JP3729515B2 - 空気浄化装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、空気浄化装置に関し、更に詳細には、車の排気ガスによる汚染空気を浄化する場合に好適な空気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車から排出される排気ガスは、一酸化炭素、窒素酸化物、粉塵等の汚染物質を多量に含んでおり、大気を汚染している。
特に、両側に側壁が設けられた高架道路上では、車の排気ガスによる汚染空気が充満しがちであり、この汚染空気が高架道路外に拡散される前に、高架道路上の汚染空気を浄化することができれば、高架道路付近の環境保全を図る上でも好ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来、このような高架道路上の汚染空気を浄化する空気浄化装置は設置されていない。
これは、空気浄化装置を設置する場合、空気浄化装置は高架道路上に設置できず高架道路の下方に設置する必要があり、そして、高架道路の下方に空気浄化装置を設置しようとすると、その付近の美観を損ねる不具合があるためである。
また、高架道路に沿って空気浄化装置を多数設ける必要があるが、従来の空気浄化装置は触媒方式やアルカリ洗浄方式であるためコスト高となり、また、メンテナンスも面倒となる不具合があるためである。
本発明はこのような事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、美観を損なうことなく安価に設置でき、また、メンテナンスも簡易で浄化効率に優れ、特に、高架道路上の汚染空気を浄化する場合に好適な空気浄化装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明の空気浄化装置は、所定の容積を有するケースと、前記ケースに収容され空気の流動を可能とした土壌と、前記土壌中に埋設された空気排出部と、前記ケースの外部と前記空気排出部とを連結する管体と、空気を前記ケースの外部から前記管体を通して空気排出部に流動させるファンとを備え、前記土壌は、前記ケースの底面側に位置する下側土壌層と、前記ケースの上面側に位置する上側土壌層と、これら下側土壌層と上側土壌層の間に位置する砕石層とで構成され、前記上側土壌層には植物が植えられ、前記空気排出部は、表面に多数の孔が形成された中空状の部材から構成されて前記砕石層の上下方向の中間部分に埋設され、前記ケースの上面は開放状に形成され、ケースの底面は空気の流動を可能とした部材により構成され、前記ファンの駆動により、前記管体を経て前記空気排出部から前記砕石層中に吹き出された汚染空気はそれぞれ前記下側土壌層と上側土壌層により汚染物質が除去され清浄な空気となって前記ケースの底面と上面の双方からケース外に吹き出されるように構成されていることを特徴とする。
【0005】
また、本発明の空気浄化装置は、所定の容積を有するケースと、前記ケースに収容され空気の流動を可能とした土壌と、前記土壌中に埋設された空気吸い込み部と、前記ケースの外部と前記空気吸い込み部とを連結する管体と、空気を前記空気吸い込み部から吸い込んで前記管体を通してケース外に流動させるファンとを備え、前記土壌は、前記ケースの底面側に位置する下側土壌層と、前記ケースの上面側に位置する上側土壌層と、これら下側土壌層と上側土壌層の間に位置する砕石層とで構成され、前記上側土壌層には植物が植えられ、前記空気吸い込み部は、表面に多数の孔が形成された中空状の部材から構成されて前記砕石層の上下方向の中間部分に埋設され、前記ケースの上面は開放状に形成され、ケースの底面は空気の流動を可能とした部材により構成され、前記ファンの駆動により、汚染空気は前記ケースの底面と上面の双方から吸い込まれそれぞれ前記下側土壌層と上側土壌層により汚染物質が除去されて清浄な空気となり、前記砕石層から前記空気吸い込み部、前記管体を経て前記ケース外に吹き出されるように構成されていることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記空気浄化装置は高架道路の下方に配置され、管体の上端は、高架道路の側壁の開口に連結されていることを特徴とする。
【0007】
【実施例】
以下、本発明を、高架道路上の汚染空気を浄化する場合に適用した実施例について説明する。
図1は高架道路及び空気浄化装置の断面正面図、図2は空気浄化装置の拡大断面図を示す。
1は高架道路、3は路面、5は遮音機能を備えた側壁、7は橋脚、9は空気浄化装置で、空気浄化装置9は高架道路1の所定の距離毎に多数設けられ、この実施例では、所定の距離毎に高架道路1の下方の地盤上で橋脚7の両側に夫々設けられている。
