JP3729634B2 - スロアウエイホブおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯車等の切削工具として用いられるスロアウエイホブおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、歯車などの切削工具として高効率加工を実現可能なスロアウエイホブとして、特公昭48−9799号公報に開示されているものがある。この公報に記載のスロアウエイホブでは、ウオーム状に形成したホブ本体の周面に一定間隔を置いてホブ軸に平行な多数の溝孔を設けることにより理論歯形より小さいホブ歯状の刃片支持部を形成せしめ、前記溝孔に対しすくい角αを負とした理論歯形をプロフィールとして左右両側面をピッチ円筒状の歯の進み角βに平行に傾斜せしめることにより菱形形状で上下表裏反転使用可能なスロアウエイチップを形成し、前記ホブ本体と別体に形成した刃受枠の各刃片支持部に対応する箇所に一方の単位刃片を係合支持する刃片係合孔を設け、以って刃受枠を各溝孔に装着し前記スロアウエイチップの一方の単位刃片を各係合孔に係合し、他方の単位刃片を刃片支持部に支持せしめると共に、前記刃片支持部よりも外側へある程度突出せしめた状態でクサビにて着脱可能に固定せしめるように構成されている。
【0003】
前記公報においては、スロアウエイチップ取付座面(刃片支持部および刃受枠)の形状・寸法などの詳細な記述がされていないため、通常チップ面に対して直角方向(図6(a)P方向参照)から見たスロアウエイチップの左刃・右刃の圧力角が等しくなるように配置されていると考えられる。
【0004】
また、特開平63−156617号公報には、ウォーム加工を行った後に縦溝加工,内径及び端面に研磨加工を行ってボディを形成し、チップ取付座面と同形状の電極部を所定のピッチ間隔で横一列に配置した総形の電極を制作し、前記ボディにこの電極を近づけてチップ取付座面を放電加工し、一組の座面加工を終了したらこのボディを回転させて割り出し、同時に前記電極をシフトして次の座面加工を行い、座面加工が終了したらクサビ締付用のネジ穴を加工して、前記ボディにチップを取り付けるスロアウエイホブの製造方法が提案されている。このようなスロアウエイホブ製造方法により形成されたスロアウエイボブによれば一体構造が採用されているため、剛性向上、高精度化、製造コストの低減を図ることが可能である。また、このスロアウエイホブにおいても、前述と同様にチップ面に対して直角方向(図6(a)P方向参照)から見たスロアウエイチップの左刃・右刃の圧力角が等しくなるように配置されていると考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記両公報(特開昭48−9799号公報・特開平63−156617号公報)に記載のスロアウエイホブにおいては、チップ面に対して直角方向(図6(a)P方向参照)から見たスロアウエイチップの左刃・右刃の圧力角が等しく配置されているが、チップ装着座面が進み角αおよびすくい角βで傾斜されているため、現実に歯車などを切削する際の切削方向、すなわちホブピッチ円の接線方向(図6(b)Q方向参照)でのスロアウエイチップ左右切刃の圧力角が異なってしまうという問題点がある。言い換えれば、最終的にホブとして成立するためのスロアウエイチップ左右切刃の圧力角の値に対して、一方の圧力角が大きくなり他方の圧力角が小さくなるという誤差を生じてしまう。したがって、最終的にホブとしての形状が得られず、切削工具として成り立たないという問題点がある。
【0006】
