JP3727444B2 - 差圧鋳造装置及び差圧鋳造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、溶湯を差圧力又は、キャビティ内を減圧することによりキャビティ内に充填する様にした差圧鋳造装置及び差圧鋳造方法に関するものである。
【0002】
ここで差圧鋳造装置とは、例えばキャビティを減圧し溶湯を吸引してキャビティに充填する鋳造装置、又は、保持炉及びキャビティを加圧し、その後、キャビティを減圧することで、圧力差を設け溶湯をキャビティに充填する鋳造装置のことが挙げられ、差圧鋳造方法とは、例えばキャビティを減圧し溶湯を吸引してキャビティに充填する鋳造方法、又は、保持炉及びキャビティを加圧し、その後、キャビティを減圧することで、圧力差を設け溶湯をキャビティに充填する鋳造方法のことが挙げられる。
【0003】
【従来の技術】
従来から、特開平5−123850号公報に開示されたように、鋳型のキャビティ内を吸引装置で減圧して、その減圧力によりキャビティ内に溶湯を充填する、減圧式の鋳造装置がある。
【0004】
このようなものでは、例えば図10に示すように、開閉可能な金型101によってキャビティ102を形成し、キャビティ102に連通する湯口103を金型101の下部に開口している。
【0005】
この湯口103には、ストーク104の上端が接続されている。このストーク104の下端は、溶湯保持炉105内の溶湯2に浸漬されている。
【0006】
このように構成された従来のものでは、この溶湯2を加圧又は、前記金型101内を吸引装置74によって減圧して溶湯2を、キャビティ102内に導入して、キャビティ102内で溶湯2を凝固させて製品を鋳造するように構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように構成された鋳造装置では、大型の金型101を用いて鋳造を行う場合、溶湯保持炉105内に常に、大量の溶湯を保持しておかなければならない。このように大量の溶湯2の湯面S0に対して、ストーク104から上昇させる溶湯2の圧力を一定とするように保持炉105内を加圧調整することは困難である。
【0008】
また、溶湯2を加圧又は、前記金型101内を減圧する際に、湯面位置S0が毎回変動する。このため、ストーク104から上昇させる溶湯2の圧力が変動することによる湯回り不良等の鋳造ムラが発生してしまう虞もあった。
【0009】
そこで、この発明は、安定させて溶湯をキャビティに充填して良好な仕上がりを得ることが出来る差圧鋳造装置を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本願発明の請求項1に記載されたものでは、金属溶湯が加熱保持されている溶湯保持炉と、前記溶湯保持炉の上方に配設された溶湯チャンバと、下端部が前記溶湯保持炉の溶湯内に挿入され且つ前記溶湯を前記溶湯チャンバに案内させる溶湯案内路と、前記溶湯保持炉内の溶湯を前記溶湯案内路を介して前記溶湯チャンバに供給する溶湯供給手段と、前記溶湯チャンバの直上に配設された鋳造金型と、前記鋳造金型に設けられたキャビティと、下端部が前記溶湯チャンバ内に挿入され且つ前記溶湯チャンバ内の溶湯を前記キャビティに案内させる溶湯充填路と、前記溶湯充填路を介して、前記キャビティに溶湯を減圧により充填する減圧手段と、前記減圧手段に含まれ、キャビティの減圧をコントロールする減圧コントロールバルブと、前記溶湯チャンバ内に設けられて、前記溶湯チャンバ内の溶湯面を検出する湯面検出手段と、前記キャビティの減圧を検出するバキュームセンサと、前記溶湯保持炉の上部空間の圧力を検出する第1圧力センサと、前記溶湯チャンバの上部空間の圧力を検出する第2圧力センサと、前記溶湯保持炉の上部空間の圧力を調節する第1圧力コントロールバルブと、前記溶湯チャンバの上部空間の圧力を調節する第2圧力コントロールバルブと、前記湯面検出手段と、バキュームセンサと、第1圧力センサと、第2圧力センサとの検出に基づいて、前記溶湯供給手段と、前記減圧手段と、両圧力コントロールバルブの作動を制御する制御手段とを備えた差圧鋳造装置を特徴としている。