前記空気浄化装置9は、ケース11と、ケース11に収容され植物13が植えられた土壌15と、土壌15中に埋設された空気排出部17と、前記空気排出部17に接続された管体19及びファン21等により構成されている。
【0008】
前記ケース11は平面視矩形状を呈し、底面部1101と、四つの側面部1103と、上面部1105とで所定の容積を有するように構成され、前記底面部1101は、空気の流動を可能とした部材、例えば、パンチングメタル等により形成され、また、上面部1105は、植物13が上方に延在できるように枠状の部材等により構成され、ケース11は脚体22により地盤上で所定の高さに保持されている。
【0009】
前記土壌15は、底面部1101側に位置する土壌層1501(下側土壌層)と、上面部1105側に位置する土壌層1501(上側土壌層)と、これら上下の土壌層1501の間に位置する砕石層1503とで構成されている。
前記土壌層1501には微生物が繁殖できるような土、例えば、黒ボク土等が用いられ、空気が上下に流動できるように形成され、砕石層1503は多数の砕石、砂利等から形成されている。
【0010】
前記空気排出部17は前記砕石層1503の上下方向の中間部分に埋設されている。
前記空気排出部17は中空状で球状の部材の表面に多数の孔が貫設されて形成され、その一部には前記管体19の端部が連結されている。
【0011】
前記管体19はケース11の側面部1103を気密に貫通し、橋脚7に沿って上方に延在し、その上部は、側壁5の開口501に連結され、この管体19は高架道路1の排水用の樋を利用して構成することができる。
前記開口501は側壁5の下部や或は中間部に設けられ、開口501は、汚染空気を吸い込み易いように、横長のスリット状に形成されている。
前記ファン21は管体19のケース11の近傍部分に介設され、ファン21の駆動により開口501側から空気排出部17側に空気が流動する。
尚、図1中、31は水封トラップ式の水抜き管を示す。
【0012】
次に、作用について説明する。
電源を接続してファン21を回転させる。
ファン21の回転により、高架道路1上の汚染空気は開口501から管体19内に吸い込まれ、空気排出部17から砕石層1503内に吹き出され、砕石層1503及び土壌層1501を経て上面部1105及び底面部1101からケース11外に吹き出される。
【0013】
そして、汚染空気が土壌層1501や砕石層1503を通過する際、土壌のフィルターとしての物理的な作用により粉塵の捕捉や、メタン等の炭化水素ガス等の不純成分の吸着が行なわれる。
また、微生物により不純成分等、汚染物質の分解が行なわれる。
土壌の表面や、或は土壌の内部で空気が流動する部分には、好気性微生物が繁殖し、土壌の内部で空気が流動しない部分には、嫌気性微生物が繁殖し、これら微生物の菌体内で消費されたり、呼吸で使われる等することで、例えば、一酸化炭素は主に二酸化炭素に変化され、一酸化窒素は主に硝酸イオンに変化され、メタンガスは主に二酸化炭素と水に分解され、このように汚染物質が除去される。
【0014】
即ち、高架道路1上の排気ガスによる汚染空気は、ケース11内に吸い込まれて浄化され、清浄な空気としてケース11外に吹き出されることになる。
そして、空気浄化装置9は、土壌15を利用するものであるため安価に製作でき、メンテナンスも簡単である。
また、土壌15を利用するものであるから、上部に植物13を植え植栽としても利用でき、付近の美観を損なうことなく設置できる。
また、空気排出部17から排出された汚染空気は、砕石層1503及び土壌層1501を通過してケース11の上方に吹き出され、また、砕石層1503及び土壌層1501を通過してケース11の下方に吹き出され、このように汚染空気がケース11内で二つの方向に通過することで浄化されるので、汚染空気の浄化が効率良くなされる。
また、降雨時、雨水がケース11内に侵入しても、底面部1101は空気の流動を可能とした部材で形成されているので、雨水は土壌層1501、砕石層1503、土壌層1501を通過して底面部1101から下方に排出され、従って、排水専用の機構、部材を何ら設けることなく排水を行なうことが可能となる。
【0015】
前記空気浄化装置9の実験結果は下記の通りである。
土壌層1501を約50cmの厚さで形成し、砕石層1503を、砕石、砂利等により60cmの厚さで形成した。
土壌層1501を構成する土には、通気性、通水性を高めるためパーライト、バーミキュライト等を混合し、また、土壌有機物含量を高めるためピートモス、腐葉土、堆肥等を混合した。
砕石層1503には、通気性、通水性を高めるためパーライトを混合した。
管体19の直径を約300mmとした。
ファン21の処理能力を54m3 /hrとした。
高架道路1上においてNOx の平均濃度が0.35ppmであり、また、COの平均濃度が12.0ppmであるのに対して、ケース11の付近においては、NOx の平均濃度が0.02ppmとなり、COの平均濃度が0.58ppmとなっており、NOx の除去率が94%であり、COの除去率が95%であった。
