JP3730574B2 - ノック式筆記具 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クリップセーフティ機構を有するダブルノック式の筆記具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クリップセーフティ機構を備えたノック式筆記具、例えば水性インキが充填されたノック式ボールペンはシングルノック式のものが多かった。すなわち、ノック操作を行うと、クリップ先端の挟持突起とノック部材の係止部が係合し、ボールペンレフィール先端のボールペン体が軸筒の先端開口から突出して筆記可能になるが、万一、この状態でポケットに差し込むと衣服を汚損するので、ポケットに差し込むときにクリップ先端が径方向に持ち上がると、クリップ先端の挟持突起とノック部材の係止部との係合が解除され、ボールペンレフィールが後退してボールペン体が軸筒内に没入するようになっている。
【0003】
このように、クリップ先端の挟持突起とノック部材の係止部との係合が解除されるとボールペンレフィールが後退するので、筆記が終了してボールペン体を軸筒内に没入させるときにも、指先でクリップ先端を径方向に持ち上げるか、揺動可能に配置されたクリップの尾端部をノックして揺動させ、クリップ先端を径方向に回動させることによりクリップ先端の挟持突起とノック部材の係止部との係合が解除させてボールペン体を軸筒内に没入させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかるクリップセーフティ機構を備えたシングルノック式の筆記具は、レフィール先端のペン体部を軸筒の先端開口から突出させる操作と筆記終了時に軸筒内に没入させる操作が異なるので、使いにくい不具合がある。
【0005】
そこで本発明は、レフィール先端のペン体部を軸筒の先端開口から突出させる操作と筆記終了時に軸筒内に没入させる操作が同じであって使い易く、クリップセーフティ機構を備えた構造が簡単なダブルノック式の筆記具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、本発明のノック式筆記具は、縦長の窓孔が形成された軸筒と、軸筒内に尾端側に弾発された状態で前後動可能に収容されたレフィールと、レフィールと共に前後動し、前方カム歯に複数個の係止部が形成され、係止部と係止部の間に縦溝が形成された回転子と、軸筒の尾端開口から突出した状態で配置され、ノック操作により回転力を付与した状態で回転子を前進させるノック部材と、軸筒の窓孔に沿って前後動可能に配置され、裏面に形成された突条が回転子の縦溝に沿って相対的に移動する可動子と、先端部の挟持突起に形成された係止段部が可動子の表面に形成された係止突起に係合するクリップで構成し、レフィール先端のペン体部が軸筒内に没入した状態からノック操作を行うと、回転子が回転力を付与された状態で前進し、可動子の突条が回転子の縦溝から抜け出すとレフィール先端のペン体部が軸筒の先端開口から突出するとともに回転子が僅かに回転し、可動子の突条が回転子の係止部に係合して筆記可能になり、レフィール先端のペン体部が軸筒の先端開口から突出した状態からノック操作を行うと、可動子の突条が回転子の係止部から抜け出して回転子が僅かに回転し、可動子の突条が回転子の縦溝に沿って相対的に移動してレフィール先端のペン体部が軸筒内に没入し、また、レフィール先端のペン体部が軸筒の先端開口から突出した状態からクリップ先端が径方向に持ち上がると、クリップの係止段部と可動子の係止突起の係合が解除され、回転子が可動子と共に後退し、レフィール先端のペン体部が軸筒内に没入するようにする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、図面に基づいて本発明の実施の形態を具体的に説明する。図1はノック式ボールペンを示すが、ボールペンに限られるものではない。図1において、軸筒10は、合成樹脂で成形された後軸11および前軸12からなり、前軸12の先端には、先端開口15を有する先口13が螺着されている。また、前軸12の外周には軟質の合成樹脂からなるグリップ14が配置されている。後軸11の尾端部には、クリップ40の円筒固定部43が固定されている。つまり、さきぐち13と円筒固定部43は軸筒10の一部を構成している。クリップ40と対面する位置の軸筒10に縦長の窓孔16が形成されている。
