JP3730344B2 - 湿式多板クラッチの潤滑油供給機構 - Google Patents

湿式多板クラッチの潤滑油供給機構 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶用減速機等の入力軸・出力軸間に介設される、湿式多板クラッチに対する潤滑油供給機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、船舶用減速機等において、入力軸・出力軸間に湿式多板クラッチ(油圧クラッチ)を介設したものは公知となっている。例えば、特開平7−096894号公報において開示されている。
即ち、出力軸にスプラインギアを圧接して環設固定し、そのスプラインギアの外周曲面上に複数枚のスチール板を摺動自在に嵌合し、一方、入力軸に対して出力軸芯方向に摺動自在に取り付けた複数の摩擦板を、各々、スチール板とスチール板との間に配設して構成したものである。
この湿式多板クラッチのスチール板と摩擦板を、作動油圧にてスプライン上を摺動させ、全スチール板及び摩擦板を圧着して、入力軸と出力軸とがクラッチ接合することとなる。
【0003】
また、この湿式多板クラッチに対しては、特に半クラッチ時における摩擦板やスチール板の焼き付きを防止するとともに、クラッチ切り操作時に速やかに摩擦板・スチール板同士が離間する圧力を得るように潤滑油が供給される。
この潤滑油路として、従来は、前記の特開平7−096894号公報に開示されるように、スプラインギア内に、出力軸芯方向の一本の幹油路より、該スプラインギアの外周曲面に開口する(即ち湿式多板クラッチに連通する)出力軸径方向の複数の枝油路を分岐させてなる油路を、複数個、出力軸芯方向に見て、出力軸周りに放射状に穿孔配設している。
そして、該幹油路より更に出力軸径方向の一本の油路を連接して、スプラインギア内周面と出力軸外周面との圧接部分に開口させており、この開口部に対して、出力軸芯に設けた潤滑油路より分岐して、出力軸外周部に開口する出力軸径方向の油路が穿設されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記の従来における湿式多板クラッチに対する潤滑油供給機構では、湿式多板クラッチへの供給用潤滑油は、スプラインギア内周面と出力軸外周面との圧接部分より採っており、そのため、前記の如く、出力軸内において、出力軸芯に設けた潤滑油路より分岐して、出力軸外周部に開口する出力軸径方向の油路を穿設しており、この油路からの漏油のため、スプラインギアと出力軸との圧着が不十分になってしまうおそれがあった。
【0005】
更に、スプラインギア内にて、幹油路を介して、複数の枝油路に潤滑油が分岐供給される過程において、潤滑油源(出力軸とスプラインギアとの圧接部)より距離が遠い枝油路ほど、行き届く潤滑油量が少なくなる。このように、湿式多板クラッチにおける潤滑油の供給量が不均等であり、充分に潤滑油が供給されない箇所では、スチール板や摩擦板の焼き付きが生じてしまうおそれがある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上のような課題を解決すべく、次のような手段を用いるものである。
入力軸(5)に対して出力軸(1)を接離可能とすべく、出力軸(1)の周囲にスプラインギア(2)を環設固定し、該スプラインギア(2)の外周曲面上に湿式多板クラッチを取り付けた構成において、該湿式多板クラッチに対して潤滑油を供給するための機構であって、該スプラインギア(2)の端部平面に入口開口部を有し、その外周曲面に出口開口部を有する複数の潤滑油路(3)を、該スプラインギア(2)の周りに放射状に穿孔配設し、該スプラインギア(2)の端部平面に取り付けた潤滑油ハウジング(4)内に、該潤滑油路(3)の入口開口部を臨ませ、前記入力軸(5)の軸芯線上に穿設した潤滑油路(5b)に連通すべく、出力軸(1)の軸芯線上に潤滑油主路(1b)を穿設し、該潤滑油主路(1b)より径方向に連絡油路(1c)を分岐して、該連絡油路(1c)を前記潤滑油室凹部(2b)内に内嵌した潤滑油ハウジング(4)の内側に形成される潤滑油室に連通し、前記各潤滑油路(3)を、該スプラインギア(2)の端部平面に