JP3728502B2 - スピニング加工装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピニング加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スピニング加工は成形型に板材または管材のワークをセンタリングして成形型とともに回転させ、それを加工ローラで押し付けて成形加工を行う方法である。金属を素材とする製品の成形加工法として、家庭用容器、装飾工芸品、照明器具、通信(パラボラアンテナなど)、ボイラ、タンク、ノズル、エンジン部品、タイヤホイールなどの部品・製品の製造に広く用いられている。
【0003】
従来のスピニング加工装置において、加工ローラの移動は主に油圧シリンダなどの直動アクチュエータによって行われている。典型的な加工ローラの移動機構は、ワーク回転軸に平行な直動アクチュエータと、それと交差する直動アクチュエータから構成され、前者の直動アクチュエータにより加工ローラをワーク回転軸に平行に送りながら、後者の直動アクチュエータを前進または後退させて加工ローラをワークに押し付け、成形加工を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、シリンダ長などによってストロークがアクチュエータ寸法よりも短く制限される直動アクチュエータを用いるため、加工ローラの可動範囲に対して一般に装置全体の寸法が大きくなる。したがって、成型可能な製品のサイズと比較するときわめて大きな加工装置が必要である。
【0005】
また、直動アクチュエータのみから構成されるため、加工ローラはその方向を変えることができず並進移動するのみである。そのため加工ローラの回り込みを要する複雑な形状の製品を加工するには、加工途中で異なる角度の加工ローラに交換することなどが必要である。
【0006】
また、ワーク表面の回転軸に対する傾きが変化する製品の場合、ワーク表面に対する加工ローラの角度が変動するため、加工精度や製品表面の性状にも影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とするものであり、成型可能な製品サイズと比較してコンパクトな装置によりスピニング加工装置を実現することである。
【0008】
さらに、本発明は、加工中のワークの形状に合わせて加工ローラを旋回させることによって、複雑な形状の製品が成形可能なスピニング加工装置を実現することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、ワークを回転させる主軸モータと、複数の回転関節を有し先端部に加工ローラを装着した多関節ロボットと、前記多関節ロボットの回転関節を動作させる制御装置とを備え、前記多関節ロボットは、前記加工ローラの並進移動および旋回を行わせてスピニング加工を行うスピニング加工装置において、前記複数の回転関節は、それぞれ回転角を検出する角度センサを備え、前記制御装置は、加工中の前記加工ローラの軌跡データを記憶する記憶部と、該軌跡データを前記複数の回転関節の目標関節角に変換する演算処理部と、前記回転関節を制御する関節コントローラとを有し、前記関節コントローラは、前記角度センサから角度信号を取得し、前記目標関節角との偏差に基づいて前記回転関節をそれぞれサーボ制御して、前記加工ローラをワークの目標形状に沿って制御して成形加工することを特徴とするスピニング加工装置を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のスピニング加工装置の実施の形態を実施例に基づいて図面を参照して説明する。図1は、本発明のスピニング加工装置の実施例を説明する図である。ワーク1は、芯押棒2によって成形型3にセンタリングされ、主軸モータ4によって成形型3とともに回転する。
【0012】
加工ローラ5は、回転関節6〜8を有するリンク機構の多関節ロボット9の先端に装着され、ワーク回転軸10を含む平面内で並進移動かつ旋回可能である。多関節ロボット9の回転関節6〜8は、回転角を検出するエンコーダなどの角度センサ11〜13を備えるものとする。加工ローラ5によりワーク1を成形型3に押し付け、初期形状である平板1aから最終的には成形型に沿った形状1bにワーク1を加工する。
【0013】
図2に、本発明の成形加工における制御方法、装置およびその作用を示す。多関節ロボット9の回転関節6〜8を動作させる制御装置が設けられており、この制御装置は、加工中の加工ローラ5の軌跡データを記憶する記憶部14と、この軌跡データを回転関節6〜8の目標関節角θ1〜θ3に変換する演算処理部15と、回転関節6〜8を具体的に制御する関節コントローラ16〜18とを有する。これらをさらに詳細に説明する。
【0014】
