JP3727489B2 - ロケータ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、GPS(Global Positioning System)受信機の観測情報と、自律航法用複合センサの計測情報を用いて、車両の現在位置と進行方位および速度等を計算する複合航法を備えたロケータ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図20は例えば、特開平8−68655号公報に示された従来のロケータ装置の構成の一例を示すブロック図である。図において、1は距離センサ、2は相対方位センサ、3は絶対位置観測手段としてのGPS受信機であり、5は信号処理器である。また、信号処理器5内において、520は距離センサ1と相対方位センサ2の出力信号を基に相対軌跡を演算する相対軌跡演算、521はそれらの絶対軌跡を演算する絶対軌跡演算であり、522は距離センサ1の距離係数、相対方位センサ2のオフセット、絶対位置および絶対方位の各補正を行うカルマンフィルタである。
【0003】
次に動作について説明する。
なお、相対軌跡演算520、絶対軌跡演算521、およびカルマンフィルタ522はマイクロコンピュータによる演算処理によって実現されるものであり、以下、これらについて説明する。ここで、図21は自律航法のメインルーチンの演算処理を示す流れ図、図22は進行方位変化と移動距離の演算処理を示す流れ図、図23は相対軌跡演算処理を示す流れ図、図24は絶対方位、絶対位置の演算処理を示す流れ図であり、図25は自律航法とGPS航法を複合化するためのカルマンフィルタの演算処理を示す流れ図である。
【0004】
まず、図21のステップST2101において、車両の進行方位変化と移動距離を計算する。この車両の進行方位変化と移動距離の演算の処理内容の詳細を図22に示す。この処理が開始されると、ステップST2201において相対方位センサ2から車両の進行方位変化をまず求める。次にステップST2202でオフセット補正量に前回からの移動距離Lを掛けたものを進行方位変化から差し引き、進行方位変化のオフセット補正を行う。その後、ステップST2203にて距離センサ1の信号に距離係数を掛けて移動距離を算出し、当該車両の進行方位変化と移動距離の演算処理を終了する。
【0005】
ステップST2101による車両の進行方位変化と移動距離の演算処理が終了すると、次にステップST2102において相対軌跡演算処理を行う。この相対軌跡演算の処理内容の詳細を図23に示す。この処理が開始されると、まずステップST2301にて進行方位変化を積算して相対方位を更新する。次にステップST2302に進み、この更新した相対方位およびステップST2203で求めた移動距離に基づく移動ベクトルのX,Y成分をそれまでの相対位置座標に加算して新たな相対位置座標を求め、この相対軌跡演算処理を終了する。
【0006】
ステップST2102による相対軌跡の演算処理が終了すると、次にステップST2103において絶対方位・絶対位置の演算処理を行う。この絶対方位・絶対位置演算の処理内容の詳細を図24に示す。この処理が開始されると、まずステップST2401にて進行方位変化を基に絶対方位を更新する。次にステップST2402に進み、この更新した絶対方位およびステップST2203にて求めた移動距離によって絶対位置座標の更新を行い、この絶対方位・絶対位置の演算処理を終了する。このステップST2103の処理にて更新された絶対方位Aと絶対位置は、次のステップST2104にけるGPS受信機3の観測情報との複合化処理に利用される。
【0007】
そのステップST2104によるGPS受信機3の観測情報との複合化の処理内容の詳細を図25に示す。図25はカルマンフィルタ522の演算手順を示した流れ図であるが、自律航法とGPS航法とを複合化するためのカルマンフィルタ522について先に説明する。カルマンフィルタ522は信号生成過程と観測過程に分けられる。線形システムで表されるシステムの状態X(t)に対して、観測行列Hで関係付けられるシステムの状態X(t)の一部が観測できる場合に、フィルタはX(t)の最適な推定値を与える。ここで、ωは信号生成過程で発生するシステム誤差であり、vは観測過程にて発生する観測誤差である。このフィルタの入力は観測値Y(t)であり、出力はX(t)の最適推定値である。時刻tにおいて時刻tまでの情報を用いた状態ベクトルの推定量X(t|t)は、次に示す式(1)により求められる。
【0008】
【0009】
ここで、上記式(1)において、X(t|t−1)は時刻t−1における時刻tでの状態ベクトルの予測量、K(t)はカルマンゲインであり、それぞれ次の式(2)および式(3)により表される。
【0010】
【0011】
なお、上記式(3)において、Σ(t|t−1)は時刻t−1における時刻tでの誤差共分散の予測量である。そして、Σv は観測過程で発生する観測誤差vの分散であり、それぞれ次に示す式(4)および式(5)によって表される。
【0012】
【0013】
ここで、上記式(4)および式(5)において、Σw は信号過程で発生するシステム誤差ωの分散であり、Iは単位行列である。なお、添字のT は転置行列を意味し、-1は逆行列を意味する。さらに、システム誤差ωと観測誤差vは平均値0の白色ガウス雑音であり、互いに無相関である。
【0014】
このようなカルマンフィルタ522は、まずシステムの状態Xと誤差共分散Σの初期値に適当な誤差を与えてやり、新しい観測が行われる度に、以上の計算を繰り返し行うものである。そこで、上記信号生成過程の定義についてまず説明する。自律航法でのカルマンフィルタ522は自律航法の誤差の補正を目的とするので、状態ベクトルの推定量Xの要素として、オフセット誤差εG、絶対方位誤差εA、距離係数誤差εK、絶対位置北方向誤差εY、および絶対位置東方向誤差εXの5つの誤差値を定義する。そして、この誤差値の時間的な変化を与えるものが状態遷移行列Fである。
【0015】
オフセット誤差εGは、確定的な変化はなく、前回の誤差にノイズが付加されたものとして、次に示す式(6)により表される。
【0016】
εGt =εGt-1 +ω0 ・・・(6)
【0017】
絶対方位誤差εAは、前回のオフセット誤差εGに前回からの経過時間を乗算して求める方位誤差とノイズが付加されるものとして、次の式(7)によって表される。
【0018】
εAt =TεGt-1 +εAt-1 +ω1 ・・・(7)
【0019】
距離係数誤差εKは、確定的な変化はなく、前回の距離係数誤差εKにノイズが付加されたものとして、次の式(8)によって表される。
【0020】
εKt =εKt-1 +ω2 ・・・(8)
【0021】
絶対位置北方向誤差εY、および絶対位置東方向誤差εXは、前回の誤差εY,εXに、方位誤差、距離誤差によって生じる誤差が付加されるものとして、次に示す式(9)および式(10)により表される。なお、これら両式中のAt は真の絶対方位、Lは前回からの移動距離、tは前回からの経過時間である。
【0022】
εYt =sin(At +εAt-1 +εGt-1 ・t/2)・L・(1+εKt-1 )−sin(At )・L+εYt-1 ・・・(9)
εXt =cos(At +εAt-1 +εGt-1 ・t/2)・L・(1+εKt-1 )−cos(At )・L+εXt-1 ・・・(10)
【0023】
また、上記式(9)および式(10)を状態量で偏微分し線形化すると、信号生成過程は、次に示す式(11)〜式(15)により表される。
【0024】
【数1】
【0025】
なお、上記式(11)〜式(15)において、Aは真の絶対方位At にセンサ誤差が加わったものであり、進行方位変化から求められる。また、ω0 はオフセット誤差(温度ドリフト等によるオフセット変動分)、ω1 は絶対方位誤差(ジャイロのスケールファクタ誤差)、ω2 は距離係数誤差(経年変化)、ω3 ,ω4 は絶対位置誤差を意味する。
【0026】
次に観測過程について説明する。
観測値は自律航法とGPS航法の両出力の差により求める。それぞれの出力には誤差が含まれるため、自律航法の誤差とGPS観測情報の誤差の和が観測値として得られる。この観測値Yとシステムの状態Xを関連付け、次に示した式(16)〜式(19)のように定義する。
【0027】
【数2】
【0028】
上記式(16)〜式(19)において、行列の要素における添字DRt は、距離センサ1、相対方位センサ2からの出力信号に基づいて、時刻tに自律航法にて求められた値を意味し、同様にして、添字GPStは時刻tにGPS受信機3から出力される値を意味する。観測値Yt の要素(εADRt −εAGPSt)は、自律航法によって求められた絶対方位と、GPS受信機3から出力される方位の差、すなわち自律航法により求められた絶対方位には真の絶対方位とその誤差εADRt が含まれており、またGPS受信機3から出力される方位も真の絶対方位とその誤差εAGPStが含まれていることから、それらの差を取ることによって求められるものである。
【0029】
観測値Yt の要素(εKDRt −εKGPSt)は、自律航法により求められる速度とGPS受信機3から出力される速度の差から求まる距離係数誤差であり、(自律航法による速度−GPS受信機による速度)/(自律航法による速度)により求められる。また、要素(εYDRt −εYGPSt)は自律航法により求められる絶対位置のY成分とGPS受信機3から出力される位置のY成分の誤差の差であり、要素(εXDRt −εXGPSt)は位置のX成分の誤差の差である。
【0030】
また、観測誤差vはGPS受信機3の誤差であり、観測誤差vの各要素は、以下のように求められている。まず、ドップラ周波数の計測誤差とHDOP(Horizontal Dilution of Presision)の関係により、速度精度がドップラ周波数の計測誤差×HDOPで求められ、速度精度と車両の速度から方位精度がtan-1(速度精度/車両の速度)で求められる。これら方位精度と速度精度をそれぞれ2乗することによって、要素(−εAGPSt)および要素(−εKGPSt)が求められる。また、GPS受信機3における擬似距離の計算誤差UERE(User Equivalent Ranging Error)と上記HDOPとの関係から、UERE×HDOPにより測位精度が求められる。要素(−εYGPSt)と要素(−εXGPSt)は、この測位精度を2乗することによりそれぞれ求められる。
【0031】
次に、カルマンフィルタ522の処理手順を図25の流れ図に従って説明する。まずステップST2501において、前回の測位または予測計算からT1秒経過したか否かを判定する。この判定処理はGPS受信機3で2次元あるいは3次元測位が行われる度にステップST2503からステップST2509にて自律航法の誤差を補正する処理を行うが、GPS受信機3で2次元あるいは3次元測位できない場合には誤差が大きくなるため、それに対応した誤差の予測計算をステップST2510,ST2511にて定期的に行うために設けられたものである。
【0032】
前回の測位または予測計算からT1秒経過しておらず、ステップST2501による判定の結果がNoになると、ステップST2502に分岐して、GPS受信機3からの観測情報があるか否かを判定する。GPS受信機3からの観測情報があり、ステップST2502の判定結果がYesになると、ステップST2503以降のカルマンフィルタの演算処理に進む。ステップST2503ではまず、観測値Yの計算を行う。これは、GPS受信機3から出力される速度、位置、および方位に関する観測情報と、自律航法におけるステップST2103の処理にて求めた絶対方位、絶対位置と、図示していない速度演算処理により距離センサ1の信号から求めた車両の速度とから、上記式(16)〜式(19)で示した観測値Yを計算するものであり、あわせて観測過程で発生する観測誤差vをGPS受信機3の観測情報等をもとに計算する。
【0033】
次にステップST2504において、状態遷移行列Fの計算を行う。これは前回の状態遷移行列Fの計算時点からの移動距離L、および経過時間tと、ステップST2401で求めた絶対方位Aとから、上記式(11)〜式(15)に示す状態遷移行列Fを求めるものである。このようにして計算した観測値Yおよび状態遷移行列Fを基に、上記式(1)〜式(5)による計算を行ってシステムの状態Xを求める。すなわち、ステップST2505で誤差共分散の予測計算を行い、ステップST2506ではカルマンゲインの計算を行う。次にステップST2507にて誤差共分散を計算を行い、その後、ステップST2508において、カルマンゲインおよび観測値に基づいて状態ベクトルの推定量を求める。この状態ベクトルの推定量は、オフセット誤差、絶対方位誤差、距離係数誤差、絶対位置北方向誤差および絶対位置東方向誤差を表している。
【0034】
ステップST2508までの処理が終了するとステップST2509に進み、その計算結果に基づいて自律航法の誤差の修正を行う。すなわち、相対方位センサ3のオフセット補正量は、前回のオフセット補正量よりオフセット誤差εGを減算することによって、距離センサ1の距離係数は、前回の距離係数に1から距離係数誤差εKを引いたものを乗算することによって、絶対方位は前回の絶対方位より絶対方位誤差εAを減算することによって、北方向絶対位置は前回の北方向絶対位置より絶対位置北方向誤差εYを、東方向絶対位置は前回の東方向絶対位置より絶対位置東方向誤差εXをそれぞれ減算することによって、自律航法の誤差補正が行われる。これらの処理は、GPS受信機3からの観測情報を受信する度に繰り返し実行して、上記誤差修正を行うものである。
【0035】
また、信号生成過程で発生するシステム誤差ωの行列の各要素、すなわち、オフセット誤差ω0 、絶対方位誤差ω1 、距離係数誤差ω2 、絶対位置誤差ω3 ,ω4 は、それぞれ次のように求められる。まず、オフセット誤差ω0 と絶対方位誤差ω1 には規定値を設定する。その後、車両の挙動状態に応じて発生する所定の誤差発生要因毎の誤差分散の総和として絶対方位誤差ω1 を再計算する。また、絶対位置誤差ω3 ,ω4 については、誤差共分散行列の要素(σAA 2 )が所定値以下の場合のみに、絶対方位誤差による位置誤差の発生量の大きさをX,Y軸に分割した値をもとに計算する。
【0036】
また、従来のロケータ装置において、装置に内蔵した加速度センサから移動距離を計測するものが提案されている。加速度センサは、加速度aACC が0の時でも、出力信号SGACC が所定の電圧値([mV]、以下、オフセットOFACC という)を示すように調整されたもので、加速時にはオフセットOFACCより大きな電圧値が、また減速時にはオフセットOFACC より小さな電圧値が出力される。この加速度センサの出力信号SGACC から加速度aACC を求めるには、次の式(20)に示すように、出力信号SGACC からオフセットOFACC を減算した後に、電圧値を加速度の単位に変換するスケールファクタSFACC ([m/S2 /mV])を乗算すればよい。なお、式(20)の添字ACC は加速度センサ関連のデータを指すものであり、iは時間を示すものである。また、ΔTは加速度センサのサンプリング周期である。
【0037】
aACCi=(SGACCi−OFACCi)×SFACCi×ΔT ・・・(20)
【0038】
しかしながら、現実には温度変化等の要因によりオフセットOFACC とスケールファクタSFACC が変動するので、オフセットOFACC とスケールファクタSFACC を適宜適正な値に補正することが必要とされる。加速度センサの補正については、例えば特開平10−307032号公報で提案されているので、ここではその内容を簡単に説明する。
【0039】
