JP3726704B2 - 漏電遮断器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、漏電遮断器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の漏電遮断器として特開平6−52780号公報に記載されたものがある。この漏電遮断器は、主回路に短絡電流のような大きな過電流が瞬時に流れた場合に可動接触子を固定接点から離れる方向に駆動して主接点を強制的に開極するプランジャを有した電磁釈放装置が器体の長手方向に延出する形で器体内に配設されるとともに、零相変流器が取着された基板が電磁釈放装置とは離れた位置でその長手方向を器体の高さ方向に一致させて器体内に配設されている。
【0003】
また、従来の他の漏電遮断器として特開平11−16478号公報に記載されたものがある。この漏電遮断器は、主回路に短絡電流のような大きな過電流が瞬時に流れた場合に可動鉄心を固定鉄心に吸引して主接点を強制的に開極する電磁釈放装置が器体の高さ方向に延出する形で器体内に配設されるとともに、零相変流器が取着された基板が電磁釈放装置の下方側に器体の底面に沿って配設されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記前者の従来例では、電磁釈放装置と零相変流器とを器体の長手方向において別々の位置に配設し、しかも電磁釈放装置のプランジャ移動方向が器体の長手方向と一致しているので、器体の長手方向の寸法が大きくなってしまうという問題がある。また、上記後者の従来例では、可動鉄心と固定鉄心との間に器体の高さ方向に延出するバイメタルを配設し、この電磁釈放装置の下側に零相変流器を配設しているため、バイメタルの延出方向である器体の高さ方向の寸法が大きくなり、しかも、零相変流器のコアに通電電路を貫通させる作業が行い難いという問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、器体の小型化が図れるとともに零相変流器に主回路の電路を貫通させる作業が容易に行える漏電遮断器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、主回路を収納するとともに外部の電路を主回路と接続する入力側及び出力側の端子部を長手方向両端部に設けた器体と、少なくとも一部が器体から回動自在に露出するハンドルと、少なくともハンドルの操作に応じて主回路の主接点を開閉する開閉機構と、短絡電流のような過電流が主回路に流れた場合に開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する電磁釈放装置と、主回路の電路を貫通させた零相変流器を用いて漏洩電流を検出する漏洩電流検出手段と、漏洩電流検出手段にて漏洩電流が検出されると開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する漏電引外し手段とを備え、電磁釈放装置は、主回路を形成する通電導体を固定鉄心との間に挟む形で固定鉄心に揺動自在に接離する可動鉄心を具備してなり、固定鉄心及び可動鉄心を器体の長手方向と直交する高さ方向に沿って器体の底部に配置するとともに、固定鉄心及び可動鉄心の高さ方向上部に、軸方向を器体の長手方向に略一致させて零相変流器を配置した漏電遮断器であって、器体内において電磁釈放装置並びに零相変流器に対して器体の長手方向に沿った一方側に並設され且つ主回路に挿入されるバイメタルを具備し、過負荷電流のような過電流が主回路に流れた場合に電磁釈放装置及び零相変流器から遠ざかる向きへのバイメタルの変位によって開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する熱動釈放装置を備えたことを特徴とし、固定鉄心及び可動鉄心に挟まれる通電導体を、その延出方向を器体の長手方向に一致させて器体内に配設することができるために器体の高さ方向の寸法を小型化することができる。また、固定鉄心及び可動鉄心の高さ方向上部に零相変流器を配設しているために器体の長手方向の寸法を小型化することができる。さらに、入力側及び出力側の端子部が対向する器体の長手方向に沿ってそのまま通電導体を零相変流器に貫通させることができ、零相変流器に主回路の電路を貫通させる作業が容易に行える。しかも、バイメタルと電磁釈放装置及び零相変流器との間隔を狭くすることができて器体の小型化が図れる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、固定鉄心と可動鉄心のうちで可動鉄心を器体の底部側に配置したことを特徴とし、可動鉄心の吸引動作に零相変流器の影響が及ばず、主接点の開極特性を安定させることができる。
【0009】
請求項の発明は、請求項の発明において、主回路の電圧極と中性極のそれぞれにバイメタルを挿入し、2つのバイメタルを隔壁にて隔絶した状態で長手方向に直交する器体の幅方向に並設し、この隔壁を跨いで零相変流器を配置したことを特徴とし、隔壁によって2つのバイメタル間の絶縁が図れるとともに各極の通電導体を零相変流器に貫通させ易くなる。
【0010】
請求項の発明は、請求項の発明において、電圧極又は中性極の何れか一方の通電導体を間に挟むとともに隔壁を跨ぐ形で固定鉄心及び可動鉄心を器体内に配置したことを特徴とし、固定鉄心並びに可動鉄心の寸法を充分に大きくすることができ、電磁吸引力を増大させて主接点の開極に要する時間を短くすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図12を参照して詳細に説明する。
【0012】
本実施形態は、両側の合成樹脂製の第1側ケース1Aと第2側ケース1Bとを連結して構成される器体1内に、器体1の幅方向に並設された2つの固定接点2A,2Bと、これら各固定接点2A,2Bに接離自在に対向する可動接点3A,3Bを固着した2つの可動接触子4A,4Bと、これらの2つの可動接触子4A,4Bを駆動する開閉機構5とを備え、ハンドル6の投入・開放操作により開閉機構5を介して各可動接点3A,3Bを各固定接点2A,2Bに接離(接触・開離)させる構成となっており、各固定接点2A,2B及び各可動接触子4A,4Bを、器体1の高さ方向に上下に配設するとともに両可動接触子4A,4Bの内、高さ方向で2つの固定接点2A,2B間に介在する一方の可動接触子4Bと、他方の可動接触子4Aの可動接点3Aが接離する固定接点2Aとを、各固定接点2A,2Bから各可動接点3A,3Bが開離した状態で器体1の幅方向から見て交差しない高さ位置に配設してある。
【0013】
器体1の長手方向における一端部内には両側ケース1A,1B間に挟み込むようにして、合成樹脂材料から成形された中間ケース7を固定しており、第1側ケース1Aの側壁(外壁)内側の凹部8と中間ケース7の縦壁部35とで構成される区間内に固定接点2Aを一端に設けた電圧極側の出力端子を構成する端子ブロック10Aを収納し、中間ケース7の第2側ケース1B側に設けた凹部9と第2側ケース1Bの側壁(外壁)とで構成される区画内に下側の固定接点2Bを一端に設けた中性極側の出力端子を構成する端子ブロック10Bを収納してある。
【0014】
端子ブロック10Aは、コ状に折り曲げられた端子板11と、該端子板11の下片の一端より上方に延長片11aが一体延長され、該延長片11aの上端から延長片11aに対し直角に折り曲げて端子板11に対して外向きに一体延長された固定接触子12Aと、該固定接触子12Aの一端上面にかしめ固定された固定接点2Aと、端子板11の下片上に載置されて端子板11内に収納される略ム字状の鎖錠ばね13Aとで構成される。そして、上記第1側ケース1Aの凹部8の下向き傾斜した底面上に端子板11の下片を乗せ、凹部8の一端の立ち上がり壁8aに沿うように延長片11aを配置し、立ち上がり壁8aの上端を越えて固定接触子12Aを凹部8の外へ導出して立ち上がり壁8aと、第1側ケース1Aの底部より立ち上がった隔壁14との間に凹部8の底部と同様に傾斜させて一体形成した固定接点配置部15上に固定接触子12Aの先部を配置することにより、端子ブロック10Aが凹部8内に配設される。固定接点配置部15には固定接触子12Aの下面側に突出した固定接点2Aの下端を逃がす凹部15aが形成されている。端子板11は上片の他端から上向きにT字片11bを一体に延長形成しており、このT字片11bの上端の側方突出部の片側先端を第1側ケース1Aの内側面に形成してある凸平部22の上端面に載置する。また端子板11の側片の側面には鎖錠ばね13Aの押さえ片13b内に挿入され、鎖錠ばね13Aのがたつきを防止する突起23を一体に形成してある。
