JP3730400B2 - 異物検出装置及び異物検出方法 - Google Patents

異物検出装置及び異物検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体の移動軌跡上の異物を検出するための異物検出装置及び異物検出方法に係り、特に、車両や建造物或いはエレベータ等の自動扉における扉等の移動軌跡上の異物の検出に好適な異物検出装置及び異物検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワゴンやバン等の車両では、モータ等の駆動手段の駆動力によってドアパネルを車両の前後方向に沿ってスライドさせて開閉する自動スライドドア装置がある。
【0003】
また、このような自動スライドドア装置には、閉移動中のドアパネルと車体との間に異物が挟み込まれた場合に、ドアパネルのスライドを停止させたり、或いは、ドアパネルを再び開移動させたりする挟み込み防止装置を備えた自動スライドドア装置も考案されており、この挟み込み防止装置の一例が特開平9−315157号に開示されている。
【0004】
この公報に開示されている挟み込み防止装置は、長尺筒状の外皮部の内部に複数の電極線を配置した感圧センサを備えている。この感圧センサはドアパネルの前端部(すなわち、ドアパネルの閉移動側の端部)に設けられており、閉移動しているドアパネルの前端部に異物が当接してドアパネルが異物を押圧した際の異物からの押圧反力により外皮部が弾性変形して電極線が撓んで、複数の電極線が互いに接触して短絡したことを検出した場合に、制御回路やコンピュータ等の制御手段が駆動手段を停止、或いは反転駆動させてドアパネルと車体とによる異物の挟み込みを防止する構成である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した挟み込み防止装置では、異物が感圧センサに当接して感圧センサの外皮部を弾性変形させるまでは異物を検出しない(換言すれば、閉移動する際のドアパネルのスライド軌跡上に異物が存在しても、感圧センサの外皮部に異物が当接するまでは、異物を検出することはできない)。したがって、異物を検出するまで時間がかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、移動軌跡上の異物を早急に検出できる異物検出装置及び異物検出方法を得ることが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の異物検出装置は、移動終点へ向けて移動する移動体の前記移動終点と前記移動体との間の移動軌跡上の異物を検出する異物検出装置であって、前記移動体の移動方向側端部及び前記移動終点側の所定位置の何れか一方に設けられ、何れか他方へ向けて前記移動軌跡に沿って自らを通る仮想線を境にした線対称の略放射状に一定の出力の信号を発信する発信手段と、前記発信手段から発信されて前記何れか他方で反射された信号を受信するまでの時間が互いに等しくなる前記何れか一方の所定位置に設けられた一対の受信手段と、前記一対の受信手段の各々が同時に受信した前記信号の強度を比較する比較手段と、を備え、前記何れか他方の前記仮想線よりも上側で反射した前記信号を前記一対の受信手段の一方が受信し、前記何れか他方の前記仮想線よりも下側で反射した前記信号を前記一対の受信手段の他方が受信すると共に、前記比較手段により得られた前記一対の受信手段の各々で受信した前記信号の差異に基づき前記異物を検出する、ことを特徴としている。
【0008】
上記構成の異物検出装置によれば、移動体の停止状態若しくは移動終点へ向けて移動体が移動している状態で、移動体の移動方向側端部及び移動終点側の所定位置の何れか一方に設けられた発信手段から一定の出力で信号が発信される。信号は移動体の移動軌跡に沿って発信手段を通る仮想線を境とする線対称の略放射状に移動体の移動方向側端部及び移動終点側の所定位置の何れか他方に向けて発信される。
【0009】
移動体の移動軌跡上に異物が存在しない場合には、発信手段から発信された信号のうち、上記の仮想線よりも上側にて前記何れか他方の側で反射された信号が、前記何れか一方に設けられた一対の受信手段の一方により受信される。また、発信手段から発信された信号のうち、上記の仮想線よりも下側にて前記何れか他方の側で反射された信号が、前記何れか一方に設けられた一対の受信手段の他方により受信される。
【0010】
この状態における受信手段の各々は、発信手段から信号が略放射状に発信さてから受信するまでの時間が等しくなるように設けられているため、受信手段が同時に受信した信号の強度を比較手段で比較すると、各受信手段毎の信号の強度には基本的に差異はない。
【0011】
一方、移動体の移動軌跡上に異物が存在すると、発信手段から発信された信号の一部は前記何れか他方の側の所定位置に到達することなく、異物で信号が反射されて一対の受信手段の何れかで受信される。このように異物で反射される信号は、前記何れか他方に到達していないために、前記何れか他方で反射される本来の場合とは信号が辿る行路(行程)の長さが異なる。したがって、発信手段から発信されてから受信手段に受信されるまでの時間が異物が存在しない場合の本来の時間とは長さが異なる。このため、異物で反射された信号を受信する受信手段では、本来受信する筈の信号が受信されないか、或いは、本来受信する筈のない信号が受信されるかの何れかの現象が生じる。本来受信する筈の信号が受信されなければ、この受信手段が受信した信号の強度は他の受信手段で同時に受信した信号の強度よりも弱くなり、また、本来受信する筈のない信号が受信されれば、この受信手段が受信した信号の強度は他の受信手段で同時に受信した信号の強度よりも強くなる。
【0012】
このように、移動軌跡上の異物で信号が反射した場合に各受信手段で同時に受信した信号の強度には差異が生じるため、比較手段により信号の強度を比較して強度の差異の有無を検出することで移動軌跡上の異物の有無が検出される。
【0013】