【0011】
このように構成された請求項1記載のものでは、前記制御手段の作動制御により、例えば、前記溶湯供給手段により溶湯チャンバ内へ供給された溶湯の液面の所定位置への到達が、前記検出手段によって検出されると、前記充填手段の作動を開始させることにより、溶湯チャンバ内の溶湯が、前記溶湯充填路を介してキャビティ内に充填させることが出来る。
【0012】
このため、充填が開始される際の湯面の位置は、常に、比較的高い一定位置となり、充填手段の充填作動によって、上昇させる溶湯の圧力変動を減少させることにより、安定させて溶湯をキャビティに充填して良好な仕上がりを得ることが出来る。
【0013】
また、請求項2に記載されたものでは、請求項1に記載の差圧鋳造装置において、前記制御手段は、前記湯面検出手段が溶湯チャンバの溶湯の湯面の所定位置への到達を検出すると、減圧手段により溶湯チャンバ内の溶湯をキャビティへ供給し、同時に、第1圧力コントロールバルブにより溶湯保持炉の上部空間の圧力を所定の高さに保持する溶湯充填制御を実行することを特徴としている。
【0014】
このように構成された請求項2記載のものでは、前記制御手段が、前記溶湯供給手段により溶湯チャンバ内へ供給された溶湯の湯面の所定位置への到達を、前記検出手段が検出すると、前記充填手段によって、溶湯チャンバ内の溶湯を、前記溶湯充填路を介してキャビティ内に充填するように作動制御するので、安定させて溶湯がキャビティに充填されて良好な仕上がりを得ることが出来る。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
<溶湯鋳造側の機械的構成>
図1において、1は、ヒータ1b等で加熱される溶湯保持炉、2は溶湯保持炉1内のアルミニウム,アルミニウム合金,マグネシウム合金等の金属の溶湯、3は溶湯保持炉1の上部開口端を閉成している蓋体、4は溶湯保持炉1内に設けられた隔壁である。
【0017】
図1中、溶湯保持炉1内は隔壁4により右側の溶湯補給室(溶湯注入室)5と左側の溶湯供給室6とに区画されている。しかも、この隔壁4の上端と蓋体3との間には連通口1cが設けられ、この隔壁4と溶湯保持炉1の底壁1aとの間には溶湯補給室5と溶湯供給室6とを連通させる連通口7が形成されている。
【0018】
8は蓋体3を貫通して溶湯補給室5内に挿入された脱ガス装置(ガス抜き装置)、9は溶湯補給室5上に位置させて蓋体3に設けられた溶湯補給口、10は溶湯補給口9を閉成する蓋体、11は溶湯供給室6の上部空間6aに連通する接続口である。尚、脱ガス装置8は、溶湯補給口9から注入される溶湯2中のガス(主に水素等)を外部に排出する様になっている(この構成には周知の構造が採用される)。
【0019】
また、溶湯保持炉1の上部には金型支持用のプレート12が配設され、このプレート12の上部には金型支持台13が固定され、この金型支持台13内には上方に開放する容器状の断熱材13aが固定され、断熱材13a内には上方に開放した鋳鉄製の溶湯容器14が配設されている。この溶湯容器14の表面は、図示しないセラミックウール等により覆われていて、溶湯2´と化学反応しないようになっている。12aはプレート12に設けた挿通孔である。しかも、溶湯容器14は底壁14aが中央に向うに従って下方に下がるようなテーパ形状に形成されている。
【0020】
そして、この底壁14aの中央には、セラミック等からなる筒状のストーク(溶湯案内パイプ)15の上端が固定されている。このストーク15は、挿通孔12aを介して下方に延びると共に、蓋体3を貫通して溶湯供給室6内の溶湯2内に挿入されている。15aはストーク15内の溶湯案内路である。
