JP3728753B2 - 脱臭フィルター - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は,悪臭ガスの脱臭に用いる脱臭フィルターに関するもので、例えば自動車の車室のような居住空間に導入される空気中の悪臭成分を吸着、除去する脱臭フィルターとして好適なものである。
背景技術
近年、居住空間での快適志向が高まり、様々な所で悪臭成分を除去するための脱臭フィルターが使用されている。従来の脱臭フィルターとしては、例えば特開昭61−138511号公報に示された方法で得られる、三次元網目構造のウレタンフォームに活性炭を担持させたものがある。その他、ハニカム状、プリーツ状(ひだ折り状)等、種々の形状を有する脱臭フィルターがある。
これらの脱臭フィルターにおいては、その形状、構造及び担持された吸着剤の種類等によって、その圧力損失、寿命、脱臭性能、コスト等の特長が異なる。そのため、使用環境に応じてそれぞれ脱臭フィルターが使い分けられている。
しかしながら、上記従来の脱臭フィルターにおいては、次の問題がある。
即ち、脱臭フィルターは、一般的に、脱臭性能が高ければ圧力損失も高く、圧力損失が低ければ脱臭性能も低いという関係にある。そのため、例えば上記特開昭61−138511号公報に示された、ウレタンフォームに活性炭を担持させた脱臭フィルターは、コスト、寿命、脱臭性能の点では優れているが、圧力損失が高いため、使用可能な環境が限られてしまう。
また、特開昭62−210030号公報には、脱臭フィルターのフィルター本体に、その表裏両面を通気方向に貫通する小孔を多数設けて、圧力損失の上昇を抑制するようにしたものが提案されている。しかし、この従来技術では、上記小孔を通過する空気とフィルター本体の吸着剤との接触がどうしても不十分となり、脱臭効果の低下を招くという問題が生じる。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、高い脱臭性能を有し、かつ低圧力損失の脱臭フィルターを提供することを目的とするするものである。
また、本発明は、かかる脱臭フィルターを簡単に、低コストで製造できるようにすることを他の目的とする。
発明の開示
本発明は、上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
すなわち、本発明では、第一に、気体中の悪臭成分を吸着する吸着剤が担持された多孔質材料を用いて構成される脱臭フィルターの製造方法において、
前記多孔質材料として平板状に形成された柔軟性のある多孔質材料を用い、この多孔質材料に形成されるセルの数が、長さ1インチ当たり6〜20個の範囲であり、
この多孔質材料の表裏両面に、その厚み方向から厚みの途中まで切断してスリットを交互に形成し、このスリットが形成されない厚み部分をスリットの底部としたときに、このスリットの底部が前記厚み方向の一端と他端に交互に分かれるようになし、
次に、前記吸着剤を前記多孔質材料に担持し、
次に、前記多孔質材料を前記平板状の平面方向に引き延ばすことにより前記スリットを三角状に拡開して、前記多孔質材料を前記スリットの底部が山部となるプリーツ形状に形成することを特徴としている。
また、本発明では、第二に、気体中の悪臭成分を吸着する吸着剤が担持された多孔質材料を用いて構成される脱臭フィルターの製造方法において、
前記多孔質材料として平板状に形成された柔軟性のある多孔質材料を用い、この多孔質材料に形成されるセルの数が、長さ1インチ当たり6〜20個の範囲であり、
この多孔質材料の表裏両面に、その厚み方向から厚みの途中まで切断してスリットを交互に形成し、このスリットが形成されない厚み部分をスリットの底部としたときに、このスリットの底部が前記厚み方向の一端と他端に交互に分かれるようになし、
次に、前記多孔質材料を前記平板状の平面方向に引き延ばすことにより前記スリットを三角状に拡開して、前記多孔質材料を前記スリットの底部が山部となるプリーツ形状に形成し、
次に、前記吸着剤を前記多孔質材料に担持することを特徴としている。
上気多孔質材料は、微小孔よりなるセルを多数有する多孔質であり、セル間をガス(気体)が連通できるように、セル膜を除去する連通処理が施されている。即ち、上記多孔質材料は、ガス(気体)がセル間を通過することができる構造を有している。
このような多孔質材料としては、ウレタンフォームのような発泡プラスチックが好適である。また、上記吸着剤としては、粉末活性炭、活性炭素繊維、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、前記の吸着剤を添着剤で処理した添着吸着剤等を使用できる。
本発明の第一、第二の特徴によれば、多孔質材料をプリーツ形状に形成することにより、平板形状のものに比して、濾材面積が大幅に増加するので、濾材を通過する気体の流速が低下して、圧力損失が大幅に低下する。
従って、多孔質材料をプリーツ形状に形成することにより、目標圧力損失の達成に十分な余裕が生じるので、吸着剤担持量も増加することができ、その結果、この吸着剤担持量の増加と、濾材を通過する気体の流速の低下とが相まって、脱臭性能を著しく向上できる。
さらに、柔軟性に富んだ多孔質材料の加工性がよいことに注目して、多孔質材料にスリットを入れ、これを引き延ばしてプリーツ状にするという簡単な操作で、高性能で、低圧損の脱臭フィルターを容易に得ることができ、フィルター製造コストの低減の面においても極めて有利である。
また、多孔質材料に形成されるセルの数を、長さ1インチ当たり6〜20個の範囲とすることにより、脱臭フィルターの低圧損化と脱臭性能の向上に貢献できる。
本発明の第一、第二の特徴に基づくフィルター圧力損失の低減と、脱臭性能の向上とを両立させるためには、以下のような具体的形態で実施するのが好ましい。
前記プリーツ形状の山部間の幅であるプリーツピッチは、3〜20mmの範囲が好ましく、その中でも特に、10〜15mmの範囲がより一層好適である。
また、前記プリーツ形状の多孔質材料の厚みは、2〜10mmの範囲が好ましく、その中でも特に、3〜8mmの範囲がより一層好適である。
また、前記プリーツ形状の多孔質材料に担持される吸着材の担体容積当たりの担持量は、0.03g/cc〜0.40g/ccの範囲が好ましく、その中でも特に、0.10g/cc〜0.20g/ccの範囲がより一層好適である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施形態1にかかる脱臭フィルターの多孔質材料の斜視図である。図2は、図1の多孔質材料における多孔質基材の部分拡大断面図である。図3(a)は実施形態1における多孔質材料にスリットを入れた状態を示す端面図で、図3(b)はスリット付き多孔質材料をプリーツ状に延ばした状態を示す端面図である。図4は、図3のスリット付き多孔質材料を吸着剤スラリーに浸漬した状態を示す説明図である。図5は、実施形態1にかかる脱臭フィルターの外枠への組付状態を示す部分断面図である。図6(a)は実施形態1にかかる脱臭フィルターの外枠への組付状態の他の例を示す部分断面図で、図6(b)はワンタッチクランパー単体の正面図である。図7(a)(b)は脱臭フィルターの外枠への組付状態のさらに他の例を示す部分断面図である。図8は、脱臭フィルターの外枠への組付状態のさらに他の例を示す部分断面図である。図9は、本発明の比較例としての平板状多孔質材料の厚みと圧力損失との関係を示すグラフである。図10は、多孔質材料での流速と圧力損失との関係を示すグラフである。図11は、実施形態1における多孔質材料のプリーツ形状の具体的寸法例を示す説明図である。図12は、実施形態1と比較例におけるトルエンガス除去率を示すグラフである。図13は、多孔質材料としてのウレタンフォーム素材の厚みと圧力損失との関係を示すグラフである。図14は、プリーツ状ウレタンフォームのプリーツピッチおよび吸着材担持量と圧力損失との関係を示すグラフである。図15は、プリーツ状ウレタンフォームの厚みおよび吸着材担持量と圧力損失との関係を示すグラフである。図16は、プリーツ状ウレタンフォームのプリーツピッチおよび厚みと圧力損失との関係を示すグラフである。図17は、プリーツ状ウレタンフォームのプリーツピッチおよび吸着材担持量とトルエン除去率との関係を示すグラフである。図18は、プリーツ状ウレタンフォームのプリーツピッチおよび厚みとトルエン除去率との関係を示すグラフである。図19は、プリーツ状ウレタンフォームの厚みおよび吸着材担持量とトルエン除去率との関係を示すグラフである。図20は、本発明の実施形態5にかかる脱臭フィルターの多孔質材料の部分拡大断面図である。図21は、本発明の実施形態5にかかる脱臭フィルターの多孔質材料の斜視図である。図22は、本発明の比較例として平板状多孔質材料に貫通孔を設けた例の部分拡大断面図である。図23は、本発明の実施形態6にかかる脱臭フィルターの多孔質材料の部分拡大断面図である。図24は、実施形態7にかかる脱臭フィルターにおける多孔質基材の部分拡大断面図である。図25は、実施形態8にかかる脱臭フィルターにおける多孔質基材の部分拡大断面図である。
発明を実施するための最良の形態
(実施形態1)
図1〜図6は本発明の実施形態1にかかる脱臭フィルターを示すもので、本例の脱臭フィルター10は、図1、図2に示すように、脱臭機能を有する多孔質材料2を用いて構成されており、この多孔質材料2は、多孔質基材20と、これにバインダを介して担持した吸着剤よりなる。