【0008】
かかる軸筒10内に、ボールペンレフィール20がコイルスプリング26で尾端側に弾発された状態で前後動可能に収容されている。ボールペンレフィール20のインキ収容管21の先端開口に継手22が嵌着され、継手22の中心孔にボールペンチップであるペン体部23が嵌着されている。インキ収容管21内にはインキIが充填され、インキIの後端にはグリース状の逆流防止体25が配置されている。
【0009】
インキIは、着色剤である顔料または染料、樹脂、増粘剤、水溶性溶剤を含み、必要に応じて分散剤、防腐剤などを含有し、静的には高い粘性を有し、筆記時のボールの回転により粘性が低下するゲルインキである。このインキIの粘度は20mPa・s以上である。また、逆流防止体25は、ポリブデン、シリコーンオイル、鉱物油などを主成分とし、シリカゲル、金属石鹸などで適度に増粘させたものである。
【0010】
ペン体部23はステンレスにて砲弾型に成形されたものであり、ペン体部23先端のボールハウス内に、例えば外径が0.5mmであり、超硬合金からなるボール24が回転自由に抱持されている。ペン体部23内には小さなスプリング(図示せず)が配置されており、ボール24はこのスプリングで弾発され、非筆記時においてペン体部23先端の内向き突起に圧接している。つまり、ボール24とペン体部23先端の内向き突起により弁機構を構成しており、非筆記時は弁が閉じてインキがペン体部23先端から流出せず、また、上向きにしたときも弁が閉じているのでペン体部23先端から空気が内部に侵入しないようになっている。そして、筆記時においては、筆圧によりボール24が後退して弁が開き、インキが流出するようになっている。
【0011】
インキ収容管21の尾端部は回転子30内に差し込まれており、コイルスプリング26の弾発力によりインキ収容管21は回転子30に当接している。回転子30は、図2に示すように、合成樹脂で円筒状に成形されたものであり、尾端縁に鋸刃状をした尾端カム歯31が形成され、中腹部には傾斜面が鋸刃状に連続した前方カム歯32が形成されている。つまり、前方カム歯32は複数の傾斜面からなり、傾斜面の端部であって縦壁部33に隣接した部分が係止部35である。また、前方カム歯32の傾斜面は不連続であり、前方カム歯32の傾斜面と傾斜面の間に複数本の縦溝34が形成されている。
【0012】
可動子60は、図5に示すように、側面に上ガイド65および下ガイド64が形成され、この上ガイド65と下ガイド64が軸筒10の窓孔16の縁部に嵌め込まれており、可動子60は窓孔16に沿って前後動可能に配置されている。ここで、可動子60の表面は軸筒10の表面と同一レベルになっている。
可動子60の裏面には突条61が形成され、表面には係止突起62が形成されている。また、係止突起62に連続して孔部63が形成されている。そして、突条61は回転子30の縦溝34に沿って相対的に移動するようになっている。つまり、回転子30は突条61により回転不自由な状態であり、突条61が縦溝34ないし縦壁部33から相対的に抜け出すとフリーになって回転子30は回転可能になる。
【0013】
クリップ40の先端部分裏側には、図3に示すように、挟持突起41が形成されており、挟持突起41の下向き段が係止段部42である。また、挟持突起41の下方に一対のガイドリブ44が形成されている。この挟持突起41は、通常時は可動子60の孔部63に入り込み、係止段部42が可動子60の係止突起62に係合している。つまり、通常時においては、可動子60はクリップ40の係止段部42により窓孔16の下端部に固定されている。
【0014】
