JP3731570B2 - 空気調和機の加湿ユニットおよび空気調和機 - Google Patents

空気調和機の加湿ユニットおよび空気調和機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は空気調和機の加湿ユニットおよび空気調和機に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、エアコン等の空気調和機において、室外の空気から水分を取り込みその水分を用いて加湿した空気を室内へと送る加湿ユニットを備えるものが登場してきている。そして、このような加湿ユニットの中には、加湿部材を用いて室内へと送られる空気を加湿するものがある。この加湿部材は、加熱されることにより含有する水分を脱着するようなゼオライト等の多孔質の吸湿性材料で構成されるものである。この加湿ユニットは、例えば以下のようにして室内の加湿を行う。
【0003】
まず、加湿ユニットは、空気中の水分を加湿部材に吸着させる。そして、加湿ユニットは、室外から取り入れた空気を加熱部によって加熱し、この加熱空気を加湿部材へと送る。加湿部材は加熱空気により加熱されて水分を空気中へ脱着させる。加湿ユニットは、その脱着させた水分を含んだ空気を室内に送ることで、室内を加湿する。
【0004】
このように加湿部材を用いて室内の加湿を行う場合、加湿部材から水分を脱着させるために十分な温度まで加湿部材を通る空気を加熱する必要がある。従って、室外から取り入れた空気の温度が低いほど、加熱のために必要な熱量が大きくなり、加熱部の負荷が大きくなる。特に、加湿機能が必要とされるのは空気が乾燥する冬場が多いが、冬場には室外の温度が低いため、水分を脱着させるために十分な温度まで空気を加熱すると、加熱部の負荷が他の季節よりもさらに大きくなる。
【0005】
このため、特開2002−98373号公報において、加熱部の負荷を低減することができる空気調和機が提案されている。この空気調和機は、室外機(室外ユニット)に加湿ユニット(加湿装置)を収容しており、室外機には圧縮機や電装品等が収容される機械室が備えられている。そして、この空気調和機は、機械室を経由して予熱された空気を加熱部(ヒータ)の上流側に吸込ませている。
【0006】
このような空気調和機によれば、加熱部へと送られる空気が機械室を経由して圧縮機や電装品等により予熱されるため、加熱部の負荷を低減させることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように機械室を経由させることにより空気を予熱する場合、室外機に取り込まれた空気が加熱部に到るまでの経路が長くなることが多い。このため、十分な量の空気を取り込んで室内へと送ることが困難となる。従って、このような空気調和機では、十分な風量を確保することが困難となる恐れがある。
【0008】
本発明の課題は、十分な風量を確保しつつ加熱部の負荷を低減させることができる加湿ユニットおよび空気調和機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の空気調和機の加湿ユニットは、室外に設置される室外機に備えられる加湿ユニットであって、ケーシングと加熱部と加湿部材と送風部と駆動装置とを備える。ケーシングは、室外から取り込まれる空気が通る第1吸気口および第2吸気口を有する。加熱部は、室外から取り込まれた空気を加熱する。加湿部材は、加熱された空気が通ることにより含有する水分を空気中へと脱着可能である。送風部は、第1吸気口から加湿部材を経て室内へと到る空気の流れを生成する。駆動装置は、送風部を駆動する。そして、第1吸気口は、室外から取り込まれた空気が駆動装置の近傍を通った後に加熱部によって加熱されるように設けられる。また、第2吸気口は、加熱部の近傍に設けられ、室外から第2吸気口を通って取り込まれた空気が加熱部によって加熱されるように設けられる。
【0010】