【0015】
鎖錠ばね13Aと端子板11は導体接続部たる速結端子を構成するもので、第1側ケース1Aに中間ケース7を重ね合わせた時に、第1側ケース1Aの他端部の縦壁部に形成した断面が半円状の斜め下向き溝160と中間ケース7の対向壁面に形成した壁に同様な形状の斜め下向き溝160とで形成される斜め下向き電線挿入孔16Aを介して外部より挿入された電線(図示せず)の芯線が端子板11の上片と鎖錠ばね13Aの鎖錠片13aの上端と押さえ片13bの上端との間に圧入され、鎖錠片13a先端により電線の引き抜き方向に対して芯線を鎖錠し且つ、押さえ片13bの上端面で芯線を端子板11の上片に押し付けることにより、電気的に芯線を接続すると共に、機械的に保持するようになっている。この電線鎖錠を解除するのが解除ハンドル17でこの解除ハンドル17は下部側面に設けた回動軸18が第1側ケース1Aの内側面の凸平部22に設けた軸孔20に回動自在に軸支され且つ中間ケース7の縦壁部35の壁面に突出させている軸(図示せず)を下部他側面に設けた凹部37に回動自在に軸支してあり、器体1の外側に露出する操作部17aを手動操作して回動させることで、下端に設けた駆動突起19が鎖錠ばね13Aの鎖錠片13aの一側端の先部を押して鎖錠片13aを撓ませ、芯線に対する鎖錠を解除することができるようになっている。図中21は解除ハンドル17を常時反手動操作方向に回動付勢する復帰ばねである。
【0016】
一方端子ブロック10Bは、基本的に端子ブロック10Aと同様に端子板11と、鎖錠ばね13Bと、固定接触子12Bとで構成されているが、端子ブロック10Aの端子板11とは異なり、端子ブロック10Bの端子板11はその下片の一端より下向きに延長片11cを延長形成し、その延長片11cの先端より器体1の底部と平行するようにして固定接触子12Bを延長形成し、また端子板11の側片の一端部から直角に延長した奥片11dを形成してある。
【0017】
鎖錠ばね13Bは、鎖錠ばね13Aと同じ構造のものであって、端子板11の下片上に載置され、端子板11の側片より突出させた突起23が押さえ片13b内に挿入されようになっている。
【0018】
この端子ブロック10Bは中間ケース7の凹部9の底部を構成し器体1の底部に略平行に延出形成された横壁部24上に端子板11の下片を載置するともに、凹部9の一端部の縦壁25に奥片11dを沿わせるとともに縦壁25の下端と、横壁部24の一端部との間に形成された切欠27に端子板11の一端を嵌めて延長片11cを凹部9外に出すようになっており、中間ケース7を第1側ケース1A側に重ね合わせときに、固定接触子12Bの先部、つまり固定接点2Bを設けた下面を第1側ケース1Aの底部のリブ26,26上に載置されるようになっている。つまり固定接点2Bは中間ケース7の横壁部24及び後述する膨出部30及び両側ケース1A,1Bの側壁間で構成される空間で両側ケース1A,1B間に跨って配置される。尚リブ26,26間の凹所は固定接触子12Bの先部にかしめ固定された固定接点2Bの固定接触子12Bの下面側に突出した下端部の逃げとなる。
【0019】
また端子板11の上片の他端部より上方に延長形成されたT字片11bの上端の側方突出部の先端は中間ケース7の壁面に形成してある凸平部22’の上端面に載置される。
【0020】
端子ブロック10Bの鎖錠ばね13Bと端子板11は端子ブロック10Aの場合と同様に導体接続部たる速結端子を構成し、第2側ケース1Bに中間ケース7を重ね合わせたときに、中間ケース7の凹部9の他端部の縦壁部に設けられた断面半円状の斜め下向き溝160とこの斜め下向き溝160と同様に第2側ケース1Bの他端部の縦壁に設けられた斜め下向き溝160とで形成される電線挿入孔16Bから電線が挿入されるとその芯線を鎖錠ばね13Bの鎖錠片13aで鎖錠し、押さえ片13bで芯線を端子板11の上片に押しつけて電線を電気的に接続するともに機械的に鎖錠するようになっている。
【0021】
この電線鎖錠を解除するのが解除ハンドル17’で、この解除ハンドル17’は上記の解除ハンドル17と同様に下部側面に設けた回動軸18が中間ケース7の凸平部22’に設けた軸孔20に回動自在に軸支され且つ第2側ケース1Bの内側壁面に突出させている軸38を側面に形成してある凹部37に回動自在に軸支し、器体1の外側に露出する操作部17aを手動操作して回動させたときに下端に設けた駆動突起19が鎖錠ばね13Bの鎖錠片13aの一側端の先部を押して鎖錠片13aを撓ませて鎖錠状態を解除することができるようになっている。図中21’は解除ハンドル17’を常時反手動操作方向に回動付勢する復帰ばねである。
【0022】
中間ケース7は両側ケース1A,1Bの側壁に略平行する縦壁部35に対して第2側ケース1B側へ突出して第2側ケース1Bの側壁内面に当接する膨出部30が形成され、この膨出部30下面より垂下させた壁が上記縦壁25であり、第2側ケース1B側に面する側壁、底壁、一端部の縦壁32及び天井壁33とで囲まれた凹所を第1側ケース1A側に設けてある。そして第1側ケース1A側に中間ケース7を突き合わせときに第1側ケース1A側に組み付けてある端子ブロック10Aの固定接触子12Aの先端側部が凹所の底壁の段面上に載置され、また天井壁33が第1側ケース1Aの内側面より突出している横壁29の下面に沿うよう配置される。また縦壁32には固定接点2Aに対応する可動接触子4Aの自由端を凹所内に挿入するための開口部(図示せず)を形成してある。
【0023】
一方器体1の長手方向における他端内部には、分電盤内において異なる位置(図1の上下方向)に各々配設された3本の導電バー(図示せず)の内で最下段の中性極の導電バーを差込接続する1つの共通端子T1を収納配置する収納部90と、残り2本の電圧極の導電バーのうちの1本を選択して差込接続する1つの選択端子T2を2本の電圧極の導電バーに対応した少なくとも2つの位置間で移動自在に配設する内方収納部200を設けてある。
【0024】
共通端子T1及び選択端子T2は共に略コ字状で、上下に並行する両側片の先部が互いに近接した後、先端にかけて拡開した刃受ばねから構成され、先端拡開により導電バーの差込を容易とし、中央の近接部位で導電バーを挟み込むようになっている。
【0025】
内方収納部200には、電圧極の2本の導電バーに各々対応する2つの位置で選択端子T2を位置決めする位置決め手段として、第1側ケース1Aの内方収納部200を構成する区画の端部壁面に断面略半円状の突起97を第1側ケース1Aの幅方向に設けてある。
【0026】
前記器体1の内方収納部200の天井部に当たる壁には、選択端子T2が電圧極の2本の導電バーのうちのどちらに対応する位置にあるのか表示する表示手段として、内方収納部200内に連通する通孔201を設け、この通孔201から選択端子T2を収納したスライド部材83の上部に形成せる円柱状の表示部202が通孔201に臨んで外部から視認できるか、通孔201から離れた位置にあって外部から視認できないかにより選択端子T2の位置を知ることができるようになっている。また通孔201を介してスライド部材83を外部から押し操作して下方移動させることも可能としている。この通孔201は両側ケース1A、1Bの上面側壁に設けた半円の切欠孔201aが突き合わせられて形成される円形の孔からなる。
【0027】
スライド部材83は合成樹脂成形品からなり器体1の両端方向に対応する両端面が開口した枠体状に形成されたもので、選択端子T2を構成する刃受ばねを一端開口から挿入して他端開口より刃受ばねの先端部を突出させるようにして保持しており、選択端子T2はこのスライド部材83と共に内方収納部200内を図1において上下方向に移動自在に配置される。
