JP3726480B2 - 計測器およびその表示方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、計測器に関し、特に計測に先立ち、前回の計測値を確認できる機能を備えた計測器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば電子体温計や電子血圧計などの計測器に対して、体温や血圧などの計測に先立ち、前回の計測値を確認したいという要望がある。そして、このような要望に対応した計測器として、例えば前回の測温値を表示する温度計測器(温度計)などが知られている(特公平6−100508号参照)。この種の従来の計測器では、電源などのスイッチをオンにした直後に、前回の計測値(前回計測値)を表示した後、あらためて計測を行い、その回の計測値(今回計測値)を表示する。すなわち、これにより、ユーザは、前回計測値を確認してから所定時間後に今回計測値を確認できる(図34参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、計測器には、正常な計測値が所定の計測値条件を満たすことが知られているものがある。例えば、計測対象が体温(すなわち体温計)の場合、法律上定められた測定範囲は、32〜42℃となっているが、生きている人間が確実に体温を測定すれば、生理学上35℃未満ということは有り得ない。すなわち、35℃未満の値が前回計測値として表示された場合、それは体温計の例えばチャタリング等による作動不良(誤作動)やユーザの操作ミス(誤操作)などを要因とする誤計測によって計測された計測値(誤計測値)であると判断できる。しかし、従来の計測器では、誤作動や誤操作などの何らかの誤計測要因によりこの種の誤計測が発生すると、次回計測時には、そのときの誤計測値を前回計測値として表示してしまう。すなわち、このような誤計測値を前回計測値として確認しても何等意味がないばかりでなく、一旦誤計測が発生してしまうと、それ以前の(正常な)前回計測値を確認できなくなってしまう。
【0004】
本発明は、誤計測の発生の有無に拘らず、所定の計測値条件を満足する前回計測値を確実に確認できる計測器およびその表示方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の計測器は、外部からの操作により今回の計測を開始するとともに、前記今回の計測の開始まで保持していた前回計測値表示情報に基づいて前回計測値の表示を開始し、その後、今回計測値の表示を開始する計測器であって、前記今回計測値として安定した確定値を得るための計測条件の成立と前記計測に関するエラー検出とをそれぞれ1のストップ条件として含む複数のストップ条件が規定されており、前記今回の計測の開始から前記計測を繰り返して、前記複数のストップ条件のうちのいずれかが成立したときに、そのときの計測値を前記今回計測値とする計測手段と、前記複数のストップ条件のうちの前記エラー検出以外のいずれかのストップ条件が成立したときに、前記今回計測値の表示のための今回計測値表示情報により前記前回計測値表示情報を更新し、それ以外では、前記前回計測値表示情報を維持する記憶手段と、前記前回計測値の表示および前記今回計測値の表示を行う表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の表示方法は、外部からの操作により今回の計測を開始するとともに、前記今回の計測の開始まで保持していた前回計測値表示情報に基づいて前回計測値の表示を開始し、その後、今回計測値の表示を開始する計測器の表示方法であって、前記今回計測値として安定した確定値を得るための計測条件の成立と前記計測に関するエラー検出とをそれぞれ1のストップ条件として含む複数のストップ条件が規定されており、前記今回の計測の開始から前記計測を繰り返して、前記複数のストップ条件のうちのいずれかが成立したときに、そのときの計測値を前記今回計測値として求め、前記複数のストップ条件のうちの前記エラー検出以外のいずれかのストップ条件が成立したときに、前記今回計測値の表示のための今回計測値表示情報により前記前回計測値表示情報を更新し、それ以外では、前記前回計測値表示情報を維持することを特徴とする。
【0007】
これらによれば、今回の計測まで保持していた前回計測値表示情報に基づいて前回計測値の表示を行うので、前回計測値の確認ができる。また、前回計測値の更新条件となる所定のストップ条件が成立したときに、今回計測値の表示のための今回計測値表示情報を、次回の計測まで前回計測値表示情報として保持し、成立しないときに、それまで保持していた前回計測値表示情報を維持することで、成立したときにのみ前回計測値表示情報を更新する。これにより、次回の計測では、次回から見ての前回(今回)の計測において前回計測値表示情報が更新されたときには、それに基づく計測値(今回計測値)を前回計測値として表示でき、次回から見ての前回(今回)の計測において前回計測値表示情報が更新されなかったときには、次回から見ての前々回(今回から見ての前回)から保持していた前回計測値表示情報に基づく計測値(前回計測値)を前回計測値として表示できる。このため、前回計測値の更新条件となるストップ条件を適切に定めておけば、たとえ今回の計測において、誤作動や誤操作による誤計測が発生しても、次回の計測においては、正常な計測により計測された最後の計測値を前回計測値として表示できる一方、今回の計測が正常であれば、その計測値を次回の計測における前回計測値として表示できる。したがって、誤計測の発生の有無に拘らず、所定の計測値条件を満足する前回計測値を確実に確認できる。
【0008】
また、これらによれば、ストップ条件が成立するまで計測を繰り返して、ストップ条件が成立したときの計測値を今回計測値として求めるが、複数のストップ条件が規定され、その中には、今回計測値を確定させる計測条件の成立と、計測に関するエラーの検出と、が含まれているので、計測条件が成立(すなわち今回計測値が確定)すれば、ストップして、そのときの計測値を今回計測値として確定できる一方、その前に計測に関する何らかのエラーを検出すれば、その後、無駄な計測を続けることなく直ちにストップでき、この場合、そのときの計測値を今回計測値とするので、不正な値、すなわち誤作動等による誤計測であったと判断することが妥当である。これらに対して、前回計測値の更新条件となるストップ条件は、エラー検出以外のいずれかのストップ条件なので、エラー無しで計測条件成立によりストップしたときには、今回確定された今回計測値の今回計測値表示情報により前回計測値表示情報を更新できる一方、エラー検出によりストップしたときには、前回計測値の更新条件が成立しないので、前回計測値表示情報を更新しないで、保持していた正常な計測時の前回計測値表示情報を維持できる。これにより、今回計測時の誤計測の発生の有無に拘わらず、正常計測時の前回計測値表示情報の更新・維持ができ、次回の計測時における正常な前回計測値の確認を確保できる。
【0009】
また、上述の計測器において、前記計測の開始からの経過時間または測定回数に基づくアイドリング期間が定められており、前記計測手段は、前記計測条件の成否を判別するに際して、前記アイドリング期間中の計測値を無視することが好ましい。
【0010】
これによれば、アイドリング期間を定め、その期間中の計測値を無視することにより、今回計測値の信頼性を高めることができる。すなわち、一般に、計測器では、所定の計測期間として、計測の開始から回路等が安定するまでの所定時間や所定の回数だけ試験的に計測する試計測期間など、その間の計測値を無視する計測期間、すなわち、アイドリング期間を設けることにより、今回計測値の信頼性を高められる。
【0011】
また、上述の各計測器において、前記計測条件の必要条件の1つとして、条件判別直前の計測値を含む予定の連続回数の計測値の全てが予定の温度範囲内であり、且つ、その間の測定値により今回計測値として確定すべき値が更新されていないこと、が含まれていることが好ましい。
【0012】
これによれば、計測条件の必要条件の1つとして、条件判別直前の計測値を含む予定の連続回数(例えば4回)の計測値の全てが予定の温度範囲内(例えば体温計の場合の32℃〜42℃等)であり、且つ、その間の測定値により今回計測値として確定すべき値が更新されていないこと、が含まれるので、予定の温度範囲内に安定(収束)したときに、計測条件が成立する(すなわち今回計測値が確定される)ことになり、誤作動・誤操作等による異常な計測値が確定されて、それにより前回計測値表示情報が更新されるのを防止でき、これにより、誤計測の発生の有無に拘らず、所定の計測値条件を満足する前回計測値を確実に確認できる。
【0013】
また、上述の各計測器において、前記エラー検出には、当該計測器の電源となる電池の電圧が既定値外であることの検出と、当該計測器における計測の基準となる周波数が不正であることの検出と、計測値が示す温度が予定の温度範囲外であることの検出と、のうちの少なくとも1の検出が含まれることが好ましい。
【0014】