図26はそのような従来のロケータ装置の構成を示すブロック図であり、図において、1は距離センサ、2は相対方位センサ、3はGPS受信機、4は車両の前後方向の加速度を計測する上記加速度センサであり、5は信号処理器である。また、信号処理器5内において、50は距離センサ1、相対方位センサ2、GPS受信機3、加速度センサ4の各出力信号をインタフェースするためのインタフェース回路であり、51はあらかじめメモリ領域に格納されている制御プログラムに従って、車両の挙動情報を推定するとともに、上記各センサの補正を行うマイクロコンピュータである。
【0040】
次に動作について説明する。
ここで、図27は上記マイクロコンピュータ51の全体の処理動作の概要を示す流れ図であり、以下、この図27に基づいて説明する。ロケータ装置に電源が投入されると、ステップST2701において、まず初期値設定が行われる。次にステップST2702で、加速度センサ4の出力信号に基づく前後方向の加速度の算出と車両の速度の推定を行う。次にステップST2703で、GPS受信機3の観測した車両の現在位置、進行方位、速度(以下、GPS位置、GPS方位、GPS速度という)等の観測情報を受信し、さらにステップST2704において、相対方位センサ2の出力信号から車両の進行方位変化を算出する。次にステップST2705に進み、これらの算出値に基づいて車両の走行距離を算出し、GPS受信機3および各種センサの出力信号に基づいて車両の現在位置等を推定する。
【0041】
その後、ステップST2706にて相対方位センサ2の出力信号に基づいて停車状態判定処理と発車状態判定処理を行うか、あるいは、ステップST2707にて相対方位センサ2の出力信号に基づいて停車時または走行中におけるオフセットの更新処理を行う。さらに、ステップST2708にて加速度センサ4の出力信号に基づく停車状態判定処理と発車状態判定処理を行うか、あるいはステップST2709にて加速度センサ4の出力信号に基づいて停車時または走行中のオフセットの更新処理を行う。次にステップST2710に進み、GPS受信機3の観測データを基準にして、加速度センサ4の出力信号から推定した速度のリセット処理を行う。次にステップST2711において、GPS受信機3の観測情報を基準にして加速度センサ4のスケールファクタ補正を行う。以後、ステップST2702からステップST2711の処理を繰り返し実行する。
【0042】
次に、加速度センサ4に関する動作の説明を補足する。まずステップST2702において、加速度センサ4の出力信号SGACCに基づく前後方向の加速度aACCと車両の速度VelACC を、上記式(20)と次の式(21)を用いてそれぞれ演算し、また、ステップST2705における走行距離Δd([m])を、次に示す式(22)にて演算する。
【0043】
VelACCi=VelACCI-1+aACCi×ΔT ・・・(21)
Δd=VelACCi×ΔT+1/2×aACCi×ΔT2 ・・・(22)
【0044】
次に、ステップST2706あるいはステップST2708で行う停車状態判定処理は、加速度センサ4あるいは相対方位センサ2の出力信号の一定時間における標準偏差がそれぞれ所定値以下になった場合、あるいはGPS測位時にGPS速度が0km/hであった場合に停車状態であると判定する。さらに、所定時間における加速度センサ4の出力信号の平均値が負となる減速状態の後で、加速度センサ4の出力信号が所定値以上変化した場合についても停車状態と判定する。一方、発車状態判定処理は、停車状態であると判定している場合に、加速度センサ4あるいは相対方位センサ2の一定時間における出力信号の変化量が所定値より大きくなった時、あるいはGPS測位中にGPS速度が0km/hでなくなった時には発車状態であると判定する。
【0045】
また、ステップST2709のオフセット値の更新は、前後方向の加速度が発生していない停車状態と等速度走行時に実施するもので、加速度センサ4の出力信号の平均値をオフセットとして設定する。ここで、等速度走行状態とは、加速度センサ4の出力信号により推定した速度が30km/h以上かつ、推定した速度と進行方位変化の変化量が少ない状態であり、GPS測位中にはさらにGPS速度の変化量も少ないことも判定条件に加えている。
【0046】
ステップST2710では、次の式(23)および式(24)に示すように、加速度センサ4による推定速度VelACC をGPS速度VelGPS に基づいて修正する。ただし、kの最大値は1.0であるものとする。
【0047】
VelACCi=VelACCi+(VelGPSi−VelACCi)×k ・・・(23)
k=VelGPSi/30 ・・・(24)
【0048】
ステップST2711のスケールファクタ補正処理は、等速度走行状態、かつ加速度センサ4の出力信号から算出された加速度の変化量が少ない状態(等加速度走行状態)であって、相対方位センサ2の出力信号から算出された角速度の変化量が少ない状態(等角加速度走行状態)、かつGPS速度の変化量である加速度の変化量が少ない状態(等加速度走行状態)である場合において実行するものであり、走行状態における加速度センサ4の推定速度VelACCiの平均値とGPS速度VelGPSiの平均値を比較して、次の式(25)に示すように、GPS速度の平均値VelGPSavei に加速度センサ4の推定速度の平均値VelACCavei が合うように加速度センサ4のスケールファクタSFACCiを修正する。
【0049】
SFACCi=VelGPSavei /VelACCavei ×SFACCi-1 ・・・(25)
【0050】
【発明が解決しようとする課題】
従来のロケータ装置(特開平8−68655号公報に示されたロケータ装置)は以上のように構成されているので、カルマンフィルタ522にてオフセット誤差、距離係数誤差、絶対方位誤差、絶対位置誤差を求めて自律航法におけるそれぞれの補正が行われ、カルマンフィルタ522におけるシステム誤差と観測誤差の精度に応じて、カルマンフィルタ522で求めるオフセット誤差、距離係数誤差、絶対方位誤差、絶対位置誤差の精度が決まるものであり、観測誤差の算出に用いるHDOPとUEREは、利用者が位置精度を推定するための指標であるので、その時々の誤差を直接表すことができず、観測誤差を高い精度で設定することがきないという課題があった。
【0051】
また、システム誤差に関しては、オフセット誤差ω0 と絶対方位誤差ω1 には規定値を設定し、車両の挙動状態に応じて発生する所定の誤差発生要因毎の誤差分散の総和として、絶対方位誤差ω1 を再計算しているため、絶対方位誤差ω1 を高精度で設定できないという課題があり、また絶対位置誤差ω3 ,ω4 についても、誤差共分散行列の方位誤差に関する要素が所定値以下の場合のみに、精度が高くない絶対方位誤差によって位置誤差の発生量の大きさをX,Y軸に分割した値として計算しているため、その精度も高く設定することができないという課題があった。
【0052】
さらに、オフセット誤差、距離係数誤差、絶対方位誤差、絶対位置誤差を状態ベクトルとして同時に計算しているため、システム誤差と観測誤差のどれか一つの要素が不正確だった場合には、状態ベクトルの他の行列要素もカルマンゲインで決まる量だけ値に反映され誤差を生じるという問題があり、従って、このカルマンフィルタ522では、各誤差の特徴に合わせた検出および設定ができないという課題があった。
【0053】
さらに、GPS速度は低速走行時に精度が低下することがあるが、これに関する対策が距離係数誤差の計算では示されておらず、またGPS速度の分散は、距離センサ1の出力信号から計算した速度の分散より大きいので、計算される距離係数誤差の分散が大きくなると考えられ、一方、相対方位センサ2に関しては、オフセット誤差のみが補正対象となっており、相対方位センサ2としてジャイロを使用する場合には、標準値に対して最大で約±20%も変動し得るスケールファクタに関して考慮していないため、スケールファクタ誤差が原因で生じた方位誤差もオフセット誤差として誤って補正してしまうといった課題もあった。
【0054】
さらに、特開平10−307032号公報に示されたロケータ装置は、加速度センサ4の出力信号から車両の速度を推定し、また加速度センサ4のオフセットに生じたドリフトや、当該ロケータ装置取付け時の傾きに起因する加速度センサ4のスケールファクタの重力影響を補正するために、GPS速度を基準にして加速度センサ4のオフセットとスケールファクタを補正するもので、この補正を行う車両の状態としては、停車状態、等速度走行状態、等加速度状態、あるいは等角速度状態の車両が安定した走行状態であることが求められているが、信号機の多い市街地等では、車両が安定した走行状態になることが少ないことから、加速度センサ4のオフセットとスケールファクタの補正が不十分になるばかりか、車両の走行中にドリフトが大きく生じた時にオフセットの補正が不十分だった場合には、たとえ前後方向の加速度が一定であってもオフセットが徐々に変化して、出力信号からオフセットを減算した値が一定でなくなってしまい、車両が加速あるいは減速されている状態にあると誤認識して、さらに補正ができなくなるという課題があった。
【0055】
また、車両が安定な走行状態になったときに、GPS速度が30km/h以上であれば、加速度センサ4による推定速度とスケールファクタの補正量が大きくなっていたため、GPS速度の誤差の影響を受けて推定速度とスケールファクタの精度も低下するという課題もあった。
【0056】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、距離センサの出力信号から車両の速度または移動距離を計測する際に、車両により大きく異なる距離センサのスケールファクタを、走行開始後に迅速に補正できるロケータ装置を得ることを目的とする。
【0057】
また、この発明は、距離センサの出力から車両の速度または移動距離を計測する際に、車両によって大きく異なる距離センサのスケールファクタを、走行開始後に安定して補正できるロケータ装置を得ることを目的とする。
【0058】
さらに、この発明は、GPS受信機が非測位状態となり易い場所を走行していても、走行開始後に直ちにスケールファクタを補正できるロケータ装置を得ることを目的とする。
【0059】
さらに、この発明は、車両への着脱を容易に行えるロケータ装置を得ることを目的とする。
【0060】
さらに、この発明は、GPS航法と自律航法の複合化に際して、一つの計算方法でGPS受信機の観測情報と自律航法用のセンサの計測情報から、車両の現在位置と進行方位を簡単、かつ高精度で推定できるロケータ装置を得ることを目的とする。
【0061】
さらに、この発明は、ジャイロ等の角速度センサ、または相対方位センサのオフセットとスケールファクタの補正を適確に行えるロケータ装置を得ることを目的とする。
【0062】
さらに、この発明は、スケールファクタの誤補正を防止できるロケータ装置を得ることを目的とする。
【0063】
さらに、この発明は、ロケータ装置が複数の車両へ載せ換えられて使用される際に、他の車両へ載せ換えられたことを判定できるとともに、載せ換えられたと判定された場合には、現在の車両に係る補正を直ちに行えるロケータ装置を得ることを目的とする。
【0064】
さらに、この発明は、他の車両へ載せ換えられたときに、車両に係る補正を毎回やり直すことが不要なロケータ装置を得ることを目的とする。
【0065】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るロケータ装置は、絶対位置観測手段と、距離センサを備えるとともに、距離センサの出力信号にスケールファクタを乗算して車両の速度を計算するシステムモデルと、絶対位置観測手段で観測した車両の速度とそのシステムモデルにおける速度との関係を表した観測モデルに基づいて、状態ベクトルの行列要素にシステムモデルにおける速度とスケールファクタを、観測値に絶対位置観測手段で観測した速度をそれぞれ設定したカルマンフィルタによって、状態ベクトルの行列要素である速度とスケールファクタを計算する速度計算手段を備え、速度計算手段におけるシステムモデルと観測モデルでは、距離センサの出力信号と絶対位置観測手段で観測した速度の各平均値を扱い、またその平均値の時間的変化に伴う勾配の差異を絶対位置観測手段で観測した速度の平均値に乗算した値を観測誤差として設定するようにしたものである。
【0066】
この発明に係るロケータ装置は、速度計算手段において、そのカルマンフィルタの後段にローパスフィルタを設け、このローパスフィルタを通過させることによって、カルマンフィルタにおける状態ベクトルの行列要素である距離センサのスケールファクタの変動を小さくし、それを距離センサの補正値とするようにしたものである。
【0069】
この発明に係るロケータ装置は、車両の進行方位変化に応じた信号を出力する相対方位センサと、この相対方位センサの出力信号から車両の単位時間毎の進行方位変化を計算する方位変化計算手段を設けるとともに、速度計算手段または速度推定手段による速度から求めた単位時間当たりの移動距離と方位変化計算手段で計算した単位時間毎の進行方位変化から車両の現在位置と進行方位を計算するシステムモデルと、絶対位置観測手段で観測した車両の現在位置とシステムモデルにおける現在位置の関係を表した観測モデルに基づいて、状態ベクトルの行列要素にシステムモデルにおける現在位置と進行方位を、観測値に絶対位置観測手段で観測した車両の現在位置をそれぞれ設定したカルマンフィルタにより、状態ベクトルの行列要素である車両の現在位置と進行方位を計算する位置・方位推定手段を設け、この位置・方位推定手段にて、所定距離以上離れた複数地点または所定時間経過毎の絶対位置観測手段と位置・方位推定手段によるそれぞれの現在位置の差異の変動量を観測誤差として設定し、また所定距離以上離れた複数地点毎の絶対位置観測手段と位置・方位推定手段による両進行方位の差異の平均値をシステム誤差の行列要素である方位誤差として設定し、さらに速度計算手段または速度推定手段と絶対位置観測手段による各速度の積分値の差異をシステム誤差の行列要素である距離誤差として設定するようにしたものである。
【0070】
この発明に係るロケータ装置は、速度計算手段または速度推定手段で求めた車両の速度が0のときに相対方位センサの出力信号を平均したものをオフセットとするオフセット検出手段を設け、方位変化計算手段にて、相対方位センサの出力信号からオフセットを引いた後にスケールファクタを乗じて車両の単位時間毎の進行方位変化を計算するとともに、その進行方位変化を積算するシステムモデルと、位置・方位推定手段で推定した進行方位とシステムモデルにおける積算方位の関係を表した観測モデルに基づいて、状態ベクトルの行列要素にシステムモデルにおける相対方位センサのオフセットとスケールファクタおよび積算方位を、観測値に位置・方位推定手段で推定した進行方位をそれぞれ設定したカルマンフィルタにより、状態ベクトルの行列要素である相対方位センサのオフセットとスケールファクタを計算して相対方位センサの補正値とし、さらに、停車毎のオフセットの変動量からシステム誤差の行列要素であるオフセット誤差を、また車両旋回時に位置・方位推定手段と方位変化計算手段の各方位情報からそれぞれ求めた車両の旋回角の差異からシステム誤差の行列要素であるスケールファクタ誤差をそれぞれ設定して、位置・方位推定手段で用いたシステム誤差の行列要素である方位誤差を観測誤差として設定するようにしたものである。
【0071】
この発明に係るロケータ装置は、方位変化計算手段が相対方位センサのオフセットの変動を監視して、カルマンフィルタにおける状態ベクトルの行列要素である当該相対方位センサのオフセットの変動が、あらかじめ定められた所定の値以上になったか否かによって、スケールファクタの補正の有効性を判定するようにしたものである。
【0072】
