JP3724856B2 - スローアウエイチップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属被削材に深穴等の穴明け加工をするための切削刃、特にドリルヘッドに交換可能に取り付けられる所謂スローアウエイチップに関する。
【0002】
【従来の技術】
先ず、スローアウエイチップの取り付け状態を、本発明の実施例を示す図1〜図4を参照して説明すると、図1及び図2に示すように、ドリルヘッド1の先端部に複数の取付用凹部2が設けてあって、各取付用凹部2に、スローアウエイチップ3を取り付けた取付台4がボルト5により固定されている。尚、ドリルヘッド1の取付部1aに工具シャンク部(図示せず)が取り付けられるようになっている。
【0003】
図3に示すように、取付台4にはチップ取付用凹陥部6が設けられていて、この凹陥部6にスローアウエイチップ3を嵌合し、このチップ3を、チップ固定具としてのボルト7によって固定し、これをカートリッジとして上述のようにドリルヘッド1の取付用凹部2にボルト5で固定するようになっている。尚、チップ取付用凹陥部6をドリルヘッド1自体に設けて、これにスローアウエイチップ3を直接取り付ける場合もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のスローアウエイチップ3は、図1〜図4に示すように正面視三角形の厚板状に形成されていて、その下面をチップ取付用凹陥部6の底面6aに当接させ、上記のように固定具(ボルト7)で固定するわけであるが、従来のスローアウエイチップは、チップ取付用凹陥部6の底面6aに当接するチップ下面が上記底面6aと同様な平坦面に形成されているため、チップをチップ取付用凹陥部6に取り付けるにあたって、この凹陥部6の底面6aに切粉や塵が付着している場合、その切粉等が付着したままチップを固定すると、このチップの下面がチップ取付用凹陥部6の底面6aに対し平行とならず傾斜状を呈して取付台4からのチップの突出量が変わったり、また固定具によるチップの固定力が弱くなって緩み易く、切削中にチップがガタつきを生じることがあった。また、チップの下面と前記凹陥部6の底面6aとは、それらの平面加工時の製作誤差等によって完全に面接触することが実際に難しく、この点からもチップをチップ取付用凹陥部6に確実に固定することができなかった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、チップをチップ取付用凹陥部に対し確実且つ強固に固定することのできるスローアウエイチップを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ドリルヘッド1に固定される取付台4に設けたチップ取付用凹陥部6、またはドリルヘッド1に直接設けたチップ取付用凹陥部6にチップ3を嵌合し、このチップ3の上下面3a,3b間を貫通するボルト挿通孔13にチップ固定用ボルト7を挿通し、このボルト7をチップ取付用凹陥部6の底面6aに形成されたねじ孔8に螺合して締結することにより、前記チップ3を前記凹陥部6に取り付けるようにしたスローアウエイチップ3において、前記凹陥部6の底面6aに当接するチップ3の下面3aに、微小凹凸部11,12、21,22が全面にわたって規則的に均一に形成され、該微小凹凸部11,12、21,22の各凹部11,21は、前記チップ下面3aに互いに隣接して形成された環状溝からなり、この環状溝と前記凹陥部6の底面6aとの間に空隙部を形成すると共に、この環状溝以外の部分がそれぞれ凸部12,22を形成してなることを特徴とする。
【0007】