【0021】
尚、溶湯容器14の底壁14aをテーパ状に形成することで、溶湯容器14内の溶湯2´を下方の溶湯保持炉1側に押し下げる場合には、溶湯容器14内に溶湯2´が残ることなく下方に押し下げることができる。また、溶湯容器14内には溶湯2´のための溶湯チャンバ16が形成され、溶湯容器14の上部には溶湯チャンバ16の上部空間16aに連通する接続口17が形成されている。
【0022】
また、この金型支持台13及び溶湯容器14上には密閉ケース18が配設されている。この密閉ケース18は、金型支持台13及び溶湯容器14の上端を閉成する底板19と、底板19上に気密に固定された周壁部材20と、周壁部材20の上端を閉成している蓋体21を有する。
【0023】
22は密閉ケース18内の金型室である。しかも、底板19には溶湯チャンバ16の上部空間16a内に突出する検出手段としての湯面検出センサ23が固定され、周壁部材20の上端部には吸引用の接続口24が形成されている。
【0024】
また、金型室22内には鋳造金型25が配設されている。この鋳造金型25は、底板19上に固定された下金型26と、下金型26上に配置された上金型27を有する。この上金型27は支持部材28を介して蓋体21の下面(内面)に固定されている。この金型26,27間には製品形状のキャビティ29が形成されている。しかも、下金型26には、上下に延び且つ上端をキャビティ29に連通させた複数の溶湯充填パイプ30が固定されている。この溶湯充填パイプ30は、底板19を貫通して溶湯チャンバ16内に突出している。30aは溶湯充填パイプ30内の溶湯充填路である。また、溶湯充填パイプ30の外周面及び底板19の下面は、鋳鉄製の保護層19aで覆われ、この保護層19aの表面は図示しないセラミックウール等により覆われている。このセラミックウールは、保護層19aが溶湯と化学反応するのを防止すると共に、溶湯チャンバ16内の熱が鋳造金型25に伝達しにくくする断熱機能を兼備している。
【0025】
尚、蓋体21は油圧シリンダ(図示せず)で図1中昇降駆動可能に設けられ、この油圧シリンダは油圧回路31により駆動制御されるようになっている。また、金型支持台13,底板19,周壁部材20は一体に形成することもできる。また、金型支持台13と周壁部材20を一体に形成すると共に、図示した周壁部材20の下端に内方フランジを突設して、この内方フランジに底板19を着脱可能に取り付けることで、鋳造金型25で鋳造される製品の仕様変更のために溶湯充填パイプ30の数と位置が変わっても、底板19の変更のみで対応できることになる。
【0026】
ここで、吸引鋳造をする前に予め鋳造金型25近くまで溶湯2´を揚げておくところの溶湯チャンバ16の貯溜される溶湯2´の量について説明する。湯面検出センサ23により検出される所定湯面S1位置は、溶湯充填パイプ30の下端、すなわち溶湯充填路30aの下端より上にある。キャビティ29への吸引充填がなされるとき、溶湯チャンバ16の湯面S1は一時的に下がるが溶湯保持炉上部空間6a内の圧力P1が維持されているので、溶湯供給室6内の溶湯2が溶湯案内路15aを介して自動的に供給されているので湯面S1は維持される。なお、P1は湯面S2の低下に従って数ショット毎に圧力補正される。
【0027】
この溶湯チャンバ16の湯面S1が、キャビティ29への吸引充填で一時的に下がるとき、溶湯充填路30aの下端より下がって不活性ガスが溶湯充填路30aからキャビティ29に入り込まないような溶湯貯溜量が必要である。すなわち、溶湯チャンバ16の溶湯2´の貯溜量は、キャビティ29への充填開始から充填が終了するまで、溶湯チャンバ16の湯面S1が溶湯充填路30aの下端より常に上にあるように設定されている。なお、不活性ガスは溶湯の酸化を防止するためのものである。
【0028】