ノック棒50は軸筒10の尾端から突出した状態で配置されており、図4に示すように、外周面にガイド突起52が形成されている。ガイド突起52がクリップ40の摺動溝45に嵌め込まれ、ノック操作によりガイド突起52は摺動溝45に沿って移動する。ノック棒50の先端には鋸刃状をしたカム歯51が形成されており、ノック操作を行うと、カム歯51が回転子30の尾端カム31と歯合して回転子30に回転力を付与するようになっている。
【0015】
図6はノック部材50、回転子30、可動子60の突条61の位置関係とペン体部23の出没状態の関係を示すが、筆記に際して、ペン体部23が軸筒10内に没入した図6(A)の状態からノック部材50を押圧するノック操作を行うと、回転子30は回転力を付与された状態で前進するが、突条61が回転子30の縦溝34にはめ込まれているので回転子30は回転しない。更にノック操作を続行すると、図6(B)に示すように、ペン体部23が軸筒10の先端開口15から突出すると共に、突条61が縦溝34から抜け出す。従って回転子30はフリーになって回転力方向に僅かに回転する。このとき、突条61は前方カム歯32の傾斜面に沿って沿って摺動し、突条61が回転子30の縦壁部33に当接すると共に係止段部42が係止部35に係合し、図6(C)に示す状態になって筆記可能になる。
【0016】
筆記が終了してペン体部23を軸筒10内に没入させるには、図6(C)に示す状態から再びノック操作を行えばよい。これにより回転子30が前進し、突条61が回転子30の縦壁部33を乗り越え、フリーになった回転子30が僅かに回転する。そして、ノック操作を解除すると、突条61が縦溝34に沿って相対的に移動し、図6(A)に示す状態になり没入が完了する。
以上は回転子30を使用する周知のダブルノック操作であり、レフィール20先端のペン体部23を軸筒10の先端開口15から突出させる操作と筆記終了時に軸筒10内に没入させる操作が同一であってペン体部23の出没操作が極めて容易である。
【0017】
次に、図7はクリップセーフティ機構の作動説明図であるが、ペン体部23が軸筒10の先端開口15から突出した図7(A)の状態で筆記具を誤ってポケットに差し込むと、ポケットの布地が挟持突起41に当接してクリップ40を持ち上げるのでクリップ40の係止段部42と可動子60の係止突起62の係合が解除され、可動子60が回転子30と共に後退してペン体部23が軸筒10内に没入し、図7(B)に示す状態になる。つまり、クリップセーフティ機構が作動する。
【0018】
クリップセーフティ機構が作動した筆記具をポケットから抜き出してノック操作を行うと、図7(C)に示すように、可動子60および回転子30が前進し、クリップ40の係止段部42が可動子60の係止突起62に係合するが、回転子30は更に僅かに前進し、突条61が縦壁部33を抜けると回転子30が僅かに回転し、突条61が縦壁部33を乗り越える。そして、ノック操作を解除すると、図7(D)に示すように、突条61が縦溝34に沿って相対的に移動し、ペン体部23が軸筒10内に没入する。つまり、図6(A)の状態になり、リセットされる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のノック式筆記具は、縦長の窓孔が形成された軸筒と、軸筒内に尾端側に弾発された状態で前後動可能に収容されたレフィールと、レフィールと共に前後動し、前方カム歯に複数個の係止部が形成され、係止部と係止部の間に縦溝が形成された回転子と、軸筒の尾端開口から突出した状態で配置され、ノック操作により回転力を付与した状態で回転子を前進させるノック部材と、軸筒の窓孔に沿って前後動可能に配置され、裏面に形成された突条が回転子の縦溝に沿って相対的に移動する可動子と、先端部の挟持突起に形成された係止段部が可動子の表面に形成された係止突起に係合するクリップで構成してペン体部の突出および没入を同じノック操作で行うダブルノック式とし、ペン体部が軸筒の先端開口から突出した状態からクリップ先端が持ち上がると、可動子が回転子と共に後退し、ペン体部が軸筒内に没入するので、レフィール先端のペン体部を軸筒の先端開口から突出させる操作と筆記終了時に軸筒内に没入させる操作が同じであって使い易く、クリップセーフティ機構を備えた構造が簡単なノック式筆記具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の断面図である。