なお、本発明において、移動終点側の所定位置は、移動体の移動終点である必要はない。すなわち、移動終点を介して移動体とは反対側に移動体と移動終点との間の空間が存在するような場合には、移動終点を介して移動体とは反対側に発信手段を設けたり、或いは、移動終点を介して移動体とは反対側に信号を反射させたりしてもよい。
【0014】
また、移動終点側の所定位置は、動くことのない一定の位置でもよいし、移動終点側の所定位置が移動体の移動に連動して変位する構成でもよい。
【0015】
請求項2記載の異物検出装置は、請求項1記載の異物検出装置において、前記発信手段及び一対の受信手段を、前記移動体の移動方向側端部、又は、前記移動軌跡を介して前記移動体の移動方向側端部と対向するように前記移動終点に設けられた固定体に設けたことを特徴としている。
【0016】
上記構成の異物検出装置によれば、発信手段及び受信手段が移動体の移動方向側端部、又は、移動終点に設けられた固定体に設けられており、発信手段から発信された信号は、移動体の移動軌跡上を介して移動体及び固定体のうちの発信手段及び受信手段が設けられていない側へ向けて発信される。上述したように、移動軌跡上に異物が存在する場合には、発信手段から発信された信号が異物で反射され一対の受信手段の何れかにより受信されて、各受信手段が受信された信号の強度の差異を比較することで移動軌跡上の異物の有無が検出される。
【0017】
ここで、移動終点には固定体が設けられており、仮に、移動軌跡上に異物が存在して移動中の移動体がその移動方向側端部で押圧すると、いずれは移動体の移動方向側の端部と固定体との間で異物を挟み込ことが考えられる。特に、モータ等の駆動手段により移動体を自動的に移動させるような構成であれば、手動で移動体を移動させる構成よりも、異物の存在を人が直接確認できない可能性があるため異物を挟み込む可能性は高くなる。しかしながら、本発明では、上述したように、移動体の移動軌跡上の異物を検出できる。したがって、例えば、比較手段が各受信手段で受信した信号の強度の差異を検出して移動軌跡上の異物を検出した場合に、音や光等の警報を発する警報手段や、また、駆動手段を停止させたり、或いは駆動手段を反転駆動させる制御回路等の制御手段を設けることで、移動体と固定体とによる異物の挟み込みを防止できる。
【0018】
請求項3記載の異物検出装置は、請求項1又は請求項2記載の異物検出装置において、前記移動体の移動方向側端部に沿った方向の前記移動体の移動方向側端部中心、又は、前記移動体の移動方向に沿って前記移動方向側端部中心と対向した前記移動終点の所定位置に前記発信手段を設けたことを特徴としている。
【0019】
上記構成の異物検出装置によれば、発信手段を移動体の移動方向側端部に沿った方向の移動体の移動方向側端部中心、又は、移動体の移動方向に沿って移動方向側端部中心と対向した移動終点側の所定位置に設けられている。したがって、発信手段から発信された信号は、移動体の移動方向側端部及び移動終点位置側の所定位置のうち、発信手段が設けられていない側へ到達するまでの間に、移動体の移動軌跡上を通り且つ発信手段を通る仮想線を境に線対称に広がり、これにより、前記何れか他方で反射した場合の信号も線対称となる。このため、基本的に発信手段を介して等距離の位置に受信手段を配置することができ、一対の受信手段を発信手段に近接配置できる(すなわち、一対の受信手段のうち何れかを他の受信手段に比べて発信手段から遠い位置に配置しなくてもよい)。このため、発信手段と受信手段とをユニット化した場合の全体的な小型化が可能となる。
請求項4記載の異物検出装置は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の異物検出装置において、前記放射状に発信された前記信号のうち、前記何れか他方を介した前記発信手段から前記一対の受信手段までの最短の行路を辿る前記信号を前記一対の受信手段の各々が受信開始してから、最長の行路を辿る前記信号を前記一対の受信手段の各々が受信終了するまでの間の前記信号強度の波形を前記比較手段が比較する、ことを特徴としている。
上記構成の異物検出装置によれば、信号は発信手段から発信されてから前記何れか他方にて反射されて一対の受信手段の各々に受信される。ここで、信号の行路の長さは前記何れか他方での受信位置によって異なる。したがって、最短の行路を辿った信号は最も早く受信手段にて受信され、最長の行路を辿った信号は最も遅く受信手段に受信される。
ここで、本発明に係る異物検出装置では、最短の行路を辿った信号の受信を開始してから最長の行路を辿った信号の受信が終了するまで一対の受信手段の各々によって信号が受信される。これにより、一対の受信手段の各々では、最短の行路を辿った信号の受信が終了するまでに、最短行路よりも長い行路を辿った信号が受信される。このため、一対の受信手段の各々で受信する信号の強度は、時間の経過に伴い漸次大きくなる。
また、発信手段における信号の発信が停止されると、最短行路を辿った信号から漸次消えていくため、一対の受信手段の各々で受信する信号の強度は、時間の経過に伴い漸次小さくなる。
ところで、移動軌跡間の異物に信号が反射されると、信号の行路が前記何れか一方で反射される信号の最短行路よりも短くなるため、本来の最短行路を辿った信号よりも早く一対の受信手段の何れかに受信される。また、異物で反射された信号は本来の行路を辿らないため、この本来の行路を辿る信号が受信手段に受信されない。これにより、一対の受信手段の一方と他方とで、時間の経過に伴う信号の波形に変化が生じる。
このような信号波形の変化が比較手段により比較され、この比較結果にに基づいて異物が検出される。
【0020】
請求項記載の異物検出方法は、移動終点へ向けて移動する移動体の前記移動終点と前記移動体との間の移動軌跡上の異物を検出する異物検出方法であって、前記移動体の移動方向側端部及び前記移動終点側の所定位置の何れか一方から何れか他方へ向けて前記移動軌跡に沿って略放射状に一定の出力の信号を発信して、前記何れか一方から発信されて前記何れか他方で反射された信号を受信するまでの時間が互いに等しくなる前記何れか一方での一対の受信位置の一方、前記移動軌跡に沿って前記信号の発信位置を通る仮想線よりも上側にて前記何れか他方の側で反射した信号を受信すると共に、前記何れか他方の側の前記仮想線よりも下側で反射した信号を前記一対の受信位置の他方で受信し、前記一対の受信位置の各々で同時に受信した信号の強度を比較して、前記比較により得られた前記一対の受信位置の各々で受信した信号の所定値以上の差異を検出することで前記移動軌跡上の異物を検出する、ことを特徴としている。