また、吸引開始前の溶湯チャンバ16の溶湯の貯溜量は溶湯充填路30aの下端から上のキャビティ29を含む鋳造空間の容積の1〜5倍が適当である。この条件であれば、溶湯充填路30aの下端が湯面S1より上に来ることはなく、溶湯チャンバ16内の溶湯2´の湯温が低下しすぎることもない。更に、この溶湯2´の貯溜量は、好ましくは1〜2倍である。これは、湯面S1が少しでも下がれば、この湯面S1を揚げるため、溶湯供給室6の溶湯2がストーク15を通して供給されるため、鋳造サイクルを短縮した、省エネルギとするのに好ましい。
【0029】
<溶湯加圧系統>
上述の様に溶湯保持炉1には溶湯供給室6の上部空間6aに連通する接続口11が設けられ、溶湯チャンバ16には、上部空間16aに連通する接続口17が設けられている。
【0030】
この接続口11には不活性ガス又はコンプレッサーエアー供給用のパイプ32が接続され、このパイプ32には排気弁(三方電磁切換弁)33の第1ポート33aが接続され、この排気弁33の第2ポート33bにはガス供給用の圧力コントロールバルブ34の吐出側が接続され、圧力コントロールバルブ34の流入側には不活性ガス又はコンプレッサーエアー等のガス供給源35が接続されている。尚、本実施例では、排気弁33の第3のポート33cは大気に開放されている。しかし、この第3のポート33cをガス回収装置に接続して、第3のポート33cから排出される不活性ガスを再利用するようにしてもよい。
【0031】
また、接続口17には不活性ガス供給用のパイプ17aが接続され、このパイプ17aには排気弁(三方電磁切換弁)36の第1ポート36aが接続され、この排気弁36の第2ポート36bには不活性ガス供給用の圧力コントロールバルブ37の吐出側が接続され、圧力コントロールバルブ37の流入側には不活性ガス供給源38が接続されている。尚、本実施例では、排気弁36の第3のポート36cは大気に開放されている。しかし、この第3のポート36cをガス回収装置に接続して、第3のポート36cから排出される不活性ガスを再利用するようにしてもよい。なお、36c´は、排気量調整バルブであり、排出スピードを調節するためのものである。
【0032】
そして、パイプ32,17aには圧力センサ39,40が取り付けられている。尚、ガス供給源35にはアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス又はコンプレッサーエアーが充填され、不活性ガス供給源38にはアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスが充填されている。また、圧力センサ39,40からの圧力信号は演算制御回路(制御手段)41に入力され、演算制御回路41は排気弁33,36及び圧力コントロールバルブ34,37を作動制御する様になっている。
【0033】
<減圧系統>
また、上述したように、密閉ケース18の周壁部材20の上端部には吸引用の接続口24が形成されている。この接続口24には吸引用(減圧用)のパイプ42が接続され、パイプ42には大気開放バルブすなわち大気導入弁(三方電磁切換弁)43の第1ポート43aが接続され、この大気導入弁43の第2ポート43bには減圧コントロールバルブ44を介して真空ポンプ46が減圧手段として接続されている。尚、大気導入弁43の第3のポート43cは大気に開放されている。しかし、この第3のポート43cをガス回収装置に接続して、第3のポート43cから排出される不活性ガスを再利用するようにしてもよい。
【0034】
しかも、パイプ42の途中にはバキュームセンサ45が取り付けられている。このバキュームセンサ(減圧センサ)45からの出力信号は演算制御回路41に入力され、大気導入弁43及び減圧コントロールバルブ44は演算制御回路41により作動制御される様になっている。尚、上述の湯面検出センサ23からの湯面検出信号も演算制御回路41に入力される。
【0035】
<作用>
