JP3726531B2 - 電位測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光体等の被電位測定部材と対向して配置され、表面電位を検出する電位測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8に示すような、複写機やプリンタ等には、被電位測定部(以下「感光体14」という)の表面電位を検出する電位測定装置80が設けられており、この電位測定装置80からの検出信号に基づき、プロセス制御を行うようになっている。
【0003】
ところで、電位測定装置80のプローブ82の保持部材84は、感光体14の表面電位を測定する位置にある関係上、イオン風にさらされて帯電する。この保持部材84が帯電すると、感光体14からの電気力線が影響を受け、電位測定に誤差を生じるので、正確なプロセス制御ができない。
【0004】
詳細には、ゼログラフィー技術を用いた複写機やプリンター等は、コロトロンの放電によって感光体14を帯電させる方式が主流であり、この場合、放電によるイオン風が発生して、感光体14の周囲に流れ出る。
【0005】
そして、通常、プローブ82は、コロトロンの下流側に配置されており、また、保持部材84には絶縁体が使用されているため、イオン風を受けた保持部材84は、電荷の逃げ場がなく電荷が蓄積されていく。このような現象は、低温低湿時に大きく現れ、保持部材84には電位にして数千ボルトが蓄積される。
【0006】
この結果、感光体14からの電気力線が、保持部材84に帯電した電荷の影響を受けることになり、また、保持部材84が帯電すると、プローブ82の出力ズレは50V以上に達する。これらの事象をプローブ82の保持部材84を摩擦帯電させることにより、実験的に確認した結果、実際のズレ量には達しないが、最大で30Vのズレが発生した。
【0007】
一方、複写機等の装置の小型化により、電位測定装置80の電位検知部分であるプローブ82も小型化されているため、プローブ検出窓86と保持部材84との距離が近くなり、保持部材84から電気力線がプローブ検出窓86に入り込む影響の度合いが一層大きくなる。
【0008】
このような不都合に対処すべく、電位測定装置に零点補正電極を対向させて校正する方法(特開平3−160472号公報)や、感光体を接地する方法(特公平4−74702号公報)があるが、実際のプリント中のプローブの保持部材が帯電したときの影響を正確に測定できない。
【0009】
また、プリント中の感光体が除電された状態でセンサオフセットの検出を行う方法においても、感光体が完全に除電(0ボルト)されている保証はなく、誤差を生じていた。
【0010】
このように、従来の校正方法では、いづれの方法であっても、プローブの保持部材が帯電することによる影響をなくすことができなかた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、プローブの保持部材が帯電することによる影響を無くし、電位測定誤差を小さくして、かつ、被電位測定部材からの電気力線を整流し、測定距離の変化によるプローブからの出力変動を小さくし、視野を円形にすることを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、保持部材に保持された検知部収納ケースの検出窓が被電位測定部材と対向して配置され、検出窓を通過した電気力線が内部に収納された電位検知部で検知され、検知信号として電位センサ回路基板へ送られて、被電位測定部材の表面電位が測定される。
【0013】
ここで、検知部収納ケースには、電気的に接続された導電部材が、被電位測定部材に面して張り出しており、検知部収納ケースに測定電位が与えられると、導電部材にも同じ測定電位が印加される。
また、検知部収納ケースの長辺側から張り出す導電部材の外縁間の寸法が、検知部収納ケースの短辺の長さより大きくされている。
【0014】
このため、検出窓が形成された検知部収納ケース及び導電部材には、被電位測定部材と同じ電位の空間が広がることになり、イオン風等で帯電した保持部材からの電気力線が検出窓まで届かなくなる。さらに、電気力線が検知部収納ケースの短辺側に集中することがなく、電気力線が整流され、さらに、測定視野が円形となり歪みがなくなる。
【0015】
換言すれば、保持部材からの電気力線がシールドされることになり、電位検知部における検出誤差が小さくなる。
【0018】
請求項に記載の発明では、導電部材が、検知部収納ケースが嵌め込まれ電気的に接続される導電性のケーシングの開口縁を折り曲げて形成された板部であることを特徴としている。
【0019】
請求項に記載の発明では、導電部材が、開口部が形成されこの開口部の中央部が検出窓の中央部と一致するように検知部収納ケースに電気的に接続される金属プレートであることを特徴としている。このため、被電位測定部材と導電部材との間に発生する電気力線の中心部で電位が測定されるため、電位測定誤差が小さくなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本実施の形態に係る電位測定装置を説明する。
【0021】
