JP3731784B2 - グルコース濃度測定方法および装置 - Google Patents

グルコース濃度測定方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は生体におけるグルコース濃度の測定方法および装置に関し、詳細には眼球部の前眼房水内におけるグルコース濃度を非侵襲的に測定する方法および装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
血液中のグルコース濃度は個人差によりその平均レベルは異なるが、特に糖尿病疾患に対する投薬の要否を決定するための重要な指標値となっている。
【0003】
ところでこの血中グルコース濃度は、食餌、肉体的活動、その他疾患の併発等によって極短時間の間に大きく変動する特性を有しており、急激な血中グルコース濃度の上昇によって緊急に投薬を要する場合も少なくない。
【0004】
このため、このような疾患を有する患者についてはなるべく短い間隔で血中グルコース濃度をモニタすることが望まれているが、一方でこの血中グルコース濃度のモニタは通常、指先を穿切して実際に採血し、この血液を分析することにより血液中に含まれるグルコースの濃度(以下、単に血中グルコース濃度という)を測定することにより行なわれており、この穿切に伴う痛みのため患者に1日に何回も測定を強要するのは困難な状況にある。
【0005】
そこで近年、このような欠点を有する上記侵襲型(侵入型)の測定に代えて、痛み等を伴わない非侵襲型(非侵入型)の測定方法が種々提案されている。
【0006】
これらは主として、人の眼球部の角膜と水晶体との間にある前眼房を満たす眼房水中のグルコース濃度が、個人差はあるものの血中グルコース濃度と極めて高い相関関係を有していることに着目したものであり、眼房水中のグルコース濃度を非侵襲で測定するものである。
【0007】
例えば特開昭51-75498号(米国特許第3,958,560 号)によれば、眼房水中に入射した赤外線の旋光度を求めることにより、この旋光度と関連のあるグルコース濃度を得るものである。
【0008】
また特表平6-503245 号によればグルコースの誘導ラマン光を測定するものである。
【0009】
さらに特開平6-237898 号では、水晶体による反射光を光学的性質を測定するデバイスの発明が記載されている。その他、米国特許第5,433,197 号においても眼房水中のグルコース濃度を測定する方法が記載されている。
【0010】
しかしながら、上記特開平6-237898 号に記載された発明は、角膜と眼房水との境界面での反射光を除去することができず、また角膜での吸収情報も一緒に検出されるため眼房水中のグルコース濃度決定の精度が低下する。
【0011】
また、微小な吸光度変化を具体的にどのような技術的手段によって測定するかについての開示がないため実用上問題がある。
【0012】
一方、米国特許第3,958,560 号によれば、眼房水中のグルコース以外の多数の化合物が光学的に活性で偏光面の回転に関与する。また角膜は複屈折を示すため偏向面の回転を引き起こす。したがって旋光度により眼房水中のグルコース濃度を測定することは測定精度確保のうえで問題がある。
【0013】
さらに特表平6-503245 号によれば、グルコースの誘導ラマン光の測定のため大きな出力のポンプレーザ光を前眼房部に、視線光軸に対して垂直に導入するため実用的な測定系の構成が困難である。
【0014】
そこで本願出願人は、眼房水中のグルコース濃度を非侵襲的に、かつ精度よく測定することを目的として、眼球に照射した光による反射光の吸光度に基づいて眼房水中のグルコース濃度を測定する方法・装置において、光ヘテロダイン検出法により、当該反射光のうち眼房水を透過した反射光のみを精度よく検出するようにしたグルコース濃度測定方法および測定装置を提案している(特願平8-121790号)。
【0015】
この方法・装置によれば、眼球からの反射光として検出される光のうち、眼房水による吸光度測定にとってノイズとなる角膜と空気との境界面による反射光および角膜と前眼房との境界面による反射光を精度よく除去することができるため、眼房水中のグルコースによる吸光度を精度よく測定することができ、この吸光度に基づいてグルコース濃度を精度よく得ることができるものである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、眼房水中のグルコース濃度を血中グルコース濃度に対応付けて、この眼房水グルコース濃度測定を血中グルコース濃度測定の代替措置として実用するには、上記眼房水による吸光度を 0.0001Absの精度で測定することが求められる。これは、眼房水中のグルコース濃度の測定精度を±10 mg/dlとすることに相当する。
【0017】
ここで眼球はその角膜表面から網膜に亘って概ね 1.5〜6.0 ℃程度の温度の分布を有し、この温度分布は外気温および深部体温(近似的には、角膜表面からの深さに応じた温度)に依存するところが大きい。一方、上記吸光度はその光の波長により、媒体の温度に大きく影響を受け、通常の外気温変動の範囲においても吸光度が 0.01Abs程度の変動を生じる場合もある。
【0018】
このことから、上記特願平8-121790号による眼房水中のグルコース濃度測定方法・装置では、所望とする測定精度を十分に確保することができない虞がある。
【0019】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、眼球の温度分布をも考慮した測定精度の高い、眼房水中のグルコース濃度測定方法および測定装置を提供することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明のグルコース濃度測定方法および測定装置は、眼球に照射した光の反射光から得られた眼房水の吸光度を、眼房水の温度分布にしたがって補正したうえで、グルコース濃度の算出に適用するものである。
【0021】
すなわち本発明のグルコース濃度測定方法は、眼球に光を照射し、この光による該眼球の前眼房内を満たす眼房水成分の光吸収特性を求め、前記光とは波長帯域の異なる他の複数の光により同様に前記眼房水成分の光吸収特性を求め、得られた複数の光吸収特性に基づいて前記眼房水成分中のグルコース濃度を求めるグルコース濃度測定方法において、
前記前眼房内における前記眼房水の温度分布を求め、
前記求められた温度分布に応じて、前記各光吸収特性を補正し、
前記補正された各光吸収特性に基づいて、前記眼房水成分中のグルコース濃度を求めることを特徴とするものである。
【0022】
また本発明のグルコース濃度測定装置は、上記本発明のグルコース濃度測定方法を実施する装置であって、眼球に光を照射し、この光による該眼球の前眼房内を満たす眼房水成分の光吸収特性を求め、前記光とは波長帯域の異なる他の複数の光により同様に前記眼房水成分の光吸収特性を求める光吸収特性検出手段と、該光吸収特性検出手段により得られた複数の光吸収特性に基づいて前記眼房水成分中のグルコース濃度を求めるグルコース濃度算出手段とを備えたグルコース濃度測定装置において、
前記前眼房内における前記眼房水の温度分布を求める温度分布検出手段と、
前記温度分布検出手段により求められた温度分布に応じて、前記各光吸収特性を補正する補正手段とをさらに備え、
前記グルコース濃度算出手段が、前記補正手段により補正された各光吸収特性に基づいて前記眼房水成分中のグルコース濃度を求めるものであることを特徴とするものである。
【0023】
ここで前眼房内における眼房水の温度分布の求め方としては、具体的には、
(1)外気温および角膜表面温度を測定し、前眼房の深部体温および外気温ごとに予め設定された眼球の複数種類の温度分布と、前記測定された外気温および角膜表面温度とに基づいて、前記眼房水の温度分布を求める方法、
