JP3733762B2 - ダミーウエハ及びその製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造工程での低圧CVD装置に用いられるダミーウエハ製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハの表面に、例えば窒化シリコン等の膜を形成する際には、低圧CVD装置が用いられている。この低圧CVD装置は、例えば図2に示すように、アウターチューブ11とインナーチューブ12とで構成された二重管13を有している。アウターチューブ11及びインナーチューブ12の下部には、基台14が配置され、これらのチューブ11、12を支持している。基台14には、インナーチューブ12の内側の空間に連通するガス導入管15と、インナーチューブ12とアウターチューブ11との間の空間に連通する排気管16とが取付けられている。
【0003】
基台14の下面には開口があり、リフト18によって昇降動作する蓋体17が開閉可能に取付けられている。蓋体17上には、台座19を介してウエハボート20が設置され、ウエハボート20には、多数の半導体ウエハWが上下に配列されて支持されている。したがって、リフト18により蓋体17が上昇すると、蓋体17上に台座19を介して設置されたウエハボート20及びウエハWが二重管13内に導入され、蓋体17が基台14の開口を封止する。また、リフト18により蓋体17が下降すると、基台14の開口が開いて、蓋体17上に台座19を介して設置されたウエハボート20及びウエハWが取り出されるようになっている。また、二重管13の外周には、ヒータを有する円筒状の炉体21が配置されている。
【0004】
このCVD装置においては、半導体ウエハWが支持された部分が一定の温度になるようにすることが重要であるが、実際にはウエハボート20の上下端部近傍に支持されたウエハWの温度は、中間部に支持されたウエハWの温度に比べて変動し、不良品を発生しやすい傾向がある。このため、ウエハボート20の上下端部近傍には、ダミーウエハWaを置くことにより、中間部に配置された本当のウエハWの温度条件が一定になるようにしている。
【0005】
従来、このようなダミーウエハWaとしては、シリコンウエハの不良品や、むだ材を使っていた。しかしながら、シリコンウエハ自体も不足する傾向があるため、カーボン基板の表面にSiC膜をコーティングした基板や、全体がSiCでできた基板からなるダミーウエハが用いられるようになってきた。特に、全体がSiCからなるダミーウエハは、窒化シリコン等のCVD膜と熱膨張率が近いため、表面に形成されたCVD膜が剥れにくく、CVD膜がある程度厚くなるまで繰り返し使用しても、CVD膜の剥れによるパーティクル汚染が起こりにくいという利点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、全体がSiCからなるダミーウエハにおいても、数回使用すると、CVD膜の剥れによるパーティクル汚染を生じる虞れがあるため、比較的頻繁にCVD膜の洗浄、除去作業を行う必要があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、CVD膜がかなり厚くなっても剥れにくく、それによってCVD膜の洗浄、除去作業の回数を著しく少なくすることができるようにしたダミーウエハ製造法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のダミーウエハの製造法は、カーボン基板を製作する工程と、このカーボン基板表面にCVDコーティングによってSiC膜を形成する工程と、前記カーボン基板を除去してSiC基板を作成する工程と、このSiC基板を研削加工する工程と、前記SiC基板を面取りする工程と、前記SiC基板表面をサンドブラストして、平均表面粗さRaを1〜10μmとする工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
上記本発明のダミーウエハの製造法においては、SiC又はAl2 3 からなる砥粒を用いてサンドブラストすることが好ましい。また、粒度20〜320メッシュの砥粒を用いてサンドブラストすることが好ましい。更に、サンドブラストの圧力1.0〜9.0kg/cm2 、時間2〜30分の条件で処理することが好ましい。
【0013】