また、前述のように生じる誤差を解消するために、スロアウエイホブの試作中にボディにチップを取りつけて誤差を検出し、その誤差に応じてチップ形状を補正することが考えられるが、チップの形状に補正を加えたのでは上下表裏反転使用(4コーナ使用)が不可能となり、表裏両用使用(2コーナ使用)としてしかスロアウエイチップを利用することができないという問題が生じる。また、スロアウエイホブの製作の度に試行錯誤して補正せざるを得ないという問題点がある。また、何らかの補正を加えて工具として成立した場合であっても、前記前者の公報(特開昭48−9799号公報)に記載のスロアウエイホブでは、前記チップが装着されるボディが刃片支持部と刃受枠との組立式であるため、高い精度が得られないという問題点もある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、スロアウエイチップの寸法・形状およびホブボディに対するチップ装着座面の寸法・形状を規定し、高精度・高能率加工・低工具費を実現可能であるとともに、被削歯車の諸元に応じて試作等を行うことなく簡易に製造可能なスロアウエイホブおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
第1発明によるスロアウエイホブは、前述された目的を達成するために、
ウォーム状に加工された後、一定の間隔をおいてホブ軸に平行な溝が加工されることによりボディ周面に形成された複数の刃片支持部を一体に備え、この刃片支持部の回転方向前面側にスロアウエイチップを固定させる着座面を備えるとともに、この着座面がホブ軸直交軸に対してウォーム円周の接線方向に所定のすくい角に傾斜されるスロアウエイホブにおいて、
ホブのピッチ円の接線方向に対するスロアウエイチップの左右切刃の圧力角を等しくするために、前記スロアウエイチップの中心線とホブ軸直交軸とのなす角が、スロアウエイチップ面の法線方向から見たときの左右切刃の圧力角と、ホブのピッチ円の接線方向から見たときの左右切刃の圧力角との差で規定される圧力角差を有するように前記スロアウエイチップを前記着座面に配置することを特徴とするものである。
【0009】
第1発明においては、ホブのピッチ円の接線方向に対するスロアウエイチップの左右切刃の圧力角が等しくなるように、スロアウエイチップがその中心軸とホブ軸直交軸とのなす角が圧力角差となるように前記刃片支持部回転方向前面の着座面に取り付けられる。ここで、前記圧力角差は、スロアウエイチップ面の法線方向から見たときの左右切刃の圧力角と、ホブのピッチ円の接線方向から見たときの左右切刃の圧力角との差で規定される。このように配置されたスロアウエイチップ面の法線方向から見たときの左右切刃の圧力角は、等しくなるように配置された場合の圧力角に比べて、それぞれ圧力角差分異なることになる。
【0010】
こうして従来の問題点であるスロアウエイチップの左右切刃の圧力角に生じる誤差を解消することができ、最終的にホブとしての形状を維持することができる。したがって、ホブとしての形状を容易に得ることができ、高精度で、さらに高能率加工が可能となるという効果を奏する。
【0011】
また、前述のように圧力角差を設定することにより、スロアウエイホブの製作毎に補正量を試行錯誤する必要がなく、ホブボディに対するスロアウエイチップの着座面の寸法・形状を容易に規定することができる。
【0012】
第1発明において、前記すくい角はホブ軸直交軸に対してホブ回転方向の負側に形成されているのが好ましい(第2発明)。こうすることにより、前記着座面に装着されるスロアウエイチップの側面が被削物に接触せずに、刃先を被削物に接触させることができるという効果を奏し、スロアウエイチップを上下表裏反転の4コーナ使用することが可能となる。
【0013】
また、第1発明においては、前記着座面は放電加工により形成されるとともに、この着座面が形成された刃片支持部は前記スロアウエイチップより僅かに小さい形状とされるのが好ましい(第3発明)。このように放電加工により着座面が形成されることにより、前述のような着座面の形状を容易に得ることができ、より高精度化を図ることができるという効果を奏する。また、前記刃片支持部の形状により、着座面に装着されたスロアウエイチップを均等に支持することによりスロアウエイチップの支持剛性を向上できる。
【0014】
第1発明においては、前記スロアウエイチップの形状が上下左右対称な略菱形平柱状であるのが好ましい(第4発明)。このような形状のスロアウエイチップは、上下反転させて2度使用することができ、表裏を入れ替えて上下反転させて2度使用することができる、すなわち4度使用することができる。したがって、簡易な形状であるとともに、製造コストを低減させることができるという効果を奏する。
【0015】
