JP3726071B2 - 熱処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,基板の熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造工程においては,例えば,SOD(Spin on Dielectric)膜形成システムにより層間絶縁膜を形成している。このSOD膜形成システムでは,半導体ウェハ(以下「ウェハ」という)上に絶縁膜材料を主成分とする塗布液を塗布する塗布処理,塗布液中の溶剤を蒸発させる加熱処理,塗布膜を硬化させる硬化処理等が行われている。
【0003】
上記塗布膜の硬化処理では,従来から例えば50〜100枚程度のウェハをまとめて加熱炉に搬入し,当該ウェハを例えば400℃程度の高温に約2時間かけてゆっくり昇温していた。その後ウェハを400℃で所定時間,例えば1時間程度加熱し,当該加熱が終了すると,ウェハを加熱炉内で約2時間かけてゆっくり降温し,その後加熱炉から搬出していた。このように硬化処理には,ウェハの昇温,加熱及び降温を併せて5時間〜6時間程度の時間を要していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,上述したようなバッチ式の硬化処理では,時間がかかり過ぎる。特に,製品の多種多様化に伴い,少枚数単位でのウェハ製造が行われており,硬化処理もより少ない単位での処理が必要になってきている。上記バッチ式の硬化処理は,ウェハの変量生産に対応できないため,少ない枚数にもかかわらず,長時間の硬化処理が必要になる。このため,ウェハを少枚数単位で処理をすればするほど,ウェハの処理効率が低下する結果となっていた。
【0005】
そこで,例えば目標温度である400℃に維持された熱板上にウェハを載置して,ウェハを一枚ずつ処理する枚葉式の硬化処理が提案できる。この硬化処理では,一枚当たりのウェハの処理時間を短縮することができ,ウェハの少枚数での処理には適している。しかしながら,目標温度まで一気に昇温するこの枚葉式の硬化処理では,加熱炉の場合に比べて処理後の誘電率,硬さ等の絶縁膜の膜質が劣る傾向にあることが,発明者の実験等により確認されている。
【0006】
本発明は,かかる点に鑑みてなされたものであり,少枚数単位の処理を短時間で行うことのできる枚葉式の硬化処理においても,従来の加熱炉と同等の膜質が得られるような硬化処理等の熱処理方法を提供することをその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によれば,絶縁膜材料が塗布された基板を一枚ずつ加熱する枚葉式の熱処理装置において,基板を熱処理する熱処理方法であって,基板を熱板上に載置して,基板を所定温度に加熱する工程と,前記所定温度に加熱された基板に対して放射線を照射して,基板を段階的に昇温する工程とを有し,前記放射線は,赤外線と紫外線であり,前記基板を段階的に昇温する工程は,赤外線と紫外線の照射を切り替えることにより行われることを特徴とする熱処理方法が提供される。
【0008】
基板上の塗布膜が硬化されるまでには,例えば絶縁膜材料がポーラス材料の場合,先ず膜の骨格が形成され,塗布膜内に粒子状物が形成される。その後その粒子状物が膜内から飛び出して空孔が形成され,さらにその空孔が形成された膜が焼き固められている。発明者の知見によると,膜の骨格が形成され,当該膜内に粒子状物が形成される温度,膜内から粒子状物が放出され空孔が形成される温度,膜が焼き固まる温度がそれぞれ存在し,膜が焼き固まる温度は,粒子状物が膜内から放出される温度より高く,粒子状物が膜内から放出される温度は,膜の骨格と粒子状物が形成される温度よりも高い。また,この粒子状物が膜内から完全に飛び出すには,十分な時間が必要である。そして,上述した枚葉式の硬化処理では,基板が一気に昇温されるので,例えば粒子状物が十分に形成される前に,粒子状物が膜内から放出される温度に達し,不完全な粒子状物が膜内から飛び出していると推測できる。また,総ての粒子状物が放出される前に,膜が焼き固まる温度に到達し,膜が固まり始めていると推測できる。つまり,上記枚葉式の硬化処理の膜質が上記加熱炉に比べて劣るのは,絶縁膜材料の化学的な反応が順序よく行われていないことに起因すると考えられる。本発明によれば,放射線を用いて,基板を段階的に昇温するので,例えば基板を,粒子状物が形成される所定温度で加熱し,膜の骨格と粒子状物が完全に形成された後に,基板を昇温し,粒子状物を適切に膜内から放出することができる。また,総ての粒子状物が膜から飛び出た後に,基板をさらに昇温し,基板上の塗布膜を焼き固めることができる。このように,硬化処理の膜内の反応を順を追って行うことができるので,従来の加熱炉と同等の膜質が得られる。また,放射線による照射は,基板を迅速に昇温することができるので,その分硬化処理にかかる時間を短縮することもできる。