開口する出力軸芯線と平行な一本の幹油路(3a)と、該スプラインギア(2)の外周曲面に開口する出力軸径方向の複数の枝油路(3b)とを連接して構成し、該幹油路(3a)は複数の異なる長さのものを配置すると共に、長さが異なる幹油路(3a)を出力軸(1)周りに交互に配設し、各幹油路(3a)に連接する枝油路(3b)による潤滑油供給域を湿式多板クラッチの全長域の中で限定し、該一幹油路(3a)における複数の枝油路(3b)は、その幹油路(3a)の入口開口部に近いものほど口径を小さくしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の湿式多板クラッチの潤滑油供給機構について、添付の図面を基に説明する。
図1は本発明の潤滑油供給機構を採用する舶用減速機における湿式多板クラッチ配設部分の側面断面図である。
【0008】
図2はスプラインギア2の入力端側正面図、
図3は幹油路3aの長さを複数設定したスプラインギア2の側面断面図、
図4は幹油路3aの長さを複数設定し、かつ枝油路3bの口径を複数設定したスプラインギア2の側面断面図である。
【0009】
まず、図1より本発明の湿式多板クラッチ(油圧クラッチ)を有する舶用減速機の概略構成を説明する。
減速機ハウジング内に、入力軸5が軸支され、その出力側端に出力軸1の入力端嵌入部1aが回動自在に嵌入されて、入力軸5・出力軸1を連接している。
該出力軸1には、減速用ギア(図示せず)が付設されていて、減速機ハウジング10内に内設されている減速用の諸ギアと噛合して、減速作用を受け、その出力端に連接されるプロペラ(図示せず)と一体に回転するものである。
【0010】
本発明に係る湿式多板クラッチは、入力軸5と出力軸1とを直接的にクラッチ接合させて、入力軸5と同一方向に出力軸1を回転させるための前進用クラッチC1として使用されるものである。この前進用クラッチC1の構成について説明する。
出力軸1にスプラインギア2が圧接されて環設固着されており、スプラインギア2外周に形成されるスプラインに沿って、軸方向に摺動可能に多板状のスチール板6・6・・・が嵌合されている。
一方、入力軸5の端部には、一体状にクラッチハウジング8が、該スプラインギア2を囲むような状態で固設されており、該クラッチハウジング8の内周部にて、摩擦板7・7・・・が、軸方向に摺動自在に嵌合され、各摩擦板7は、各スチール板6・6間に配設される。
【0011】
入力軸5の出力側端には、軸方向に摺動自在に、前進クラッチ用作動筒9が付設されており、前進駆動時には、入力軸5内の作動油路5a内より供給される作動油圧にて、前進クラッチ用作動筒9が押され、スチール板6及び摩擦板7を押して摺動させ、全スチール板6及び摩擦板7を圧着する。
この作動油圧を少なくすれば、前進クラッチ用作動筒9の摺動量が少なくなり、前進用クラッチC1を半クラッチ状態にすることができる。
【0012】
なお、図1において、出力軸1より上側に図示される前進クラッチC1は、前進クラッチ用作動筒9に押されて接合状態となっており、下側に開示されている前進クラッチC1は、前進クラッチ用作動筒9が非作動状態で、離間状態となっている。
図1図示の出力軸1の上側と下側に図示される前進クラッチC1は、実際はスプラインギア2周囲に配設される一体のものであり、図1のようにバラバラな状態を呈することはあり得ないが、クラッチ接合状態と離間状態とを示すため、便宜上、このように図示している。
【0013】
なお、減速機ハウジング11内にて、その他の湿式多板クラッチ(油圧クラッチ)として、後進用クラッチC2が内設されている。後進駆動時には、後進クラッチ用作動筒12が、作動油圧にて後進クラッチC2を接合し、ギア機構を介して、出力軸1を入力軸5とは反対方向に回転させる。(この時、前進クラッチC1は離間されているので、出力軸1は入力軸5に対して自由に回動自在となっている。)
【0014】
本発明に係る湿式多板クラッチである前進クラッチC1への潤滑油供給機構について図1乃至図4より説明する。