【0021】
上記構成の異物検出方法によれば、移動体の停止状態若しくは移動終点へ向けて移動体が移動している状態で、移動体の移動方向側端部及び移動終点側の何れか一方の発信位置から一定の出力で信号が発信される。信号は移動体の移動軌跡に沿って発信位置を通る仮想線を境とする線対称の略放射状に移動体の移動方向側端部及び移動終点側の所定位置の何れか他方に向けて発信される。前記何れか一方の一対の受信位置は、信号が何れか一方から発信されて各受信位置で信号を受信するまでの時間が互いに等しくなるように設定される。このため、通常の状態で各受信位置で同時に受信した信号の強度を比較すると、各受信位置毎の信号の強度には基本的に差異はない。
【0022】
ここで、移動体の移動軌跡上に異物が存在すると、前記何れか一方から発信された信号の一部が異で反射されて何れかの受信位置で受信される。このように異物で反射される信号は、前記何れか他方に到達していないために、前記何れか他方で反射される本来の場合とは信号が辿る行路(行程)の長さが異なる。したがって、前記何れか一方から信号が発信されてから受信位置で受信されるまでの時間が異物が存在しない場合の本来の時間とは長さが異なる。
【0023】
このため、この異物で反射された信号を受信した受信位置では、本来受信する筈の信号が受信されないか、或いは、本来受信する筈のない信号が受信されるかの何れかの現象が生じる。本来受信する筈の信号が受信されなければ、この受信位置で受信した信号の強度は他の受信位置で同時に受信した信号の強度よりも弱くなり、また、本来受信する筈のない信号が受信されれば、この受信位置で受信した信号の強度は他の受信位置で同時に受信した信号の強度よりも強くなる。
【0024】
このように、移動軌跡上の異物で信号が反射した場合に各受信位置で同時に受信した信号の強度には差異が生じるため、信号の強度を比較して強度の差異の有無を検出することで移動軌跡上の異物の有無が検出される。
【0025】
なお、本発明において、移動終点側の所定位置は、移動体の移動終点である必要はない。すなわち、移動終点を介して移動体とは反対側に移動体と移動終点との間の空間が存在するような場合には、移動終点を介して移動体とは反対側に発信手段を設けたり、或いは、移動終点を介して移動体とは反対側に信号を反射させたりしてもよい。
【0026】
また、移動終点側の所定位置は、動くことのない一定の位置でもよいし、移動終点側の所定位置が移動体の移動に連動して変位する構成でもよい。
【0027】
請求項記載の異物検出方法は、請求項記載の異物検出方法において、前記移動体の移動方向側端部、又は、前記移動軌跡を介して前記移動体の移動方向側端部と対向するように前記移動終点に設けられた固定体から前記信号を発信することを特徴としている。
【0028】
上記構成の異物検出方法によれば、移動体の移動方向側端部、又は、移動終点に設けられた固定体から、移動体の移動軌跡上を介して移動体の移動方向側端部及び固定体のうちの他方へ向けて信号が発信される。上述したように、移動軌跡上に異物が存在する場合には、信号が異物で反射され移動体の移動方向側端部、及び、移動終点に設けられた固定体のうちの信号が発信された側の一対の受信位置の何れかで受信されて、各受信位置での信号の強度を比較することで移動軌跡上の異物の有無が検出される。
【0029】
ここで、移動終点には固定体が設けられており、仮に、移動軌跡上に異物が存在して移動中の移動体がその移動方向側端部で押圧すると、いずれは移動体の移動方向側の端部と固定体との間で異物を挟み込ことが考えられる。特に、モータ等の駆動手段により移動体を自動的に移動させるような構成であれば、手動で移動体を移動させる構成よりも、異物の存在を人が直接確認できない可能性があるため異物を挟み込む可能性は高くなる。しかしながら、本発明では、上述したように、移動体の移動軌跡上の異物を検出できる。したがって、例えば、信号波形の比較結果に応じて音や光等の警報を発したり、また、駆動手段を駆動を停止させたり、或いは駆動手段を反転駆動させることで、移動体と固定体とによる異物の挟み込みを防止できる。
【0030】
請求項記載の異物検出方法は、請求項又は請求項記載の異物検出方法において、前記移動体の移動方向側端部に沿った方向の前記移動体の移動方向側端部中心、又は、前記移動体の移動方向に沿って前記移動方向側端部中心と対向した前記移動終点の所定位置から前記信号を発信することを特徴としている。
【0031】
上記構成の異物検出方法によれば、移動体の移動方向側端部に沿った方向の移動体の移動方向側端部中心、又は、移動体の移動方向に沿って移動方向側端部中心と対向した移動終点側の所定位置から信号が発信される。したがって、発信された信号は、移動体の移動方向側端部及び移動終点位置側の所定位置の信号が発信されない側へ到達するまでの間に、移動体の移動軌跡上を通り且つ信号の発信位置を通る仮想線を境に線対称に広がり、移動体及び移動終点位置側の所定位置のうちの信号が発信されない側で反射した場合の信号も線対称となる。
【0032】
このため、信号の発信位置を介して等距離の位置に信号の受信位置を設けることができ、したがって、一対の受信位置を発信位置に近接させて設けることがきる(すなわち、一対の受信位置のうち何れかを他の受信位置に比べて発信位置から遠い位置に設けなくてもよい)。このため、信号を発信する発信素子やスピーカ等の発信手段と信号を受信する受信素子やマイク等の受信手段とをユニット化した場合の全体的な小型化が可能となる。
請求項8に記載の異物検出方法は、請求項5乃至請求項7の何れか1項に記載の異物検出方法において、前記放射状に発信された前記信号のうち、前記何れか他方での反射位置を介した前記信号の発信位置から前記一対の受信位置までの最短の行路を辿る前記信号の受信を開始してから、最長の行路を辿る前記信号の受信を終了するまでの間の前記信号強度の波形を比較する、ことを特徴としている。