上記多孔質基材20としては、図2に示すごとく、骨格部23と、この中に形成された微小孔よりなる多数のセル25を有する発泡プラスチック、具体的にはウレタンフォームを用いた。上記セル25の数は、長さ1インチ当たり6〜20個ならいずれでもよいが、本例ではセル25の数が、1インチ当たり13のもの(セル径2.0mm)を用いた。多孔質基材20には、前記各セル25間の膜張りをなくすための連通処理を施して、各セル25間を気体が通過できるようにしてある。
また、吸着剤は気体中の悪臭成分を吸着するもので、本例では、粒径5〜30μm、比表面積1200m2/gの粉末活性炭を用いた。そのため、気体(ガス)は、セル25の間を通過し、その間に気体中の悪臭が多孔質基材20に担持した吸着剤により吸着される。
ここで、吸着剤の比表面積は、800〜2000m2/gが好ましい。比表面積が2000m2/gを越えると、細孔容積が大きくなりすぎ、吸着剤自身の密度が低下して、担体に担持した時の担持密度が低くなりすぎるという問題がある。一方、比表面積が800m2/g未満では、吸着性能が低すぎるという問題がある。
なお、多孔質材料2の多孔質基材20として用いる発泡プラスチックとしては、ポリエーテル型ポリウレタンフォーム、ポリエステル型ポリウレタンフォーム、ラバーフォーム、ビニールフォーム、ポリスチレンフォーム、アクリルフォーム、ポリアセタールフォーム、ナイロンフォーム等を使用できる。
次に、実施形態1にかかる脱臭フィルターの製造方法を詳述する。まず、図3に示すような平板状に形成した多孔質材料2を用意する。図3は平板状多孔質材料2の端面形状を示しており、図中hはこの多孔質材料2の素材厚みを示し、素材厚みhは例えば20mmである。
次に、この多孔質材料2の表裏両面に、その厚みh方向から厚み(板厚)の途中までスリット2a、2bを交互に形成する。このスリット2a、2bの形成方法としては、金属カッターによる切断、レーザビームによる切断等の方法を用いることができる。ここで、スリット2a、2bの幅(間隔)tは、後述するフィルタ厚みとなる寸法であって、例えば3mmである。また、スリット2a、2bの深さdは例えば17mmである。
次に、図4に示すように吸着剤(具体的には前記粉末活性炭)を含む懸濁液である吸着剤スラリーAの中に、上記スリット2a、2b付きの多孔質材料2を浸漬して、この多孔質材料2に吸着剤を担持する。ここで、Bは吸着剤スラリーAを収容している容器である。
吸着剤スラリーAを調合するに際しては、粉末活性炭100部(重量部、以下同じ)に対して、スラリー乾燥後の活性炭結合剤(バインダー)としてのエチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョンは5〜40部、水は200〜500部が好ましい。
エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョン(ポリビニルアルコール)が、5部未満の場合には、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョン(ポリビニルアルコール)の乾燥強度が弱く、粉末活性炭が脱落するという問題があり、一方40部を越える場合には、粉末活性炭の細孔被覆が多くなり、粉末活性炭の吸着能力を劣化させるという問題がある。
また、水が200部未満の場合には、スラリー濃度が高すぎるため、含浸処理時に、ウレタンフォーム内部までスラリーが均一に浸入しないという問題があり、500部を越える場合には、スラリー濃度が低すぎて、多孔質基材20への粉末活性炭の担持量が少なくなるという問題がある。
従って、本例においては、粉末活性炭100部に対して、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョン(ポリビニルアルコール)を35部、水を400部として調合した。
なお、上記結合剤(バインダー)としては、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョンの他に、アクリルエマルジョン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、塩化ビニル、アクリルエチレン共重合体、アクリル−スチレン共重合体、エーテルポリウレタン樹脂、エーテル−エステル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル−ウレタン、ウレタン系レジン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(NH4塩、Na塩)、ホットメルトポリエステル、あるいは酢酸ビニルエマルジョン等を使用でき、これらの結合剤(バインダー)はいずれも粉末活性炭を多孔質基材20に結合(担持)する点において必要特性を満足するものであった。
次いで、上記スラリーAを含浸させた多孔質材料2を、2本のローラ間を通し、余分のスラリーを絞り出す。その後、120℃で5時間乾燥させて、上記多孔質材料2を得る。この多孔質材料2において、乾燥後の吸着剤担持量(担体容積当たりの粉末活性炭担持量)は0.03g/cc〜0.40g/ccの範囲が好ましい。この吸着剤担持量が0.03g/cc未満になると、悪臭成分の吸着性能が低下し、また吸着剤担持量が0.40g/ccを越えると、脱臭フィルターの圧力損失が過度に上昇してしまうという問題がある。
次に、この吸着剤を担持した多孔質材料2をその平面方向C(図3(a)参照、厚み方向hと直角方向)に軽く引き延ばすことにより、図3(b)に示すように、前記スリット2a、2bの底部2cが山部2dとなるプリーツ形状を形成することができる。ここで、プリーツピッチpはプリーツ形状の山部2d間の幅寸法をいう。
そして、素材厚みh、スリット幅t、およびプリーツピッチpを調整することにより、製品仕様スペース(スペックスペース)の範囲内において、後述の要求仕様に合致した圧力損失および脱臭性能を得ることができる。
次に、図5に示すように、この多孔質材料2を、そのプリーツ形状を保持したままの状態で、フィルター外枠2e内に収納し固定する。このフィルター外枠2eは樹脂にて矩形状の枠形状(ロの字形状)に成形させ、この外枠2eの内壁面に、吸着剤を担持した多孔質材料2のプリーツ方向(図5左右方向)の端部2f、および多孔質材料2のプリーツ形状端面(図5の紙面垂直方向の端面)を接着等の固着手段にて固定している。これにより、脱臭フィルター10が完成する。この脱臭フィルター10は、自動車用空調装置、自動車用空気清浄器等の通風路(通風ダクト)内に脱着可能に装着されて、図5の矢印D方向に、悪臭成分を含む気体(空気)が通風されるようになっている。
なお、プリーツ状の多孔質材料2をフィルター外枠2eに固定する手段としては、上記図5のごとき接着方式以外に、図6に示すように、弾性を有する材料(樹脂、金属等)で成形されたワンタッチ式のクランパー2gを用い、このクランパー2gの弾性変形可能な取付脚片2hを多孔質材料2の端部2fおよびフィルター外枠2eの孔部に挿通し、このクランパー2gをフィルター外枠2eに係止することにより、多孔質材料2の端部2fをフィルター外枠2eに固定するようにしてもよい。
また、図7に示すように、フィルター外枠2eの内壁面に隣接して支持壁2iを一体成形するとともに、この支持壁2iにプリーツ状多孔質材料2の端部2fの山部の内側をはめ込む。そして、この多孔質材料2の端部2fの山部を抑えるための補助フレーム2jを設け、この補助フレーム2jの両端部2kをフィルター外枠2eに接着固定する構造としてもよい。
さらに、図8に示すように、フィルター外枠2eの内壁面に隣接して支持壁2iを一体成形するとともに、この支持壁2iの先端に係止爪2mを一体成形し、プリーツ状多孔質材料2の端部2fをフィルター外枠2eと支持壁2iとの間に挿入するとともに、端部2fを支持壁2i先端の係止爪2mに係止させることにより、多孔質材料2の端部2fをフィルター外枠2eに固定するようにしてもよい。
次に、上記製造方法にて製作された本発明脱臭フィルターの作用効果について述べる。いま、製品仕様スペースとして、縦(200mm)×横(200mm)×厚さ(20mm)の大きさにおいて、許容圧力損失を、気体の流速=3m/sのとき、65Pa以下に抑える場合について考えてみる。この要求仕様は、車両用空気清浄器として極めて妥当な水準のものである。
この要求仕様を、もし平板状の多孔質材料(フラットなウレタンフォーム)で達成しようとすると、図9に示すような厚みとなる。すなわち、図9は縦軸に圧力損失Paをとり、横軸に多孔質材料(ウレタンフォーム)の厚みをとったもので、吸着材担持量が0.065g/ccの条件において、許容圧力損失≦65Paという目標を達成するためには、セル数:10の場合は厚み8.5mm以下、セル数:13の場合は厚み6.5mm以下、セル数:20の場合は厚み3.5mm以下とする必要がある。
このように、平板状の多孔質材料を用いる場合は、圧力損失が障害となって、板厚を製品仕様スペースの厚さ(20mm)より十分小さい値に設定しなければならない。その結果、製品使用スペースを脱臭性能向上に十分活用できないことになり、脱臭性能の低下を招く。
これに対し、本発明では、吸着剤を担持した多孔質材料2をプリーツ形状に形成することにより、濾材面積が大幅に増加するので、濾材を通過する気体の流速が低下して、圧力損失が大幅に低下する。
図10は本発明による圧力損失低下の効果を示すもので、横軸は濾材を通過する気体の流速であり、平板状の多孔質材料を用いる場合は、吸着剤担持量:0.065g/cc、セル数:13、厚み:5.0mmの条件において、▲1▼の実線に示すように、濾材を通過する気体の流速と略比例関係を持って圧力損失が増加し、流速が3m/sのとき圧力損失が50Paとなる。