スプラインギア2の中心部にて、出力軸1を嵌合するための出力軸孔2aを貫通させるとともに、その入力軸5への連接側の端部平面には、図1の如くに潤滑油ハウジング4を内嵌可能に、潤滑油室用凹部2bを凹設している。そして、該スプラインギア2内において、潤滑油室凹部2bにおける該端部平面に入口開口部を有し、かつ、外周曲面に出口開口部を有して、両開口部を連通する潤滑油路3・3・・・を、図2の如く、出力軸孔2aの周りに放射状に配設している。
【0015】
各潤滑油路3は、スプラインギア2の端部平面に入口開口部を有する軸芯線と平行な一本の幹油路3aより、スプラインギア2の外周曲面に出口開口部を有する複数の径方向の枝油路3b・3b・・・を分岐させた構成となっている。
【0016】
ここで、前進クラッチC1への潤滑油の供給過程について図1より説明する。
入力軸5の軸芯線上に穿設した潤滑油路5bに連通すべく、出力軸1の軸芯線上に潤滑油主路1bが穿設されており、該潤滑油主路1bより径方向に連絡油路1cが分岐して、潤滑油室凹部2b内に内嵌した潤滑油ハウジング4の内側に形成される潤滑油室に連通している。
内燃機関が駆動されて入力軸5が回転すると、該潤滑油路5b内を出力軸1に向けて潤滑油が流れ、該潤滑油主路1b及び連絡油路1cを介して、潤滑油ハウジング4内に形成される潤滑油室に潤滑油が供給され、該潤滑油室に向けられた各潤滑油路3の幹油路3aの入口開口部に潤滑油が導入され、各潤滑油路3の枝油路3b・3b・・・のスプラインギア2の外周曲面における出口開口部より潤滑油が流出して、前進クラッチC1に潤滑油が供給されるのである。
【0017】
本発明では、このように、前進クラッチC1への潤滑油を、潤滑油ハウジング4を出力軸1、及びスプラインギア2の端部平面に取り付けて形成した潤滑油室より導入するものとすることにより、従来技術で述べたような、出力軸1外周面とスプラインギア2内周面との接合部に潤滑油を供給する油路は不要となり、この油路からの漏油によって出力軸1とスプラインギア2との圧着が不十分になるという事態は回避される。
【0018】
なお、出力軸1よりスプラインギア2を脱却するには、潤滑油を出力軸1とスプラインギア2との圧接部に流し込み、この部分に潤滑性を付与して圧着度を緩和する。この圧油供給のため、出力軸1外周に抜き用油溝1fを設け、抜き用油路1d・1eにより、潤滑油ハウジング4内の潤滑油室に連通させている。該抜き用油路1dの潤滑油室への開口部には、通常、栓10を施して、抜き用油路1d・1e・抜き用油溝1fに潤滑油が浸入しないようにしている。そして、スプラインギア2を出力軸1より脱却する時に、該栓10を抜き、潤滑油室内の潤滑油を、抜き用油路1d・1eを介して抜き用油溝1fに流し込み、該抜き用油溝1fからの漏油が出力軸1外周面とスプラインギア2内周面との間に浸透して、抜きやすくするのである。
【0019】
次に、前進用クラッチC1の全スチール板6及び摩擦板7に均等に潤滑油を供給するための潤滑油路3の構成について説明する。
図1図示のスプラインギア2に設けた全潤滑油路3は、全て同一構成、即ち幹油路3aの長さは一定で、前進用クラッチC1の全長域に潤滑油を供給するだけの数の枝油路3b・3b・・・を配設しており、各枝油路3bの口径も一定である。この場合、一本の幹油路3aに連通する枝油路3bの数はかなり多く、しかも、幹油路3aの最も奥部に連通する枝油路3bは、該幹油路3aの入口開口部よりかなり遠くなっている。
このようなことから、幹油路3aの入口開口部より遠い枝油路3bほど、潤滑油が充分に行き届かなくなり、この枝油路3bより潤滑油を供給される、即ち、前進クラッチ用作動筒9より遠い部分(以後、潤滑油路3の入口開口部または前進用作動筒9より遠い側を奥側、近い側を手前側とする。)のスチール板6や摩擦板7には、潤滑油が充分に供給されずに、焼き付き等を発生するおそれがある。
【0020】
奥側のスチール板6や摩擦板7にも充分な潤滑油が供給されるようにするにはまず、一本の幹油路3aに連接する枝油路3bの数を減らすことが考えられる。そこで、図3図示のスプラインギア2の如く、異なる長さの幹油路3aを有する二種類の潤滑油路3(A)及び3(B)を構成する。潤滑油路3(A)は、最も奥側のスチール板6・摩擦板7に対して潤滑油を供給可能に、前進クラッチC1全長分の長さL1の幹油路3aを有し、この幹油路3aからは、前進クラッチ用作動筒9より一定距離L2以上奥側のスチール板6・摩擦板7に潤滑油を供給すべく、数を限定して(本実施例では3本の)枝油路3b・3b・・・を分岐させている。