この加湿ユニットでは、駆動装置の近傍を通ることにより予熱された空気が加熱部で加熱される。この駆動装置は、第1吸気口から前記加湿部材を経て室内へと到る空気の流れを生成する送風部を駆動するため、消費エネルギーが比較的大きく、発熱量も大きい。このため、加湿部材から水分を脱着させるために十分な温度にまで室外から取り入れた空気を加熱するために必要な熱量を減少させることができる。また、第1吸気口が加湿ユニットのケーシングに設けられているため、加湿ユニット外に設けられた吸気口から空気を取り込む場合よりも容易に加湿ユニット内に空気を取り込むことができる。これにより、この加湿ユニットでは、十分な風量を確保しつつ加熱部の負荷を低減させることができる。また、この加湿ユニットでは、第1吸気口と第2吸気口とから室外の空気を取り入れることができる。第2吸気口は加熱部の近傍に設けられているため、加熱部により加熱される空気を第2吸気口からより多く取り入れることができる。このため、この加湿ユニットでは、第1吸気口から取り入れた空気を予熱して加熱部の負荷を減少させることができるとともに、第2吸気口からも空気を取り入れることにより、さらに十分な風量を確保することができる。
【0011】
請求項2に記載の空気調和機の加湿ユニットは、請求項1の空気調和機の加湿ユニットであって、加熱部は、ヒータカバーと、その内部に収容されたヒータ本体とを有している。第1吸気口は、室外から取り込まれた空気が駆動装置およびヒータカバーの近傍を通った後に加熱部によって加熱されるように設けられる。
この加湿ユニットでは、駆動装置の近傍およびヒータカバーの近傍を通ることにより予熱された空気が加熱部で加熱される。このため、加湿部材から水分を脱着させるために十分な温度にまで室外から取り入れた空気を加熱するために必要な熱量を減少させることができる。
【0012】
請求項3に記載の空気調和機の加湿ユニットは、請求項2に記載の加湿ユニットであって、第1吸気口および第2吸気口は、第1吸気口から取り込まれ駆動装置の近傍およびヒータカバーの近傍を通った後の空気と、第2吸気口から取り込まれた空気とが合流した後に加熱部によって加熱されるように設けられる。
この加湿ユニットでは、駆動装置の近傍およびヒータカバーの近傍を通ることにより予熱された空気が加熱部で加熱される。このため、加湿部材から水分を脱着させるために十分な温度にまで室外から取り入れた空気を加熱するために必要な熱量を減少させることができる。
【0013】
また、第2吸気口は加熱部の近傍に設けられているため、取り込まれてから加熱部へ到るまでの経路が比較的短い。このため、この加湿ユニットでは、空気を加熱部まで取り込みやすくなっており十分な風量を確保することができる。
【0014】
請求項4に記載の空気調和機の加湿ユニットは、請求項3に記載の加湿ユニットであって、第2吸気口は、加熱部に近いケーシングの背面に設けられ、第1吸気口は、駆動装置に近いケーシングの側面に設けられる。
この加湿ユニットでは、ケーシングの側面に設けられた第1吸気口から取り入れられた空気が駆動装置により予熱される。そして、予熱された空気は、ケーシングの背面に設けられた第2吸気口から吸込まれた空気とともに加熱部により加熱される。これにより、この加湿ユニットでは、加熱部の負荷を低減させると共に、第2吸気口からも空気を取り入れることにより、さらに十分な風量を確保することができる。
【0015】
請求項5に記載の空気調和機は、室内に配置される室内機と、室外に配置される室外空調ユニットと、室外空調ユニットと共に室外に配置される請求項1から4のいずれかに記載の加湿ユニットとを備える。
この空気調和機は、加湿ユニットにおいて、駆動装置の近傍を通ることにより予熱された空気が加熱部で加熱される。このため、加湿部材から水分を脱着させるために十分な温度にまで室外から取り入れた空気を加熱するために必要な熱量を減少させることができる。また、第1吸気口が加湿ユニットのケーシングに設けられているため、室外空調ユニットから空気を取り込む場合よりも容易に加湿ユニット内に空気を取り込むことができる。これにより、この加湿ユニットでは、十分な風量を確保しつつ加熱部の負荷を低減させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
<空気調和機の概略構成>
本発明の一実施形態に係る空気調和機1の外観を図1に示す。
この空気調和機1は、室内の壁面などに取り付けられる室内機2と、室外に設置される室外機3とに分かれて構成されている。室外機3は、室外熱交換器やプロペラファンなどを収納する室外空調ユニット5と加湿給排気ユニット4とを備えている。室内機2内には室内熱交換器が収納され、室外機3内には室外熱交換器が収納されている。そして、各熱交換器およびこれらの熱交換器を接続する冷媒配管31,32が、冷媒回路を構成している。また、室外機3と室内機2との間には、加湿給排気ユニット4からの室外空気や加湿空気等を室内機2側に供給するときや室内の空気を室外に排気するときに用いられる給排気ホース6が設けられている。