これに対し、本発明品では、吸着剤を担持した多孔質材料2をプリーツ形状に形成して濾材面積を平板状に比して例えば3倍に増加すると、濾材を通過する気体の流速が1/3、すなわち1m/sとなり、圧力損失が10Paとなるので、目標圧力損失(65Pa)に対して十分な余裕が生じる。
このように、多孔質材料2をプリーツ形状に形成することにより、目標圧力損失の達成に余裕が生じるので、吸着剤担持量も増加することができる。従って、この吸着剤担持量の増加と、濾材を通過する気体の流速の低下とが相まって、脱臭性能を著しく向上できる。
本発明品における脱臭性能を実験データに基づいて定量的に説明すると、図11は多孔質材料2のプリーツ形状の条件例を示す。図11の濾材面積増加倍数は、平板状のものに対する増加倍数であり、空間率とウレタン率は、製品仕様スペース内における空間とウレタンフォームのそれぞれが占める比率である。
そして、脱臭性能実験には、代表例として、ウレタンフォーム厚みt:5mm、プリーツピッチP:10mmのプリーツ形状のものを用いた。
これに対し、比較品としては、セル数:10、厚みt:8.5mm、活性炭担持量:0.06g/ccの平板状フォームを用い、圧力損失は目標レベルである65Paのものを用いた。
本発明品は、そのプリーツ形状を上記の通りとし、かつ比較品と圧力損失を合わせる条件として、セル数を10にするとともに、活性炭担持量を0.15g/ccまで増加させることができた。
次に、脱臭性能を評価するためのワンパスガス除去率測定結果について説明すると、測定ガスとして濃度90ppmのトルエンガスを用い、ガス流量:150m3/hで、測定ガスを上記本発明品および比較品に連続的に通過させ、そして、その通過後の測定ガス濃度をガスクロマトグラフ(株式会社日立製作所製造)を用いて経時的に測定した。
そして、その測定値より、以下の数式を用いてトルエンの除去率を求めた。
トルエン除去率=(通過前のトルエン濃度−通過後のトルエン濃度)/通過後濃度×100(%)
その結果を、横軸にガス通過時間(分)、縦軸にトルエン除去率(%)をとった図12に示した。この図12から理解されるように、本発明品のトルエン除去率は比較品に比べて大幅に向上できることを確認できた。
このように、本発明では、与えられた製品仕様スペースを有効に活用して、低圧損要求を満足しつつ、脱臭性能の向上を図ることができる。
また、本実施形態の製造方法では、ウレタンフォームの持つ特徴、すなわち、加工性がよいこと、柔軟性があること、三次元網目構造で、吸着剤担持に都合がよいため、ガスとの衝突効率が良く脱臭性能に優れていること等をうまく活用して、ウレタンフォームにスリットを入れ、これを引き延ばしてプリーツ状にするという簡単な操作で、高性能で、低圧損の脱臭フィルターを容易に得ることができる。
次に、本発明の特徴とする多孔質材料2のプリーツ形状の好ましい数値範囲について説明する。まず、図13はウレタンフォーム素材の圧損と素材厚みの関係を、セル数をパラメータとして表しているもので、素材厚みの実用的領域(厚みt<10mm)では、セル数8、10、13は同程度の圧損を示すため、いずれのセル数を用いてもよいことがわかる。なお、図13の実験条件は、ウレタンフォーム素材を通過する気体の流速が3m/sである。
次に、図14はプリーツピッチpおよび吸着材担持量と圧損との関係を示すもので、図14の実験条件は厚み(スリット幅)t=5mm、セル数=10個に固定しており、気体の流速は3m/sである。
図14において、目標圧損65Paを満足するプリーツピッチpと吸着材担持量の適正範囲は、p=10〜15mm、吸着材担持量=0.15g/cc以下であることがわかる。
次に、図15はプリーツ形状の厚みtおよび吸着材担持量と圧損との関係を示すもので、図15の実験条件はプリーツピッチp=10mm、セル数=10個に固定しており、気体の流速は3m/sである。
図15において、目標圧損(65Pa以下)を満足するためには、厚みt=5mm以下、吸着材担持量=0.15g/cc以下とすることが適正範囲であることがわかる。
次に、図16はプリーツ形状の厚みtおよびプリーツピッチpと圧損との関係を示すもので、図16の実験条件はセル数=10個、吸着材担持量=0.15g/ccに固定しており、気体の流速は3m/sである。
図16において、目標圧損(65Pa以下)を満足するためには、厚みt=5mm以下、プリーツピッチp=10〜15mmとすることが適正範囲であることがわかる。
なお、上記図14〜16の実験データでは、目標圧損を65Pa以下に設定した場合について説明したが、この目標圧損が変化した場合には、これに伴って上記厚み(スリット幅)t、プリーツピッチp、および吸着材担持量の適正範囲が変化することはもちろんであり、そしてこの適正範囲の変化に応じて脱臭性能も変化するものである。
次に、上記したプリーツ形状および吸着材担持量の変化による脱臭性能の変化を図17〜19により説明すると、図17はプリーツ状多孔質材料(ウレタンフォーム)2の、通過時間15分後におけるワンパス除去率を示すもので、プリーツピッチpと吸着材担持量によるトルエン除去性能の変化を示している。実験条件は、厚みt=5mm、セル数=10個、気体の流速は1m/sである。
図18はプリーツピッチpと厚みtによるトルエン除去性能の変化を示している。実験条件は、吸着材担持量=0.15g/cc、セル数=10個、気体の流速は1m/sである。
図19は吸着材担持量と厚みtによるトルエン除去性能の変化を示している。実験条件は、プリーツピッチp=10mm、セル数=10個、気体の流速は1m/sである。
本発明によるプリーツ状の脱臭フィルタの好ましい形態を、具体的数値範囲によりまとめてみると、以下の通りである。
(1)1インチ当たりのセル数は6〜20個の範囲が好ましい。つまり、セル数の上限は、図13に示すように圧損の上昇を抑えるために、20個以下とすることが好ましい。また、セル数の下限は、6個未満になると、ウレタンフォーム素材の外表面が小さすぎて、脱臭性能の低下を招くので問題である。
(2)プリーツピッチpは3〜20mmの範囲が好ましい。つまり、プリーツピッチpの上限は、図14、16に示す圧損の上昇の抑制、および図17、18に示す脱臭性能の観点から20mm以下とすることが好ましい。また、プリーツピッチpの下限は、図14、16に示す圧損の上昇を抑制するため、実用上、3mm以上とすることが好ましい。
より好ましくは、前述の図14、16の実験結果からプリーツピッチpを10〜15mmの範囲とするのがよい。
(3)厚みtは2〜10mmの範囲が好ましい。つまり、厚みtの上限は、図13に示すように圧損の上昇を抑制するため、実用上、10mm以下とすることが好ましい。厚みtの下限は、図19に示すトルエン除去性能の実験結果から、実用上、2mm以上とすることが好ましい。
より好ましくは、前述の図15の実験結果から厚みtを8mm以内とするのがよい。また、厚みtの下限は、図18、19に示すトルエン除去性能を確保するために、3mm以上とすることが好ましい。
(4)担体容積当たりの吸着材担持量は、0.03g/cc〜0.40g/ccの範囲で実用可能であるが、その範囲の中でも特に、0.10g/cc〜0.20g/ccの範囲が好ましい。つまり、吸着材担持量の上限は、圧損の上昇の抑制のため、実用上、0.40g/cc以下とすることが好ましい。より好ましくは、前述の図14、15の実験結果から吸着材担持量の上限は、0.20g/cc以下とするのがよい。
また、吸着材担持量の下限は、脱臭性能を確保するために、実用上、0.03g/cc以上とすることが好ましい。より好ましくは、前述の図17、19の実験結果から吸着材担持量の下限は、0.10g/cc以上とするのがよい。
(実施形態2)
実施形態1において、吸着剤として用いた活性炭は、添着剤を添加させてない無添着ノーマル活性炭であったが、実施形態2では、この無添着ノーマル活性炭の代わりに、添着剤を添加させた添着活性炭を用い、この添着活性炭を多孔質部材2に担持させ、しかるのち、実施形態1と同様な方法にて多孔質部材2をプリーツ形状に形成するようにしたものである。
上記添着剤のうち、酸性ガス適応型添着剤としては、3−アミノプロピルトリハイドロシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルトリメチル−シリルアミン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン等の有機ケイ素化合物、
あるいはリン酸アニリン、塩酸アニリン等のアニリン化合物、
あるいはピリジン、トルイジン、ベンゼナミンクロライト、アントラニル酸等のいずれかを用いた。
また、塩基性ガス適応型添着剤としては、L−酒石酸、サリチル酸、ピコリン酸、安息香酸、フタル酸、L−グルタミン酸、コハク酸、マレイン酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、フマル酸、グルタル酸、イタコン酸、ピメリン酸、アジピン酸、グリセリン酸、没食酸のいずれかを用いた。
さらに、その他にも、コバルト、銅、マンガン、クロム、鉄、ニッケル、チタン等の金属塩化合物を添着剤として使用できる。
その他は、実施形態1と同様にして脱臭フィルターを作製した。本例によれば、酸性ガス適応型添着剤を用いたものは、硫化水素、アセトアルデヒド等の臭気ガスの脱臭性能が著しく向上した。また、塩基性ガス適応型の添着剤を用いたものは、アンモニア等の臭気ガスの脱臭性能が著しく向上した。その他、実施例1と同様の効果を得ることができる。
(実施形態3)