上記構成の異物検出方法によれば、発信位置から発信された信号は前記何れか他方にて反射されて一対の受信位置の各々で受信される。ここで、信号の行路の長さは前記何れか他方での受信位置によって異なる。したがって、最短の行路を辿った信号は最も早く受信位置に到達し、最長の行路を辿った信号は最も遅く受信位置に到達する。
ここで、本発明に係る異物検出方法では、最短の行路を辿った信号の受信が開始されてから最長の行路を辿った信号の受信が終了するまで一対の受信位置の各々によって信号が受信される。これにより、一対の受信位置の各々では、最短の行路を辿った信号の受信が終了するまでに、最短行路よりも長い行路を辿った信号が受信される。このため、一対の受信位置の各々に到達した信号の強度は、時間の経過に伴い漸次大きくなる。
また、信号の発信が停止されると、最短行路を辿った信号から漸次消えていくため、一対の受信位置の各々に到達する信号の強度は、時間の経過に伴い漸次小さくなる。
ところで、移動軌跡間の異物に信号が反射されると、信号の行路が前記何れか一方で反射される信号の最短行路よりも短くなるため、本来の最短行路を辿った信号よりも早く一対の受信位置の何れかに到達する。また、異物で反射された信号は本来の行路を辿らないため、この本来の行路を辿る信号が受信位置に到達しない。これにより、一対の受信位置の一方と他方とで、時間の経過に伴う信号の波形に変化が生じる。
このような信号波形の変化が比較され、この比較結果にに基づいて異物が検出される。
【0033】
【発明の実施の形態】
図3には本発明の一実施の形態に係る異物検出装置10を自動スライドドア装置12の挟み込み防止装置14に適用した車両16の概略的な構成が示されており、図1には挟み込み防止装置14の構成がブロック図によって示されている。挟み込み防止装置14の構成の説明に先立って自動スライドドア装置12の構成の概略を簡単に説明する。
【0034】
(自動スライドドア装置12の構成の概略)
図3に示されるように、車両16は移動体としてのドアパネル20を備えている。ドアパネル20は、車両16の側壁22の外側を側壁22に沿って車両16の前後方向へ向けてスライド可能とされており、側壁22に沿ってスライドすることで側壁22に形成された乗員乗降用の矩形の乗降口24を開閉できるようになっている。
【0035】
また、図5に示されるように、側壁22の下端部には、車幅方向内側へ向けて延出されたブラケット26が一体的に固定されている。このブラケット26の先端部にはローラ28が軸支されており、更に、ローラ28は車両16のフロアパネル(図示省略)の裏面側に設けられたガイドレール30の車幅方向外側面へ当接している。このローラ28はガイドレール30との摩擦で転動しながら概ね車両16の前後方向に沿って移動できるようになっている。また、このガイドレール30の近傍には車両16の上下方向を軸方向としてその軸周りに回転するプーリ34と駆動ローラ36が設けられており無端ベルト38が掛け回されている。この無端ベルト38には上述したブラケット26が固定されており、無端ベルト38の回転によりブラケット26が移動するとガイドレール30に沿ってローラ28が転動し、更に側壁22が移動するようになっている。
【0036】
駆動ローラ36は、図1に示されるスライドアクチュエータ40へ接続されており、スライドアクチュエータ40に設けられた駆動手段としてのスライドモータ42(図1参照)の駆動力によって無端ベルト38が回転するようになっている。また、図1に示されるように、スライドアクチュエータ40は制御手段を構成するスライドドライバ44を備えている。スライドモータ42はスライドドライバ44を介して制御手段を構成する制御回路46へ電気的に接続されており、さらに、この制御回路46を介して、例えば、車両16の運転席近傍に設けられた操作スイッチ48へ電気的に接続され、この操作スイッチ48を操作して制御回路46へ所定の信号を送ることでスライドアクチュエータ40を作動或いは停止させてドアパネル20をスライドさせることができるようになっている。
【0037】
さらに、スライドモータ42はスライドドライバ44を介して車両16の適宜位置に配置されているバッテリー50へ接続されており、スライドドライバ44がバッテリー50からスライドモータ42への電力の供給を調整する。
【0038】
一方、ドアパネル20の上下方向中間部と上端部には車幅方向内側へ向けて延出されると共に先端にローラが取り付けられたブラケット(何れも図示省略)が設けられている。これらのブラケットのローラは側壁22の適宜位置に設けられたガイドレールのガイド溝(何れも図示省略)へ抜け止めされた状態で入り込んでおり、ガイドレールに沿って転動する。すなわち、これらのブラケットに設けられたローラ及びガイドレールは、ドアパネル20のスライドのための案内用であると共に、側壁22からのドアパネル20の抜け落ちを防止するための支持用として主に機能する。
【0039】
(挟み込み防止装置14の構成)
また、図1に示されるように自動スライドドア装置12は主に異物検出装置10によって構成される挟み込み防止装置14を備えている。異物検出装置10は超音波センサ60を備えている。図3に示されるように、超音波センサ60は乗降口24の車両前方側の端部62の上下方向略中央部に設けられている。ここで、特許請求の範囲と照合して側壁22や端部62を説明すると、移動体としてのドアパネル20が乗降口24を閉止するために閉移動した際(すなわち、ドアパネル20が車両16の前方へスライドした際)の移動終点が端部62となり、固定体が側壁22となる。
【0040】
図2に示されるように、超音波センサ60は端部62へ取り付けられた状態で車両16の後方側へ向いた側の端部が開口した略箱形状若しくは有底筒形状のフレーム64を備えている。このフレーム64の開口端には発信手段としてのスピーカ66が設けられている。このスピーカ66は超音波センサ60を端部62へ取り付けた状態で端部62の上下方向中央に位置し、車両16の後方へ向けて略放射状に音を発する。
