JP3735066B2 - 回転シリンダ型の複式ビーム変成器 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は複式ビーム変成器に関し、とくにＸ線画像装置に有用な個別ペンシルビーム列とファンビームとの両者を提供できる複式ビーム変成器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
Ｘ線ビームコリメータは不定形のＸ線ビームを特定の所望の形に作り上げる。ファンビーム・コリメータは、スリット付き鉛板や他の遮断物質を用いてファンビーム（扇形ビーム）を作る。米国特許第3,808,444号を参照されたい。チョッパー輪コリメータは、複数のほぼ放射状のスロットを用いてファンビームを複数のペンシルビームに断続（チョップ）する。前記特許及び米国特許第5,181,234号を参照されたい。チョッパー輪コリメータは、チョッパー輪の回転に応じてペンシルビームが前後又は上下横断的に動くので、飛点走査装置と呼ばれることがある。米国特許第4,745,631号も参照されたい。回転輪コリメータは，中央部のＸ線源と、外側に延在するペンシルビーム群形成用の複数の放射状チャネルとを有する。米国特許第5,493,546号を参照されたい。他の２態様は、ファンビームから連続形又は飛点形のペンシルビームを形成する螺旋スリットを使用する。一方の手法である米国特許第4,745,631号は、シリンダの回転時に飛点形ペンシルビームを形成する複数の螺旋スリットをシリンダ表面に設ける。他方の手法は、シリンダ表面に単独の螺旋スリットを設ける。米国特許第5,493,596号及び第5,528,656号を参照されたい。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、改良型の複式ビーム変成器を提供することにある。
本発明の更なる目的は、ペンシル及びファンビームの両者を生成する改良型の複式ビーム変成器を提供することにある。
更に本発明の目的は、簡単な駆動装置と強化構造とのために変成器の中央部を空けた改良型の複式ビーム変成器を提供することにある。
更に本発明の目的は、個別ペンシルビーム列を提供する改良型の複式ビーム変成器を提供することにある。
更に本発明の目的は、構造が簡単で小型化・コンパクト化が可能な改良型の複式ビーム変成器を提供することにある。
更に本発明の目的は、簡単に且つ安価に製造できる改良型の複式ビーム変成器を提供することにある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回転シリンダの環状壁を貫く複数の個別弦方向通路を壁沿いの半径方向及び長さ方向に相互に離れた列として配置し且つシリンダの反対側に縮径切除部を設け、シリンダの回転により交互に入射ファンビームを通過させ又は入射ファンビームを個別ペンシルビーム列に変成すれば、中央部の駆動手段で容易に回転させることができペンシル及びファンビームの両者を生成する簡単で小型且つコンパクトなビーム変成器を達成できるとの知見に基づくものである。
【０００５】
本発明の複式ビーム変成器は、少なくとも１つの環状壁を有し長手軸線の回りに回転可能なシリンダを含む。それぞれ前記壁を貫いて延び両端孔がその壁の表面上に開口する複数の個別弦方向通路を、前記壁沿いの周方向及び前記シリンダの軸線沿いの長手方向の両方向に相互に隔てて設けることにより、シリンダの回転に応じて入射する放射線のファンビームを個別ペンシルビームの列に変成する。シリンダには、シリンダの回転に応じ入射ファンビームを前記ペンシルビーム列と交互に無変成で周期的に通過させるため、前記壁の表面上に縮径切除部を設ける。
【０００６】