(2)外気温、角膜表面温度および前記前眼房の深部体温を測定し、測定された3つの温度に基づいて、例えば有限要素法により、眼房水の温度分布を求める方法、
などを適用することができる。
【0024】
上記(1)の温度分布を求める方法において、「前眼房の深部体温および外気温ごとに予め設定された眼球の複数種類の温度分布」とは、例えば図8にその一部を示す。すなわち、図8は、深部体温(眼底温度)が36.5℃の場合の、外気温10℃、15℃、20℃、25℃、30℃ごとの眼球の温度分布(角膜外表面からの距離(横軸)と温度(縦軸)との対応関係)を示すものであり、実験的または理論的に設定されたものである。そして深部体温が36.5℃とは異なる35.0℃、35.5℃、36.0℃、37.0℃、37.5℃、38.0℃等のものについても同様に予め設定され、測定された外気温および角膜表面温度から、これらの図(予め設定された複数の温度分布)の中から対応する温度分布を選択し、あるいはこれらの各温度分布により補外(外挿)処理して求めればよい。
【0025】
温度と光吸収特性(吸光度)とは、例えば図4に示す対応関係を有する。すなわち図4は、温度36℃における吸光度(Abs )および温度32℃における吸光度(Abs )を、温度34℃における吸光度(Abs )との差として、光の波長ごとに示したものである。なお、各波長における温度と吸光度差とは線形に対応する。
【0026】
また複数の光によりそれぞれ対応する光吸収特性を求めるのは、眼房水にはグルコース以外にもNaClをはじめとして複数の成分が含まれているため、これらの複数成分のに対応した波長の光について繰り返し行ない、多変量解析を含む公知な近赤外分光分析法を適用することにより、眼房水中のグルコースだけの濃度を特定するためである。
【0027】
上記複数の光吸収特性の求め方としては、具体的には例えば下記の3つの方法を適用することができる。
【0028】
すなわち、第1の方法として、
所定の光源から出射された低コヒーレンスな光を、互いに異なる2つの光路に沿って各別に進行する信号光と参照光とに分割し、
該信号光と参照光とで僅かな周波数差が生じるように両光のうち少なくとも一方を変調し、
所定の位置に予め配された眼球に前記信号光を照射し、
該眼球に照射された信号光の、角膜と前眼房との境界面による第1の後方散乱光と、前記参照光とを、該参照光の光路長を調整することにより干渉せしめ、
該干渉により得られた第1の干渉光の強度を測定し、
第1の干渉光の強度に基づいて前記第1の後方散乱光の強度を求め、
前記眼球に照射された信号光の、前眼房と水晶体との境界面による第2の後方散乱光と、前記参照光とを、該参照光の光路長を調整することにより干渉せしめ、
該干渉により得られた第2の干渉光の強度を測定し、
第2の干渉光の強度に基づいて前記第2の後方散乱光の強度を求め、
前記第1および第2の後方散乱光の強度に基づいて、前記前眼房内を満たす眼房水成分の、前記温度補正前の光吸収特性を求め、
前記低コヒーレンスな光とは波長帯域の異なる他の複数の低コヒーレンスな光についても同様にして、前記温度補正前の複数の光吸収特性を求める。
【0029】
ここで上記低コヒーレンスな光としては、可干渉距離が数十μm程度と短い例えばSLD(Super Luminescent Diode )やLED等が用いられる。なお実用上はより指向性の高いSLDを用いるのが望ましい。
【0030】
また、上記干渉光の強度を測定するとは、上記後方散乱光(信号光)と参照光との差周波数で強弱を繰り返すビート信号(干渉光)の強度を計測することを意味する。以下の発明においても同様である。
【0031】
なお、上記第1の方法において、上記各低コヒーレンスな光は、これら各低コヒーレンスな光の波長帯域よりも広い発光波長帯域の光の一部としてそれぞれ選択された光であってもよいし、互いに異なる複数の光源から各別に出射された光であってもよい。
【0032】
また、複数の光源により構成した場合には、この波長帯域の異なる複数の光源から順次に低コヒーレンスな光を出射して、これらに対応した各干渉光を1つの光検出器を用いて検出してもよいし、複数の低コヒーレンスな光を同時に出射して合波光を分析して検出してもよい。
【0033】
第2の方法として、
所定の光源から出射された、時間的に鋸歯状に周波数掃引されたコヒーレント光を互いに異なる2つの光路に沿って各別に進行する信号光と参照光とに分割し、
所定の位置に予め配された眼球に前記信号光を照射し、
該眼球の角膜と前眼房との境界面による前記信号光の第1の後方散乱光と、前記信号光および前記第1の後方散乱光と前記参照光との光路長差に基づく時間差をもって前記光源から出射した、前記第1の後方散乱光とは周波数差を有するコヒーレント光による前記参照光とを干渉せしめ、
該干渉により得られた第1の干渉光の強度を測定し、
該第1の干渉光の強度に基づいて前記第1の後方散乱光の強度を求め、
前記眼球の前眼房と水晶体との境界面による前記信号光の第2の後方散乱光と、前記信号光(参照光と分割されてから眼球の前眼房と水晶体との境界面に至るまでの信号光を意味する)および前記第2の後方散乱光(眼球の前眼房と水晶体との境界面から参照光と干渉するまでのもの)と前記参照光(信号光と分割されてから第2の後方散乱光と干渉するまでのもの)との光路長差に基づく時間差をもって前記光源から出射した、前記第2の後方散乱光とは周波数差を有するコヒーレント光による前記参照光とを干渉せしめ、
該干渉により得られた第2の干渉光の強度を測定し、
該第2の干渉光の強度に基づいて前記第2の後方散乱光の強度を求め、
前記第1および第2の後方散乱光の強度に基づいて、前記前眼房内を満たす眼房水成分の、前記温度補正前の光吸収特性を求め、
前記コヒーレント光とは波長の異なる他の複数のコヒーレント光についても同様にして、前記温度補正前の複数の光吸収特性を求める。
【0034】
ここで上記第1の後方散乱光と干渉せしめられる参照光が「第1の後方散乱光とは周波数差を有する」のは、以下の理由による。
【0035】
上記信号光が通過する光路長と第1の後方散乱光が通過する光路長との和と、参照光が通過する光路長とには差が設けられており(参照光の光路長の方が短い場合だけでなく、参照光の光路長の方を長く設定することも勿論可能である。)、この光路長差によって、例えば参照光の光路長の方が短い場合には、波面整合(干渉)せしめられる位置に到達するのは参照光の方が第1の後方散乱光よりも早い。
【0036】
すなわち第1の後方散乱光がその位置に到達したときには、この第1の後方散乱光を生じせしめた信号光と分割された参照光は既にこの位置を通過しており、この信号光が光源から出射された時点よりも遅い時刻に出射されたコヒーレント光の一部である参照光が到達する。
【0037】
この遅い時刻に出射されたコヒーレント光は、時間的に周波数掃引されているため、第1の後方散乱光とは僅かに周波数差を有するものとなっている。
【0038】
なお、上記第2の後方散乱光と干渉せしめられる参照光は、第1の後方散乱光と干渉せしめられる参照光とも異なる周波数を有している。これは、第1の後方散乱光が角膜と前眼房との境界による散乱光であるのに対し、第2の後方散乱光は、その境界よりもさらに眼球の深部である前眼房と水晶体との境界による散乱光であるため、両者の光路長差(前眼房の厚さの2倍)分に応じた時間差が生じ、この結果、第2の後方散乱光と干渉せしめられる参照光は第1の後方散乱光と干渉せしめられる参照光よりも遅い時刻に光源から出射されたコヒーレント光によるものとなる。
【0039】
なお、この第2の方法において、上記各コヒーレント光は、単一の光源からそれぞれ選択的に出射された光であってもよいし、または互いに異なる複数の光源から各別に出射された光であってもよい。
【0040】
第3の方法として、
所定の光源から出射された超短パルス光を眼球に照射し、