本発明のダミーウエハの製造法によれば、CVDコーティングによって形成したSiC膜からダミーウエハを形成するので、SiCの純度を十分に高くすることができ、また、全体がSiCからなるものであるので、窒化シリコン、ポリシリコン等のCVD膜と熱膨張係数が近く、CVD装置からボートを出し入れして、800℃から20℃までの激しい温度変化を繰り返しても、ダミーウエハ表面に付着したCVD膜が剥れにくい。そして、最後の工程のサンドブラストの砥粒の材質や大きさを選択することにより、所望の表面粗さRaを得ることができ、平均表面粗さRaを1〜10μmにすることにより、上記CVD膜が物理的、機械的に密着させ、より一層剥れにくくさせることができ、CVD処理を繰り返してダミーウエハの表面にCVD膜がかなり厚く形成されても、CVD膜の剥れを防止することができる。その結果、このようにして製造されたダミーウエハは、CVD膜を除去するための洗浄作業の回数を著しく少なくすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1には、本発明のダミーウエハの製造工程が示されている。
まず、工程S1として、高純度カーボン基板1を製作する。このカーボン基板1の材質としては、JIS R7221に定められた高純度黒鉛を用いることができる。カーボン基板1の形状及び大きさは、目的とするダミーウエハの形状にほぼ合わせた形状及び大きさとすることが好ましく、厚さは2〜30mmが好ましい。
【0015】
次に、工程S2として、カーボン基板1の表面にSiC膜2aを所定の厚さになるようにCVDコーティングする。SiC膜2aの厚さは、目的とするダミーウエハの厚さよりやや厚い程度が好ましく、具体的には0.7〜5.0mmが好ましい。このSiC膜2aは、CVD膜であるためβ型である。また、不純物濃度が0.5ppm以下となるように形成されることが好ましいが、工業的に形成する場合は、0.01ppm以上で十分である。
【0016】
次いで、工程S3として、カーボン基板1を除去して、2枚のSiC基板2bを作成する。カーボン基板1の除去は、例えばダイヤモンドカッタでカーボン基板1の肉厚中心部を平面方向に沿ってスライスし、残ったカーボン基板1を研削して除去する方法などが採用される。
【0017】
続いて、工程S4として、上記SiC基板2bを研削加工して、所定の厚さ及び大きさのSiC基板2cを作成する。このSiC基板2cの厚さは0.3〜3.0mm、最大径は半導体ウエハに合わせて100〜400mmであることが好ましい。また、SiC基板2cの形状は、半導体ウエハの形状に合わせた形状とされ、例えば円形、又は円形の外周の一部を直線的に切欠いた形状などが好ましく採用される。
【0018】
更に、工程S5として、上記SiC基板2cの外周を面取りして、外周が丸みを帯びた形状あるいはテーパ状等をなすSiC基板2dを作成する。
【0019】
最後に、工程S6として、SiC基板2d表面をサンドブラスト処理して、平均表面粗さRaを1〜10μmとすることにより、本発明のダミーウエハWaを得る。
【0020】
この場合、砥粒としては、SiC、Al2 3 等の硬質粒子からなり、粒度20〜320メッシュのものを用いることが好ましい。砥粒の粒度が、上記範囲よりも細かいと、平均表面粗さRaを1μm以上にすることが難しくなり、上記範囲よりも粗いと、平均表面粗さRaが10μmを超える可能性があり、また、衝撃によってSiC基板が破損する虞れがある。
【0021】
また、サンドブラストは、圧力1.0〜9.0kg/cm2 、時間2〜30分の条件で処理することが好ましい。サンドブラストの圧力が上記よりも低く、処理時間が上記よりも短いと、平均表面粗さRaを1μm以上にすることが難しくなり、サンドブラストの圧力が上記よりも高く、処理時間が上記よりも長いと、SiC基板を破損したり、厚さ等が変化したりする虞れがある。
【0022】
こうして得られた本発明のダミーウエハWaは、全体がSiCからなり、平均表面粗さRaが1〜10μmである。上記表面粗さRaが1μmよりも小さいと、半導体製造時のCVD膜の剥れ防止効果が十分に得られず、10μmを超えると、製造作業性が悪くなると共に、サンドブラストの際に砥粒の衝撃によって基板が破損する虞れがある。平均表面粗さRaは上記範囲中1.3〜8μmの範囲が好ましく、1.5〜7μmの範囲が特に好ましい。
【0023】
また、好ましくは、最大表面粗さRmaxが6〜100μmとされている。最大表面粗さRmaxが上記の範囲であることが好ましい理由は、上記平均表面粗さRaの限定理由とほぼ同じである。
【0024】