一方、潤滑油路3(B)は、潤滑油路3(A)の最も手前側の枝油路3bよりも手前側域のスチール板6・摩擦板7に潤滑油を供給可能に、一定距離L2(L2<L1)の長さの幹油路3aを有し、この幹油路3aからはこの域内でのスチール板6・摩擦板7に潤滑油を供給すべく、数を限定して(本実施例では3本の)枝油路3b・3b・・・を分岐させている。
【0021】
そして、潤滑油路3を出力軸1周りに放射状に配設するに際しては、図2に示す如く、幹油路3aの長さの異なる潤滑油路3(A)・3(B)を交互にして配設し、前進クラッチC1の手前側或いは奥側に潤滑油が偏在することのないように、その全長域にて均等に潤滑油が供給されるようにしている。
【0022】
なお、図3及び図4図示の本実施例では、幹油路3aの長さを二種類設定し、二種類の潤滑油路3(A)・3(B)を設けいてるが、更に幹油路3aについて何種類かの長さを設定し、それに応じて潤滑油路3の種類を増やしてもよい。こうして構成した潤滑油路3を出力軸1周りに放射状に配設するに際しては、同様に、同一の長さの幹油路3aを有する潤滑油路3が隣り合わないようにする。
【0023】
また、図3図示の潤滑油路3(A)・3(B)は、全枝油路3bの口径が一定である。従って、一潤滑油路3の中では、どうしても手前側の枝油路3bほど潤滑油が多く供給され、奥側ほど少なくなる。そこで、更に、一潤滑油路3の中でも、各枝油路3bからの潤滑油の供給量が均一となるようにすべく、図4図示のスプラインギア2では、一潤滑油路3について、手前側になるほど枝油路3bの口径を小さくしている。
即ち、一幹油路3aより3本の枝油路3bが分岐される構成において、最も手前側の枝油路3bの口径をR1、最も奥側の枝油路3bの口径をR3、中間の枝油路3bの構成をR2とすると、R1<R2<R3と設定するのである。このように、手前側の枝油路3bの口径が絞られることにより、それより奥側の枝油路3bへの潤滑油供給量を確保でき、一潤滑油路3における全枝油路3bからの潤滑油供給量が均等となるものである。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、湿式多板クラッチに対する潤滑油供給構造について、以上のように構成したので、次のような効果を奏する。
入力軸(5)に対して出力軸(1)を接離可能とすべく、出力軸(1)の周囲にスプラインギア(2)を環設固定し、該スプラインギア(2)の外周曲面上に湿式多板クラッチを取り付けた構成において、該湿式多板クラッチに対して潤滑油を供給するための機構であって、該スプラインギア(2)の端部平面に入口開口部を有し、その外周曲面に出口開口部を有する複数の潤滑油路(3)を、該スプラインギア(2)の周りに放射状に穿孔配設し、該スプラインギア(2)の端部平面に取り付けた潤滑油ハウジング(4)内に、該潤滑油路(3)の入口開口部を臨ませ、前記入力軸(5)の軸芯線上に穿設した潤滑油路(5b)に連通すべく、出力軸(1)の軸芯線上に潤滑油主路(1b)を穿設し、該潤滑油主路(1b)より径方向に連絡油路(1c)を分岐して、該連絡油路(1c)を前記潤滑油室凹部(2b)内に内嵌した潤滑油ハウジング(4)の内側に形成される潤滑油室に連通し、前記各潤滑油路(3)を、該スプラインギア(2)の端部平面に開口する出力軸芯線と平行な一本の幹油路(3a)と、該スプラインギア(2)の外周曲面に開口する出力軸径方向の複数の枝油路(3b)とを連接して構成し、該幹油路(3a)は複数の異なる長さのものを配置すると共に、長さが異なる幹油路(3a)を出力軸(1)周りに交互に配設し、各幹油路(3a)に連接する枝油路(3b)による潤滑油供給域を湿式多板クラッチの全長域の中で限定し、該一幹油路(3a)における複数の枝油路(3b)は、その幹油路(3a)の入口開口部に近いものほど口径を小さくしたので、出力軸1に環設固定されるスプラインギア2の外周面に配設される湿式多板クラッチに対しては、出力軸1の外周面とスプラインギア2の内周面との圧接部ではなく、スプラインギア2端部平面に取り付けた潤滑油ハウジング4内より潤滑油路3を介して潤滑油が供給されるようになったのである。
