JP3725238B2 - 車両用スタビライザー装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用のスタビライザー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スタビライザーは、左右方向に離れた2箇所の取付部において車体に回動可能に支持される横棒部と、左右の各車輪の車体に対する相対変位に伴って傾動する、横棒部の左右両端の屈曲したレバー部とを有する略コ字状に形成され、車体に対する車輪の相対変位量が左右の車輪で異なるときに、横棒部のねじれによる反力を生じて、コーナリング時等における車体のローリング角を規制すべく機能する。
【0003】
従来、スタビライザーのレバー部と車輪との間の連結部にシリンダを介設し、シリンダをその伸縮動作を許容する状態と不可とする状態とに選択自在としたものが知られている(特開昭64−56220号公報参照)。このものでは、シリンダを伸縮不可状態にすると、左右の車輪の変位量の差分だけスタビライザーがねじられるが、シリンダを伸縮許容状態にすると、左右の車輪の変位量の差がシリンダの伸縮動作で吸収されて、スタビライザーが左程ねじられなくなり、車体のローリング剛性が低くなる。
尚、従来は、スタビライザーの横棒部の左右の取付部を、車体にブラケットを介して固定されるゴムブッシュに回動自在に内嵌支持させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例のものにおいて、シリンダを配置するスタビライザーのレバー部と車輪との連結部は車輪のサスペンション部材が配置される込み入った場所であり、そのため組立やメンテナンスが面倒になり、また、シリンダ全体が車輪と共に車体に対し変位するため、シリンダへの配管の取り回しが面倒になる不具合がある。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、スペース的に余裕のある車体部分に配置した部材によって車体のローリング剛性を変化し得るようにしたスタビライザー装置を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明では、左右方向に離れた2箇所の取付部において車体に回動可能に支持される横棒部と、左右の各車輪の車体に対する相対変位に伴って傾動する、横棒部の左右両端の屈曲したレバー部とを有するスタビライザーを備えるものにおいて、横棒部の左右の取付部を、車体に対し、レバー部の傾動角を増減する方向に相対変位自在に支持する左右1対の支持ユニットと、各支持ユニットを動かして各取付部を車体に対し相対変位させる駆動源とを備え左右の支持ユニットは、車体に固定されたケーシングと、ケーシング内に収容されて駆動源により回動する回動盤と、回動盤の軸芯と偏移した軸回りに回動すべく回動盤にベアリングを介して軸支された短軸とで構成され、短軸の両端にそれぞれスタビライザーの横棒部とレバー部が着脱自在に連結されている。
【0007】
スタビライザーの横棒部の取付部を車体に対し相対変位させると、レバー部の傾動角の変化により、左右の車輪の変位量の差を生じたときの横棒部のねじれによる反力が変化し、車体のローリング剛性が変化する。
【0008】
そして、横棒部の取付部はサスペンション部材からは離れたスペース的に余裕のある部分に位置するから、取付部を支持する可動支持部材の配置場所もスペース的に余裕があり、組立やメンテナンスに支障を来たすことはない。また、可動支持部材を動かす駆動源は車体に固定できるため、駆動源への配線の取り回しを簡素化できる。
【0009】
ところで、可動支持部材にゴムブッシュを取付けて、横棒部の取付部をゴムブッシュに回動自在に内嵌支持させるようにしても良いが、これでは左右の車輪への路面からの同相の入力でスタビライザーがねじれずに単に回動しようとしても、ゴムブッシュとの間の摩擦力がスタビライザーの回動、即ち、車輪の動きに対する抵抗になり、乗り心地が悪化する要因となる。そのため、各取付部を各可動支持部材にベアリングを介して軸支し、スタビライザーが摩擦力を受けずに回動され得るようにすることが望ましい。
【0010】
