JP3726888B2 - 希土類合金及びその製造方法並びに希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、希土類金属及びその製造方法並びにSm2Co17系焼結磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、Sm2Co17系永久磁石における焼結磁石の製造方法は、組成調整した合金鋳塊を1〜10μmに微粉砕し、磁場中において加圧成形した後、アルゴン雰囲気中で1100〜1300℃、通常1200℃程度において、1時間〜5時間の条件で焼結、溶体化する。次いで、700〜900℃、通常800℃程度の温度において約10時間程度保持し、−1.0℃/分の降温速度で400℃以下まで徐冷する時効処理を施すのが一般的である。通常工程において、焼結、溶体化処理は、設定温度に対し±3℃という最適温度範囲があり、厳密な制御が必要となる。これは、焼結、溶体化処理の際、多種の構成相が存在することで、部分による結晶粒の成長、相変化の熱処理温度によるばらつきが生じるためであり、そして、高特性Sm2Co17系焼結磁石になればなるほど、焼結、溶体化処理の温度制御は厳密となる傾向にある。その最適温度範囲を維持し、良好な磁気特性を得るためには、できるだけ偏析のない均一な合金組織が不可欠となる。
【0003】
均一な組織をもつSm2Co17系磁石用合金を得るための鋳造法としては、そのマクロ組織が柱状結晶となるように、箱形等の鋳型に合金溶湯を鋳造する方法が採用されている。ここで、柱状結晶を得るためには、合金溶湯の冷却速度をある程度速めなければならないが、箱形の鋳型を用いた鋳造法では、インゴット中央部分において、柱状結晶が生成する冷却速度より遅くなる傾向にあり、組織の粗大化そして等軸晶が発生することとなる。インゴットの厚みを薄くすること等の方法によりこの問題は解消できるが、効率的な生産性が低下する。このことから、ある程度の厚みのインゴットを製造することになり、組織の粗大化そして等軸晶が生じる場合が多い。組織の粗大化そして等軸晶の発生が、インゴット中の偏析となり、焼結、溶体化の後の磁石組織にも悪影響を及ぼし、良好な磁気特性が得られない原因となる。
【0004】
この問題を解決する方法として、単ロールによる鋳造法(ストリップキャスティング法)が提案されている(特開平8−260083号公報)。この鋳造方法により作製されたインゴットは、微細結晶構造を有し、偏析のない均一な合金組織が得られる。しかし、微細な結晶構造をもつインゴットを原料として用いて焼結磁石を製造したところ、箱型鋳型で鋳造されたインゴットを原料として用いた焼結磁石に比べ、保磁力は向上するものの、残留磁束密度、最大エネルギー積は、むしろ低下することが確認されている(特開平9−111383号公報)。微細な結晶構造を有するインゴットは、箱型鋳型で鋳造されたインゴットに比べ、平均結晶粒径が非常に小さい。そのため、それぞれのインゴットを焼結磁石を製造する工程上、平均微粉末粒径5μmに微粉砕すると、微細な結晶構造を有するインゴットは、平均結晶粒径と平均微粉末粒径の値が近くなってしまい、微粉砕粒子が単結晶でなくなり、多結晶の微粉砕粒子の割合が増えることとなり、磁場中成形した際の配向度も低くなる。結果的に、熱処理後の焼結磁石の配向度が低くなり、残留磁束密度、最大エネルギー積の低下につながると考えられている。このことより、Sm2Co17系焼結磁石において、ストリップキャスティング法により鋳造されたインゴットは、原料インゴットとして用いられていない。
【0005】
本発明は、上記問題を解決したもので、薄帯インゴットの熱処理の際、短時間で均一な処理ができる希土類合金及びその製造方法、並びに優れた磁気特性を有する希土類焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため、Sm2Co17系合金において、合金組織と熱処理による組織変化の関係を検討したところ、結晶粒径1〜200μmの等軸晶を20容量%以上含有し、板厚0.05〜3mmであるSm2Co17系合金を用いることで、熱処理が短時間で済み、容易に均質な組織が得られることを知見した。
【0007】
そして、この合金をこのように非酸化性雰囲気中で熱処理し、平均結晶粒径を成長させることで、従来の鋳造インゴットを用いて焼結磁石を製造した場合より、優れた磁気特性が得られることを見出したものである。
【0008】
従って、本発明は、