これによれば、電池電圧異常や周波数異常や測温値異常などをエラーとして検出でき、エラーを検出すれば、計測をストップし、この場合、前回計測値の更新条件が成立しないので、前回計測値表示情報を更新しないで、保持していた正常な計測時の前回計測値表示情報を維持できる。
【0015】
また、上述の各計測器において、前記表示手段以外の報知手段をさらに備え、前記計測手段は、前記計測条件の成否を判別するに際して、前記報知手段による報知から一定の無視期間を経過するまでの計測値を無視することが好ましい。
【0016】
例えば外部からの操作となるスイッチ操作時のクリック音など、表示手段以外の報知手段を備えている場合、その報知によって、例えば電源電圧変動など、計測環境に影響することがある。これによれば、これらの報知から一定の無視期間を経過するまでの計測値を無視することにより、今回計測値の信頼性を高めることができる。
【0017】
上述の各計測器において、計測対象が体温であることが好ましい。これによれば、上述の各種利点を有しつつ、体温計として機能する。また、この場合、前記計測条件には、計測値が35℃以上の値であることが含まれることが好ましい。また、エラー検出には、35℃未満の検出が含まれることが好ましい。前述のように、計測対象が体温の場合、生きている人間が確実に体温を測定すれば、生理学上35℃未満ということは有り得ない。これらの計測器、すなわち体温計では、35℃以上の値であること計測条件とし、または35℃未満をエラー検出するので、誤作動や誤操作により今回の測温値が35℃未満となった場合、前回計測値の更新条件を満足せず、それまでの正常な計測値範囲の(すなわち35℃以上を示す)前回計測値表示情報を更新しない。一方、今回の測温値が35℃以上の場合、計測値の更新条件を満足するので、今回の正常な測温値を示す今回計測値表示情報により前回計測値表示情報を更新する。したがって、この計測器(体温計)では、35℃未満の測温値になるという誤計測の発生の有無に拘らず、35℃以上の所定の計測値条件を満足する前回計測値を確実に確認できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る計測器およびその表示方法を適用した電子体温計について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。ここで例示する電子体温計は、実測式の測温部(感温部)一体型でその全体が防浸性を有する一般用抵抗体温計に属するものである。
【0019】
図1および図2に示すように、この電子体温計1は、ABS樹脂等から成る本体ケース101を主体として全体が長さ126mm×幅17mm×高さ10mmの細長い流線型を成し、その先端部に感温部2を、やや後寄りの中央部にはその表面にポリエステル樹脂やポリエステルフィルム等から成るカバーガラス102で表面が覆われた表示部3を、後端部には電源部4を備え、後端面に電源スイッチ(以下単に「スイッチ」)SWが配設されている。なお、裏面には、型番や製造元等を示す銘板103、製造年/番号等の刻印104などが付される。
【0020】
また、電子体温計1には、図3に示すように、カスタム集積回路(以下「IC」))5を中心とする電気回路が組み込まれている。また、図示の回路部品のうち、サーミスタTH、圧電ブザーBZ、電池BT、スイッチSW、および液晶ディスプレイ(LCD)6以外は、回路基板7上に配設されている(図4〜6参照)。
【0021】
サーミスタTHは、図4および図5に示すように、エポキシ樹脂201で覆われた状態でリードワイヤLWを介して回路基板7に接続されるとともに、エポキシ接着剤202によりステンレス(SUS)等からなるセンサキャップ203内に実装され、感温部2を構成している。なお、この感温部2は、本体ケース101に接着固定され、シーリングされた状態で防浸性を保持している。
【0022】
圧電ブザーBZは、スイッチSW操作時のクリック音や検温終了時のアラーム音として音による報知(以下単に「アラーム報知」:図22参照)を行う報知手段であり、図6に示すように、表示部3の下部に実装され、ブザーリード端子BLTを介して回路基板7に接続される。
【0023】
電池BTは、同図に示すように、本体ケース101と同様のABS樹脂等から成る電池蓋401の内側に装着され、電源リード端子VLTを介して回路基板7に接続される。また、スイッチSWは、電池蓋401の後端に配設されABS樹脂等から成るスイッチボタン402を介して、回路基板7に接続されたスイッチ端子SWTを押すことにより、スイッチとしての機能を果たすように構成されている。なお、電池蓋401およびスイッチボタン402は、Oリング(パッキン)によりシーリングされて、防浸性を保持している。
【0024】
LCD6は、同図に示すように、LCDパネル302上に実装され、POM樹脂等からなるパネル枠303に固定され、図外のリードワイヤを介して回路基板7に接続される。なお、LCDパネル302の上部には、外部からLCD6が見えるように、AS樹脂等から成る表示部ガラス301が配設され、本体ケース101と超音波溶着法により溶融固定され、防浸性を保持している。
【0025】
回路基板7に実装されたIC5は、図3に示すように、端子VSSと端子VDDとの間に接続された1.5Vの電池BTを電源として、1.2〜1.8Vの動作電圧で動作する。また、図7に示すように、電源部4の回路として、電源外付けの2つの昇圧コンデンサC1、C2により2倍まで昇圧可能な電源・昇圧回路41と、電池BTの電圧が規定電圧以下になったことを検出する電池電圧低下検出(BLD)回路42を有している。
【0026】
なお、この規定電圧は、BLD回路42を機能させるためのしきい値電圧として、回路基板7の回路パターンの接続/切断(ボンディングオプション)により調整できるようになっていて、ここでは、2本(2ビット)の回路パターンbs0、bs1の電源電圧しきい値回路パターンBSPのボンディングオプションにより4通りの中から選択・設定できる。
【0027】
また、IC5のスイッチSWと接続されるIC5の端子には、誤動作を防止するための所定のチャタリング防止期間に基づいて設定された内蔵のチャタリング防止回路(図示せず)が接続されている。この電子体温計1では、所定のチャタリング防止期間を32〜63msの範囲の所定時間として定めている(図21参照)。
【0028】
また、IC5は、図3および図7に示すように、外付けの発振抵抗R1と内蔵コンデンサにより約32KHzの発振(原発振)GCを行い電子体温計1の基本クロックを生成する発振回路51と、その基本クロックの各種分周クロックなどを生成するために分周カウント等を行うカウンタ52と、そのカウント結果の出力に基づいて他の各回路を制御する制御回路53を有している。
【0029】
また、IC5は、制御回路53の制御プログラムや測温値(体温)を算出するための直線近似データ(図8参照)を記憶するROM55と、作業領域として使用するRAM56と、制御回路53の指示に従いROM55やRAM56のデータ等を使用して測温値を求めるなどの演算処理を行う演算処理部54を有している。
【0030】
なお、RAM56は電池BTの電源によりバックアップされていて(またはEEPROM等で構成されており)、電源オフ時にも後述の今回値表示情報(今回計測値情報:図20のS20参照)などのデータを保持可能になっている。
【0031】
また、IC5は、制御回路53の指示に従って温度を検出するための温度検出部20の回路を有している。この温度検出部20は、外付けの基準抵抗RSと変換コンデンサCSによる基準の充放電発振(基準発振)SC、および、外付けのサーミスタTHと変換コンデンサCSによる測温のための充放電発振(測温発振)TC(図21参照)を行う測温発振回路21と、所定の時間(図21では1.0秒(1.0s))におけるそれらの充放電回数(すなわち基準の充放電回数Ns(基準発振周波数Fs)および測温の充放電回数Nt(測温発振周波数Ft))をカウントするカウンタ22を有している。
【0032】
このIC5では、まず、いわゆる周波数比較方式によりサーミスタTHの温度依存の抵抗値Rtを検出する。すなわち、基準発振SCの時定数τs(=基準抵抗RSの抵抗値Rs×変換コンデンサCSの静電容量Cs)と測温発振TCの時定数τt(=サーミスタTHの測温時の抵抗値Rt×静電容量Cs)の比τs/τt=Rs/Rtが、それらの発振周波数Fsと発振周波数Ftの比の逆数Ft/Fs=Nt/Nsに等しくなり、これにより、
τs/τt=Rs/Rt=Ft/Fs=Nt/Ns ……(1)式
の関係が成立するので、測温時のサーミスタTHの抵抗値Rtを、
Rt=Rs・Ns/Nt ……(2)式
により算出する。
【0033】
ここで、上述のRs・Nsは回路定数から決定される既知の値なので、抵抗値Rtは、カウンタ22からのカウント出力である測温の充放電回数Ntが求まれば、求めることができる。ただし、IC5では、1回の計測において基準発振SCと測温発振TCを1組とし、実際の測温発振TCに先立つ基準発振SCにおいて、カウンタ22の機能確認を兼ねて基準の充放電回数Nsを求め、既知の値と比較することにより、計測に万全を期している(図15、図21参照)。もちろん、この基準発振SCやそれによる比較・確認は省略も可能である。