該眼球の角膜と前眼房との境界面による前記超短パルス光の第1の後方散乱光の強度および前眼房と水晶体との境界面による第2の後方散乱光の強度を各別に測定し、
前記第1および第2の後方散乱光の強度に基づいて、前記前眼房内を満たす眼房水成分の、前記温度補正前の光吸収特性を求め、
前記超短パルス光とは波長の異なる他の複数の超短パルス光についても同様にして、前記温度補正前の複数の光吸収特性を求める。
【0041】
ここで上記超短パルス光とは、少なくとも上記第1の後方散乱光の強度と、前眼房と水晶体との境界面による第2の後方散乱光の強度とを、時間的に分離して各別に測定し得る程度の非常に短時間(例えばフェムト秒〜ピコ秒単位程度)だけ発光するパルス状の光、例えばモードロックTi:サファイアレーザーなど等を意味する。このような超短パルス光を用いることにより、第1の後方散乱光に対して前眼房を往復する距離に対応した時間だけ遅れた第2の後方散乱光を、例えばストリークカメラ等の時間分解可能の光検出器を用いて、第1の後方散乱光から分離して検出することができる。
【0042】
なおこの第3の方法においても、各超短パルス光は、単一の光源からそれぞれ選択的に出射された光であってもよいし、または、互いに異なる複数の光源から各別に出射された光であってもよい。
【0043】
また上記本発明のグルコース濃度測定方法により求められた眼房水成分中のグルコース濃度ごとに、対応する血中グルコース濃度を各別に侵襲的に求めて、その方法により求められた前記眼房水成分中のグルコース濃度と侵襲的に得た血中グルコース濃度との相関を予め求め、この相関を求めた以後においては、上記各グルコース濃度測定方法により求めた眼房水成分中のグルコース濃度と前記相関とに基づいて、血中グルコース濃度を非侵襲的に求めるようにしてもよい。
【0044】
また、本発明のグルコース濃度測定装置の光吸収特性検出手段として、上述した複数の光吸収特性方法を求める各方法にそれぞれ対応する構成を適用することができる。
【0045】
すなわち、上記第1の方法に対応する光吸収特性検出手段として、
互いに発光波長帯域の異なる複数の低コヒーレンスな光を出射する光源装置と、
該光源装置から出射された低コヒーレンスな光を互いに異なる2つの光路に沿って各別に進行する参照光と眼球に入射される信号光とに分割する光路分割手段と、
該信号光と参照光とで僅かな周波数差が生じるように両光のうち少なくとも一方を変調する、該少なくとも一方の光路上に設けられた変調手段と、
前記参照光が進行する光路の長さを調整する光路長調整手段と、
前記眼球の角膜と前眼房との境界面による信号光の第1の後方散乱と前記参照光、および、前記眼球の前眼房と水晶体との境界面による前記信号光の第2の後方散乱光と前記参照光とを、それぞれ波面整合させる波面整合手段と、
前記参照光と前記第1の後方散乱光との波面整合による第1の干渉光および前記参照光と前記第2の後方散乱光との波面整合による第2の干渉光の強度を光電的に検出する光検出器と、
該各干渉光の強度に基づいて前記第1および第2の後方散乱光の強度を求めるヘテロダイン演算手段と、
前記第1および第2の後方散乱光の強度に基づいて前記前眼房を満たす眼房水成分の光吸収特性を求める光吸収特性分析手段とを備えたもの。
【0046】
ここで上記光源装置は、前記各コヒーレンスな光の波長帯域よりも広い発光波長帯域の低コヒーレンスな光を出射する単一の光源と、
該発光波長域の広い低コヒーレンスな光から、前記各低コヒーレンスな光を波長選択する波長選択手段とにより構成されているものであってもよいし、前記各低コヒーレンスな光を各別に出射する複数の光源により構成されているものであってもよい。
【0047】
上記第2の方法に対応する光吸収特性検出手段として、
図6に示すように、時間的に鋸歯状に周波数掃引された、互いに波長の異なる複数のコヒーレント光を出射する光源装置と、
該光源装置から出射された周波数掃引されたコヒーレント光を互いに異なる2つの光路に沿って各別に進行する参照光と眼球に入射される信号光とに分割する光路分割手段と、
前記眼球の角膜と前眼房との境界面による前記信号光の第1の後方散乱光と、前記信号光および前記第1の後方散乱光と前記参照光との光路長差に基づく時間差をもって前記光源から出射した、前記第1の後方散乱光とは周波数差を有するコヒーレント光による前記参照光とを、および、前記眼球の前眼房と水晶体との境界面による前記信号光の第2の後方散乱光と、前記信号光および前記第2の後方散乱光と前記参照光との光路長差に基づく時間差をもって前記光源から出射した、前記第2の後方散乱光とは周波数差を有するコヒーレント光による前記参照光とを、それぞれ波面整合させる波面整合手段と、
前記第1の後方散乱光と該第1の後方散乱光に対して僅かな周波数差を有する参照光との波面整合により得られた第1の干渉光、および前記第2の後方散乱光と該第2の後方散乱光に対して僅かな周波数差を有する参照光との波面整合により得られた第2の干渉光の強度を光電的に検出する光検出器と、
該各干渉光の強度に基づいて前記第1および第2の後方散乱光の強度を求めるヘテロダイン演算手段と、
前記第1および第2の後方散乱光の強度に基づいて前記前眼房を満たす眼房水成分の光吸収特性を求める光吸収特性分析手段とを備えたもの。
【0048】
このグルコース濃度測定装置においても、光源装置は、前記複数のコヒーレント光のうちいずれか1つを選択的に出射し得る単一の光源と、該光源に対して、前記複数のコヒーレント光のうち選択的にいずれか1つを出射させる制御を施す制御手段とにより構成されているものであってもよいし、または、前記各コヒーレント光を各別に出射する複数の光源により構成されているものであってもよい。
【0049】
上記第3の方法に対応する光吸収特性検出手段として、
互いに波長の異なる複数の超短パルス光を出射する光源装置と、
該超短パルス光を眼球に入射せしめ、該眼球の角膜と前眼房との境界面による該超短パルス光の第1の後方散乱光の強度、および前眼房と水晶体との境界面による該超短パルス光の第2の後方散乱光の強度を時系列的に各別に求める光時間領域後方散乱測定手段と、
前記第1および第2の後方散乱光の強度に基づいて前記前眼房を満たす眼房水成分の光吸収特性を求める光吸収特性分析手段とを備えたもの。
【0050】
また上記光源装置は、前記複数の超短パルス光のうちいずれか1つを選択的に出射し得る単一の光源と、該光源に対して、前記複数の超短パルス光のうち選択的にいずれか1つを出射させる制御を施す制御手段とにより構成されているものであってもよいし、または、前記各超短パルス光を各別に出射する複数の光源により構成されているものであってもよい。
【0051】
なお本発明のグルコース濃度測定装置により求められた眼房水成分中のグルコース濃度と予め例えば侵襲的に得た血中グルコース濃度との相関を示すテーブルを備え、上記グルコース濃度測定装置により求められた眼房水成分中のグルコース濃度および前記テーブルに基づいて、前記血中グルコース濃度を非侵襲的に求めるようにしてもよい。
【0052】
【発明の効果】
本発明のグルコース濃度測定方法および本発明のグルコース濃度測定装置によれば、眼房水の温度分布を検出し、眼球に照射した光の反射光から得られた眼房水の吸光度を、眼房水の温度分布にしたがって補正したうえで、グルコース濃度の算出に適用することにより、外気温や体温の変動によるグルコース濃度測定の誤差を低減して、測定精度を実用レベルまで向上させることができる。
【0053】
眼房水の温度分布の求め方としては上述したように、(1)外気温および角膜表面温度を測定し、前眼房の深部体温および外気温ごとに予め設定された眼球の複数種類の温度分布と、前記測定された外気温および角膜表面温度とに基づいて、前記眼房水の温度分布を求める方法、または(2)外気温、角膜表面温度および前記前眼房の深部体温を測定し、測定された3つの温度に基づいて、例えば有限要素法により、眼房水の温度分布を求める方法、などを適用することができるが、(2)を適用した方が、より精度の高い温度分布を得ることができる。
