装置について、図9を用いて説明する。尚、図9において、第1実施形態の空燃比検出装置1(図1)と同じ構成要素については、同一の符号を付しているため説明は省略する。
図9に示すように、第2実施形態の空燃比検出装置60は、第1実施形態の空燃比検出装置1と比較すると、電圧生成用抵抗18,20の代わりに、非反転入力端子がマイコン2の端子PWM2に接続され、反転入力端子と出力端子とが共通接続されたバッファとしての演算増幅器62と、その演算増幅器62の出力を平滑化する抵抗R3及びコンデンサC3からなるローパスフィルタ回路F3と、そのローパスフィルタ回路F3で平滑化された電圧を更に平滑化して演算増幅器22の非反転入力端子に出力する抵抗R4及びコンデンサC4からなるローパスフィルタ回路F4とが設けられている。そして更に、この空燃比検出装置60では、演算増幅器22の出力がマイコン2の端子AD4へ入力されるようになっている。
【0126】
ここで、マイコン2の上記端子PWM2は、端子PWM1と同様のPWM信号専用の出力ポートであり、上記端子AD4は、端子AD1,AD2,AD3と同様のA/Dコンバータの入力端子である
また、ローパスフィルタ回路F3はローパスフィルタ回路F1と同じものであり、ローパスフィルタ回路F4はローパスフィルタ回路F2と同じものである。
【0127】
このような本第2実施形態の空燃比検出装置60では、マイコン2の端子PWM2から出力されるPWM信号が、バッファとしての演算増幅器62を介して、2つのローパスフィルタ回路F3,F4からなる第2の積分回路に供給される。よって、マイコン2の端子PWM2から出力されるPWM信号をローパスフィルタ回路F3,F4で平滑化した電圧が、演算増幅器22の非反転入力端子に入力され、それと同じ電圧が演算増幅器22から抵抗24の一端に出力されることとなる。
【0128】
このため、本第2実施形態の空燃比検出装置60において、マイコン2は、演算増幅器22の出力(即ち、ローパスフィルタ回路F3,F4で平滑化された電圧)を端子AD4によって検出し、その検出値が基準電圧Vrとなるように、端子PWM2から出力するPWM信号のデューティ比を調節する。
【0129】
つまり、第2実施形態の空燃比検出装置60では、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+に対応する出力回路(演算増幅器38及び抵抗36,40)の方についても、ローパスフィルタ回路F1,F2と同じローパスフィルタ回路F3,F4からなる第2の積分回路を設け、センサAFSの素子インピーダンスを検出しない通常時には、マイコン2の出力ポートPWM2から出力されるPWM信号を上記第2の積分回路で平滑化した電圧が、演算増幅器38の非反転入力端子に供給されるようにしている。
【0130】
このような第2実施形態の空燃比検出装置60によれば、マイコンの端子PWM1,PWM2の各々から演算増幅器16,38の各非反転入力端子に至るまでの各回路の電圧応答特性がほぼ等しくなる。このため、電源投入時や電源遮断時において、センサAFSの各端子AF+,AF−に夫々印加される各電圧の立ち上がり及び立ち下がり特性が前述した図11の如く異なってしまうことが防止される。よって、電源投入時や電源遮断時においてセンサAFSの両端子間に過大な電圧や負電圧がかかってしまうことを確実に防止することができる。
【0131】
また、この空燃比検出装置60によれば、マイコン2は、端子PWM2から出力するPWM信号のデューティ比を変えることで、空燃比センサAFSのプラス側端子AF+への印加電圧も任意に変化させることができるため、空燃比センサAFSに印加する空燃比検出用電圧をより広範囲に調節することができるようになる。
【0132】
尚、マイコン2が端子PWM2からのPWM信号のデューティ比を変化させることに伴って、演算増幅器22の非反転入力端子への基準電圧Vrが変わると、図5に示したΔVaとΔVbとの各値も変わるが、素子インピーダンスの検出には影響がない。つまり、本実施形態では、図5及び式1を用いて説明したように、印加電圧の実際の変化分ΔV(=Vo(t1)−Vo(t5))を検出し、それを用いて素子インピーダンスを算出しているからである。
【0133】
次に、第3実施形態の空燃比検出装置について、図12を用いて説明する。