【0017】
<冷媒回路の構成>
図2は、空気調和機1で用いられる冷媒回路の系統図に空気の流れの概略を付加したものである。
室内機2には、室内熱交換器11が設けられている。この室内熱交換器11は、長さ方向両端で複数回折り返されてなる伝熱管と、伝熱管が挿通される複数のフィンとからなり、接触する空気との間で熱交換を行う。
【0018】
また、室内機2内には、クロスフローファン12と、クロスフローファン12を回転駆動する室内ファンモータ13とが設けられている。クロスフローファン12は、円筒形状に構成され、周面には多数の羽根が設けられており、回転軸と交わる方向に空気流を生成する。このクロスフローファン12は、室内空気を室内機2内に吸い込ませるとともに、室内熱交換器11との間で熱交換を行った後の空気を室内に吹き出させる。
【0019】
室外空調ユニット5には、圧縮機21と、圧縮機21の吐出側に接続される四路切換弁22と、圧縮機21の吸入側に接続されるアキュムレータ23と、四路切換弁22に接続された室外熱交換器24と、室外熱交換器24に接続された電動弁25とが設けられている。電動弁25は、フィルタ26および液閉鎖弁27を介して冷媒配管32に接続されており、この冷媒配管32を介して室内熱交換器11の一端と接続される。また、四路切換弁22は、ガス閉鎖弁28を介して冷媒配管31に接続されており、この冷媒配管31を介して室内熱交換器11の他端と接続されている。これらの冷媒配管31,32は、上述した給排気ホース6とともに集合連絡管7を形成する。
【0020】
また、室外空調ユニット5内には、室外熱交換器24での熱交換後の空気を外部に排出するためのプロペラファン29が設けられている。このプロペラファン29は、室外ファンモータ30によって回転駆動される。
<室外機の構成>
室外機3は、図1に示すように下部の室外空調ユニット5および上部の加湿給排気ユニット4が一体となって構成されている。
【0021】
まず、図3に基づいて室外空調ユニット5の構成について説明する。
〔室外空調ユニットに係る構成〕
室外空調ユニット5は、前面パネル51、側板52,53、保護金網(図示せず)、金属製の底板54等のケーシング部材や内部に収容される冷媒回路構成部品等により構成されている。
【0022】
前面パネル51は、室外空調ユニット5の前面を覆う樹脂製の部材であり、室外熱交換器24に対して室外熱交換器24を通った空気の下流側に配置されている。前面パネル51には、複数のスリット状の開口からなる室外空調ユニット吹出口51aが設けられており、室外熱交換器24を通った空気は、室外空調ユニット5の内部からこの室外空調ユニット吹出口51aを通って室外機3の外部へと吹き出す。また、前面パネル51の後方には、ファン吹出口部材56と仕切板57とが取り付けられる。
【0023】
側板52,53には右側板52および左側板53があり、これらは室外空調ユニット5の側方を覆う金属製の部材である。ここでは、室外機3の正面視において右側に右側板52、左側に左側板53が設けられている。なお、各側板52,53は、室外熱交換器24を通って室外空調ユニット吹出口51aから吹き出す空気の吹き出し方向に対して概ね平行に設けられている。また、右側板52には、液閉鎖弁27およびガス閉鎖弁28(図2参照)を保護するための閉鎖弁カバー55が取り付けられる。
【0024】
冷媒回路構成部品には、室外熱交換器24、圧縮機21、アキュムレータ23、四路切換弁22、電動弁25等(図2参照)がある。
室外熱交換器24は、平面視において略L字形状を有し、室外空調ユニット5の背面を覆う保護金網の前方に配置される。
室外熱交換器24の前方であって、仕切板57と左側板53との間の通気スペースには、室外ファンモータ30とプロペラファン29とが設けられている。室外ファンモータ30は、プロペラファン29を回転させる。プロペラファン29は、室外空調ユニット5内に取り入れた空気を室外熱交換器24と接触させ室外空調ユニット吹出口51aから前面パネル51の前方に排気させる。
【0025】