【0041】
スピーカ66にはリード線68が接続されており、このリード線68を介して直接或いは間接的に車両16内の適宜位置に設けられた発信器70(図1参照)へ電気的に接続され、発信器70が作動することでスピーカ66から超音波Sが発信されるようになっている(すなわち、上述した『音』がこの『超音波S』で特許請求の範囲で言うところの『信号』に相当する)。また、発信器70はリード線等の図示しない接続手段を介して、上述した制御回路46と共に挟み込み防止装置14の制御手段を構成する異物検知回路72へ電気的に接続されている。この異物検知回路72は制御回路46からの操作スイッチ48に基づく指示信号を受信した場合に発信器70を作動させてスピーカ66から超音波Sを発生させるようになっている。
【0042】
一方、図2に示されるように、フレーム64の開口端側にはスピーカ66に隣接して一対の受信手段としての一対のマイク76、78が設けられている。マイク76はスピーカ66の上方に設けられており、スピーカ66を通る車両16の前後方向に沿った仮想線Lよりも上側からの超音波Sを拾うよう、車両16の後上方へ傾いた状態で配置されている。一方、マイク78はスピーカ66の下方に設けられており(すなわち、スピーカ66を介して車両16上下方向に沿ってマイク76と対向配置されており)、仮想線Lよりも下側からの超音波Sを拾うよう、車両16の後下方へ傾いた状態で配置されている。
【0043】
これらのマイク76、78にはリード線80、82が接続されており、これらのリード線80、82を介して車両16内の適宜位置に設置されている波形整形回路86(図1参照)へ電気的に接続され、超音波Sを受信したマイク76、78は超音波Sの音量(すなわち特許請求の範囲で言うところの信号の『強度』に相当)に応じた電圧の電気信号V2、V3を波形整形回路86へ送信する。この波形整形回路86では、マイク76、78から送信された電気信号V2、V3に含まれるノイズ電圧等を消去する。
【0044】
また、この波形整形回路86は車両16内の適宜位置に設置されている比較手段としての波形比較回路88へ電気的に接続されており、波形整形回路86を介してマイク76、78から送信された電気信号V2、V3を比較すると共に、各マイク76、78で同時に受信した超音波Sの音量に対応した電気信号V2、V3の電圧値に所定値以上の差異があった場合には異物検知信号を発信する。
【0045】
さらに、図1に示されるように、波形比較回路88はリード線等の接続手段を介して異物検知回路72へ電気的に接続されており、波形比較回路88が出力した異物検知信号は異物検知回路72へ入力される。異物検知回路72は波形比較回路88が発信した異物検知信号を受信すると、制御回路46に対して信号を発信し、制御回路46及びスライドドライバ44を介してスライドモータ42を反転駆動させるようになっている。
【0046】
(本実施の形態の作用、効果)
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0047】
上記の車両16では、ドアパネル20が乗降口24を閉止している状態で乗員が操作スイッチ48を操作すると、制御回路46がスライドドライバ44を操作し、バッテリー50からスライドモータ42へ電力を供給させてスライドモータ42を正転駆動させる。これにより、駆動ローラ36が正転して無端ベルト38を回転させ、ドアパネル20を側壁22に沿って車両16の後方へ向けてスライド(開移動)させる。これによって、それまで閉止されていた乗降口24(すなわち、ドアパネル20の前端部と側壁22の端部62との間の空間)が開放され、乗降口24を介して乗員が乗降できるようになる。
【0048】
また、乗降口24を開放(全開状態のみならず中途開放も含む)した状態で乗員が操作スイッチ48を操作すると、制御回路46がスライドドライバ44を操作してバッテリー50からスライドモータ42へ電力を供給させてスライドモータ42を逆転駆動させる。これにより、駆動ローラ36が逆転して無端ベルト38を回転させ、ドアパネル20を側壁22に沿って車両16の前方へ向けてスライドさせる。これによって、乗降口24がドアパネル20に閉止される。
【0049】
さらに、図9のタイムチャートに示されるように、ドアパネル20を閉移動させるべく操作スイッチ48を操作すると、制御回路46から異物検知回路72へ作動開始の信号が所定時間毎に出力され(すなわち、パルス状に出力され)、操作スイッチ48の操作開始時T0から所定時間経過後のT1に異物検知回路72が発信器70を作動させて図6の電圧波形に対応した超音波Sがスピーカ66から車両後方へ向けて放射状で且つ断続的に発せられる。スピーカ66から発せられた超音波Sは、乗降口24の内周上端部、内周下端部、及びドアパネル20の前端部にて反射し、車両16の前方向へ向けて進行方向が変更されることで、マイク76又はマイク78によって拾われる(すなわち、信号が受信される)。次いで、各マイク76、76が超音波Sを拾うと、その音量に応じた電圧の電気信号V2、V3を連続して波形整形回路86へ発信し、波形整形回路86に受信された電気信号V2、V3のノイズ電圧等が除去される。
【0050】
ところで、スピーカ66は端部62の上下方向中央に設けられているため、スピーカ66から発せられた超音波Sは仮想線Lを境に線対称に広がり、乗降口24の内周上端部、内周下端部、及びドアパネル20の前端部で反射してマイク76又はマイク78に拾われる。
【0051】