尚、ここでは、第1実施形態の空燃比検出装置1と相違している点について説明する。また、図12において、第1実施形態の空燃比検出装置1(図1)と同じ構成要素については、同一の符号を付している。また更に、第1実施形態では、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−への印加電圧Vmを、基準電圧Vr(=3.3V)よりも低い3V前後で可変にするとして説明したが、本第3実施形態では、マイナス側端子AF−への印加電圧Vmを、2.8V〜3.2Vの範囲で可変するものとする。
【0134】
図12に示すように、第3実施形態の空燃比検出装置70は、第1実施形態の空燃比検出装置1と比較すると、演算増幅器10及びローパスフィルタ回路F1の代わりに、一端がマイコン2の端子PWM1に接続された抵抗71と、一端が電源電圧Vcc(=5v)に接続され、他端が抵抗71のマイコン2側とは反対側の端部に接続された抵抗72と、一端が接地電位(=0V)に接続され、他端が抵抗71のマイコン2側とは反対側の端部に接続された抵抗73と、上記3つの抵抗71〜73同士の接続点(以下、出力点という)Poに一端が接続され、他端が接地電位に接続されたコンデンサ74と、上記出力点Poに非反転入力端子が接続され、出力端子が自己の反転入力端子とローパスフィルタ回路F2の抵抗R2の一端とに接続されて、その出力端子からローパスフィルタ回路F2の抵抗R2へ上記出力点Poの電圧を出力する、バッファとしての演算増幅器76とを備えている。
【0135】
ここで、3つの抵抗71〜73は、マイコン2の端子PWM1から出力されるPWM信号を、そのPWM信号の振幅を0.4Vにし且つローレベルの電圧(以下、オフセットともいう)を2.8Vに変えたPWM信号(つまり、ローレベルが2.8Vでハイレベルが3.2VのPWM信号)に変換して出力する振幅・オフセット変換回路(請求項2に記載の変換回路に相当)を成すものである。
【0136】
そして、各抵抗71〜73の抵抗値をr71,r72,r73とすると、その各抵抗値r71,r72,r73は、上記振幅・オフセット変換回路としての役割を果たすため、下記の式3及び式4を満たすように設定されている。
5V×r73÷(r73+(r71//r72))=3.2V …式3
5V×(r71//r73)÷(r72+(r71//r73))=2.8V …式4
尚、式3における「r71//r72」は、抵抗71と抵抗72との並列抵抗値であり、式4における「r71//r73」は、抵抗71と抵抗73との並列抵抗値である。また、式3は、コンデンサ74が無いものとして、マイコン2からのPWM信号がハイレベル(=5V)の時に、出力点Poの電圧が3.2Vとなる条件を示しており、式4は、コンデンサ74が無いものとして、マイコン2からのPWM信号がローレベル(=0V)の時に、出力点Poの電圧が2.8Vとなる条件を示している。そして、本実施形態では、r71=110kΩ,r72=16kΩ,r73=25kΩに設定されている。一方仮に、マイコン2からのPWM信号を、ローレベルが3.1Vでハイレベルが3.5VのPWM信号に変換するのであれば、式3の右辺を3.5Vにすると共に、式4の右辺を3.1Vにすれば良く、例えば、r71=125kΩ,r72=16kΩ,r73=33kΩに設定すれば良い。
【0137】
このような第3実施形態の空燃比検出装置70では、コンデンサ74が無いものとすると、マイコン2の端子PWM1から出力されるPWM信号が、上記3つの抵抗71〜73により、ローレベルが2.8Vでハイレベルが3.2VのPWM信号(振幅が0.4Vでオフセットが2.8VのPWM信号)に変換され、その変換後のPWM信号が出力点Poに現れる。
【0138】
そして、実際には、コンデンサ74があるため、上記変換後のPWM信号は、コンデンサ74と抵抗71〜73とのフィルタ効果(電圧平滑化効果)により平滑化されて出力点Poに現れる。つまり、抵抗71〜73は、振幅・オフセット変換回路としての役割だけでなく、コンデンサ74と共にローパスフィルタ回路としても機能しており、出力点Poからは、上記変換後のPWM信号を平滑化した電圧が出力される。
【0139】
そして更に、その出力点Poの電圧は、バッファとしての演算増幅器76を介してローパスフィルタ回路F2に入力され、そのローパスフィルタ回路F2により一層平滑化されて、演算増幅器16の非反転入力端子に入力される。