また、スタビライザーは、従来、棒材をコ字状に折曲げて形成しており、車種毎に要求されるねじり剛性や軸距が異なるため、車種毎に専用のスタビライザーを用意している。この場合、各取付部を各可動支持部材に支持される短軸で構成し、スタビライザーを横棒部と左右のレバー部とに3分割して、各レバー部を各可動支持部材に支持される短軸の横方向外端部に連結すると共に、横棒部の左右の各端部を各可動支持部材に支持される短軸の横方向内端部に連結すれば、横棒部の変更のみで車種毎のねじり剛性や軸距の差異に対応することができるため、可動支持部材やレバー部を車種に係わりなく共用でき、コスト的に有利である。
【0011】
尚、中高速域での直進走行時には、左右各輪のサスペンションの独立した動きで路面の凹凸によるショックを吸収し得るようにすることが乗り心地を良くする。この場合、所定車速以上での直進走行時に、各取付部を車体に対しレバー部の傾動角を減少する方向に相対変位させれば、中高速域での直進走行時には、横棒部のねじれによる反力が減少して、左右各輪のサスペンションの動きが良くなり、乗り心地が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、1は車輪であり、車体Aにサスペンション2を介して懸架されている。サスペンション2は、アッパーアーム2aとロアアーム2bとナックル2cとダンパー2dとを有するダブルウィッシュボーン式サスペンションで構成されている。
【0013】
図1には片側の車輪1のみが図示されているが、車輪1は左右両側に設けられており、左右の車輪1間にスタビライザー3が配置されている。スタビライザー3は、車体Aに左右方向に離れた2箇所の取付部で回動自在に支持される横棒部30と、横棒部30の左右両端の屈曲したレバー部31,31とで構成されている。そして、各レバー部31に、左右の各車輪1のサスペンション2の構成部材、例えば、ロアアーム2bを連結ロッド32を介して連結し、左右の各車輪1の車体Aに対する相対変位に伴って各レバー部31が上下方向に傾動し、車体Aに対する車輪1の相対変位量に差を生じたときに横棒部30がねじられるようにしている。
【0014】
横棒部30の左右の取付部は夫々支持ユニット4を介して車体Aに支持されている。支持ユニット4は、図2及び図3に示す如く、ケーシング40と、ケーシング40内に外周のベアリング41を介して軸支した回動盤42とを備えており、回動盤42に、その回転中心0から偏心した支持穴42aを形成して、支持穴42a内にニードル式のベアリング43を介して取付部たる短軸44を軸支し、ケーシング40を短軸44の軸線が横方向を向くように車体Aに固定している。
【0015】
スタビライザー3は、横棒部30と左右のレバー部31,31とに3分割されており、短軸44の横方向外端部にレバー部31をセレーション嵌合で連結すると共に、短軸44の横方向内端部に横棒部30をセレーション嵌合で連結している。かくて、回動盤42を回動すれば、横棒部30は、回動盤42の回転中心0と同レベルの中立位置(図2に示す位置)から上下に変位する。
【0016】
ケーシング40には、電動モータや油圧モータから成る駆動源45によって駆動されるウォーム46が軸支されており、回動盤42の外周面に、所定角度範囲に亘って、ウォーム46に噛合する歯42bを形成し、駆動源45により回動盤42を回動させて、横棒部30を車体Aに対し上下方向に変位させるようにしている。図中47はウォーム46用のベアリング、48はベアリング47用の押えナットであり、該ナット48は爪付ワッシャ48aで緩み止めされている。
【0017】
図4は横棒部30の変位によるレバー部31の傾動角の変化を示しており、横棒部30が中立位置Nと、下方位置Lと、上方位置Uとに存するときのレバー部31の傾動角を夫々αN,αL,αUとして、αU<αN<αLになる。ここで、横棒部30のねじりトルクをT、レバー部31から連結ロッド32を介してロアアーム2bに作用する鉛直方向の反力をF、レバー部31の長さをla、レバー部31の傾動角をαとすると、
F=T/la・cosα
になる。従って、左右の車輪の変位量に差を生じたときの横棒部30のねじりによる反力Fは、横棒部30を下方に変位させたときに増加し、上方に変位させたときに減少する。
【0018】