【0016】
尚、実施例では、汚染空気を土壌15中で上方及び下方の二方向に通過させるようにしたが、左右の二方向に通過させるようにしてもよく、この場合にはケース11の側部で互いに対向する部分を、空気の流動を可能とした部材で形成すればよく、更に、底面部1101及び全ての側面部1103を空気の流動を可能とした部材で構成すれば、空気の通過する方向は多方向となり、空気の浄化効率をより一層高めることができる。
また、空気の流動を可能とした部材は、パンチングメタル等のような単一の部材に限らず、複数の部材を組み合わせて構成してもよい。
【0017】
また、実施例では、高架道路1上の汚染空気を浄化する場合について説明したが、本発明は、室内外を問わず、空気を浄化すべき全ての箇所に適用可能であり、その場合、空気の流れを逆にすることも可能である。
即ち、ケース11の上面部1105及び底面部1101から汚染空気を空気排出部17(このように空気の流れを逆にした場合には空気排出部17が空気吸い込み部となる)に吸い込み、管体19を通してケース11外に清浄な空気を吹き出させるようにしてもよい。
【0018】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明は、土壌を利用し、汚染空気を土壌中の二方向に通過させて汚染空気を浄化するようにしたので、美観を損なうことなく安価に設置でき、また、メンテナンスも簡易で浄化効率に優れ、特に、高架道路上の汚染空気を浄化する場合に好適な空気浄化装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高架道路及び空気浄化装置の断面正面図である。
【図2】空気浄化装置の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 高架道路
5 側壁
9 空気浄化装置
11 ケース
13 植物
15 土壌
17 空気排出部
19 管体
21 ファン
Claims (3)
- 所定の容積を有するケースと、
前記ケースに収容され空気の流動を可能とした土壌と、
前記土壌中に埋設された空気排出部と、
前記ケースの外部と前記空気排出部とを連結する管体と、
空気を前記ケースの外部から前記管体を通して空気排出部に流動させるファンとを備え、
前記土壌は、前記ケースの底面側に位置する下側土壌層と、前記ケースの上面側に位置する上側土壌層と、これら下側土壌層と上側土壌層の間に位置する砕石層とで構成され、
前記上側土壌層には植物が植えられ、
前記空気排出部は、表面に多数の孔が形成された中空状の部材から構成されて前記砕石層の上下方向の中間部分に埋設され、
前記ケースの上面は開放状に形成され、ケースの底面は空気の流動を可能とした部材により構成され、
前記ファンの駆動により、前記管体を経て前記空気排出部から前記砕石層中に吹き出された汚染空気はそれぞれ前記下側土壌層と上側土壌層により汚染物質が除去され清浄な空気となって前記ケースの底面と上面の双方からケース外に吹き出されるように構成されている、
ことを特徴とする空気浄化装置。 - 所定の容積を有するケースと、
前記ケースに収容され空気の流動を可能とした土壌と、
前記土壌中に埋設された空気吸い込み部と、
前記ケースの外部と前記空気吸い込み部とを連結する管体と、
空気を前記空気吸い込み部から吸い込んで前記管体を通してケース外に流動させるファンとを備え、
前記土壌は、前記ケースの底面側に位置する下側土壌層と、前記ケースの上面側に位置する上側土壌層と、これら下側土壌層と上側土壌層の間に位置する砕石層とで構成され、
前記上側土壌層には植物が植えられ、
前記空気吸い込み部は、表面に多数の孔が形成された中空状の部材から構成されて前記砕石層の上下方向の中間部分に埋設され、
前記ケースの上面は開放状に形成され、ケースの底面は空気の流動を可能とした部材により構成され、
前記ファンの駆動により、汚染空気は前記ケースの底面と上面の双方から吸い込まれそれぞれ前記下側土壌層と上側土壌層により汚染物質が除去されて清浄な空気となり、前記砕石層から前記空気吸い込み部、前記管体を経て前記ケース外に吹き出されるように構成されている、
ことを特徴とする空気浄化装置。 - 前記空気浄化装置は高架道路の下方に配置され、管体の上端は、高架道路の側壁の開口に連結されている請求項1記載の空気浄化装置。
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JP19201493A Expired - Lifetime JP3729515B2 (ja) | 1993-07-05 | 1993-07-05 | 空気浄化装置 |
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