この発明に係るロケータ装置は、距離センサのスケールファクタの補正を監視して、その変化が所定割合以上となった時にロケータ装置が他の車両に載せ換えられたと判断する機能を速度計算手段に持たせたものである。
【0073】
この発明に係るロケータ装置は、距離センサのスケールファクタを記憶する複数のメモリ領域を有する記憶手段と、利用者の操作によって記憶先であるメモリ領域の番地を指定する記憶先指定手段とを設け、指定されたメモリ領域の番地に従って、記憶手段への距離センサのスケールファクタの読み書きを行うようにしたものである。
【0074】
この発明に係るロケータ装置は、距離センサのスケールファクタとメモリアクセス時刻とを組にして記憶する複数のメモリ領域を有した記憶手段に保持されているスケールファクタを記憶先検索手段にて検索し、計算されたスケールファクタに近い値が記憶手段に記録されている場合にはそのメモリ領域の番地を、記録されていない場合には未使用メモリ領域の番地を、さらに未使用メモリ領域がない場合にはメモリアクセス時刻が最も古いメモリ領域の番地を検索する記憶先検索手段とを設け、この記憶先検索手段にて指定された番地のメモリ領域に、計算した距離センサのスケールファクタを読み書きするとともに、そのスケールファクタと組で記憶されるメモリアクセス時刻として、現在の時刻を読み書きするようにしたものである。
【0075】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるロケータ装置の構成を示すブロック図である。図において、1は距離センサであり、車両の走行距離に応じてパルス信号を出力する。3は絶対位置観測手段としてのGPS受信機であり、衛星からの電波を受信するGPSアンテナが接続されており、当該衛星から受信した電波により、少なくとも車両の速度を観測して出力する。5はあらかじめメモリ内に記憶されている制御プログラムに従って車両の速度を演算するコンピュータを含んだ信号処理器である。
【0076】
また、この信号処理器5内において、511は距離センサ1からのパルス信号と、GPS受信機3からの観測情報とに基づいて、車両の速度を計算するとともに、距離センサ1の出力信号を距離に変換するためのスケールファクタを計算する速度計算手段であり、信号処理器5はこの速度計算手段511によって構成されている。
【0077】
次に動作について説明する。
ここでは、信号処理器5の速度計算手段511の動作について図を用いて説明する。図2はこの信号処理器5のメインルーチンの処理内容を示す流れ図であり、図3は所定時間Δt毎に実行される割込処理1の処理内容を示す流れ図、図4は距離センサ1から信号が出力されたときに実行される割込処理2の処理内容を示す流れ図、図5はGPS受信機3から観測周期毎に出力された観測情報を受信する割込処理3の処理内容を示す流れ図である。
【0078】
図2に示したメインルーチンは、信号処理器5の速度計算手段511の動作を管理するものである。まずステップST201で全ての処理を初期化する。次にステップST202において、割込処理1に係る処理開始のタイミングか否かを処理開始フラグを参照して判断する。その結果、当該処理開始フラグがセットされていれば、処理開始タイミングであるとしてステップST203へ進み、クリアされていれば処理開始タイミングでないとして、その処理開始フラグがセットされるまで待機する。ステップST203では次回の処理のために処理開始フラグをクリアした後、ステップST204に進む。ステップST204では、まず所定時間ΔT毎に実行される割込処理2においてカウントした、距離センサ1の出力信号カウント値ΔNi について、GPS受信機3の観測周期ΔTGPS 毎にカウント値の平均値ΔNj を求める。そして、次に示す式(26)により速度VelDRj を計算するとともに、次回の処理のために出力信号カウント値ΔNi を0にする。
【0079】
VelDRj =|ΔNj ×SFSPDj|/ΔTGPS ・・・(26)
【0080】
また、後述する処理で使用するために、距離センサ1の出力信号カウント値ΔNi の平均値ΔNj とGPS速度VelGPSjについて、所定時間分の移動平均をとった値ΔNavejおよびVelGPSavej も計算しておく。なお、GPS受信機3の観測周期はGPS観測情報受信フラグを参照して判断するものであり、上記式(26)中のSFSPDjは距離センサ1の出力信号を距離に変換するためのスケールファクタである。
【0081】
次にステップST205において、GPS受信機3から観測情報の受信を完了したか否かについて、GPS観測情報受信フラグを参照して再度判断する。このGPS観測情報受信フラグがセットされていれば、GPS受信機3からの観測情報の受信が完了したとしてステップST206へ進み、クリアされていれば、まだ受信が完了していないとしてステップST216へ進む。ステップST206では次回の処理のためにそのGPS観測情報受信フラグをクリアする。以降、ステップST207からステップST216では、距離センサ1のスケールファクタSFSPDjを補正するための処理が実行され、以下に説明する計算式(カルマンフィルタ)にて車両の速度VelDRj とスケールファクタSFSPDjを計算する。
【0082】
この実施の形態1におけるカルマンフィルタは、離散時刻jでの距離センサ1の出力信号ΔNavejと、スケールファクタSFSPDjおよび加速度aから、以下に示す式(27)〜式(29)を用いて速度VelDRavejを計算するシステムモデルと、GPS受信機3で観測した速度VelGPSavej と上記システムモデルの速度VelDRavejとの関係を次の式(30)で表す観測モデルに基づいて、それぞれ以下の式(31)〜式(33)で示される状態方程式と、式(34)〜式(37)で示される観測方程式、および以下の式(38)〜式(42)で示されるカルマンフィルタ方程式を用いて、車両の速度VelDRevejと距離センサ1のスケールファクタSFSPDjを計算する。
【0083】
【0084】
VelGPSavej =VelDRavej+δVelGPSavej ・・・(30)
【0085】
【数3】
【0086】
yj =H・xj +vj ・・・(34)
yj =VelGPSavej ・・・(35)
H=[0,1] ・・・(36)
vj =δVelGPSavej ・・・(37)
【0087】
xj|j =xj|j-1 +Kj {yj −(Hxj|j-1 +vj )} ・・・(38)
xj+1|j =Fj xj|j ・・・(39)
Kj =Σj|j-1HT[HΣj|j-1HT+σvj 2 ]-1 ・・・(40)
Σj|j =Σj|j-1 −Kj HΣj|j-1 ・・・(41)
Σj+1|j =Fj Σj|j Fj T ・・・(42)
【0088】
なお、上記式(27)〜式(29)と式(30)において、ΔTGPS はGPS受信機の観測周期、jはΔTGPS に同期した離散時刻、SFSPDjは離散時刻jにおける距離センサ1のスケールファクタ、VelDRavejは距離センサ1の出力信号から計算した速度の平均値、VelGPSavej はGPS受信機2で観測した速度の平均値、ΔNavejは離散時刻j−1から離散時刻jの間の距離センサ1の出力信号カウント値の平均値、aは離散時刻j−1から離散時刻jの間の加速度、δVelGPSavej はGPS受信機2で観測した速度の平均値VelGPSavej に含まれる誤差である。
【0089】
また、上記式(31)〜式(33)および式(34)〜式(37)において、xj 、Fj 、yj 、vj は、離散時刻jにおける状態ベトクル、状態遷移行列、観測値、観測誤差であり、Hは観測行列である。さらに、式(38)〜式(42)において、xj|j は離散時刻jにおける状態ベクトルの推定量、xj+1|j は離散時刻jにおける離散時刻j+1の状態ベクトルの予測量、Kj はカルマンゲイン、Σj|j は離散時刻jにおける状態ベクトルの共分散行列の推定量、Σj+1|j は離散時刻jにおける離散時刻j+1の共分散行列の予測量、σvj 2 は観測誤差の分散行列である。なお、上記行列の各要素は行列式を計算すれば求まるものなので、ここではその説明は省略する。
【0090】
図2において、処理がステップST207に進むと、GPS受信機3が2次元あるいは3次元測位を行っているか否かを判定する。2次元あるいは3次元測位を行っていればステップST208へ進み、非測位ならばステップST216へ進む。ステップST208では、GPS受信機3の速度と距離センサ1の出力信号のそれぞれの変化率を次に示す式(43)および式(44)で求める。
【0091】
RatioGPSj=VelGPSavej /VelGPSavej-1 −1 ・・・(43)
RatioDRj =ΔNavej/ΔNavej-1−1 ・・・(44)
【0092】
そして、連続する所定時間ΔTn における、それぞれの変化率の時間的変化に伴う勾配を、次に示す式(45)〜式(47)を用いて計算して、その変化率の時間的変化に伴う勾配の差異にGPS速度を乗算したものを、観測誤差として求める。
【0093】
【数4】
【0094】
なお、上記式(43)および式(44)と式(45)〜式(47)において、RatioGPSjとRatioDRj はGPS速度と距離センサ1の出力信号のそれぞれの変化率であり、LampRatioGPS とLampRatioDRはGPS速度と距離センサ1の出力信号の時間変化に伴うそれぞれの変化率の勾配である。また、式(45)〜式(47)において、nは所定時間ΔTn におけるRatioGPSjとRatioDRj の計算数であり、それらの平均値がRatioDRave とRatioGPSaveである。
【0095】
次にステップST209に進んで、補正が可能か否かを判定する。このステップST209では、GPS速度が所定以上で、かつ変化率の時間的変化に伴う勾配の差異が所定値未満のときに補正可能と判断するもので、補正可能ならばステップST210へ進み、補正不可能ならばステップST216へ進む。ステップST210からステップST214では、上記式(27)〜式(42)に従って状態ベクトルの推定量Xj|j と予測量Xj+1|j 、誤差共分散の推定量Σj|j と予測量Σj+1|j 、およびカルマンゲインKj を計算する。すなわち、ステップST210で状態ベクトルを推定してその推定量Xj|j を、ステップST211で状態ベクトルを予測してその予測量Xj+1|j を求め、ステップST212で誤差共分散を推定してその推定量Σj|j を、ステップST213で誤差共分散を予測してその予測量Σj+1|j を求め、さらにステップST214でカルマンゲインKj を計算する。
【0096】
次にステップST215において、このようなカルマンフィルタで計算した状態ベクトルの推定量Xj|j の行列要素であるスケールファクタ要素X11の値が正常範囲ならば、このスケールファクタ要素X11の値を用いて距離センサ1のスケールファクタSFSPDjを更新して、ステップST217に進む。一方、ステップST216では、状態ベクトルの速度に関する行列要素を初期化して、ステップST217に進む。ステップST217では状態ベクトルの行列要素である推定量の速度要素X12の値を出力した後、ステップST202へ戻る。
【0097】
次に、割込処理1について説明する。
この割込処理1は所定時間Δt毎に起動され、図3の流れ図に示すように、そのステップST301において、処理開始タイミングを示す処理開始フラグをセットして、この割込処理1を終了する。
【0098】
次に、割込処理2について説明する。
この割込処理2は距離センサ1から信号が出力されたときに起動され、図4の流れ図に示すように、そのステップST401において車速信号カウンタに1を加算して、この割込処理2を終了する。
【0099】
次に、割込処理3について説明する。
この割込処理3はGPS受信機3から観測周期毎に出力された観測情報を受信して記憶するものであり、図5の流れ図に示すように、まずステップST501でGPS受信機3から出力された観測情報を受信して記憶する。次にステップST502において全ての観測情報の受信が完了したか否かを判定し、完了していればステップST503へ進み、完了していなければこの割込処理3を終了する。ステップST503では全ての観測情報の受信が完了したとして、GPS観測信号受信フラグをセットする。
【0100】
このように、この実施の形態1によれば、GPS受信機3にて衛星からの電波を受信して車両の速度等を観測するとともに、距離センサ1にて車両の移動距離に応じた信号を出力し、速度計算手段511において、所定時間におけるGPS速度と距離センサ出力信号の平均値をそれぞれ計算して、それら各平均値の時間的変化に伴う勾配が所定値以下の時に、カルマンフィルタ方程式に従って、上記所定時間におけるGPS速度の平均値を観測値として、状態ベクトルの行列要素である距離センサ1のスケールファクタの補正と車両の速度推定を行い、また、GPS速度と距離センサ1の出力信号の各平均値の時間的変化に伴う勾配の差異をGPS速度の平均値に乗算した値をGPS速度の誤差として使用して、誤差共分散の予測と推定の計算を行い、そして、GPS受信機3が非測位状態の時には、カルマンフィルタの方程式に従って、距離センサ1の出力信号とスケールファクタから車両の速度を計算するようにしているので、GPS速度の誤差が小さいと判定された時に、専用のカルマンフィルタによって、さらにGPS速度を基準にした距離センサ1のスケールファクタの補正と車両の速度の推定が行われるため、GPS誤差が変動しても、走行開始後に迅速、かつ最適に、距離センサ1のスケールファクタを補正することができ、走行開始後に車両の速度を高い精度で推定できるという効果が得られる。
【0101】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2について説明する。
この実施の形態2によるロケータ装置は、速度計算手段511において、そのカルマンフィルタの後段にローパスフィルタを設けて、カルマンフィルタで計算した距離センサ1のスケールファクタを平滑化するようにしたものであり、その構成は図1のブロック図に示した実施の形態1の場合と同様であるため、図示および説明は省略する。
【0102】
次に動作について説明する。
なお、その動作についても、基本的には実施の形態1の場合と同様であり、速度計算手段511のメインルーチンである図2に示した流れ図における、ステップST215の動作だけが実施の形態1の場合と異なるものであるため、ここではそのステップST215の動作についてのみ説明し、その他については説明を省略する。
【0103】
この実施の形態2においては、カルマンフィルタで計算した状態ベクトルの推定量の行列要素であるスケールファクタに含まれる高周波ノイズを、当該カルマンフィルタの後段にローパスフィルタを配置することによって除去し、このローパスフィルタを通過して平滑化されたスケールファクタを距離センサ1の補正値としている。すなわち、図2のステップST215では、次の式(48)に示すように、状態ベクトルの推定量の行列要素であるスケールファクタ要素X11とスケールファクタの前回値SFSPDj-1を重み付け平均して、スケールファクタSFSPDjを更新している。なお、この式(48)において、wは重み付け係数である。
【0104】
SFSPDj=SFSPDj-1+(X11−SFSPDj-1)×w ・・・(48)
【0105】
このように、この実施の形態2によれば、速度計算手段511は、カルマンフィルタの後段に設けたローパスフィルタによって、カルマンフィルタで計算した距離センサのスケールファクタを平滑化しているので、状態ベクトルの行列要素である距離センサ1のスケールファクタの変動を小さく抑えることが可能となって、車両の速度を安定的に推定できるという効果が得られる。