【図2】(A)は回転子の平面図、(B)は正面図である。
【図3】クリップの断面図である。
【図4】ノック部材の正面図である。
【図5】(A)は可動子の平面図、(B)は背面図、(C)は正面図、(D)は側面図である。
【図6】ノック操作の作動説明図である。
【図7】リクップセーフティ機構の作動説明図である。
【符号の説明】
10 軸筒
11 後軸
12 前軸
13 先口
15 先口の先端開口
16 窓孔
20 ボールペンレフィール
21 インキ収容管
22 継手
23 ペン体部
24 ボール
25 逆流防止剤
26 コイルスプリング
30 回転子
31 尾端カム歯
32 前方カム歯
33 縦壁部
34 縦溝
35 係止部
40 クリップ
41 挟持突部
42 係止段部
43 円筒固定部
44 ガイドリブ
45 摺動溝
50 ノック棒
51 カム歯
52 ガイド突起
60 可動子
61 突条
62 係止突起
63 孔部
64 下ガイド
65 上ガイド
【発明の属する技術分野】
本発明は、クリップセーフティ機構を有するダブルノック式の筆記具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クリップセーフティ機構を備えたノック式筆記具、例えば水性インキが充填されたノック式ボールペンはシングルノック式のものが多かった。すなわち、ノック操作を行うと、クリップ先端の挟持突起とノック部材の係止部が係合し、ボールペンレフィール先端のボールペン体が軸筒の先端開口から突出して筆記可能になるが、万一、この状態でポケットに差し込むと衣服を汚損するので、ポケットに差し込むときにクリップ先端が径方向に持ち上がると、クリップ先端の挟持突起とノック部材の係止部との係合が解除され、ボールペンレフィールが後退してボールペン体が軸筒内に没入するようになっている。
【0003】
このように、クリップ先端の挟持突起とノック部材の係止部との係合が解除されるとボールペンレフィールが後退するので、筆記が終了してボールペン体を軸筒内に没入させるときにも、指先でクリップ先端を径方向に持ち上げるか、揺動可能に配置されたクリップの尾端部をノックして揺動させ、クリップ先端を径方向に回動させることによりクリップ先端の挟持突起とノック部材の係止部との係合が解除させてボールペン体を軸筒内に没入させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかるクリップセーフティ機構を備えたシングルノック式の筆記具は、レフィール先端のペン体部を軸筒の先端開口から突出させる操作と筆記終了時に軸筒内に没入させる操作が異なるので、使いにくい不具合がある。
【0005】
そこで本発明は、レフィール先端のペン体部を軸筒の先端開口から突出させる操作と筆記終了時に軸筒内に没入させる操作が同じであって使い易く、クリップセーフティ機構を備えた構造が簡単なダブルノック式の筆記具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、本発明のノック式筆記具は、縦長の窓孔が形成された軸筒と、軸筒内に尾端側に弾発された状態で前後動可能に収容されたレフィールと、レフィールと共に前後動し、前方カム歯に複数個の係止部が形成され、係止部と係止部の間に縦溝が形成された回転子と、軸筒の尾端開口から突出した状態で配置され、ノック操作により回転力を付与した状態で回転子を前進させるノック部材と、軸筒の窓孔に沿って前後動可能に配置され、裏面に形成された突条が回転子の縦溝に沿って相対的に移動する可動子と、先端部の挟持突起に形成された係止段部が可動子の表面に形成された係止突起に係合するクリップで構成し、レフィール先端のペン体部が軸筒内に没入した状態からノック操作を行うと、回転子が回転力を付与された