即ち、湿式多板クラッチへの潤滑油供給のために、従来のように、出力軸1内において、出力軸1の外周面とスプラインギア2の内周面との圧接部に連通する潤滑油路を穿設する必要がなくなり、該圧接部にて、該出力軸1内に設けた潤滑油路からの漏油が発生することにより、出力軸1とスプラインギア2との圧着が不十分となるという事態が回避される。
【0025】
また、潤滑油路3については、幹油路3aの長さ設定に基づき、各潤滑油路3は、湿式多板クラッチの手前側や奥側等、潤滑油供給域が限定され、一本の幹油路3aに連接する枝油路3bの数を削減できる分だけ、各潤滑油路3における枝油路3bへの潤滑油供給量を多く確保できる。
【0026】
また、潤滑油路3を出力軸1周りに放射状に配設するに際しては、異なる長さの幹油路3aを有する潤滑油路3を交互に配設することで、湿式多板クラッチの全長域に均等に潤滑油を供給することができる。
また一潤滑油路3における枝油路3bについて、幹油路3aの開口部に近い側の枝油路3bへの潤滑油供給量が絞られるので、それより奥側の枝油路3bへの潤滑油供給量が多く確保され、一潤滑油路3についても、全枝油路3bからの潤滑油供給量が均等化される。
【0027】
以上の構成により、湿式多板クラッチには、その全長域にわたって、充分な量の潤滑油が供給され、半クラッチ時における焼き付き等の不具合が解消される。
このような湿式多板クラッチへの潤滑油供給機構を採用することで、例えば、クラッチの焼き付きが発生せず、クラッチの寿命の長い舶用減速機等を提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の潤滑油供給機構を採用する舶用減速機における湿式多板クラッチ配設部分の側面断面図である。
【図2】 スプラインギア2の入力端側正面図である。
【図3】 幹油路3aの長さを複数設定したスプラインギア2の側面断面図である。
【図4】 幹油路3aの長さを複数設定し、かつ枝油路3bの口径を複数設定したスプラインギア2の側面断面図である。
【符号の説明】
C1 前進クラッチ(湿式多板クラッチ)
1 出力軸
2 スプラインギア
2a 出力軸孔
2b 潤滑油室用凹部
3 潤滑油路
3a 幹油路
3b 枝油路
4 潤滑油ハウジング
5 入力軸
6 スチール板
7 摩擦板
8 クラッチハウジング
9 前進クラッチ用作動筒
11 減速機ハウジング

Claims (1)

  1. 入力軸(5)に対して出力軸(1)を接離可能とすべく、出力軸(1)の周囲にスプラインギア(2)を環設固定し、該スプラインギア(2)の外周曲面上に湿式多板クラッチを取り付けた構成において、該湿式多板クラッチに対して潤滑油を供給するための機構であって、
    該スプラインギア(2)の端部平面に入口開口部を有し、その外周曲面に出口開口部を有する複数の潤滑油路(3)を、該スプラインギア(2)の周りに放射状に穿孔配設し、該スプラインギア(2)の端部平面に取り付けた潤滑油ハウジング(4)内に、該潤滑油路(3)の入口開口部を臨ませ、
    前記入力軸(5)の軸芯線上に穿設した潤滑油路(5b)に連通すべく、出力軸(1)の軸芯線上に潤滑油主路(1b)を穿設し、該潤滑油主路(1b)より径方向に連絡油路(1c)を分岐して、該連絡油路(1c)を前記潤滑油室凹部(2b)内に内嵌した潤滑油ハウジング(4)の内側に形成される潤滑油室に連通し、
    前記各潤滑油路(3)を、該スプラインギア(2)の端部平面に開口する出力軸芯線と平行な一本の幹油路(3a)と、該スプラインギア(2)の外周曲面に開口する出力軸径方向の複数の枝油路(3b)とを連接して構成し、
    該幹油路(3a)は複数の異なる長さのものを配置すると共に、長さが異なる幹油路(3a)を出力軸(1)周りに交互に配設し、各幹油路(3a)に連接する枝油路(3b)による潤滑油供給域を湿式多板クラッチの全長域の中で限定し、
    該一幹油路(3a)における複数の枝油路(3b)は、その幹油路(3a)の入口開口部に近いものほど口径を小さくしたことを特徴とする湿式多板クラッチの潤滑油供給機構。
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