【0034】
次に、IC5では、ROM56から温度と抵抗値Rtとの関係を示す直線近似データ(図8参照)を読み出し、その直線近似データに基づいて測温値(体温)を求め、その結果を表示部3に表示する。
【0035】
このIC5における検温範囲、すなわち、電子体温計1における測温範囲は、32〜42℃(89.60〜107.60°F)、表示分解能は、0.01℃(0.01°F)、精度±0.05℃(35〜39℃、その他のレンジでは±0.1℃:室温23℃±5℃)と規定されていて、IC5は、IC5自体その他の製造ばらつきなどに対して、カウンタ22の論理を調整するための論理調整回路23を有している。
【0036】
この論理調整回路23では、7本(7ビット)の回路パターンtl0〜tl7の論理精度調整パターンTLPのボンディングオプションにより、0.005℃/ビットの調整が可能である(図3、4、7参照)。
【0037】
また、IC5は、測温値などの計測結果などを表示する表示部3の回路として、上述した測温値等のデータをLCD表示用データに変換するLCDデコーダ32と、そのLCD表示用データに基づいてLCD6を駆動するLCDドライバ31とを有している。
【0038】
電子体温計1は、IC5のマスク情報を一部変更したオプション(マスクオプション)または回路基板7上のボンディングオプションにより、表示部3のLCD6として、種々のタイプを使用できる。図9と図10は、LCD6のそれぞれ別のタイプの例を示している。
【0039】
図9のLCD6Aは、図(a)に示すように、小数点以下第2位までの基本的な数値(測温値:体温)を表示するための、小数点セグメント62およびそれぞれ7セグメントから成る4桁の数値セグメント61と、その右上に、「℃」の表示セグメント63と、その下に、電池BTの電圧が規定電圧以下になったことを示すBLDマーク(▽マーク)の表示セグメント64と、を有している。
【0040】
一方、図10のLCD6Bは、図(a)に示すように、小数点以下第1位までの数値を表示するための、小数点セグメント62、最上位に「1」の表示ができる2セグメントから成る1桁の数値セグメント65、および、それぞれ7セグメントから成る3桁の数値セグメント61と、その右上に「℃」または「°F」の両方の表示ができる「°E」の表示セグメント66と、その下に、BLDマークの表示セグメント64と、を有し、主に米国等で使用される華氏の単位「°F」を用いた測温にも対応できるようになっている。
【0041】
図9(a)や図10(a)の全セグメントを点灯させた表示(全点灯表示)は、後述の今回値表示において、2回目計測が終了する前に表示条件が成立したときの表示に用いられ(図21参照)、この全点灯表示では、全セグメントが点灯するので、LCD6等の正常作動の確認などに利用できる。
【0042】
また、IC5は、測温値(仮確定値または今回計測値)が、電子体温計1の測温範囲(IC5の検温範囲)である32.00〜42.00℃(89.6〜107.6°F)の下限値(32.00℃(89.6°F))未満のときには、両図(b)のように「L」(低温値表示)を表示し、正常範囲(測温範囲)のときには、同図(c)のようにその測温値(計測値表示:仮確定値表示または今回計測値表示)を表示し、上限値(42.00℃(107.6°F))を超えたときには、同図(d)のようにブランク(高温度表示)を表示する(図16参照)。
【0043】
また、IC5は、計測の進行状況や計測値に拘らず、電池BTの電圧が規定電圧以下になったときには、同図(e)に示すように、BLDマーク(BLD表示)を表示する。
【0044】
なお、同図(d)の高温度表示は、IC5のマスクオプションまたは回路基板7のボンディングオプションにより、点線で示す「H」の表示に変更できる。
【0045】
また、同図(b)〜(d)の「℃」または「°F」の表示は、後述の計測条件が成立し、今回計測値が確定した後には、点灯表示に変化するが(図11のk参照)、それ以前の計測中には、計測中を示すために点滅表示される(図11のj参照)。
【0046】
このため、電子体温計1では、後述の2回目計測が終了する前に表示条件が成立したときには(図11の▲3▼▲5▼、図21〜図23参照)、今回値表示において、計測中を示す上述の全点灯表示の後、仮確定値の表示とともに「℃」または「°F」を点滅表示させる(図11の▲6▼▲7▼j参照)。また、2回目計測が終了後に表示条件が成立したとき(図11の▲3▼▲6▼参照)も、今回計測値確定前には(図11のd参照)、仮確定値の表示とともに「℃」または「°F」の点滅表示が行われる(図11の▲7▼j、図24参照)。
【0047】
したがって、この電子体温計1では、計測条件が成立する前に表示条件が成立した場合、すなわち、後述の今回計測値が確定する前に、前回値表示が今回値表示に切り替わった場合(図21、図22参照)、今回値表示として、刻々と変化する仮確定値や計測中を示す表示(全点灯表示、「℃」または「°F」の点滅表示)を行うので、ユーザは、計測中であることを知ることができ、計測をしているという安心感が得られる。
【0048】
また、仮確定値とともに計測中を示す表示(「℃」または「°F」の点滅表示)を行うことにより、仮確定値が一定の値に安定してきた場合でも、それを今回計測値として誤認するのを防止できる。
【0049】
図11は、上述のようなLCD6の表示の種別、切替条件および表示データの流れを示すイメージ図である。例えば、同図の▲1▼「電池電圧が規定電圧以下」の条件が成立すると、LCD表示データとしてBLD表示データが選択される。すなわち、LCD6の表示はBLD表示となる(図9(e)、図10(e)参照)。このような場合、以下の説明では、▲1▼のルートが確保されたものとして「LCD表示←BLD表示」のように表現し、フローチャート上も同様に示す(図12のS2参照)。
【0050】
なお、上述の表現は、ハードウェア(論理回路)上、あるいはソフトウェアで処理する場合であっても、選択・切替回路や選択・切替処理上のデータの流れ(ルート)を確保するものなので、通常のフローチャート上のデータの代入文とは異なる。
【0051】
例えば、後述の例のように、▲2▼「LCD表示←前回値表示」と▲5▼「今回値表示←全点灯表示」のルートが確保されてる状態で、▲3▼(表示条件成立により)「LCD表示←今回値表示」が確保されると、「LCD表示←今回値表示←全点灯表示」のルートが確保され、その結果、LCD6は、図9(a)または図10(a)で前述のような全点灯表示となる。すなわち、「LCD表示←全点灯表示」のルートが確保されたことになる。
【0052】
また、同様に、その後、▲6▼「今回値表示←計測値表示」に切り替えると(ルートが確保されると)、「LCD表示←今回値表示←計測値表示」となるので、LCD表示は計測値表示となる。計測値表示では、図9および図10で前述のように、数値部分の表示と点滅表示の単位(℃または°F)部分の表示から成る計測条件未成立の間の仮確定値表示か、数値部分と点灯表示の単位の表示から成る計測条件成立後の今回計測値表示のいずれかの表示となる。
【0053】
また、同図に示すように、本実施形態における表示条件は、a「初回計測終了後」およびb「SWオン−OPEN後」と定めている。なお、この表示条件は、前回値表示から今回値表示に切り替えるための条件なので、その前提としてf「前回値表示中」の条件も表示条件に含まれている。
【0054】
また、計測条件は、c「初回計測値を除くこと」、d「今回計測値を確定するためには、所定範囲内(32〜42℃)で連続4回最大値の更新がないこと」およびe「アラーム後、所定時間(3秒)の計測値を除くこと」と定めている。表示条件や計測条件については、さらに後述する。
【0055】
次に、電子体温計1の制御全体の処理フローについて、上述の図11のイメージ図および主要タイミングを示す図21〜図26のタイムチャートを参照しつつ、図12以降に基づいて説明する。
【0056】
計測(測温)や表示に関する最初の処理として、まず、SW−CLOSE処理は、図12に示すように、スイッチSWを押すことにより発生する割り込み(SW−CLOSE割込)により起動される。
【0057】
なお、以下の説明では、電源スイッチを兼ねた前述のスイッチSWを使用することを前提とするが、電源オン後の状態において他のスイッチを利用して本処理を起動する構成にすることもできる。また、以下では、ROM55の制御プログラム等に基づいてソフトウェア的に処理するように説明するが、以下の処理は、基本的に、カスタム集積回路(IC5)によって実行される処理なので、以下の処理の全部または一部をハードウェア(論理回路等)で実現することもできる。
【0058】
SW−CLOSE割込により本処理が起動(開始)すると、図12に示すように、電源電圧は充分か否か、すなわち、電池電源が規定電圧を維持しているか否かを判別し(S1)、充分でないとき(S1:No)には、「LCD表示←BLD表示」に切り替え(S2:図11の▲1▼)、ユーザが確認できるように1分経過するまで待ってから(S3)、ストップする(S4:STOP処理については図20で後述する)。