【0054】
複数の光吸収特性の求め方として、上述した第1の方法、すなわち低コヒーレンスな光を用いる方法を適用した本発明の方法および装置、並びに上記第2の方法、すなわち周波数掃引されたコヒーレント光を用いる方法を適用した本発明の方法および装置によれば、光ヘテロダイン後方散乱測定法を用いることにより、まず角膜と前眼房の境界面による入射光の微弱な第1の後方散乱光IR2および前眼房と水晶体の境界面による入射光の微弱な第2の後方散乱光IR3を各別に精度よく検出することができる。
【0055】
ここで図2に示すように、眼球 200への入射光の強度をI0 、空気 300/角膜 210間の反射率をR1、角膜 210/前眼房 220間の反射率をR2、前眼房 220/水晶体 230間の反射率をR3、角膜 210による入射光の片光路の光学的吸収率をα1 、前眼房(眼房水) 220による入射光の片光路の光学的吸収率をα2 とすると、第1の後方散乱光の強度IR2、第2の後方散乱光の強度IR3は下記式(1),(2)のように表すことができる。なおここでは、測定される後方散乱光の強度から眼房水 220による入射光の片光路の光学的吸収率α2 を求める原理のみを説明するために、眼房水 220の温度分布を考慮しないものとする。
【0056】
Figure 0003731784
この精度よく検出された各後方散乱光IR2,IR3の比(IR3/IR2)を計算すると、
Figure 0003731784
となる。IR3,IR2,R3 ,R2 は既知であるから眼房水による入射光の片光路の光学的吸収率α2 を求めることができる。
【0057】
このように求められた光学的吸収率α2 は、眼球 200の温度分布が一定であることを前提としているため、上述した方法または手段で求められた眼球 200の温度分布にしたがって、上記光学的吸収率α2 は補正される。
【0058】
ここで眼房水にはグルコース以外にもNaClをはじめとして複数の成分が含まれているため、上記の作用を複数の波長の入射光について繰り返し行ない、多変量解析を含む公知な近赤外分光分析法を適用することにより、眼房水中のグルコースだけの濃度を従来よりも精度よく特定することができる。
【0059】
このようにして非侵襲的に得られた眼房水中のグルコース濃度と従来の侵襲的に得られた血中グルコース濃度との相関関係を例えば変換テーブル等として各患者ごとに予め準備しておくことにより、その後は血中グルコース濃度を測定することなく眼房水中のグルコース濃度を測定すればよく、患者に苦痛を与えずに繰り返し精度のよい測定を行なうことが可能となる。
【0060】
また、複数の光吸収特性の求め方として、上述した第3の方法、すなわち超短パルス光を用いる方法を適用した本発明の方法および装置によれば、第1の後方散乱光の強度および第2の後方散乱光の強度を図9に示すように時間的に分離して各別に測定することができ、この図9に示した波形を時間について積分することによりその光量、すなわち上記式(1)に示すIR2および式(2)に示すIR3を求めることができる。
【0061】
したがって式(3)により、眼房水による入射光の片光路の光学的吸収率α2 を求めることができる。
【0062】
このように求められた光学的吸収率α2 は、眼球 200の温度分布が一定であることを前提としているため、上述した方法または手段で求められた眼球 200の温度分布にしたがって、上記光学的吸収率α2 は補正される。
【0063】
そして本願の上記発明の場合と同様に、複数の波長の入射光について繰り返し行ない、多変量解析を含む公知な近赤外分光分析法により眼房水中のグルコース濃度を従来よりも精度よく特定することができる。
【0064】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を用いて説明する。
【0065】
図1は本発明のグルコース濃度測定方法を実施するための基本的な装置構成を示す図である。
【0066】
図示のグルコース濃度測定装置は、眼球 200に光を照射し、この光による眼球 200の前眼房 220(図2参照)内を満たす眼房水成分の光吸収特性(具体的には吸光度)を求め、この照射した光とは波長帯域の異なる他の複数の光を順次または同時に照射して上記と同様に眼房水成分の、各波長の光ごとに光吸収特性を求める光吸収特性検出手段10と、外気温、角膜外表面温度および鼓膜内部温度を計測して眼球 200の温度分布を求める温度分布検出手段70と、温度分布検出手段70により求められた温度分布に応じて、光吸収特性検出手段10により得られた複数の光吸収特性のそれぞれを補正する補正手段80と、補正手段80により補正された各光吸収特性に基づいて、眼房水成分中のグルコース濃度を求めるグルコース濃度算出手段90とを備えた構成である。
【0067】
ここで、光吸収特性検出手段10は、眼球 200に照射される各光について、図2に示す、照射した光(強度I0 )の前眼房 220と水晶体 230との境界面R3 による反射光の強度(強度IR3)により、前眼房 220を満たす眼房水による光の吸光度を求めるものであり、眼球 200からの反射光のうち、境界面R3 による反射光と角膜 210と前眼房 220との境界面R2 での反射光(強度IR2)とを分離して検出するものである。より具体的には、光ヘテロダインを適用した検出手法や時間軸上での分離検出手法を適用することができる。
【0068】
図3に、光吸収特性検出手段10として光ヘテロダインを適用した実施形態のグルコース濃度測定装置を示し、以下、この実施形態について説明する。
【0069】
図示のグルコース濃度測定装置 101は、光源装置と、光源装置から出射された光を伝搬する伝搬手段と、この伝搬される光を眼球 200に照射する光と光ヘテロダイン検出の参照光とにその光路を分割する光路分割手段および眼球 200空の反射光と参照光とを合波する合波手段としての偏波面保存カプラー18と、眼球 200に照射する光の周波数をシフトする周波数変調器19と、参照光の光路長を変化させる光路長調整手段としての移動台25と、偏波面保存カプラー18で合波された光を検出する光検出器28a 〜28e と、外気温、眼球 200の角膜 210外表面温度および鼓膜内部の体温(深部体温)を計測する放射温度計30と、光検出器28a 〜28e により検出された光強度に基づいて、眼房水成分の吸光度を照射光の波長ごとに求め、かつ放射温度計30により求められた温度分布に応じて、上記眼房水の吸光度をそれぞれ補正し、さらにこの補正された各光吸収特性に基づいて、眼房水成分中のグルコース濃度を算出する信号処理回路31と、この算出結果を表示する表示装置32とを備えた構成である。
【0070】
ここで、光源装置としては、中心波長がλ1であって波長帯域の広い低コヒーレンスな光を出射するSLD11a ,中心波長がλ2であって波長帯域の広い低コヒーレンスな光を出射するSLD11b ,…,中心波長がλe であって波長帯域の広い低コヒーレンスな光を出射するSLD11e という5つの光源からなり、このうちの1つは、前眼房 220の光軸方向の物理長と強い相関関係を有する光(例えば、波長1790〜1820nmまたは2230〜2250nmの光)を出射する。さらに、眼房水の温度に依存しない波長の光を出射する光源も含まれている。
【0071】
