JP3735760B2 - 糸繰り装置付ミシン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、主として多本針偏平縫いミシンに適用される糸繰り装置付ミシンで、詳しくは、上下に往復運動可能な針棒およびこの針棒を上下に往復駆動運動させる駆動主軸を支持するアーム部及び縫いを構成する部品を収容しているベッド部とからなるミシンフレーム本体の外側に、針棒の上下往復運動に同期作動することで針糸の繰り出しを制御する糸繰り装置が設けられている糸繰り装置付ミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は従来の多本針偏平縫いミシンの外観を示す概略正面図であって、同図において、1はミシンアーム部で、その先端部1Aには上下一対の摺動軸受2,2を介して針棒3が上下方向に往復運動可能に支持されていると共に、該針棒3に隣接させて生地押え機構(周知であるため、詳細な説明は省略する)が設けられている。上記針棒3の下端部には針止め7を介して多数本の針8が取り付けられているとともに、該針棒3の上端部3aは上記ミシンアーム部1における先端部1Aの上壁部1aを貫通して上方へ突出されており、この突出する針棒上端部3aに多数本の針糸9の通過用糸孔を有する針糸道10が針棒3と同期して上下方向に一体に移動するように固定されている。
【0003】
また、上記ミシンアーム部1の水平部1Bの内部には上記針棒3を周知のクランク機構等を介して上下に往復駆動運動させるための駆動主軸4が挿通支持されている。5はミシンベッド部で、上記ミシンアーム部1の基端部の下部から該ミシンアーム部1に対して平行状態で左側方へ向けて延設され、その先端部には針板、押え機構、ルーパや送り機構等の縫いを構成する部品(周知であるため、詳細な説明は省略する)が収容されており、このミシンベッド部5と上記ミシンアーム部1とにより偏平縫いミシンのミシンフレーム本体6が構成されている。
【0004】
11は糸調子器で、多数本の針糸9およびルーパ糸12を一対の糸調子皿(図示省略)間に挟持させて糸調子バネキャップ11aを回し操作することによって各糸9,12のテンションを調整可能に構成されている。13は定置針糸道で、上記ミシンアーム部1の前側面に固定されており、上記糸調子器11から導出される針糸9を通してそれらの移動経路を規制する。14は糸繰り装置であって、上記駆動主軸4に連動されて上記ミシンフレーム本体6におけるミシンアーム部1の外側部に露出された糸繰り軸15の往復回転により上下方向に往復駆動揺動する可動針糸繰り部材16を有し、この可動針糸繰り部材16の先端に上記定置針糸道13を通過後の上記針糸9を通過させる糸孔が形成されている。
【0005】
上記のような構成を有する多本針偏平縫いミシンによれば、上記糸調子器11によりテンション調整された上、定置針糸道13に通されて移動経路が規制された針糸9が糸繰り装置14における可動針糸繰り部材16の先端糸孔に通されたのち、上記針棒上端部3aに固定の針糸道10の糸孔およびミシンアーム部1の先端部1Aの下端部に固定された針糸道案内部材17を経て上記多数本の針8へ供給される態勢にあり、この状態で上記針棒3が上下に往復駆動運動されると、これに同期して上記針糸道10が上下方向に往復移動するとともに、糸繰り装置14における可動針糸繰り部材16が上下方向に往復揺動し、これら両運動の相乗作用によって針8へ供給される多数本の針糸9に緩みや過剰張力を加えないでその繰り出しが適正に制御されるのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の多本針偏平縫いミシンにおいては、縫い調子を良好に維持する上で必要な針糸の繰り出し制御のために、可動針糸繰り部材16を有する糸繰り装置14の他に、ミシンアーム部1における先端部1Aの上壁部1aを貫通して上方へ突出させた針棒3の上端部3aに該針棒3と同期して上下に往復移動する針糸道10が固定されていたために、針棒3と一体に上下に往復運動する針糸道10がミシンアーム部1における先端部1Aの上壁部1aに衝突などしないようにするには、針棒3の上端部3aをミシンアーム部1の上壁部1aから上方へ長く突出させる必要がある。しかし、このように針棒上端部3aおよび針糸道10が上方へ長く突出していると、それらが上下に高速度に往復運動することに伴って、作業者などに対する安全性を損なう恐れがあるばかりでなく、針棒3の長さが長く、かつ、針糸道の固定にともないそれだけ針棒3の重量が大きくなるために、縫製速度の高速化にも自ずと限界があった。