【0028】
内方収納部200の両側壁を構成する両側ケース1A,1Bの側壁の内面にはスライド部材83の両側部に形成したスライド突起203を上下移動自在に係合してスライドさせる上下方向のガイド溝204を2条の並行する突起205間に形成しており、内方収納部200はこの両側壁のガイド溝204,204にスライド部材83の両側のスライド突起203を係合した状態でスライド部材83とともに選択端子T2を上下方向にスライド移動自在に収納保持している。なお、内方収納部200側にスライド突起を、ガイド溝をスライド部材83側に設けても良い。
【0029】
スライド部材83は第1側ケース1Aの側部より図2に示すように図において下方に延びた脚片83aを一体に延長形成するとともに、脚片83aの下端部のには外向きに突出した突出部206を形成してある。
【0030】
この突出部206は内方収納部200の側壁を構成する第1側ケース1Aの側壁の外側に図9に示すように第1側ケース1Aの底面から上方向に形成されたスライド溝207の上端底部に内方収納部200と連通するように開口した挿通孔208からスライド溝207内に挿入されて脚片83aとともにスライド溝207内を上下方向にスライド自在に位置される。
【0031】
スライド溝207、挿通孔208は選択端子T2を装着したスライド部材83を上下移動させるためのガイド部を構成しており、スライド溝207の底部は内方収納部200内に突出するように形成され、スライド溝207の上端底部に形成された挿通孔208を介してスライド溝207内に上方挿入される脚片83aの裏面がスライド溝207の底部に摺接可能なようになっている。またスライド溝207の最上方には突出部206がスライド溝207の上端部へ移動したときに衝合する突出部207aを設けてある。
【0032】
而して、突出部206が内方収納部200内の選択端子T2の上下移動させる操作部を構成し、器体1外部からこの突出部206を持って或いはドライバ等で押し上げたり、押し下げることによってスライド溝207内をスライド移動させれば、このスライド移動に伴い内方収納部200内のスライド部材83が選択端子T2と共にスライド突起203とガイド溝204とによるガイドによって上又は下へ移動することになる。
【0033】
上記の操作によってスライド部材83が移動する際、位置決め突起97をスライド部材83の先端上部或いは先端下部がその弾性と位置決め突起97のアール面とにより乗り越え、移動後は位置決め突起97に枠部83の先端下部或いは先端上部が当たって、選択端子T2の位置を保持するようになっている。
【0034】
さて可動接触子4A,4Bを開閉駆動する開閉機構5は、ラッチ部材たる作動板43と、クロスバー40と、作動板43の一端を係止する段状の係止部41eを備えた第1引外し板41と、第2引外し板42と、ハンドル6と、コ字状リンク44等からなる。そして、主接点(固定接点2A,2B及び可動接点3A,3B)の閉極状態において短絡電流のような大電流が瞬時に流れれば第1の電磁釈放装置47によって、主回路に漏洩電流が流れれば第2の電磁釈放装置48によって、さらに過負荷電流のような過電流が流れれば熱動釈放措置によって、それぞれ開閉機構5を釈放して主接点を強制的に開極させる。
【0035】
ハンドル6は、操作部6aと回動部6bとハンドル軸6cとで構成され、回動部6bの両側面の中央に突出したハンドル軸6cを第1側ケース1Aの内側面に形成された軸孔49と、第2側ケース1Bの内側面に形成された軸孔49とにそれぞれ回動自在に挿入して両側ケース1A,1B間に保持され、操作部6aは、両側ケース1A,1Bの連結した状態で構成される器体1の上面に開口する窓孔50に臨むようになっている。またハンドル軸6cにはねじりばね(図示せず)が装着され、該ねじりばねにより、ハンドル6は投入操作位置(図1参照)において、開放操作方向に付勢されている。
【0036】
回動部6bの下端に設けた軸孔52にはコ字状リンク44の上側軸44aを回動自在に挿入して、コ字状リンク44を介して作動板43と連結されている。
【0037】
作動板43は中央両側に設けた軸受け孔43aにコ字状リンク44の下側軸44bを貫挿させることによりコ字状リンク44を介してハンドル6と連結され、器体1内に上下移動自在に配置される。
【0038】
クロスバー40は上部の両側面に突出させた軸40aを両側ケース1A,1Bの内側面に形成した軸孔52、52に挿入して両側ケース1A,1B間に枢支されるもので、図9に示すように軸40aよりやや下方の第1側ケース1A側の側部には可動接触子4Aの側部を横方向から嵌める切溝54を、また下部の第2側ケース1B側の側部には可動接触子4Bを横方向から嵌める切溝55をそれぞれ設けてある。そして可動接点側端面には、中間ケース7及び第1側ケース1Aの側壁の内面に突設してある止片130を、各可動接点3A,3Bが各固定接点2A,2Bから開離した状態で係入してその底部に当接する凹溝131を幅方向に形成してある(図10参照)。
【0039】
ここで可動接触子4Aは剛体の導電金属板から構成され、クロスバー40の切溝54に側方から挿入されるとともに、切溝54の後ろに設けた凹み部(図示せず)において、後部下面と凹み部の底部との間に圧縮配置される接圧用のコイルばね53により後部が上方に付勢されるようになっており、クロスバー40が軸40aを中心として回動したときに可動接触子4Aは切溝54の開口縁を中心として回動し、自由端にかしめ固定した可動接点3Aを対応する固定接点2Aに対して開離・接触させるようになっている。
【0040】
また可動接触子4Bは導電性ばね薄板材からなり、クロスバー40が投入動作方向に回動したときには下方に押されて撓み、この撓んだ状態からクロスバー40が開放動作方向に回動したときには復帰し、その撓みと、復帰とで、先端にかしめ固定した可動接点3Bを固定接点2Bに対して接触・開離させるようになっている。
【0041】
クロスバー40の下端部は、該下端部と、第1側ケース1Aの底部より垂立させた壁63との間で圧縮配置されたコイルばね62により押されて回転力が付与される。
【0042】
第1引外し板41は軸部41aと、この軸部41aの上部に突出する突出部41bと、軸部41aの下部に突出する一対の脚部41c,41dとからなり、軸部41aの両端を両側ケース1A,1Bの内側面に設けられた軸孔56、56に挿入して両側ケース1A,1B間で回動自在に支持される。突出部41bの上端部には作動板43の一端が係脱する係止部41eを形成し、一方の脚部41cの先端側面には後述するバイメタル45に押し駆動される受け部(図示せず)を突設するとともに、他方の脚部41dの先端側面には第2の引外し板42に押し駆動される受け部41fを突設している。
【0043】
第2引外し板42は軸孔42bを有する中央部から対向部42a並びに受け部42cが突出した略へ字形に形成され、後述する隔壁部材31に設けられた軸31fを軸孔42bに挿入して回動自在に枢支される。また対向部42aの端面には、後述するバイメタル46の下端に対向し、バイメタル46の湾曲時に押される駆動片42dが設けてある。
【0044】
厚板金属材からなる導電板71A,71Bには、熱動釈放装置を構成するバイメタル45,46がそれぞれ溶着固定して垂下させてある。一方のバイメタル45の導電板71Aとの固定部分には選択端子T2に一端が溶着された編組線79Aの他端が溶着されるとともに、後述する第1の回路基板73に一端が接続されたリード線82Aが溶着され、他方のバイメタル46の導電板71Bとの固定部分には共通端子T1に一端が溶着された編組線79Bの他端が溶着されるとともに、可動接触子4Bに連結された通電導体80(後述する)に一端が溶着された編組線79Cの他端がバイメタル46の略中央部に溶着され、選択端子T2,導電板71A,バイメタル45,編組線79A,可動接触子4Aとが電気的に接続されるとともに、共通端子T1,編組線79B,導電板71B,バイメタル46,編組線79C,通電導体80,可動接触子4Bとが電気的に接続されている。なお、バイメタル45,46は調整螺子77,77’を螺進させることで下端位置を調整可能となっているが、この調整機構については本発明の要旨ではないので詳細な説明は省略する。