圧縮機21、アキュムレータ23、四路切換弁22、電動弁25などの他の冷媒回路構成部品は、仕切板57と右側板52との間の機械室に配置されている。
また、室外空調ユニット5の上部には、電装品ユニット58が取り付けられる。この電装品ユニット58は、電装品箱と各部を制御するための回路部品を搭載したプリント基板とにより構成されている。電装品ユニット58の上方には防炎板59が取り付けられる。
【0026】
〔加湿給排気ユニットに係る構成〕
次に加湿給排気ユニット4の構成について、主として図3に基づいて説明する。
(加湿給排気ユニットケーシング)
加湿給排気ユニット4は、加湿給排気ユニットケーシング40を有している。加湿給排気ユニットケーシング40は、加湿給排気ユニット4の前方、後方および両側方を覆っており、室外空調ユニット5の上部に接するように配置される。
【0027】
加湿給排気ユニットケーシング40の前面には、複数のスリット状の開口からなる吸着用空気吹出口40aが設けられており、空気がこの吸着用空気吹出口40aを通って室外機3の外部へと吹き出す。
また、加湿給排気ユニットケーシング40の背面には、吸着用空気吸込口40bおよび給排気口40cが左右方向に並んで設けられている。室外機3を背面側から見た図を図4に示す。吸着用空気吸込口40bは、室外機3の背面側から見て右側に設けられており、給排気口40cは、左側に配置されている。
【0028】
吸着用空気吸込口40bは、吸加湿ロータ41に水分を吸着させるために室外から取り込まれる空気が通る開口である。吸着用空気吸込口40bは、加湿給排気ユニットケーシング40の長手方向については中央より右側であって、高さ方向についてはその中央付近に設けられている。
給排気口40cは、室内機2へと送られるために取り込まれる空気が通る、または、室内機2から取り込まれて室外へと排気される空気が通る開口である。給排気口40cは、加湿給排気ユニットケーシング40の長手方向については中央より左側であって、高さ方向についてはその中央付近よりやや下方に設けられており、後述するヒータ組立体42の近傍に設けられている。
【0029】
加湿給排気ユニットケーシング40の右側面には、予熱用給排気口40eが設けられている。図5に室外機3の右側面図を示す。予熱用給排気口40eは、室内機2へと送られるために取り込まれる空気が通る開口であり、室外から取り込まれた空気がラジアルファン組立体43等の発熱部品の近傍を通った後にヒータ組立体42によって加熱されるように設けられている。予熱用給排気口40eは、加湿給排気ユニットケーシング40の側面の中央付近に設けられており、後述するラジアルファン組立体43の近傍に設けられている。
【0030】
なお、図3に示すように、加湿給排気ユニットケーシング40の上部は、天板66により覆われている。
加湿給排気ユニットケーシング40内は、右側が吸加湿ロータ41等を収容する空間、左側が吸着用ファン46等を収容する吸着用ファン収納空間S1となっている。この加湿給排気ユニットケーシング40内には、吸加湿ロータ41、ヒータ組立体42、ラジアルファン組立体43、切換ダンパ44、吸着側ダクト45、吸着用ファン46などが配置されている。
【0031】
(吸加湿ロータ)
吸加湿ロータ41は、概ね円板形状を有するハニカム構造のセラミックロータであり、空気が容易に通過できる構造となっている。吸加湿ロータ41は、平面視において円形を有するロータであり、水平面で切った断面において細かいハニカム(蜂の巣)状になっている。そして、これらの断面が多角形である吸加湿ロータ41の多数の筒部分を、空気が通過する。
【0032】
吸加湿ロータ41の主たる部分は、ゼオライト、シリカゲル、あるいはアルミナといった吸着剤から焼成されている。このゼオライト等の吸着剤は、接触する空気中の水分を吸着し、加熱されることによって吸着して含有する水分を脱着する性質を有している。
この吸加湿ロータ41は、加湿給排気ユニットケーシング40側に設けられた支持軸40dに、図示しないロータガイドを介して回動可能に支持される。吸加湿ロータ41の周面には、ギヤが形成されており、ロータ駆動モータ47の駆動軸に取り付けられるロータ駆動ギヤ48と歯合している。
【0033】
(ヒータ組立体)