実施形態1で用いた粉末状活性炭の代わりに、活性炭素繊維、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニュウム、セピオライト等を吸着剤として使用するようにしたものである。
なお、上記活性炭素繊維は長繊維であるため、そのままでは、多孔質材料2の内部まで均一に入らないので、粉砕した粉末状のものを用いることが好ましい。本例によれば、活性炭素繊維は、粉末活性炭より微細孔が多いため、その分、実施形態1で示したトルエン除去率が約20%程向上する。その他は、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施形態4)
実施形態1では、吸着剤をスラリー状にして多孔質材料(ウレタンフォーム)2に担持するようにしているが、この担持方法の代わりに、多孔質材料(ウレタンフォーム)2の骨格部23に予めバインダーを付着させておき、このバインダーにより多孔質材料の表面に吸着剤を付着させるようにした「乾式担持方法」を使用することもできる。
本実施形態4を以下具体的に説明する。
▲1▼バインダー付着工程
バインダー材料としては、実施形態1と同じものを使用できるが、水溶性のものに限らず、油性のもの、例えば特殊変性ポリマー等を使用することもできる。本例では、バインダー材料として、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョンを使用した。
バインダーの付着方法としては、プリーツ状に引き延ばした多孔質材料(ウレタンフォーム)2に対して、噴霧器にてバインダー噴霧液を付着させるスプレー方式、プリーツ状に引き延ばした多孔質材料2に対して、ローラにてバインダー液を付着させるローラ方式、およびバインダースラリーを収納した容器内に、プリーツ状に引き延ばした多孔質材料2を浸漬して、多孔質材料2にバインダーを含浸させる含浸方式等を用いることができる。
なお、含浸方式では、多孔質材料2を図4と同様に、プリーツ状に引き延ばす前の、平板状態でバインダースラリーに含浸させるようにしてもよい。また、含浸方式では、含浸後に不要分のバインダーを絞って取り除き、その後にエアブローを行って、多孔質材料2の目詰まりを防止する。
▲2▼吸着材の担持工程
吸着材としての粉末活性炭の粒径は、20〜50メッシュの範囲が好適である。粒径が20メッシュ以下になると、圧力損失が増加し好ましくない。また、粒径が50メッシュ以上になると、活性炭の担持量が少なくなり、脱臭性能が低下し好ましくない。
吸着材の担持方法としては、バインダーが付着された多孔質材料2を、プリーツ状に引き延ばした状態で固定し、このプリーツ状の多孔質材料2の上面に粉末活性炭を散布するとともに、この散布された粉末活性炭をローラにて押圧して多孔質材料2の内部まで押し入れる。
吸着材の担持量としては、0.03g/cc〜0.40g/ccの範囲で実用可能であるが、その範囲の中でも、0.10g/cc〜0.20g/ccの範囲が圧力損失の抑制、脱臭性能の向上の観点から好ましい。
(実施形態5)
上述した実施形態1〜4はすべて、多孔質材料2をプリーツ状に形成して、低圧損化と脱臭性能の向上を図っているが、実施形態5では、図20、21に示すように、平板状の多孔質材料2のうち、気体流れ方向上流側の面に、円筒形等の凹状に形成した凹所32を多数設け、この多数の凹所32により部分的な低圧損部を形成して、脱臭フィルターの低圧損化を図るようにしたものである。
本例における多孔質材料2も、実施形態1〜4と同様に、多孔質基材20と、これにバインダを介して担持した吸着剤よりなり、バインダおよび吸着剤の材質、吸着剤の担持方法等は実施形態1〜4と同じでよい。
上記多孔質基材20としては、図2に示すごとく、骨格部23と、この中に形成された多数のセル25を有するウレタンフォームを用いた。上記セル25の数は、本例では、1インチ当たり13個のもの(セル径約2.0mm)を用いた。各セル間の膜張りをなくすための連通処理を施している。そのため、ガスは、セル25の間を通過し、その間にガス中の悪臭が多孔質基材20に吸着される。
上記凹所32は、図21に示すごとく、直径Dを上記セル25に対し約2倍の5mmとし、また、この凹所32は、図21に示すごとく、縦間隔Pを6mm、横間隔Qを9mmとし、縦横方向に規則正しく配置した。
この凹所32を形成した平板状の多孔質材料2を吸着剤スラリー中に浸漬して、吸着剤(粉末活性炭)を多孔質材料2に担持する。この多孔質材料2における、担体容積当たりの粉末活性炭担持量が0.05g/ccであった。
本例の脱臭フィルター10においては、低圧損部として設けた凹所32を通過するガスは圧力損失をあまり受けることなく脱臭フィルターを通過する。そのため、全体の圧損を低くすることができる。また、上記凹所32を通過するガスは素通りするのではなく、凹所32の底壁部分を通過し、そこに担持された粉末活性炭によって脱臭される。従って、本例の脱臭フィルター10は、高い脱臭性能を維持しつつ、同時に、低圧損化を図ることができる。
因みに、図22に示す比較例のように、平板状の多孔質材料2に貫通孔3を形成した場合には、悪臭ガスの一部が吸着材に吸着されないまま、貫通孔3を素通りしてしまうので、脱臭性能の低下が起こりやすい。
また、本例の低圧損部は凹状であるため、凹状の形状度合(凹形状の深さ、径、断面形状等)により、圧力損失と脱臭性能を容易に調整できる効果がある。
なお、本実施形態5における、低圧損部としての凹所32を形成する方法として、図20では、多孔質材料2の厚み方法の途中まで孔を開けて、凹所32を形成しているが、多孔質材料2にその厚み方法に貫通する孔を開け、この多孔質材料2の一面に、薄い平板状の多孔質材料を配設して、前記貫通孔の一端側を閉塞する構造としてもよい。上記薄い平板状の多孔質材料にも吸着材が同様に担持されていることはもちろんである。
(実施形態6)
本例においては、実施形態5における凹所32に代えて、図23に示すごとく、断面形状が波形に形成された波形凹所33を多孔質材料2に設けた点が特徴である。本例によれば、この波形凹所33による低圧損部を設けたことによって、実施形態5と同様の効果を得ることができる。また、波形凹所33の形状度合の選択により、圧力損失と脱臭性能を容易に調整できる。
(実施形態7)
本例においては、実施形態1〜6における多孔質基材20としてのウレタンフォームに代えて、図24に示すごとく、多孔質セラミックからなる多孔質構造の結合体204を用いている。多孔質構造の結合体204は、各結合粒子241間に、ガス流通可能な多数の空隙242を有している。この多孔質構造の結合体204を平板状に形成するとともに、この平板状の多孔質構造の結合体204に、実施形態5、6の筒状凹所32、波形凹所33を設けることにより、実施形態5、6と同様の効果を得ることができる。また、結合体204の材質に吸着効果のあるもの(例えば金属酸化物)を用いれば、脱臭能力が更に増し、長寿命化の効果が得られる。その他、フィルタ強度向上、耐熱性向上の効果も得られる。
また、多孔質構造の結合体204として、顆粒状物質をバインダで結合したものを用いたところ、同様の効果が得られた。
(実施形態8)
本例においては、実施形態7における多孔質基材20として多孔質構造の結合体204に代えて、図25に示すごとく、多孔質ガラス205を用いた。多孔質ガラス205は、ガス連通可能な多数の細孔251を有している。その他は、実施形態7と同様である。
本例によれば、実施形態7と同様に、多孔質ガラス自体が吸着効果があるため、脱臭性能を高める効果が得られる。その他、フィルタ強度向上、耐熱性向上の効果も得られる。
産業上の利用可能性
本発明は、悪臭ガスを脱臭する脱臭能力を持ったフィルターを低圧損構造で構成するものであり、従って空調装置の通風路、例えば自動車用空調装置の通風路等の内部に設置されて、空調用空気の脱臭に用いて好適なものである。
本発明は,悪臭ガスの脱臭に用いる脱臭フィルターに関するもので、例えば自動車の車室のような居住空間に導入される空気中の悪臭成分を吸着、除去する脱臭フィルターとして好適なものである。
背景技術
近年、居住空間での快適志向が高まり、様々な所で悪臭成分を除去するための脱臭フィルターが使用されている。従来の脱臭フィルターとしては、例えば特開昭61−138511号公報に示された方法で得られる、三次元網目構造のウレタンフォームに活性炭を担持させたものがある。その他、ハニカム状、プリーツ状(ひだ折り状)等、種々の形状を有する脱臭フィルターがある。
これらの脱臭フィルターにおいては、その形状、構造及び担持された吸着剤の種類等によって、その圧力損失、寿命、脱臭性能、コスト等の特長が異なる。そのため、使用環境に応じてそれぞれ脱臭フィルターが使い分けられている。
しかしながら、上記従来の脱臭フィルターにおいては、次の問題がある。
即ち、脱臭フィルターは、一般的に、脱臭性能が高ければ圧力損失も高く、圧力損失が低ければ脱臭性能も低いという関係にある。そのため、例えば上記特開昭61−138511号公報に示された、ウレタンフォームに活性炭を担持させた脱臭フィルターは、コスト、寿命、脱臭性能の点では優れているが、圧力損失が高いため、使用可能な環境が限られてしまう。
また、特開昭62−210030号公報には、脱臭フィルターのフィルター本体に、その表裏両面を通気方向に貫通する小孔を多数設けて、圧力損失の上昇を抑制するようにしたものが提案されている。しかし、この従来技術では、上記小孔を通過する空気とフィルター本体の吸着剤との接触がどうしても不十分となり、脱臭効果の低下を招くという問題が生じる。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、高い脱臭性能を有し、かつ低圧力損失の脱臭フィルターを提供することを目的とするするものである。