よって、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−には、上記変換後のPWM信号を、コンデンサ74と抵抗71〜73からなるローパスフィルタ回路と、その次段のローパスフィルタ回路F2とで平滑化した電圧(図12のe点の電圧)と同じ電圧が、演算増幅器16及び抵抗12,14からなる出力回路によって印加されることとなる。尚、コンデンサ74は、ローパスフィルタ回路F2のフィルタ効果が十分に大きければ、削除しても良い。また、バッファとしての演算増幅器76は、削除したり他の位置(例えば、マイコン2の端子PWM1と抵抗71との間や、ローパスフィルタ回路F2の後等)に設けても良い。
【0140】
そして、本第3実施形態においても、マイコン2は、端子PWM1から出力するPWM信号のデューティ比を変えることで、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−への印加電圧Vmを調節するが、以下の点で第1実施形態の空燃比検出装置1と異なる。
【0141】
即ち、まず、前述した第1実施形態の空燃比検出装置1では、図13(a)に示すように、マイコン2からのPWM信号のデューティ比を0%から100%までの全範囲で変えれば、図1のc点の電圧(即ち、ローパスフィルタ回路F2の出力電圧)及び空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−への印加電圧Vmが、0Vから5Vまでの範囲で変わることとなる。
【0142】
これに対して、本第3実施形態の空燃比検出装置70では、図13(b)に示すように、マイコン2からのPWM信号のデューティ比を0%から100%までの全範囲で変えれば、図12のe点の電圧(即ち、ローパスフィルタ回路F2の出力電圧)及び空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−への印加電圧Vmが、空燃比検出用電圧の最大可変範囲分に相当する2.8Vから3.2Vまでの範囲で変わることとなる。つまり、マイコン2が空燃比センサAFSへの印加電圧を空燃比検出用電圧の最大可変範囲分だけ変化させるために制御するPWM信号のデューティ比の範囲(前述の制御対象デューティ比範囲)が、0%から100%までの全範囲となる。
【0143】
このため、ソフトウェアの面では、第1実施形態の場合と比較して、マイコン2は、図4(a)のPWM出力制御処理におけるS350にて、前述の式2に代わる下記の式5に従って、PWM信号のハイ時間Thを算出する。尚、式5において、Vmin は、マイナス側端子AF−への印加電圧Vmの最小値(=2.8V)であり、Vmax は、マイナス側端子AF−への印加電圧Vmの最大値(=3.2V)である。
【0144】
Th=T×(Vs−Vmin )/(Vmax −Vmin ) …式5
以上のような第3実施形態の空燃比検出装置70によれば、マイコン2から出力されるPWM信号のデューティ比の全範囲(0%〜100%)を、空燃比センサAFSへの印加電圧の制御に使用することができるため、その印加電圧を細かく制御するのに非常に有利である。
【0145】
例えば、PWM信号の周期Tが1msであると共に、PWM信号のハイ時間Thの可変分解能(即ち、マイコン2における内部クロックの周期Tck)が0.1μsであるとすると、前述したように、第1実施形態の空燃比検出装置1では、空燃比センサAFSへの印加電圧を、0.5mV={5V/(1ms/0.1μs)}の分解能で調節することができたが、それ以上に、本第3実施形態の空燃比検出装置70では、空燃比センサAFSへの印加電圧を、0.04mV={0.4V/(1ms/0.1μs)}といった極細かい分解能で調節することができる。
【0146】
また、本第3実施形態の空燃比検出装置70によれば、PWM信号の周期Tが同じであるとすると、PWM信号のハイ時間Thの可変分解能が1μsであっても、第1実施形態の場合と同等の0.4mV={0.4V/(1ms/1μs)}の分解能で空燃比センサAFSへの印加電圧を調節することができ、例えば、安価なマイコン2を用いることができるようになる。
【0147】
しかも、本第3実施形態の空燃比検出装置70によれば、抵抗71〜73からなる振幅・オフセット変換回路により、マイコン2からのPWM信号の振幅を小さく変換しているため、マイコン2の端子PWM1から演算増幅器16の非反転入力端子までの積分回路でのフィルタ効果が小さくても、平滑化後の電圧に生じるリップルを小さく抑えることができる。