ヒータ組立体42は、ヒータカバー42aと、その内部に収容されたヒータ本体42bとにより構成されており、室外から取り込まれて吸加湿ロータ41へ送られる空気を加熱する。ヒータ組立体42は、内部のヒータ本体42bの影響により室外よりも高い温度を有しており、ヒータカバー42aからも発熱している。また、ヒータ組立体42は、吸加湿ロータ41の上面の略半分(右側の半分)を覆うように配置されている。ヒータ組立体42の下面には、空気を吸入するための吸入口と、ヒータ組立体42で加熱された空気を吸加湿ロータ41側へ排出するための排出口とが形成されている。このヒータ組立体42は、ヒータ支持板49を介して吸加湿ロータ41の上方に取り付けられる。
【0034】
(ラジアルファン組立体)
ラジアルファン組立体43は、吸加湿ロータ41の側方に配置されており、主として、ラジアルファン43aとラジアルファンモータ43bとにより構成されている。ラジアルファンモータ43bは、ラジアルファン43aを駆動する。ラジアルファン43aは、ラジアルファンモータ43bにより駆動されることにより、給排気口40cと予熱用給排気口40eとから吸加湿ロータ41を経て室内へと到る空気の流れを生成して、室外から取り入れた空気を室内機2へと送る。また、ラジアルファン組立体43は、室内機2から取り入れた空気を室外へと排出することもできる。ラジアルファン組立体43は、切換ダンパ44が切り替わることにより、これらの動作を切り替える。
【0035】
ラジアルファン組立体43は、室外から取り入れた空気を室内機2へと送る場合には、吸加湿ロータ41を通過して吸加湿ロータ41の右側の略半分の部分のうち手前側の部分から降りてきた空気を、給排気ダクト61へと送り出す。給排気ダクト61は、給排気ホース6(図1参照)に接続されており、給排気ダクト61と給排気ホース6とにより構成される搬送経路は、ラジアルファン組立体43と室内機2とを繋いでいる。ラジアルファン組立体43は、給排気ダクト61と給排気ホース6とを介して空気を室内機2へと供給する。
【0036】
ラジアルファン組立体43は、室内機2から取り入れた室内の空気を室外へと排出する場合には、給排気ダクト61から送られてきた空気を加湿給排気ユニットケーシング40の背面に設けられた給排気口40cから室外へと排出する。
なお、ラジアルファンモータ43bは、室外よりも高い温度を有し、数千回転もの高回転数で回転するため特に発熱量が大きくなっている。
【0037】
(切換ダンパ)
切換ダンパ44は、ラジアルファン組立体43の下方に配置される回転式の空気流路切換手段であり、第1状態と第2状態とに切り替わる。
第1状態においては、ラジアルファン組立体43から吹き出された空気は、給排気ダクト61を経て給排気ホース6を通って室内機2へと供給されるようになる。これにより、第1状態では、図2の実線矢印A1で示す矢印の向きに空気が流れ、加湿空気あるいは室外空気が給排気ホース6を通って室内機2へと供給されるようになる。
【0038】
第2状態では、図2の破線矢印A2で示す矢印の向きに空気が流れ、室内機2から給排気ホース6を通ってきた空気がラジアルファン組立体43から給排気口40cを経て室外へと排気される。
(吸着側ダクトおよび吸着用ファン)
吸着側ダクト45は、吸加湿ロータ41の上面のうちヒータ組立体42が位置しない部分(左側の略半分の部分)を覆っている。この吸着側ダクト45は、後述する吸着側ベルマウス63とともに、吸加湿ロータ41の左半分の部分の上面から以下に説明する吸着用ファン収納空間S1の上部へと通じる空気流路を形成する。
【0039】
吸着用ファン収納空間S1に収容される吸着用ファン46は、吸着用ファンモータ65によって回転する遠心ファンであり、上部に配置される吸着側ベルマウス63の開口部63aから空気を吸込むことで、吸着用空気吸込口40bから吸加湿ロータ41を介して、開口部63aへ流れる気流を生成する。そして、吸着用ファン46は、吸加湿ロータ41を通る際に水分を吸着された乾燥空気を吸着用空気吹出口40aから加湿給排気ユニットケーシング40の前方へ向けて排気する。吸着側ベルマウス63は、吸着用ファン収納空間S1の上部に設けられており、吸着側ダクト45によって形成される空気流路を通ってくる空気を吸着用ファン46へと導く役割を果たす。
【0040】
<加湿給排気ユニットの動作>
次に、室外の空気を加湿して室内へと送る加湿運転を行う場合の加湿給排気ユニット4の動作について説明する。
〔吸加湿ロータへの水分の吸着動作〕