【0059】
また、電源電圧が充分なときには(S1:Yes)、次に、測温許可フラグがオンか否か(TSF=0か否か)を判別する(S5)。この測温許可フラグがオン(TSF=1)のときは(S5:No)、SW−CLOSE割込以前がオン状態にあったことを意味し、このSW−CLOSE割込はオフ操作のためのものなので、次に、ストップする(S4)。
【0060】
また、測温許可フラグがオフ(TSF=0)のときは(S5:Yes)、SW−CLOSE割込以前がオフ状態にあったことを意味し、このSW−CLOSE割込はオン操作のためのものなので、次に、測温許可フラグをオン(TSF=1)にし(S6)、計測開始処理を行った(S7:図14参照)後、何らかの割込が発生して(S9:Yes)、対応する割込処理を行う(S10)まで、待機(WAIT)する(S8)。
【0061】
ここで、電源電圧が規定電圧を維持しているか否かは、上述のSW−CLOSE割込発生時以外にも、BLD回路42により随時チェックされていて、規定電圧以下になると、BLD割込が発生して、図13に示すように、BLD表示処理を起動する。すなわち、この処理が起動されると、まず、「LCD表示←BLD表示」の切替えを行い(S11:図11の▲1▼)、ユーザが確認できるように1分経過するまで待ってから(S12)、ストップする(S13)。
【0062】
また、上述の測温許可フラグオン(S6)の後、計測開始処理(S7)が起動されると、図14に示すように、まず、チャタリング防止期間tch(図21の例では、32〜63ms)が経過するまで待った(S21)後、発振回路51による原発振GCを開始し(S22)、カウンタ52による分周カウント等の期間(以下「分周期間」:同例では100ms)が経過後(S23)、測温発振回路21およびカウンタ22による基準発振SC〜測温発振TCおよびその充放電回数のカウント(Ns、Nt)を開始し(S24)、初回測温フラグをオン(T1F=1)にする(S25)。
【0063】
すなわち、基準発振SC〜測温発振TCの開始によって今回の計測を開始し(S24)、初回測温であることを明示するとともに、その初回測温による測温値を無視するための準備として初回測温フラグをオン(T1F=1)にする(S25)。
【0064】
初回測温フラグをオン(T1F=1)にすると(S25)、次に、「今回値表示←全点灯表示」を設定し(S26:図11の▲5▼)、続いて、「LCD表示←前回値表示」を設定した(S27:図11の▲2▼)後、表示切替許可フラグをオン(DSF=1)にし(S28)、処理を終了する(S29)。
【0065】
なお、上述の処理において基準発振SC〜測温発振TCの開始(S25)〜表示切替許可フラグオン(S28)の処理は、処理順が前後しても支障のないものであり、特にこれらの処理をハードウェア(論理回路等)で実現する場合、ほぼ同時に実行できる。すなわち、計測に関する処理(S24、S25)と表示に関する処理(S26〜S28)とを相前後してほぼ同時に実行できる。
【0066】
上述のように、電子体温計1では、今回の計測の開始とほぼ同時に、前回計測値の表示を開始(S7)するので、前回計測値の表示により前回計測値の確認ができる。また、今回の計測の期間と表示条件が成立するまでの前回計測値の表示の期間とを重複させることができる(両期間が並行して経過する)ので、前回計測値の表示の期間に今回の計測を進めることができる(図21、図22参照)。
【0067】
基準発振SC〜測温発振TCおよびその充放電回数のカウント(Ns、Nt)が開始され(S24)、まず、初回計測の基準発振SCおよびその充放電回数の基準カウント値Nsがカウントされると、基準発振終了割込が発生し、図15に示すように、基準発振周波数確認処理が起動される。
【0068】
基準発振周波数確認処理が起動されると、同図に示すように、基準カウント値、すなわち基準の充放電回数Nsを取得し(S31)、基準カウント値を確認、すなわち既知の値と検出した値とを比較した(S32)後、一致していれば(S33:Yes)、処理を終了し(S34)、一致していないときには(S33:No)、エラー報知(ブザーBZによるアラーム報知)をした(S35)後、ストップする(S36)。この処理は、2回目以降の計測についても同様に行われる。
【0069】
なお、前述のように、この処理はカウンタ22の機能確認を兼ねて計測に万全を期すためのものであり、省略も可能である。また、ここでは、アラーム報知としたが、図10のLCD6Bの場合、その右上に「°E」の表示セグメント66を有しているので、「E」のみを表示してエラー表示とするなど、適宜変更できる。
【0070】
基準発振周波数確認処理が終了して、測温発振TCおよびその充放電回数の測温カウント値Ntがカウントされると、測温発振終了割込が発生し、図16に示すように、測温処理が起動される。
【0071】
測温処理が起動されると、同図に示すように、まず、2回目以降(T2F=1)か否かを判別し(S41)、2回目以降でないときには(S41:No)、次に、初回測温(T1F=1)か否かを判別して(S42)、初回測温でもないときには(S42:No)、予定されていない(誤作動などによる)割込の発生なので、何も処理しないで終了する(S47)。なお、ここで、エラー報知などをするようにしても良い。
【0072】
初回測温(T1F=1)のときには(S42:Yes)、初回測温による測温値を無視して、初回測温フラグをオフ(T1F=0)にし(S43)、2回目以降の測温の準備として、初回測温終了フラグをオン(T2F=1)にする(S44)。
【0073】
次に、最大カウント値の初期化、すなわち連続4回の最大値履歴用の変数MAXC1〜MAXC4と最近の測温値用の変数MAXCCを初期化(=0)した(S45)後、表示切替処理を行って(S46)、処理を終了する(S47)。
【0074】
一般に、計測器では、所定の計測期間として、計測の開始から回路等が安定するまでの所定時間や所定の回数だけ試験的に計測する試計測期間など、その間の計測値を無視する計測期間、すなわち、アイドリング期間を設けることにより、今回計測値の信頼性を高められる。
【0075】
例えば、電子体温計では、計量法に基づく電子体温計の検定時において、恒温水槽中等の温度の安定した被測温物の温度測定をする場合、1回目の測温発振時の温度値がサーミスタの発熱により1/100℃程度高めに外れることがある。
【0076】
そこで、電子体温計1では、計測条件として初回計測値を除き(図11のc参照)、すなわち、上述のように、初回計測値を無視することにより、初回の測温発振時における誤測温(誤計測)などのリスクを回避して、今回計測値の信頼性を高めるようにしている。
【0077】
一方、この期間は、表示条件が成立するまでの前回計測値の表示期間と重複させることができる。すなわち、前回計測値の表示期間と重複させれば、同等の期間を従来のものに設けたときと比べて、表示条件が成立するまでの期間分だけ、今回計測値が確認できるまでの期間を短縮できる。
【0078】
そこで、電子体温計1では、表示条件としても初回計測を試計測としている(図11の▲5▼▲6▼a、図22参照)。すなわち、前回値表示中も測温発振することにより測温回路のアイドリングができるので、回路動作が安定し、より正確な測温が可能となり、これにより、前回計測値を確認した後、より信頼性の高い今回計測値をより早く確認できる。
【0079】
上述した図16の表示切替処理(S46)が起動されると、図17に示すように、まず、表示切替が許可されている(DSF=1)か否か、すなわち、LCD表示が前回値表示中か否かを判別し(S51)、誤作動などにより前回値表示になっていないか、あるいは、すでに今回値表示に切り替えられていて前回値表示中でないときには(S51:No)、表示切替は不適当、あるいは不要なので、そのまま何もしないで、処理を終了する(S55)。
【0080】
前回値表示中で表示切替が許可されているときには(S51:Yes)、表示条件が成立しているか否かを判別し(S52)、成立しているときには(S52:Yes)、「LCD表示←今回値表示」(図11の▲3▼)に切り替えた(S53)後、表示切替許可フラグをオフ(DSF=0)にしてから(S54)、処理を終了する(S55)。成立していないときには(S52:No)、そのまま、処理を終了する(S55)。
【0081】
図11で前述のように、本実施形態における表示条件は、a「初回計測終了後」およびb「SWオン−OPEN後」と定めている。このため、図16の測温処理において、初回計測終了後(TSF=1)の条件が成立してから図17の表示切替処理(図16のS46)を起動しても、「LCD表示←今回値表示」の切替え(S53)は行われず、その後、b「SWオン−OPEN後」の条件が成立したときに、切り替えられる(図21、図22参照)。
【0082】