また、本発明は、かかる脱臭フィルターを簡単に、低コストで製造できるようにすることを他の目的とする。
発明の開示
本発明は、上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
すなわち、本発明では、第一に、気体中の悪臭成分を吸着する吸着剤が担持された多孔質材料を用いて構成される脱臭フィルターの製造方法において、
前記多孔質材料として平板状に形成された柔軟性のある多孔質材料を用い、この多孔質材料に形成されるセルの数が、長さ1インチ当たり6〜20個の範囲であり、
この多孔質材料の表裏両面に、その厚み方向から厚みの途中まで切断してスリットを交互に形成し、このスリットが形成されない厚み部分をスリットの底部としたときに、このスリットの底部が前記厚み方向の一端と他端に交互に分かれるようになし、
次に、前記吸着剤を前記多孔質材料に担持し、
次に、前記多孔質材料を前記平板状の平面方向に引き延ばすことにより前記スリットを三角状に拡開して、前記多孔質材料を前記スリットの底部が山部となるプリーツ形状に形成することを特徴としている。
また、本発明では、第二に、気体中の悪臭成分を吸着する吸着剤が担持された多孔質材料を用いて構成される脱臭フィルターの製造方法において、
前記多孔質材料として平板状に形成された柔軟性のある多孔質材料を用い、この多孔質材料に形成されるセルの数が、長さ1インチ当たり6〜20個の範囲であり、
この多孔質材料の表裏両面に、その厚み方向から厚みの途中まで切断してスリットを交互に形成し、このスリットが形成されない厚み部分をスリットの底部としたときに、このスリットの底部が前記厚み方向の一端と他端に交互に分かれるようになし、
次に、前記多孔質材料を前記平板状の平面方向に引き延ばすことにより前記スリットを三角状に拡開して、前記多孔質材料を前記スリットの底部が山部となるプリーツ形状に形成し、
次に、前記吸着剤を前記多孔質材料に担持することを特徴としている。
上気多孔質材料は、微小孔よりなるセルを多数有する多孔質であり、セル間をガス(気体)が連通できるように、セル膜を除去する連通処理が施されている。即ち、上記多孔質材料は、ガス(気体)がセル間を通過することができる構造を有している。
このような多孔質材料としては、ウレタンフォームのような発泡プラスチックが好適である。また、上記吸着剤としては、粉末活性炭、活性炭素繊維、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、前記の吸着剤を添着剤で処理した添着吸着剤等を使用できる。
本発明の第一、第二の特徴によれば、多孔質材料をプリーツ形状に形成することにより、平板形状のものに比して、濾材面積が大幅に増加するので、濾材を通過する気体の流速が低下して、圧力損失が大幅に低下する。
従って、多孔質材料をプリーツ形状に形成することにより、目標圧力損失の達成に十分な余裕が生じるので、吸着剤担持量も増加することができ、その結果、この吸着剤担持量の増加と、濾材を通過する気体の流速の低下とが相まって、脱臭性能を著しく向上できる。
さらに、柔軟性に富んだ多孔質材料の加工性がよいことに注目して、多孔質材料にスリットを入れ、これを引き延ばしてプリーツ状にするという簡単な操作で、高性能で、低圧損の脱臭フィルターを容易に得ることができ、フィルター製造コストの低減の面においても極めて有利である。
また、多孔質材料に形成されるセルの数を、長さ1インチ当たり6〜20個の範囲とすることにより、脱臭フィルターの低圧損化と脱臭性能の向上に貢献できる。
本発明の第一、第二の特徴に基づくフィルター圧力損失の低減と、脱臭性能の向上とを両立させるためには、以下のような具体的形態で実施するのが好ましい。
前記プリーツ形状の山部間の幅であるプリーツピッチは、3〜20mmの範囲が好ましく、その中でも特に、10〜15mmの範囲がより一層好適である。
また、前記プリーツ形状の多孔質材料の厚みは、2〜10mmの範囲が好ましく、その中でも特に、3〜8mmの範囲がより一層好適である。
また、前記プリーツ形状の多孔質材料に担持される吸着材の担体容積当たりの担持量は、0.03g/cc〜0.40g/ccの範囲が好ましく、その中でも特に、0.10g/cc〜0.20g/ccの範囲がより一層好適である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施形態1にかかる脱臭フィルターの多孔質材料の斜視図である。図2は、図1の多孔質材料における多孔質基材の部分拡大断面図である。図3(a)は実施形態1における多孔質材料にスリットを入れた状態を示す端面図で、図3(b)はスリット付き多孔質材料をプリーツ状に延ばした状態を示す端面図である。図4は、図3のスリット付き多孔質材料を吸着剤スラリーに浸漬した状態を示す説明図である。図5は、実施形態1にかかる脱臭フィルターの外枠への組付状態を示す部分断面図である。図6(a)は実施形態1にかかる脱臭フィルターの外枠への組付状態の他の例を示す部分断面図で、図6(b)はワンタッチクランパー単体の正面図である。図7(a)(b)は脱臭フィルターの外枠への組付状態のさらに他の例を示す部分断面図である。図8は、脱臭フィルターの外枠への組付状態のさらに他の例を示す部分断面図である。図9は、本発明の比較例としての平板状多孔質材料の厚みと圧力損失との関係を示すグラフである。図10は、多孔質材料での流速と圧力損失との関係を示すグラフである。図11は、実施形態1における多孔質材料のプリーツ形状の具体的寸法例を示す説明図である。図12は、実施形態1と比較例におけるトルエンガス除去率を示すグラフである。図13は、多孔質材料としてのウレタンフォーム素材の厚みと圧力損失との関係を示すグラフである。図14は、プリーツ状ウレタンフォームのプリーツピッチおよび吸着材担持量と圧力損失との関係を示すグラフである。図15は、プリーツ状ウレタンフォームの厚みおよび吸着材担持量と圧力損失との関係を示すグラフである。図16は、プリーツ状ウレタンフォームのプリーツピッチおよび厚みと圧力損失との関係を示すグラフである。図17は、プリーツ状ウレタンフォームのプリーツピッチおよび吸着材担持量とトルエン除去率との関係を示すグラフである。図18は、プリーツ状ウレタンフォームのプリーツピッチおよび厚みとトルエン除去率との関係を示すグラフである。図19は、プリーツ状ウレタンフォームの厚みおよび吸着材担持量とトルエン除去率との関係を示すグラフである。図20は、本発明の実施形態5にかかる脱臭フィルターの多孔質材料の部分拡大断面図である。図21は、本発明の実施形態5にかかる脱臭フィルターの多孔質材料の斜視図である。図22は、本発明の比較例として平板状多孔質材料に貫通孔を設けた例の部分拡大断面図である。図23は、本発明の実施形態6にかかる脱臭フィルターの多孔質材料の部分拡大断面図である。図24は、実施形態7にかかる脱臭フィルターにおける多孔質基材の部分拡大断面図である。図25は、実施形態8にかかる脱臭フィルターにおける多孔質基材の部分拡大断面図である。
発明を実施するための最良の形態
(実施形態1)
図1〜図6は本発明の実施形態1にかかる脱臭フィルターを示すもので、本例の脱臭フィルター10は、図1、図2に示すように、脱臭機能を有する多孔質材料2を用いて構成されており、この多孔質材料2は、多孔質基材20と、これにバインダを介して担持した吸着剤よりなる。
上記多孔質基材20としては、図2に示すごとく、骨格部23と、この中に形成された微小孔よりなる多数のセル25を有する発泡プラスチック、具体的にはウレタンフォームを用いた。上記セル25の数は、長さ1インチ当たり6〜20個ならいずれでもよいが、本例ではセル25の数が、1インチ当たり13のもの(セル径2.0mm)を用いた。多孔質基材20には、前記各セル25間の膜張りをなくすための連通処理を施して、各セル25間を気体が通過できるようにしてある。
また、吸着剤は気体中の悪臭成分を吸着するもので、本例では、粒径5〜30μm、比表面積1200m2/gの粉末活性炭を用いた。そのため、気体(ガス)は、セル25の間を通過し、その間に気体中の悪臭が多孔質基材20に担持した吸着剤により吸着される。
ここで、吸着剤の比表面積は、800〜2000m2/gが好ましい。比表面積が2000m2/gを越えると、細孔容積が大きくなりすぎ、吸着剤自身の密度が低下して、担体に担持した時の担持密度が低くなりすぎるという問題がある。一方、比表面積が800m2/g未満では、吸着性能が低すぎるという問題がある。
なお、多孔質材料2の多孔質基材20として用いる発泡プラスチックとしては、ポリエーテル型ポリウレタンフォーム、ポリエステル型ポリウレタンフォーム、ラバーフォーム、ビニールフォーム、ポリスチレンフォーム、アクリルフォーム、ポリアセタールフォーム、ナイロンフォーム等を使用できる。
次に、実施形態1にかかる脱臭フィルターの製造方法を詳述する。まず、図3に示すような平板状に形成した多孔質材料2を用意する。図3は平板状多孔質材料2の端面形状を示しており、図中hはこの多孔質材料2の素材厚みを示し、素材厚みhは例えば20mmである。
次に、この多孔質材料2の表裏両面に、その厚みh方向から厚み(板厚)の途中までスリット2a、2bを交互に形成する。このスリット2a、2bの形成方法としては、金属カッターによる切断、レーザビームによる切断等の方法を用いることができる。ここで、スリット2a、2bの幅(間隔)tは、後述するフィルタ厚みとなる寸法であって、例えば3mmである。また、スリット2a、2bの深さdは例えば17mmである。