加湿給排気ユニット4は、吸着用ファン46を回転駆動することによって、室外からの空気を吸着用空気吸込口40bから加湿給排気ユニットケーシング40内に取り入れる。加湿給排気ユニットケーシング40内に入ってきた空気は、吸加湿ロータ41の左側の略半分の部分を通過して、吸着側ダクト45および吸着側ベルマウス63により形成される空気流路および吸着用ファン46を介して、吸着ファン収納空間S1から吸着用空気吹出口40aを通って室外機3の前方へと排出される。加湿給排気ユニットケーシング40内に室外から取り入れられた空気が吸加湿ロータ41の左側の略半分の部分を通過する際に、吸加湿ロータ41は、空気中に含まれている水分を吸着する。
【0041】
〔吸加湿ロータからの水分の脱着動作〕
上記の吸着工程で水分を吸着した吸加湿ロータ41の左側の略半分の部分は、吸加湿ロータ41が回転することによって、吸加湿ロータ41の右側の略半分の部分となる。すなわち、吸着された水分は、吸加湿ロータ41の回転に伴い、ヒータ組立体42の下方に位置する吸加湿ロータ41の部分に移動してくる。そして、ここに移動してきた水分は、ヒータ組立体42からの熱により、ラジアルファン組立体43によって生成される空気流中に脱着していく。このときの空気の流れについて以下に詳述する。
【0042】
図6に加湿給排気ユニット4を上方から見た断面図を示す。なお、図中の下側が加湿給排気ユニット4の前側、図中の上側が加湿給排気ユニット4の後側、図中の右側が加湿給排気ユニット4の正面視における右側を示している。
ラジアルファン組立体43を駆動すると、給排気口40cから加湿給排気ユニットケーシング40内に室外の空気が取り込まれる(白抜き矢印A11参照)。また、予熱用給排気口40eからも加湿給排気ユニットケーシング40内に室外の空気が取り込まれる(白抜き矢印A12参照)。
【0043】
予熱用給排気口40eから取り込まれた室外の空気(以下、「第1空気」という)は、そのすぐ内側に配置されたラジアルファン組立体43の近傍を通過する際に、ラジアルファンモータ43bが発する熱により予熱される(白抜き矢印A13参照)。その後、第1空気は、ヒータ組立体42の近傍を通過する際に、ヒータカバー42aから発せられる熱によっても予熱される(白抜き矢印A14参照)。
【0044】
なお、室外空調ユニット5内の機械室に配置された圧縮機21や電装品ユニット58により予熱された空気を連絡孔40fから加湿給排気ユニット4内に取り込んでもよい。この連絡孔40fは、機械室内の電装品ユニット58等と加湿給排気ユニット4内の構成部品とを繋ぐハーネス等が通る孔である。
一方、給排気口40cから取り込まれた室外の空気(以下、「第2空気」という)は、予熱された第1空気と合流する。そして、第2空気と第1空気が混合した空気は、吸加湿ロータ41の左側の略半分の部分のうち奥の部分の下方から上方に向けて通過し、ヒータ組立体42の下面の吸入口からヒータ組立体42内に導入される(白抜き矢印A15参照)。そして、ヒータ組立体42内に入った空気は、ヒータ組立体42の下面の排出口から排出され、吸加湿ロータ41の左側の略半分の部分のうち手前の部分を上方から下方に通過する。このような空気流は、ラジアルファン組立体43が生成するものである。ラジアルファン組立体43は、上記のように吸加湿ロータ41を通り抜けてきた空気を、給排気ダクト61および給排気ホース6を介して室内機2へと送る。この室内機2へと送られる空気は、吸加湿ロータ41に吸着されていた水分を含むようになっている。
このようにして加湿給排気ユニット4から室内機2に供給された空気は、室内熱交換器11を経て室内に吹き出される。
【0045】
<特徴>
(1)この空気調和機1では、予熱用給排気口40eから取り込まれた第1空気が、ラジアルファン組立体43及びヒータ組立体42の近傍を通ることにより予熱される。そして、給排気口40cから取り込まれた第2空気と予熱された第1空気とが混合した室外よりも高い温度を有する空気が、ヒータ組立体によって加熱される。このため、この空気調和機1では、吸加湿ロータ41から水分を脱着させるために十分な温度にまで室外から取り入れた空気を加熱するために必要な熱量が減少している。これにより、この空気調和機1では、ヒータ組立体42への入力が低減している。
【0046】