(1)R(但し、RはSm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素)20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる合金を溶融後、ストリップキャスティング法により急冷することによって得られ、粒径1〜200μmの等軸晶を20容量%以上含有し、板厚0.05〜3mmであることを特徴とする希土類合金、
(2)R(但し、RはSm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素)20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる合金を溶融後、1250〜1600℃の湯温でストリップキャスティングを行うことを特徴とする上記希土類合金の製造方法、
(3)R(但し、RはSm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素)20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる合金を溶融後、ストリップキャスティング法により急冷することによって得られ、粒径1〜200μmの等軸晶を20容量%以上含有し、板厚0.05〜3mmである希土類合金を、非酸化性雰囲気中において1000〜1300℃、0.5〜20時間の熱処理を施し、該希土類合金を微粉砕した後、磁場中で圧縮成形し、焼結、溶体化し、次いで、時効処理することを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法
を提供する。
【0009】
Sm2Co17系合金において、Smは非常に蒸気圧が高く、高温、長時間の熱処理中に蒸発してしまい、組成ずれを生じて得られた磁石において、保磁力ばらつき等の磁気特性劣化を引き起すおそれがある一方、Smの蒸発を避けるために熱処理を低温、短時間とすると、熱処理の効果が不充分となり、残留磁束密度、最大エネルギーの低下につながるが、上記合金を使用することにより、短時間で最適な熱処理を施すことができ、これによって組成ずれを起こすことなく、結晶粒径を大きくし得ると共に、このSm2Co17系磁石合金を用いてこれを微粉砕し、磁場中で成形し、焼結、溶体化、時効処理することで、優れた磁気特性を有するSm2Co17系焼結磁石を得ることができる。
【0010】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明における希土類合金(Sm2Co17系永久磁石合金)組成の主成分は、Sm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる。前記Sm以外の希土類金属としては、特に限定されるものではなく、Nd、Ce、Pr、Gdなどを挙げることができる。希土類元素中のSmの含有量が50重量%未満の場合や、希土類元素量が20重量%未満、30重量%を超える場合は、有効な磁気特性をもつことはできない。
【0011】
本発明のSm2Co17系永久磁石合金は、上記組成範囲の原料を非酸化性雰囲気中において、高周波溶解により溶融し、更に、その合金溶湯を1250〜1600℃にストリップキャスティング法により急冷する。急冷前の溶湯温度が1250℃より低いと急冷温度巾がせまく、結晶粒径200μm以上の非常に大きな結晶が形成され組成の不均一を招く。加えて、溶湯温度が低いと粘性が低く、厚さ3mm以下の薄帯が形成されにくく、そればかりか途中凝固してしまい、健全な鋳造が行えない。好ましくは1300℃以上の温度がよい。1600℃より高い温度では溶解中Smの蒸発が甚だしく、組成ずれが発生し、安定した生産が行えない。好ましくは1500℃以下がよい。
【0012】
このようにして得られる薄帯の結晶粒径が細かいと熱処理時に粒形成長速度が速く、熱処理により小さい粒は大きな粒に食われながら次第に大きな粒へと成長して行く。このため粒径が細かいと粒成長は速やかに進行する。しかし、粒があまりに細かいと場所による粒成長にばらつきが生じてしまい、熱処理後粒径が均一にならない。このような理由で結晶粒径1〜200μmが好ましい。更に好ましくは5〜100μmがよい。
【0013】