また,前記放射線は,紫外線と赤外線であり,前記基板を段階的に昇温する工程は,紫外線と赤外線の照射を切り替えることによって行われるので,基板の段階的な昇温を実現でき,照射源の出力を制御する必要がない。
【0009】
前記基板を段階的に昇温する工程は,基板を所定の中間温度まで昇温し,当該中間温度で所定時間維持する工程と,その後,基板を目標温度まで昇温する工程とを有するようにしてもよい。また,前記中間温度は,前記基板上の絶縁膜材料内に形成された粒子状物が当該絶縁膜材料内から放出される温度であってもよい。かかる場合,基板を一旦中間温度に維持するので,例えば上述したように絶縁膜内から,後にポーラスとなる粒子状物が適切に放出される。したがって,総ての粒子状物が膜内から飛び出る前に絶縁膜が焼き固まることがなく,基板上の絶縁膜材料の化学的な反応が順序よく行われる。したがって,基板上に形成される絶縁膜の膜質を高いレベルに維持できる。
【0010】
なお,参考までに,放射線は,複数の照射源から放射されており,前記基板を段階的に昇温する工程は,放射線を放射している照射源の数を増やすことにより行われてもよく,この場合,放射源の出力を一定にした状態でも,基板を昇温できるので,照射源の制御がより簡単になる。なお,さらに参考までに,複数の照射源は,赤外線を照射する照射源と紫外線を照射する照射源を備えていてもよい。
【0012】
前記熱処理方法は,前記放射線の照射によって基板の温度が熱板の温度よりも高くなった時に,当該基板を前記熱板から離す工程を有していてもよい。基板の温度が熱板の温度よりも高くなった後に,基板を熱板に載置しておくと,基板の熱が逆に熱板に奪われ,基板の昇温速度が低下する。この熱処理方法によれば,基板の熱が熱板に奪われることがないので,基板の昇温をより短時間で行うことができる。
【0013】
前記絶縁膜材料は,多孔質膜材料であってもよい。かかる場合,上述したように膜の骨格と粒子状物が形成される過程と,粒子状物が放出され空孔が形成される過程,絶縁膜が焼き固められる過程があり,基板を段階的に昇温することによって,粒子状物が十分に形成されてから空孔が形成され,空孔が十分に形成されてから絶縁膜が焼き固められる。この結果上述の加熱炉と同様の絶縁膜の膜質が得られる。なお,多孔質膜材料には,有機又は無機のポーラス系の樹脂(ポーラス材料),例えばシロキサン系ポリマー,有機ポリマー等が含まれる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は,本実施の形態にかかる熱処理方法が実施されるSOD膜形成システム1の構成の概略を示す平面図であり,図2は,SOD膜形成システム1の正面図であり,図3は,SOD膜形成システム1の背面図である。このSOD膜形成システム1は,例えばウェハW上に低誘電率の層間絶縁膜(Low―K膜)を形成するための処理システムである。
【0015】
SOD膜形成システム1は,図1に示すように,例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部からSOD膜形成システム1に対して搬入出したり,カセットCに対してウェハWを搬入出したりするカセットステーション2と,SOD膜形成工程の中で枚葉式に所定の処理を施す各種処理装置を多段配置してなる処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0016】