伝搬手段としては、各光源11a ,…,11e から出射された各光を反射し合波ミラー12およびダイクロイックミラー13b 〜13e と、合波された光(以下、合波光)の進行方向を変えるミラー14と、合波光を直線偏光の光とする1/2波長板(以下、λ/2板)15と、この直線偏光の光を第1の偏波面保存ファイバー17a に入射せしめるレンズ16と、偏波面保存カプラー18に接続された、入射した光の偏波面を保存して伝搬する第1〜第4の偏波面保存ファイバー17a 〜17d と、第2の偏波面保存ファイバー17b から出射した光(信号光)をコリメートするレンズ20と、直線偏光の光を円偏光の光とする1/4波長板(以下、λ/4板)21と、円偏光の光を眼球 200に照射するレンズ22と、第3の偏波面保存ファイバー17c から出射された光(参照光)をコリメートするレンズ20と、直線偏光の参照光を円偏光の光とするλ/4板21と、参照光を反射する参照鏡24と、円偏光の参照光を参照鏡24に照射するレンズ23と、第4の偏波面保存ファイバー17d から出射した光をコリメートするレンズ16と、λ/2板15と、光の進行方向を変えるミラー14と、波長帯域ごとに光路を分割するダイクロイックミラー26b 〜26e およびミラー12と、このダイクロイックミラーで光路を分割された各光を光検出器28a ,…,28e にそれぞれ集光するレンズ27a ,…,27e とを備えた構成である。
【0072】
偏波面保存カプラー18は、その名称が示す通り、入射した光の偏波面を保存して光を分割または合波し、出射する機能を有する。
【0073】
周波数変調器19は第2の偏波面保存ファイバー17b に設けられ、このファイバー17b を伝搬する光の周波数を1Hz(変調周波数は1Hzに限るものではない)だけシフトさせる。
【0074】
参照鏡24およびレンズが設置された移動台25は、これらの光軸方向に移動自在とされている。
【0075】
放射温度計30は鼓膜内部の体温(深部体温)を計測するとともに、眼球からの反射光の光路上に配されたビームスプリッターにより分光して得た光に基づいて角膜外表面の温度を計測する。
【0076】
ここで図3に示した実施形態のグルコース濃度計測装置 101は、信号処理回路31が、図1に示した光吸収特性検出手段10の一部機能、補正手段80の機能およびグルコース濃度算出手段90の機能を有する。
【0077】
次に本実施形態のグルコース濃度測定装置 101の作用について説明する。
【0078】
まず、各低コヒーレンス光源11a (波長λ1)〜11e (波長λ5)から出射した各低コヒーレンス光は、ミラー12およびダイクロイックミラー13b 〜13e で合波される。
【0079】
合波された光はミラー14でその進行方向が変えられ、λ/2板15に入射し直線偏光とされる。この直線偏光光は、レンズ16で第1の偏波面保存ファイバー17a に入射する。入射した光は偏波面を保存しつつファイバー中を伝搬し、偏波面保存カプラー18に入射する。
【0080】
偏波面保存カプラー18は入射した光の偏波面を保存しつつ、この光を、参照鏡24へ進む光(参照光)と眼球 200に進む光(信号光)とに分割する。すなわち、信号光は第2の偏波面保存ファイバー17b に入射し、一方、参照光は第3の偏波面保存ファイバー17c に入射する。
【0081】
第2の偏波面保存ファイバー17b に入射した光は、その光路上に設けられた周波数変調器19で変調され、その周波数が1Hzだけシフトされる。
【0082】
この周波数変調された直線偏光光は第2の偏波面保存ファイバー17a から出射され、レンズ20で平行光とされ、λ/4板21で円偏光とされ、レンズ22で角膜 210と眼房水 220との境界面R2 および眼房水 220と水晶体 230との境界面R3 にフォーカスされる。フォーカスされた光は境界面R2 で第1の後方散乱光として反射され、一方、境界面R3 で第2の後方散乱光として反射される。
【0083】
両後方散乱光は再ぴレンズ22、λ/4板21およびレンズ20を通過し、第2の偏波面保存ファイバー17b に入射する。
【0084】
この両後方散乱光は反射により逆方向の偏光面になっているので、λ/4板21通過後は、元の偏光面に対して90度回転した状態となる。
【0085】
参照鏡24に進んだ参照光は第3の偏波面保存ファイパー17c から出射され、レンズ20で平行光とされる。さらにこの参照光はλ/4板21で円偏光とされ、レンズ23で参照鏡24にフォーカスされる。参照鏡24による反射光は再度レンズ23およびλ/4板21を通過する。
【0086】
反射光は反射により逆方向の偏光面になっているので、λ/4板21通過後は、元の偏光面に対して90度回転した状態となる。そしてこの反射光はレンズ20により第3の偏波面保存ファイバー17c に入射する。
【0087】
第2の偏波面保存ファイバー17b を戻る第1および第2の後方散乱光と、第3の偏波面保存ファイバー17c を戻る参照光とは、偏波面保存カプラー18により検出側ファイパーである第4の偏波面保存ファイバー17d に入射され、合波される。
【0088】
第4の偏波面保存ファイバー17d を伝搬した光はファイパー17d から出射し、レンズ16で平行光とされる。この光は偏光方向が90度回転しており、λ/2板15を通過する。一方、第1の偏波面保存ファイバー17a から入射した照射光は偏光面が一致しないので、λ/2板15を通過しない。
【0089】
λ/2板15を通過した光は、ミラー14でその進行方向が変えられ、ダイクロイックミラー26e 〜26b およびミラー12により分波され、各レンズ27a 〜27e により各光検出器28a 〜28e に集光される。
【0090】
各光検出器28a 〜28e からは入射した光の強度がDC信号として出カされる。
【0091】
ここで、眼球 200の境界面R2 による第1の後方散乱光または境界面R3 による第2の後方散乱光と、参照鏡24からの反射光である参照光との、光源からの光路長が一致すると、検出器には1Hzの周波数のAC信号(干渉信号)が検出される。
【0092】
参照鏡24およびレンズ23は移動台25により光軸方向に移動可能であるところ、この移動により参照光の光路長は可変となっている。そこで、移動台25の位置を移動して参照光側の光路長を調整することにより、参照光と干渉する後方散乱光を選択することができる。
【0093】
すなわち、参照光側の光路長を第1の後方散乱光の光路長に一致させれば、参照光は第1の後方散乱光とのみ干渉し、その干渉光がAC信号として検出され、一方、参照光側の光路長を第2の後方散乱光の光路長に一致させれば、参照光は第2の後方散乱光とのみ干渉し、その干渉光がAC信号として検出される。
【0094】
またこの間の移動台25の移動距離に基づいて、各波長での眼房水の光学的光路長を求める。すなわち、眼房水の屈折率は光の波長ごとに異なるため、光学的光路長も波長ごとに異なる。
【0095】
上述した光検出器28a 〜28e により検出された各波長ごとのAC信号に基づいて、信号処理回路31が光ヘテロダイン検出処理を行うことにより、各波長ごとの、眼房水の吸光度が求められる。
【0096】
次に、放射温度計30により、角膜 210外表面温度または眼球 200近傍皮膚表面温度、および鼓膜温度が測定される。この測定された各温度に基づいて、信号処理回路31が、有限要素法等により、眼球 200の温度分布を算出する。
【0097】
次いで、前眼房(眼房水)の物理長と強い相関関係がある波長の吸光度に基づいて、眼房水の物理長を求める。このとき計算に使用した波長の光の吸光度、眼房水の成分変化による影響は小さい。
【0098】
求められた物理長および光学的光路長に基づいて、信号処理回路31が、各波長による眼房水の屈折率を算出する。算出された屈折率は眼房水中に存在する温度分布の平均値に等しい。
【0099】
(屈折率)=(光学的光路長)/(物埋長)
屈折率は、数度の温度範囲においては略線形に変化するため、信号処理回路31は、算出された屈折率を、上記眼球 200の温度分布から得られる各境界面R2 、R3 における温度で補正を行う。このときの補正係数は予め設定されている。
【0100】
次に、温度補正された各波長ごとの屈析率を適用して、信号処理回路31は、各波長での各境界面(空気 300/角膜 210間、角膜 210/前眼房 220間、前眼房 220/水晶体 230間)における各反射率R1、R2、R3を計算し、既に測定されている吸光度からこの反射率に応じた反射率分を差し引く。求められた吸光度は温度変化分を含むので、信号処理回路31が温度補正を行う。