該合金系における結晶粒径1〜200μmの等軸晶(ここで等軸晶とは比較的長軸と短軸の長さの差が少なく結晶軸方向がランダムであるものであり、ロール面よりフリー面に向かって1方向に凝固した柱状晶とは区別されるものである。)は、凝固前結晶の芽である核が数多く形成され、これがロール面で熱を奪われた際、一斉に結晶化することにより形成される。このため等軸晶を形成するには、核がより多く存在する凝固温度直上より冷却を行うのが好ましい。この際、等軸晶は多数の核が一斉に結晶化することにより均質な組織が得られやすい。このため、ブックモールド法による鋳造の際に生じる数百μm以上の大きな等軸晶のように偏析が生じることもない。更に該等軸品は熱処理後の結晶とアスペクト比(長軸、短軸の長さ比)が近く、長軸方向と短軸方向の差が大きい柱状晶のみより短時間で熱処理を行うことができる。等軸晶が20容量%以上含まれていると等軸品が容易に粗大化し、粗大化した粒は小さい粒を取り込みながら更に成長するため、短時間での熱処理が可能となる。このように粒径の均質な粗大化を誘発する等軸晶が多いとより短時間での処理が可能であり、等軸晶を30容量%以上含むことが好ましく、更に好ましくは40容量%以上である。
【0014】
また、薄帯の板厚が薄いとロール上にて過剰に冷却されるため、結晶粒が小さくなってしまうので、好ましい粒径を得るためには0.05mm以上の厚さが必要である。一方、板厚が厚いと冷却が遅く、粒径が大きくなるので3mm以下とする。
【0015】
なお、上記薄帯厚を形成する場合、ロール急冷時のロールの周速は0.5〜10m/sが好ましい。ストリップキャスティング法では、単ロール又は双ロールに合金溶湯を流し込み急冷して合金化させることができるが、該ロールに流し込む合金溶湯の温度としては1250〜1600℃とすることが好ましい。
【0016】
上記Sm2Co17系永久磁石合金を用いてSm2Co17系焼結磁石を製造する場合は、まず、上記鋳造した薄帯インゴットをアルゴン、ヘリウム等の非酸化性雰囲気中において、1000〜1300℃、0.5〜20時間、熱処理を施すもので、これにより平均結晶粒径20〜300μm、より好ましくは30〜200μmとすることが好ましい。前記熱処理温度は、1000℃未満では、インゴットの結晶粒の成長が十分に得られず、1300℃を超える温度では、結晶粒は十分に成長するものの、インゴットが融点に達してしまい、均一な組織が得られない。前記熱処理時間は0.5時間未満の場合、結晶粒の成長にばらつきがあり、更に、結晶粒の成長が十分に得られにくく、また、20時間を超えて熱処理を施すと、熱処理炉のリークによるインゴットの劣化、更に、インゴット中のSmが蒸発する等のことで良好な磁気特性が得られなくなる傾向にある。また、前記平均結晶粒径が、20μm未満の場合、先に述べたように、インゴット中の平均結晶粒径と焼結磁石製造工程における微粉砕粒径とが近い値になるため、微粉粒子が、多結晶となり磁石の配向度を乱し、残留磁束密度、最大エネルギー積の劣化を招くこととなり、300μmを超える平均結晶粒径を得るには、長時間、或いは、高温での熱処理が必要となり、合金組織の劣化、或いは、組織の均一性が損なわれる等の原因が、焼結磁石の磁気特性に悪影響を与えるおそれがある。
【0017】
次に、前記Sm2Co17系永久磁石合金を、粗粉砕し、平均粒径1〜10μm、好ましくは、約5μmに微粉砕する。この粗粉砕は、例えば、不活性ガス雰囲気中で、ジョークラッシャー、ブラウンミル、ピンミル及び水素吸蔵等により行うことができる。また、前記微粉砕は、アルコール、ヘキサン等を溶媒に用いた湿式ボールミル、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中による乾式ボールミル、不活性ガス気流によるジェットミル等により行うことができる。
【0018】
更に、前記微粉砕を、好ましくは、10kOe以上の磁場を印加することが可能な磁場中プレス機等により、好ましくは、500kg/cm2以上2000kg/cm2未満の圧力により圧縮成形する。続いて、得られた圧縮成形体を、熱処理炉により、アルゴンなどの非酸化性雰囲気ガス中で、1100〜1300℃、好ましくは、1150〜1250℃において0.5〜5時間、焼結、溶体化し、終了後、急冷を行う。続いて700〜900℃、好ましくは、750〜850℃の温度で、5〜40時間保持し、−1.0℃/分の降温速度で400℃以下まで徐冷する時効処理を施す。これにより、本発明のSm2Co17系焼結磁石を得ることができる。
【0019】
【実施例】
次に、本発明の実施例と比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0020】
[実施例1]