この超音波Sがスピーカ66から発せられてからマイク76又はマイク78に拾われるまでの時間(すなわち、図6において超音波Sが発せられたT1と図7においてマイク76又はマイク78に超音波Sが拾われ始めたT3との時間差)は、基本的にスピーカ66から各方向へ発せられた超音波Sが辿る行路(すなわち、スピーカ66からマイク76又はマイク78までの超音波Sの経路)の長さによって決まる。したがって、全超音波Sのうち最短行路を辿った超音波Sが最も早くマイク76又はマイク78に拾われる。したがって、図7に示されるように、各マイク76、78から発信された電気信号V2、V3の電圧値は、各マイク76、78が超音波Sを拾い始めた状態では電圧値が小さい。時間の経過に伴い、漸次遠い行路を辿った超音波Sがマイク76又はマイク78に拾われるが、この状態でもスピーカ66から超音波Sが発せられる限りは最短行路を辿った超音波Sもマイク76又はマイク78に拾われるため、図7に示されるように、電気信号V2、V3の電圧値は時間の経過に伴って漸次電圧値が大きくなる。
【0052】
次いで、スピーカ66からの超音波Sの発信が停止されると、最短行路を辿った超音波Sから漸次消えていくため、電気信号V2、V3の電圧値は時間の経過に伴って漸次電圧値が小さくなる。
【0053】
ここで、スピーカ66は端部62の上下方向中央の仮想線L上に設けられているため、スピーカ66から出力された超音波Sは仮想線Lを境に線対称的に広がり、更には仮想線Lを境に線対称的に反射して各マイク76、78に拾われる。このため、各マイク76、78が拾う超音波Sの音量は時間の経過に伴い変化するものの基本的に同音量の超音波Sを同時に拾う。したがって、図7に示されるように、電気信号V2、V3は基本的に同一形状の波形を形成する。
【0054】
ところで、図4に示されるように、ドアパネル20の前端部と側壁22の端部62との間(すなわち、閉移動の際のドアパネル20の移動軌跡上)で、且つ、仮想線Lよりも下側に異物92が存在すると、スピーカ66から発せられた超音波Sが異物92で反射してマイク78に拾われる。
【0055】
ここで、異物92は、ドアパネル20の前端部と側壁22の端部62との間に位置するため、当然、端部62から異物92までの距離は端部62からドアパネル20の前端部までの距離よりも短く、したがって、異物92で反射してマイク78で拾われる超音波Sの行路は異物92で反射せずにそのまま乗降口24の内周上端部、内周下端部、及びドアパネル20の前端部まで到達して進行方向を変えてマイク78で拾われる超音波Sの行路よりも短くなる。このため、異物92で反射した超音波Sはスピーカ66にて発信されてからマイク78で拾われるまでの時間も短くなり、T3よりも早いT2の時点で異物92に反射した超音波Sがマイク78に拾われる(すなわち、本来拾われる筈のない超音波Sがマイク78に拾われる)。
【0056】
ここで、図8には、異物92が存在する場合でのパルス1回分の超音波Sを各マイク76、78が拾い始めてから終了するまでの時間の経過に伴う電気信号V2、V3の電圧値の変化の一例が示されている。この図に示されるように、異物92で反射した超音波Sはその行路が短いが故に本来の最短行路を辿った超音波Sよりも早くマイク78に拾われる。このため、マイク76で拾われた超音波Sの音量に応じた電気信号V2よりもマイク78で拾われた超音波Sの音量に応じた電気信号V3の方が早く立ち上がる(すなわち、マイク78がマイク76よりも早く超音波Sの音量に応じた電気信号V3を発信する)。その後に最短行路を辿った超音波Sから順にマイク78に拾われるため、時間の経過に伴い電気信号V3の電圧値が上昇する。但し、異物92に反射せずに本来の行路を辿ってマイク78に拾われる筈の超音波Sは、異物92で反射されることで既にマイク78に拾われているため、本来この超音波Sがマイク78に拾われるべき時間に超音波Sが拾われず、このときには、電気信号V3の電圧値の上昇の度合いが本来の電圧値の上昇の度合いよりも小さくなる。
【0057】
したがって、異物92で反射した超音波Sをマイク78が拾うことでマイク78から発信された電気信号V3の波形がマイク76から発信された電気信号V2の波形とは形状が異なってしまう(すなわち、各マイク76、78が同時に拾った超音波Sの音量が一時的に異なった状態となる)。
【0058】
以上の2つの電気信号V2、V3の波形の差異(すなわち、各マイク76、78から同時に発信された電気信号V2、V3の電圧値の差異)を波形比較回路88が検出することでドアパネル20の移動軌跡上に存在する異物92を検出できる。
【0059】
次いで、波形比較回路88が異物92を検出すると、波形比較回路88は異物検出信号を発信し(すなわち、図9に示されるように波形比較回路88がON状態となり)、この異物検出信号を異物検知回路72が受信することで異物検知回路72は制御回路46を介してスライドドライバ44を操作する。これにより、スライドモータ42を反転駆動(すなわち、ドアパネル20を開移動させる方向への駆動)させるべくスライドドライバ44がスライドモータ42を操作する。これにより、ドアパネル20の前端部と側壁22の端部62とによる異物92の挟み込みを防止できる。
【0060】
ここで、上述したように、本異物検出装置10では、異物92がドアパネル20の前端部から離間していても、スピーカ66から発せられた超音波Sが異物92で反射してマイク76又はマイク78で拾われれば、異物92を検出できる(すなわち、異物92がある位置までドアパネル20が移動しなくても異物92を検出できる)。このため、異物92からの押圧反力を検知して異物92を検出する感圧センサを用いた異物検出装置よりも早く異物92を検出できる。
【0061】
また、基本的には各マイク76、78で拾った超音波Sの音量の差異を検出して異物92を検出する構成としたため、ドアパネル20側へではなく側壁22の端部62側にセンサ(すなわち、超音波センサ60)を設けることが可能となる。このため、リード線68、80、82や各回路等を接続するリード線等の接続手段の取り回しが容易となる。
【0062】
すなわち、感圧センサを用いた異物検出装置では、側壁22の端部62に感圧センサを設けると、閉移動するドアパネル20の前端部に押圧された異物92が感圧センサに当たって感圧センサを押圧するまで異物92を検出することができないため、基本的に感圧センサをドアパネル20の前端部に設ける必要がある。ここで、ドアパネル20は側壁22等に対して相対的に移動する構成であるため、感圧センサに電力を供給するバッテリーや感圧センサが押圧反力を受けたか否かを判定するための判定手段等の感圧センサ以外の各装置の何れかでもドアパネル20とは異なる位置(すなわち、ドアパネル20がスライドした際にはドアパネル20に対して相対的に移動するような位置)に設けた場合には、摺動接点を用いてその装置と他の装置(感圧センサを含む)を接続したり、また、仮にリード線等で直接接続する場合でもその取り回しが困難であった。