【0101】
吸光度の温度依存性は、想定される温度範囲では線形である。従って、得られた屈折率を各境界面R2 、R3 における温度で補正を行う。温度係数は、各波長ごとの温度と吸光度とを対応させたルックアップテーブルや関数(例えば図4参照:温度32度および36度のときの、温度34度における吸光度との差を示すグラフ)を予め信号処理回路31に記憶させておいて、これを参照することにより求められる。
【0102】
このようにして求められた、温度補正された各波長の光に対する吸光度に基づいて、信号処理回路31が、予め設定された、吸光度とグルコース濃度との対応関係を参照して、眼房水成分グルコース濃度を算出する。
【0103】
そして、この算出された中のグルコース濃度は表示装置32に出力され、表示装置32に表示される。
【0104】
このように本実施形態のグルコース濃度測定装置によれば、眼房水中のグルコース濃度を非侵襲的に測定することができるとともに、外気温や体温の変動に追従する補正処理を行うことにより、外気温や体温の変動があっても精度よくグルコース濃度を求めることができる。
【0105】
なお、このようにして得られた眼房水中のグルコース濃度は、予め各患者ごとに上記装置で求めた眼房水中のグルコース濃度と従来の侵襲的に得た血中グルコース濃度との相関関係を例えば変換テーブル等として、信号処理回路31に記憶せしめておき、患者の眼房水中グルコース濃度が算出されたときに、記憶されている血中グルコース濃度との相関関係に基づいて、血中グルコース濃度を算出するようにしてもよい。
【0106】
図5は本発明のグルコース濃度測定装置の第2の実施形態を示す図である。
【0107】
図示のグルコース濃度測定装置も、図1に示した本発明のグルコース濃度測定方法を実施する装置の基本的な構成において、光吸収特性検出手段10として光ヘテロダイン検出処理を適用した実施形態であり、以下、この実施形態について説明する。
【0108】
図示のグルコース濃度測定装置 102は、光源装置と、光源装置から出射された光を伝搬する伝搬手段と、偏波面保存カプラー18′と、伝搬手段を構成するλ/4板21で合波された光を検出する光検出器28と、外気温、眼球 200の角膜 210外表面温度および鼓膜内部の体温(深部体温)を計測して眼球 200の温度分布を検出する温度分布検出手段70と、光検出器28により検出された光強度に基づいて、眼房水成分の吸光度を照射光の波長ごとに求め、かつ温度分布検出手段70により求められた温度分布に応じて、上記眼房水の吸光度をそれぞれ補正し、さらにこの補正された各光吸収特性に基づいて、眼房水成分中のグルコース濃度を算出する信号処理回路40と、この算出結果を表示する表示装置32とを備えた構成である。
【0109】
ここで、光源装置としては、周波数fnのレーザー光を図6に示すように一定の周波数帯域で時間的に鋸歯状に掃引して出射する周波数掃引レーザー光源11A 〜11E が適用される。なお、各光源11A 〜11E から順次出射されるレーザー光の周波数帯域は互いに相違するものである。
【0110】
なお、本実施形態においてはコヒーレント光の一形態としてレーザー光を適用したものについて説明するが、本実施形態のグルコース濃度測定装置においてはコヒーレント光であれば、特にレーザー光に限るものではない。
【0111】
伝搬手段としては、各光源11A ,…,11E から順次に出射された各光を反射または透過させるミラー12およびダイクロイックミラー13B 〜13E と、この光の進行方向を変えるミラー14と、光を直線偏光の光とするλ/2板15と、この直線偏光光を第1の偏波面保存ファイバー17a に入射せしめるレンズ16と、偏波面保存カプラー18に接続された、入射した光の偏波面を保存して伝搬する第1〜第3の偏波面保存ファイバー17A 〜17C と、第2の偏波面保存ファイバー17B から出射した光をコリメートするレンズ20と、直線偏光の光を円偏光の光として通過させるとともにその一部を反射するλ/4板21と、円偏光の光を眼球 200に照射するレンズ22と、第3の偏波面保存ファイバー17C から出射した光をコリメートするレンズ16と、λ/2板15と、光の進行方向を変える2つのミラー14と、進行方向を変えられた光を光検出器28に集光するレンズ27とを備えた構成である。
【0112】
ここで図5に示した実施形態のグルコース濃度計測装置 102は、信号処理回路40が、図1に示した光吸収特性検出手段10の一部機能、補正手段80の機能およびグルコース濃度算出手段90の機能を有する。
【0113】
次に本実施形態のグルコース濃度測定装置 102の作用について説明する。
【0114】
まず光源11A から時刻t0 において、図6に示すように周波数が時間に対して掃引された照射光(出射時の周波数f0 )が出射される。
【0115】
この光はミラー12で反射され、ダイクロイックミラー13B 、13C 、13D 、13E を順次透過し、ミラー14で反射されて、λ/2板15を通過し、レンズ16により第1の偏波面保存ファイバー17A に入射される。
【0116】
第1の偏波面保存ファイバー17A を伝搬した光は、偏波面保存カプラー18′を介して第2の偏波面保存ファイバー17B に入射され、このファイバー17B 内を伝搬する。
【0117】
第2の偏波面保存ファイバー17B から出射した光は、レンズ20によりコリメートされ、λ/4板21を通過する。このときλ/4板21で光の一部は反射され、レンズ20により第2の偏波面保存ファイバー17B に再度導光される。
【0118】
一方、λ/4板21を通過した光は、レンズ22で角膜 210と眼房水 220との境界面R2 および眼房水 220と水晶体 230との境界面R3 にフォーカスされる。フォーカスされた光は境界面R2 で第1の後方散乱光として反射され、一方、境界面R3 で第2の後方散乱光として反射される。
【0119】
両後方散乱光は再ぴレンズ22、λ/4板21およびレンズ20を通過し、第2の偏波面保存ファイバー17b に入射する。
【0120】
ここで各後方散乱光がλ/4板21を通過するときの様子について考察すると、第1の後方散乱光は、時刻t0 において光源11A から出射した周波数f0 の光によるものであるから、その周波数もまたf0 である。
【0121】
一方、光源11A からは周波数掃引レーザー光が連続的に出射されており、周波数f0 の第1の後方散乱光がλ/4板21を通過するときには、λ/4板21から境界面R2 までの距離の2倍の光路長を通過する時間Δtだけ時刻t0 から遅れて光源11A から出射された光(時刻t1 (=t0 +Δt)に出射した光:周波数f1 )がλ/4板21に到達する。そして、この遅れて到達した光のうち、λ/4板21で反射する光(周波数f1 )と第1の後方散乱光(周波数f0 )とが、λ/4板21において干渉する。
【0122】
この干渉光は、両光の周波数の差(f1 −f0 )を繰返し周波数とするビート信号となる。
【0123】
同様に、第2の後方散乱光も、時刻t0 において光源11A から出射した周波数f0 の光によるものであるから、その周波数もまたf0 である一方、この第2の後方散乱光がλ/4板21を通過するときに干渉する参照光は、λ/4板21から境界面R3 までの距離の2倍の光路長を通過する時間Δt′だけ時刻t0 から遅れて光源11A から出射された光(時刻t2 (=t0 +Δt′)に出射した光:周波数f2 )であるから、干渉光のビート信号の周波数は、(f2 −f0 )となる。
【0124】
これらの干渉光はレンズ20により第2の偏波面保存ファイバー17b に入射し、カプラー18を介して、第3の偏波面保存ファイバー17c から出射される。
【0125】