次に、この様な構成の演算制御回路41による制御作用の伴う鋳造工程を図2〜図9に基づいて説明する。尚、図2,図3は、鋳造工程の全体を概略的に示したものであるので、図1に示した符号の内の説明に必要な最小限の符号を付して、詳細な符号は図4〜図9に示す。
【0036】
図2において、(a)は溶湯チャンバ16の上部空間16aの圧力(溶湯チャンバー内圧力)を示し、(b)は溶湯保持炉1の上部空間6aの圧力(溶湯保持炉内圧力)を示し、(c)は鋳造金型25に作用する吸引圧力を示したものである。そして、(a)の圧力特性曲線50及び(c)の圧力特性曲線51は、溶湯2が溶湯チャンバ16内の所定高さまで押し上げられて、この溶湯チャンバ16内の溶湯2´の湯面S1が湯面検出センサ23により検出されている時点において、溶湯チャンバ16内の上部空間16aの圧力を大気圧と同じにしたとき、この上部空間16a内の圧力を「0」として図示してある。また、(b)の圧力特性曲線52は、溶湯供給室6内の湯面S2に圧力が加えられていない時、即ち溶湯供給室6の上部空間6a内の圧力を大気圧にしたとき、この上部空間6a内の圧力を「0」として図示してある。
【0037】
(i)スタート
この図2のt1は図3の(1)のスタートすなわち鋳造開始の時点になる。このスタート位置では、溶湯供給室6の上部空間6aの圧力が図2(b)に示した様に「0」である。この状態では、前回の鋳造工程の終了によって、溶湯案内路15a,溶湯チャンバ16,溶湯充填路30a等には不活性ガスが充填されている。尚、図中、不活性ガスは小点の集合で表わしている。
【0038】
そして、演算制御回路41は、鋳造金型25の型締め前の時間t1において、排気弁36のポート36a,36bを連通させると共に、圧力コントロールバルブ37を作動させて、不活性ガス供給源38からの不活性ガスをパイプ17aを介して溶湯チャンバ16内に供給する。
【0039】
(ii)型締め
演算制御回路41は、この不活性ガス供給開始後の時間t2において油圧回路31を作動制御して図示しない油圧シリンダを作動させ、蓋体21を図3(1)及び図4の位置から降下させて図3(2)及び図5で示した様に周壁部材20の上端に当接させ、金型室22の上部開口端を閉成し密閉する。この際、上金型27も降下させられて下金型26に当接させられ型締めが行われる。
【0040】
尚、この時点では、演算制御回路41は、大気導入弁43のポート43a,43cを連通させて、パイプ42を大気に開放している。しかも、この際は、不活性ガス供給源38からの不活性ガスがパイプ17aを介して溶湯チャンバ16内に供給されているので、この不活性ガスが溶湯充填路30aを介して鋳造金型25のキャビティ29内に供給(充填)されると共に、金型26,27の合せ部間の隙間等から金型室22内に洩れる。
【0041】
(iii)湯面検出
また、演算制御回路41は、鋳造金型25の型締め直後の時間t3において圧力コントロールバルブ37の作動を停止させ、溶湯チャンバ16への不活性ガスの供給を停止させる。
【0042】
一方、演算制御回路41は、時間t3で排気弁33のポート33a,33bを連通させると共に、圧力コントロールバルブ34を作動させて、ガス供給源35からの不活性ガス又は、コンプレッサーエアー等のガスを排気弁33及びパイプ32を介して溶湯供給室6の上部空間6aに加圧供給し、上部空間6a内の圧力をP1まで上昇させる。
【0043】
この上部空間6a内の圧力の上昇にともない、溶湯供給室6内の溶湯2が溶湯案内路15aを介して溶湯チャンバ16内に押し上げられる。なお溶湯供給は電磁ポンプを使用しても良い。
【0044】
そして、この溶湯2の押し上げに伴って、溶湯チャンバ16内の湯面S1が図3(3)及び図6の如く湯面検出センサ23に時間t4で接すると、湯面S1が湯面検出センサ23により検出されて、この湯面検出センサ23からは湯面検出信号が出力されて演算制御回路41に入力される。しかも、この演算制御回路41は、湯面検出信号を受けると、圧力コントロールバルブ34の作動を制御して上部空間6a内の圧力P1を保持させる。この状態では、溶湯充填パイプ30の下端部が溶湯チャンバ16内の溶湯2´内に挿入された状態となっている。