【0106】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3について説明する。
図6はこの発明の実施の形態3によるロケータ装置の構成を示すブロック図である。図において、1は図1に同一符号を付して示した実施の形態1のそれと同等の距離センサであり、車両の走行距離に応じてパルス信号を出力する。4は加速度センサであり、車両の前後方向の加速度に応じた電圧を出力する。
【0107】
また、512は加速度センサ4のオフセットを検出するオフセット検出手段であり、513は加速度センサ4の出力信号から車両の速度を推定する速度推定手段である。511は距離センサ1の出力信号から車両の速度を計算するとともに、速度推定手段513の出力に基づいて距離センサ1のスケールファクタを補正する速度計算手段である。5はあらかじめメモリ内に記憶されている制御プログラムに従って車両の速度を演算するコンピュータを含んだ信号処理器であるが、上記速度計算手段511、オフセット検出手段512、および速度推定手段513によって構成されている点で、図1に同一符号を付して示した実施の形態1のそれとは異なっている。
【0108】
次に動作について説明する。
ここでは、信号処理器5の各手段の動作について図7を用いて説明する。この図7は信号処理器5の各手段の処理内容を示すメインルーチンの流れ図である。この他にも、図3に示した所定時間Δt毎に行う割込処理1と、図4に示した距離センサ1から信号が出力されたときに行う割込処理2があるが、それらは実施の形態1で説明したものと同一であるので、その説明は省略する。
【0109】
図7に示すメインルーチンは、信号処理器5のオフセット検出手段512、速度推定手段513、および速度計算手段511の各動作を管理するものである。まずステップST701で全ての処理を初期化する。次にステップST702において、割込処理1に係る処理開始タイミングか否かを、処理開始フラグを参照して判断する。その結果、当該処理開始フラグがセットされていれば、処理開始タイミングであるとしてステップST703へ進み、クリアされていれば処理開始タイミングではないとして、処理開始フラグがセットされるまで待機する。ステップST703では次回の処理のためにその処理開始フラグをクリアする。次にステップST704にて、速度計算手段511による速度計算の処理を実行する。すなわち、所定時間毎に割込処理2でカウントした距離センサ1の出力信号カウント値ΔNi から、前述の式(26)を用いて速度VelDRi を計算するとともに、次回の処理のために出力信号カウント値ΔNi を0にする。
【0110】
次にステップST705に進み、加速度センサ4より出力される、車両の前後方向の加速度に応じた電圧をA/D変換する。次にステップST706にて、オフセット検出手段512による加速度センサ4のオフセット検出の処理を実行する。すなわち、所定時間分の加速度センサ4の出力信号の履歴を保存しておき、距離センサ1の出力信号が0になる状態が所定時間以上継続した時に、加速度センサ4の出力信号の履歴として保存されている値の平均値を求め、この平均値を加速度センサ4のオフセットとして保持する。次にステップST707において、速度推定手段513による速度推定の処理を実行する。すなわち、オフセット検出手段512で加速度センサ4のオフセットが更新された時には推定速度VelACC を0にし、それ以外は、前述の式(20)にて加速度を求めた後、式(21)で速度VelACCを推定する。なお、加速度センサ4のスケールファクタはこの実施の形態3に限り固定値とした。
【0111】
その後ステップST708に進み、速度計算手段511において距離センサ1のスケールファクタ補正の処理を実行する。すなわち、オフセット検出手段512で加速度センサ4のオフセットが更新されると、それ以後所定時間が経過するまでの間は、速度推定手段513で推定した速度VelACC に速度計算手段511で計算した速度VelDRが合うように距離センサ1のスケールファクタを補正する。最後にステップST709において、速度計算手段511よりその速度VelDRを出力した後ステップST702へ戻る。
【0112】
このように、この実施の形態3によれば、加速度センサ4の出力信号の変動量が所定値以下の時にその出力信号を平均した値をオフセットとし、当該加速度センサ4の出力信号からオフセットを減算した後、加速度センサ4のスケールファクタを乗算して車両の単位時間毎の加速度を計算し、その加速度を積算して速度を推定し、その推定された速度と距離センサ1の出力信号から計算した速度とが一致するように距離センサ1のスケールファクタを補正して、距離センサ1の出力信号から速度を計算するようにしているので、GPS受信機3が非測位状態となり易い場所を走行しても、距離センサ1のスケールファクタを走行開始後に直ちに補正することができ、走行開始後に車両の速度を高い精度で推定することができるという効果が得られる。
【0113】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4について説明する。
図8はこの発明の実施の形態4によるロケータ装置の構成を示すブロック図である。図において、3は図1に同一符号を付して示した実施の形態1のそれに相当する、絶対位置観測手段としてのGPS受信機であり、衛星からの電波を受信するGPSアンテナを有し、衛星からの電波により少なくとも車両の速度を観測して出力する。4は図6に同一符号を付して示した実施の形態3のそれと同等の加速度センサであり、車両の前後方向の加速度に応じた電圧を出力する。
【0114】
また、512は加速度センサ4のオフセットを検出する、図6に同一符号を付して示した実施の形態3のそれと同等のオフセット検出手段である。513は車両の速度を計算するとともに、加速度センサ4の出力信号を加速度に変換する際に使用するオフセットとスケールファクタの補正も行う点で、図6に同一符号を付して示した実施の形態3のそれとは異なった速度推定手段である。5はあらかじめメモリ内に記憶されている制御プログラムに従って車両の速度を演算するコンピュータを含んだ信号処理器であるが、上記オフセット検出手段512、および速度推定手段513によって構成されている点で、図1および図6に同一符号を付して示した実施の形態1あるいは実施の形態3のそれとは異なっている。
【0115】
次に動作について説明する。
ここでは、信号処理器5のオフセット検出手段512と速度推定手段513の動作について図9を用いて説明する。この図9は信号処理器5の速度推定手段513の処理内容を示すメインルーチンの流れ図である。この他にも、図3に示した所定時間Δt毎に行う割込処理1と、図5に示したGPS受信機3から観測周期毎に出力された観測情報を受信する割込処理3があるが、それらは実施の形態1で説明したものと同一であるので、その説明は省略する。
【0116】
図9に示すメインルーチンは、信号処理器5のオフセット検出手段512と速度推定手段513の動作を管理するものである。まずステップST901で全ての処理を初期化する。次にステップST902において、割込処理1に係る処理開始タイミングか否かを処理開始フラグを参照して判断する。当該処理開始フラグがセットされていれば、処理開始タイミングであるとしてステップST903へ進み、クリアされていれば処理開始タイミングでないとして、当該処理開始フラグがセットされるまで待機する。ステップST903では次回の処理のためにその処理開始フラグをクリアする。次にステップST904において、所定時間分の加速度センサ4の出力信号の標準偏差を計算し、当該標準偏差が所定値以下であれば停車状態だと判断し、そうでなけば走行状態だと判断する。ステップST905では上記ステップST904の判断結果に基づいて、車両が走行中であるか否かを判定する。その結果、走行中でなかった場合にはステップST906へ進み、走行中であった場合にはステップST907へ進む。
【0117】
このステップST906はオフセット検出手段512の処理を示すもので、加速度センサ4の所定時間分の出力信号を平均した値をオフセットとして設定するとともに、推定速度を0とした後、ステップST920へ進む。一方、ステップST907からステップST919は速度推定手段513の処理を示すもので、以下に説明するする計算式(カルマンフィルタ)によって車両の速度VelDRi 、加速度センサ4のオフセットOFACC 、およびスケールファクタSFACC を算出した後、ステップST920へ進む。ステップST920では速度推定手段513より速度VelDRi を出力してステップST902へ戻る。
【0118】
この実施の形態4におけるカルマンフィルタは、加速度センサ4の出力信号SGACC と、オフセットOFACC およびスケールファクタSFACC から、以下に示す式(49)〜式(50)を用いて速度VelDRi を計算するシステムモデルと、GPS受信機3で観測した速度情報VelGPSiと上記システムモデルの速度VelDRi の関係を、次の式(51)で表した観測モデルに基づいて、それぞれ以下の式(52)〜式(56)で示される状態方程式と、式(57)〜式(60)で示される観測方程式、および以下の式(61)〜式(65)で示されるカルマンフィルタ方程式を用いて、車両の速度VelDRi と、加速度センサ4のオフセットOFACC およびスケールファクタSFACC を計算する。
【0119】
VelDRi =VelDRi-1 +(SGACCi−OFACCi)×SFACCi×ΔT・・・(49)
OFACCi=OFACCi-1+δOFACCi ・・・(50)
【0120】
VelGPSi=VelRRi +δVelGPSi ・・・(51)
【0121】
【数5】
【0122】
yi =H・xi +vi ・・・(57)
yi =VelGPSavei ・・・(58)
H=[1 0 0] ・・・(59)
vi =δVelGPSavei ・・・(60)
【0123】
xi|i =xi|i-1 +Ki {yi −(Hxi|i-1 +vi )} ・・・(61)
xi+1|i =Fi xi|i +Gi ωi ・・・(62)
Ki =Σi|i-1 HT [HΣi|i-1 HT +σvi 2 ]-1 ・・・(63)
Σi|i =Σi|i-1 −Ki HΣi|i-1 ・・・(64)
Σi+1|i =Fi Σi|i Fi T+Gi σwi 2 Gi T ・・・(65)
【0124】
なお、上記式(49)〜式(50)と式(51)において、iは離散時刻、Δtは所定時間、SGACCiとOFACCiおよびSFACCiは離散時刻iにおける加速度センサ4の出力信号とオフセットおよびスケールファクタ、VelDRi は加速度センサ4の出力信号から計算した速度、VelGPSiはGPS受信機3で観測した速度、δVelGPSiはVelGPSiに含まれる誤差、δOFACCiはOFACCiに含まれる誤差である。
【0125】
また、上記式(52)〜式(56)および式(57)〜式(60)において、xi ,ωi ,Fi ,Gi ,yi ,vi は、離散時刻iにおける状態ベトクル、システム誤差、状態遷移行列、駆動行列、観測値、観測雑音であり、Hは観測行列はある。さらに、式(61)〜式(65)において、xi|i は離散時刻iにおける状態ベクトルの推定量、xi+1|i は離散時刻iにおける離散時刻i+1の状態ベクトルの予測量、Ki はカルマンゲイン、Σi|i は離散時刻iにおける状態ベクトルの共分散行列の推定量、Σi+1|i は離散時刻iにおける離散時刻i+1の共分散行列の予測量、σwi 2 はシステム誤差の分散行列、σvi 2 は観測誤差の分散行列である。なお、上記行列の各要素は行列式を計算すれば求まるものなので、ここではその説明は省略する。
【0126】
図9において、処理がステップST907に進むと、GPS受信機3から観測情報の受信を完了したか否かについて、GPS観測情報受信フラグを参照して判断する。このGPS観測情報受信フラグがセットされていれば、GPS受信機3からの観測情報の受信を完了したものとしてステップST908へ進み、クリアされていればまだ受信が完了していないものとしてステップST912へ進む。ステップST908ではGPS受信機3が2次元あるいは3次元測位をしているか否かを判定する。2次元あるいは3次元測位を行っていればステップST909へ進み、非測位ならばステップST912へ進む。
【0127】
ステップST909では前述の式(49)〜式(65)に従って状態ベクトルの推定量xi|i を計算する。次にステップST910において、カルマンフィルタを通じて状態ベクトルの行列要素であるオフセット要素X12の修正量、すなわち推定値から予測値を減算した値の標準偏差を求め、これをシステム誤差ωであるオフセット誤差として設定する。次にステップST911にて、状態ベクトルの行列要素である速度要素x11とGPS速度VelGPSiの差異の標準偏差を求め、これを観測誤差として設定した後、ステップST912に進む。
【0128】
ステップST912では前述の式(49)〜式(65)に従って、状態ベクトルの予測量xi+1|i を計算する。次にステップST913において、ステップST907と同様にGPS観測情報受信フラグを参照して、GPS受信機3から観測情報の受信が完了したか否かを再度判断する。GPS観測情報受信フラグがセットされていれば、GPS受信機3から観測情報の受信を完了したものとしてステップST914へ進み、クリアされていればステップST919へ進む。ステップST914では次回の処理のためにそのGPS観測情報受信フラグをクリアする。
【0129】
次にステップST915において、ステップST908と同様にGPS受信機3が2次元あるいは3次元測位をしているか否かを判定する。2次元あるいは3次元測位を行っていればステップST916へ進み、非測位ならばステップST920へ進む。ステップST916では誤差共分散の推定量Σi|i を、ステップST917では誤差共分散の予測量Σi+1|i を、ステップST918ではカルマンゲインKi を、それぞれ前述の式(49)〜式(65)に従って計算する。次にステップST919において、状態ベクトルの推定量の行列要素である速度要素x11、オフセット要素x12、スケールファクタ要素x13に基づいて、推定速度VelDRi 、オフセットOFACCi、およびスケールファクタSFACCIの更新を行った後、ステップST920へ進む。
【0130】
このように、この実施の形態4によれば、加速度センサ4の出力信号の変動量が所定値以下の時に加速度センサ4の出力信号を平均した値をオフセットとし、カルマンフィルタ方程式に従ってGPS速度を観測値として、状態ベクトルの行列要素である速度、オフセット、およびスケールファクタを推定し、GPS受信機3が非測位状態の時にカルマンフィルタ方程式に従って、加速度センサ4の出力信号からオフセットを差し引いた値に加速度センサ4のスケールファクタを乗じて車両の単位時間毎の加速度を計算し、さらにその加速度を積算して速度を推定しているので、GPS速度と加速度センサ4のオフセットの誤差が変動しても、加速度センサ4のオフセットとスケールファクタの補正を走行開始後に迅速、かつ最適に補正することができ、走行開始後に車両の速度を高精度で推定できるばかりか、車両に装着された距離センサを使用していないので、このロケータ装置を車両へ容易に着脱できるなどの効果が得られる。
【0131】
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5について説明する。