カセットステーション2では,載置部となるカセット載置台10上の所定の位置に,複数のカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在となっている。そして,このカセット配列方向(X方向)とカセットCに収容されたウェハWのウェハ配列方向(Z方向;鉛直方向)に対して移送可能なウェハ搬送体11が搬送路12に沿って移動自在に設けられており,各カセットCに対して選択的にアクセスできるようになっている。
【0017】
ウェハ搬送体11は,ウェハWの位置合わせを行うアライメント機能を備えている。このウェハ搬送体11は後述するように処理ステーション3側の第3の処理装置群G3に属するエクステンション装置31に対してもアクセスできるように構成されている。
【0018】
処理ステーション3では,その中心部に主搬送装置13が設けられており,この主搬送装置13の周辺には各種処理装置が多段に配置されて処理装置群を構成している。このSOD膜形成システム1においては,4つの処理装置群G1,G2,G3,G4が配置されており,第1及び第2の処理装置群G1,G2はSOD膜形成システム1の正面側に配置され,第3の処理装置群G3は,カセットステーション2に隣接して配置され,第4の処理装置群G4は,主搬送装置13は挟んで,第3の処理装置群G3の反対側に配置されている。主搬送装置13は,これらの処理装置群G1,G2,G3及びG4内に配置されている後述する各種処理装置に対して,ウェハWを搬入出可能である。なお,処理装置群の数や配置は,ウェハWに施される処理の種類によって異なり,任意に選択可能である。
【0019】
第1の処理装置群G1では,例えば図2に示すように絶縁膜材料を含む塗布液をウェハWに塗布する塗布処理装置17,18が下から順に2段に配置されている。第2の処理装置群G2には,例えば塗布処理装置17等で用いられる塗布液等が貯蔵され,当該塗布液等の供給源となる処理液キャビネット19と,塗布処理装置20とが下から順に2段に配置されている。
【0020】
第3の処理装置群G3では,例えば図3に示すように,ウェハWを冷却処理するクーリング装置30,ウェハWの受け渡しを行うためのエクステンション装置31,ウェハWを低温で加熱処理する低温加熱処理装置32,ウェハWを硬化処理する熱処理装置としてのDCC(Dielectric Cure and Cooling−off)装置33,34,が下から順に例えば5段に積み重ねられている。
【0021】
第4の処理装置群G4では,例えばクーリング装置40,41,低温加熱処理装置42,ウェハWを低酸素雰囲気に維持して加熱処理する低酸素加熱処理装置43,44が下から順に例えば5段に積み重ねられている。
【0022】
次に,上述のDCC装置33,34の詳しい構成を,DCC装置33を例に採って説明する。図4は,DCC装置33の構成の概略を示す縦断面の説明図であり,図5は,DCC装置33の構成の概略を示す横断面の説明図である。
【0023】
DCC装置33は,図4,図5に示すように全体がケーシング33aで覆われており,そのケーシング33a内には,ケーシング33a内を二分割する仕切板50が設けられている。この仕切板50によって加熱処理室S1,冷却処理室S2が形成されている。これらの各処理室S1,S2は,ケーシング33a,仕切板50によって密閉可能であり,各処理室S1,S2内の雰囲気を所定の雰囲気に維持できる。
【0024】
加熱処理室S1の中央部には,ウェハWを載置し加熱する熱板60が設けられている。熱板60は,例えば厚みのある円盤状に形成されており,その材質には,熱伝導性の優れたもの,例えばセラミックスである炭化ケイ素や窒化アルミニウム等が用いられている。
【0025】
熱板60には,例えば給電により発熱するヒータ61が内蔵されている。ヒータ61は,例えばその電源62の出力がコントローラ63によって制御されており,熱板60の温度を所定温度に維持できるようになっている。
【0026】
熱板60には,図5に示すように例えば3つの貫通孔64が形成されている。各貫通孔64には,図4に示すようにウェハWの裏面を支持して昇降する昇降ピン65がそれぞれ挿入されている。昇降ピン65は,例えばシリンダ等を備えた昇降機構66により上下動する。したがって,昇降ピン65に支持されたウェハWを熱板60上に載置したり,熱板60上のウェハWを持ち上げたりすることができる。また,昇降機構66は,例えばコントローラ63によりその動作が制御されており,昇降ピン65は,ウェハWを所定のタイミング,所定の高さに昇降することができる。