【0045】
(iv)溶湯充填
(金型室22の減圧)
一方、演算制御回路41は、湯面検出信号を受けて圧力コントロールバルブ34の制御によりP1を保持した後、時間t4で大気導入弁43のポート43a,43bを連通させて、減圧コントロールバルブ44を作動させ、金型室22の減圧を開始する。この際の圧力はバキュームセンサ45で検出され、このバキュームセンサ45からの検出信号は演算制御回路41に入力される。
【0046】
この際、鋳造金型25のキャビティ29内の減圧力は、時間t4から時間t5の間で0から−P6(Kg/cm2)まで増加させられた後、時間t5からt6までの間で−P6(Kg/cm2)から−P7(Kg/cm2)(−P6>−P7)まで増加させられる。そして、溶湯チャンバ16内の溶湯2´が溶湯充填路30a内を鋳造金型25のキャビティ29側に吸引され、図3(4)及び図7の如く充填される。この充填は、時間t5までの間に行われる。
【0047】
この充填に伴い、溶湯チャンバ16内の溶湯2´の湯面S1が降下しようとするが、溶湯供給室6の上部空間6aの圧力が演算制御回路41によってP1を維持するように制御されているので、この圧力P1により溶湯保持炉1内の溶湯が溶湯チャンバ16内に補充されて、湯面S1が略一定に保持されようとすることになる。
【0048】
尚、このキャビティ29への溶湯の充填が完了時には、キャビティ29内の溶湯の熱が金型26,27に吸収された後に放熱され凝固を既に開始している。
【0049】
(押し湯)
この凝固開始により、キャビティ29内に充填された溶湯の収縮が行われるので鋳造品(製品)の品質の安定のために、キャビティ29への押し湯を行わせる。 即ち、演算制御回路41は、溶湯チャンバ16内の溶湯2´が溶湯充填パイプ30の下端部下方に降下する前に、金型室22内の減圧度(真空度)が所定値(−P6)に達したのをバキュームセンサ45からの検出信号を基に時間t5で検知すると、圧力コントロールバルブ34を作動させて、ガス供給源35の不活性ガス又はコンプレッサーエアー等のガスを排気弁33及びパイプ32を介して溶湯供給室6の上部空間6aに更に加圧供給し、上部空間6a内の圧力を時間t5から時間t6までの時間でP1からP2まで上昇させる。
【0050】
一方、演算制御回路41は、この溶湯保持炉1の上部空間6aの圧力上昇開始と略同時に圧力コントロールバルブ37を作動制御して、不活性ガス供給源38と排気弁36との連通状態を遮断させる。これにより、溶湯保持炉1内の圧力が上昇すると、溶湯チャンバ16の上部空間16aの圧力が増圧され、上部空間16a内の圧力が時間t5から時間t6までの時間でP3まで上昇させられることになる。尚、不活性ガス供給源38と排気弁36との連通状態を遮断されているので、溶湯チャンバ16の上部空間16aの圧力P3は溶湯供給室6の上部空間6aに加えられる圧力P2と同じになる。
【0051】
この圧力P2(=P3)は、溶湯チャンバ16内の溶湯2´及び複数の溶湯充填路30aを介して鋳造金型25のキャビティ29内に作用して、冷却による容積の収縮に伴う溶湯の補充を行う。これにより、いわゆる押湯効果が付与される。
【0052】
そして、圧力P3は圧力センサ40の検出信号を基に演算制御回路41が圧力コントロールバルブ37を制御することにより時間t9まで維持され、圧力P2は圧力センサ39の検出信号を基に演算制御回路41が圧力コントロールバルブ34を制御することにより時間t10まで維持される。
【0053】
(減圧停止)