【0045】
ところで、導電板71A,71B並びにバイメタル45,46は隔壁部材31に保持される。この隔壁部材31は絶縁性を有する合成樹脂成型品からなり、2つのバイメタル45,46を隔絶する平板状の隔壁31aと、隔壁31aの周縁よりその厚み方向(器体1の幅方向)両側へ突出する周壁31bとを有し、隔壁31a並びに周壁31bに囲まれた各凹所31c,31cに導電板71Aとバイメタル45並びに導電板71Bとバイメタル46がそれぞれ収納される。凹所31c,31c上部の周壁31bには複数の突起31dが対向して突設されており、これらの突起31d間に導電板71A,71Bを圧入することで導電板71A,71B並びにバイメタル45,46を隔壁部材31に保持させている。また、導電板71A,71Bを収納した凹所31c,31cの上部周壁31bには、調整螺子77,77’を凹所31c,31cの外へ臨ませるために矩形の切り欠き31e,31eが形成してある。さらに、導電板71B及びバイメタル46を収納する側の凹所31c底部には第2引外し板42の軸孔42bに挿入する軸31fが突設してある。
【0046】
第1の電磁釈放装置47は、図5に示すように磁性鉄板を平面視略コ字型に折曲してなる固定鉄心57と、矩形平板状の磁性鉄板からなる可動鉄心58と、可動鉄心58を固定鉄心57の両端磁極面に揺動自在に対向支持させ且つ可動鉄心58を固定鉄心57から離れる向きに弾性付勢する弾性部材たる板ばね59とで構成される。また、通電導体80は先端部に編組線79Cの一端が溶着される内片80aと、内片80aの後端より略L字形に延出されて内片80aと略平行に対向する外片80bとで構成され、外片80bの先端部に可動接触子4Bの後端部が連結される。
【0047】
可動鉄心58は固定鉄心57側の面に突出させた突起58a,58aを、板ばね59の中央片59aの一端部に形成した孔59b,59bに挿入してかしめ固定することで板ばね59に揺動自在に支持される。一方、板ばね59は中央片59aの両側方に折り曲げ形成した両側片59c,59cを固定鉄心57の両側片57a,57aの外面に沿わせるように配置して両側片59c,59cの先端に内向きに突出させた係止片59d,59dを、固定鉄心57の外側角部に形成した凹部57b,57bに係止させることにより、図6に示すように通電導体80の内片80aを固定鉄心57と可動鉄心58の間に介在させ、内片80aと外片80bの間に可動鉄心58を挟む形で固定鉄心57に固持される。このとき、固定鉄心57の両側片57a,57aの先端である磁極面が板ばね59の中央片59aと、両側片59c,59cとの間を介して可動鉄心58に対向する。
【0048】
而して、短絡電流のような過電流が通電導体80に流れたときに固定鉄心57の両側片57a,57aの磁極面に発生する電磁吸引力により可動鉄心58を吸引揺動させるのである。なお、このように固定鉄心57と可動鉄心58を板ばね59で連結してブロック化しているため、後述するように第1の電磁釈放装置47の器体1への組み込み作業が容易になるものである。
【0049】
ここで通電導体80の内片80aに流れる電流によって固定鉄心57の両側片57a,57aの磁極面に発生する電磁吸引力の向きと、外片80bに流れる電流によって固定鉄心57の両側片57a,57aの磁極面に発生する電磁吸引力の向きとを同一とし、可動鉄心58を吸引する電磁吸引力を強めて主接点を素早く開極するようにしている。また、通電導体80を熱動釈放装置のバイメタル45,46と兼用しないため、通電導体80をバイメタルと兼用する従来例に比較して固定鉄心57と可動鉄心58との間隔を狭くすることができ、固定鉄心57と可動鉄心58の対向方向における小型化が可能となる。
【0050】
一方、第2の電磁釈放装置48は、第1の電磁釈放装置47の固定鉄心57に励磁用のコイル68を巻装して構成される。すなわち、図5に示すように合成樹脂のような絶縁材料により一側面が開放した角筒状に形成されたコイルボビン69を、軸方向両端から固定鉄心57の側片57a,57aをそれぞれ突出するようにして固定鉄心57に装着し、図6に示すようにコイルボビン69の軸方向両端部に設けた外鍔69a,69a間にコイル68が巻回してある。なお、コイルボビン69の外鍔69a,69aの開放された側面近傍には略立方体形の支持部69b,69bが突設してあり、この支持部69b,69bの側面から突出するピン69c,69cにコイル68の端末がからげてある。
【0051】
而して、地絡電流のような漏洩電流が流れたときに後述する漏電保護回路51によりコイル68に通電して固定鉄心57を励磁し、固定鉄心57の両側片57a,57aの磁極面に電磁吸引力を発生させて可動鉄心58を吸引揺動させるのである。つまり、固定鉄心57にコイル68を巻装することで第1の電磁釈放装置47を構成する固定鉄心57,可動鉄心58,板ばね59を第2の電磁釈放装置48に兼用することができるから、短絡保護用の第1の電磁釈放装置と漏電保護用の第2の電磁釈放装置とを独立した部品で構成していた従来に比較して、部品点数を削減することができて省スペース化並びに小型化が図れるものである。
【0052】
また、固定鉄心57と可動鉄心58との間におけるコイル68並びに通電導体80(内片80a)の通電方向が一致するため、コイル68に通電されて第2の電磁釈放装置48が動作した場合に固定鉄心57の両側片57a,57aの磁極面に発生する電磁吸引力を強めることができ、主接点を素早く開極させることができる。さらにコイル68を固定鉄心57に巻装しているため、コイル68が移動しないことからコイル68の断線を防ぐことができる。但し、可動鉄心58にコイル68を巻装してもよい。
【0053】
漏電保護回路51は図7に示す回路構成を有するものであって、主回路の電圧極の電路(編組線79A)と中性極の電路(編組線79B)が貫挿された零相変流器ZCTを備え、地絡電流等の漏電電流によって主回路の各極に流れる電流が不平衡となると零相変流器ZCTの出力端子間に不平衡度合いに応じた電流(検出電流)が流れる。この検出電流は交番電流であって、逆並列に接続したダイオードD1,D2からなるクランプ回路でクランプされ、抵抗R1を介して平滑コンデンサC1を充電することにより検出電流を電圧に変換する。そして、平滑コンデンサC1の両端電圧、すなわち検出電流から変換された検出電圧が漏電電流判定回路51aに入力される。
【0054】
漏電電流判定回路51aの電源は、第2の電磁釈放装置48のコイル68を通して、ダイオードD3、抵抗R2〜R5、平滑コンデンサC2の直列回路を主回路の電圧極と中性極の間に接続し、平滑コンデンサC2の両端電圧を漏電電流判定回路51aの電源端子及び接地端子に印加することで得られる。また、主回路の電圧極と中性極の間には、コイル68とサイリスタSCRとダイオードD3の直列回路が接続され、漏電電流判定回路51aの出力端子から出力する制御信号をサイリスタSCRのゲートに印加することでサイリスタSCRをターンオンさせる。なお、サイリスタSCRの両端間にはコンデンサC0と抵抗R0からなるフィルタ回路が接続されている。
【0055】
漏電電流判定回路51aは、上記検出電圧を所定の閾値と比較し、比較結果に応じてコンデンサC3を充電又は放電し、コンデンサC3の両端電圧に応じて出力端子から制御信号を出力することによって比較結果を遅延するように構成してある。したがって、主回路に漏電電流が流れると制御信号によってサイリスタSCRがターンオンし、コイル68に通電されることによって第2の電磁釈放装置48が動作し、可動鉄心58が固定鉄心57に吸引される。漏電電流判定回路51aは集積回路よりなり、上記コンデンサC3並びに漏電検出後にコンデンサC3を放電するための時定数を決める抵抗R6が外付けされる。
【0056】