【0148】
このため、積分回路を簡素化することができると共に、マイコン2からのPWM信号のデューティ比を変えた際に、演算増幅器16の非反転入力端子への指令電圧(図12のe点の電圧)が速やかに変わることとなり、その結果、空燃比センサAFSへの印加電圧を変える際の応答性も向上させることができる。
【0149】
積分回路を構成する各部品の具体的な定数を挙げて説明すると、例えば、図1における抵抗R1,R2の抵抗値が100kΩであり、図1におけるコンデンサC1,C2の静電容量が0.1μFであるとすると、図14に示す如く図12のe点の電圧を図1のc点の電圧と同程度の滑らかさにするためには、コンデンサ74の容量としては0.05μF程度で済む。そして、このように積分回路全体でのフィルタ効果を小さくすることができるため、図14に示すように、図12のe点の電圧は、図1のb点の電圧(ローパスフィルタ回路F1の出力電圧)と同程度の速い変化応答性を有することとなる。
【0150】
一方更に、本第3実施形態の空燃比検出装置70によれば、PWM信号のハイ時間Thの可変分解能が第1実施形態の場合と同じ0.1μsであるとすると、PWM信号の周期Tを第1実施形態の10分の1である0.1msに設定しても、第1実施形態の場合と同等の0.4mV={0.4V/(0.1ms/0.1μs)}の分解能で空燃比センサAFSへの印加電圧を調節することができる。
【0151】
そして、PWM信号の周期Tを短くする(早くする)ことにより、図15における(a)と(b)との比較からも分かるように、図12のe点の電圧の脈動(振幅)を小さくすることができる。よって、ローパスフィルタ回路F2のフィルタ定数を小さくすることができ、延いては、図12のe点の電圧を十分に平滑化することと、そのe点の電圧の変化応答性を高めることとを、高い次元で両立させることができる。
【0152】
次に、第4実施形態の空燃比検出装置について、図16及び図17を用いて説明する。尚、ここでは、第3実施形態の空燃比検出装置70と相違している点について説明する。また、図16の回路図において、第1及び第3実施形態の空燃比検出装置1,70(図1,図12)と同じ構成要素については、同一の符号を付している。
【0153】
図16に示すように、第4実施形態の空燃比検出装置80は、第3実施形態の空燃比検出装置70と比較すると、抵抗12と抵抗14との接続点の電圧ではなく、バッファとしての演算増幅器76の出力電圧(即ち、最終段のローパスフィルタ回路F2で平滑化される前のd点の電圧であり、2.8V〜3.2Vに変換された後のPWM信号をコンデンサ74及び抵抗71〜73からなるローパスフィルタ回路で平滑化した電圧)が、マイコン2の端子AD3へ入力されるようになっている。尚、d点の電圧は、出力点Poの電圧と同じであるため、マイコン2の端子AD3は、出力点Poと接続しても良い。
【0154】
そして、マイコン2は、図4(a)のPWM出力制御処理におけるS310にて、端子AD3に入力される電圧をA/D変換するのではなく、後述の処理で算出したA/D変換値の平均値を、電圧検出値Vadとして用いる。
即ち、本第4実施形態の空燃比検出装置80において、マイコン2は、図17における黒丸印(●)で示すように、端子PWM1から出力されるPWM信号の立ち上がりと立ち下がりとの各タイミングで、端子AD3に入力される電圧(d点の電圧)を内蔵のA/DコンバータによりA/D変換すると共に、そのA/D変換値を平均化する平均化処理を行う。そして、図4(a)のS310では、上記平均化処理で算出している平均値を、電圧検出値Vadとして読み込み、その電圧検出値Vadが「目標の印加電圧値V(k)±α」の範囲内に入っているか否かを判定するのである。
【0155】
つまり、マイコン2は、最終段のローパスフィルタ回路F2で平滑化される前の電圧であって、コンデンサ74及び抵抗71〜73からなるローパスフィルタ回路(以下、初段のローパスフィルタ回路という)で平滑化された電圧をA/D変換すると共に、そのA/D変換値を平均化する平均化処理(デジタル的な平滑化の処理であり、所謂なましの処理)を行い、該平均化処理で算出した平均値に基づいて、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−への実際の印加電圧Vmと目標の印加電圧値V(k)との差が小さくなるように、PWM信号のデューティ比をフィードバック制御している。