そこで、次に、スイッチSWを離すことにより発生する割り込み(SW−OPEN割込)により、SW−OPEN処理が起動されると、図18に示すように、まず、測温が許可されている(TSF=1)か否かを判別する(S61)。許可されていない(TSF=0の)ときには(S61:No)、SW−OPEN割込以前がオフ状態にあったことを意味する。
【0083】
すなわち、その前のSW−CLOSE処理が図12で前述のオフ操作のためのものであり(図12のS5:No)、次に、ストップ(S4:図20参照)が実行されるので、何もしないで処理を終了する(S64)。もっとも、スイッチSWが電源スイッチを兼ねている場合、オフと判別される(S61:No)前に電源オフとなり(図20のS96)、本処理自体が実行されないので、この判別処理(S61)は測温が許可されていること(S61:Yes)の確認的な処理となる。
【0084】
測温が許可されているときには(S61:Yes)、次に、SWオン−OPENフラグをオン(SOPF=1)にした(S62)後、表示切替処理を行って(S63)、処理を終了する(S64)。
【0085】
上述の図18の表示切替処理(S63)が起動されると、前述と同様に、図17の表示切替処理が行われ、図18のSW−OPEN処理が起動される前に図11のa「初回計測終了後」(TSF=1)の条件が成立していれば、「LCD表示←今回値表示」の切替え(S53)が行われる。また、a「初回計測終了後」(TSF=1)の条件が成立していなければ、「LCD表示←今回値表示」の切替え(S53)は行われず、その後、a「初回計測終了後」の条件が成立したときに、切り替えられる(図23参照)。
【0086】
ところで、本実施形態の電子体温計1では、SW−OPEN処理は、上述の表示条件にのみ使用され、他の処理のトリガ等になるものではない。すなわち、表示条件として用いない場合には、SW−OPEN処理は不要である。
【0087】
すなわち、前述の従来の温度計測器では、オン操作を構成するスイッチを押す(閉:CLOSE)操作(第1切替操作)と離す(開:OPEN)操作(第2切替操作)の2操作が、それぞれ前回計測値の表示開始のトリガと今回計測の開始のためのトリガとなっていたため、キースイッチなどの2操作を要するオン操作手段が必須となっていたが、この電子体温計1(計測器)では、第2切替操作を表示条件として用いない限り、単一のトリガでよいので、単一の操作でオン操作可能なスライドスイッチやロータリースイッチなども適用でき、その場合、スイッチ等の操作数も半減できる。
【0088】
また、2操作を要するオン操作手段が必須でないことから、本実施形態のスイッチSW(構成的にはキースイッチの一種)などのように、オン操作手段が2操作を要する手段である場合であっても、その第1切替操作により、今回の計測を開始することができ、第2切替操作により今回の計測を開始する従来のものより、より早く今回計測値を求めることができる。
【0089】
また、2操作を要するオン操作手段が必須でないことから、その第2切替操作を他の目的で使用することができる。すなわち、例えば本実施形態のように、その第2切替操作(SW−OPEN操作)を、表示条件に含ませることにより(b「SWオン−OPEN後」(SOPF=1)の条件)、表示条件に他の条件(a「初回計測終了後」(TSF=1)の条件)が含まれていても、他の条件成立よりもこの第2切替操作を意識的に遅らせることにより、任意の期間だけ、前回計測値の確認をすることができる(図24、図25参照)。
【0090】
また、この場合も、第1切替操作(SWオン−CLOSE操作)から第2切替操作(SWオン−OPEN操作)までの期間は、今回の計測の期間と重複する期間なので、今回の計測を遅らせることなく、前回計測値の確認ができる。また、この第2切替操作を、今回計測値確定後まで遅らせれば、前回計測値の表示が終了すると同時に今回計測値の表示となり、前回と今回の計測値の確認およびそれらの比較などがし易くなる(図25参照)。
【0091】
また、本実施形態における計測条件、すなわち、今回計測値を確定するための条件は、図11で前述のように、c「初回計測値を除くこと」、d「今回計測値を確定するためには、所定範囲内(32〜42℃)で連続4回最大値の更新がないこと」およびe「アラーム後、所定時間(3秒)の計測値を除くこと」と定めている。
【0092】
図16に戻り、前述のように、測温発振終了割込が発生し、測温処理が起動されると、まず、2回目以降(T2F=1)か否かを判別する(S41)。ここで、2回目以降のときには(S41:Yes)、上述のc「初回計測値を除くこと」の条件が成立するので、次に、最後のアラーム報知後、所定時間(3秒)経過しているか否かを判別し(S48)、経過していないときには(S48:No)、そのときの測温値(計測値)を無視して、そのまま終了する(S47)。
【0093】
一般の計測器において、例えば、ブザー、アラーム、他の表示手段などの、今回計測値を表示する表示手段以外の報知手段を起動することが、電源電圧変動などの計測環境に影響することがある。
【0094】
そこで、電子体温計(計測器)1では、前述した初回計測値と同様に、今回計測値を確定するときに、これらの誤計測の可能性のある期間の計測値を無視することにより、今回計測値の信頼性を高めるようにしている。なお、上述の処理(S48)では、その期間を、所定時間(3秒)で定めているが、例えば、アラーム報知後、所定回数(例えば1回程度)の試計測期間(計測値を無視する計測の期間)などに基づいて定めても良い。
【0095】
また、本実施形態におけるアラーム報知(ブザーBZによる報知)は、正常な動作を行っている場合、SWオン−CLOSE操作時にクリック音として(図22中のαは、図21のチャタリング防止期間tch(32〜63ms)+分周期間(100ms))、および、今回計測値が確定したときにその終了報告として(図19のS87:3秒)、利用される。
【0096】
しかし、前者による所定時間は、c「初回計測値を除くこと」の条件と重複し(図22参照)、後者は、今回計測値確定後なので、(図22の今回計測値確定直後のn+1回目の計測値が無視されるだけで、)計測の制限とはなっていない。
【0097】
ただし、(例えば図15のエラー報知(S35)などの)他のタイミングで報知が行われれば(図26参照)、その後の所定時間に行われた(図26の例では3回目の)計測の計測値を無視することになる(図26の仮確定値(1)と仮確定値(2)は同一の値となる)。
【0098】
一方、最後のアラーム報知後、所定時間(3秒)が経過しているときには(S48:Yes)、次に、「今回値表示←計測値表示」に切り替えた(S49:図11の▲6▼)後、今回計測値確定処理を行ってから(S50)、処理を終了する(S47)。
【0099】
図16で上述の今回計測値確定処理(S50)が起動されると、図19に示すように、まず、測温カウント値Ntを取得し(MAXCC←Nt)(S71)、次に、最大カウント値を更新する(MAXCC←max[MAXCC,MAXC4]:ここで、max[a,b]は、aまたはbのいずれか大きい方の値)(S72)。
【0100】
最大カウント値更新(S72)が終了すると、次に、その最大カウント値MAXCCが32℃におけるカウント値NMINより小さいか否かを判別し(S73)、小さいときには(S73:Yes)、「計測値表示←低温度表示」(図11のh)に切り替える(S74)。
【0101】
一般に、体温計では、計測対象の体温により感温部2が温まるまで、所定の時間を要するので、この場合、次に、2回目計測後、すなわち、試計測の初回計測を除き最初の計測が終了してから、3分経過しているか否かを判別する(S75)。
【0102】
3分経過していないときは(S75:No)、まだ、感温部2が温まっていないものと判別して、処理を終了するが(S77)、経過しているときには(S75:Yes)、電子体温計1の測温範囲の下限値でもある32℃に、3分経過しても満たないことから、計測異常と判別して、ストップする(S76)。なお、ここで、エラー報知などをするようにしても良い。
【0103】
次に、最大カウント値MAXCCが所定のカウント値NMIN以上のときには(S73:No)、次に、その最大カウント値MAXCCが42℃におけるカウント値NMAXより大きいか否かを判別し(S78)、大きいときには(S78:Yes)、「計測値表示←高温度表示」(図11のg)に切り替える(S79)。
【0104】
本処理では、上述した最大カウント値更新(S72)により得られた最大カウント値MAXCCを保持(ホールド)するため、42℃におけるカウント値NMAXより大きい値が出現すると、それ以降、所定の計測値範囲(32〜42℃)にならない。すなわち、それ以降の計測は無意味となるので、この場合も、計測異常と判別して、ストップする(S80)。なお、ここでも、エラー報知などをするようにしても良い。
【0105】
一般に、計測器には、電子体温計や電子血圧計など、正常な計測値が所定の計測値範囲内の値となることが知られているものがある。本実施形態の電子体温計1もその種の計測器であり、計測対象を体温として、所定の計測値範囲を32〜42℃等と定めておくことにより、計測値(体温)がこの計測値範囲内にあるときには正常、範囲外のときには不正と判断できる。