【0007】
また、上記のように針棒の上端部に針糸道を固定する以外に、針棒の上端部はミシンアーム部の上壁部から上方へ突出させないで、ミシンアーム部の上壁部分をほぼ遮蔽する一方、針棒の中間部に針糸道を固定し、この針糸道をミシンアーム部の側壁部に形成した上下方向の長孔を通して側方へ突出させることも提案されているが、この場合は、針棒の長さを上記図9で示すものより短くできるものの、針糸道が針棒の中間部に固定されているために針棒の重量増加は避けられず、縫製速度の高速化に対応しにくい上に、長時間に亘る針棒の高速上下往復運動に伴い該針棒とこれの上下往復運動を支持する摺動軸受の間に発生する摺動熱によって針棒および針が異常に高温になったり、熱がミシンアーム部内に籠もったりするなど放熱性の悪さが原因で、縫製作業に不具合を生じるという問題があった。
【0008】
この発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、針棒と一体に上下往復移動する針糸道の使用を省き、針棒の軽量化により縫製速度の高速化を図りながらも、適正な糸繰り機能および良好な放熱性を維持することができる糸繰り装置付ミシンを提供することを主たる目的としている。
【0009】
この発明の他の目的は、上記の目的に加えて、針棒の耐久性の向上あるいは安全性の向上を図ることができるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明のうち請求項1に記載の発明に係る糸繰り装置付ミシンは、先端部に針棒が上下方向に往復運動可能に支持されていると共に水平部に上記針棒を上下に往復駆動運動させる駆動主軸が挿通支持されているミシンアーム部と、先端部に縫いを構成する部品が収容されているミシンベッド部とからなるミシンフレーム本体における上記ミシンアーム部の外側部に、上記針棒の上下往復運動に同期作動することにより糸調子器及び定置針糸道を経て上記針棒の下端に取り付けられている針へ供給される針糸の繰り出しを制御する糸繰り装置が設けられている糸繰り装置付ミシンにおいて、上記糸繰り装置は、上記定置針糸道を通過直後の針糸の通し孔を上端に有し、上下方向への移動固定により針糸通し孔の位置を上下に調整可能とされた針糸孔部材と、この針糸孔部材の針糸通し孔とミシンアーム部の先端部下端に固定の針糸道案内部材との間に亘って掛け渡しされる針糸の途中部分を通す針糸繰り孔を先端部に形成し、かつ、その基端部側を中心にして上下方向に往復駆動揺動される可動針糸繰り部材とから構成されており、また、上記ミシンフレーム本体におけるミシンアーム部に、上記針棒の上下往復運動を支持する摺動軸受が設けられていると共に、この摺動軸受に支持されている上記針棒の上端部及び中間部には針糸道が付設されてなく、かつ、この針棒の上下往復運動範囲は、その上限が上記ミシンアーム部の上壁部分よりも上方に突出位置するように設定されていることを特徴とするものである。
【0011】
上記構成の請求項1に記載の発明によれば、ミシンアーム部の外側部に設けられている糸繰り装置、すなわち、針糸孔部材の上下方向への移動固定による上端針糸通し孔の上下位置調整と可動針糸繰り部材の上下方向往復駆動揺動の組み合わせで針糸の繰り出しを適正に制御して所定の縫いを確実に行なうことが可能であるとの知見に基づいて、針棒の上端部及び中間部には針糸道を固定しない構成を採用したのであり、これによって、針棒の上端部あるいは中間部に針糸道を固定していた従来のものに比べて針棒の長さを短くし、かつ、その針棒重量の軽量化を図れて縫製速度の高速化に容易に対応させやすい。その上、針棒の上下往復運動範囲を、その上限がミシンアーム部の上壁部分よりも上方に突出位置するように設定することにより、長時間に亘る針棒の高速上下往復運動に伴う該針棒とこれの上下往復運動を支持する摺動軸受の間に発生する摺動熱をミシンアーム部の上壁部分よりも上方に突出した状態で上下に往復運動する針棒の上端部から大気中に放出させるといった良好な放熱性を保つことが可能となる。
【0012】
ここで、請求項2に記載のように、上記針棒の上下往復運動を支持する摺動軸受の上端部分を、上記針棒の上下往復運動範囲の全長に亘って該針棒の上端部の上下往復運動を支持するようにミシンアーム部の上壁部分よりも上方に突出させることにより、摺動軸受による針棒の支持範囲を長く確保し、良好な放熱性を保つと同時に、針棒の耐久性も増大することが可能となる。また、請求項4に記載のように、ミシンアーム部の上壁部分よりも上方に突出している摺動軸受部分に放熱用フィンを付設することで、放熱性の一層の向上が図れる。