【0063】
しかしながら、本実施の形態では、側壁22の端部62側にセンサ(すなわち、超音波センサ60)を設けているため、超音波センサ60を含めて全ての回路や装置をドアパネル20以外の位置に設置した場合に、ドアパネル20がスライドすることによる回路や装置間の相対移動が生じることはない。したがって、リード線等で装置や回路を容易に直接接続することができる。
【0064】
但し、本発明の主旨からすれば、リード線等の取り回しが容易にできるという効果は、あくまでも側壁22の端部62側にセンサ(すなわち、超音波センサ60)を設けることによる付随的な効果であり、超音波センサ60をドアパネル20の前端部に設け、スピーカ66から端部62へ向けて(すなわち、車両16の前方向けて)超音波Sを発する構成としてもよい。
【0065】
また、本異物検出装置10はマイク76、78の双方で拾った(受信した)超音波Sを電気信号に変換してその波形を比較することで異物92の有無を検出する構成であるため、異物92が無い場合の波形(標準波形)を予め記憶するための記憶素子等が不要である。しかも、異物92が無い場合の波形を予め記憶素子等に記憶させておき、ドアパネル20の位置に対応した標準波形を引き出す場合には、ドアパネル20を閉じ移動させる際に随時ドアパネル20の位置を検出しなければならず、そのための位置検出装置が必要となるが、上述した理由により、このような位置検出装置も不要である。
【0066】
さらに、本異物検出装置10では、スピーカ66を仮想線L上に設置することで、通常時(すなわち、異物92が存在しない場合)にドアパネル20の前端部等で反射する超音波Sを仮想線Lを境に線対称としたため、マイク76、78をスピーカ66に近接配置することができ、結果的に超音波センサ60を小型化できる。
【0067】
なお、本実施の形態では、本発明を車両16の自動スライドドア装置12に適用した構成であったが、自動スライドドア装置という観点からすれば、例えば、建造物や鉄道、エレベータ等、様々なところで使用される一般的な自動スライドドア装置においても適用が可能である。
【0068】
また、本実施の形態における異物検出装置10は、固定体としての側壁22の端部62と移動体としてのドアパネル20の前端部との間の異物92を検出する構成であった。しかしながら、2枚のドアパネルを有し、双方のドアパネルが互いに相反する方向へスライドすることで開閉される自動スライドドア装置(一例としては、エレベータの扉や鉄道用車両の扉に適用される自動スライドドア装置)ように、移動体の移動方向側端部と対向する側の対向物が本実施の形態とは異なり移動する構成であっても、対向物と移動体との間に異物が存在すれば、マイク76から発信される電気信号とマイク78から発信される電気信号の波形がそれぞれ異なるので、適用が可能である。さらに言えば、ドアパネル20のような移動体のみで端部62のような対向物がない場合(すなわち、移動体が移動終点に達した状態でもそれまで移動方向側に空間が有限または無限に存在する場合)であっても本発明を適用できる。すなわち、終点位置もしくは終点位置を介して移動体とは反対側に超音波センサ60を設けるか、或いは、終点位置もしくは終点位置を介して移動体とは反対側にドアパネル20の前端部に設けられた超音波センサ60から発信された超音波Sを反射可能な反射手段を設ければ、上述した作用、効果を得ることができる。
【0069】
さらに、本実施の形態では、本発明を自動スライドドア装置12の挟み込み防止装置14に適用した構成であったが、例えば、車両若しくは車両以外に適用されて手動で開閉する構成のスライドドアに本発明を適用し、異物を検出した場合には、警報音等を発する構成としてもよい。
また、本実施の形態では、超音波センサ60を端部62の上下方向中央に設けた構成であったが、超音波センサ60を端部62の上下方向中央よりも上側或いは下側に設けてもよい。但し、この場合には、通常時(すなわち、異物92が存在しない場合)にマイク76とマイク78とが拾う超音波Sの音量が同レベルになるように、マイク76及びマイク78の設置位置を調整する必要がある。
【0070】
さらに、本実施の形態では、発信手段から発信されて受信手段で受信される信号を超音波Sとしたが、基本的に、一定の速度で発信され乗降口24の内周上端部、内周下端部、端部62、ドアパネル20の前端部、及び異物92で反射する構成の信号であれば、信号の態様は超音波Sに限らず、赤外線、紫外線、レーザ光等の光を複数本略放射状に発信する構成であってもよい。但し、信号に光を用いた場合には、複数の発信手段が必要となるが、スピーカ66から発信された超音波Sは自然に放射状に広がるため、スピーカ66は1つでよい。したがって、信号に超音波Sを用いた本実施の形態はコストが安価となるメリットがある。
【0071】
また、本実施の形態を説明するうえで使用した図8の時間とマイク76、78が受信した超音波Sの音量に応じた電圧値のグラフの波形や図9のタイムチャートはあくまでも一例である。すなわち、異物92で反射した後の超音波Sの行路によっては、マイク76が通常の超音波Sを拾った後に異物92で反射した超音波Sをマイク78が拾うこともありうる。但し、この場合であっても、異物92で反射した超音波Sの行路と異物92で反射せずにそのまま乗降口24の内周上端部、内周下端部、及びドアパネル20の前端部まで到達した場合の超音波Sの本来の行路とはその長さが異なるため、本来、ある所定の時間に拾うべき筈の超音波Sがマイク78に拾われず、また、別の所定の時間に拾う筈のない超音波Sがマイク78に拾われるという現象が生じる。このため、時間の経過に伴い一時的にマイク76、78の各々から発せられた電気信号V2、V3の電圧値が異なる(すなわち、マイク76から発せられた電気信号とマイク78から発せられた電気信号の波形が異なる)ので、この電圧値の差異から異物92が存在することを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る異物検出装置を自動スライドドア装置の挟み込み防止装置として適用した場合のブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る異物検出装置の超音波センサ(発信手段及び受信手段)の構成を示す断面図である。