加工中の加工ローラ5の軌跡データは、ワーク回転軸10を含む平面内における回転軸方向の送り量x、回転半径方向の送り量y、および加工ローラの旋回角αで表される。x、y、αの各成分は、多関節ロボット9の先端の位置・姿勢と関節角の間の運動学的関係に基づいて、逆運動学変換により回転関節6〜8の目標関節角θ1〜θ3に変換される。
【0015】
関節コントローラ16〜18は回転関節6〜8に装着された角度センサ11〜13から角度信号を取得し、目標関節角θ1〜θ3との偏差に基づいて回転関節6〜8をそれぞれサーボ制御する。以上により加工ローラ5はワーク1の目標形状に沿って制御され、最終的に成形型3に密着する形状に成形加工される。
【0016】
図3に従来のスピニング加工装置と本発明の装置における加工ローラの可動範囲の比較を示す。図3(a)は、従来の装置の可動範囲の例である。加工ローラ19を駆動する直動アクチュエータ20、21のストロークを辺とする平行四辺形となる。直動アクチュエータのストロークはアクチュエータ寸法よりも小さく制限されるため、装置の設置面積と比べてかなり狭くなる。
【0017】
図3(b)は、本発明の装置における関節8の可動範囲の例である。関節角度制限を0〜180°とした。関節7を中心とする半円を、関節6を中心として掃引した領域が可動範囲となるため、装置の寸法と比べて広く取ることができる。
【0018】
図4は、加工ローラの旋回を必要とする製品の例である。図4(a)に示す従来の加工方法および装置による加工では、加工ローラ19の姿勢が一定のためAの部分では加工ローラ19をワーク1に押し付けることができない。加工途中でワークを反転したり、異なる角度の加工ローラに交換することが必要である。また加工可能な部分もワーク表面に対する加工ローラの角度が変動するため、加工精度や製品表面の性状にも影響を及ぼす可能性がある。
【0019】
図4(b)に示す本発明の加工方装置による加工では、関節8により加工ローラ5をワーク1の形状に合わせて旋回することができるため、すべての部分が加工できる。また、加工ローラ5がワーク1に接する点でのワーク表面に対する加工ローラの角度を一定に保つことができる。
【0020】
以上、本発明に係るスピニング加工装置の実施の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明は、このような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【0021】
【発明の効果】
以上の構成による本発明によれば次のような効果が生じる。
(1)加工装置の寸法と比較して、従来よりも大きなサイズの製品のスピニング加工が可能となる。
(2)加工中のワークの形状に合わせて加工ローラを旋回させることによって、加工ローラの回り込みを要する複雑な形状の製品のスピニング加工が可能となる。
(3)ワーク表面に対する加工ローラの角度を一定に保つことにより、加工精度や製品表面の性状を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスピニング加工装置の実施例を説明するための図である。
【図2】本発明に係るスピニング加工装置による成形加工中における制御方法、制御装置およびその作用を説明するための図である。
【図3】従来の装置と本発明の装置との加工ローラの可動範囲を比較する図である。
【図4】加工ローラの旋回を必要とする製品の例を従来の装置と本発明の装置により加工する状態を示す図である。
【符号の説明】
1 ワーク
1a ワーク初期形状
1b ワーク最終形状
2 成形型
3 芯押棒
4 主軸モータ
5 加工ローラ
6〜8 回転関節
9 多関節ロボット
10 ワーク回転軸
11〜13 角度センサ
14 記憶部
15 演算処理部
16〜18 関節コントローラ
19 加工ローラ
20〜21 直動アクチュエータ

Claims (1)

  1. ワークを回転させる主軸モータと、複数の回転関節を有し先端部に加工ローラを装着した多関節ロボットと、前記多関節ロボットの回転関節を動作させる制御装置とを備え、前記多関節ロボットは、前記加工ローラの並進移動および旋回を行わせてスピニング加工を行うスピニング加工装置において、
    前記複数の回転関節は、それぞれ回転角を検出する角度センサを備え、
    前記制御装置は、加工中の前記加工ローラの軌跡データを記憶する記憶部と、該軌跡データを前記複数の回転関節の目標関節角に変換する演算処理部と、前記回転関節を制御する関節コントローラとを有し、
    前記関節コントローラは、前記角度センサから角度信号を取得し、前記目標関節角との偏差に基づいて前記回転関節をそれぞれサーボ制御して、前記加工ローラをワークの目標形状に沿って制御して成形加工することを特徴とするスピニング加工装置。
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