【0013】
さらに、請求項3に記載のように、ミシンアーム部の上壁部分よりも上方に突出して上下に往復運動する針棒の上端部を包囲するカバーを設けて針棒の上端部を実質的に密閉化することにより、良好な放熱性を損なうことなく、針棒上端部が露出状態のままで上下に高速往復運動することをなくして作業者等に対する安全性を確保するとともに、塵埃の侵入や油漏れを防ぐことが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1はこの発明を適用した3本針偏平縫いミシンの一部切欠き正面図、図2は左側面部、図3は要部の平面図であり、これら各図において、1はミシンアーム部で、その先端部1Aには上下一対の摺動軸受2A,2Bを介して針棒3が上下方向に往復運動可能に支持されていると共に、この針棒3に隣接させて生地押え機構(周知であるため、詳細な説明は省略する)が設けられ、かつ、上記針棒3の下端部には針止め7を介して3本の針8が取り付けられている。
【0015】
上記針棒3の上端部3aには針糸道が付設されてなく、かつ、この針棒3の上下往復運動範囲は、その上限が上記ミシンアーム部1の先端部1Aの上壁部1aよりも上方に突出位置するように設定されている。すなわち、図4に明示するように、針棒3が上死点にまで上昇運動した状態で、その上端部3aが上記ミシンアーム部1の先端部1Aの上壁部1aよりも上方に突出するような上下往復運動範囲に設定されている。また、上記上下一対の摺動軸受2A,2Bのうち、上部の摺動軸受2Aの上端部分2aも、上記針棒3の上下往復運動範囲の全長に亘って該針棒3の上端部3aの上下往復運動を支持するように上記ミシンアーム部1の先端部1Aの上壁部1aよりも上方に突出されている。なお、この上部摺動軸受2Aの上端部分2aには図4に示すような防塵用カバー18を設けて実質的に密閉化しているが、これは設けなくてもよい。
【0016】
また、上記ミシンアーム部1の水平部1Bの内部には上記針棒3を周知のクランク機構等を介して上下に往復駆動運動させるための駆動主軸4が挿通支持されている。5はミシンベッド部で、上記ミシンアーム部1の基端部の下部から該ミシンアーム部1に対して平行状態で左側方へ向けて延設され、その先端部には針板、押え機構、ルーパや送り機構等の縫いを構成する部品(周知であるため、詳細な説明は省略する)が収容されており、このミシンベッド部5と上記ミシンアーム部1とにより偏平縫いミシンのミシンフレーム本体6が構成されている。
【0017】
11は糸調子器で、3本の針糸9および1本のルーパ糸12を一対の糸調子皿(図示省略)間に挟持させて糸調子バネキャップ11aを回し操作することによって各糸9,12のテンションを調整可能に構成されている。13は定置針糸道で、上記ミシンアーム部1の前側面に固定されており、上記糸調子器11から導出される針糸9を通してそれらの移動経路を規制する。20は糸繰り装置であって、上記ミシンフレーム本体6におけるミシンアーム部1の前側外部に設けられている。
【0018】
上記糸繰り装置20は、例えば図5に明示するように、上記定置針糸道13を通過直後の3本の針糸9の通し孔21aを上端に有し、上記定置針糸道13に固定された糸道ホルダー22に対してねじ23を介して上下方向に移動固定自在に保持されて上記通し孔21aの位置を上下に個別に調整可能とされた3つのパイプ状針糸孔部材21と、上記駆動主軸4に連動されて上記ミシンフレーム本体6におけるミシンアーム部1の外側部に露出された糸繰り軸15の正逆往復回転により針糸繰り台25を介して上下方向に往復駆動揺動する可動針糸繰り部材24とからなり、その可動針糸繰り部材24の先端部には、上記3つのパイプ状針糸孔部材21の上端の通し孔21aと上記ミシンアーム部1の先端部1Aの下端部に固定された針糸道案内部材17との間に亘って掛け渡しされる3本の針糸9の途中部分を通す針糸繰り孔24a,24bが該可動針糸繰り部材24の長手方向に位置をずらせて形成されている。また、上記可動針糸繰り部材24は、その基端部側に形成された長孔26と固定具27を介して、その長手方向にスライド固定可能に針糸繰り台25に取り付けられており、このスライド固定によっても3本の針糸9の糸調子を適正に設定変更することができるように構成されている。
【0019】