【0156】
このような第4実施形態の空燃比検出装置80によれば、空燃比センサAFSにリップルがない一定の電圧を印加することと、空燃比センサAFSへの印加電圧を精度良く制御することとを、両立させ易くなる。
つまり、最終段のローパスフィルタ回路F2から出力される電圧は、空燃比センサAFSへの印加電圧が脈動してしまわないように、十分に平滑化されたものとなる。よって、図12のようにローパスフィルタ回路F2から出力される電圧と同じVmをマイコン2の端子AD3に入力してA/D変換するように構成した場合、A/Dコンバータの分解能(1LSB)が大きいと、その電圧Vmの変化を捉えることができず、PWM信号のフィードバック制御の精度を上げることができなくなる。
【0157】
そこで、本第4実施形態では、初段のローパスフィルタ回路で平滑化された電圧(d点の電圧)には、多少の脈動が残っていることに着目して、そのd点の電圧をA/DコンバータによりA/D変換すると共に、そのA/D変換値を平均化する平均化処理を行い、その平均化処理で算出した平均値を、演算増幅器16の非反転入力端子への電圧の検出値として、デューティ比のフィードバック制御に用いるようにしている。
【0158】
このため、A/Dコンバータの分解能以上の性能を出すことができ、延いては、空燃比センサAFSにリップルがない一定の電圧を印加することと、空燃比センサAFSへの印加電圧を精度良く制御することとを、高分解能で高価なA/Dコンバータを備えなくても、両立させることができるようになるのである。
【0159】
尚、本第4実施形態の変形例として、▲1▼:マイコン2は、図17における白丸印(○)で示すように、端子PWM1から出力されるPWM信号の立ち上がりと立ち下がりとの中間付近の各タイミングで、端子AD3に入力される電圧をA/D変換し、そのA/D変換値を平均化するようにしても良い。▲2▼:また、処理能力に余裕があれば、マイコン2は、PWM信号の1周期中に、端子AD3に入力される電圧を、PWM信号の周期Tよりも非常に短いサンプリング周期でA/D変換し、そのA/D変換値を平均化するようにしても良い。
【0160】
一方、上記第4実施形態及びその変形例▲1▼,▲2▼の手法は、第1及び第2実施形態の空燃比検出装置1,60に対しても、全く同様に適用することができる。つまり、第1及び第2実施形態の各装置1,60において、ローパスフィルタ回路F1の出力電圧をマイコン2の端子AD3に入力し、マイコン2は、上記第4実施形態又はその変形例▲1▼,▲2▼と同じ手法で、端子PWM1からのPWM信号のデューティ比を制御すれば良い。また、第2実施形態の空燃比検出装置60については、マイコン2の端子PWM2から出力するPWM信号のデューティ比制御についても、同様の手法を採ることができる。
【0161】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
例えば、上記第4実施形態の空燃比検出装置80において、コンデンサ74を設けない場合には、マイコン2は、図18における黒丸印(●)で示すように、端子PWM1から出力されるPWM信号がハイレベルである期間とローレベルである期間との各々で、端子AD3に入力される電圧をA/D変換し、更に、その各A/D変換値と、その時のPWM信号のデューティ比とから、図4(a)のS310で使用する電圧検出値Vad(即ち、演算増幅器16の非反転入力端子に実際に入力されていると見なす電圧)を計算によって求めるようにしても良い。
【0162】
また、前述した第3又は第4実施形態及びそれらの変形例の構成及び手法は、図9に示した第2実施形態の空燃比検出装置60に対しても適用することができる。そして、この場合には、マイコン2の端子PWM2から演算増幅器22までの回路構成を、図12又は図16におけるマイコン2の端子PWM1から演算増幅器16までの回路構成と同様のものにすれば良い。
【0163】
一方、上記各実施形態の空燃比検出装置において、バッファとしての演算増幅器22と抵抗24,28,32とトランジスタ26,30とからなる回路(即ち、素子インピーダンスの検出時にセンサAFSへの印加電圧を急峻に変化させるための回路)は、空燃比センサAFSのマイナス側端子AF−に対応する出力回路(演算増幅器16及び抵抗12,14)の方であって、ローパスフィルタ回路F2と演算増幅器16の非反転入力端子との間に設けるようにしても良い。
