JP3724422B2 - Dcポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長寿命で効率の高いDCブラシレスモータを用いたDCポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半径方向から吸込み、半径方向に吐き出す構造の薄型化に適した渦流ポンプ(摩擦ポンプ)は公知である。図10は従来の渦流ポンプの構成図である。図10において、ポンプ軸受105がインサートされ、ポンプ軸104が装着されている。ポンプ軸受105の外周に被駆動マグネット106、最外周には所定ピッチで形成された多数の溝によって形成された羽根107がリング状に設けられている。被駆動マグネット106と羽根107は磁性樹脂材で一体成形されている。
【0003】
この従来の過流ポンプのモータに通電すると、その回転動力が被駆動マグネット106に伝達され、この回転動力により羽根107が回転し、この羽根107が周囲の液体に運動量を与えることにより、外部の液体が半径方向からポンプ内に向けて吸引される。吸込口101から流入した液体は羽根107とポンプケーシング108の間の通水路103を矢印の方向に流れ、吐出口102から流出する。この間に羽根作用で運動エネルギーをもらい、昇圧されるものである。
【0004】
ところで、図10に示す渦流ポンプには、ポンプの吸込口101と吐出口102の間の圧力差によってラジアル方向に対する力109がモータに作用する。この力109は、ポンプ軸104とポンプ軸受け105及びシール材との摺動に対する荷重となるが、これらの部材で支えられて釣り合い、力109によってポンプの羽根107がポンプケーシング108等に当たることを防いでいた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の渦流ポンプの構成では、ポンプの圧力差を軸荷重と釣り合わせているため、機械損失が増大するという課題を有していた。大型のポンプであればこの損失も相対的に小さくなるが、とくに小型のポンプの場合、小型になればなるほど相対的にその割合が増してしまう傾向がある。動圧型の流体軸受けを使用することも考えられるが、取扱い流体である液体の動圧でバランスをとるため、ポンプの流入路と流出路の圧力差により発生する力を考慮して動圧を発生させる必要があり、その溝加工量が数μmという精密加工が必要になるという課題を有していた。この場合も、小型のポンプになればなるほど加工は飛躍的に難しくなる。
【0006】
そこで、本発明は上記従来の問題点を解決するもので、機械損失を低減でき、軸や軸受けといった構成を省くことができ、ポンプを長寿命化、低コスト化し、動圧発生のための高度な機械加工を不要にでき、モータの軸心のバラツキがなく、振動・騒音を低減できるDCポンプを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のDCポンプは、ポンプ吐出口から最も離れた突極が、マグネットロータの反回転方向に向かってマグネットロータとの間のギャップが減少する形状を有し、その他の突極はすべて回転方向に向かってギャップが減少する形状を備えたことを特徴とする。
【0008】
これにより、機械損失を低減でき、軸や軸受けといった構成を省くことができ、ポンプを長寿命化、低コスト化し、動圧発生のための高度な機械加工を不要にでき、モータの軸心のバラツキがなく、振動・騒音を低減できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、先端に突極が形成された複数のティースに巻線された電機子と、突極に対向しその周囲にリング状のマグネットロータが配設されたDCブラシレスモータを備え、マグネットロータと一体化され周囲に羽根が形成された羽根車と、羽根車を収容し、ポンプ室内に半径方向から流体を吸込む吸込口と、該ポンプ室から半径方向に流体を吐出する吐出口が設けられたポンプケーシングを備えたDCポンプであって、ポンプ吐出口から最も離れた突極が、マグネットロータの反回転方向に向かってマグネットロータとの間のギャップが減少する形状を有し、その他の突極はすべて回転方向に向かってギャップが減少する形状を備えたことを特徴とするDCポンプであるから、1つのみ違う形状の突極は回転軸方向への力を発生させることができ、他の突極は起動しやすくすることができる。