また、主回路の電圧極と中性極の間には、抵抗RT、常開のテストスイッチSW並びに零相変流器ZCTに貫挿されたリード70aの直列回路からなる試験回路70が接続される。すなわち、テストスイッチSWをオンしてリード70aに電流を流すことにより零相変流器ZCTの1次側に不平衡電流を流して擬似的に漏電状態を作り出し、漏電保護回路51が正常に動作するか否かの試験を行うことができる。なお、抵抗RT並びにテストスイッチSWにはサージ吸収素子SAが並列に接続してある。
【0057】
ところで、漏電保護回路51並びに試験回路70を構成する上記複数種の回路部品は、図8に示すようにプリント配線基板からなる第1及び第2の回路基板73,74に実装される。第1の回路基板73には図7の回路図中に点線で示した境界線Wから左側の強電系の回路を構成する強電系の回路部品(抵抗R2,R3、ダイオードD3、試験回路70、フィルタ回路等)が実装され、第2の回路基板74には境界線Wから右側の弱電系の回路を構成する弱電系の回路部品(漏電電流判定回路51a、クランプ回路、平滑コンデンサC1、零相変流器ZCT等)並びにサイリスタSCRが実装される。テストスイッチSWは、一端が第1の回路基板73に接合されて揺動自在に支持された可動接点板76aと、可動接点板76aに対向するように第1の回路基板73に実装されたピン状の固定接点76bとで構成され、可動接点板76aの自由端側の上部に移動自在に配設されるテスト釦78を押操作している場合に、テスト釦78に押駆動された可動接点板76aが固定接点76bに接触してオンするものである。
【0058】
零相変流器ZCTは、図8に示すように巻線(図示せず)を巻回したリング形のコア(図示せず)を合成樹脂成型品のハウジング75に納装したものであって、コアの軸方向(図8に示す矢印の方向、以下同じ)に対向するハウジング75の側面端部から突出する一対の出力端子75aが第2の回路基板74の上部に設けたスルーホール74a,74aに挿通され、ハウジング75を第2の回路基板74の表面にほぼ密着させた状態で出力端子75aを裏面の配線パターン(図示せず)に半田付けして実装される。
【0059】
また、零相変流器ZCTのハウジング75には、図8に示すように第1及び第2の回路基板73,74を取り付けるための複数の取付部たるコンタクトピン671〜675が軸方向の両側面より突設されている。これらのコンタクトピン671〜675は金属製であってその軸方向を零相変流器ZCTの軸方向に一致させ且つ両端部をハウジング75の側面から各々突出させてハウジング75にインサート成型され、第1の回路基板73と対向する側面側にはコンタクトピン671〜675をその先端部を残して被うボス部75cがハウジング75と一体に形成されている。
【0060】
一方、第1及び第2の回路基板73,74には各コンタクトピン671〜675を挿通するスルーホール73a,74bがそれぞれ穿孔されており、各スルーホール73a,74bに挿通したコンタクトピン671〜675の端部を配線パターンに接合することにより、第1及び第2の回路基板73,74が零相変流器ZCTの厚み方向(軸方向)の両側面に振り分けて取り付けられる。このとき、コンタクトピン671〜674が2つの回路基板73,74間の通電路を兼ね、コンタクトピン671〜675を介して第1及び第2の回路基板73,74に実装された回路部品が電気的に接続される。また、ハウジング75の中央に開口する貫通孔75bの近傍にコンタクトピン675が設けてあり、このコンタクトピン675が零相変流器ZCTのコアを貫挿する試験回路70のリード70aとなる。なお、第1及び第2の回路基板73,74にはハウジング75の貫通孔75bに連通して編組線79A,79Bが挿通される円形の挿通孔73b,74cが設けてある。また、第1の回路基板73には導電板71Aを介して主回路の電圧極に接続するリード線82Aの一端と、主回路の中性極に接続するための接続部材99に一端が溶着されたリード線82Bの他端とが接続されている。
【0061】
而して、漏電保護回路51を構成する複数種の回路部品を第1及び第2の回路基板73,74に実装し、零相変流器ZCTの厚み方向両側に第1及び第2の回路基板73,74を配置して器体1に収納するため、従来のように1枚の回路基板に漏電保護回路51と零相変流器ZCTを実装する場合に比較して各回路基板73,74の長手方向の寸法を小さくでき、器体1の小型化が図れるものである。また、零相変流器ZCTのハウジング75に取付部たるコンタクトピン671〜675を設けることにより、第1及び第2の回路基板73,74に零相変流器ZCTを容易に取り付けることができる。さらに、取付部を金属製のコンタクトピン671〜674とし、第1及び第2の回路基板73,74間を電気的に接続する通電路としているので、別途リード線等を用いて配線する場合に比較して回路基板73,74間の通電路が簡単に形成できるという利点があり、しかもコンタクトピン671〜675をハウジング75にインサート成型することで零相変流器ZCTの巻線と絶縁することができる。
【0062】
また、コンタクトピン675を試験回路70のリード70aとしているため、第1及び第2の回路基板73,74を零相変流器ZCTに取り付けることで試験回路70のリード70aを零相変流器ZCTのコアに簡単に貫挿させることができる。さらに、第1の回路基板73には強電系の回路を構成する強電系の回路部品を実装し、第2の回路基板74には主に弱電系の回路を構成する弱電系の回路部品を実装しているため、強電系に比較して絶縁距離を短くできる弱電系の回路部品を主に実装した第2の回路基板74により多くの回路部品を実装することができる。ここで、主回路の電圧極に接続するためのリード線82Aと中性極に接続するためのリード線82Bが強電系の回路部品を実装した第1の回路基板73に接続してあるため、第2の回路基板74においてはリード線82A,82Bの接続位置からの絶縁距離を考慮せずに回路部品を配置することができるという利点がある。
【0063】
而して、本実施形態の漏電遮断器を組み立てるに当たっては、まず第1側ケース1Aの凹部8に端子ブロック10Aを収納するとともに解除ハンドル17を復帰ばね21とともに定位置に組み込む。またハンドル6を所定位置にねじりばねとともに組み込む。そして、クロスバー40を、切溝54に可動接触子4Aを嵌め込むとともにコイルばね53を凹部内に収納し、第1側ケース1Aの所定位置にコイルばね62とともに回動自在に配置する。また作動板43をリンク44でハンドル6と連結させて配設する。
【0064】
さらに、器体1の他端底部に設けた収納部90に共通端子T1を収納するとともに、スライド部材83と一緒に選択端子T2を、第2側ケース1Bと突き合わせたときに構成される内方収納部200に対応する第1側ケース1Aの内側の区画に収納する。またスライド部材83の脚片83aを挿通孔208を介して第1側ケース1Aの側壁の外側面に形成せるスライド溝207に入れて突出部206を外部に露出させる。
【0065】
さらに、内方収納部200に沿って第1側ケース1Aの高さ方向に形成された分離壁91と、第1側ケース1Aの長手方向略中央で分離壁91に対向して高さ方向に形成された分離壁65との間の空間上部に、長手方向の寸法が長い第2の回路基板74を隔壁91側として零相変流器ZCTに取り付けた第1及び第2の回路基板73,74を収納するとともに、上記空間下部に第1及び第2の電磁釈放装置47,48を収納する。ここで、第1側ケース1A底部の隔壁91近傍の部位には器体1の幅方向に沿って2条のリブ92が設けてあり、この2条のリブ92間に形成される嵌合溝92aに第2の回路基板74の下端部を嵌合することにより、その長手方向が第1側ケース1Aの高さ方向と略一致し且つ零相変流器ZCTの軸方向が第1側ケース1Aの長手方向と略一致するように第2の回路基板74を位置決め固定している。
【0066】