図1〜図4に示すように、電位測定装置10のプローブ12は、矢印A方向へ回転する感光体14の表面を帯電させるチャージコロトロン16の下流側に配置されており、放電により発生するイオン風の風下にある。
【0022】
また、チャージコロトロン16と現像ローラ18の間には、画像形成装置11の内部を換気するエアダクト20が配置されており、感光体14の軸方向に沿って延出している。エアダクト20の外側面には、部分的に開口部22が設けられており、その開口部22の内側には、プローブ12が保持されるカバー24の一端部から突設された爪片26が入り込んで係止されている。
【0023】
さらに、カバー24は絶縁材料で成形されており、その他端部にはブラケット28が設けられている。ブラケット28には、固定用のネジ孔30と位置決め用の長ネジ孔32が形成されている。ネジ孔30及び長ネジ孔32に挿通されるスクリュー(図示省略)は、エアダクト20の端部が固定される画像形成装置11のフロントフレームに螺合され、カバー24をエアダクト20に固定する。
【0024】
また、図1及び図2に示すように、カバー24には、感光体14の表面形状に沿うように湾曲した湾曲面34が形成されている。この湾曲面34には、長手方向に沿って取付口36が開口されている。取付口36の爪片26側には、長方形状の窪み部38が形成されている。
【0025】
この窪み部38には、取付口36へ箱型のガード電極40の収納部42を嵌め込んだとき、収納部42の長辺側から張り出すガード電極部44が収まるようになっている。さらに、収納部42には、中央部に検出窓46が形成されたプローブ12が収まるようになっており、プローブ12はガード電極40と電気的に接続される。また、ガード電極40は長手方向へ延びる長板50を備えており、取付口36の壁面に押し当てられ、ネジ孔50へ挿通されたスクリュー52でネジ止めされている。
【0026】
一方、図3に示すように、プローブ12の中には、所定のタイミングで開閉し検出窓46から入ってくる電気力線を遮断するチョッパ54と、感光体14の表面電位を検出する検知電極56が配置されている。この検知電極56は、他の場所に設けられたESV回路基板58に接続されている。ESV回路基板58は、検知電極56の信号の増幅、制御、測定信号出力等の回路を搭載した基板で構成されている。また、プローブ12には、ESV回路基板58からフィードバック電位が与えられている。
【0027】
さらに、ガード電極部44は、感光体14の表面に沿って湾曲しており、感光体14との間隔が一定に保たれている。
【0028】
ここで、図4を参照して、本形態に係る電位測定装置を備えた画像形成装置11の概略構成を説明する。
【0029】
感光体14の表面をチャージコロトロン16で均一に帯電させ、画像情報に応じた静電潜像をレーザ光Lで書き込む。この静電潜像は、現像ローラ18によって可視化されトナー像となる。
【0030】
感光体14の表面に当接するように、ベルト状の中間転写体62がバックアップローラ64と駆動ローラ66等に張架され、矢印B方向へ回動するようになっている。この中間転写体62と感光体14が当接する部位には、一次転写用のローラ68が配設されている。このローラ68で、感光体14の表面に形成されたトナー像の帯電極性と逆極性の電圧を中間転写体62に印加し、感光体14から中間転写体62へ未定着トナー像を静電吸引して一次転写させる。
【0031】
さらに、二次転写位置には、バックアップローラ64と対向する位置に対向電極となる転写ローラ70が中間転写体62に対して接離可能に配置されている。転写ローラ70は、中間転写体62への一次転写が完了した後,中間転写体62へ接し,ペーパーPを中間転写体62との間で挟持搬送し、未定着トナー像をペーパーPに二次転写する。そして、二次転写が完了した中間転写体62は、クリナー72で残留トナーが除去される。
【0032】
一方、感光体14の表面は除電ランプ74で除電され、ブラシ76及びブレード78等で表面に残ったトナーが除去され、再びチャージコロトロン16で均一に帯電される。
【0033】
次に、本形態に係る電位測定装置の作用を説明する。
【0034】
感光体14の表面電位の測定は、先ず、感光体14を矢印A方向へ回転させながらチャージコロトロン16で帯電する。次に、帯電電位を測定する場合はレーザー光Lで露光せずにプローブ12で電位を測定し、中間電位を測定する場合は所定の露光を行った後、プローブ12で電位を測定する。
【0035】
そして、測定された電位は、ESV回路基板58で所定の出力電圧範囲に分圧された測定信号となり、CPUが搭載されたメイン基板に送られてA/D変換され、プロセス制御に使用される。
【0036】
一方、プローブ12には、測定原理から、感光体14と等しくなるような測定電位が印加される。このため、プローブ12と電気的に接続されているガード電極40のガード電極部44にも同じ測定電位が印加される。
【0037】
これにより、検出窓46が形成されたプローブ12及びガード電極部44には、感光体14と同じ電位の空間が広がることになり、イオン風等で帯電したカバー24の湾曲面34やエアダクト20からの電気力線が検出窓46まで届かなくなる。
【0038】
換言すれば、カバー24の湾曲面34やエアダクト20からの電気力線がシールドされることになり、プローブ12における検出誤差が小さくなる。