また他の突極と違う形状の突極が、ポンプ吐出口から最も距離が遠い位置にあるため、吐出口で発生する圧力差によるラジアル方向の力と釣り合う力を発生させることができ、機械損失の低減が可能になる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、各突極とマグネットロータ内周面との間のギャップがいずれも等しく、突極には該マグネットロータ内周面に沿って側方に延びる折り曲げ部が形成され、ポンプ吐出口から最も離れた突極の折り曲げ部の折り曲げ量が、マグネットロータの反回転方向に向かって増加し、その他の突極の折り曲げ部の折り曲げ量は回転方向に向かって増加することを特徴とする請求項1記載のDCポンプであるから、1つのみ折り曲げ量の違う突極は回転軸方向への力を発生させることができ、他の突極は回転方向への折り曲げ量の増加で起動し易くすることができ、ポンプ吐出口から最も距離が遠い位置に違う折り曲げ量の突極を配置することで、吐出口で発生する圧力差によるラジアル方向の力と釣り合うような力を発生させることができ、機械損失の低減が可能になる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、ポンプ吐出口から最も離れた突極に対してだけ巻線することにより追加コイルを形成し、該コイルに流す電流の大きさと方向を制御する制御装置を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のDCポンプであるから、コイルを追加巻線した突極は回転軸方向への力を発生させることができ、ポンプで発生する圧力差によるラジアル方向の力と釣り合いをとることが可能になる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、マグネットの磁極位置を検出する磁極位置センサと、磁極位置センサの出力信号からマグネットロータの回転数に変換する回転数変換装置と、磁極位置センサの出力信号から追加コイルへの電流の方向、回転数変換装置の出力信号から追加コイルへの電流の大きさを制御する制御装置を備えたことを特徴とする請求項3記載のDCポンプであるから、コイルを追加巻線した突極は回転軸方向への力を発生させることができ、ポンプで発生する圧力差によるラジアル方向の力と釣り合いをとることが可能になる。
【0013】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について図1,図2に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態1におけるDCポンプの断面図、図2は図1のDCポンプの構成を示す説明図である。
【0014】
図1,2において、1はDCポンプの羽根車であって、外周に所定ピッチで形成された溝によって形成された多数の羽根が形成された渦流型の羽根車であり、内周にマグネットロータ2が設けられている。なお、本発明においてはラジアル方向の力を流体から受けるターボ型のDCポンプのどの型式のポンプであってもよいが、渦流ポンプがその典型である。ここで羽根車1は、羽根とマグネットロータ2とを違う材料で構成してはめ合わせて一体化してもよいし、磁性樹脂材で構成して羽根とマグネットロータ2とを同一材料で一体化させてもよい。3はマグネットロータ2の内周側に設けられたステータコア、4は羽根車1を収容すると同時に羽根車1が流体に与えた運動エネルギーを圧力回復して後述する吐出口8へと導くためのポンプ室を有するポンプケーシング、5はポンプケーシング4の一部をなし、羽根車1を収納した後でポンプ室を密閉するためのケーシングカバーである。6はポンプケーシング4に固定されている軸であり、羽根車1の中心の貫通孔に挿入され、羽根車1が周囲を回転するため摺動可能な構成となっている。軸6は、別部品として圧入やインサート成形によりポンプケーシング4に固定されてもよく、また、ポンプケーシング4と同一材料による一体成形で形成されてもよい。そして、ポンプケーシング4に固定するのではなく、摺動しながら回転できる構成としてもよい。7は吸込口、8は吐出口であり、外部の流体が半径方向からポンプ内に向けて吸込口7から吸引され、吐出口8から半径方向に向けて外部に吐出される。9は複数形成された突極の中の1つの突極であって、軸6を中心に吐出口8と略点対称の位置に設けられている。この突極9のみが、回転方向に対し逆方向(以下、反回転方向)に向かうほどマグネットロータ2とのギャップが徐々に小さくなるという、ティースに関して非対称な形状を有している。従って、ギャップが小さくなった突極9の後端側の磁束が増し、突極9の後端側部分のマグネットロータ2への引き寄せ力が大きくなる。これに対し他の突極では回転方向に向かってマグネットロータ2とのギャップが徐々に小さくなっている。従ってこちらでは逆に押しだし力となる。このマグネットロータ2に対する突極9の引き寄せ力とこれと点対称位置の突極の押し出し力の和が、羽根車1に対して軸6方向にに作用し、流体から生じた圧力差によるラジアル方向の力をキャンセルすることになる。この点に関しては後で詳述する。