また、演算制御回路41は、圧力センサ39,40からの圧力信号がP2,P3に達したのを時間t6で検出した後に、時間t7で減圧コントロールバルブ44を作動制御して減圧コントロールバルブ44内の通路途中を閉じると共に、大気導入弁43のポート43a,43cを連通させて、パイプ42を大気に連通させる。これにより、金型室22内の圧力が上昇して大気圧(ここでは「0」)となる。尚、この減圧コントロールバルブ44の停止時には、キャビティ29内への溶湯の充填が完了している。
【0054】
(v)湯切り及び湯戻し
このキャビティ29への溶湯2’’の充填が完了後に所定時間t9まで経過すると、キャビティ29内の溶湯2’’の熱が金型26,27に吸収されて放熱され凝固するが、溶湯充填路30a内の溶湯が凝固していない。この時間t9において演算制御回路41は、圧力コントロールバルブ37により不活性ガスを不活性ガス供給源38から溶湯チャンバ16の上部空間16aに加圧供給して、溶湯チャンバ16の上部空間16aの圧力をP3からP4まで上昇させ、溶湯チャンバ16内の溶湯を図3(5)及び図8の如く溶湯充填パイプ30の下端部下方の溶湯チャンバ16の下端まで降下させる。
【0055】
これにより、溶湯充填パイプ30内の溶湯2’は、不活性ガスが溶湯充填パイプ30内を上昇することにより、キャビティ29の下端で縁切され、自重で下方に流下すると共に、溶湯チャンバ16内に供給される不活性ガスにより溶湯供給室6まで積極的に流下させられ、縁切がなされる。
【0056】
そして、演算制御回路41は、時間t10で圧力コントロールバルブ33を作動制御して、溶湯保持炉1の上部空間6aを大気に開放した後、時間t11で圧力コントロールバルブ36を作動制御して、溶湯チャンバ16の上部空間16aを大気に開放し、溶湯案内路15a内の溶湯を溶湯供給室6内に戻させる。これにともない、上部空間6a,16a内の圧力が降下して時間t12の時点で略「0」にさせる。
【0057】
(vi)製品取り出し
そして、演算制御回路41は、上部空間16a及び6a内の圧力が時間t12で略「0」になった後、直ちに油圧回路31を作動制御して図示しない油圧シリンダにより蓋体21を上昇させて周壁部材20から上方に離反させると同時に、上金型27を蓋体21と一体に上昇させて、上金型27を図3(6)及び図9に示した如く下金型26から分離する。この後、図示しない製品受を上金型27の下方に移動させて、上金型27による製品保持を解除することにより、上金型27に保持された鋳造品(製品)60を製品受に受けさせた後、製品受を上金型27の下方から取り出すことにより、鋳造品60の取り出しが行われる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載のものでは、前記制御手段の作動制御により、例えば、前記溶湯供給手段により溶湯チャンバ内へ供給された溶湯の液面の所定位置への到達が、前記検出手段によって検出されると、前記減圧手段の作動を開始させることにより、溶湯チャンバ内の溶湯が、前記溶湯充填路を介してキャビティ内に充填させることが出来る。
【0059】
このため、充填が開始される際の湯面の位置は、常に、比較的高い一定位置となり、充填手段の充填作動によって、上昇させる溶湯の圧力変動を減少させることにより、安定させて溶湯をキャビティに充填して良好な仕上がりを得ることが出来る。
【0060】
また、請求項2に記載されたものでは、前記制御手段が、前記溶湯供給手段により溶湯チャンバ内へ供給された溶湯の湯面の所定位置への到達を、前記検出手段が検出すると、前記減圧手段によって、溶湯チャンバ内の溶湯を、前記溶湯充填路を介してキャビティ内に充填するように作動制御するので、安定させて溶湯がキャビティに充填されて良好な仕上がりを得ることが出来る、という実用上有益な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る差圧鋳造装置の説明図である。
【図2】図1に示した差圧鋳造装置の鋳造金型への吸引圧力等の経時関係を示す圧力特性曲線図である。