【図3】挟み込み防止装置を適用した車両の概略を示す側面図である。
【図4】ドアパネル(移動体)の移動軌跡上に異物がある場合の図3に対応した側面図である。
【図5】ドアパネル(移動体)の駆動機構を示す斜視図である。
【図6】スピーカ(発信手段)から発せられる超音波(信号)の音量に対応した電圧値の時間の経過に伴う変化を示すグラフである。
【図7】異物が存在しない状態において超音波(信号)を拾った各マイク(受信手段)が発信した電気信号の電圧値の時間の経過に伴う変化を示すグラフである。
【図8】異物が存在する状態において超音波(信号)を拾った各マイク(受信手段)が発信した電気信号の電圧値の時間の経過に伴う変化を示すグラフである。
【図9】異物が存在する状態での操作スイッチ、スピーカ(発信手段)、各マイク(受信手段)、及び波形比較回路(比較手段)の動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
10 異物検出装置
20 ドアパネル(移動体)
22 側壁(固定体)
62 端部(移動終点)
66 スピーカ(発信手段)
76 マイク(受信手段)
78 マイク(受信手段)
88 波形比較回路(比較手段)
S 超音波(信号)

Claims (8)

  1. 移動終点へ向けて移動する移動体の前記移動終点と前記移動体との間の移動軌跡上の異物を検出する異物検出装置であって、
    前記移動体の移動方向側端部及び前記移動終点側の所定位置の何れか一方に設けられ、何れか他方へ向けて前記移動軌跡に沿って自らを通る仮想線を境にした線対称の略放射状に一定の出力の信号を発信する発信手段と、
    前記発信手段から発信されて前記何れか他方で反射された信号を受信するまでの時間が互いに等しくなる前記何れか一方の所定位置に設けられた一対の受信手段と、
    前記一対の受信手段の各々が同時に受信した前記信号の強度を比較する比較手段と、
    を備え、前記何れか他方の前記仮想線よりも上側で反射した前記信号を前記一対の受信手段の一方が受信し、前記何れか他方の前記仮想線よりも下側で反射した前記信号を前記一対の受信手段の他方が受信すると共に、前記比較手段により得られた前記一対の受信手段の各々で受信した前記信号の差異に基づき前記異物を検出する、
    ことを特徴とする異物検出装置。
  2. 前記発信手段及び一対の受信手段を、前記移動体の移動方向側端部、又は、前記移動軌跡を介して前記移動体の移動方向側端部と対向するように前記移動終点に設けられて前記移動体との間を閉止する固定体に設けたことを特徴とする請求項1記載の異物検出装置。
  3. 前記移動体の移動方向側端部に沿った方向の前記移動体の移動方向側端部中心、又は、前記移動体の移動方向に沿って前記移動方向側端部中心と対向した前記移動終点の所定位置に前記発信手段を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の異物検出装置。
  4. 前記放射状に発信された前記信号のうち、前記何れか他方を介した前記発信手段から前記一対の受信手段までの最短の行路を辿る前記信号を前記一対の受信手段の各々が受信開始してから、最長の行路を辿る前記信号を前記一対の受信手段の各々が受信終了するまでの間の前記信号強度の波形を前記比較手段が比較する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の異物検出装置。
  5. 移動終点へ向けて移動する移動体の前記移動終点と前記移動体との間の移動軌跡上の異物を検出する異物検出方法であって、
    前記移動体の移動方向側端部及び前記移動終点側の所定位置の何れか一方から何れか他方へ向けて前記移動軌跡に沿って略放射状に一定の出力の信号を発信して、
    前記何れか一方から発信されて前記何れか他方で反射された信号を受信するまでの時間が互いに等しくなる前記何れか一方での一対の受信位置の一方で、前記移動軌跡に沿って前記信号の発信位置を通る仮想線よりも上側にて前記何れか他方の側で反射した信号を受信すると共に、前記何れか他方の側の前記仮想線よりも下側で反射した信号を前記一対の受信位置の他方で受信し、
    前記一対の受信位置の各々で同時に受信した信号の強度を比較して、
    前記比較により得られた前記一対の受信位置の各々で受信した信号の所定値以上の差異を検出することで前記移動軌跡上の異物を検出する、
    ことを特徴とする異物検出方法。
  6. 前記移動体の移動方向側端部、又は、前記移動軌跡を介して前記移動体の移動方向側端部と対向するように前記移動終点に設けられて前記移動体との間を閉止する固定体から前記信号を発信することを特徴とする請求項5記載の異物検出方法。
  7. 前記移動体の移動方向側端部に沿った方向の前記移動体の移動方向側端部中心、又は、前記移動体の移動方向に沿って前記移動方向側端部中心と対向した前記移動終点の所定位置から前記信号を発信することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の異物検出方法。
  8. 前記放射状に発信された前記信号のうち、前記何れか他方での反射位置を介した前記信号の発信位置から前記一対の受信位置までの最短の行路を辿る前記信号の受信を開始してから、最長の行路を辿る前記信号の受信を終了するまでの間の前記信号強 度の波形を比較する、
    ことを特徴とする請求項5乃至請求項7の何れか1項に記載の異物検出方法。
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