状態で前進し、可動子の突条が回転子の縦溝から抜け出すとレフィール先端のペン体部が軸筒の先端開口から突出するとともに回転子が僅かに回転し、可動子の突条が回転子の係止部に係合して筆記可能になり、レフィール先端のペン体部が軸筒の先端開口から突出した状態からノック操作を行うと、可動子の突条が回転子の係止部から抜け出して回転子が僅かに回転し、可動子の突条が回転子の縦溝に沿って相対的に移動してレフィール先端のペン体部が軸筒内に没入し、また、レフィール先端のペン体部が軸筒の先端開口から突出した状態からクリップ先端が径方向に持ち上がると、クリップの係止段部と可動子の係止突起の係合が解除され、回転子が可動子と共に後退し、レフィール先端のペン体部が軸筒内に没入するようにする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、図面に基づいて本発明の実施の形態を具体的に説明する。図1はノック式ボールペンを示すが、ボールペンに限られるものではない。図1において、軸筒10は、合成樹脂で成形された後軸11および前軸12からなり、前軸12の先端には、先端開口15を有する先口13が螺着されている。また、前軸12の外周には軟質の合成樹脂からなるグリップ14が配置されている。後軸11の尾端部には、クリップ40の円筒固定部43が固定されている。つまり、さきぐち13と円筒固定部43は軸筒10の一部を構成している。クリップ40と対面する位置の軸筒10に縦長の窓孔16が形成されている。
【0008】
かかる軸筒10内に、ボールペンレフィール20がコイルスプリング26で尾端側に弾発された状態で前後動可能に収容されている。ボールペンレフィール20のインキ収容管21の先端開口に継手22が嵌着され、継手22の中心孔にボールペンチップであるペン体部23が嵌着されている。インキ収容管21内にはインキIが充填され、インキIの後端にはグリース状の逆流防止体25が配置されている。
【0009】
インキIは、着色剤である顔料または染料、樹脂、増粘剤、水溶性溶剤を含み、必要に応じて分散剤、防腐剤などを含有し、静的には高い粘性を有し、筆記時のボールの回転により粘性が低下するゲルインキである。このインキIの粘度は20mPa・s以上である。また、逆流防止体25は、ポリブデン、シリコーンオイル、鉱物油などを主成分とし、シリカゲル、金属石鹸などで適度に増粘させたものである。
【0010】
ペン体部23はステンレスにて砲弾型に成形されたものであり、ペン体部23先端のボールハウス内に、例えば外径が0.5mmであり、超硬合金からなるボール24が回転自由に抱持されている。ペン体部23内には小さなスプリング(図示せず)が配置されており、ボール24はこのスプリングで弾発され、非筆記時においてペン体部23先端の内向き突起に圧接している。つまり、ボール24とペン体部23先端の内向き突起により弁機構を構成しており、非筆記時は弁が閉じてインキがペン体部23先端から流出せず、また、上向きにしたときも弁が閉じているのでペン体部23先端から空気が内部に侵入しないようになっている。そして、筆記時においては、筆圧によりボール24が後退して弁が開き、インキが流出するようになっている。
【0011】
インキ収容管21の尾端部は回転子30内に差し込まれており、コイルスプリング26の弾発力によりインキ収容管21は回転子30に当接している。回転子30は、図2に示すように、合成樹脂で円筒状に成形されたものであり、尾端縁に鋸刃状をした尾端カム歯31が形成され、中腹部には傾斜面が鋸刃状に連続した前方カム歯32が形成されている。つまり、前方カム歯32は複数の傾斜面からなり、傾斜面の端部であって縦壁部33に隣接した部分が係止部35である。また、前方カム歯32の傾斜面は不連続であり、前方カム歯32の傾斜面と傾斜面の間に複数本の縦溝34が形成されている。
【0012】
可動子60は、図5に示すように、側面に上ガイド65および下ガイド64が形成され、この上ガイド65と下ガイド64が軸筒10の窓孔16の縁部に嵌め込まれており、可動子60は窓孔16に沿って前後動可能に配置されている。ここで、可動子60の表面は軸筒10の表面と同一レベルになっている。