【0027】
例えば加熱処理室S1の上部には,赤外線照射装置67が設置されている。赤外線照射装置67は,下方に向けて赤外線を照射する照射源としての赤外線ランプ68を備えている。赤外線ランプ68の照射量は,例えば赤外線ランプ68に印加する電圧により可変であり,赤外線ランプ68の電源69は,例えばコントローラ63により制御されている。つまり,コントローラ63は,赤外線ランプ68の照射量を調整できる。
【0028】
例えば熱板60上には,温度センサである熱電対Kが取り付けられている。この熱電対Kは,赤外線の照射される位置に設けられており,熱板60と赤外線によって加熱されるウェハWの温度を疑似的に検出できる。熱電対Kで検出される温度データは,コントローラ63に出力可能であり,コントローラ63は,当該温度データに基づいて赤外線ランプ68の出力を調整できる。したがって,コントローラ63は,赤外線ランプ68の出力を調整し,熱板60上のウェハWの温度を所定の温度に調整できる。
【0029】
加熱処理室S1のケーシング33aの側面には,図示しない供給源から硬化処理ユニット65内に気体,例えば不活性気体,ヘリウムガス,窒素ガス等を供給する第1の気体供給管70が接続されている。ケーシング33aの下面には,加熱処理室S1内の雰囲気を排気するための第1の排気管71が設けられている。かかる構成から,第1の気体供給管70から加熱処理室S1内に所定の気体を供給し,第1の排気管71から排気することによって,ケーシング33a内を所定の雰囲気に維持することができる。
【0030】
一方,冷却処理室S2側には,図5に示すように略方形の板状の冷却板80が設けられている。冷却板80は,ウェハWよりも大きい形状を有し,ウェハWが冷却板80上に置かれると,ウェハWの裏面全面が冷却板80に接する。冷却板80内には,図4に示すように例えば所定温度に調整された流体が通過する流路80aが形成されており,当該流体によって冷却板80は,所定の温度に維持される。したがって,冷却板80に載置されたウェハWは,所定温度に冷却される。冷却板80は,例えばシャフト81を介して,モータ等を備えた水平駆動部82に取り付けられている。水平駆動部82は,冷却板80の下方に敷設されたレール83に移動自在に取り付けられている。レール83は,X方向(冷却処理室S2側から加熱処理室S1側に向かう方向)に延びており,冷却板80は,レール83に沿って加熱処理室S1内の熱板60上まで移動できる。
【0031】
冷却板80には,図5に示すようにスリット状の切り欠き80b,80cが形成されている。切り欠き80b,80cは,冷却板80の加熱処理室S1側の端部から冷却板80中央部に向けて形成されており,冷却板80と加熱処理室S2の昇降ピン65とが干渉しないようになっている。したがって,冷却板80が熱板60上まで移動した際に,昇降ピン65が上下動して,冷却板80と昇降ピン65との間でウェハWの受け渡しができる。昇降ピン65は,上述したようにウェハWを熱板60上に載置自在であるので,冷却板80は,昇降ピン65を介して熱板60との間でウェハWの受け渡しができる。
【0032】
例えば冷却処理室S2のケーシング33aの側面には,図示しない供給源から冷却処理室S2内に,窒素ガス等の気体を供給する第2の気体供給管84が接続されている。ケーシング33aの下面には,冷却処理室S2内の雰囲気を排気するための第2の排気管85が設けられている。したがって,冷却処理室S2においても,第2の気体供給管84から所定の気体を導入し,第2の排気管85から排気することによって,冷却処理室S2内を所定の雰囲気に維持することができる。
【0033】
また,冷却処理室S2側のケーシング33aの主搬送装置13側の側面には,図5に示すようにウェハWをDCC装置33に対して搬入出するための搬送口86が設けられている。搬送口86には,シャッタ87が設けられており,ウェハWの搬入出時以外は,シャッタ87が閉鎖され,ケーシング33a内を密閉できる。
【0034】
また,仕切板50には,冷却板80が通過する通過口90が形成されており,当該通過口90には,例えば上下動するシャッタ91が設けられている。これにより,加熱処理室S1,冷却処理室S2間でウェハWを搬送する時以外は,シャッタ91を閉じて,各処理室S1,S2の雰囲気を維持できる。