前記駆動源45は、マイクロコンピュータから成るコントローラ5により図5に示す手順で制御される。これを詳述するに、先ず、旋回中か否かを判別し(S1)、旋回中のときは横Gが所定値Gs以上か否かを判別し(S2)、G≧Gsであれば、横棒部30を下方に横Gの大きさに応じて変位させるべく駆動源45を作動させる(S3)。これによれば、横棒部30のねじりによる反力Fが大きくなって、車体のローリング剛性が高くなり、旋回時の安定性が向上する。
【0019】
G<Gsであれば、横棒部30を中立位置に戻すべく駆動源45を作動させる(S4)。また、直進時は、右輪の変位量DRと左輪の変位量DLとの差の絶対値が所定値Ds以上か否かを判別し(S5)、|DR−DL|≧Dsのときは車速Vが所定値Vs以上か否かを判別する(S6)。|DR−DL|<Dsであるときや、|DR−DL|≧DsであってもV<Vsのときは、S4のステップに進んで横棒部30を中立位置に戻す。
【0020】
|DR−DL|≧Dsであって、且つ、V≧Vsのときは、横棒部30を上方に|DR−DL|の大きさに応じて変位させるべく駆動源45を作動させる(S7)。これによれば、横棒部30のねじりによる反力Fが小さくなって、左右の各車輪のサスペンション2が路面の凹凸に追従して夫々独立して応答性良く動くようになり、中高速域での直進走行時の乗り心地が良くなる。
【0021】
左右両輪に同相で路面から入力されたときは、横棒部30がねじりを生ずることなく単に回動する。本実施形態では、横棒部30をその取付部たる短軸44においてベアリング43を介して回動盤42に軸支しているため、横棒部30は摩擦力を受けることなく円滑に回動する。従って、左右両輪が抵抗を受けずに円滑に動き、乗り心地が良くなる。
【0022】
また、本実施形態では、横棒部30を変更することで、スタビライザー3のねじり剛性や長さを変更できる。従って、要求されるねじり剛性や軸距の異なる車種にも横棒部30の変更のみで対処できるようになり、支持ユニット4やレバー部31を車種に係わりなく共用でき、部品の共用化によるコストダウンを図ることができる。
【0023】
尚、上記実施形態では、横棒部30を車体に対し相対変位自在に支持する可動支持部材として回動盤42を用いているが、車体に揺動自在に取付ける揺動アームを可動支持部材とし、揺動アームにその揺動中心から離間させて横棒部30の取付部を回動自在に支持させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明装置の概略構成を示す斜視図
【図2】 図1の装置に具備する支持ユニットの截断側面図
【図3】 図2のIII−III線截断面図
【図4】 横棒部の変位によるレバー部の傾動角の変化を示す図
【図5】 横棒部の変位の制御手順を示すフローチャート
【符号の説明】
1 車輪
2 サスペンション
3 スタビライザー
30 横棒部
31 レバー部
4 支持ユニット
42 回動盤(可動支持部材)
43 ベアリング
44 短軸(取付部)
45 駆動源

Claims (2)

  1. 左右方向に離れた2箇所の取付部において車体に回動可能に支持される横棒部と、左右の各車輪の車体に対する相対変位に伴って傾動する、横棒部の左右両端の屈曲したレバー部とを有するスタビライザーを備えるものにおいて、
    横棒部の左右の取付部を、車体に対し、レバー部の傾動角を増減する方向に相対変位自在に支持する左右1対の支持ユニットと、各支持ユニットを動かして各取付部を車体に対し相対変位させる駆動源とを備え
    左右の支持ユニットは、車体に固定されたケーシングと、ケーシング内に収容されて駆動源により回動する回動盤と、回動盤の軸芯と偏移した軸回りに回動すべく回動盤にベアリングを介して軸支された短軸とで構成され、短軸の両端にそれぞれスタビライザーの横棒部とレバー部が着脱自在に連結されている
    ことを特徴とする車両用スタビライザー装置。
  2. 所定車速以上での直進走行時に、各取付部を車体に対しレバー部の傾動角を減少する方向に相対変位させることを特徴とする請求項1に記載の車両用スタビライザー装置。
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