【0015】
さて、本実施の形態1のDCポンプは、外部電源から電力を供給されると、ポンプに設けられた電気回路により制御された電流がステータコア3のコイルに流れ、回転磁界が発生する。この回転磁界がマグネットロータ2に作用するとマグネットロータ2に物理力が発生する。このマグネットロータ2はリング羽根車1と一体化されているため、羽根車1に回転トルクが作用し、この回転トルクにより羽根車1が回転を始める。羽根車1の外周に設けられた羽根は羽根車1の回転によって吸込口7から流入した流体に運動量、従って運動エネルギーを与え、その運動エネルギーによりポンプケーシング4内の流体の圧力が徐々に高められ吐出口8から吐き出される。吐出口8の高い圧力は吐出口付近から軸6方向への力となる。しかし、実施の形態1においては、この力と相反する力を突極9とこの点対称位置の突極により発生させて、軸6への荷重をなくすことができる。
【0016】
ところで、本実施の形態1のDCポンプにおける1つだけ違う形状の突極9により発生させる力について、図4〜7に基づいて説明する。図4は本発明の実施の形態1のDCポンプのモータにより発生する力の説明図で、図5は図4のDCポンプのマグネットロータが30度時計回りに回転したときの力の説明図で、図6は図5のDCポンプのマグネットロータが30度時計回りに回転したときの力の説明図である。図4のステータコア3の巻線に外部からから電源が供給されるとマグネットロータ10が矢印の方向へ回転する。マグネットロータ10のまわりの矢印は、それぞれの突極から発生するラジアル方向の力である。11,12はそれぞれ対応する位置の突極から発生するラジアル方向の力である。13は他の突極と違う形状の突極9から発生するラジアル方向の力であり、その突極9はポンプ吐出口から最も距離が遠い位置、すなわち軸6に関して略点対称の位置に配置されている。このとき突極9を中心にして各突極が対称的に配置されるため、ラジアル方向の力12,13以外の力は釣り合う。従ってラジアル方向の力12,13の合力は、ポンプの吐出口8方向へ作用する。このように、突極9の形状を他の突極と違う形状としてモータの作用でラジアル方向の力12,13の合力を発生させ、ポンプで発生する圧力差によるラジアル方向の力と釣り合うようにすれば、軸6への荷重をなくすことができる。
【0017】
突極の拡大領域14の状態を図4〜6で説明すると、まず図4のように、突極の拡大領域14の突極にはN極となるように電流が流れマグネットロータ10のN極を押し出し、S極を引き寄せる。マグネットロータ10が図4から時計回りに30度回転した図5では、前記の突極によりマグネットロータ10のS極が引き寄せられる。さらにマグネットロータ10が図5より時計回りに30度回転した図6では、前記の突極にはS極となるように電流が流れマグネットロータ10のS極を押し出しN極を引き寄せる。図6の状態からさらに回転したときのマグネットロータ10の状態は、図4〜6で説明したものと同様でこれの繰り返しとなる。
【0018】
図7は図4のDCポンプの突極から発生するラジアル方向の力を説明する拡大図である。図7において、突極14aにN極となるように電流が流れるとマグネットロータ10のS極が引き寄せられる力15、N極が押し出される力16が発生する。ここで、突極14aが回転方向に向かうほどマグネットロータ10とのギャップが徐々に小さくなるという、ティースに関して非対称な形状をしているので、マグネットロータ10のN極を押し出す力16の方が大きくなるのである。これはDCブラシレスモータ起動時の円滑性を得るためのものである。力15,16の法線方向の分力はそれぞれA,Bとなりその合力がラジアル方向の力11となる。他の複数の突極もこれと同様であり、ラジアル方向の力13だけが、突極9が回転方向に向かうほどマグネットロータ10とのギャップが徐々に大きくなる非対称な形状をしているため、逆方向の力となるものである。