【0035】
次に,以上のように構成されているDCC装置33の作用について,SOD膜形成システム1で行われるSOD膜形成工程のプロセスと共に説明する。
【0036】
先ず,ウェハ搬送体11によりカセットCから未処理のウェハWが1枚取り出され,第3の処理装置群G3に属するエクステンション装置31に搬送される。次いで,ウェハWは主搬送装置13によってクーリング装置30に搬送され,所定の温度に冷却される。所定温度に冷却されたウェハWは,主搬送装置13によって,塗布処理装置17に搬送される。この塗布処理装置17では,絶縁膜材料で多孔質膜材料であるMSQ(アルキルシルセスキオキサンポリマー)を含んだ塗布液がウェハW上に塗布され,塗布膜が形成される。なお,多孔質膜材料として,MSQの他,例えばダウケミカル社製のポーラスSILK等が用いられる。
【0037】
塗布処理装置17において塗布膜が形成されたウェハWは,主搬送装置13によって低温加熱処理装置32又は42,低酸素加熱処理装置43又は44に順次搬送され,塗布液内の溶剤を蒸発した後に,DCC装置33に搬送される。
【0038】
DCC装置33で所定の処理が施されたウェハWは,クーリング装置30に搬送され,冷却され,その後エクステンション装置31に戻される。エクステンション装置31に戻されたウェハWは,ウェハ搬送体11によってカセットCに搬送されて,一連のSOD膜形成工程が終了する。
【0039】
次に,上述のDCC装置33で行われる,参考例としての硬化処理プロセスについて説明する。先ず,ウェハWがDCC装置33内に搬入される前に,第1の気体供給管70から加熱処理室S1内に,例えば窒素ガスが供給され始め,加熱処理室S1内の雰囲気が第1の排気管71から排気される。また,第2の気体供給管84から冷却処理室S2内に窒素ガスが供給され,第2の排気管85から排気される。これにより,加熱処理室S1及び冷却処理室S2内が所定の窒素雰囲気に維持される。熱板60は,例えば前記低酸素加熱処理装置43の加熱温度よりも高い所定温度,例えば初期温度Lである250℃に維持される。冷却板80は,常温,例えば23℃に維持される。
【0040】
そして,前記低酸素加熱処理装置43におけるウェハ処理が終了すると,主搬送装置13によって,搬送口86からDCC装置33の冷却処理室S2内にウェハWが搬入される。搬入されたウェハWは,冷却板80上に載置される。そして,シャッタ91が開放され,冷却板80が熱板60上まで移動する。冷却板80が熱板60上まで移動すると,昇降ピン65が上昇し,ウェハWを持ち上げる。昇降ピン65がウェハWを持ち上げている間に,冷却板80が冷却処理室S2に退避し,シャッタ91が閉鎖される。その後,昇降ピン65が下降し,ウェハWが熱板60上に載置される。
【0041】
熱板60に載置されたウェハWは,図6に示すように熱板60の温度である250℃に急速に昇温される。その後,赤外線ランプ68が点灯し,熱板60上のウェハWに赤外線が照射され始める。先ず,赤外線ランプ68の照射により,ウェハWが中間温度Mである350℃に昇温される。このとき,例えばコントローラ63は,熱電対Kの温度データに基づいて,赤外線ランプ68の出力を制御して,ウェハW温度を調整する。また,コントローラ63は,例えばウェハWの350℃まで昇温するまでの時間が,所定時間t1,例えば3分以下になるように赤外線ランプ68の出力を制御する。これまでに,図7に示すようにウェハW上の塗布膜R内にポーラスとなる粒子状物Jが形成され,塗布膜Rの骨格が形成される。
【0042】
350℃に昇温したウェハWは,所定時間t2,例えば3分間その温度に維持される。この間に,図8に示すように粒子状物Jが塗布膜R内から飛び出し,塗布膜R内にポーラスである空孔Uが形成される。
【0043】
所定時間t2が経過すると,ウェハWは,図6に示すように目標温度Hである,例えば400℃に昇温される。このときも,コントローラ63により,400℃に昇温するまでの時間が,所定時間t3,例えば3分以下になるように赤外線ランプ68の出力が制御される。
【0044】
ウェハWが400℃になると,ウェハWは,所定時間t4,例えば3分間その温度で維持される。この400℃の加熱によって,ウェハW上の塗布膜が焼き固められる。所定時間t4が経過すると,赤外線ランプ68が消灯され,赤外線の照射が終了する。