のスローアウエイチップ3によれば、チップ下面3aがチップ取付用凹陥部6の底面6aに当接した状態において、チップ下面3aの各凸部12,22のみが凹陥部6の底面6aと接触し、各凹部11,21は上記底面6aとの間に空隙部を形成する。しかして、このチップ3をチップ取付用凹陥部6に取り付ける際に、チップ取付用凹陥部6の底面6aに切粉や塵が付着している場合には、チップ下面3aを凹陥部底面6a上で摺動させながらその底面6aに当接させるようにすることによって、切粉等がチップ下面3aの凹部11,21と凹陥部底面6aとの間の空隙部に押し込まれる状態となり、切粉等はチップ下面3aの凸部12,22との間にほとんど介在しなくなる。また、各凹部11,21は前記チップ3の下面3aに互いに隣接して形成された環状溝からなり、この環状溝以外の部分がそれぞれ凸部12,22を形成するから、このチップ3をチップ固定用ボルト7で固定すると、その固定力が、チップ下面3aの各凸部12,22を介してチップ取付用凹陥部6の底面6a全域にわたり一様に作用すると共に、各凸部12,22の周縁が上記底面6aに対し食い付き効果を発揮し、それによってチップ3はチップ取付用凹陥部6の底面6a上に確実且つ強固に固定される。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、本発明に係るスローアウエイチップ3をドリルヘッド1に取り付けた状態を示すもので、ドリルヘッド1の先端部に複数の取付用凹部2が設けられ、各取付用凹部2に、スローアウエイチップ3を取り付けた取付台4がボルト5により固定されている。図3及び図4は、スローアウエイチップ3を取付台4に取り付けた状態を示したもので、この取付台4の先端側には、スローアウエイチップ3が嵌合可能なチップ取付用凹陥部6が形成され、この凹陥部6の底面6aには固定具としてのチップ固定用ボルト7を螺合するねじ孔8が形成されている。また、取付台4の基端側には、取付台固定用のボルト5を挿通するボルト挿通穴9が貫設されている。
【0011】
このスローアウエイチップ3は、正面視正三角形の厚板状に形成されると共に、各隅角部が丸く形成され、その正面、即ち上面3bには若干膨出する段部10が形成され、そしてチップ取付用凹陥部6の底面6aに当接する当該チップ3の下面3aには微細な凹凸部11,12が多数配設されている。また、このチップ3の中央部にはチップ固定用ボルト7を挿通するボルト挿通孔13が上下面3b,3aを貫通して形成されている。尚、上記ボルト挿通孔13は、その入口部がチップ固定用ボルト7の皿頭部に対応するテーパ状に形成されている。
【0012】
図5は、チップ取付用凹陥部6に嵌合されたスローアウエイチップ3の拡大縦断面図、図6はスローアウエイチップ3の下面3a側を拡大して示したもので、これらの図から明らかなように微小凹凸部11,12は、チップ下面3a全面にわたって規則的に均一に形成されている。これら微小凹凸部11,12のうち各凹部11は、チップ3下面に互いに隣接して形成された円形の環状溝からなり、この円形環状溝以外の部分がそれぞれ凸部12を形成している。
【0013】
このようにチップ下面3aに微小凹凸部11,12を形成したスローアウエイチップ3によれば、図5に示すようにチップ下面3aがチップ取付用凹陥部6の底面6aに当接した状態において、チップ下面3aの各凸部12のみが凹陥部6の底面6aと接触し、各凹部11は上記底面6aとの間に空隙部を形成することになる。従って、このスローアウエイチップ3を取付台4のチップ取付用凹陥部6に取り付ける際に、チップ取付用凹陥部6の底面6aに切粉や塵が付着している場合には、チップ下面3aを凹陥部底面6a上で摺動させながらその底面6aに当接させるようにすることによって、上記切粉等がチップ下面3aの凹部11と凹陥部底面6aとの間の空隙部に押し込まれてしまい、切粉等はチップ下面3aの凸部12との間にほとんど介在しなくなる。そして、各凸部12の周縁がチップ取付用凹陥部6の底面6aに対し所謂食い付き効果を発揮することができる。
【0014】
従って、斯かる状態で、このチップ3をチップ固定用ボルト7で締結固定すると、このボルト7の固定力が、チップ下面3aの各凸部12を介してチップ取付用凹陥部6の底面6a上に分散してスポット的に作用すると共に、各凸部12の周縁が上記底面6aに対し食い付き効果を発揮し、これによってこのチップ3はチップ取付用凹陥部6の底面6a上に確実且つ強固に固定される。また、上記のようにボルト7の固定力が各凸部12を介してチップ取付用凹陥部6の底面6a上にスポット的に作用することから、上記底面6a上に多少の切粉等が残存していても、上記ボルト7の固定力を各凸部12を介し局部的に上記底面6a上に作用させることができて、チップ3を確実に固定することができる。