【0106】
このため、上述のように、電子体温計1では、所定の計測値範囲(32〜42℃)を計測条件に含め(図11のdの前半)、今回計測値の確定(終了)の目安にすることにより、32℃未満や42℃を超える値が計測されたときに、それを計測異常と判別している。また、その場合、それ以降の計測は無意味となるので、計測を終了して、ストップしている(S76、S80)。
【0107】
すなわち、電子体温計(計測器)1では、今回計測値が所定の計測値範囲内の値となるか否かが確定したこと、言い換えれば、計測異常か否かが確定したことを、計測条件に含め、それを、今回計測値の確定の目安にし、計測終了の条件としているので、計測に要する時間の短縮ができ、これにより、再計測の機会がより早く得られるなど、操作性や利便性が向上している。
【0108】
次に、最大カウント値MAXCCが所定のカウント値NMAX以下のときには(S78:Yes)、最大カウント値MAXCCが所定の計測値範囲(32〜42℃)に対応するカウント値なので、前述の(2)式および図8の直線近似データに基づいて測温値を求め(S81)、「計測値表示←測温値表示」(図11のi)に切り替えた(S79)後、記憶値を更新する(S83)。
【0109】
この記憶値更新(S83)では、過去4回分の最大カウント値の履歴を記憶する。すなわち、図11で前述の計測条件c〜eのうちのc「初回計測値を除くこと」(図16のS41参照)およびe「アラーム後、所定時間(3秒)の計測値を除くこと」(図16のS48参照)は成立しているので、残る1つの条件であるd「今回計測値を確定するためには、所定範囲内(32〜42℃)で連続4回最大値の更新がないこと」を判別するために、過去4回分の最大カウント値の履歴を記憶する。
【0110】
具体的には、図示のように、「第1カウント値MAXC1←第2カウント値MAXC2」、「第2カウント値MAXC1←第3カウント値MAXC3」、「第3カウント値MAXC3←第4カウント値MAXC4」、および「第4カウント値MAXC4←最大カウント値MAXCC」の代入処理を行う(S84)。
【0111】
記憶値更新(S83)が終了すると、次に、今回計測値が確定済(TEF=1)か否かを判別し(S84)、確定済でないときには(S84:No)、次に、連続4回最大値の更新がないか否かを判別する(S85)。具体的には、最大カウント値が連続4回一定であること、すなわち、「MAXC1=MAXC2=MAXC3=MAXC4」か否かを判別する(S85)。
【0112】
そして、最大値の更新があったときには(S85:No)、そのまま終了し(S86)、最大値の更新がないときには(S85:Yes)、アラーム報知により測温の終了を報知する(S87)。この時点で、図11で前述の計測条件c〜eが全て成立するので、次に、今回計測値確定フラグをオン(TEF=1)にし(S88)、表示切替処理を行った(S89)後、処理を終了する(S90)。
【0113】
なお、ここで、表示切替処理(S89)が挿入されているのは、後述の「表示条件に計測条件の全部が含まれる場合(図27〜図28参照)にも対応することを想定したものであり、そのような条件設定が想定できなければ、省略できる。
【0114】
一般に、計測器には、計測値が一定の値に収束するものがある。このような場合、計測値の変化がなくなったとき、すなわち、計測値が一定となったときに最終値が得られる。ただし、測定器には、所定の誤差が許容されているので、最終的に一定となるのを待たなくとも、その誤差範囲内で、直線近似等により最終値を得ることができる。
【0115】
このため、電子体温計1の上述の「最大カウント値が連続4回一定である」の判別(S85)も、上述のような完全に一定になっているのを判別する方法ではなく、所定時間後に一定になることを直線近似等により求めて、その値を最終値(体温)として確定することもできる。
【0116】
すなわち、電子体温計(計測器)1では、計測条件に、最近の計測値の変化が所定の変化範囲内にあること(一定も含む)が含まれることにより、直線近似等により求めた値を今回計測値にするなど、計測値確定(終了)の条件とすることができ、この結果、計測に要する時間の短縮が可能になり、操作性や利便性を向上できる。
【0117】
一方、今回計測値が確定済(TEF=1)のときには(S84:Yes)、次に、表示条件が成立してから30分経過しているか否かを判別し(S91)、経過していないときには(S91:No)、そのまま処理を終了し(S93)、経過しているときには(S91:Yes)、ストップする(S92)。
【0118】
次に、所定のストップ条件が成立すると、図20に示すように、ストップ処理(STOP処理)が起動される。
【0119】
このストップ条件としては、(a)「LCD表示←BLD表示」に切り替え後、1分経過したとき(図12のS3〜S4、図13のS12〜S13)、(b)スイッチSWによるオフ操作のためのSW−CLOSE割込が発生したとき(図12のS5〜S4)、(c)取得した基準カウント値Nsが既知の値と一致せず、エラー報知がされたとき(図15のS32〜S36)、(d)2回目計測後3分経過しても測温範囲の下限値(32℃)に満たないとき(図19のS74〜S76)、(e)測温値が測温範囲の上限値(42℃)を超えたとき(図19のS79〜S80)、および、(f)表示条件が成立した後、30分経過しているとき(図19のS91〜S92)。
【0120】
そして、上述のストップ条件は、スイッチSWのオフ操作(SWオフ)によるもの(上記の(b))、表示条件成立後の所定時間経過(オートオフ)によるもの(上述の(f))、および、何らかの異常(エラー)によるもの(上述の(a)、(c)〜(e))、に大別される(「SWオフorオートオフorエラー」:図11の▲4▼)。
【0121】
これらの「SWオフorオートオフorエラー」のストップ条件が成立して、STOP処理が起動されると、図20に示すように、まず、今回値表示の表示情報(今回値表示情報)を記憶した(S95)後、オフ処理を行って(S96)、全処理を終了する(S97)。
【0122】
ここで、今回値表示情報には、図11の▲5▼〜▲6▼およびg〜kの設定情報など、本処理(STOP処理)起動時の今回値表示を再現できるための情報が含まれる。そして、この今回値表示情報は、今回値表示情報記憶(S95)において、前回値表示情報に切り替えられ、次回の計測まで前回値表示情報として保持される(S951)。
【0123】
また、オフ処理(S96)では、測温許可フラグをオフ(TSF=0)にし、LCD6の表示をオフにするとともに、スイッチSWが電源スイッチを兼ねているときには、電源をオフする(S96)。
【0124】
上述のように、電子体温計(計測器)1では、スイッチSW(オフ操作が可能なオフ操作手段)によりオフ操作ができるので、任意の時点でオフ状態にすることができる。
【0125】
また、その時点で、今回計測値がまだ確定されていないときには、仮確定値表示(図11の▲6▼▲7▼:仮確定値の表示)や計測中を示す表示(図11の▲5▼または▲6▼j)のための計測中表示情報を、今回値表示情報(今回計測値表示情報)として記憶するので、仮に計測途中でオフ状態にしても、次回のオン操作において、その仮確定値表示や計測中を示す表示を前回値表示(前回計測値の表示)として表示できる。これにより、仮確定値の表示情報から前回計測中の仮確定値を確認でき、計測中を示す表示情報から前回計測途中でオフ状態となったことを知ることができる。
【0126】
なお、電子体温計1では、オフ操作手段として、オン操作手段と同一のスイッチSW(構成的にはキースイッチの一種:同一のスイッチの2度の押下の1度目がオン操作、2度目がオフ操作)を使用しているが、オン操作手段とは別の手段(例えばオン操作手段がオンスイッチの場合、オフ操作手段がオフスイッチ)としても良い。また、スライドスイッチやロータリースイッチの別の位置を、オン状態の位置とオフ状態の位置などのように定めることもできる。
【0127】
また、電子体温計(計測器)1では、所定の今回値表示期間(上述の例では30分)が経過したときに、オートオフのストップ条件が成立してLCD6の表示をオフする。すなわち、自動的に表示を終了させるオートオフ機能(自動オフ切替手段)を備えているので、ユーザが特になにもしなくても(オフ操作を忘れても)オフ状態に戻すことができる。
【0128】
なお、上述の例では、今回値表示期間を、所定時間(30分)により定めているが、この他、所定回数(例えば900回程度)の計測期間などに基づいて定めても良い。
【0129】
上述のように、電子体温計1は、図11〜図20を参照して説明した処理により、図21〜図26に示すように作動する。
【0130】
すなわち、電子体温計(計測器)1では、例えば図21〜図22に示すように、今回の計測の開始と同時(あるいは人目では判別しにくい程度に前後のタイミング:ほぼ同時)に、前回値表示(前回計測値の表示)を開始するので、前回計測値の表示により前回計測値の確認ができる。
【0131】