上記のような構成を有する3本針偏平縫いミシンによれば、3本の針糸9が上記糸調子器11によりテンション調整された上、定置針糸道13に通されてその移動経路が規制された後、上記糸繰り装置20における3つの針糸孔部材21の通し孔21a、可動針糸繰り部材24の先端部の針糸繰り孔24a,24b、針糸道案内部材17を経て3本の針8に供給されることになる。このとき、上記3つの針糸孔部材21を各別に上下方向に移動固定させて、それらの上端の通し孔21aの上下位置を調整すること、および、可動針糸繰り部材24を長孔26と固定具27を介して長手方向にスライド固定させることにより、3本の針糸9それぞれの糸調子を個別的に適正に設定変更することが可能である。
【0020】
この状態で、上記針棒3が上下に往復駆動運動されると、これに同期して上記糸繰り装置20における可動針糸繰り部材24が上下方向に往復揺動し、3本の針糸9に緩みや過剰張力を加えないでそれら各針糸9の繰り出しが適正に制御される。ここで、上記針棒3の上端部3aおよび中間部には針糸道が固定されていないので、針棒3の上端部3aや中間部に針糸道を固定していた従来のものに比べて針棒3の長さを短く、かつ、その針棒3の全体重量を軽量化して縫製速度の高速化に容易に対応させやすい。
【0021】
また、針棒3の上下往復運動範囲は、その上限がミシンアーム部1の上壁部分1aよりも上方に突出位置するように設定されているとともに、上部の摺動軸受2Aの上端部分2aがミシンアーム部1の上壁部分1aよりも上方に突出して上記針棒3の上下往復運動範囲の全長に亘って該針棒3の上端部3aの上下往復運動を支持するように、つまり摺動軸受2Aによる針棒支持範囲を長く確保しているので、長時間に亘る連続縫製作業時の針棒3の高速上下往復運動に伴い該針棒3と摺動軸受2の間に発生する摺動熱をミシンアーム部1の上壁部分1aよりも上方に突出した状態で上下に往復運動する針棒3の上端部3aおよび摺動軸受2Aの上端部分2aから大気中に放出させるといった良好な放熱性が保たれると同時に針棒3の耐久性の増大も図ることが可能となる。
【0022】
なお、上記実施の形態では、針棒3が上死点にまで上昇運動した状態での該針棒3の上端部3aおよび上部摺動軸受2Aの上端部分2aが共にミシンアーム部1の上壁部分1aよりも上方に突出位置するように構成したもので説明したが、図6に示すように、上部摺動軸受2Aの上端部分2aはミシンアーム部1の上壁部分1aまでとし、針棒3の上端部3aのみがミシンアーム部1の上壁部分1aよりも上方に突出した位置を上限として上下に往復運動するように構成してもよく、この場合は、その針棒3の上端部3aの上下往復運動経路の周囲を包囲するカバー19を設けることで、縫製作業者に対する安全性及び油漏れや塵埃の侵入防止を確保することが可能である。ただし、このカバー19はなくてもよい。
【0023】
また、図7に示すように、上部摺動軸受2Aの上端部分2aのミシンアーム部1の上壁部分1aからの突出長さを、針棒3の上端部3aの上下往復範囲の上限よりも短くしてもよく、この場合は、針棒3の支持範囲を十分に確保しながら、放熱性を良好に保つことが可能である。
【0024】
さらに、図8に示すように、上記実施の形態において、ミシンアーム部1の上壁部分1aよりも上方に突出する上部摺動軸受2Aの上端部分2aに放熱用フィン28を付設して、放熱面積を拡大することにより、放熱性の一層の向上を図ることが可能である。
【0025】
さらにまた、上記の実施の形態では、多本針偏平縫いミシンに適用したものについて説明したが、二重環縫いミシンに適用してもよいことは、勿論である。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、ミシンアーム部の外側部に設けられている糸繰り装置、すなわち、上下方向への移動固定により針糸通し孔の位置を上下に調整可能とされた針糸孔部材と上下方向に往復駆動揺動される可動針糸繰り部材とからなる糸繰り装置だけで針糸の繰り出しを針糸の種類や縫製生地の性質にかかわらず適正に制御して所定の縫いを確実に行なうことが可能であるので、適正な針糸繰り制御量を確保せんがために針棒の上端部あるいは中間部への針糸道の取付けを省略することが可能であり、これによって、針棒の上端部に針糸道を固定していた従来のものに比べて針棒の長さを短くし、かつ、針棒の上端部あるいは中間部に針糸道を固定していた従来のものに比べて針棒重量の軽量化を図れて縫製速度の高速化に容易に対応させることができる。しかも、針棒の上下往復運動範囲の上限をミシンアーム部の上壁部分よりも上方に設定することにより、長時間に亘る縫製に伴って摺動熱をミシンアーム部の上壁部分よりも上方に突出して上下に往復運動する針棒の上端部から大気中に放出させるといった良好な放熱性を保つことができ、針棒および針が異常に高温になったり、熱がミシンアーム部内に籠もったりするなどの縫製作業の不具合を確実に防止することができるという効果を奏する。