次に、図4に示すように吸着剤(具体的には前記粉末活性炭)を含む懸濁液である吸着剤スラリーAの中に、上記スリット2a、2b付きの多孔質材料2を浸漬して、この多孔質材料2に吸着剤を担持する。ここで、Bは吸着剤スラリーAを収容している容器である。
吸着剤スラリーAを調合するに際しては、粉末活性炭100部(重量部、以下同じ)に対して、スラリー乾燥後の活性炭結合剤(バインダー)としてのエチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョンは5〜40部、水は200〜500部が好ましい。
エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョン(ポリビニルアルコール)が、5部未満の場合には、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョン(ポリビニルアルコール)の乾燥強度が弱く、粉末活性炭が脱落するという問題があり、一方40部を越える場合には、粉末活性炭の細孔被覆が多くなり、粉末活性炭の吸着能力を劣化させるという問題がある。
また、水が200部未満の場合には、スラリー濃度が高すぎるため、含浸処理時に、ウレタンフォーム内部までスラリーが均一に浸入しないという問題があり、500部を越える場合には、スラリー濃度が低すぎて、多孔質基材20への粉末活性炭の担持量が少なくなるという問題がある。
従って、本例においては、粉末活性炭100部に対して、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョン(ポリビニルアルコール)を35部、水を400部として調合した。
なお、上記結合剤(バインダー)としては、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョンの他に、アクリルエマルジョン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、塩化ビニル、アクリルエチレン共重合体、アクリル−スチレン共重合体、エーテルポリウレタン樹脂、エーテル−エステル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル−ウレタン、ウレタン系レジン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(NH4塩、Na塩)、ホットメルトポリエステル、あるいは酢酸ビニルエマルジョン等を使用でき、これらの結合剤(バインダー)はいずれも粉末活性炭を多孔質基材20に結合(担持)する点において必要特性を満足するものであった。
次いで、上記スラリーAを含浸させた多孔質材料2を、2本のローラ間を通し、余分のスラリーを絞り出す。その後、120℃で5時間乾燥させて、上記多孔質材料2を得る。この多孔質材料2において、乾燥後の吸着剤担持量(担体容積当たりの粉末活性炭担持量)は0.03g/cc〜0.40g/ccの範囲が好ましい。この吸着剤担持量が0.03g/cc未満になると、悪臭成分の吸着性能が低下し、また吸着剤担持量が0.40g/ccを越えると、脱臭フィルターの圧力損失が過度に上昇してしまうという問題がある。
次に、この吸着剤を担持した多孔質材料2をその平面方向C(図3(a)参照、厚み方向hと直角方向)に軽く引き延ばすことにより、図3(b)に示すように、前記スリット2a、2bの底部2cが山部2dとなるプリーツ形状を形成することができる。ここで、プリーツピッチpはプリーツ形状の山部2d間の幅寸法をいう。
そして、素材厚みh、スリット幅t、およびプリーツピッチpを調整することにより、製品仕様スペース(スペックスペース)の範囲内において、後述の要求仕様に合致した圧力損失および脱臭性能を得ることができる。
次に、図5に示すように、この多孔質材料2を、そのプリーツ形状を保持したままの状態で、フィルター外枠2e内に収納し固定する。このフィルター外枠2eは樹脂にて矩形状の枠形状(ロの字形状)に成形させ、この外枠2eの内壁面に、吸着剤を担持した多孔質材料2のプリーツ方向(図5左右方向)の端部2f、および多孔質材料2のプリーツ形状端面(図5の紙面垂直方向の端面)を接着等の固着手段にて固定している。これにより、脱臭フィルター10が完成する。この脱臭フィルター10は、自動車用空調装置、自動車用空気清浄器等の通風路(通風ダクト)内に脱着可能に装着されて、図5の矢印D方向に、悪臭成分を含む気体(空気)が通風されるようになっている。
なお、プリーツ状の多孔質材料2をフィルター外枠2eに固定する手段としては、上記図5のごとき接着方式以外に、図6に示すように、弾性を有する材料(樹脂、金属等)で成形されたワンタッチ式のクランパー2gを用い、このクランパー2gの弾性変形可能な取付脚片2hを多孔質材料2の端部2fおよびフィルター外枠2eの孔部に挿通し、このクランパー2gをフィルター外枠2eに係止することにより、多孔質材料2の端部2fをフィルター外枠2eに固定するようにしてもよい。
また、図7に示すように、フィルター外枠2eの内壁面に隣接して支持壁2iを一体成形するとともに、この支持壁2iにプリーツ状多孔質材料2の端部2fの山部の内側をはめ込む。そして、この多孔質材料2の端部2fの山部を抑えるための補助フレーム2jを設け、この補助フレーム2jの両端部2kをフィルター外枠2eに接着固定する構造としてもよい。
さらに、図8に示すように、フィルター外枠2eの内壁面に隣接して支持壁2iを一体成形するとともに、この支持壁2iの先端に係止爪2mを一体成形し、プリーツ状多孔質材料2の端部2fをフィルター外枠2eと支持壁2iとの間に挿入するとともに、端部2fを支持壁2i先端の係止爪2mに係止させることにより、多孔質材料2の端部2fをフィルター外枠2eに固定するようにしてもよい。
次に、上記製造方法にて製作された本発明脱臭フィルターの作用効果について述べる。いま、製品仕様スペースとして、縦(200mm)×横(200mm)×厚さ(20mm)の大きさにおいて、許容圧力損失を、気体の流速=3m/sのとき、65Pa以下に抑える場合について考えてみる。この要求仕様は、車両用空気清浄器として極めて妥当な水準のものである。
この要求仕様を、もし平板状の多孔質材料(フラットなウレタンフォーム)で達成しようとすると、図9に示すような厚みとなる。すなわち、図9は縦軸に圧力損失Paをとり、横軸に多孔質材料(ウレタンフォーム)の厚みをとったもので、吸着材担持量が0.065g/ccの条件において、許容圧力損失≦65Paという目標を達成するためには、セル数:10の場合は厚み8.5mm以下、セル数:13の場合は厚み6.5mm以下、セル数:20の場合は厚み3.5mm以下とする必要がある。
このように、平板状の多孔質材料を用いる場合は、圧力損失が障害となって、板厚を製品仕様スペースの厚さ(20mm)より十分小さい値に設定しなければならない。その結果、製品使用スペースを脱臭性能向上に十分活用できないことになり、脱臭性能の低下を招く。
これに対し、本発明では、吸着剤を担持した多孔質材料2をプリーツ形状に形成することにより、濾材面積が大幅に増加するので、濾材を通過する気体の流速が低下して、圧力損失が大幅に低下する。
図10は本発明による圧力損失低下の効果を示すもので、横軸は濾材を通過する気体の流速であり、平板状の多孔質材料を用いる場合は、吸着剤担持量:0.065g/cc、セル数:13、厚み:5.0mmの条件において、▲1▼の実線に示すように、濾材を通過する気体の流速と略比例関係を持って圧力損失が増加し、流速が3m/sのとき圧力損失が50Paとなる。
これに対し、本発明品では、吸着剤を担持した多孔質材料2をプリーツ形状に形成して濾材面積を平板状に比して例えば3倍に増加すると、濾材を通過する気体の流速が1/3、すなわち1m/sとなり、圧力損失が10Paとなるので、目標圧力損失(65Pa)に対して十分な余裕が生じる。
このように、多孔質材料2をプリーツ形状に形成することにより、目標圧力損失の達成に余裕が生じるので、吸着剤担持量も増加することができる。従って、この吸着剤担持量の増加と、濾材を通過する気体の流速の低下とが相まって、脱臭性能を著しく向上できる。
本発明品における脱臭性能を実験データに基づいて定量的に説明すると、図11は多孔質材料2のプリーツ形状の条件例を示す。図11の濾材面積増加倍数は、平板状のものに対する増加倍数であり、空間率とウレタン率は、製品仕様スペース内における空間とウレタンフォームのそれぞれが占める比率である。
そして、脱臭性能実験には、代表例として、ウレタンフォーム厚みt:5mm、プリーツピッチP:10mmのプリーツ形状のものを用いた。
これに対し、比較品としては、セル数:10、厚みt:8.5mm、活性炭担持量:0.06g/ccの平板状フォームを用い、圧力損失は目標レベルである65Paのものを用いた。
本発明品は、そのプリーツ形状を上記の通りとし、かつ比較品と圧力損失を合わせる条件として、セル数を10にするとともに、活性炭担持量を0.15g/ccまで増加させることができた。
次に、脱臭性能を評価するためのワンパスガス除去率測定結果について説明すると、測定ガスとして濃度90ppmのトルエンガスを用い、ガス流量:150m3/hで、測定ガスを上記本発明品および比較品に連続的に通過させ、そして、その通過後の測定ガス濃度をガスクロマトグラフ(株式会社日立製作所製造)を用いて経時的に測定した。
そして、その測定値より、以下の数式を用いてトルエンの除去率を求めた。
トルエン除去率=(通過前のトルエン濃度−通過後のトルエン濃度)/通過後濃度×100(%)