【図3】図2の圧力特性曲線図に従って制御される図1の差圧鋳造装置による鋳造工程の説明図である。
【図4】図3の(1)の拡大説明図である。
【図5】図3の(2)の拡大説明図である。
【図6】図3の(3)の拡大説明図である。
【図7】図3の(4)の拡大説明図である。
【図8】図3の(5)の拡大説明図である。
【図9】図3の(6)の拡大説明図である。
【図10】従来の差圧鋳造装置の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…溶湯保持炉
2…溶湯
6…溶湯供給室
6a…上部空間
15…ストーク(溶湯案内パイプ)
15a…溶湯案内路
16…溶湯チャンバ
16a…上部空間
23…湯面検出センサ(検出手段)
25…鋳造金型
26…下金型
27…上金型
29…キャビティ
30…溶湯充填パイプ
30a…溶湯充填路
34…圧力コントロールバルブ(溶湯供給手段の一つ)
35…ガス供給源
37…圧力コントロールバルブ(不活性ガス供給手段の一つ)
38…不活性ガス供給源
41…演算制御回路(制御手段)
46…真空ポンプ(減圧手段の一つ)
S1,S2…湯面
Claims (2)
- 金属溶湯が加熱保持されている溶湯保持炉と、
前記溶湯保持炉の上方に配設された溶湯チャンバと、
下端部が前記溶湯保持炉の溶湯内に挿入され且つ前記溶湯を前記溶湯チャンバに案内させる溶湯案内路と、
前記溶湯保持炉内の溶湯を前記溶湯案内路を介して前記溶湯チャンバに供給する溶湯供給手段と、
前記溶湯チャンバの直上に配設された鋳造金型と、
前記鋳造金型に設けられたキャビティと、
下端部が前記溶湯チャンバ内に挿入され且つ前記溶湯チャンバ内の溶湯を前記キャビティに案内させる溶湯充填路と、
前記溶湯充填路を介して、前記キャビティに溶湯を減圧により充填する減圧手段と、
前記減圧手段に含まれ、キャビティの減圧をコントロールする減圧コントロールバルブと、
前記溶湯チャンバ内に設けられて、前記溶湯チャンバ内の溶湯面を検出する湯面検出手段と、
前記キャビティの減圧を検出するバキュームセンサと、
前記溶湯保持炉の上部空間の圧力を検出する第1圧力センサと、
前記溶湯チャンバの上部空間の圧力を検出する第2圧力センサと、
前記溶湯保持炉の上部空間の圧力を調節する第1圧力コントロールバルブと、
前記溶湯チャンバの上部空間の圧力を調節する第2圧力コントロールバルブと、
前記湯面検出手段と、バキュームセンサと、第1圧力センサと、第2圧力センサとの検出に基づいて、前記溶湯供給手段と、前記減圧手段と、両圧力コントロールバルブの作動を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする差圧鋳造装置。 - 前記制御手段は、前記湯面検出手段が溶湯チャンバの溶湯の湯面の所定位置への到達を検出すると、減圧手段により溶湯チャンバ内の溶湯をキャビティへ供給し、同時に、第1圧力コントロールバルブにより溶湯保持炉の上部空間の圧力を所定の高さに保持する溶湯充填制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の差圧鋳造装置。
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JP20785897A JP3727444B2 (ja) | 1997-08-01 | 1997-08-01 | 差圧鋳造装置及び差圧鋳造方法 |
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JPH1147910A JPH1147910A (ja) | 1999-02-23 |
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-
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