好ましくは、前記シリンダを円柱又は多角柱とする。前記縮径切除部を平坦にし又は弦方向の平坦表面とすることができる。前記弦方向通路は、実質上１〜10mmの直径とし、前記周方向に実質上１〜５度ずつ相互に離し、前記軸線方向に全角度範囲の実質上1/10〜1/500ずつ相互に離すことができる。前記縮径切除部を、前記周方向の実質上10〜180度の角度に対応する弦とすることができる。前記シリンダは鉛混入エポキシ製とすることができる。前記環状壁により、駆動シャフト収納用の内部室を形成することができる。その室は、中央部にシリンダの長手軸線と一致させて配置することができる。そこには、シリンダを回転させる駆動機構を設けることができる。駆動機構によりシリンダを実質上100〜2000rpmで回転させることができる。シリンダの外径を5〜30インチとすることができる。多数の前記縮径切除部を設け、前記複数の個別弦方向通路の組を多数設けることができる。
【０００７】
【発明の実施の形態】
好ましい実施例の説明及び添付図面による以下の説明から、当業者であれば他の目的、実施態様及び利点に想到するであろう。
【０００８】
本発明では先ず、複式ビーム変成器を回転させてＸ線の個別ペンシルビーム列を生成し、そのペンシルビーム列を対象で散乱させたのち例えば後方散乱検出器に衝突させてＸ線で撮像する。次に、変成器を更に回転させてＸ線のファンビームを生成し、そのファンビームを対象に透過させたのち透過検出器に当てる。変成器の更なる回転に応じて再びペンシルビーム列とファンビームとが生成されるので、変成器の１回転毎に以下のものが生成される。すなわち、対象の底部から頂部まで次々と当たる最初の多数のペンシルビーム列、対象の底部から頂部まで延在して対象に当たる最初のファンビーム、２番目の多数のペンシルビーム列、及び２番目のファンビーム。
【０００９】
図１〜４に示す本発明の複式ビーム変成器10は、環状壁14及び15とそれらの間の縮径切除部16及び17とを有するシリンダ12を含む。環状壁14の外面上の入射孔と出射孔との間に、環状壁14を貫いて延在する複数の個別弦方向通路又はトンネル18が存在する。環状壁15についても同様であり、図２に示すように、環状壁15の外面上の入射孔と出射孔との間に環状壁15を貫いて延在する複数の個別弦方向通路又はトンネル18が存在する。図３に示すＸ線のファンビーム30がシリンダ12に当たり、矢印24で示す向きのシリンダ12の回転に応じて、それぞれ独立した複数の個別ペンシルビーム28が作られる。図３に示した特定の時点において、環状壁14を貫いて入射孔20aと出射孔20bとを結ぶ通路18が、入射ビーム30の個別部分の通過によりペンシルビーム28を形成する。図５も参照のこと。入射孔20aがファンビーム30の当たる環状表面14の領域を越えて回転すると、入射及び出射孔20a及び20bが個別の急峻なペンシルビーム28の遮断手段となり、通路又はトンネル18により作られたペンシルビーム列の個別の精密なオン・オフ時間が得られる。ファンビームのビーム源は図示していないが、上述した従来の技術で引用した文献が開示する適当なビーム源を使用することができる。この指摘により、従来の技術で引用した文献は全体として本明細書に組み込まれる。シリンダ12の回転に応じ、図５に示す複数の通路18が次々と入射ファンビーム30に心合わせされ、図３に示すように個別ペンシルビーム28の列が生成される。シリンダ12が矢印24で示す向きに回転し続けると、縮径切除部16がファンビーム30を無変成で通過させる図４の位置に到達する。縮径切除部16は平坦面又は弦方向表面として表されているが、本発明はこの例に限定されず、ファンビーム30を通過させる適当な縮径切除部の形状又は形態であれば足りる。
【００１０】
壁14及び15の入射孔から出射孔まで延在する各通路18は、２方向、すなわちシリンダ12の環状壁14及び15に沿った周方向と長手軸線方向との両方向に段付け又は角度付けすることが望ましい。以上、シリンダ12を正円柱として示したが、本発明はこの例に限定されず、所望のビームが生成できる任意の形状（例えば、多角柱）とすることができる。
【００１１】