Sm2Co17系磁石インゴットは、Sm:25.5重量%、Fe:16.0重量%、Cu:5.0重量%、Zr:3.0重量%、残部Coの組成になるように配合し、アルゴンガス雰囲気中でアルミナルツボを使用して高周波溶解炉で溶解し、ストリップキャスティング法(水冷単ロールを使用し、1m/sのロール周速度)で1350℃の溶湯温度にて鋳造することにより板厚0.3mmの合金を作製した。このときの偏光顕微鏡組織写真を図1に示す。この合金の平均結晶粒径は10μmで結晶粒径1〜200μmの等軸晶95容量%、残部が柱状晶からなる結晶であった。ここで、平均結晶粒径とは体積を球に換算したときの粒径を示したものである。(以後、平均結晶粒径はこの方法により得たものとする。)
次に、前記Sm2Co17系磁石インゴットを、熱処理炉を用い、アルゴン雰囲気中で1200℃、1時間の熱処理を行い、終了後、急冷した。ここで得られたSm2Co17系磁石合金のSm量をイオン交換分離法により定量し、更に、平均結晶粒径の測定を行った。
【0021】
更に、前記Sm2Co17系磁石合金をジョークラッシャーで約500μm以下に粗粉砕後、窒素気流によるジェットミルにより平均粒径約5μmに微粉砕を行った。得られた微粉砕を磁場中プレス機により15kOeの磁場中にて1.5t/cm2の圧力で成形した。得られた成形体を熱処理炉を用い、アルゴン雰囲気中で、1210℃、2時間焼結した後、アルゴン雰囲気中、1190℃、1時間溶体化処理を行った。溶体化処理終了後、急冷し、得られたそれぞれの焼結体を、アルゴン雰囲気中、800℃、10時間保持し、400℃まで−1.0℃/分の降温速度で徐冷を行い、焼結磁石を作製した。得られたそれぞれの焼結磁石につき、B−Hトレーサーにより磁気特性の測定を行った。
【0022】
[比較例1]
実施例1と同じ組成の合金を、アルゴンガス雰囲気中で、アルミナルツボを使用して高周波溶解炉で溶解し、ストリップキャスティング法(水冷単ロールを使用し、1m/sのロール周速度)で1650℃の溶湯温度にて鋳造することにより板厚0.3mmの合金を作製した。このときの偏光顕微鏡組織写真を図2に示す。この合金の平均結晶粒径は20μmで結晶粒径1〜200μmの等軸晶5容量%、残部が柱状晶からなる結晶構造であった。
【0023】
ここで得られたSm2Co17系磁石合金に対し実施例1と同様に熱処理を行い、ここで得られたSm2Co17系磁石合金のSm量をイオン交換分離法により定量し、更に、平均結晶粒径の測定を行った。
【0024】
得られた前記Sm2Co17系磁石合金を、実施例1と同様な製造方法で、粗粉砕、微粉砕、磁場中成形、焼結、溶体化、次いで、時効処理を行い、焼結磁石を作製した。得られた焼結磁石につき、実施例1と同様に磁気特性の測定を行った。
【0025】
表1に実施例1及び比較例1におけるSm2Co17系磁石合金のSm量、平均結晶粒径、及び、前記磁石合金より得られた焼結磁石の磁気特性を示す。このことより、実施例は、比較例に比べ、残留磁束密度、保磁力、最大エネルギー積において優れていることは明らかである。
【0026】
【表1】
【0027】
[実施例2]
Sm2Co17系磁石インゴットは、Sm:20.0重量%、Ce:5.5重量%、Fe:14.0重量%、Cu:5.0重量%、Zr:3.0重量%、残部Coの組成になるように配合し、アルゴンガス雰囲気中で、アルミナルツボを使用して、高周波溶解炉で溶解し、ストリップキャスティング法(水冷単ロールを使用し、2.5m/sのロール周速度)で1400℃の溶湯温度にて鋳造することにより板厚0.2mmの合金を作製した。この合金の平均結晶粒径は30μmで結晶粒径1〜200μmの等軸晶80容量%、残部が柱状晶からなる結晶であった。次に、前記Sm2Co17系磁石インゴットを、熱処理炉を用い、アルゴン雰囲気中で、1100℃、2時間の熱処理を行い、終了後、急冷した。ここで得られたSm2Co17系磁石合金の結晶粒径の測定を行い、分布を調べた。これを図3に示す。
【0028】
次に、前記Sm2Co17系磁石合金を、ジョークラッシャーで約500μm以下に粗粉砕後、窒素気流によるジェットミルにより平均粒径約5μmに微粉砕を行った。得られた微粉砕を、磁場中プレス機により15kOeの磁場中にて1.5t/cm2の圧力で成形した。得られた成形体を熱処理炉を用い、アルゴン雰囲気中で、1190℃、2時間焼結した後、アルゴン雰囲気中、1170℃、1時間溶体化処理を行った。溶体化処理終了後、急冷し、得られたそれぞれの焼結体を、アルゴン雰囲気中、800℃、10時間保持し、400℃まで−1.0℃/分の降温速度で徐冷を行い、焼結磁石を作製した。得られたそれぞれの焼結磁石につき、B−Hトレーサーにより磁気特性の測定を行った。