次に、第5発明によるスロアウエイホブの製造方法は、前記第1発明乃至第4発明のうちのいずれかに係るスロアウエイホブ製造方法であって、
(a)前記圧力角差を演算してスロアウエイホブの寸法を算出し、この算出される寸法に基づいてスロアウエイホブの組立図面および加工データを作成する演算出力手段に被削歯車の諸元を入力し、
(b)前記演算出力手段より、前記被削歯車の諸元に基づいたスロアウエイホブの組立図面および加工データを出力し、
(c)前記スロアウエイホブの組立図面および加工データに基づいてウォーム加工及びホブ軸に平行な溝の加工が施されて複数の刃片支持部を有するスロアウエイホブのボディが形成されるとともに、このボディに前記圧力角差が加味された形状の着座面を加工する放電加工用電極が設けられ、
(d)この放電加工用電極により前記刃片支持部の回転方向前面に前記着座面が所定のピッチ毎に加工され、
(e)前記着座面にスロアウエイチップをチップ係合支持体を介して固定する
ことを特徴とするものである。
【0016】
第5発明においては、被削歯車の諸元値を入力することにより、スロアウエイチップの形状およびこのスロアウエイチップ装着時のチップ中央線とホブ軸直交軸とのなす角度が算出され、この算出結果に基づいて、スロアウエイホブの製造に必要なそれぞれの図面が出力される。
【0017】
したがって、被削歯車に応じたスロアウエイホブを製作するたびに補正量を試行錯誤する必要がなく容易かつ安価に製造することができ、こうして製造されたスロアウエイホブは、切削工具としての精度および高剛性を維持することができるという効果を奏する。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるスロアウエイホブおよびその製造方法の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
本発明の一実施例に係るスロアウエイホブの側面図及び断面図が図1及び図2にそれぞれ示されている。
【0020】
本実施例のスロアウエイホブ1においては、旋削加工によりウォーム状に加工された後、ホブ軸に平行な多数の溝8が加工され、内径および端面に研磨加工が施されて、ホブボディ2の周面に複数の刃片支持部4が放電加工により一体に形成されていて、ギャッシュリードは∞とされている。
【0021】
前記刃片支持部4の回転方向前面には後述するスロアウエイチップ5を固定する着座面6が形成されており、この刃片支持部4の回転方向前面側とその前方に配置される刃片支持部4’の回転方向背面側との間の前記溝8には、前記スロアウエイチップ5を固定するクサビ(チップ係合支持体)7が挿入される。前記スロアウエイチップ5は、このクサビ7がボルト10で溝8に締め付けられることにより、このクサビ7の着座面6側に付設された半円状のピン9の平面部9aが面接触して前記着座面6に固定される。
【0022】
図3には、前記スロアウエイチップ5が着座面6に装着された状態の刃片支持部4の上面図が示されている。図中A−A線は前記溝8に対する直交線(アキシャル)であり、B−B線は前記着座面6に装着されたスロアウエイチップ5のすくい面13に対する直交線(ノーマル)である。図示されるように前記刃片支持部4は、ホブ軸に平行な溝8に対して刃のピッチ円筒上の進み角δに傾斜されている。また、前記着座面6に装着されたスロアウエイチップ5は、図3のB−B線断面図(図1)に示されるようにホブ軸直交軸11に対して回転方向負側のノーマルすくい角NRAn(本実施例では、10°とする。)に傾斜されている。なお、このスロアウエイチップ5は、A−A断面視(図示省略)した場合にホブ軸直交軸11に対して回転方向負側のアキシャルすくい角NRAに傾斜されている。
【0023】
前記スロアウエイチップ5は、図4(a)(b)にその正面図および平面図がそれぞれ示されるように、上下左右に対称で表裏両用の刃片を有しており、各頂点がRを有している略菱形平柱状とされている。このスロアウエイチップ5を装着させる着座面6は、図2に示されるように、このスロアウエイチップ5の中心線5cとホブ軸直交軸11とのなす角が圧力角差(ΔPA2)となる形状に形成されている。
【0024】