その結果を、横軸にガス通過時間(分)、縦軸にトルエン除去率(%)をとった図12に示した。この図12から理解されるように、本発明品のトルエン除去率は比較品に比べて大幅に向上できることを確認できた。
このように、本発明では、与えられた製品仕様スペースを有効に活用して、低圧損要求を満足しつつ、脱臭性能の向上を図ることができる。
また、本実施形態の製造方法では、ウレタンフォームの持つ特徴、すなわち、加工性がよいこと、柔軟性があること、三次元網目構造で、吸着剤担持に都合がよいため、ガスとの衝突効率が良く脱臭性能に優れていること等をうまく活用して、ウレタンフォームにスリットを入れ、これを引き延ばしてプリーツ状にするという簡単な操作で、高性能で、低圧損の脱臭フィルターを容易に得ることができる。
次に、本発明の特徴とする多孔質材料2のプリーツ形状の好ましい数値範囲について説明する。まず、図13はウレタンフォーム素材の圧損と素材厚みの関係を、セル数をパラメータとして表しているもので、素材厚みの実用的領域(厚みt<10mm)では、セル数8、10、13は同程度の圧損を示すため、いずれのセル数を用いてもよいことがわかる。なお、図13の実験条件は、ウレタンフォーム素材を通過する気体の流速が3m/sである。
次に、図14はプリーツピッチpおよび吸着材担持量と圧損との関係を示すもので、図14の実験条件は厚み(スリット幅)t=5mm、セル数=10個に固定しており、気体の流速は3m/sである。
図14において、目標圧損65Paを満足するプリーツピッチpと吸着材担持量の適正範囲は、p=10〜15mm、吸着材担持量=0.15g/cc以下であることがわかる。
次に、図15はプリーツ形状の厚みtおよび吸着材担持量と圧損との関係を示すもので、図15の実験条件はプリーツピッチp=10mm、セル数=10個に固定しており、気体の流速は3m/sである。
図15において、目標圧損(65Pa以下)を満足するためには、厚みt=5mm以下、吸着材担持量=0.15g/cc以下とすることが適正範囲であることがわかる。
次に、図16はプリーツ形状の厚みtおよびプリーツピッチpと圧損との関係を示すもので、図16の実験条件はセル数=10個、吸着材担持量=0.15g/ccに固定しており、気体の流速は3m/sである。
図16において、目標圧損(65Pa以下)を満足するためには、厚みt=5mm以下、プリーツピッチp=10〜15mmとすることが適正範囲であることがわかる。
なお、上記図14〜16の実験データでは、目標圧損を65Pa以下に設定した場合について説明したが、この目標圧損が変化した場合には、これに伴って上記厚み(スリット幅)t、プリーツピッチp、および吸着材担持量の適正範囲が変化することはもちろんであり、そしてこの適正範囲の変化に応じて脱臭性能も変化するものである。
次に、上記したプリーツ形状および吸着材担持量の変化による脱臭性能の変化を図17〜19により説明すると、図17はプリーツ状多孔質材料(ウレタンフォーム)2の、通過時間15分後におけるワンパス除去率を示すもので、プリーツピッチpと吸着材担持量によるトルエン除去性能の変化を示している。実験条件は、厚みt=5mm、セル数=10個、気体の流速は1m/sである。
図18はプリーツピッチpと厚みtによるトルエン除去性能の変化を示している。実験条件は、吸着材担持量=0.15g/cc、セル数=10個、気体の流速は1m/sである。
図19は吸着材担持量と厚みtによるトルエン除去性能の変化を示している。実験条件は、プリーツピッチp=10mm、セル数=10個、気体の流速は1m/sである。
本発明によるプリーツ状の脱臭フィルタの好ましい形態を、具体的数値範囲によりまとめてみると、以下の通りである。
(1)1インチ当たりのセル数は6〜20個の範囲が好ましい。つまり、セル数の上限は、図13に示すように圧損の上昇を抑えるために、20個以下とすることが好ましい。また、セル数の下限は、6個未満になると、ウレタンフォーム素材の外表面が小さすぎて、脱臭性能の低下を招くので問題である。
(2)プリーツピッチpは3〜20mmの範囲が好ましい。つまり、プリーツピッチpの上限は、図14、16に示す圧損の上昇の抑制、および図17、18に示す脱臭性能の観点から20mm以下とすることが好ましい。また、プリーツピッチpの下限は、図14、16に示す圧損の上昇を抑制するため、実用上、3mm以上とすることが好ましい。
より好ましくは、前述の図14、16の実験結果からプリーツピッチpを10〜15mmの範囲とするのがよい。
(3)厚みtは2〜10mmの範囲が好ましい。つまり、厚みtの上限は、図13に示すように圧損の上昇を抑制するため、実用上、10mm以下とすることが好ましい。厚みtの下限は、図19に示すトルエン除去性能の実験結果から、実用上、2mm以上とすることが好ましい。
より好ましくは、前述の図15の実験結果から厚みtを8mm以内とするのがよい。また、厚みtの下限は、図18、19に示すトルエン除去性能を確保するために、3mm以上とすることが好ましい。
(4)担体容積当たりの吸着材担持量は、0.03g/cc〜0.40g/ccの範囲で実用可能であるが、その範囲の中でも特に、0.10g/cc〜0.20g/ccの範囲が好ましい。つまり、吸着材担持量の上限は、圧損の上昇の抑制のため、実用上、0.40g/cc以下とすることが好ましい。より好ましくは、前述の図14、15の実験結果から吸着材担持量の上限は、0.20g/cc以下とするのがよい。
また、吸着材担持量の下限は、脱臭性能を確保するために、実用上、0.03g/cc以上とすることが好ましい。より好ましくは、前述の図17、19の実験結果から吸着材担持量の下限は、0.10g/cc以上とするのがよい。
(実施形態2)
実施形態1において、吸着剤として用いた活性炭は、添着剤を添加させてない無添着ノーマル活性炭であったが、実施形態2では、この無添着ノーマル活性炭の代わりに、添着剤を添加させた添着活性炭を用い、この添着活性炭を多孔質部材2に担持させ、しかるのち、実施形態1と同様な方法にて多孔質部材2をプリーツ形状に形成するようにしたものである。
上記添着剤のうち、酸性ガス適応型添着剤としては、3−アミノプロピルトリハイドロシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルトリメチル−シリルアミン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン等の有機ケイ素化合物、
あるいはリン酸アニリン、塩酸アニリン等のアニリン化合物、
あるいはピリジン、トルイジン、ベンゼナミンクロライト、アントラニル酸等のいずれかを用いた。
また、塩基性ガス適応型添着剤としては、L−酒石酸、サリチル酸、ピコリン酸、安息香酸、フタル酸、L−グルタミン酸、コハク酸、マレイン酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、フマル酸、グルタル酸、イタコン酸、ピメリン酸、アジピン酸、グリセリン酸、没食酸のいずれかを用いた。
さらに、その他にも、コバルト、銅、マンガン、クロム、鉄、ニッケル、チタン等の金属塩化合物を添着剤として使用できる。
その他は、実施形態1と同様にして脱臭フィルターを作製した。本例によれば、酸性ガス適応型添着剤を用いたものは、硫化水素、アセトアルデヒド等の臭気ガスの脱臭性能が著しく向上した。また、塩基性ガス適応型の添着剤を用いたものは、アンモニア等の臭気ガスの脱臭性能が著しく向上した。その他、実施例1と同様の効果を得ることができる。
(実施形態3)
実施形態1で用いた粉末状活性炭の代わりに、活性炭素繊維、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニュウム、セピオライト等を吸着剤として使用するようにしたものである。
なお、上記活性炭素繊維は長繊維であるため、そのままでは、多孔質材料2の内部まで均一に入らないので、粉砕した粉末状のものを用いることが好ましい。本例によれば、活性炭素繊維は、粉末活性炭より微細孔が多いため、その分、実施形態1で示したトルエン除去率が約20%程向上する。その他は、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施形態4)
実施形態1では、吸着剤をスラリー状にして多孔質材料(ウレタンフォーム)2に担持するようにしているが、この担持方法の代わりに、多孔質材料(ウレタンフォーム)2の骨格部23に予めバインダーを付着させておき、このバインダーにより多孔質材料の表面に吸着剤を付着させるようにした「乾式担持方法」を使用することもできる。
本実施形態4を以下具体的に説明する。
▲1▼バインダー付着工程
バインダー材料としては、実施形態1と同じものを使用できるが、水溶性のものに限らず、油性のもの、例えば特殊変性ポリマー等を使用することもできる。本例では、バインダー材料として、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョンを使用した。
バインダーの付着方法としては、プリーツ状に引き延ばした多孔質材料(ウレタンフォーム)2に対して、噴霧器にてバインダー噴霧液を付着させるスプレー方式、プリーツ状に引き延ばした多孔質材料2に対して、ローラにてバインダー液を付着させるローラ方式、およびバインダースラリーを収納した容器内に、プリーツ状に引き延ばした多孔質材料2を浸漬して、多孔質材料2にバインダーを含浸させる含浸方式等を用いることができる。
なお、含浸方式では、多孔質材料2を図4と同様に、プリーツ状に引き延ばす前の、平板状態でバインダースラリーに含浸させるようにしてもよい。また、含浸方式では、含浸後に不要分のバインダーを絞って取り除き、その後にエアブローを行って、多孔質材料2の目詰まりを防止する。