また、両側ケース1A,1Bの零相変流器ZCTと対向する側壁に矩形の窓孔98をそれぞれ開口し、図9に示すようにハウジング75の幅寸法が最も大きい部分を窓孔98に挿入してハウジング75の逃げとしている。すなわち、零相変流器ZCTのハウジング75の幅寸法が第1及び第2の回路基板73,74の幅寸法よりも若干大きいために器体1の幅寸法をハウジング75の幅寸法に合わせると無駄なスペースが生じてしまうが、上述のように窓孔98を設けてハウジング75を逃がすことにより、無駄なスペースが生じるのを防いで器体1の幅寸法の小型化が図れる。但し、窓孔98に挿入したハウジング75が両側ケース1A,1Bの側壁外側面よりも突出しないようにハウジング75並びに器体1の幅寸法を設定している。
【0067】
一方、第1及び第2の電磁釈放装置47,48は、図3に示すように可動鉄心58を器体1の高さ方向において下にして上記空間下部の第1側ケース1A底部に配置され、器体1の高さ方向における固定鉄心57の上部に零相変流器ZCTが配置されている。このように板ばね59で連結した固定鉄心57及び可動鉄心58を器体1の高さ方向にそって器体1底部に配置するとともに、固定鉄心57及び可動鉄心58の上部に、軸方向を器体1の長手方向に略一致させて零相変流器ZCTを配置すれば、固定鉄心57及び可動鉄心58に挟まれる通電導体80をその延出方向を器体1の長手方向に一致させて器体1内に配設することができるために器体1の高さ方向の寸法を小型化することができる。また、固定鉄心57及び可動鉄心58の高さ方向上部に零相変流器ZCTを配置することで器体1の長手方向の寸法を小型化することができる。さらに、零相変流器ZCTの軸方向を器体1の長手方向と一致させているから、主回路の電路(編組線79A,79B)を零相変流器ZCTに貫通させる作業が容易に行える。あるいは、予め編組線79A,79Bを零相変流器ZCTに貫通させた状態で第1側ケース1Aに組み込む場合には、器体1内で編組線79A,79Bを引き回す距離が短くて済む。しかも、可動鉄心58を器体1の底部側に配置しているため、可動鉄心58の吸引動作に零相変流器ZCTの影響が及ばず、後述する主接点の開極特性を安定させることができる。
【0068】
ここで、外片80bの先端部に後端部が連結された可動接触子4Bは、その中央部の斜め上向きの傾斜部位を、第1側ケース1Aの底部よりやや上方に位置する分離壁65の下端より第1側ケース1Aの他端部方向へ底部に平行し、さらにこの平行部より上向きに傾斜して延長された隔壁95と第1側ケース1Aの底部との間に配置して、可動接触子4Bの自由端側を隔壁14の切欠部14aを介して固定接触子12Bが配置される空間に配設される。このとき隔壁95の平行部の下面と第1側ケース1Aの底部とにそれぞれ突設した複数のリブ96で可動接触子4Bの後端部を挟んで固定する。またこのとき第1側ケース1Aの底部と可動接触子4Bとの間に、第1の回路基板73とリード線82Bで接続された接続部材99を挟持固定して漏電保護回路51並びに試験回路70を中性極の電路に接続している。
【0069】
さらに分離壁65と隔壁95との間の空間に、導電板71A,71B並びにバイメタル45,46を保持させた隔壁部材31を収納する。このとき隔壁部材31の下部周壁31bの斜め上向きに傾斜した傾斜部位を隔壁95の傾斜部位に沿うように載置することにより、隔壁部材31を器体1の上記空間内で位置決めしている。而して、器体1の長手方向においてバイメタル45,46に近い側に第1の回路基板73が配置されることになるため、第2の回路基板74とバイメタル45,46との距離を離して第2の回路基板74に実装したIC(漏電電流判定回路51a)等の熱に弱い弱電系の回路部品にバイメタル45,46の発する熱の影響が及ぶのを抑えることができる。
【0070】
さらにまた第1引外し板41をねじりばねとともに定位置に回動自在に配置するとともに、第2引外し板42を定位置に回動自在に配置する。このとき第2引外し板42の受け部42cが可動鉄心58の先端部と対向する。
【0071】
このようにして図10に示すように中間ケース7及びこの中間ケース7の凹部9内に収納する端子ブロック10B、解除ハンドル17’及びその復帰ばね21’以外を第1側ケース1A側に配置、組み付けた後に、端子ブロック10B、解除ハンドル17’及び復帰ばね21’を凹部9に組み付けた中間ケース7を第1側ケース1A側に重ねるように配設する。
【0072】
ここで中間ケース7を第1側ケース1A側の定位置に配設すると、可動接触子4Aの自由端側が縦壁の開口部を介して凹所内に配置されるとともに、端子ブロック10Aに設けられた固定接触子12Aの先端側部が底壁の段面上に載置されることになるとともに軸が解除ハンドル17の凹部37に嵌まることになる。
【0073】
一方端子ブロック10Bに設けられた固定接触子12Bが第1側ケース1Aの底部上のリブ26上に載置される。また中間ケース7の端部に形成せる下向き段部の下面が第1側ケース1Aの端部壁に形成した平坦面上に載置される。
【0074】
この状態で第2側ケース1Bを第1側ケース1A側に重ね合わせて結合するのである。このとき第1側ケース1Aから第2側ケース1B側へ一体突出させた両端上下の4カ所の弾性係止片100の先端の爪状の引掛係止部101が第2側ケース1B側に対応して設けた突起状の被引掛部102に係止されて第1側ケース1Aと第2側ケース1Bとが結合固定されて器体1を構成することになる(図3,図4,図9等参照)。この第1側ケース1Aと第2側ケース1Bの結合固定を外す場合には、第2側ケース1Bに各被引掛部102に対応させて開口した各解除孔150よりドライバを挿入して対応する各弾性係止片100の引掛係止部101を上方へ押圧して、被引掛部102との引掛状態を外すことにより、第1側ケース1Aから第2側ケース1Bを外すことができる。
【0075】
第2側ケース1Bを被着することにより第2側ケース1Bの内側面に設けてある軸孔52,56にクロスバー40の軸40a、第1引外し板41の軸部41aが回動自在に挿入される。
【0076】
また各バイメタル45,46に対応する調整螺子77,77’の頭部は、隔壁部材31の切り欠き31eを通して器体1の上面に開口する開口部104に臨むことになり、組立後の動作試験時に最適な動作点が得られるように開口部104を介して動作調整螺子77,77’を螺進させ、バイメタル45の先端部とクロスバー40の脚部41c並びにバイメタル46の先端部と第2引外し板42の駆動片42dとの間隔を調整し、その調整後に、蓋106をその弾性を利用して器体1の開口部104周縁の部位に嵌め込んで開口部104を被蔽する。
【0077】
ここでバイメタル45,46は、図4に示すように隔壁部材31に保持された状態で器体1の幅方向を幅方向として並設され、器体1の幅方向の寸法の小型化を図っている。また変位方向を互いに器体1の長手方向に沿って第2の回路基板74及び2つの電磁釈放装置47,48から遠ざかる向きに設定しているため、バイメタル45,46と電磁釈放装置47,48並びに零相変流器ZCT(第2の回路基板74)との間隔を狭くして器体1の長手方向の小型化が図れる。
【0078】
またバイメタル45,46の間を隔壁部材31の隔壁31aで隔絶するため、隔壁31aによって両バイメタル45,46間の絶縁を図るとともにその間隔を狭くすることができる。さらに零相変流器ZCTを器体1の幅方向に隔壁31aを跨ぐように配置することにより、各バイメタル45,46に接続される編組線79A,79Bを零相変流器ZCTに貫通させ易くしている。またさらに固定鉄心57及び可動鉄心58を含む2つの電磁釈放装置47,48も器体1の幅方向に隔壁31aを跨ぐように配置しているから、固定鉄心57並びに可動鉄心58の幅寸法を充分に大きくすることができ、電磁吸引力を増大させて主接点の開極に要する時間を短くすることができる。
【0079】
而して器体1の他端内部の内方収納部200及び収納部90には選択端子T2、共通端子T1がそれぞれ収納され、またこれら端子T1,T2に対応するように器体1の一端部には器体1の端面と両側面とに亘るように開口した差込部209a〜209cが形成されることになる。さらに器体1の一端部には斜め上向きに開口した一対の電線挿入孔16A,16Bが並行形成される。
【0080】