また、図5(a)に前記刃片支持部4の着座面6側のB−B視図が示されるように、前記刃片支持部4はその中心線4aとホブ軸直交軸11とのなす角が圧力角差(ΔPA2)となる形状、すなわち前記刃片支持部4の中心線4aとスロアウエイチップ5の中心線5cとが一致する形状に形成されており、その大きさは前記スロアウエイチップ5(破線で示す)の大きさより小さくされている。このような形状の刃片支持部4では、前記中心線4aとホブ軸直交軸11とが一致された形状(図5(b))である場合に比べて、スロアウエイチップ5が均等に支持され、支持剛性が向上される。
【0025】
図6には、前記着座面6に装着されたスロアウエイチップ5の側面図(a)および前記着座面6に装着時のスロアウエイチップ左右切刃の圧力角の説明図(b)である。図6(a)中、P方向はスロアウエイチップ5のすくい面13に対する法線方向を示しており、Q方向はホブのピッチ円(ピッチ円直径=PCD)14の接線方向を示している。また、図6(b)中、符号aは刃先、符号b,cはホブのピッチ円14と刃先の稜線の交点(左側,右側)を示している。
【0026】
前記着座面6に装着されたスロアウエイチップ5のすくい面13をP方向から見ると、前記スロアウエイチップ左右切刃のそれぞれの圧力角(PA2L,PA2R)は左右等しく振り分けたときの圧力角に比べて一方の圧力角(本実施例では左刃の圧力角(PA2L))が前記圧力角差ΔPA2だけ小さく、他方の圧力角(本実施例では右刃の圧力角(PA2R))が前記圧力角差ΔPA2だけ大きくなるようにされている。前記圧力角差ΔPA2とは、Q方向から見た最終的にホブとして成立するスロアウエイチップ左右切刃の圧力角値と、P方向から見たときの左右切刃の圧力角が等しく振り分けられているときのQ方向から見た左右切刃の圧力角値との差をいう。
【0027】
このようにP方向から見たスロアウエイチップ5の左右切刃の圧力角(PA2L,PA2R)を前述のように振り分けることにより、Q方向から見たスロアウエイチップ5の左右切刃の圧力角(PA2)を等しく設定することができる。こうしてスロアウエイホブとしての形状を得ることができる。
【0028】
前記着座面6を加工する放電加工用電極12は、図7に示されているように、中心線に対する左右の角度が異なる形状の電極部12a、言い換えればスロアウエイチップ5の中心線5cに対する左右の角度が左刃5aの圧力角(PA2L)と右刃5bの圧力角(PA2R)と一致する形状の電極部12aが前記刃片支持部4と同一のピッチ間隔(ノーマルピッチ(nP))でホブ軸方向に複数個配設される構造とされている。また、前記電極部12aは進み角δだけ傾斜されている。
【0029】
このように構成される放電加工用電極12が前記刃片支持部4に近づけられて、ボディ2の周面に設けられた刃片支持部4の回転方向前面に着座面6が形成される。前記放電加工用電極12は電極部12aが刃片支持部4と同一のピッチ(ノーマルピッチ(nP))間隔で配設されているため、ピッチの割り出しによる誤差を排除することができ、高精度で着座面6が加工される。なお、図1〜図7には、被削歯車のモジュールが3.25、基準圧力角が25°、ホブPCDが101.875のときのそれぞれの寸法が記載されている。
【0030】
本実施例によれば、現実に歯車等を切削する場合の切削方向、すなわちQ方向に対してスロアウエイチップ5の左右切刃の圧力角を常に等しく設定することができ、ホブとしての形状を容易にかつ安価に得ることができ、高精度でかつ高能率加工が可能となるという効果を奏する。また、上下左右対称なスロアウエイチップ5の形状に補正を加える必要がなく、着座面6がすくい角(NRAn)に傾斜されてすくい面13側の刃先のみを被削物に当てることができるため、上下表裏の4コーナ使用が可能となり、工具費を低減させることができるという効果も奏する。
【0031】
次に、本実施例のスロアウエイホブ1の製造方法について、被削歯車の諸元に基づいてスロアウエイホブ1の製作に必要なすべての図面を出力する演算出力装置(図示省略)の動作を図8に示されるフローチャート図に基づいて説明する。
【0032】