ファイバー17c から出射された干渉光はレンズ16によりコリメートされ、λ/2板15を通過して、ミラー14により反射され、レンズ27により光検出器28に集光されて検出される。
【0126】
光検出器28は検出した干渉光の強度のAC信号を信号処理回路40に入力し、信号処理回路40はその強弱の繰返し周波数を分析し、周波数の差に基づいて、第1の後方散乱光と第2の後方散乱光との各強度を算出する。
【0127】
以上と同様の作用を、各光源11B 〜11E から出射される周波数帯域の異なるレーザー光についても順次行い、複数の各後方散乱光の強度を得、これに基づいて、各周波数の光に対する眼房水の吸光度を信号処理回路40が求める。
【0128】
一方、温度分布検出手段70が、外気温、眼球 200の角膜 210外表面温度および鼓膜内部の体温(深部体温)を計測して眼球 200の温度分布を検出する。
【0129】
そして、信号処理回路40が、上記各周波数の光に対する眼房水の吸光度を、温度分布検出手段70により求められた温度分布に応じて補正し、得られた補正後の吸光度に基づいて、眼房水成分中のグルコース濃度を算出する。この算出された中のグルコース濃度は表示装置32に出力され、表示装置32に表示される。
このように本実施形態のグルコース濃度測定装置によれば、眼房水中のグルコース濃度を非侵襲的に測定することができるとともに、外気温や体温の変動に追従する補正処理を行うことにより、外気温や体温の変動があっても精度よくグルコース濃度を求めることができる。
【0130】
なお、このようにして得られた眼房水中のグルコース濃度は、予め各患者ごとに上記装置で求めた眼房水中のグルコース濃度と従来の侵襲的に得た血中グルコース濃度との相関関係を例えば変換テーブル等として、信号処理回路40に記憶せしめておき、患者の眼房水中グルコース濃度が算出されたときに、記憶されている血中グルコース濃度との相関関係に基づいて、血中グルコース濃度を算出するようにしてもよい。
【0131】
図7は本発明のグルコース濃度測定装置の第3の具体的な実施形態を示す図である。
【0132】
図示のグルコース濃度測定装置は、図1に示した本発明のグルコース濃度測定方法を実施する装置の基本的な構成において、光吸収特性検出手段10として、第1の後方散乱光と第2の後方散乱光とを、超短パルス光を用いた時間軸上で分離検出することにより眼房水の光吸収特性を検出する、光時間領域後方散乱測定処理を適用した実施形態であり、以下、この実施形態について説明する。
【0133】
図示のグルコース濃度測定装置 103は、超短パルス光を出射する光源装置と、光源装置から出射された光を伝搬する伝搬手段と、眼球 200の各境界面で反射された超短パルス光の反射光を検出する光検出器50と、外気温および眼球 200の角膜 210外表面温度を測定し、前眼房 220の深部体温および外気温ごとに予め設定された眼球の複数種類の図8に示すような温度分布並びに測定された外気温および角膜表面温度とに基づいて眼房水の温度分布を求める温度分布検出手段70′と、光検出器50により検出された光強度に基づいて、眼房水成分の吸光度を照射光の波長ごとに求め、かつ温度分布検出手段70′により求められた温度分布に応じて、上記眼房水の吸光度をそれぞれ補正し、さらにこの補正された各光吸収特性に基づいて、眼房水成分中のグルコース濃度を算出する信号処理回路60と、この算出結果を表示する表示装置32とを備えた構成である。
【0134】
ここで、光源装置としては、波長λ1の超短パルス光を出射するTi:サファイアレーザー光源(以下、単に光源という)11a ′,波長λ2の超短パルス光を出射する光源11b ′,…,波長λ5の超短パルス光を出射する光源11e ′を備えてなる。超短パルス光とは、例えばフェムト秒〜ピコ秒という極めて短い時間だけ発光するパルス状の光を意味する。
【0135】
伝搬手段としては、各光源11a ′,…,11e ′から順次に出射された各光を反射または透過させるミラー12およびダイクロイックミラー13b 〜13e と、この光の進行方向を変えるミラー14と、光をコリメートするレンズ16と、コリメートされた光を眼球 200に照射するレンズ20と、眼球200からの反射光を反射せしめるビームスプリッター33と、ビームスプリッター33で反射された光を波長ごとに分波するダイクロイックミラー26b ,…,26e およびミラー12と、分波された各光を光検出器50に集光するレンズ27a ,…,27e とを備えた構成である。
【0136】
ここで図7に示した実施形態のグルコース濃度計測装置 103は、信号処理回路60が、図1に示した光吸収特性検出手段10の一部機能、補正手段80の機能およびグルコース濃度算出手段90の機能を有する。
【0137】
温度分布検出手段70′には、予め実験的、経験的または理論的に求められた、図8に示すような、深部体温(眼底温度)および外気温ごとの、眼球 200の温度分布(角膜外表面からの距離(横軸)と温度(縦軸)との対応関係)が記憶されている。図8に示すものは、深部体温が36.5℃の場合の、外気温10℃、15℃、20℃、25℃、30℃ごとの眼球の温度分布を示すものであり、この他に、深部体温が35.0℃、35.5℃、36.0℃、37.0℃、37.5℃、38.0℃のものも同様に予め設定され記憶されている。そして、測定された外気温および角膜表面温度から、これらの温度分布の中から対応する温度分布を選択し、あるいはこれらの各温度分布により補外(外挿)して、温度分布が求められる。
【0138】
光検出器50は、集光される光を図9に示すように時間的に分離して各別に測定することができるストリークカメラ等が適用され、このように時間的に分離して検出された各後方散乱光の強度を、信号処理回路60が時間について積分することによりその光量が算出される。
【0139】
次に本実施形態のグルコース濃度測定装置の作用について説明する。
【0140】
まず光源11a ′から波長λ1の超短パルス光が出射される。出射された波長λ1の超短パルス光は、ミラー12およびミラー14で反射され、レンズ16により平行光とされてビームスプリッター33に入射し、レンズ20により角膜 210と眼房水 220との境界面R2 および眼房水 220と水晶体 230との境界面R3 にフォーカスされる。フォーカスされた光は境界面R2 で第1の後方散乱光として反射され、一方、境界面R3 で第2の後方散乱光として反射される。
【0141】
両後方散乱光は再ぴレンズ20に入射して平行光とされ、ビームスプリッター33で反射されて、各ダイクロイックミラー26e ,…,26b を透過し、ミラー12で反射されて、レンズ27a により光検出器50に検出される。
【0142】
ここで、眼球 200に入射した光は超短パルス光であり、その発光時間は、当該光が角膜 210を往復するのに要する時間に対して十分短いため、第1の後方散乱光と第2の後方散乱光とは、その発光時間に対して十分な時間差をもって順次各別に光検出器50に到達する。
【0143】
光検出器50は、この順次に到達する第1の後方散乱光と第2の後方散乱光とを、時間分解して検出する。光検出器50により時間分解されて時系列的に各別に検出された参照光の強度および各後方散乱光の強度の様子を図9に示す。なお、眼球 200による後方散乱光は、図9にも示したように、空気 300と角膜 210との境界面によるものも含まれるが、ここでは、その説明を省略した。
【0144】
光検出器50はこのように時間的に分離して検出した各光の強度を信号処理回路60に入力し、信号処理回路60は時間についての検出強度を積分することにより、各後方散乱光の光量が算出される。
【0145】
以上と同様の作用を、各光源11b ′〜11e ′から出射される周波数帯域の異なる超短パルス光についても順次行い、複数の各後方散乱光の強度を得、これに基づいて、各周波数の光に対する眼房水の吸光度を信号処理回路60が求める。