図10はこの発明の実施の形態5によるロケータ装置の構成を示すブロック図である。図において、1は図1に同一符号を付して示した実施の形態1のそれと同等の距離センサであり、車両の走行距離に応じてパルス信号を出力する。2は相対方位センサであり、車両のヨーレートに応じた電圧を出力するもので、この実施の形態5ではジャイロが用いられている。3は図1に同一符号を付して示した実施の形態1のそれに相当する、絶対位置観測手段としてのGPS受信機であり、衛星からの電波を受信するGPSアンテナを有して、衛星からの電波により車両の現在位置を観測して出力する。
【0132】
511aは距離センサ1の出力信号より車両の速度および移動距離を計算する距離・速度計算手段で、図1もしくは図6に符号511を付して示した、実施の形態1または実施の形態3における速度計算手段に相当するのものである。514は相対方位センサ2の出力信号から当該相対方位センサ2のオフセットを検出するオフセット検出手段であり、515は相対方位センサ2の出力信号から車両の進行方位の変化を計算する方位変化計算手段である。516はGPS受信機3からの観測情報、距離・速度計算手段511aの出力信号、および方位変化計算手段515の出力信号に基づいて車両の現在位置と進行方位を推定する位置・方位推定手段である。5はあらかじめメモリ内に記憶されている制御プログラムに従って車両の進行方位と現在位置を演算するコンピュータを含んだ信号処理器であり、これら距離・速度計算手段511a、オフセット検出手段514、方位変化計算手段515、および位置・方位推定手段516から構成されている点で、図1,図6,および図8に同一符号を付して示された、上記実施の形態1から実施の形態4におけるそれとは異なっている。
【0133】
次に動作について説明する。
ここでは、信号処理器5の各手段の動作について図を用いて説明する。図11は信号処理器5の処理内容を示すメインルーチンの流れ図であり、図12は位置・方位推定手段516の処理内容を示す流れ図である。その他にも、図3に示した所定時間Δt毎に行う割込処理1、図4に示した距離センサ1から信号が出力されたときに行う割込処理2、および図5に示したGPS受信機3から観測周期毎に出力された観測情報を受信する割込処理3があるが、それらは実施の形態1で説明したものと同一であるので、その説明は省略する。また、図13は位置・方位推定手段516による車両の現在位置の推定例を示す説明図である。
【0134】
図11に示すメインルーチンは、信号処理器5の全手段の動作を管理するものである。まずステップST1101で全ての処理を初期化する。次にステップST1102において、処理開始タイミングか否かを処理開始フラグを参照して判断する。処理開始フラグがセットされていれば、処理開始タイミングであるとしてステップST1103へ進み、クリアされていれば処理開始タイミングではないとして、この処理開始フラグがセットされるまで待機する。ステップST1103では次回の処理のために同フラグをクリアする。次にステップST1104において、距離・速度計算手段511aが、所定時間Δt毎に割込処理2でカウントした距離センサ1の出力信号カウント値ΔNi から、移動距離Δdi と速度VelDRi を次に示す式(66)と前述した式(26)により計算し、計算が終了すると、次回の処理のために出力信号カウント値ΔNi を0にする。
【0135】
Δdi =Δdi-1 +ΔNi ×SFSPDi ・・・(66)
【0136】
次にステップST1105において、オフセット検出手段514によるオフセットOFGYRiの計算処理を行う。すなわち、ステップST1104で計算した速度VelDRi が0(車両停車中)の時は、停車中における相対方位センサ2の所定時間分以上の出力信号SGを平均したものをオフセットOFGYRiとする。次にステップST1106に進み、方位変化計算手段515にて進行方位変化Δθi の計算処理を行う。すなわち、所定時間Δt毎に計測した相対方位センサ2の出力信号SGGYRiから、次に示す式(67)を用いて進行方位変化Δθi を計算する。なお、この式(67)中のOFGYRiおよびSFGYRiは、オフセットと、出力信号を角速度に変換するためのスケールファクタである。
【0137】
Δθi =Δθi-1 +(SGGYRi−OFGYRi)×SFGYRi×Δt・・・(67)
【0138】
次にステップST1107において、GPS受信機3から観測情報の受信が完了したか否かを、GPS観測情報受信フラグを参照して判断する。このGPS観測情報受信フラグがセットされていれば、GPS受信機3から観測情報の受信が完了したものとしてステップST1108へ進み、クリアされていればステップST1102へ戻る。ステップST1108では次回の処理のためにGPS観測情報受信フラグをクリアする。次にステップST1109において、位置・方位推定手段516による位置・方位の推定処理を行う。すなわち、以下に説明する計算式(カルマンフィルタ)にて車両の現在位置(λi ,φi )と進行方位θi を推定する。次にステップST1110において、その車両の現在位置(λi ,φi )と進行方位θi 、および速度VelDri の出力を行う。次にステップST1111に進んで、GPS受信機3から観測情報を受信する間の移動距離Δdi と進行方位変化Δθi を0にクリアしてステップST1102に戻る。
【0139】
図10に示した位置・方位推定手段516による、この実施の形態5におけるカルマンフィルタは、車両の移動距離Δdi および進行方位変化Δθi から現在位置(λi ,φi )と進行方位θi を、次に示す式(68)〜式(73)で計算するシステムモデルと、GPS位置(λGi,φGi)と上記システムモデルの車両の現在位置(λi ,φi )の関係を次に示す式(74)〜式(75)で表す観測モデルに基づくものである。
【0140】
【0141】
λGi=λi +δλGi ・・・(74)
φGi=φi +δφGi ・・・(75)
【0142】
なお、上記式(68)〜式(73)と式(74)〜式(75)において、iは離散時刻であり、λi-1 とφi-1 は離散時刻i-1における車両の現在位置の経度と緯度、θi-1 は離散時刻i-1における車両の進行方位である。SFd →λ とSFd →φ は移動距離の単位[m]を経度方向または緯度方向の移動量[”]へ変換する係数である。また、δλi とδφi は車両の現在位置の経度誤差と緯度誤差で、δΔθi とδΔdi はΔθi とΔdi の誤差である。また、δλGiとδφGiはGPS位置λGiとφGiの誤差である。
【0143】
そして次の式(76)〜式(80)で示される状態方程式と、次の式(81)〜式(84)で示される観測方程式、および次の式(85)〜式(89)で示されるカルマンフィルタ方程式を用いて、車両の現在位置(λi ,φi )と進行方位θi の計算を行う。
【0144】
【数6】
【0145】
【数7】
【0146】
Xi|i =Xi|i-1 +Ki {Yi −(HXi|i-1 +vi )} ・・・(85)
Xi+1|i =Fi Xi|i +Gi wi ・・・(86)
Ki =Σi|i-1 HT [HΣi|i-1 HT +Σvi]-1 ・・・(87)
Σi|i =Σi|i-1 −Ki HΣi|i-1 ・・・(88)
Σi+1|i =Fi Σi|i Fi T+Gi ΣwiGi T ・・・(89)
【0147】
なお、上記式(76)〜式(80)および式(81)〜式(84)において、xi ,Fi ,Gi ,wi ,yi ,vi は、離散時刻iにおける状態ベトクル、状態遷移行列、駆動行列、システム雑音、観測値、観測雑音であり、Hは観測行列である。また、上記式(85)〜式(89)において、xi|i は離散時刻iにおける状態ベクトルの推定量、xi+1|i は離散時刻iにおける離散時刻i+1の状態ベクトルの予測量、Ki はカルマンゲイン、Σi|i は離散時刻iにおける状態ベクトルの共分散行列の推定量、Σi+1|i は離散時刻iにおける離散時刻i+1の共分散行列の予測量、Σviは観測誤差の共分散行列、Σwiはシステム誤差の共分散行列である。ここで、行列の各要素は行列式を計算すれば求まるものなので、ここではその説明は省略する。
【0148】
次に、図12の流れ図に従って、位置・方位推定手段516の処理内容をより詳細に説明する。まずステップST1201において、距離・速度計算手段511aで計算した速度VelDRi が0より大きいか否かを判定する。その結果、0であれば停車中と判断してこの位置・方位の推定処理を終了し、0より大きければステップST1202へ進む。ステップST1202では、GPS受信機3が2次元あるいは3次元測位状態で、かつ前回カルマンフィルタにより車両の現在位置と進行方位を推定してから所定の距離以上移動したか否かを判定する。判定の結果、GPS受信機3にて2次元あるいは3次元測位状態で、かつ前回カルマンフィルタにより現在位置と進行方位を推定してから所定の距離以上移動した場合にはステップST1203へ進み、逆にGPS受信機3にて非測位状態か、あるいは前回カルマンフィルタにより現在位置と進行方位を計算してから所定の距離以上移動していない場合にはステップST1205へ進む。
【0149】
ステップST1203では、所定時間におけるGPS位置(λGi,φGi)とカルマンフィルタによる現在位置(λi ,φi )の位置の差分、すなわち緯度差と経度差のそれぞれの標準偏差を計算してその標準偏差を観測誤差vi とするとともに、観測誤差の共分散行列Σviを計算する。次にステップST1204において、GPS速度の積分値と距離センサ1から求めた距離Δdi の差分を、システム誤差の行列要素である距離誤差要素δΔdi とするとともに、所定の距離だけ離れた複数地点でのGPS位置と車両の現在位置の軌跡の両移動方向の方向差を、システム誤差の行列要素である方位誤差要素δΔθi とした後、ステップST1206に進む。一方、ステップST1205ではカルマンゲインKi を0にクリアして、ステップST1206に進む。
【0150】
ステップST1206ではGPS位置を観測値yi として、前述の式(68)〜式(89)に従って状態ベクトルの推定量xi|i を計算するが、ここで、相対方位センサ2のオフセット変動量に比例した値よりカルマンゲインKi の全行列要素が小さくなるようにカルマンゲインKi の全行列要素を調節して、状態ベクトルの推定量Xi|i を計算する。次にステップST1207において、前述の式(85)〜式(89)により状態ベクトルの予測量Xi+1|i を計算する。次にステップST1208において、ステップST1202と同様に、GPS受信機3が2次元あるいは3次元測位状態で、かつ前回カルマンフィルタにより現在位置(λi ,φi )と進行方位θi を計算してから所定の距離以上移動したか否かを判定する。GPS受信機3にて2次元あるいは3次元測位しており、かつ前回カルマンフィルタにより現在位置(λi ,φi )と進行方位θi を計算してから所定の距離以上移動した場合はステップST1209へ進み、そうでなければこの位置・方位推定の処理を終了する。
【0151】
ステップST1209では誤差共分散の推定量Σi|i を、ステップST1210では誤差共分散の予測量Σi+1|i を、ステップST1211ではカルマンゲインKi を、それぞれ前述の式(85)〜式(89)を用いて計算し、この位置・方位推定の処理を終了する。
【0152】
次に、図13を用いて、位置・方位推定手段516における車両の現在位置の推定動作について説明する。図13(a)は車両が直進走行する途中でGPS位置の分散が大きくなった時に、車両の現在位置が推定される様子を示したものである。この場合にはシステム誤差の行列要素である方位誤差要素と距離誤差要素がともに小さい状態であったことを想定している。この時、位置・方位推定手段516はGPS位置の分散が大きくなった区間では、観測誤差であるGPS位置の誤差が大きくなったことを検出するので、GPS位置の分散が大きくなった区間のみカルマンゲインを小さく計算する。その結果、GPS位置の分散が小さい区間では車両の現在位置がGPS位置へ寄るように推定するが、GPS位置の分散が大きい区間では車両の現在位置がGPS位置へ寄る量を小さく抑えて推定する。これにより、カルマンフィルタで推定した現在位置の軌跡は、図13(a)に点線で示すものとなる。
【0153】
また図13(b)は車両が直進走行する途中で相対方位センサ2のオフセットがドリフトした時に、車両の現在位置が推定される様子を示したものである。この場合にはGPS位置の分散が小さい状態であったことを想定している。この時、位置・方位推定手段516はGPS位置の分散が小さい一方で、単位時間毎の進行方位変化が偏った値となって方位誤差が発生したことを検出するので、カルマンゲインを大きく計算する。その結果、相対方位センサ2に生じたドリフトの影響を受けずに車両の現在位置をGPS位置の方へ寄せるように推定する。これにより、カルマンフィルタで推定した現在位置の軌跡は、図13(b)に点線で示すものとなる。なお、カルマンフィルタを使用しない一般的な自律航法を用いた場合には、相対方位センサ2に生じたドリフトの影響を受けて、図13(b)に一点鎖線で示すように、車両の現在位置が偏った方向に徐々に旋回する。
【0154】
また図13(c)は相対方位センサ2のスケールファクタが真値より小さ目の時に車両が右折した場合の、車両の現在位置が推定される様子を示したものである。この場合にはGPS位置の分散が小さい状態であったことを想定している。この時、位置・方位推定手段516はGPS位置の分散が小さい一方で、右折後に方位誤差が発生したことを検出するので、右折後にはカルマンゲインをより大きく計算する。その結果、右折時の旋回角が小さ目になることから、推定した進行方位に誤差が生じるものの、右折後に方位誤差を検出した以後は車両の現在位置をGPS位置の方へ寄せるように推定する。これにより、カルマンフィルタで推定した現在位置の軌跡は、図13(c)に点線で示すものとなる。なお、カルマンフィルタを使用しない一般的な自律航法の場合には、図13(c)に一点鎖線で示すように、旋回角不足のまま車両の現在位置が誤った方向に直進する。
【0155】
なお、上記説明では、実施の形態1に示したロケータ装置に、相対方位センサ2、方位変化計算手段515、および位置・方位推定手段516を付加したものを示したが、実施の形態3もしくは実施の形態4に示したロケータ装置にそれらを付加することによって実現することも可能であり、その場合にも同様の効果を奏する。
【0156】
このように、この実施の形態5によれば、相対方位センサ2の出力信号から車両の単位時間毎の進行方位変化を計算するとともに、カルマンフィルタ方程式により、GPS位置を観測値として状態ベクトルの行列要素である車両の現在位置と進行方位を推定し、GPS受信機3と位置・方位推定手段516による現在位置の差異の変動量を観測誤差として使用して、所定の距離以上離れた複数地点毎のGPS受信機3位置・方位推定手段516による進行方位の差異の平均値をシステム誤差の行列要素である方位誤差として設定し、さらに距離・速度計算手段511aで求めた速度の積分値とGPS速度の積分値との差異を、システム誤差の行列要素である距離誤差として使用して、誤差共分散の予測と推定の計算を行い、GPS受信機3が非測位状態の時には、カルマンフィルタ方程式に従って、距離・速度計算手段511aによる速度から求めた単位時間当たりの移動距離と、方位変化計算手段515で計算した単位時間毎の進行方位の変化から車両の現在位置と進行方位を推定しているので、GPS位置と自律航法用のセンサからの計測情報の誤差が変動しても、車両の現在位置と進行方位を最適に推定することができて、信頼性が向上し、また、GPS受信機が非測位状態でも自律航法用のセンサの計測情報から車両の現在位置と進行方位を推定できるので、トンネルや高架下の道路においても、安定的に車両の現在位置と進行方位を提供することが可能になるなどの効果が得られる。
【0157】
実施の形態6.