可動子60の裏面には突条61が形成され、表面には係止突起62が形成されている。また、係止突起62に連続して孔部63が形成されている。そして、突条61は回転子30の縦溝34に沿って相対的に移動するようになっている。つまり、回転子30は突条61により回転不自由な状態であり、突条61が縦溝34ないし縦壁部33から相対的に抜け出すとフリーになって回転子30は回転可能になる。
【0013】
クリップ40の先端部分裏側には、図3に示すように、挟持突起41が形成されており、挟持突起41の下向き段が係止段部42である。また、挟持突起41の下方に一対のガイドリブ44が形成されている。この挟持突起41は、通常時は可動子60の孔部63に入り込み、係止段部42が可動子60の係止突起62に係合している。つまり、通常時においては、可動子60はクリップ40の係止段部42により窓孔16の下端部に固定されている。
【0014】
ノック棒50は軸筒10の尾端から突出した状態で配置されており、図4に示すように、外周面にガイド突起52が形成されている。ガイド突起52がクリップ40の摺動溝45に嵌め込まれ、ノック操作によりガイド突起52は摺動溝45に沿って移動する。ノック棒50の先端には鋸刃状をしたカム歯51が形成されており、ノック操作を行うと、カム歯51が回転子30の尾端カム31と歯合して回転子30に回転力を付与するようになっている。
【0015】
図6はノック部材50、回転子30、可動子60の突条61の位置関係とペン体部23の出没状態の関係を示すが、筆記に際して、ペン体部23が軸筒10内に没入した図6(A)の状態からノック部材50を押圧するノック操作を行うと、回転子30は回転力を付与された状態で前進するが、突条61が回転子30の縦溝34にはめ込まれているので回転子30は回転しない。更にノック操作を続行すると、図6(B)に示すように、ペン体部23が軸筒10の先端開口15から突出すると共に、突条61が縦溝34から抜け出す。従って回転子30はフリーになって回転力方向に僅かに回転する。このとき、突条61は前方カム歯32の傾斜面に沿って沿って摺動し、突条61が回転子30の縦壁部33に当接すると共に係止段部42が係止部35に係合し、図6(C)に示す状態になって筆記可能になる。
【0016】
筆記が終了してペン体部23を軸筒10内に没入させるには、図6(C)に示す状態から再びノック操作を行えばよい。これにより回転子30が前進し、突条61が回転子30の縦壁部33を乗り越え、フリーになった回転子30が僅かに回転する。そして、ノック操作を解除すると、突条61が縦溝34に沿って相対的に移動し、図6(A)に示す状態になり没入が完了する。
以上は回転子30を使用する周知のダブルノック操作であり、レフィール20先端のペン体部23を軸筒10の先端開口15から突出させる操作と筆記終了時に軸筒10内に没入させる操作が同一であってペン体部23の出没操作が極めて容易である。
【0017】
次に、図7はクリップセーフティ機構の作動説明図であるが、ペン体部23が軸筒10の先端開口15から突出した図7(A)の状態で筆記具を誤ってポケットに差し込むと、ポケットの布地が挟持突起41に当接してクリップ40を持ち上げるのでクリップ40の係止段部42と可動子60の係止突起62の係合が解除され、可動子60が回転子30と共に後退してペン体部23が軸筒10内に没入し、図7(B)に示す状態になる。つまり、クリップセーフティ機構が作動する。
【0018】