【0146】
一方、温度分布検出手段70′が、外気温および眼球 200の角膜 210外表面温度を計測し、予め記憶されている、深部体温および外気温ごとの、眼球 200の温度分布および計測された外気温および角膜 210外表面温度に基づいて、眼球 200の温度分布を算出する。
【0147】
そして、信号処理回路60が、上記各周波数の光に対する眼房水の吸光度を、温度分布検出手段70′により求められた温度分布に応じて補正し、得られた補正後の吸光度に基づいて、眼房水成分中のグルコース濃度を算出する。
【0148】
そして、この算出された中のグルコース濃度は表示装置32に出力され、表示装置32に表示される。
【0149】
このように本実施形態のグルコース濃度測定装置によれば、眼房水中のグルコース濃度を非侵襲的に測定することができるとともに、外気温や体温の変動に追従する補正処理を行うことにより、外気温や体温の変動があっても精度よくグルコース濃度を求めることができる。
【0150】
なお、このようにして得られた眼房水中のグルコース濃度は、予め各患者ごとに上記装置で求めた眼房水中のグルコース濃度と従来の侵襲的に得た血中グルコース濃度との相関関係を例えば変換テーブル等として、信号処理回路40に記憶せしめておき、患者の眼房水中グルコース濃度が算出されたときに、記憶されている血中グルコース濃度との相関関係に基づいて、血中グルコース濃度を算出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のグルコース濃度測定方法を実施するための基本的な装置構成を示す図
【図2】眼球への入射光と後方散乱光との関係を示す図
【図3】図1に示したグルコース濃度測定装置のより具体的な実施形態を示す図
【図4】各波長の光の、吸光度の温度依存性の一例を示す図
【図5】図1に示したグルコース濃度測定装置の第2のより具体的な実施形態を示す図
【図6】周波数掃引の様子を示すグラフ
【図7】図1に示したグルコース濃度測定装置の第3のより具体的な実施形態を示す図
【図8】深部体温が36.5℃の場合の、外気温10℃、15℃、20℃、25℃、30℃ごとの眼球の温度分布を示す
【図9】時間分解可能の光検出器により検出された各光の強度の概念を示すグラフ
【符号の説明】
10 光吸収特性検出手段
70 温度分布検出手段
80 補正手段
90 グルコース濃度算出手段
100 グルコース濃度測定装置
200 眼球

Claims (6)

  1. 眼球に光を照射し、この光による該眼球の前眼房内を満たす眼房水成分の光吸収特性を求め、前記光とは波長帯域の異なる他の複数の光により同様に前記眼房水成分の光吸収特性を求める光吸収特性検出手段と、該光吸収特性検出手段により得られた複数の光吸収特性に基づいて前記眼房水成分中のグルコース濃度を求めるグルコース濃度算出手段とを備えたグルコース濃度測定装置において、
    前記前眼房内における前記眼房水の温度分布を求める温度分布検出手段と、
    前記温度分布検出手段により求められた温度分布に応じて、前記各光吸収特性を補正する補正手段とをさらに備え、
    前記グルコース濃度算出手段が、前記補正手段により補正された各光吸収特性に基づいて前記眼房水成分中のグルコース濃度を求めるものであることを特徴とするグルコース濃度測定装置。
  2. 前記温度分布検出手段が、
    外気温および角膜表面温度を測定し、前記前眼房の深部体温および外気温ごとに予め設定された眼球の複数種類の温度分布と、前記測定された外気温および角膜表面温度とに基づいて、前記眼房水の温度分布を求めるものであることを特徴とする請求項記載のグルコース濃度測定装置。
  3. 前記温度分布検出手段が、
    外気温、角膜表面温度および前記前眼房の深部体温を測定し、前記測定された3つの温度に基づいて、前記眼房水の温度分布を求めるものであることを特徴とする請求項記載のグルコース濃度測定装置。
  4. 前記光吸収特性検出手段が、
    互いに発光波長帯域の異なる複数の低コヒーレンスな光を出射する光源装置と、
    該光源装置から出射された低コヒーレンスな光を互いに異なる2つの光路に沿って各別に進行する参照光と眼球に入射される信号光とに分割する光路分割手段と、
    該信号光と参照光とで僅かな周波数差が生じるように両光のうち少なくとも一方を変調する、該少なくとも一方の光路上に設けられた変調手段と、
    前記参照光が進行する光路の長さを調整する光路長調整手段と、
    前記眼球の角膜と前眼房との境界面による信号光の第1の後方散乱と前記参照光、および、前記眼球の前眼房と水晶体との境界面による前記信号光の第2の後方散乱光と前記参照光とを、それぞれ波面整合させる波面整合手段と、
    前記参照光と前記第1の後方散乱光との波面整合による第1の干渉光および前記参照光と前記第2の後方散乱光との波面整合による第2の干渉光の強度を光電的に検出する光検出器と、
    該各干渉光の強度に基づいて前記第1および第2の後方散乱光の強度を求めるヘテロダイン演算手段と、
    前記第1および第2の後方散乱光の強度に基づいて前記前眼房を満たす眼房水成分の光吸収特性を求める光吸収特性分析手段とを備えたものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載のグルコース濃度測定装置。
  5. 前記光吸収特性検出手段が、
    時間的に鋸歯状に周波数掃引された、互いに波長の異なる複数のコヒーレント光を出射する光源装置と、
    該光源装置から出射された周波数掃引されたコヒーレント光を互いに異なる2つの光路に沿って各別に進行する参照光と眼球に入射される信号光とに分割する光路分割手段と、
    前記眼球の角膜と前眼房との境界面による前記信号光の第1の後方散乱光と、前記信号光および前記第1の後方散乱光と前記参照光との光路長差に基づく時間差をもって前記光源から出射した、前記第1の後方散乱光とは周波数差を有するコヒーレント光による前記参照光とを、および、前記眼球の前眼房と水晶体との境界面による前記信号光の第2の後方散乱光と、前記信号光および前記第2の後方散乱光と前記参照光との光路長差に基づく時間差をもって前記光源から出射した、前記第2の後方散乱光とは周波数差を有するコヒーレント光による前記参照光とを、それぞれ波面整合させる波面整合手段と、
    前記第1の後方散乱光と該第1の後方散乱光に対して僅かな周波数差を有する参照光との波面整合により得られた第1の干渉光、および前記第2の後方散乱光と該第2の後方散乱光に対して僅かな周波数差を有する参照光との波面整合により得られた第2の干渉光の強度を光電的に検出する光検出器と、
    該各干渉光の強度に基づいて前記第1および第2の後方散乱光の強度を求めるヘテロダイン演算手段と、
    前記第1および第2の後方散乱光の強度に基づいて前記前眼房を満たす眼房水成分の光吸収特性を求める光吸収特性分析手段とを備えたものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載のグルコース濃度測定装置。
  6. 前記光吸収特性検出手段が、
    互いに波長の異なる複数の超短パルス光を出射する光源装置と、
    該超短パルス光を眼球に入射せしめ、該眼球の角膜と前眼房との境界面による該超短パルス光の第1の後方散乱光の強度、および前眼房と水晶体との境界面による該超短パルス光の第2の後方散乱光の強度を時系列的に各別に求める光時間領域後方散乱測定手段と、
    前記第1および第2の後方散乱光の強度に基づいて前記前眼房を満たす眼房水成分の光吸収特性を求める光吸収特性分析手段とを備えたものであることを特徴とする請求項1から3うちいずれか1項に記載のグルコース濃度測定装置。
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