シリンダ12は、例えば鉛混入エポキシ等の適当なＸ線遮断物質製とすることができる。環状表面14及び15を貫いて延在する弦方向通路18は、一般的には１〜10mmの直径とすることができ、前記周方向に相互に１〜５度ずつ離し、前記軸線方向に相互に全角度範囲の1/10〜1/500ずつ離すことができ、５〜30インチの直径とファンビームを遮るに十分な高さとを有し且つモータにより100〜2000rpmの速度で回転させるシリンダとした場合は、縮径切除部を約10〜180度の角度に対応させることができる。
【００１２】
こうして、Ｘ線ビームが変成器の中央部を貫いて通過せず、容易に構造を強化して駆動モータ及び駆動シャフトと組み合わせることができる複式（ペンシル及びファン）のビーム変成器が達成される。好ましい実施例ではバランス上２つの縮径切除部17、16が示されているが、他の実施例では単独の縮径切除部を用いることができる。変成器によるペンシルビームは後方散乱画像を作成するために有用であり、変成器によるファンビームは透過画像を作成するために有用である。
【００１３】
【実施例】
他の特定の実施例では、変成器10'に内管30と外管32とそれらの間の鉛製充填物34とを含める（図６参照）。外管32の環状表面14'、15'を貫いて弦方向通路18'を設け、場合によっては鉛製充填物34をも貫通させる。縮径切除部16'、17'を外管32の機械的加工により形成する。
【００１４】
本発明の特定の特徴を一部の図面に示して他の図には示さなかったが、これは便宜上に過ぎず、各特徴は本発明の他の諸特徴の何れか又は全部と組み合わせることができる。
他の実施例が当業者には可能であり、前記特許請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図１】、
【図２】、
【図３】及び
【図４】は、本発明による複式ビーム変成器の三次元形状を示す図である。
【図５】は、図１に示すシリンダの線５−５における水平断面図である。
【図６】は、本発明による複式ビーム変成器の他の実施例の水平断面図である。
【符号の説明】
10、10'…複式ビーム変成器
12…シリンダ
14、15、14'、15'…環状壁
16、17、16'、17'…縮径切除部
18、18'…個別弦方向通路又はトンネル
20a…入射孔
20b…出射孔
24…回転向き矢印
28…ペンシルビーム
30…ファンビーム
30…内管
32…外管
34…鉛製充填物

Claims (9)

1. 少なくとも１つの環状壁を含み長手軸線の回りに回転可能なシリンダ；それぞれ前記壁を貫いて延び両端孔がその壁の表面上に開口し、前記壁沿いの周方向及び前記シリンダの軸線沿いの長手方向の両方向に相互に隔たることにより、前記シリンダの回転に応じて入射する放射線のファンビームを個別ペンシルビームの列に変成する複数の個別弦方向通路の組；並びに前記シリンダの回転に応じ前記入射ファンビームを前記ペンシルビーム列と交互に無変成で周期的に通過させるための前記シリンダ上の少なくとも１つの縮径切除部を備えてなる複式ビーム変成器。
2. 請求項１の変成器において、前記シリンダを円柱としてなる複式ビーム変成器。
3. 請求項１の変成器において、前記縮径切除部を平坦にしてなる複式ビーム変成器。
4. 請求項１の変成器において、前記各弦方向通路を、実質上１〜10mmの直径としてなる複式ビーム変成器。
5. 請求項１の変成器において、前記複数の弦方向通路を、前記周方向に実質上１〜５度ずつ相互に離してなる複式ビーム変成器。
6. 請求項１の変成器において、前記複数の弦方向通路を、前記長手方向に全角度範囲の実質上1/10〜1/500ずつ相互に離してなる複式ビーム変成器。
7. 請求項１の変成器において、前記縮径切除部を、前記周方向の実質上10〜180度の角度に対応する弦としてなる複式ビーム変成器。
8. 請求項１の変成器において、前記シリンダを鉛混入エポキシ製としてなる複式ビーム変成器。
9. 請求項１の変成器において、前記回転シリンダに外管と内管と両管の間に詰めた鉛とを含め、前記縮径切除部を前記外管の機械的加工により形成し、前記外管を貫き前記個別弦方向通路を延在させてなる複式ビーム変成器

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