【0029】
[比較例2]
実施例2と同じ組成の合金を、アルゴンガス雰囲気中で、アルミナルツボを使用して高周波溶解炉で溶解し、ストリップキャスティング法(水冷単ロールを使用し、50m/sのロール周速度)で1240℃の温度にて鋳造することにより板厚0.1mmの合金を作製した。この合金の平均結晶粒径は0.5μmで結晶粒径1〜200μmの等軸晶5容量%、結晶粒径1μm未満の等軸晶90容量%、残部が柱状晶からなる結晶であった。ここで得られたSm2Co17系磁石合金を、実施例2と同様に熱処理を行い、ここで得られたSm2Co17系磁石合金の結晶粒径の測定を行い、分布を調べた。これを図4に示す。
【0030】
得られた前記Sm2Co17系磁石合金を、実施例2と同様な製造方法で、粗粉砕、微粉砕、磁場中成形、焼結、溶体化、次いで、時効処理を行い、焼結磁石を作製した。得られた焼結磁石につき、実施例2と同様に磁気特性の測定を行った。
【0031】
[比較例3]
実施例2と同じ組成となるように、アルゴンガス雰囲気中で、アルミナルツボを使用して高周波溶解炉で溶解し、得られるSm2Co17系磁石合金の厚さが15mmとなるように銅製箱型鋳型に鋳造した。ここで得られたSm2Co17系磁石合金を、実施例2と同じように結晶粒径の測定を行い、分布を調べた。これを図5に示す。
【0032】
得られた前記Sm2Co17系磁石合金を、実施例2と同様な製造方法で、粗粉砕、微粉砕、磁場中成形、焼結、溶体化、次いで、時効処理を行い、焼結磁石を作製した。得られた焼結磁石につき、実施例2と同様に磁気特性の測定を行った。
【0033】
表2に実施例2及び比較例2,3におけるSm2Co17系磁石合金の磁気特性を示す。図3、図4、図5を比較すると実施例2は50μm付近に均一分布するのに対し、比較例2は分布幅が大きく小さい粒がたくさん存在する。また、比較例3は粒径が非常に大きい。これを反映し、実施例2は、比較例2,3に比べ、残留磁束密度、保磁力、最大エネルギー積において優れていることがわかる。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた磁気特性を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における合金薄帯の偏光顕微鏡による偏光像写真である。
【図2】比較例1における合金薄帯の偏光顕微鏡による偏光像写真である。
【図3】実施例2における合金薄帯の熱処理後の粒度分布図である。
【図4】比較例2における合金薄帯の熱処理後の粒度分布図である。
【図5】比較例3における合金薄帯の熱処理後の粒度分布図である。
Claims (3)
- R(但し、RはSm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素)20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる合金を溶融後、ストリップキャスティング法により急冷することによって得られ、粒径1〜200μmの等軸晶を20容量%以上含有し、板厚0.05〜3mmであることを特徴とする希土類合金。
- R(但し、RはSm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素)20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる合金を溶融後、1250〜1600℃の湯温でストリップキャスティングを行うことを特徴とする請求項1記載の希土類合金の製造方法。
- R(但し、RはSm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素)20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる合金を溶融後、ストリップキャスティング法により急冷することによって得られ、粒径1〜200μmの等軸晶を20容量%以上含有し、板厚0.05〜3mmである希土類合金を、非酸化性雰囲気中において1000〜1300℃、0.5〜20時間の熱処理を施し、該希土類合金を微粉砕した後、磁場中で圧縮成形し、焼結、溶体化し、次いで、時効処理することを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
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