次に、この発明の実施の形態6について説明する。
図14はこの発明の実施の形態6によるロケータ装置の構成を示すブロック図である。図において、1は距離センサ、2は相対方位センサ、3は絶対位置観測手段としてのGPS受信機であり、これらは図10に同一符号を付して示した実施の形態5におけるそれらと同等の部分である。なお、上記GPS受信機3は車両の現在位置とともにその進行方位も観測して出力している。また、511aは距離・速度計算手段、514はオフセット検出手段であり、これらも図10に同一符号を付して示したものと同等の部分である。
【0158】
515は相対方位センサ2の出力信号から車両の進行方位変化を計算する方位変化計算手段であるが、相対方位センサ2の出力信号を角速度に変換するスケールファクタの補正も行っている点で、図10に同一符号を付して示したものとは異なっている。516はGPS受信機3からの観測情報、距離・速度計算手段511aの出力信号、および方位変化計算手段515の出力信号に基づいて車両の現在位置と進行方位を推定する位置・方位推定手段であるが、相対方位センサ2のオフセットと、相対方位センサ2の出力信号を角速度に変換するスケールファクタを補正するための信号を出力している点で、図10に同一符号を付して示したものとは異なっている。5はこれら距離・速度計算手段511a、オフセット検出手段514、方位変化計算手段515、および位置・方位推定手段516から構成されて、あらかじめメモリ内に記憶されている制御プログラムに従って車両の進行方位と現在位置を演算するコンピュータを含んだ信号処理器である。
【0159】
次に動作について説明する。
以下、信号処理器5の各手段の動作について図を用いて説明する。なお、この信号処理器5における処理内容のメインルーチンは実施の形態5の場合と同様であり、図11に示したメインルーチンの流れ図中の、ステップST1106の方位変化計算処理だけが実施の形態5と異なるものである。従って、ここでは方位変化計算処理以外については、説明を省略する。また、その他にも、図3に示した所定時間Δt毎に行う割込処理1、図4に示した距離センサ1から信号が出力されたときに行う割込処理2、および図5に示したGPS受信機3から観測周期毎に出力された観測情報を受信する割込処理3があるが、それらは実施の形態1で説明したものと同一であるので、その説明も省略する。
【0160】
ここで、図15は相対方位センサ2の出力信号から車両の進行方位変化を計算するとともに、相対方位センサ2の出力信号を角速度に変換するスケールファクタを補正する、方位変化計算手段515による上記方位変化計算処理の処理内容を示す流れ図である。この方位変化計算処理が開始されると、まずステップST1501において、所定時間Δt毎に計測した相対方位センサ2の出力信号SGGYRiから進行方位変化Δθi を前述の式(67)で計算する。次にステップST1502において、所定時間Δt毎の上記進行方位変化Δθi を積算して積算方位ΣΔθi を更新する。以降、ステップST1503からステップST1515において、以下に説明するカルマンフィルタにて、相対方位センサ2から求めた積算方位ΣΔθi と、位置・方位推定手段516で推定した進行方位θi とを比較して、相対方位センサ2のオフセットOFGYRiとスケールファクタSFGYRiの補正を行う。
【0161】
この実施の形態6におけるカルマンフィルタは、相対方位サンサ2の出力信号SGGYRiとオフセットOFGYRi、およびスケールファクタSFGYRiから進行方位変化Δθi を計算して、次に示す式(90)〜式(92)を用いて積算するシステムモデルと、位置・方位推定手段516で推定した車両の進行方位θi と上記システムモデルによって積算方位ΣΔθi の関係を次の式(93)で表す観測モデルとに基づくものである。
【0162】
【0163】
θi =ΣΔθi +δθi ・・・(93)
【0164】
なお、これら式(90)〜式(93)において、iは離散時刻、Δtは所定時間であり、SGGYRi、OFGYRi、SFGYRiは離散時刻iにおける相対方位センサ2の出力信号とオフセットおよびスケールファクタ、δOFGYRiとδSFGYRiはオフセット誤差とスケールファクタ誤差、δθi は推定された進行方位θi の誤差である。
【0165】
そして、次の式(94)〜式(98)に示す状態方程式と、次の式(99)〜式(102)で示す観測方程式、および次に示す式(103)〜式(107)のカルマンフィルタ方程式により、相対方位センサ2のオフセットOFGYRiとスケールファクタSFGYRiを計算する。
【0166】
【数8】
【0167】
yi =H・xi +vi ・・・(99)
yi =θi ・・・(100)
vi =δθi ・・・(101)
H=[1 0 0] ・・・(102)
【0168】
xi|i =xi|i-1 +Ki {yi −(Hxi|i-1 +v)} ・・・(103)
xi+1|i =Fi xi|i +Gi w ・・・(104)
Ki =Σi|i-1 HT [HΣi|i-1 HT +σvi 2 ]-1 ・・・(105)
Σi|i =Σi|i-1 −Ki HΣi|i-1 ・・・(106)
Σi+1|i =Fi Σi|i Fi T+Gi Σw iGi T ・・・(107)
【0169】
なお、上記式(94)〜式(98)および式(99)〜式(102)において、xi ,Fi ,Gi ,wi ,yi ,vi は離散時刻iにおける状態ベトクル、状態遷移行列、駆動行列、システム雑音、観測信号および観測雑音であり、Hは観測行列である。また上記式(103)〜式(107)において、xi|i は離散時刻iにおける状態ベクトルの推定量、xi+1|i は離散時刻iにおける離散時刻i+1の状態ベクトルの予測量、Ki はカルマンゲイン、Σi|i は離散時刻iにおける共分散行列の推定量、Σi+1|i は離散時刻iにおける離散時刻i+1の共分散行列の予測量、Σwiはシステム誤差wi の共分散分散、およびσvi 2 は観測誤差vi の分散である。ここで、行列の各要素は行列式を計算すれば求まるものなので、ここではその説明は省略する。
【0170】
図15において、処理がステップST1503に進むと、GPS受信機3から観測情報の受信を完了したか否かを、GPS観測情報受信フラグを参照して判断する。当該GPS観測情報受信フラグがセットされていれば、GPS受信機3から観測情報の受信が完了したとしてステップST1504へ進み、クリアされていればこの方位変化計算処理を終了する。ステップST1504では距離センサ1から求めた速度VelDRi が0より大きいか否かを判定する。判定の結果、速度VelDRi が0より大きければ、車両が走行中であるとしてステップST1506へ進み、速度VelDRi が0ならば、ステップST1505に分岐して状態ベクトルの行列要素であるオフセット要素X12と積算方位ΣΔθi を初期化した後、当該方位変化計算処理を終了する。なお、初期値には、位置・方位推定処理516で推定した進行方位θi と、オフセット検出手段514で検出した相対方位センサ2のオフセットOFGYRiが用いられる。
【0171】
ステップST1506ではGPS受信機3が2次元あるいは3次元測位をしているか否かを判定する。その結果、GPS受信機3が2次元あるいは3次元測位をしていればステップST1507へ進み、非測位ならばこの方位変化計算処理を終了する。ステップST1507ではGPS受信機3での2次元あるいは3次元測位を継続している時間が所定時間以上であるか否かについて判定する。判定の結果、測位の継続時間が所定時間以上ならばステップST1508へ進み、所定時間未満ならばステップST1508〜ステップST1510をスキップして、直接ステップST1511へ進む。ステップST1508では、位置・方位推定手段516で推定した進行方位θi の誤差δθi を観測誤差vi とし、所定時間Δtにおける観測誤差vi の分散を観測誤差の分散σvi 2 として、処理をステップST1509に進める。
【0172】
ステップST1509では、オフセット検出手段514で検出した相対方位センサ2のオフセットOFGYRiに、オフセット勾配であるドリフトにオフセット検出後の経過時間を乗算した値を加算した後、状態ベクトルの行列要素であるオフセット要素X12から減算した値を、システム誤差wi の行列要素であるオフセット誤差要素δOFGYRiとする。また、所定時間内に車両の進行方位が所定値以上変化した場合には、車両の進行方位θi と状態ベクトルの行列要素である積算方位要素X11の方位との差を求め、さらに相対方位センサ2の進行方位変化を図示を省略したステップで別途積算した角度で除算した値に、状態ベクトルの行列要素であるスケールファクタ要素X13と所定の係数をともに乗算した値を、スケールファクタ誤差δSFGYRiとする。そして所定時間におけるオフセット誤差δOFGYRiとスケールファクタ誤差δSFGYRiの分散を求めてシステム誤差の共分散Σwiを計算する。
【0173】
次にステップST1510に進んで、状態ベクトルの推定量xi|i を計算する。次にステップST1511において状態ベクトルの予測量xi+1|i を、ステップST1512において誤差共分散の推定量Σi|i を、ステップST1513において誤差共分散の予測量Σi+1|i を、ステップST1514においてカルマンゲインKi をそれぞれ計算する。なお、これらの計算は前述の式(90)〜式(107)を用いて行われる。次に、ステップST1515において、その状態ベクトルの推定量xi|i に基づいて、相対方位センサ2のオフセットOFGYRiとスケールファクタSFGYRiの更新を行った後、この方位変化計算処理を終了する。
【0174】
このように、この実施の形態6によれば、距離・速度計算手段511aで求めた車両の速度が0のときに相対方位センサ2の出力信号を平均したものをオフセットとし、カルマンフィルタ方程式に従って位置・方位推定手段516で推定した進行方位を観測値とし、状態ベクトルの行列要素である相対方位センサ2のオフセットとスケールファクタを推定するとともに、停車毎のオフセットの変動量からオフセットを予測した値と現時点のオフセットの差異をシステム誤差の行列要素であるオフセット誤差として使用し、車両旋回時に位置・方位推定手段516と方位変化計算手段515の各方位情報からそれぞれ求めた車両の旋回角の差異からシステム誤差の行列要素であるスケールファクタ誤差を設定しているので、推定した車両の進行方位と相対方位センサのオフセットおよびスケールファクタに誤差があっても、相対方位センサ2のオフセットとスケールファクタを最適に補正することが可能となり、GPS受信機3が非測位状態であっても、またGPS受信機3の観測情報の誤差が大きくなる徐行運転時であっても、相対方位センサ2のオフセットとスケールファクタを常時補正できるため、相対方位センサ2から進行方位変化を高い精度で求めることができるなどの効果が得られる。
【0175】
実施の形態7.