【0045】
その後,昇降ピン65によりウェハWが上昇するとともに,シャッタ91が開放され,上昇したウェハWと熱板60との間に冷却板80が進入する。昇降ピン65が下降し,ウェハWが冷却板80上に載置されると,冷却板80が冷却処理室S2側に移動し,冷却処理室S2においてウェハWが所定時間冷却される。その後,ウェハWは,搬送口86から進入した主搬送装置13に受け渡され,当該ウェハWは,次工程の行われる装置に搬送される。
【0046】
以上の実施の形態によれば,一枚当たりの硬化処理の所要時間が,例えば15分程度しかかからないので,処理枚数が少ない場合,従来のバッチ式に比べてウェハWのトータルの硬化処理時間を短縮することができる。ウェハWを段階的に昇温したので,ウェハWの温度が中間温度Mに達するまでに,塗布膜R内の粒子状物Jが十分に形成される。その後ウェハWの温度を中間温度Mに維持した時に,総ての粒子状物Jが膜内から飛び出て膜内に所望の空孔Uが形成される。そして,ウェハWを目標温度Hに昇温し,維持した時に,塗布膜Rが焼き固められる。このように硬化処理における塗布膜の化学的な反応が正しい順序で確実に行われるので,迅速な昇温を行ってもウェハWの膜質が維持される。
【0047】
なお,以上の実施の形態では,ウェハWの温度を上げるための放射線として赤外線を用いたが,他の放射線,例えば紫外線やレーザ等を用いてもよい。
【0048】
以上の実施の形態では,ウェハWの段階的な昇温を,赤外線ランプ68の出力を制御することによって行っていたが,参考例として,図9に示すように赤外線照射装置100に複数,例えば2つの赤外線ランプ101,102を取付け,放射している赤外線ランプの数を増やすことによって行ってもよい。例えば,ウェハWが中間温度Mで維持されるまでは,赤外線ランプ101のみを点灯する。その後,目標温度Hに昇温する際に,赤外線ランプ101に加えて赤外線ランプ102を点灯する。これにより,ウェハWに対する赤外線の照射量が増大し,ウェハ温度が上昇する。かかる場合,赤外線ランプ101,102の出力を制御せずに,赤外線ランプ101,102のON・OFFのみでウェハWの段階的な昇温を行うことができる。なお,赤外線ランプの数は,任意に選択できる。また,赤外線ランプが複数の場合,ウェハ面内に斑なく赤外線を照射できるように,各赤外線ランプを配置する。
【0049】
さらに,複数の放射線のランプを用いてウェハWを昇温する場合,赤外線ランプと紫外線ランプを併用してもよい。紫外線ランプの照射は,塗布膜を改質する効果,例えば塗布膜表面の接触角を小さくするという効果もあり,後に塗布される上層膜が凹凸なく平坦に形成される。
【0050】
また,赤外線ランプと紫外線ランプを併用する場合,本発明のように赤外線ランプと紫外線ランプとの照射を切り替えることによってウェハWの段階的な昇温を実現してもよい。例えば,ウェハWを中間温度Mまで昇温し,維持するまでは,比較的昇温能力の低い紫外線ランプを点灯させ,紫外線をウェハWに照射する。その後,紫外線ランプを消灯し,比較的昇温能力の高い赤外線ランプを点灯して,ウェハWに赤外線を照射する。こうすることによって,ウェハWが段階的に昇温する。この場合,紫外線ランプと赤外線ランプの出力を制御する必要がないので,より簡単にウェハWの段階的な昇温を実現できる。
【0051】
また,参考例として,ウェハWの加熱中に,ウェハWと赤外線ランプ68を近づけることによって,ウェハWを段階的に昇温させてもよい。かかる場合,例えばウェハWを中間温度Mから目標温度Hに昇温する際に,昇降ピン65の昇降機構66を作動させ,昇降ピン65によってウェハWを上昇させる。こうすることにより,ウェハWが赤外線ランプ68に近づいて,ウェハWへの赤外線の照射量が増大する。それ故,赤外線ランプ68の出力を変更しなくても,ウェハWを目標温度Hまで昇温できる。さらに,赤外線照射装置67に,赤外線ランプ68の取り付けられた基台を回転させる回転機構を設けて,赤外線ランプ68を回転させてもよい。これによりウェハWへ照射される放射線量のばらつきを抑え,ウェハW全面に均一に放射線を照射できる。
【0052】