▲2▼吸着材の担持工程
吸着材としての粉末活性炭の粒径は、20〜50メッシュの範囲が好適である。粒径が20メッシュ以下になると、圧力損失が増加し好ましくない。また、粒径が50メッシュ以上になると、活性炭の担持量が少なくなり、脱臭性能が低下し好ましくない。
吸着材の担持方法としては、バインダーが付着された多孔質材料2を、プリーツ状に引き延ばした状態で固定し、このプリーツ状の多孔質材料2の上面に粉末活性炭を散布するとともに、この散布された粉末活性炭をローラにて押圧して多孔質材料2の内部まで押し入れる。
吸着材の担持量としては、0.03g/cc〜0.40g/ccの範囲で実用可能であるが、その範囲の中でも、0.10g/cc〜0.20g/ccの範囲が圧力損失の抑制、脱臭性能の向上の観点から好ましい。
(実施形態5)
上述した実施形態1〜4はすべて、多孔質材料2をプリーツ状に形成して、低圧損化と脱臭性能の向上を図っているが、実施形態5では、図20、21に示すように、平板状の多孔質材料2のうち、気体流れ方向上流側の面に、円筒形等の凹状に形成した凹所32を多数設け、この多数の凹所32により部分的な低圧損部を形成して、脱臭フィルターの低圧損化を図るようにしたものである。
本例における多孔質材料2も、実施形態1〜4と同様に、多孔質基材20と、これにバインダを介して担持した吸着剤よりなり、バインダおよび吸着剤の材質、吸着剤の担持方法等は実施形態1〜4と同じでよい。
上記多孔質基材20としては、図2に示すごとく、骨格部23と、この中に形成された多数のセル25を有するウレタンフォームを用いた。上記セル25の数は、本例では、1インチ当たり13個のもの(セル径約2.0mm)を用いた。各セル間の膜張りをなくすための連通処理を施している。そのため、ガスは、セル25の間を通過し、その間にガス中の悪臭が多孔質基材20に吸着される。
上記凹所32は、図21に示すごとく、直径Dを上記セル25に対し約2倍の5mmとし、また、この凹所32は、図21に示すごとく、縦間隔Pを6mm、横間隔Qを9mmとし、縦横方向に規則正しく配置した。
この凹所32を形成した平板状の多孔質材料2を吸着剤スラリー中に浸漬して、吸着剤(粉末活性炭)を多孔質材料2に担持する。この多孔質材料2における、担体容積当たりの粉末活性炭担持量が0.05g/ccであった。
本例の脱臭フィルター10においては、低圧損部として設けた凹所32を通過するガスは圧力損失をあまり受けることなく脱臭フィルターを通過する。そのため、全体の圧損を低くすることができる。また、上記凹所32を通過するガスは素通りするのではなく、凹所32の底壁部分を通過し、そこに担持された粉末活性炭によって脱臭される。従って、本例の脱臭フィルター10は、高い脱臭性能を維持しつつ、同時に、低圧損化を図ることができる。
因みに、図22に示す比較例のように、平板状の多孔質材料2に貫通孔3を形成した場合には、悪臭ガスの一部が吸着材に吸着されないまま、貫通孔3を素通りしてしまうので、脱臭性能の低下が起こりやすい。
また、本例の低圧損部は凹状であるため、凹状の形状度合(凹形状の深さ、径、断面形状等)により、圧力損失と脱臭性能を容易に調整できる効果がある。
なお、本実施形態5における、低圧損部としての凹所32を形成する方法として、図20では、多孔質材料2の厚み方法の途中まで孔を開けて、凹所32を形成しているが、多孔質材料2にその厚み方法に貫通する孔を開け、この多孔質材料2の一面に、薄い平板状の多孔質材料を配設して、前記貫通孔の一端側を閉塞する構造としてもよい。上記薄い平板状の多孔質材料にも吸着材が同様に担持されていることはもちろんである。
(実施形態6)
本例においては、実施形態5における凹所32に代えて、図23に示すごとく、断面形状が波形に形成された波形凹所33を多孔質材料2に設けた点が特徴である。本例によれば、この波形凹所33による低圧損部を設けたことによって、実施形態5と同様の効果を得ることができる。また、波形凹所33の形状度合の選択により、圧力損失と脱臭性能を容易に調整できる。
(実施形態7)
本例においては、実施形態1〜6における多孔質基材20としてのウレタンフォームに代えて、図24に示すごとく、多孔質セラミックからなる多孔質構造の結合体204を用いている。多孔質構造の結合体204は、各結合粒子241間に、ガス流通可能な多数の空隙242を有している。この多孔質構造の結合体204を平板状に形成するとともに、この平板状の多孔質構造の結合体204に、実施形態5、6の筒状凹所32、波形凹所33を設けることにより、実施形態5、6と同様の効果を得ることができる。また、結合体204の材質に吸着効果のあるもの(例えば金属酸化物)を用いれば、脱臭能力が更に増し、長寿命化の効果が得られる。その他、フィルタ強度向上、耐熱性向上の効果も得られる。
また、多孔質構造の結合体204として、顆粒状物質をバインダで結合したものを用いたところ、同様の効果が得られた。
(実施形態8)
本例においては、実施形態7における多孔質基材20として多孔質構造の結合体204に代えて、図25に示すごとく、多孔質ガラス205を用いた。多孔質ガラス205は、ガス連通可能な多数の細孔251を有している。その他は、実施形態7と同様である。
本例によれば、実施形態7と同様に、多孔質ガラス自体が吸着効果があるため、脱臭性能を高める効果が得られる。その他、フィルタ強度向上、耐熱性向上の効果も得られる。
産業上の利用可能性
本発明は、悪臭ガスを脱臭する脱臭能力を持ったフィルターを低圧損構造で構成するものであり、従って空調装置の通風路、例えば自動車用空調装置の通風路等の内部に設置されて、空調用空気の脱臭に用いて好適なものである。
Claims (11)
- 気体中の悪臭成分を吸着する吸着剤が担持された多孔質材料を用いて構成される脱臭フィルターの製造方法において、
前記多孔質材料として平板状に形成された柔軟性のある多孔質材料を用い、この多孔質材料に形成されるセルの数が、長さ1インチ当たり6〜20個の範囲であり、
この多孔質材料の表裏両面に、その厚み方向から厚みの途中まで切断してスリットを交互に形成し、このスリットが形成されない厚み部分をスリットの底部としたときに、このスリットの底部が前記厚み方向の一端と他端に交互に分かれるようになし、
次に、前記吸着剤を前記多孔質材料に担持し、
次に、前記多孔質材料を前記平板状の平面方向に引き延ばすことにより前記スリットを三角状に拡開して、前記多孔質材料を前記スリットの底部が山部となるプリーツ形状に形成することを特徴とする脱臭フィルターの製造方法。 - 前記プリーツ形状に形成した前記多孔質材料をフィルター外枠内に収納し固定することを特徴とする請求項1に記載の脱臭フィルターの製造方法。
- 気体中の悪臭成分を吸着する吸着剤が担持された多孔質材料を用いて構成される脱臭フィルターの製造方法において、
前記多孔質材料として平板状に形成された柔軟性のある多孔質材料を用い、この多孔質材料に形成されるセルの数が、長さ1インチ当たり6〜20個の範囲であり、
この多孔質材料の表裏両面に、その厚み方向から厚みの途中まで切断してスリットを交互に形成し、このスリットが形成されない厚み部分をスリットの底部としたときに、このスリットの底部が前記厚み方向の一端と他端に交互に分かれるようになし、
次に、前記多孔質材料を前記平板状の平面方向に引き延ばすことにより前記スリットを三角状に拡開して、前記多孔質材料を前記スリットの底部が山部となるプリーツ形状に形成し、
次に、前記吸着剤を前記多孔質材料に担持することを特徴とする脱臭フィルターの製造方法。 - 前記多孔質材料は、発泡プラスチックからなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の脱臭フィルターの製造方法。
- 前記発泡プラスチックはウレタンフォームであることを特徴とする請求項4に記載の脱臭フィルターの製造方法。
- 前記プリーツ形状の山部間の幅であるプリーツピッチが、3〜20mmの範囲であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の脱臭フィルターの製造方法。
- 前記プリーツ形状の山部間の幅であるプリーツピッチが、10〜15mmの範囲であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の脱臭フィルターの製造方法。
- 前記プリーツ形状の多孔質材料の厚みが、2〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の脱臭フィルターの製造方法。
- 前記プリーツ形状の多孔質材料の厚みが、3〜8mmの範囲であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の脱臭フィルターの製造方法。
- 前記プリーツ形状の多孔質材料に担持される前記吸着材の担体容積当たりの担持量が、0.03g/cc〜0.40g/ccの範囲であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の脱臭フィルターの製造方法。
- 前記プリーツ形状の多孔質材料に担持される前記吸着材の担体容積当たりの担持量が、0.10g/cc〜0.20g/ccの範囲であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の脱臭フィルターの製造方法。
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