【0015】
この場合、微小凹凸部11,12が、チップ下面3a全面にわたって規則的に均一に形成されているため、ボルト7の固定力がチップ取付用凹陥部6の底面6a全域に一様に作用すると共に、各凸部12による食い付き効果がより効果的に発揮され、チップ3を一層強固に固定することができる。
【0016】
図7の(A)及び(B)は、六角形の環状溝からなる凹部21と、この凹部21以外の部分に形成される凸部22とからなる微小凹凸部21,22を、スローアウエイチップ3の下面3aに形成した例を示している。これによると、六角形環状溝からなる凹部21によって前記食い付き効果がより一層効果的となる。また、本発明に係る微小凹凸部の各凹部は、円形や六角形の環状溝に限らず、楕円形、三角形、四角形等に形成することができるものである。
【0018】
以上説明した実施例では、ドリルヘッドに固定される取付台にチップ取付用凹陥部を設けているが、チップ取付用凹陥部をドリルヘッドに直接設けて、このドリルヘッドのチップ取付用凹陥部にスローアウエイチップを直接取り付けるようにしてもよい。
【0019】
【発明の効果】
本発明のスローアウエイチップによれば、チップ取付用凹陥部の底面に当接するチップ下面に、互いに隣接して形成された環状溝の凹部と、この環状溝以外の部分で形成する凸部とからなる微小凹凸部を、全面にわたって規則的に均一に形成したことにより、固定具による固定力が、チップ下面の凸部を介してチップ取付用凹陥部の底面全域にわたり一様に作用すると共に、各凸部の周縁が上記底面に対し食い付き効果を発揮し、それによってチップをチップ取付用凹陥部の底面上に確実且つ強固に固定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るスローアウエイチップをドリルヘッドに取り付けた状態を示す正面図である。
【図2】 図1に示すドリルヘッドの平面図である。
【図3】 スローアウエイチップ、取付台及びチップ固定用ボルトを示す分解斜視図である。
【図4】 (A)は、スローアウエイチップをチップ取付用ボルトで取り付けた取付台の正面図、(B)は、(A)のX−X線断面図である。
【図5】 スローアウエイチップの拡大縦断面図である。
【図6】 図5に示すチップの底面(下面)図である。
【図7】 (A)は、六角形の環状凹部を有するスローアウエイチップの一部拡大縦断面図、(B)は、(A)に示すチップの底面(下面)図である。
【符号の説明】
1 ドリルヘッド
3 スローアウエイチップ
3a チップ下面
3b チップ上面
4 取付台
6 チップ取付用凹陥部
6a チップ取付用凹陥部の底面
7 チップ固定用ボルト
8 ねじ孔
11 微小凹凸部の凹部
12 微小凹凸部の凸部
13 ボルト挿通孔
21 微小凹凸部の凹部
22 微小凹凸部の凸部

Claims (1)

  1. ドリルヘッドに固定される取付台に設けたチップ取付用凹陥部、またはドリルヘッドに直接設けたチップ取付用凹陥部にチップを嵌合し、このチップの上下面間を貫通するボルト挿通孔にチップ固定用ボルトを挿通し、このボルトをチップ取付用凹陥部の底面に形成されたねじ孔に螺合して締結することにより、前記チップを前記凹陥部に取り付けるようにしたスローアウエイチップにおいて、前記凹陥部の底面に当接するチップの下面に、微小凹凸部が全面にわたって規則的に均一に形成され、該微小凹凸部の各凹部が前記チップ下面に互いに隣接して形成された環状溝からなり、この環状溝と前記凹陥部の底面との間に空隙部を形成すると共に、この環状溝以外の部分がそれぞれ凸部を形成してなるスローアウエイチップ。
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