特に、この空気調和機1では、第1空気は、ラジアルファン組立体43の近傍を通ることにより予熱される。ラジアルファン組立体43は、室外から取り込んだ空気を室内に配置された室内機2へと送るための装置であるため、ラジアルファン組立体43の内部のラジアルファンモータ43bは大きな出力を必要とする。このため、ラジアルファンモータ43bは数千回転もの高回転で回転する。従って、ラジアルファン組立体43の発熱量は、室外機3に配置されている発熱部品の中でも特に大きく、第1空気を予熱する際に与える熱量が大きい。このため、この空気調和機1では、ヒータ組立体42への入力を低減する効果が特に高くなっている。
【0047】
(2)この空気調和機1では、予熱用給排気口40eが加湿ユニットケーシング40に設けられているため、室外空調ユニット5の機械室から空気を取り込む場合よりも容易に加湿給排気ユニット4内に空気を取り込むことができる。すなわち、室外空調ユニット5の機械室で空気を予熱する場合には、機械室内に取り込まれてからヒータ組立体42へ到るまでの経路が長くなってしまう。このため、圧損が大きくなり、十分な量の空気を取り込むことは困難である。また、この場合、十分な量の空気を取り込むにはラジアルファン組立体43の出力を増大させることが必要となり、ラジアルファン組立体43の負担が大きくなってしまう。
【0048】
しかし、この空気調和機1では、予熱用給排気口40eが加湿ユニットケーシング40に設けられているため、取り込まれてからヒータ組立体42へ到るまでの経路が比較的短い。また、給排気口40cから取り込まれる空気は、予熱するための経路を経ることなく短い経路を通ってヒータ組立体42へと送られるため、ヒータ組立体42に取り込まれるときの圧力損失が少なくなっている。このため、この空気調和機1は、空気を加湿給排気ユニット4内のヒータ組立体42やラジアルファン組立体43まで取り込みやすくなっており、ラジアルファン組立体43の負担を増大させずとも十分な風量を確保することができる。
【0049】
<他の実施形態>
上記の実施形態では、ラジアルファン組立体43及びヒータ組立体42により第1空気が予熱されるように予熱用給排気口40eが設けられているが、室外温度よりも高い温度を有する他の発熱部品により予熱されるように設けられてもよい。
【0050】
【発明の効果】
請求項1に記載の加湿ユニットでは、駆動装置の近傍を通ることにより予熱された空気が加熱部で加熱される。この駆動装置は、第1吸気口から前記加湿部材を経て室内へと到る空気の流れを生成する送風部を駆動するため、消費エネルギーが比較的大きく、発熱量も大きい。このため、加湿部材から水分を脱着させるために十分な温度にまで室外から取り入れた空気を加熱するために必要な熱量を減少させることができる。また、第1吸気口が加湿ユニットのケーシングに設けられているため、加湿ユニット外に設けられた吸気口から空気を取り込む場合よりも容易に加湿ユニット内に空気を取り込むことができる。これにより、この加湿ユニットでは、十分な風量を確保しつつ加熱部の負荷を低減させることができる。また、この加湿ユニットでは、第1吸気口と第2吸気口とから室外の空気を取り入れることができる。第2吸気口は加熱部の近傍に設けられているため、加熱部により加熱される空気を第2吸気口からより多く取り入れることができる。このため、この加湿ユニットでは、第1吸気口から取り入れた空気を予熱して加熱部の負荷を減少させることができるとともに、第2吸気口からも空気を取り入れることにより、さらに十分な風量を確保することができる。
【0051】
請求項2に記載の加湿ユニットでは、駆動装置の近傍およびヒータカバーの近傍を通ることにより予熱された空気が加熱部で加熱される。このため、加湿部材から水分を脱着させるために十分な温度にまで室外から取り入れた空気を加熱するために必要な熱量を減少させることができる。
【0052】
請求項3に記載の加湿ユニットでは、駆動装置の近傍およびヒータカバーの近傍を通ることにより予熱された空気が加熱部で加熱される。このため、加湿部材から水分を脱着させるために十分な温度にまで室外から取り入れた空気を加熱するために必要な熱量を減少させることができる。
また、第2吸気口は加熱部の近傍に設けられているため、取り込まれてから加熱部へ到るまでの経路が比較的短い。このため、この加湿ユニットでは、空気を加熱部まで取り込みやすくなっており十分な風量を確保することができる。
【0053】