よって、電線挿入孔16A,16Bにそれぞれ負荷側の電線を挿入して各端子ブロック10A,10Bに接続し、中性極の導電バーを差込部209cを介して幅方向に共通端子T1に差込接続し、電圧極の導電バーを差込部209a又は209bを介して選択端子T2に幅方向に差込接続すれば電路に本実施形態の漏電遮断器を挿入することができることになる。
【0081】
ところで、図2に示すように第2側ケース1Bの開口部104近傍にはテスト釦78を挿通する挿通孔105aが貫通した突台部105が設けてあり、先端を二股に形成したテスト釦78を上方から挿通孔105aに挿通して係止段部78aを器体1内の挿通孔105a周縁に係止することでテスト釦78が器体1の高さ方向に移動自在且つ抜け止めして突台部105に取り付けられる。このテスト釦78の先端部が第2の回路基板74に実装したテストスイッチSWの可動接点板76aと対向しており、テスト釦78を押操作することでその先端部にて可動接点板76aを押駆動して固定接点76bに接触させ、テストスイッチSWをオンさせることができる。なお、蓋106にはテスト釦78との干渉を避けるためにテスト釦78が挿通する半円形の切り欠き106aが設けてある。
【0082】
ここで、図9に示すように器体1両側面には零相変流器ZCTのハウジング75が部分的に露出する窓孔98が開口しているので、窓孔98から器体1内への異物侵入を防止するとともに外観上の見栄えを良くするために、絶縁性を有するシート状の材料で角筒状に形成された絶縁シート107を器体1に取着して窓孔98を覆い隠している。
【0083】
次に本実施形態の動作を図1並びに図10〜図12を参照して説明する。
図10は開放状態を示しており、この開放状態ではハンドル6の操作部6aが窓孔50より倒立露出した状態にあり、作動板43の一端と第1引外し板41との係合状態は外れた状態にある。そしてコイルばね62によりクロスバー40は図において時計回りに回動するように付勢されており、クロスバー40の切溝54に貫挿されている可動接触子4Aが自由端を上方に移動させた状態にあり、また切溝55に貫挿させた可動接触子4Bはそのばね弾性力により自由端を上方に移動させた状態にあり、夫々の自由端に設けてある可動接点3A,3Bが対応する固定接点2A,2Bから開離した状態にある。
【0084】
この状態でハンドル6の操作部6aを時計回りに回動操作すると、リンク44の上側軸44aが下方向に押し動かされてリンク44は下側軸44bにより作動板43を押し下げる。この作動板43の押し下げにより作動板43の一端(図において右端)が第1引外し板41の係止部41eに当たり、その位置を回動中心として作動板43は反時計回りに回動し、作動板43の他端(左端)がクロスバー40の上端に設けてある突出部84に当たり、クロスバー40を反時計回りにばね付勢に抗して回動させる。
【0085】
この回動によりクロスバー40の切溝55に貫挿された可動接触子4Bが自由端を下向きに移動させる方向に撓むことになり、自由端の可動接点3Bを固定接点2Bに接触させる。また切溝54に貫挿された可動接触子4Aが反時計回りに回動してその自由端の可動接点3Aを固定接点3Bに接触させる。この接触は可動接点3Bが固定接点2Bに接触するよりも遅れるようなっている。
【0086】
そしてハンドル6をさらに時計回りに回動させると、リンク44の下側軸44bの位置とハンドル6の回転中心を結ぶ線より上側軸44aが図1に示すように左方向に移動し、この状態でハンドル6のねじりばね、クロスバー44を付勢するコイルスばね62、更に可動接触子4Bのばね力等が均衡して作動板43の一端と第1引外し板41の係止部41eとのラッチ状態が保持され、図1の投入状態が維持される。
【0087】
さて投入状態でハンドル6の操作部6aを反時計回りに回動させると、リンク44の上側軸44aの位置が、ハンドル6の回転中心と、下側軸44bを結ぶ線を右方向に越えて上方へ移動するため作動板43の左端と第1引外し板41の係止部41eとのラッチ状態が解かれ、クロスバー40はコイルばね62の付勢力で時計回りに回動するとともに、ハンドル6がねじりばねの付勢力でオフ側に急速に回動復帰する。クロスバー40の時計回りへの回動により可動接触子4Aが時計回りに回動して自由端を上方へ移動させ可動接点3Aを固定接点2Aより開離させる。また可動接触子4Bが下向きの押し下げが無くなって、そのばね力で元の状態に復帰することになり、自由端の可動接点3Bを固定接点2Bより開離する。この開離は上記可動接点3Aが固定接点2Aから開離するよりも遅れる。この遅れは後述する強制開極時も同様である。
【0088】
ここで上記のように両極の主接点の開閉に上記のように遅れを持たせているため接点開閉時に生じるアークは剛体側の可動接触子4Aのみとなり、ばね材からなる可動接触子3Bのアークによる消耗を防止できる。
【0089】
さらに主接点の開離時に回動するクロスバー40の先端面の幅方向に形成した凹溝131に両ケース1A,1B及び中間ケース7に形成した止片130…が係入して凹溝131の底部に当接するため、一方の区画で発生したアークが器体1の奥側のクロスバー40側から回りこんで他の区画へ入り込む恐れを無くして、器体1内部でのアークによる極間短絡を防止する。
【0090】
さて図1に示す上記投入状態において、負荷に過電流が流れると、バイメタル45,46は過電流により発熱して湾曲変位することになる。ここで上方から垂下したバイメタル45,46は下端が図において左方向に移動するように変位し、図11に示すようにバイメタル46の下端は第2引外し板42の駆動片42dを左方向に押し、バイメタル45の下端は第1引外し板41の脚部41c先端の受け部(図示せず)を左方向に押す。またバイメタル46の変位によって第2引外し板42が反時計回りに回動し、第2引外し板42の対向部42aが第1引外し板41の受け部41fを左方向に押す。そして、第1引外し板41は受け部がバイメタル45に押されるとともに受け部41fが第2引外し板42に押されることで時計回りに回動する。
【0091】
さて第1引外し板41が時計回りに回動すると、係止部41eと作動板43の一端(右端)とのラッチ状態が解除され、作動板43はリンク44の下側軸44bを中心として時計回りに回動することになる。そのため作動板43の他端(左端)によるクロスバー40の規制が無くなり、クロスバー40はコイルばね62のばね力により時計回りに回動し、図11に示すように可動接触子4A,4Bを開放状態に復帰させ、可動接点3A,3Bを固定接点2A,2Bからそれぞれ開離させる。すなわち、主回路に過負荷電流が流れた場合には、熱動釈放装置によって開閉機構5が釈放されて主接点を強制的に開極して負荷を保護することができる。
【0092】
その後、電路遮断によりバイメタル45,46は元の状態に戻り、第1引外し板41はねじりばねの付勢により元の位置へ回動復帰し、同時に第2引外し板42の対向部42aを受け部41fが押し動かして第2引外し板42を元へ戻す。またハンドル6はねじりばねの付勢により開放方向(反時計回り)に回動することになる。
【0093】
また上記投入状態において、短絡電流のような過大電流が通電導体80に流れると、固定鉄心57に電磁吸引力が発生して可動鉄心58を吸引して揺動させる。これにより図12に示すように、可動鉄心58の先端部が第2引外し板42の受け部42cを押して第2引外し板42を反時計回りに回動させる。過負荷電流が流れたときと同様に第2引外し板42が反時計回りに回動すると、第2引外し板42の対向部42aが第1引外し板41の受け部41fを左方向に押して時計回りに回動する。そして、第1引外し板41が時計回りに回動すると、係止部41eと作動板43の一端(右端)とのラッチ状態が解除され、作動板43はリンク44の下側軸44bを中心として時計回りに回動することになる。そのため作動板43の他端(左端)によるクロスバー40の規制が無くなり、クロスバー40はコイルばね62のばね力により時計回りに回動し、可動接触子4A,4Bを開放状態に復帰させ、可動接点3A,3Bを固定接点2A,2Bからそれぞれ開離させる。すなわち、主回路に短絡電流のような過電流(瞬時大電流)が流れた場合には、第1の電磁釈放装置47によって開閉機構5が釈放されて主接点を強制的に開極することができる。