次に、この発明の実施の形態7について説明する。
この実施の形態7によるロケータ装置は、実施の形態6における相対方位センサ2のオフセットが所定値を越えた場合、そのスケールファクタの補正を行わないようにしたものであり、その構成は図14のブロック図に示した実施の形態6の場合と同様であるため、図示および説明は省略する。
【0176】
次に動作について説明する。
なお、その動作についても、基本的には実施の形態6の場合と同様であり、方位変化計算手段515による方位変化計算処理の処理内容を示した図15の流れ図における、ステップST1515の動作だけが実施の形態6と異なるものであるため、ここではそのステップST1515の動作についてのみ説明し、その他については説明を省略する。
【0177】
この実施の形態7においては、図15の流れ図に示したステップST1515において、相対方位センサ2のオフセットの変動があらかじめ定められた所定の値以上であれば、カルマンフィルタでスケールファクタが所定値以上補正されないようにカルマンゲインを調整して、状態ベクトルを前述の式(90)〜式(107)に従って計算するか、実施の形態6の場合と同様の計算をしてもスケールファクタを更新しないようにしている。
【0178】
このように、この実施の形態7によれば、カルマンフィルタにおける状態ベクトルの行列要素である相対方位センサ2のオフセットの変動があらかじめ定めた値以上になると、状態ベクトルの行列要素である相対方位センサ2のスケールファクタの補正を無効とし、相対方位センサ2のオフセットの変動が小さい時にのみ相対方位センサ2のスケールファクタの補正を行っているので、相対方位センサ2のスケールファクタの誤補正を防止することができ、その結果、進行方位の変化を高い精度で求めることが可能になるという効果が得られる。
【0179】
実施の形態8.
次に、この発明の実施の形態8について説明する。
この実施の形態8によるロケータ装置は、実施の形態1の速度計算手段511に、当該ロケータ装置が他の車両に載せ換えられたことを検出して、車両に係る情報、あるいは当該ロケータ装置の取り付けに係る情報を初期化する機能を持たせるようにしたものであり、その構成は図1のブロック図に示した実施の形態1の場合と同様であるため、図示および説明は省略する。
【0180】
次に動作について説明する。
なお、その動作についても、基本的には実施の形態1の場合と同様であり、速度計算手段511のメインルーチンである図2に示した流れ図における、ステップST215とステップST217の動作だけが実施の形態1の場合と異なるものであるため、ここではそのステップST215およびステップST217の動作についてのみ説明し、その他については説明を省略する。
【0181】
この実施の形態8では、図2の流れ図に示したステップST215において、カルマンフィルタで計算した状態ベクトルの行列要素であるスケールファクタ要素の値が正常範囲内であれば、当該スケールファクタ要素の最新計算値を所定時間分だけ保持する。そして、このスケールファクタ要素の計算値の所定時間分の平均値に対する標準偏差の比率が所定値以下のときに、当該平均値を用いて距離センサ1のスケールファクタの更新を行う。また、上記スケールファクタが前回の値から所定の比率以上更新された場合には、ロケータ装置が他の車両へ載せ換えられたと判断して、車両に係る情報あるいは当該ロケータ装置の取り付けに係る情報を初期化する。その後、ステップST217において、車両の速度などとともに、このロケータ装置が他の車両へ載せかえられたか否かの判定結果を出力する。
【0182】
このように、この実施の形態8によれば、距離センサ1のスケールファクタが所定割合以上変化した時に、当該ロケータ装置が他の車両に載せ換えられたと判断して、車両に係る情報あるいは当該装置の取付けに係る情報を初期化する機能を速度計算手段511に持たせるようにしているので、ロケータ装置を複数の車両に載せ換えて使用するような場合でも、現在搭載されている車両に係る補正を直ちに行うことが可能となり、車両の挙動情報を最適に設定することができるという効果が得られる。
【0183】
実施の形態9.
次に、この発明の実施の形態9について説明する。
図16はこの発明の実施の形態9によるロケータ装置の構成を示すブロック図である。図において、1は距離センサ、3は絶対位置観測手段としてのGPS受信機であり、これらは図1に同一符号を付して示した実施の形態1におけるそれらに相当する部分である。なお、上記GPS受信機3は車両の現在位置および進行方位を観測して出力している。
【0184】
また、52は車種毎に異なった距離センサ1のスケールファクタを記憶する複数のメモリ領域を有する記憶手段であり、53はそのスケールファクタの記憶先のメモリ領域を利用者が記憶手段52へ指示するためのスイッチを備えた記憶先指定手段である。511は距離センサ1の出力信号を距離に変換するためのスケールファクタを計算する速度計算手段であるが、この記憶先指定手段53で指定された記憶手段52のメモリ領域に、距離センサ1のスケールファクタを読み書きする点で、図1に同一符号を付して示したものとは異なっている。5はあらかじめメモリ内に記憶されている制御プログラムに従って車両の速度を演算するコンピュータを含んだ信号処理器であるが、これら記憶手段52、記憶先指定手段53、および速度計算手段511から構成されている点で、図1,図6,図8,図10,および図14に同一符号を付して示した上記各実施の形態のそれらとは異なっている。
【0185】
次に動作について説明する。
以下、信号処理器5の動作について図を用いて説明する。ただし、この信号処理器5における速度計算手段511の動作は実施の形態1の場合と同様であるため、ここではその説明は省略し、記憶手段52へのスケールファクタの読み書きの動作について説明する。なお、図17は記憶手段52のメモリマップを簡単に示した説明図である。まず、記憶先指定手段53は利用者によって操作されるスイッチの設定状態を確認し、その設定状態に応じてあらかじめ決めておいたメモリ領域の番地を記憶手段52に指示する。記憶手段52は、記憶先指定手段53より指示された番地(図17に示すx番地〜x+n−1番地)のメモリ領域に対して、速度計算手段511で求めた、車種毎に異なる距離センサ1のスケールファクタ(図17ではSF値1〜SF値n)の読み書きを行う。
【0186】
このように、この実施の形態9によれば、車種毎に異なる距離センサ1のスケールファクタを記憶手段52に記憶する一方で、利用者が指定した距離センサ1のスケールファクタの記憶先であるメモリ領域の番地を記憶先指定手段53で読み取り、記憶手段52の指定された番地のメモリ領域へ距離センサ1のスケールファクタを読み書きしているので、距離センサ1のスケールファクタを手動で切り替えた場合には、ロケータ装置を他の車両へ載せ換えた時に車両に係る補正を毎回やり直す必要がなくなり、他の車両へ載せ換えた直後から、車両の速度を高い精度で推定することができるという効果が得られる。
【0187】
実施の形態10.
次に、この発明の実施の形態10について説明する。
図18はこの発明の実施の形態10によるロケータ装置の構成を示すブロック図である。図において、1は距離センサ、3は絶対位置観測手段としてのGPS受信機であり、これらは図1に同一符号を付して示した実施の形態1におけるそれらに相当する部分である。なお、上記GPS受信機3は車両の現在位置および進行方位を観測して出力している。
【0188】
また、52は車種毎に異なった距離センサ1のスケールファクタとメモリアクセス時刻とを組にして記憶する複数のメモリ領域を有した記憶手段である。54は後述する速度計算手段511で計算されたスケールファクタに基づいて、記憶手段52に記憶されたスケールファクタとメモリアクセス時刻の履歴を検索し、検索結果としてのメモリ領域の番地と記憶されているスケールファクタとを、記憶手段52と速度計算手段511にそれぞれ伝える記憶先検索手段である。511は車両の速度を計算するとともに、距離センサ1の出力信号を距離に変換するためのスケールファクタを計算する速度計算手段であるが、スケールファクタとメモリアクセス時刻の組の記憶手段52の各メモリ領域への読み書きを行い、さらに記憶先検索手段52に計算したスケールファクタを送り、記憶先検索手段54の検索結果を受け取っている点で、図16に同一符号を付して示した実施の形態9のそれとは異なっている。5はあらかじめメモリ内に記憶されている制御プログラムに従って車両の速度を演算するコンピュータを含む信号処理器であるが、これら記憶手段52、記憶先検索手段54、および速度計算手段511から構成されている点で、図1,図6,図8,図10,図14,および図16に同一符号を付して示した上記各実施の形態のそれとは異なっている。
【0189】
次に動作について説明する。
以下、信号処理器5の各手段の動作について図を用いて説明する。ただし、この信号処理器5における速度計算手段511については実施の形態8の場合と同様であるため、ここではその説明は省略する。なお、図19は記憶手段52のメモリマップを簡単に示した説明図である。
【0190】
速度計算手段511にて距離センサ1のスケールファクタを計算し、実施の形態8の場合と同様にして当該ロケータ装置が他の車両に乗せ換えられたか否かを判定する。その結果、他の車両へ載せ換えられたと判断された場合には、速度計算手段511は計算した距離センサ1のスケールファクタを記憶先検索手段54に渡す。記憶先検索手段54は、記憶手段52の各メモリ領域に記憶されているスケールファクタの中から、その速度計算手段511より受け取ったスケールファクタの計算値との差異が所定値以下となるものを検索する。そして該当するものが見つかると、その検索したスケールファクタを速度計算手段511へ渡すとともに、検索したスケールファクタが記憶されているメモリ領域の番地を記憶手段52に伝える。
【0191】
記憶手段52は、この記憶先検索手段54より通知された番地(図19に示すy番地からy+n−1番地)のメモリ領域に、車種毎に異なる距離センサ1のスケールファクタ(図19ではSF値1〜SF値n)と組で記憶されているメモリアクセス時刻を、現在の時刻で更新する。その後、速度計算手段511は記憶先検索手段54から受け取ったスケールファクタ、すなわち過去に補正された結果を用いて車両の速度を計算する。
【0192】
なお、記憶先検索手段54は、速度計算手段511から受け取ったスケールファクタの計算値と記憶手段52に記憶されたスケールファクタとの差異が所定値以下となるものを、記憶手段52のメモリ領域から検索できなかった場合には、未確認の他の車両へ当該ロケータ装置が載せ換えられたものと判断して、記憶手段52の空いているメモリ領域の番地を記憶手段52へ伝える。記憶手段52は、渡された番地が付けられた空きメモリ領域に、速度計算手段511の計算したスケールファクタを記憶するとともに、そのスケールファクタと組で記憶されるメモリアクセス時刻として、現在の時刻を記憶する。
【0193】
また、速度計算手段511から受け取ったスケールファクタの計算値と記憶手段52に記憶されたスケールファクタとの差異が所定値以下となるものを、記憶手段52のメモリ領域から検索できず、さらに記憶手段52に空いているメモリ領域もなかった場合には、記憶先検索手段54は、メモリアクセス時刻が最古になっているスケールファクタを記憶しているメモリ領域の番地を記憶手段52に伝える。記憶記憶52は渡された番地のメモリ領域に、速度計算手段511の計算したスケールファクタを記憶するとともに、そのスケールファクタと組で記憶されるメモリアクセス時刻として、現在の時刻を記憶する。
【0194】
このように、この実施の形態10によれば、当該ロケータ装置が他の車両へ載せ換えられたと判断された場合には、記憶手段52に記憶したスケールファクタの中から現在の計算値に最も近いものを探し出して速度計算手段511に渡すとともに、記憶手段52へ当該メモリの番地を渡し、この時、現在の計算値に対して、記憶手段52に記憶されたスケールファクタが所定の比率以上異なっていれば未確認車両へロケータ装置が搭載されたものと判断して、記憶手段52に対してその空きメモリ領域に当該スケールファクタを読み書きするように指示し、空いているメモリ領域がない場合には、メモリアクセス時刻が最古のメモリ領域に上書きするように記憶手段52に指示しているので、ロケータ装置を他の車両へ載せ換えても、当該車両に係る補正を毎回やり直す必要がなくなり、他の車両へ載せ換えた直後から車両の速度を高精度で推定することが可能になるという効果が得られる。
【0195】
実施の形態11.
上記実施の形態2では、速度計算手段511において、状態ベクトルの推定量の行列要素であるスケールファクタ要素とスケールファクタの前回の値を式(48)を用いて重み付け平均し、スケールファクタの更新を行うものとして説明したが、状態ベクトルの推定量の行列要素であるスケールファクタ要素を平滑化してスケールファクタを更新するものであれば、上記式(48)以外の計算式を用いてもよい。
【0196】
実施の形態12.
上記実施の形態3では、速度計算手段511において、加速度センサ4のオフセットが更新された後、所定時間が経過するまでの間は、速度推定手段513で加速度センサ4の出力信号から推定した速度に速度計算手段511で計算した速度が合うように、距離センサ1のスケールファクタを補正するものについて説明したが、速度推定手段513で推定した速度の誤差が小さいものであれば、加速度センサ4のオフセットの変動量に応じて、距離センサ1のスケールファクタを補正できる所定時間を可変に設定してもよい。
【0197】
実施の形態13.
上記実施の形態5、実施の形態6および実施の形態10では、距離・速度計算手段511aあるいは速度計算手段511において、車両の速度と移動距離を計算するために距離センサ1を使用した場合について説明したが、加速度センサ4を代わりに用いてもよい。
【0198】
実施の形態14.
上記実施の形態8では、速度計算手段511において、距離センサ1のスケールファクタが前回の値から所定比率以上更新された場合に、当該ロケータ装置が他の車両へ載せ換えられたと判断する場合について説明したが、カルマンフィルタで計算した状態ベクトルの行列要素であるスケールファクタ要素の計算値を所定時間分保持した履歴に基づいて、例えば、所定時間分の平均値に対する標準偏差の比率が所定の値以上変化したとき、あるいは履歴中のスケールファクタ要素の時間的変化に伴う勾配が所定値以上になった時に、当該ロケータ装置が他の車両へ載せ換えられたと判断するようにしてもよい。
【0199】
実施の形態15.
上記実施の形態9では、記憶先指定手段53が、スケールファクタの記憶場所を利用者が記憶手段52へ指示するスイッチを備えているものとして説明したが、スイッチの代わりに通信手段をさらに備えて、利用者が通信手段を介してスケールファクタの記憶場所を指定できるようにしてもよい。
【0200】
実施の形態16.