以上の実施の形態では,ウェハWを熱板60上に載置したまま,ウェハWの加熱を行っていたが,ウェハWの温度が熱板60の温度を超えた後は,昇降ピン65によってウェハWを熱板60から離すようにしてもよい。かかる場合,例えば温度センサである熱電対Kが,ウェハWの温度を逐次検出し,熱電対Kの温度データは,コントローラ63に出力される。そして,ウェハW温度が,熱板60の温度である250℃に到達した時に,コントローラ63によって昇降ピン65が上昇され,ウェハWが熱板60から離される。この場合,温度の低い熱板60によりウェハWの熱が奪われることがないので,その後のウェハWの昇温をより速く行うことができる。したがって,硬化処理全体をより短時間で行うことができる。なお,上述の温度センサは,サーモビュワー等の非接触式の温度センサを用いてもよい。
【0053】
以上,本発明の実施の形態の一例について説明したが,本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。例えば前記実施の形態では,ウェハWの昇温が2段階であったが,その数は,絶縁膜材料の種類に応じて適宜変更できる。また,絶縁膜材料として多孔質膜材料を用いたが,他の絶縁膜材料を用いてもよい。さらに,前記実施の形態では,本発明をSOD膜形成における硬化処理に適用したが,本発明は他の層間膜,例えばSOG(spin on glass)等の熱処理にも適用できる。また,基板を上記ウェハWに限定せず,方形の他の基板,たとえばLCD基板の熱処理方法に対しても適用可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば,枚葉式に硬化処理が行えるので,各基板の処理時間が短く,少枚数単位での処理時間が短縮できる。したがって,少枚数単位で行われる基板処理のスループットが向上される。また,硬化処理における絶縁膜内の化学的な反応が正しい順で確実に行われるので,基板上に高品質の絶縁膜が形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる熱処理方法が実施されるSOD膜形成システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】図1のSOD膜形成システムの正面図である。
【図3】図1のSOD膜形成システムの背面図である。
【図4】DCC装置の構成の概略を示す縦断面の説明図である。
【図5】DCC装置の構成の概略を示す横断面の説明図である。
【図6】硬化処理時のウェハ温度の時間変化を示すグラフである。
【図7】塗布膜に粒子状物が形成された様子を示したウェハの縦断面の説明図である。
【図8】塗布膜に空孔が形成された様子を示したウェハの縦断面の説明図である。
【図9】複数の赤外線ランプを備えたDCC装置の構成の概略を示す縦断面の説明図である。
【符号の説明】
1 SOD膜形成システム
33 DCC装置
60 熱板
68 赤外線ランプ
S1 加熱処理室
S2 冷却処理室
W ウェハ
Claims (5)
- 絶縁膜材料が塗布された基板を一枚ずつ加熱する枚葉式の熱処理装置において,基板を熱処理する熱処理方法であって,
基板を熱板上に載置して,基板を所定温度に加熱する工程と,
前記所定温度に加熱された基板に対して放射線を照射して,基板を段階的に昇温する工程とを有し,
前記放射線は,赤外線と紫外線であり,
前記基板を段階的に昇温する工程は,赤外線と紫外線の照射を切り替えることにより行われることを特徴とする,熱処理方法。 - 前記基板を段階的に昇温する工程は,
基板を所定の中間温度まで昇温し,当該中間温度で所定時間維持する工程と,
その後,基板を目標温度まで昇温する工程とを有することを特徴する,請求項1に記載の熱処理方法。 - 前記中間温度は,前記基板上の絶縁膜材料内に形成された粒子状物が当該絶縁膜材料内から放出される温度であることを特徴とする,請求項2に記載の熱処理方法。
- 前記放射線の照射によって基板の温度が熱板の温度よりも高くなった時に,当該基板を前記熱板から離す工程を有することを特徴とする,請求項1,2又は3のいずれかに記載の熱処理方法。
- 前記絶縁膜材料は,多孔質膜材料であることを特徴とする,請求項1,2,3又は4のいずれかに記載の熱処理方法。
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