クリップセーフティ機構が作動した筆記具をポケットから抜き出してノック操作を行うと、図7(C)に示すように、可動子60および回転子30が前進し、クリップ40の係止段部42が可動子60の係止突起62に係合するが、回転子30は更に僅かに前進し、突条61が縦壁部33を抜けると回転子30が僅かに回転し、突条61が縦壁部33を乗り越える。そして、ノック操作を解除すると、図7(D)に示すように、突条61が縦溝34に沿って相対的に移動し、ペン体部23が軸筒10内に没入する。つまり、図6(A)の状態になり、リセットされる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のノック式筆記具は、縦長の窓孔が形成された軸筒と、軸筒内に尾端側に弾発された状態で前後動可能に収容されたレフィールと、レフィールと共に前後動し、前方カム歯に複数個の係止部が形成され、係止部と係止部の間に縦溝が形成された回転子と、軸筒の尾端開口から突出した状態で配置され、ノック操作により回転力を付与した状態で回転子を前進させるノック部材と、軸筒の窓孔に沿って前後動可能に配置され、裏面に形成された突条が回転子の縦溝に沿って相対的に移動する可動子と、先端部の挟持突起に形成された係止段部が可動子の表面に形成された係止突起に係合するクリップで構成してペン体部の突出および没入を同じノック操作で行うダブルノック式とし、ペン体部が軸筒の先端開口から突出した状態からクリップ先端が持ち上がると、可動子が回転子と共に後退し、ペン体部が軸筒内に没入するので、レフィール先端のペン体部を軸筒の先端開口から突出させる操作と筆記終了時に軸筒内に没入させる操作が同じであって使い易く、クリップセーフティ機構を備えた構造が簡単なノック式筆記具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の断面図である。
【図2】(A)は回転子の平面図、(B)は正面図である。
【図3】クリップの断面図である。
【図4】ノック部材の正面図である。
【図5】(A)は可動子の平面図、(B)は背面図、(C)は正面図、(D)は側面図である。
【図6】ノック操作の作動説明図である。
【図7】リクップセーフティ機構の作動説明図である。
【符号の説明】
10 軸筒
11 後軸
12 前軸
13 先口
15 先口の先端開口
16 窓孔
20 ボールペンレフィール
21 インキ収容管
22 継手
23 ペン体部
24 ボール
25 逆流防止剤
26 コイルスプリング
30 回転子
31 尾端カム歯
32 前方カム歯
33 縦壁部
34 縦溝
35 係止部
40 クリップ
41 挟持突部
42 係止段部
43 円筒固定部
44 ガイドリブ
45 摺動溝
50 ノック棒
51 カム歯
52 ガイド突起
60 可動子
61 突条
62 係止突起
63 孔部
64 下ガイド
65 上ガイド
Claims (1)
- 縦長の窓孔が形成された軸筒と、軸筒内に尾端側に弾発された状態で前後動可能に収容されたレフィールと、レフィールと共に前後動し、前方カム歯に複数個の係止部が形成され、係止部と係止部の間に縦溝が形成された回転子と、軸筒の尾端開口から突出した状態で配置され、ノック操作により回転力を付与した状態で回転子を前進させるノック部材と、軸筒の窓孔に沿って前後動可能に配置され、裏面に形成された突条が回転子の縦溝に沿って相対的に移動する可動子と、先端部の挟持突起に形成された係止段部が可動子の表面に形成された係止突起に係合するクリップからなり、
レフィール先端のペン体部が軸筒内に没入した状態からノック操作を行うと、回転子が回転力を付与された状態で前進し、可動子の突条が回転子の縦溝から抜け出すとレフィール先端のペン体部が軸筒の先端開口から突出するとともに回転子が僅かに回転し、可動子の突条が回転子の係止部に係合して筆記可能になり、レフィール先端のペン体部が軸筒の先端開口から突出した状態からノック操作を行うと、可動子の突条が回転子の係止部から抜け出して回転子が僅かに回転し、可動子の突条が回転子の縦溝に沿って相対的に移動してレフィール先端のペン体部が軸筒内に没入し、
また、レフィール先端のペン体部が軸筒の先端開口から突出した状態からクリップ先端が径方向に持ち上がると、クリップの係止段部と可動子の係止突起の係合が解除され、回転子が可動子と共に後退し、レフィール先端のペン体部が軸筒内に没入することを特徴とするノック式筆記具。
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