S1〜S3:まず、前記被削歯車の諸元、すなわちモジュール(m),基準圧力角(PAN),アテンダム比(AC)を歯車諸元入力部に入力する。次いで、入力されたモジュール(m)に対応するホブの諸元、すなわちホブ外径(OD),ホブ内径(ID),ホブPCD(HOB・PCD),ホブ幅(L),溝数(NT),口数(N),ねじ方向(H),ギャッシュリード(GL)およびノーマルすくい角(NRAn)を、モジュール別ホブデータベースより検出する。
【0033】
S4:次に、前記歯車諸元入力部に入力された歯車諸元および前記データベースより検出されたホブ諸元をホブ設計変数演算部に入力し、ホブ設計に必要な変数、すなわちノーマルピッチ(nP),アキシャルピッチ(aP),進み角(Q視)(δ),進み角(P視)(δn),アキシャルすくい角(NRA),ノーマル圧力角(Q視)(PA2),ノーマル右刃圧力角(P視)(PA2R),ノーマル左刃圧力角(P視)(PA2L)およびノーマル右刃左刃圧力角差(P視)(ΔPA2)を前記ホブ設計変数演算部内に格納されるそれぞれの計算式により求める。
【0034】
S5〜S6:次に、前記歯車諸元のモジュール(m)に対応するスロアウエイチップの形状、すなわちスロアウエイチップの刃先(R)および厚さ(t)をモジュール別チップ形状データベースより検出し、スロアウエイチップの形状演算部に入力する。このスロアウエイチップ形状演算部では、前記歯車諸元およびホブ設計変数によりチップの先端幅(L2)および全長(H1)が演算される。
【0035】
S7〜S11:前記ホブ設計変数演算部およびスロアウエイチップ形状演算部により演算されたそれぞれの値に基づいてホブ組立図面を出力するとともに、ホブボディ,スロアウエイチップおよびクサビ・ピンの図面を出力する。さらに、ボディ加工(旋削加工,溝加工,穴明け加工,タップ加工,研削加工,放電加工(電極を含む))図面を出力する。
【0036】
前述のように出力されたボディ図面およびボディ加工図面に基づいて、ウォーム加工および溝加工が施され、内径および端面に研削加工が行われて前記刃片支持部4を一体とするボディ2が形成される。また、スロアウエイチップ5およびクサビ7・ピン9の出力図面に基づいて、スロアウエイチップ5およびクサビ7・ピン9がそれぞれ製造されるとともに、前記ボディ2に前記圧力角差を加味した形状の着座面を形成する放電加工用電極12(図7)が製造される。
【0037】
この放電加工用電極12を前記刃片支持部に近づけて被削歯車のピッチごとに着座面6が加工される。この後、前記ボディ加工図に基づいて、ボディ2に穴明け加工およびタップ加工が施されて前記溝8が形成される。こうして前記ボディ組立図面に基づいて、前記クサビ7がボルト10で溝8に締め付けられ、このクサビ7の着座面6側に付設された半円状のピン9の平面部9aがスロアウエイチップ5に面接触して、この前記スロアウエイチップ5を前記着座面6に固定させる。
【0038】
このように、被削歯車の諸元値を入力することにより、スロアウエイチップ5の形状およびこのスロアウエイチップ5装着時のチップ中央線とホブ軸直交軸とのなす角度が算出され、この算出結果に基づいて、製造に必要なそれぞれの図面が出力される。
【0039】
したがって、被削歯車に応じたスロアウエイホブを製作するたびに補正量を試行錯誤する必要がなく容易かつ安価に製造することができ、さらに高剛性および高精度化を図ることができるという効果を奏する。
【0040】
本実施例の別態様として、前記圧力角差を考慮してスロアウエイチップの左右切刃の圧力角に圧力角差を設けるようにしても良い。このような形状のスロアウエイチップは、上下反転の2コーナしか使用できないものの、スロアウエイホブを製作するたびに補正量を試行錯誤する必要ななく、容易に製造することができる。また、本実施例と同様に高精度化を図ることができるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の一実施例に係るスロアウエイホブの側面図である。
【図2】 図2は、本実施例のスロアウエイホブの断面図である。
【図3】 図3は、スロアウエイチップ装着時の刃片支持部の上面図である。
【図4】 図4は、スロアウエイチップの正面図(a)および平面図(b)である。
【図5】 図5(a)(b)は、本実施例の刃片支持部着座面側のB−B視図である。
【図6】 図6は、スロアウエイチップ装着時の側面図(a)およびスロアウエイチップ装着時の左右切刃の圧力角の説明図(b)である。