更に、好ましくは、厚さが0.3〜3.0mm、最大径が100〜400mmとされ、円形又は円形の一部を切欠いた形状をなしている。これは、半導体ウエハに準じた厚さ、大きさ、及び形状とすることが、CVD装置の温度調節上及び取扱い上好ましいからである。
【0025】
更にまた、好ましくは、β型のSiCからなり、SiC中の不純物濃度が0.5〜0.01ppmとされている。β型のSiCは、CVD法によって形成できるので、高純度のものを作りやすいという特徴がある。また、純度が上記範囲よりも低いと、半導体ウエハへの汚染を十分に防止できず、純度が上記よりも高いと原料等の製造が難しく、コスト高となる。
【0026】
【実施例】
図1に示した工程に従って、ダミーウエハを製造した。ダミーウエハの厚さは0.7mm、最大径は200mm、形状は円形とした。ダミーウエハを構成するSiC中の不純物濃度は0.27ppmであった。
【0027】
最後のブラスト工程において、ブラスト処理を行わないもの(比較例)、240メッシュのSiC砥粒でブラストしたもの(実施例1)、100メッシュのSiC砥粒でブラストしたもの(実施例2)、60メッシュのSiC砥粒でブラストしたもの(実施例3)、30メッシュのSiC砥粒でブラストしたもの(実施例4)を得た。
【0028】
その結果、得られた各ダミーウエハの平均表面粗さRa、及び最大表面粗さRmaxは、表1に示す通りであった。これらのダミーウエハを用いて、CVD法により半導体ウエハに窒化シリコン膜を形成する作業を何回か繰り返し行い、ダミーウエハの表面に付着する窒化シリコン膜の厚さがどのくらいで、半導体ウエハのパーティクル汚染が発生するかを調査した。この結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003733762
【0030】
表1に示されるように、ブラスト処理により、平均表面粗さRaが1.01〜4.μmとされた実施例1〜4のダミーウエハは、ブラスト処理をせず、平均表面粗さRaが0.4μmの比較例のダミーウエハに比べて、パーティクル汚染が発生するCVD膜の膜厚が顕著に厚くなることがわかる。したがって、実施例1〜4のダミーウエハでは、表面に付着したCVD膜を洗浄して除去する作業の回数を減らすことができ、半導体製造工程におけるCVD処理の作業性を向上させることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のダミーウエハの製造法によれば、全体がSiCからなるダミーウエハを製造することができるので、窒化シリコン、ポリシリコン等のCVD膜と熱膨張係数が近く、CVD装置からボートを出し入れして、激しい温度変化を繰り返しても、ダミーウエハ表面に付着したCVD膜が剥れにく。また、平均表面粗さRaを1〜10μmとしたことにより、上記CVD膜がより一層剥れにくくなり、CVD処理を繰り返してダミーウエハの表面にCVD膜がかなり厚く形成されても、CVD膜の剥れを防止することができる。このため、ダミーウエハ表面に付着したCVD膜を除去するための洗浄作業の回数を著しく少なくすることが可能となり、生産性の向上及び製造コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のダミーウエハの製造工程を示す説明図である。
【図2】一般的なCVD装置の一例を示す正面断面図である。
【符号の説明】
1 カーボン基板
2a,2b,2c,2d SiC基板
Wa ダミーウエハ

Claims (4)

  1. カーボン基板を製作する工程と、このカーボン基板表面にCVDコーティングによってSiC膜を形成する工程と、前記カーボン基板を除去してSiC基板を作成する工程と、このSiC基板を研削加工する工程と、前記SiC基板を面取りする工程と、前記SiC基板表面をサンドブラストして、平均表面粗さRaを1〜10μmとする工程とを含むことを特徴とするダミーウエハの製造法。
  2. SiC又はAl 2 3 からなる砥粒を用いてサンドブラストする請求項1記載のダミーウエハの製造法。
  3. 粒度20〜320メッシュの砥粒を用いてサンドブラストする請求項1又は2記載のダミーウエハの製造法。
  4. サンドブラストの圧力1.0〜9.0kg/cm 2 、時間2〜30分の条件で処理する請求項1〜3のいずれか1つに記載のダミーウエハの製造法。
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