【0039】
次に、感光体14からの電気力線の発生状態を説明する。
【0040】
図6に示す従来タイプのように、ガード電極部がない場合、例えば、プローブ12の短辺方向が6mm、長辺方向が数十mmとし、被電位測定部の領域を正方形とすると、被電位測定部からの電気力線がプローブ12の短辺側に集中し、電気力線は放射状となる。このため、測定視野が楕円となり歪みが生じる。
【0041】
一方、図5に示すように、ガード電極部44がある場合、プローブ12及びガード電極部44には、被電位測定部と同じ電位の空間が広がり、被電位測定部からの電気力線がプローブ12の短辺側に集中することがなく、電気力線が整流される。この結果、測定視野が円形となり歪みがなくなる。
【0042】
これにより、感光体14と検出窓46との距離が変動しても、プローブ12からの出力変動を小さくすることができる。
【0043】
なお、本形態では、フィードバック型の電位測定装置について説明したが、プローブとESV回路基板(プローブを構成するプローブケースに収納されている)が一体となったノンフィードバック型の電位測定装置についても同じように、ガード電極を設けることでシールド作用及び整流作用を持たせることができる。
【0044】
また、本形態では、ガード電極40の収納部42にプローブ12を収める構成としたが、この構成に限られず、例えば、図7に示すように、四角形や円形の金属プレート90の中央部に開口部92を形成し、この開口部92と検出窓46を位置合わせして、プローブ12に電気的に接続するようにしてもよく、また、導電性粘着剤が使用された金属テープをプローブに貼り付けるようにしてもよく、要は、検出窓46を覆うことなく、ある幅を持った導電性部材をプローブに電気的に接続させればよい。
【0045】
さらに、本形態では、感光体14の曲面に合わせてガード電極部44を湾曲させ、すなわち、感光体14と同心円となる曲面構造とすることで、同じ電位空間を広げ、シールド作用及び電気力線の整流作用を向上させたが、単なる平板でもよい。また、角度をつけた折り曲げ構造で擬似的に曲面形状に近づけるようにしてもよい。
【0046】
さらに、本形態では、ガード電極部の外縁間の縦横方向の寸法を、プローブの短辺より大きい寸法としたが、実際はプローブのサイズ、検出窓の形状,サイズによって異なる。
【0047】
例えば、検出窓の寸法が、2mm×2mmの場合、ガード電極部の外縁間の寸法が15mm以上の四角形であれば良いことが実験で確認された。従って、ガード電極部の形状、サイズは、本形態のものに限定されるものではなく、プローブのサイズ、検出窓の形状,サイズによって適時設計されるものである。
【0048】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、プローブの保持部材が帯電することによる影響が無くなる。また、電位測定誤差が小さくなり、被電位測定部材からの電気力線が整流されるので、測定距離の変化によるプローブからの出力変動を小さくすることができ、さらに、視野も円形になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本形態に係る電位測定装置のプローブと感光体との位置関係を示す斜視図である。
【図2】 本形態に係る電位測定装置のプローブの保持構造を示す分解斜視図である。
【図3】 本形態に係る電位測定装置のプローブと感光体との位置関係を示す断面図である。
【図4】 本形態に係る電位測定装置のプローブが使用された画像形成装置を示す説明図である。
【図5】 電気力線をイメージ的に表した概念図である。
【図6】 電気力線をイメージ的に表した概念図である。
【図7】 ガード電極の変形例を示す斜視図である。
【図8】 従来の電位測定装置のプローブを示す断面図である。
【符号の説明】
12 プローブ(検知部収納ケース)
40 ガード電極(ケーシング)
44 ガード電極部(導電部材、板片)
90 金属プレート(導電部材)

Claims (3)

  1. 被電位測定部材と対向して配置され、表面電位を検出する電位測定装置において、
    被電位測定部材と面する検出窓が開口されると共に、電位検知部が収納され保持部材に保持された検知部収納ケースと、前記検知部収納ケースに電気的に接続され前記被電位測定部材に面して張り出す導電部材と、を有し、前記検出窓の開口幅は前記検知部収納ケースの短辺の長さより狭く、前記検知部収納ケースの長辺側から張り出す前記導電部材の外縁間の寸法が、前記検知部収納ケースの短辺の長さより大きいことを特徴とする電位測定装置。
  2. 前記導電部材が、前記検知部収納ケースが嵌め込まれ電気的に接続される導電性のケーシングの開口縁を折り曲げて形成された板部であることを特徴とする請求項1に記載の電位測定装置。
  3. 前記導電部材が、開口部が形成されこの開口部の中央部が前記検知部収納ケースの長辺方向及び短辺方向において前記検出窓の中央部と一致するように前記検知部収納ケースに電気的に接続される金属プレートであることを特徴とする請求項1に記載の電位測定装置。
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