【図7】 図7は、放電加工用電極の斜視図(a),平面図(b)および正面図(c)である。
【図8】 図8は、本実施例のスロアウエイホブの製作に必要なすべての図面を出力する演算出力装置の動作を順次説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
1 スロアウエイホブ
2 ボディ
4 刃片支持部
5 スロアウエイチップ
5a 左刃
5b 右刃
6 着座面
7 クサビ(チップ係合支持体)
8 溝
9 ピン
10 ボルト
11 ホブ軸直交軸
12 放電加工用電極
12a 電極部
13 すくい面
14 ホブのピッチ円(ピッチ円直径=PCD)
Claims (5)
- ウォーム状に加工された後、一定の間隔をおいてホブ軸に平行な溝が加工されることによりボディ周面に形成された複数の刃片支持部を一体に備え、この刃片支持部の回転方向前面側にスロアウエイチップを固定させる着座面を備えるとともに、この着座面がホブ軸直交軸に対してウォーム円周の接線方向に所定のすくい角に傾斜されるスロアウエイホブにおいて、
ホブのピッチ円の接線方向に対するスロアウエイチップの左右切刃の圧力角を等しくするために、前記スロアウエイチップの中心線とホブ軸直交軸とのなす角が、スロアウエイチップ面の法線方向から見たときの左右切刃の圧力角と、ホブのピッチ円の接線方向から見たときの左右切刃の圧力角との差で規定される圧力角差を有するように前記スロアウエイチップを前記着座面に配置することを特徴とするスロアウエイホブ。 - 前記すくい角はホブ軸直交軸に対してホブ回転方向の負側に形成されている請求項1に記載のスロアウエイホブ。
- 前記着座面は放電加工により形成されるとともに、この着座面が形成された刃片支持部は前記スロアウエイチップより僅かに小さい形状とされる請求項1または2に記載のスロアウエイホブ。
- 前記スロアウエイチップの形状が上下左右対称な略菱形平柱状である請求項1乃至3のうちいずれかに記載のスロアウエイホブ。
- 前記請求項1乃至4のうちいずれかに記載のスロアウエイホブの製造方法であって、
(a)前記圧力角差を演算してスロアウエイホブの寸法を算出し、この算出される寸法に基づいてスロアウエイホブの組立図面および加工データを作成する演算出力手段に被削歯車の諸元を入力し、
(b)前記演算出力手段より、前記被削歯車の諸元に基づいたスロアウエイホブの組立図面および加工データを出力し、
(c)前記スロアウエイホブの組立図面および加工データに基づいてウォーム加工及びホブ軸に平行な溝の加工が施されて複数の刃片支持部を有するスロアウエイホブのボディが形成されるとともに、このボディに前記圧力角差が加味された形状の着座面を加工する放電加工用電極が設けられ、
(d)この放電加工用電極により前記刃片支持部の回転方向前面に前記着座面が所定のピッチ毎に加工され、
(e)前記着座面にスロアウエイチップをチップ係合支持体を介して固定する
ことを特徴とするスロアウエイホブの製造方法。
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1998
- 1998-03-10 JP JP05820398A patent/JP3729634B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2012166335A (ja) * | 2011-02-11 | 2012-09-06 | Sandvik Intellectual Property Ab | 切削器具用の切削インサート |
US9283631B2 (en) | 2011-02-11 | 2016-03-15 | Sandvik Intellectual Property Ab | Cutting insert for a milling tool |
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JPH11254234A (ja) | 1999-09-21 |
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