【0027】
また、請求項2に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明による効果に加えて、摺動軸受による針棒の支持範囲を長く確保して針棒の耐久性も増大することができる。さらに、請求項4に記載の発明によれば、放熱性の一層の向上を図ることができる。
【0028】
さらにまた、請求項3に記載の発明によれば、良好な放熱性を損なうことなく、針棒上端部が露出状態のままで上下に高速往復運動することをなくして作業者等に対する安全性を確保でき、かつ、油漏れや塵埃の侵入も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明を適用した3本針偏平縫いミシンの一部切欠き正面図である。
【図2】 同上3本針偏平縫いミシンの前板部を取り除いた左側面図である。
【図3】 同上3本針偏平縫いミシンの要部の平面図である。
【図4】 要部の拡大縦断面図である。
【図5】 糸繰り装置の拡大正面図である。
【図6】 この発明の他の実施の形態を示す要部の拡大縦断面図である。
【図7】 この発明の別の実施の形態を示す要部の拡大縦断面図である。
【図8】 この発明のもう一つの実施の形態を示す要部の拡大縦断面図である。
【図9】 従来の多本針偏平縫いミシンの外観を示す概略正面図である。
【符号の説明】
1 ミシンアーム部
1A ミシンアーム部の先端部
1B ミシンアーム部の水平部
1a ミシンアーム部の先端部の上壁部
2A,2B 摺動軸受
2a 上部摺動軸受の上端部分
3 針棒
3a 針棒の上端部
4 駆動主軸
5 ミシンベッド部
6 ミシンフレーム本体
8 針
9 針糸
11 糸調子器
13 定置針糸道
17 固定の針糸道案内部材
20 糸繰り装置
21 パイプ状針糸孔部材
21a 針糸通し孔
24 可動針糸繰り部材
24a,24b 針糸繰り孔
28 放熱用フィン

Claims (4)

  1. 先端部に針棒が上下方向に往復運動可能に支持されていると共に水平部に上記針棒を上下に往復駆動運動させる駆動主軸が挿通支持されているミシンアーム部と、先端部に縫いを構成する部品が収容されているミシンベッド部とからなるミシンフレーム本体における上記ミシンアーム部の外側部に、上記針棒の上下往復運動に同期作動することにより糸調子器及び定置針糸道を経て上記針棒の下端に取り付けられている針へ供給される針糸の繰り出しを制御する糸繰り装置が設けられている糸繰り装置付ミシンにおいて、
    上記糸繰り装置は、上記定置針糸道を通過直後の針糸の通し孔を上端に有し、上下方向への移動固定により針糸通し孔の位置を上下に調整可能とされた針糸孔部材と、この針糸孔部材の針糸通し孔とミシンアーム部の先端部下端に固定の針糸道案内部材との間に亘って掛け渡しされる針糸の途中部分を通す針糸繰り孔を先端部に形成し、かつ、その基端部側を中心にして上下方向に往復駆動揺動される可動針糸繰り部材とから構成されており、
    また、上記ミシンフレーム本体におけるミシンアーム部に、上記針棒の上下往復運動を支持する摺動軸受が設けられていると共に、この摺動軸受に支持されている上記針棒の上端部及び中間部には針糸道が付設されてなく、かつ、この針棒の上下往復運動範囲は、その上限が上記ミシンアーム部の上壁部分よりも上方に突出位置するように設定されていることを特徴とする糸繰り装置付ミシン。
  2. 上記摺動軸受の上端部分が、上記針棒の上下往復運動範囲の全長に亘って該針棒の上端部の上下往復運動を支持するようにミシンアーム部の上壁部分よりも上方に突出されている請求項1に記載の糸繰り装置付ミシン。
  3. 上記ミシンアーム部の上壁部分よりも上方に突出して上下に往復運動する針棒の上端部を包囲するカバーが設けられて針棒の上端部が実質的に密閉化されている請求項1に記載の糸繰り装置付ミシン。
  4. 上記ミシンアーム部の上壁部分よりも上方に突出している摺動軸受部分には、放熱用フィンが付設されている請求項2に記載の糸繰り装置付ミシン。
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