【0164】
また、第1及び第2実施形態の空燃比検出装置1,60において、バッファとしての演算増幅器10,62は省略することも可能である。
また更に、マイコン2は、PWM信号専用の出力ポートからではなく、通常の出力ポートから、ソフトウエア処理のみでPWM信号を出力するようにしても良い。
【0165】
一方、上記各実施形態では、積分回路として、ローパスフィルタ回路F2(F4)を最終段とする2段のローパスフィルタ回路を用いたが、ローパスフィルタ回路の段数は、2段に限るものではなく、3段以上、或いは場合によっては1段のみでも良い。
【0166】
一方更に、上記各実施形態の空燃比検出装置は、酸素濃度センサとして、限界電流式空燃比センサAFSを用い、同センサAFSに流れる限界電流から空燃比を検出するものであったが、本発明は、酸素濃度センサとして、所謂ポンピングセルとセンシングセルとを成す2層の固体電解質層を備えた積層型空燃比センサを用いた場合にも、同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の空燃比検出装置の構成を表す回路図である。
【図2】 マイコンのPWM信号生成部を説明する説明図である。
【図3】 マイコンが実行する検出処理を表すフローチャートである。
【図4】 マイコンが実行するPWM出力制御処理を表すフローチャートである。
【図5】 空燃比センサの素子インピーダンスを検出する手順を表すタイムチャートである。
【図6】 図3の検出処理の作用を説明するタイムチャートである。
【図7】 PWM出力制御処理の作用を説明する第1の説明図である。
【図8】 PWM出力制御処理の作用を説明する第2の説明図である。
【図9】 第2実施形態の空燃比検出装置の構成を表す回路図である。
【図10】 空燃比センサの電圧−電流特性を示すグラフである。
【図11】 センサの各端子への印加電圧の立ち上がり/立ち下がり特性の違いによって起こる問題を説明する説明図である。
【図12】 第3実施形態の空燃比検出装置の構成を表す回路図である。
【図13】 第3実施形態の特徴を説明する説明図である。
【図14】 第3実施形態の効果を説明する説明図のその1である。
【図15】 第3実施形態の効果を説明する説明図のその2である。
【図16】 第4実施形態の空燃比検出装置の構成を表す回路図である。
【図17】 第4実施形態の空燃比検出装置のマイコンが実施する処理の内容を説明する説明図である。
【図18】 第4実施形態の他の変形例を説明する説明図である。
【符号の説明】
1,60,70,80…空燃比検出装置、AFS…空燃比センサ、2…マイコン、3…PWM信号生成部、4,5…レジスタ、6…カウンタ、7…比較部、10,16,22,38,42,46,62,76…演算増幅器、44,48…入力回路、F1,F2,F3,F4…ローパスフィルタ回路、12,14,18,20,24,28,32,36,40,50,52,54,71,72,73,R1,R2,R3,R4…抵抗、34,58,74,C1,C2,C3,C4…コンデンサ、26…NPN形トランジスタ、30…PNP形トランジスタ、56…ダイオード
Claims (9)
- 電圧の印加に伴い被検出ガス中の酸素濃度に応じた電流が流れる酸素濃度センサへ、入力部に入力される指令電圧に応じた電圧を印加する電圧印加手段と、
前記被検出ガス中の酸素濃度を検出するための検出用電圧が前記酸素濃度センサへ印加されるように、前記電圧印加手段への前記指令電圧を制御すると共に、前記酸素濃度センサに流れる電流を検出して前記被検出ガス中の酸素濃度を算出するマイクロコンピュータと、
を備えた酸素濃度検出装置において、
前記マイクロコンピュータの出力ポートから出力される2値振幅のオン/オフ信号を積分回路で平滑化した電圧が、前記電圧印加手段の入力部に前記指令電圧として供給され、
前記マイクロコンピュータは、前記オン/オフ信号のデューティ比により、前記電圧印加手段から前記酸素濃度センサへの印加電圧を変化させること、
を特徴とする酸素濃度検出装置。 - 請求項1に記載の酸素濃度検出装置において、
前記マイクロコンピュータの出力ポートから出力される前記オン/オフ信号を、該オン/オフ信号の振幅を小さくし且つローレベルの電圧を変えたオン/オフ信号に変換して出力する変換回路を備え、