また、今回の計測の期間と表示条件が成立するまでの前回計測値の表示の期間とを重複させることができる(両期間が並行して経過する)ので、前回計測値の表示の期間に今回の計測を進めることができる。すなわち、この期間に試計測期間などのいわゆるアイドリング期間を設けられるので、前回計測値を確認した後、より信頼性の高い今回計測値をより早く確認できる。
【0132】
また、所定の表示条件が成立した後に今回計測値を表示するので、その表示条件の定め方により、表示する今回計測値をより信頼性の高いものにしたり、その表示タイミングを調整したりするなどの、種々の工夫ができる。
【0133】
また、電子体温計(計測器)1では、所定の計測条件が成立した後に今回計測値を確定するので、例えば計測環境の条件や計測または確定・タイミングの条件(図11のc〜e等参照)など、計測値の信頼性や計測器の操作性・利便性などを高めるための種々の条件を定め、それが成立後に今回計測値を確定することにより、その今回計測値の信頼性を高めるなど、種々の工夫ができる。
【0134】
また、電子体温計(計測器)1では、表示条件に、今回計測値を確定する前提となる計測条件の一部を含んでいる。すなわち、図22または図26などから明かなように、図11で前述の表示条件のうち、a「初回計測終了後」の条件は、同図の計測条件の、c「初回計測値を除くこと」の条件と実質的に同じであり、このa「初回計測終了後」の条件を含むことによって、表示条件の成立時には、他の表示条件に拘らず、必ずその計測条件(上記c)が成立している(図23参照)。
【0135】
そして、このことにより、表示される計測値は、その計測条件を満足する計測値、すなわち、初回の測温発振時における誤測温(誤計測)などのリスクを回避した信頼性の高い計測値となる。また、この場合、表示条件に含まれる計測条件成立までの前回計測値の確認期間が確保でき、かつ、前回計測値を確認した後、今回計測値をより早く確認できる。
【0136】
なお、表示条件に、計測条件の全部を含めても良い。例えば、図27および図28に示すように、上述の表示条件のa「初回計測終了後」の条件の代わりに、計測条件の全部をそのまま含めれば、他の条件(例えば、図11のb「SWオン−OPEN後」の条件)に拘らず、表示条件の成立時には、必ずその計測条件の全部が成立し、今回計測値が確定しているので、表示される計測値は、今回計測値となる。すなわち、この場合、表示条件に含まれる計測条件成立までの前回計測値の確認期間が確保でき、かつ、前回計測値を確認した直後に、今回計測値を確認できる。
【0137】
また、表示条件に、所定の前回値表示期間が経過したことを含めることもできる。この場合、前回値表示期間は、所定時間や所定回数の計測期間などに基づいて定めれば良い。例えば、2回目計測終了までを前回値表示期間と定めれば、図29〜図31に示すように、(全点灯表示期間を廃止して、)他の条件に拘らず、最低限その分(2回目計測終了まで)の期間だけは、前回計測値の確認ができる。
【0138】
すなわち、前回値表示期間として十分な期間を定めておけば、前回計測値の確認を十分に行うことができる。また、この前回値表示期間は、今回の計測の期間と重複して(並行に)経過する期間なので、今回の計測を遅らせることなく、前回計測値の確認ができる。
【0139】
また、前回計測値の表示に代えて今回計測値を表示する場合、表示条件に他の条件が含まれるときに、前回値表示期間を他の条件が成立するまでの期間より長く定めれば、図31〜図32に示すように、表示条件全体の成立時を前回値表示期間の経過時と一致させることができるので、所望の期間だけ前回計測値の確認を行うことができる。
【0140】
なお、この場合の前回値表示期間も、所定時間(例えば1分程度)や所定回数(例えば30回程度)の計測期間などに基づいて定めれば良い。
【0141】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0142】
例えば、上述の実施形態では、本発明の計測器およびその表示方法を、電子体温計に適用したが、電子体温計と同様の要望のある計測器、例えば電子血圧計や赤外線体温計などにも適用できる。また、電子体温計や電子血圧計などの計測器と同様に、計測に先立ち、前回の計測値を確認したいという要望のある計測器に適用できる。
【0143】
また、上述の実施形態では、前回計測値の表示に代えて、すなわち切り替えて、今回計測値を表示するものであったが、前回計測値を確認した後、より信頼性の高い今回計測値をより早く確認するという課題
(目的)や、上述した種々の作用・効果を得られる点において、前回計測値とともに今回計測値を表示できる計測器、すなわち同時に確認できる計測器に対しても、適用できる。
【0144】
また、上述の実施形態では、図20で前述のように、所定のストップ条件が成立して、STOP処理が起動されると、今回値表示情報記憶(S95)において、今回値表示情報を無条件に新たな前回値表示情報として記憶し、次回の計測まで前回値表示情報として保持する(S951)ようにしたが、この前回値表示情報の更新に所定の条件、すなわち次回の計測において今回計測値を前回計測値として表示するための所定の条件(前回計測値更新条件:以下単に「前回計測値条件」)を設けることもできる。
【0145】
具体的には、例えば図33に示すように、STOP処理が起動された後の今回値表示情報記憶(S95)において、まず、今回値表示の対象となっている測温値が35℃以上の前回計測値条件を満足するか否かを判別し(S950)、前回値表示情報を更新するか(S950:Yes)、更新しないか(S950:No)を決定して、更新する場合(S950:Yes)にのみ、今回値表示情報を新たな前回計測値として記憶して保持する(S951)。
【0146】
すなわち、計測対象が体温の場合、生きている人間が確実に体温を測定すれば、生理学上35℃未満ということは有り得ない。上述の場合、35℃以上の値であることを前回計測値条件とするので、誤作動や誤操作により今回の測温値が35℃未満となった場合(S950:No)、前回計測値条件(S950)を満足せず、それまでの正常な計測値範囲の(すなわち35℃以上を示す)前回計測値表示情報を更新しない。
【0147】
一方、今回の測温値が35℃以上の場合(S950:Yes)、前回計測値条件(S950)を満足するので、今回の正常な測温値を示す今回計測値表示情報により前回計測値表示情報を更新する(S951)。したがって、この場合の電子体温計1では、35℃未満の測温値になるという誤計測の発生の有無に拘らず、35℃以上の所定の前回計測値条件を満足する前回計測値を確実に確認できる。
【0148】
例えば、前述の実施形態では、前回値表示から今回値表示に切り替える表示条件として図21〜図31で前述の種々の条件を設定することにより、前回値表示において前回計測値を確認する期間が確保されるが、表示条件に対する「SWオン−OPEN後」の条件(図11のb)の比重が重い場合(図21等参照)、ユーザが他に気を取られていて前回計測値を確認しないままスイッチSWを離して(SWオン−OPEN操作をして)しまう可能性もある。
【0149】
まして、従来と同様に、「SWオン−OPEN操作」のみによって、今回値表示に切り替わるような計測器(体温計)では、前回計測値を確認する期間が確保されていないので、上記のような失敗をする可能性が非常に高い。すなわち、「SWオン−CLOSE操作」直後に指が滑った(SWオン−OPEN操作となる)だけで、表示が切り替わってしまい、前回計測値を確認できなくなる(図34参照)。
【0150】
このような場合、無条件で(すなわち正常な計測でなくても)前回計測値表示情報を更新すると、今回値表示に切り替えられた直後に、ユーザが前回計測値を未確認だったことに気がつき、あわててスイッチSWを押し(SWオフ)、さらに押し直しても(SWオン−CLOSE操作)、単にあわててスイッチSWを押す(SWオフ)までの誤計測の結果による前回計測値しか確認できない。
【0151】
それに対し、例えば図33で上述の「35℃以上」(S950)などの前回計測値条件を設けておけば、上述の「前回計測値を確認しないままSWオン−OPEN操作をしてしまう」などの失敗(誤操作)をしても、誤操作による(35℃未満の誤計測値の)今回計測値表示情報は記憶されない。
【0152】
すなわち、スイッチSWを押し直すだけで、今回の誤計測以前から記憶されていた(35℃以上の)所定の前回計測値条件を満足する前回計測値を確実に確認できるので、ユーザにとっての使い易さ(操作性)を向上できる。
【0153】
なお、上述のSTOP処理を起動するストップ条件は、前述のように、「SWオフorオートオフorエラー」であり、スイッチSWのオフ操作(SWオフ)によるもの、表示条件成立後の所定時間経過(オートオフ)によるもの、および、何らかの異常(エラー)によるものに大別される(図11の▲4▼参照)。
【0154】
このため、上述の「測温値が35℃以上」の条件以外にも、例えば「測温値が35℃以上かつ42℃以下」等としても良いし、例えば「エラーが発生していない」や「スイッチSWのオン操作(SWオン−CLOSE)からオフ操作(SWオフ)までが1分以上」などの他の条件を前回計測値条件として設けることもできる。