請求項4に記載の加湿ユニットでは、ケーシングの側面に設けられた第1吸気口から取り入れられた空気が駆動装置により予熱される。そして、予熱された空気は、ケーシングの背面に設けられた第2吸気口から吸込まれた空気とともに加熱部により加熱される。これにより、この加湿ユニットでは、加熱部の負荷を低減させると共に、第2吸気口からも空気を取り入れることにより、さらに十分な風量を確保することができる。
【0054】
請求項5に記載の空気調和機は、加湿ユニットにおいて、駆動装置の近傍を通ることにより予熱された空気が加熱部で加熱される。このため、加湿部材から水分を脱着させるために十分な温度にまで室外から取り入れた空気を加熱するために必要な熱量を減少させることができる。また、第1吸気口が加湿ユニットのケーシングに設けられているため、室外空調ユニットから空気を取り込む場合よりも容易に加湿ユニット内に空気を取り込むことができる。これにより、この加湿ユニットでは、十分な風量を確保しつつ加熱部の負荷を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 空気調和機の外観図。
【図2】 冷媒回路の構成図。
【図3】 室外機の構成を示す斜視図。
【図4】 室外機の背面図。
【図5】 室外機の側面図。
【図6】 加湿ユニットの上面断面図。
【符号の説明】
1 空気調和機
2 室内機
4 加湿給排気ユニット(加湿ユニット)
5 室外空調ユニット
40 加湿給排気ユニットケーシング(ケーシング)
40c 給排気口(第2吸気口)
40e 予熱用給排気口(第1吸気口)
41 吸加湿ロータ(加湿部材)
42 ヒータ組立体(加熱部)
42a ヒータカバー
43a ラジアルファン(送風部)
43b ラジアルファンモータ(駆動装置)

Claims (5)

  1. 室外に設置される室外機に備えられる加湿ユニットであって、
    室外から取り込まれる空気が通る第1吸気口(40e)および第2吸気口(40c)を有するケーシング(40)と、
    室外から取り込まれた空気を加熱する加熱部(42)と、
    加熱された空気が通ることにより含有する水分を空気中へと脱着可能な加湿部材(41)と、
    前記第1吸気口(40e)から前記加湿部材(41)を経て室内へと到る空気の流れを生成する送風部(43a)と、
    前記送風部(43a)を駆動する駆動装置(43b)と、
    を備え、
    前記第1吸気口(40e)は、室外から取り込まれた空気が前記駆動装置(43b)の近傍を通った後に前記加熱部(42)によって加熱されるように設けられ、
    前記第2吸気口(40c)は、前記加熱部(42)の近傍に設けられ、室外から前記第2吸気口(40c)を通って取り込まれた空気が加熱部(42)によって加熱されるように設けられる、
    空気調和機の加湿ユニット(4)。
  2. 前記加熱部(42)は、ヒータカバー(42a)と、その内部に収容されたヒータ本体(42b)とを有しており、
    前記第1吸気口(40e)は、室外から取り込まれた空気が前記駆動装置(43b)および前記ヒータカバー(42a)の近傍を通った後に前記加熱部(42)によって加熱されるように設けられる、
    請求項1に記載の空気調和機の加湿ユニット(4)。
  3. 前記第1吸気口(40e)および前記第2吸気口(40c)は、前記第1吸気口(40e)から取り込まれ前記駆動装置(43b)の近傍および前記ヒータカバー(42a)の近傍を通った後の空気と、前記第2吸気口(40c)から取り込まれた空気とが合流した後に前記加熱部(42)によって加熱されるように設けられる、
    請求項2に記載の空気調和機の加湿ユニット(4)。
  4. 前記第2吸気口(40c)は、前記加熱部(42)に近い前記ケーシング(40)の背面に設けられ、
    前記第1吸気口(40e)は、前記駆動装置(43b)に近い前記ケーシング(40)の側面に設けられる、
    請求項1から3のいずれかに記載の空気調和機の加湿ユニット(4)。
  5. 室内に配置される室内機(2)と、
    室外に配置される室外空調ユニット(5)と、
    前記室外空調ユニット(5)と共に室外に配置される請求項1から4のいずれかに記載の加湿ユニット(4)と、
    を備える空気調和機(1)。
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