【0094】
その後、電路遮断により固定鉄心57に電磁吸引力が発生しなくなると、可動鉄心58は板ばね59のばね力により元の状態に戻り、第1引外し板41はねじりばねの付勢により元の位置へ回動復帰し、同時に第2引外し板42の対向部42aを受け部41fが押し動かして第2引外し板42を元へ戻す。またハンドル6はねじりばねの付勢により開放方向(反時計回り)に回動することになる。
【0095】
さらに上記投入状態において、地絡電流のような漏洩電流が流れると、漏電保護回路51がコイル68に通電することにより固定鉄心57に電磁吸引力が発生して可動鉄心58を吸引して揺動させる。これにより短絡電流が流れたときと同様、図12に示すように、可動鉄心58の先端部が第2引外し板42の受け部42cを押して第2引外し板42を反時計回りに回動させるとともに第1引外し板41を時計回りに回動させ、可動接触子4A,4Bを開放状態に復帰させて可動接点3A,3Bを固定接点2A,2Bからそれぞれ開離させる。すなわち、主回路に地絡電流のような漏洩電流が流れた場合には、第2の電磁釈放装置48によって開閉機構5が釈放されて主接点を強制的に開極して地絡保護ができる。
【0096】
【発明の効果】
請求項1の発明は、主回路を収納するとともに外部の電路を主回路と接続する入力側及び出力側の端子部を長手方向両端部に設けた器体と、少なくとも一部が器体から回動自在に露出するハンドルと、少なくともハンドルの操作に応じて主回路の主接点を開閉する開閉機構と、短絡電流のような過電流が主回路に流れた場合に開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する電磁釈放装置と、主回路の電路を貫通させた零相変流器を用いて漏洩電流を検出する漏洩電流検出手段と、漏洩電流検出手段にて漏洩電流が検出されると開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する漏電引外し手段とを備え、電磁釈放装置は、主回路を形成する通電導体を固定鉄心との間に挟む形で固定鉄心に揺動自在に接離する可動鉄心を具備してなり、固定鉄心及び可動鉄心を器体の長手方向と直交する高さ方向に沿って器体の底部に配置するとともに、固定鉄心及び可動鉄心の高さ方向上部に、軸方向を器体の長手方向に略一致させて零相変流器を配置した漏電遮断器であって、器体内において電磁釈放装置並びに零相変流器に対して器体の長手方向に沿った一方側に並設され且つ主回路に挿入されるバイメタルを具備し、過負荷電流のような過電流が主回路に流れた場合に電磁釈放装置及び零相変流器から遠ざかる向きへのバイメタルの変位によって開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する熱動釈放装置を備えたので、固定鉄心及び可動鉄心に挟まれる通電導体を、その延出方向を器体の長手方向に一致させて器体内に配設することができるために器体の高さ方向の寸法を小型化することができ、また、固定鉄心及び可動鉄心の高さ方向上部に零相変流器を配設しているために器体の長手方向の寸法を小型化することができ、さらに、入力側及び出力側の端子部が対向する器体の長手方向に沿ってそのまま通電導体を零相変流器に貫通させることができ、零相変流器に主回路の電路を貫通させる作業が容易に行え、しかも、バイメタルと電磁釈放装置及び零相変流器との間隔を狭くすることができて器体の小型化が図れるという効果がある。
【0097】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、固定鉄心と可動鉄心のうちで可動鉄心を器体の底部側に配置したので、可動鉄心の吸引動作に零相変流器の影響が及ばず、主接点の開極特性を安定させることができるという効果がある。
【0099】
請求項の発明は、請求項の発明において、主回路の電圧極と中性極のそれぞれにバイメタルを挿入し、2つのバイメタルを隔壁にて隔絶した状態で長手方向に直交する器体の幅方向に並設し、この隔壁を跨いで零相変流器を配置したので、隔壁によって2つのバイメタル間の絶縁が図れるとともに各極の通電導体を零相変流器に貫通させ易くなるという効果がある。
【0100】
請求項の発明は、請求項の発明において、電圧極又は中性極の何れか一方の通電導体を間に挟むとともに隔壁を跨ぐ形で固定鉄心及び可動鉄心を器体内に配置したので、固定鉄心並びに可動鉄心の寸法を充分に大きくすることができ、電磁吸引力を増大させて主接点の開極に要する時間を短くすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の投入状態を示し、第2側ケースを取り外した状態の側面図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】同上の背面断面図である。
【図4】同上の背面断面図である。
【図5】同上における第1及び第2の電磁釈放装置の分解斜視図である。
【図6】同上における第1及び第2の電磁釈放装置の斜視図である。
【図7】同上における漏電保護回路並びに試験回路の回路図である。
【図8】同上における零相変流器、第1及び第2の回路基板の構造部位の分解斜視図である。
【図9】同上の斜視図である。
【図10】同上の開放状態を示し、第2側ケースを取り外した状態の側面図である。
【図11】同上の過負荷電流による過電流引外し動作の状態説明図である。
【図12】同上の短絡電流による過電流引外し動作並びに地絡電流による漏電引外し動作の状態説明図である。
【符号の説明】
1 器体
5 開閉機構
47 第1の電磁釈放装置
48 第2の電磁釈放装置
51 漏電保護回路
ZCT 零相変流器
57 固定鉄心
58 可動鉄心

Claims (4)

  1. 主回路を収納するとともに外部の電路を主回路と接続する入力側及び出力側の端子部を長手方向両端部に設けた器体と、少なくとも一部が器体から回動自在に露出するハンドルと、少なくともハンドルの操作に応じて主回路の主接点を開閉する開閉機構と、短絡電流のような過電流が主回路に流れた場合に開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する電磁釈放装置と、主回路の電路を貫通させた零相変流器を用いて漏洩電流を検出する漏洩電流検出手段と、漏洩電流検出手段にて漏洩電流が検出されると開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する漏電引外し手段とを備え、電磁釈放装置は、主回路を形成する通電導体を固定鉄心との間に挟む形で固定鉄心に揺動自在に接離する可動鉄心を具備してなり、固定鉄心及び可動鉄心を器体の長手方向と直交する高さ方向に沿って器体の底部に配置するとともに、固定鉄心及び可動鉄心の高さ方向上部に、軸方向を器体の長手方向に略一致させて零相変流器を配置した漏電遮断器であって、器体内において電磁釈放装置並びに零相変流器に対して器体の長手方向に沿った一方側に並設され且つ主回路に挿入されるバイメタルを具備し、過負荷電流のような過電流が主回路に流れた場合に電磁釈放装置及び零相変流器から遠ざかる向きへのバイメタルの変位によって開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する熱動釈放装置を備えたことを特徴とする漏電遮断器。
  2. 固定鉄心と可動鉄心のうちで可動鉄心を器体の底部側に配置したことを特徴とする請求項1記載の漏電遮断器。
  3. 主回路の電圧極と中性極のそれぞれにバイメタルを挿入し、2つのバイメタルを隔壁にて隔絶した状態で長手方向に直交する器体の幅方向に並設し、この隔壁を跨いで零相変流器を配置したことを特徴とする請求項記載の漏電遮断器。
  4. 電圧極又は中性極の何れか一方の通電導体を間に挟むとともに隔壁を跨ぐ形で固定鉄心及び可動鉄心を器体内に配置したことを特徴とする請求項3記載の漏電遮断器
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