【0155】
また、上述の図33を参照しての説明は、前述の実施形態に対応させて電子体温計1の場合の説明となっているが、これは理解を容易にするためであって、他の計測器にも適用できる。すなわち、前述の電子血圧計や赤外線体温計などを初めとする他の計測器でも、一般に、正常な計測値が所定の計測値条件を満たすことが知られているものがある。
【0156】
例えば、血圧計では「60以上」や「200以下」または「60〜120」など、心泊(脈拍)計では「40〜160」など、体脂肪率計では「5〜40」など、の種々の前回計測値条件を設けられる。
【0157】
また、一般的な(標準の)計測値条件でなくても、ユーザにとっての独自の(判断)基準となる前回計測値条件、例えば体重計で「60〜65(Kg)」などを任意に設定できるようにしても良い。また、この場合、逆に「66Kg以上」のようにユーザ自身にとっての異常値(アラーム値)のみを前回計測値として表示させるようにすることもできる。
【0158】
これらの計測器においても、前述の電子体温計1と同様に、今回の計測まで保持していた前回計測値表示情報に基づいて前回計測値の表示を行うことにより、前回計測値の確認ができる。
【0159】
また、所定の前回計測値条件を設け、今回の計測による今回計測値が所定の前回計測値条件を満足する場合、今回計測値の表示のための今回計測値表示情報を、次回の計測まで前回計測値表示情報として保持することにより、次回の計測では、今回計測値を前回計測値として表示できる。
【0160】
また、今回計測値が所定の前回計測値条件を満足しない場合、それまで保持していた前回計測値表示情報を維持するようにすることにより、次回の計測では、今回の計測における前回計測値を前回計測値として、すなわち、次回からみて前々回の計測値を前回計測値として表示できる。
【0161】
このため、正常な計測値範囲を前回計測値条件として定めておけば、たとえ今回の計測において、誤作動や誤操作による誤計測が発生しても、次回の計測においては、正常な計測により計測された最後の計測値を前回計測値として表示できる一方、今回の計測が正常であれば、その計測値を次回の計測における前回計測値として表示できる。
【0162】
したがって、本発明を適用することにより、これらの計測器では、誤計測の発生の有無に拘らず、所定の前回計測値条件を満足する前回計測値を確実に確認できる。
【0163】
その他、本発明を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【0164】
【発明の効果】
上述のように、本発明の計測器およびその表示方法によれば、誤計測の発生の有無に拘らず、所定の前回計測値条件を満足する前回計測値を確実に確認できる、などの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子体温計の外観斜視図である。
【図2】図1の電子体温計の組立図である。
【図3】図1の電子体温計内の電気回路図である。
【図4】図1の電子体温計内の回路基板図である。
【図5】図1の電子体温計の感温部の構造図である。
【図6】図1の電子体温計の表示部近傍の構造図である。
【図7】図1の電子体温計のブロック図である。
【図8】直線近似データの一例を示す図である。
【図9】表示部のLCDの構成およびその表示例を示す説明図である。
【図10】別の例を示す、図9と同様の図である。
【図11】LCDの表示の種別、切替条件および表示データの流れを示すイメージ図である。
【図12】SW−CLOSE処理を示すフローチャートである。
【図13】BLD表示処理を示すフローチャートである。
【図14】計測開始処理を示すフローチャートである。
【図15】基準発振周波数確認処理を示すフローチャートである。
【図16】測温処理を示すフローチャートである。
【図17】表示切替処理を示すフローチャートである。
【図18】SW−OPEN処理を示すフローチャートである。
【図19】今回計測値確定処理を示すフローチャートである。
【図20】STOP処理を示すフローチャートである。
【図21】計測および表示に関する主要タイミングの一例を示すタイムチャートである。
【図22】図21の例に対応する内部処理の諸条件に関するタイムチャートである。
【図23】別の例に対応する、図22と同様のタイムチャートである。
【図24】さらに別の例に対応する、図22と同様のタイムチャートである。
【図25】さらに別の例に対応する、図22と同様のタイムチャートである。
【図26】さらに別の例に対応する、図22と同様のタイムチャートである。
【図27】さらに別の例に対応する、図22と同様のタイムチャートである。
【図28】さらに別の例に対応する、図22と同様のタイムチャートである。
【図29】さらに別の例に対応する、図22と同様のタイムチャートである。
【図30】さらに別の例に対応する、図22と同様のタイムチャートである。
【図31】さらに別の例に対応する、図22と同様のタイムチャートである。
【図32】さらに別の例に対応する、図22と同様のタイムチャートである。
【図33】別の例を示す、図20と同様の図である。
【図34】従来例における、図21と同様のタイムチャートである。
【符号の説明】
1 電子体温計
2 感温部
3 表示部
4 電源部
5 カスタム集積回路(IC)
6 液晶ディスプレイ(LCD)
7 回路基盤
20 温度検出部
21 測温発振回路
22 カウンタ
23 論理調整回路
42 BLD回路
SW スイッチ
TH サーミスタ
RS 基準抵抗
CS 変換コンデンサ
BZ 圧電ブザー
BT 電池
Claims (6)
- 外部からの操作により今回の計測を開始するとともに、前記今回の計測の開始まで保持していた前回計測値表示情報に基づいて前回計測値の表示を開始し、その後、今回計測値の表示を開始する計測器であって、
前記今回計測値として安定した確定値を得るための計測条件の成立と前記計測に関するエラー検出とをそれぞれ1のストップ条件として含む複数のストップ条件が規定されており、
前記今回の計測の開始から前記計測を繰り返して、前記複数のストップ条件のうちのいずれかが成立したときに、そのときの計測値を前記今回計測値とする計測手段と、
前記複数のストップ条件のうちの前記エラー検出以外のいずれかのストップ条件が成立したときに、前記今回計測値の表示のための今回計測値表示情報により前記前回計測値表示情報を更新し、それ以外では、前記前回計測値表示情報を維持する記憶手段と、
前記前回計測値の表示および前記今回計測値の表示を行う表示手段と、
を備えたことを特徴とする計測器。 - 前記計測の開始からの経過時間または測定回数に基づくアイドリング期間が定められており、
前記計測手段は、前記計測条件の成否を判別するに際して、前記アイドリング期間中の計測値を無視することを特徴とする、請求項1に記載の計測器。 - 前記計測条件の必要条件の1つとして、条件判別直前の計測値を含む予定の連続回数の計測値の全てが予定の温度範囲内であり、且つ、その間の測定値により今回計測値として確定すべき値が更新されていないこと、が含まれていることを特徴とする、請求項1または2に記載の計測器。
- 前記エラー検出には、
当該計測器の電源となる電池の電圧が既定値外であることの検出と、
当該計測器における計測の基準となる周波数が不正であることの検出と、
計測値が示す温度が予定の温度範囲外であることの検出と、
のうちの少なくとも1の検出が含まれることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の計測器。 - 前記表示手段以外の報知手段をさらに備え、
前記計測手段は、前記計測条件の成否を判別するに際して、前記報知手段による報知から一定の無視期間を経過するまでの計測値を無視することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の計測器。 - 外部からの操作により今回の計測を開始するとともに、前記今回の計測の開始まで保持していた前回計測値表示情報に基づいて前回計測値の表示を開始し、その後、今回計測値の表示を開始する計測器の表示方法であって、
前記今回計測値として安定した確定値を得るための計測条件の成立と前記計測に関するエラー検出とをそれぞれ1のストップ条件として含む複数のストップ条件が規定されており、
前記今回の計測の開始から前記計測を繰り返して、前記複数のストップ条件のうちのいずれかが成立したときに、そのときの計測値を前記今回計測値として求め、
前記複数のストップ条件のうちの前記エラー検出以外のいずれかのストップ条件が成立したときに、前記今回計測値の表示のための今回計測値表示情報により前記前回計測値表示情報を更新し、それ以外では、前記前回計測値表示情報を維持することを特徴とする計測器の表示方法。
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