前記変換回路の出力信号を前記積分回路で平滑化した電圧が、前記電圧印加手段の入力部に前記指令電圧として供給されること、
を特徴とする酸素濃度検出装置。 - 請求項2に記載の酸素濃度検出装置において、
前記変換回路から出力されるオン/オフ信号の振幅及びローレベルの電圧は、前記マイクロコンピュータの出力ポートから出力されるオン/オフ信号のデューティ比を0%から100%までの全範囲で変えることにより、前記電圧印加手段から前記酸素濃度センサへの印加電圧が前記検出用電圧の最大可変範囲分だけ変わるように設定されていること、
を特徴とする酸素濃度検出装置。 - 請求項1ないし請求項3の何れかに記載の酸素濃度検出装置において、
前記マイクロコンピュータは、前記積分回路で平滑化された電圧を検出し、その検出値に基づいて、前記酸素濃度センサへの実際の印加電圧と前記酸素濃度センサへの目標の印加電圧との差が小さくなるように、前記オン/オフ信号のデューティ比を変化させること、
を特徴とする酸素濃度検出装置。 - 請求項1ないし請求項4の何れかに記載の酸素濃度検出装置において、
前記積分回路は、コンデンサと抵抗とからなる複数のローパスフィルタ回路を直列に設けて構成されていること、
を特徴とする酸素濃度検出装置。 - 請求項1ないし請求項3の何れかに記載の酸素濃度検出装置において、
前記積分回路は、コンデンサと抵抗とからなる複数のローパスフィルタ回路を直列に設けて構成されており、
前記マイクロコンピュータは、前記複数のローパスフィルタ回路のうち、最終段のローパスフィルタ回路以外のローパスフィルタ回路で平滑化された電圧をA/D変換器によりA/D変換すると共に、そのA/D変換値を平均化する平均化処理を行い、該平均化処理で算出した平均値に基づいて、前記酸素濃度センサへの実際の印加電圧と前記酸素濃度センサへの目標の印加電圧との差が小さくなるように、前記オン/オフ信号のデューティ比を変化させること、
を特徴とする酸素濃度検出装置。 - 請求項1ないし請求項6の何れかに記載の酸素濃度検出装置において、
前記電圧印加手段は、前記酸素濃度センサの一対の各端子に対応して前記入力部を2つ備え、そのうちの一方の入力部に入力される指令電圧(以下、第1の指令電圧という)に応じた電圧を前記酸素濃度センサの一方の端子に印加すると共に、他方の入力部に入力される指令電圧(以下、第2の指令電圧という)に応じた電圧を前記酸素濃度センサの他方の端子に印加するように構成されており、
前記積分回路で平滑化された電圧が、前記一方の入力部に前記第1の指令電圧として供給され、前記他方の入力部へは、予め設定された基準電圧が前記第2の指令電圧として供給されるように構成されていること、
を特徴とする酸素濃度検出装置。 - 請求項1ないし請求項6の何れかに記載の酸素濃度検出装置において、
前記電圧印加手段は、前記酸素濃度センサの一対の各端子に対応して前記入力部を2つ備え、そのうちの一方の入力部に入力される指令電圧(以下、第1の指令電圧という)に応じた電圧を前記酸素濃度センサの一方の端子に印加すると共に、他方の入力部に入力される指令電圧(以下、第2の指令電圧という)に応じた電圧を前記酸素濃度センサの他方の端子に印加するように構成されており、
前記積分回路で平滑化された電圧が、前記一方の入力部に前記第1の指令電圧として供給され、
更に、当該装置は、前記他方の入力部に対しても、前記積分回路と同じ構成の第2の積分回路を備えていると共に、前記マイクロコンピュータの前記出力ポートとは異なる出力ポートから出力される2値振幅のオン/オフ信号を前記第2の積分回路で平滑化した電圧が、前記他方の入力部に前記第2の指令電圧として供給されるように構成されていること、
を特徴とする酸素濃度検出装置。 - 請求項7又は請求項8に記載の酸素濃度検出装置において、
前記電圧印加手段の2つの入力部のうちの何れか一方には、前記マイクロコンピュータから出力される2値振幅の制御信号に応じて当該入力部の電圧を瞬時に変化させる電圧変更回路が接続されており、
前記マイクロコンピュータは、前記酸素濃度センサの素子インピーダンスを検出する際に、前記電圧変更回路への前記制御信号の出力レベルを切り替えることにより、前記電圧印加手段から前記酸素濃度センサへの印加電圧を急峻に変化させること、
を特徴とする酸素濃度検出装置。
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