上記実施の形態10では、記憶先検索手段54は、速度計算手段511で計算した距離センサ1のスケールファクタと記憶手段52に記憶されたスケールファクタの差異が、所定値以下となるものを記憶手段52から検索するものについて説明したが、記憶手段52に記憶されたスケールファクタに対する上記差異の比率が所定以下となるものを検索するようにしてもよい。
【0201】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、衛星を利用して少なくとも車両の速度等を観測する絶対位置観測手段と、車両の移動距離に応じた信号を出力する距離センサを備え、速度計算手段にて車両の速度を推定するとともに、カルマンフィルタを用いて、絶対位置観測手段で観測した速度を基準にした距離センサのスケールファクタの補正と車両の速度の推定を行うように構成したので、絶対位置観測手段で観測した速度の誤差が変動しても距離センサのスケールファクタを、車両の走行開始後に、最適かつ速やかに補正することが可能となり、走行開始後に車両の速度を高精度で推定することができるロケータ装置が得られる効果がある。
【0202】
この発明によれば、ローパスフィルタを速度計算手段におけるカルマンフィルタの後段に設けるように構成したので、カルマンフィルタで計算した距離センサのスケールファクタが平滑化されて、それに含まれている高周波ノイズが除去されるため、距離センサのスケールファクタの変動を小さくすることができ、車両の速度を安定的に推定できるという効果がある。
【0205】
この発明によれば、車両の進行方位変化に応じた信号を出力する相対方位センサと、相対方位センサの出力信号から車両の単位時間毎の進行方位変化を計算する方位変化計算手段とを設け、位置・方位推定手段にて車両の現在位置と進行方位を推定するとともに、カルマンフィルタを用いて、絶対位置観測手段の観測した位置を基準にした車両の現在位置と進行方位を推定するように構成したので、専用のカルマンフィルタにて、絶対位置観測手段の観測した位置と相対方位センサ等の計測情報から車両の現在位置と進行方位が同時に推定され、絶対位置観測手段の観測した位置と相対方位センサ等の計測情報の誤差が変動しても、車両の現在位置と進行方位を最適に推定できて信頼性の向上がはかれ、また、絶対位置観測手段が非測位状態でも相対方位センサ等の計測情報から車両の現在位置と進行方位を推定することが可能となって、トンネルや高架下の道路においても、安定的に車両の現在位置と進行方位を提供できるなどの効果がある。
【0206】
この発明によれば、相対方位センサの出力信号から当該相対方位センサのオフセットを検出するオフセット検出手段を設け、方位変化計算手段にて相対方位センサの出力信号から車両の単位時間毎の進行方位変化を計算するとともに、カルマンフィルタを用いて、位置・方位推定手段にて推定した車両の進行方位を基準にした相対方位センサのオフセットとスケールファクタの補正を行うように構成したので、推定した車両の進行方位と相対方位センサのオフセットおよびスケールファクタに誤差があっても、相対方位センサのオフセットとスケールファクタを最適に補正することが可能となり、また、絶対位置観測手段が非測位状態であっても、また徐行運転時などのように絶対位置観測手段の観測情報の誤差が大きくなる場合であっても、相対方位センサのオフセットとスケールファクタを常時補正することができるため、相対方位センサから進行方位変化を高い精度で求めることができるなどの効果がある。
【0207】
この発明によれば、方位変化計算手段が相対方位センサのオフセットの変動を監視して、スケールファクタ補正の有効性を判定するように構成したので相対方位センサのオフセットの変動が小さい時に相対方位センサのスケールファクタを補正することで、相対方位センサのスケールファクタの誤補正を防止することが可能となり、相対方位センサから高い精度で進行方位変化を求めることができるという効果がある。
【0208】
この発明によれば、距離センサのスケールファクタの補正を監視することによって、ロケータ装置が他の車両に載せ換えられたか否かを判断するように構成したので、距離センサのスケールファクタの変動量からロケータ装置が他の車両に載せ換えられたことを検出することができ、ロケータ装置が複数の車両へ載せ換えられて使用されるような場合に、現在搭載されている車両に係る補正を直ちに行うことができ、車両の挙動情報を最適に設定することが可能になるという効果がある。
【0209】
この発明によれば、距離センサのスケールファクタを記憶する複数のメモリ領域を有する記憶手段と、利用者が記憶先であるメモリ領域の番地を指定するための記憶先指定手段とを設け、車種毎に異なる距離センサのスケールファクタを記憶手段に記憶する一方で、距離センサのスケールファクタの記憶場所を利用者が記憶先指定手段によって切り替えるように構成したので、距離センサのスケールファクタをこの記憶先指定手段によって切り替えることにより、ロケータ装置を他の車両へ載せ換えた時に、当該車両に係る補正を毎回やり直すことが不要になり、他の車両へ載せ換えた直後から車両の速度を高い精度で推定することが可能になるという効果がある。
【0210】
この発明によれば、距離センサのスケールファクタとメモリアクセス時刻の組を記憶する複数のメモリ領域を有する記憶手段と、記憶手段に保持されているスケールファクタを検索する記憶先検索手段を設け、車種毎に異なる距離センサのスケールファクタを記憶手段に記憶する一方で、距離センサのスケールファクタの記憶場所を記憶先検索手段の検索結果によって自動的に切り替えるように構成したので、ロケータ装置を他の車両へ載せ換えた時に、当該車両に係る補正を毎回やり直すことが不要になり、他の車両へ載せ換えた直後から車両の速度を高い精度で推定することが可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるロケータ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1におけるロケータ装置の動作の、メインルーチンの処理内容を示す流れ図である。
【図3】 この発明の実施の形態1におけるロケータ装置の動作の、割込処理1の処理内容を示す流れ図である。
【図4】 この発明の実施の形態1におけるロケータ装置の動作の、割込処理2の処理内容を示す流れ図である。
【図5】 この発明の実施の形態1におけるロケータ装置の動作の、割込処理3の処理内容を示す流れ図である。
【図6】 この発明の実施の形態3によるロケータ装置の構成を示すブロック図である。
【図7】 この発明の実施の形態3におけるロケータ装置の動作の、メインルーチンの処理内容を示す流れ図である。
【図8】 この発明の実施の形態4によるロケータ装置の構成を示すブロック図である。
【図9】 この発明の実施の形態4におけるロケータ装置の動作の、メインルーチンの処理内容を示す流れ図である。
【図10】 この発明の実施の形態5によるロケータ装置の構成を示すブロック図である。
【図11】 この発明の実施の形態5におけるロケータ装置の動作の、メインルーチンの処理内容を示す流れ図である。
【図12】 この発明の実施の形態5におけるロケータ装置の動作の、位置・方位推定処理の処理内容を示す流れ図である。
【図13】 この発明の実施の形態5におけるロケータ装置の動作の、位置・方位推定手段による車両の現在位置の推定例を示す説明図である。
【図14】 この発明の実施の形態6によるロケータ装置の構成を示すブロック図である。
【図15】 この発明の実施の形態6におけるロケータ装置の動作の、方位変化計算処理の処理内容を示す流れ図である。
【図16】 この発明の実施の形態9によるロケータ装置の構成を示すブロック図である。
【図17】 この発明の実施の形態9におけるロケータ装置の記憶手段のメモリマップを簡単に示した説明図である。
【図18】 この発明の実施の形態10によるロケータ装置の構成を示すブロック図である。
【図19】 この発明の実施の形態10におけるロケータ装置の記憶手段のメモリマップを簡単に示した説明図である。
【図20】 従来のロケータ装置の一構成例を示すブロック図である。
【図21】 上記ロケータ装置の動作の、自律航法のメインルーチンの処理内容を示す流れ図である。
【図22】 上記ロケータ装置の動作の、進行方位変化と移動距離の演算処理の処理内容を示す流れ図である。
【図23】 上記ロケータ装置の動作の、相対軌跡演算処理の処理内容を示す流れ図である。
【図24】 上記ロケータ装置の動作の、絶対方位、絶対位置の演算処理の処理内容を示す流れ図である。
【図25】 上記ロケータ装置の動作の、自律航法とGPS航法を複合化するためのカルマンフィルタの演算処理の処理内容を示す流れ図である。
【図26】 従来のロケータ装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図27】 上記ロケータ装置の動作の、自律航法のメインルーチンの処理内容を示す流れ図である。
【符号の説明】
1 距離センサ、2 相対方位センサ、3 GPS受信機(絶対位置観測手段)、4 加速度センサ、52 記憶手段、53 記憶先指定手段、54 記憶先検索手段、511 速度計算手段、511a 距離・速度計算手段(速度計算手段)、512,514 オフセット検出手段、513 速度推定手段、515 方位変化計算手段、516 位置・方位推定手段。
Claims (8)
- 衛星を利用して、少なくとも車両の速度を観測する絶対位置観測手段と、
前記車両の移動距離に応じた信号を出力する距離センサと、
前記距離センサの出力信号にスケールファクタを乗算して車両の速度を計算するシステムモデルと、前記絶対位置観測手段で観測した車両の速度と前記システムモデルにおける速度の関係を表した観測モデルとに基づいて、状態ベクトルの行列要素には前記システムモデルにおける速度とスケールファクタを設定し、観測値には前記絶対位置観測手段で観測した速度を設定したカルマンフィルタにより、状態ベクトルの行列要素である速度とスケールファクタの計算を行うとともに、前記システムモデルと観測モデルでは、所定時間における、前記距離センサの出力信号および前記絶対位置観測手段で観測した速度のそれぞれの平均値を用いて、当該各平均値の時間的変化に伴う勾配の差異を、前記絶対位置観測手段で観測した速度の平均値に乗算し、その値を観測誤差として設定する、速度計算手段とを備えたロケータ装置。 - 速度計算手段は、カルマンフィルタの後段に、状態ベクトルの行列要素であるスケールファクタに含まれる高周波ノイズを除去するローパスフィルタを設けて、
前記ローパスフィルタを通過した後のスケールファクタを距離センサの補正値とするものであることを特徴とする請求項1記載のロケータ装置。 - 車両の進行方位の変化に応じた信号を出力する相対方位センサと、
前記相対方位センサの出力信号から車両の単位時間毎の進行方位の変化を計算する方位変化計算手段と、
前記車両の現在位置と進行方位を推定する位置・方位推定手段とを設け、
前記位置・方位推定手段が、速度計算手段または速度推定手段による速度から求めた単位時間当たりの移動距離と、前記方位変化計算手段で計算した単位時間毎の進行方位変化から車両の現在位置と進行方位を計算するシステムモデルと、絶対位置観測手段で観測した車両の現在位置と前記システムモデルにおける現在位置の関係を表した観測モデルに基づいて、状態ベクトルの行列要素には前記システムモデルにおける現在位置と進行方位を設定し、観測値には前記絶対位置観測手段で観測した車両の現在位置を設定したカルマンフィルタにより、状態ベクトルの行列要素である車両の現在位置と進行方位の計算を行うとともに、所定の距離以上離れた複数地点または所定時間経過毎の前記絶対位置観測手段による現在位置と当該位置・方位推定手段による現在位置の差異の変動量を観測誤差として設定し、所定の距離以上離れた複数地点毎の、前記絶対位置観測手段による進行方位と当該位置・方位推定手段による進行方位の差異の平均値を、システム誤差の行列要素である方位誤差として設定して、前記速度計算手段または前記速度推定手段とによる速度の積分値と前記絶対位置観測手段による速度の積分値の差異を、システム誤差の行列要素である距離誤差として設定するものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のロケータ装置。 - 速度計算手段または速度推定手段で求めた車両の速度が0のときに相対方位センサの出力信号を平均したものをオフセットとするオフセット検出手段を設け、
方位変化計算手段が、前記相対方位センサの出力信号からオフセットを引いた後にスケールファクタを乗算して車両の単位時間毎の進行方位変化を計算するとともに、当該進行方位の変化を積算するシステムモデルと、位置・方位推定手段で推定した進行方位と前記システムモデルにおける積算方位の関係を表した観測モデルに基づいて、状態ベクトルの行列要素にはシステムモデルにおける前記相対方位センサのオフセットとスケールファクタおよび積算方位を設定し、観測値には前記位置・方位推定手段で推定した進行方位を設定したカルマンフィルタにより、状態ベクトルの行列要素である前記相対方位センサのオフセットとスケールファクタを計算して前記相対方位センサの補正値とし、停車毎のオフセットの変動量からシステム誤差の行列要素であるオフセット誤差を設定し、また車両旋回時に前記位置・方位推定手段と前記方位変化計算手段の各方位情報からそれぞれ求めた車両の旋回角の差異からシステム誤差の行列要素であるスケールファクタ誤差を設定し、前記位置・方位推定手段で用いたシステム誤差の行列要素である方位誤差を観測誤差として設定するものであることを特徴とする請求項3記載のロケータ装置。 - 方位変化計算手段が、相対方位センサのオフセットの変動を監視して、前記相対方位センサのスケールファクタの補正の有効性を判定するものであることを特徴とする請求項4記載のロケータ装置。
- 速度計算手段が、当該速度計算手段で計算した距離センサのスケールファクタの変化が所定割合以上となった時に、当該ロケータ装置が他の車両に載せ換えられたと判断するものであることを特徴とする請求項3または請求項4記載のロケータ装置。
- 速度計算手段で計算した距離センサのスケールファクタを記憶する複数のメモリ領域を有する記憶手段と、
前記記憶手段のメモリ領域の番地を利用者が指定するための記憶先指定手段とを設け、
前記記憶手段は、前記記憶先指定手段によって指定された番地のメモリ領域に、前記距離センサのスケールファクタを読み書きすることを特徴とする請求項1または請求項2記載のロケータ装置。 - 速度計算手段で計算した距離センサのスケールファクタとメモリアクセス時刻を組にして記憶する複数のメモリ領域を有する記憶手段と、
前記速度計算手段で計算されたスケールファクタに近い値が前記記憶手段に記録されているか否かを検索し、記録されている場合には記録されているメモリ領域の番地を、記録されていない場合には未使用のメモリ領域の番地を、さらに未使用のメモリ領域もない場合にはメモリアクセス時刻の記録が最古のメモリ領域の番地を検索する記憶先検索手段とを設け、
前記記憶手段は、前記記憶先検索手段より指定された番地のメモリ領域に、前記速度計算手段で計算した距離センサのスケールファクタを読み書きするとともに、当該スケールファクタと組で記憶されるメモリアクセス時刻として、現在の時刻を読み書きすることを特徴とする請求項6記載のロケータ装置。
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