【0019】
本実施の形態1のDCポンプは軸6に対する荷重がバランスよく釣り合っており、軸の寿命を長くすることができ、羽根車1の回転が安定したものにできる。また、ステータコア3の突極の外周面が接する部分は全ての突極が同じ径のため、ポンプケーシング4に圧入する際、簡単且つ偏りなく挿入され、モータの軸心のバラツキなく、騒音・振動を低減できる。
【0020】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について図3に基づいて説明する。実施の形態2のDCポンプは、実施の形態1の軸をなくし、羽根車1をリング状にし、羽根車1の内側と側面に動圧を発生して軸受作用をするための溝1’を加工したものである。図3は本発明の実施の形態2におけるDCポンプの構成を示す説明図である。実施の形態2のDCポンプは軸がなく、このほかステータコア3は実施の形態1と同一構成を示すから、ここでは説明を省略する。
【0021】
本実施の形態2のDCポンプは、実施の形態1と同様に図4の突極9が発生するラジアル方向の力12,13の合力と、ポンプの圧力差により発生するラジアル方向の力とがバランスよく釣り合うことにより、軸を廃止した軸レスポンプである。ラジアル方向の力がバランスよく釣り合っていることから、動圧を発生させるための羽根車の溝1’のみを考えることができ、余計な圧力バランスを考慮しなくてすみ、溝1’の加工がし易くなる。
【0022】
本実施の形態2のDCポンプは、羽根車1のラジアル方向のバランスがよいので、軸を廃止した軸レスポンプとすることができるため、低コスト化ができる。そして、羽根車1がポンプケーシング4に接触することが防止され、長寿命のポンプを提供することができ、振動・騒音を低減することができる。更に、ラジアル方向のバランスがよいため、動圧を発生させるための羽根車の溝1’の余計な圧力バランスを考慮した加工を不要とすることができる。また、ステータコア3の突極の外周面が接する部分は全ての突極が同じ径のため、ポンプケーシングに圧入する際、簡単且つ偏りなく挿入され、モータの軸心のバラツキなく、騒音・振動を低減できる。
【0023】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3について図8に基づいて説明する。実施の形態3のDCポンプは、図2により構成されるポンプに図8のステータコアを用いたものである。図8はステータコアの端部をモータのラジアル方向に対し垂直方向へ折り曲げた構造のDCポンプの構成図になっている。その折り曲げ量が矢視図C−C,矢視図D−Dで示されているが、複数の突極の内1つのみの折り曲げ量が矢視図D−Dの位置の突極9だけ異なり、他の突極17ではすべて矢視図C−Cに示す折り曲げ量と同一である。矢視図C−Cに示す折り曲げ部17aは、マグネットロータ10の回転方向に向かう程幅が大きくなり、矢視図D−Dの折り曲げ部9aは、マグネットロータ10の反回転方向に向かう程幅が大きくなる。この矢視図D−Dの折り曲げ部9aは、ポンプの吐出口8から最も距離が遠い、軸6に関してポンプの吐出口8と略点対称の位置の突極9における折り曲げ部9aである。
【0024】
実施の形態1,2においてはステータコア3をマグネットとのギャップで調整しているが、本実施の形態3では、突極9,17を垂直方向へ折り曲げることにより、その折り曲げ量でギャップの調整と同様のことが行え、組立、調整が容易である。本実施の形態3のDCポンプは軸6に対する荷重がバランスよく釣り合っており、軸6の寿命を長くすることができ、羽根車1の回転が安定したものにできる。また、ステータコア3の突極9,17の外周面がポンプケーシング4に接するため、ポンプケーシング4に圧入する際、簡単且つ偏りなく挿入され、モータの軸心のバラツキなく、騒音・振動を低減できる。
【0025】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4について図8に基づいて説明する。実施の形態4のDCポンプは、図3に示すように実施の形態1の軸6をなくし、羽根車1をリング状にし、羽根車1の内側と側面に動圧を発生して軸受作用をするための溝1’を加工したものであり、これに図8のステータコア3を用いたものである。詳細な説明は実施の形態3と同様であるから省略する。
【0026】
本実施の形態4のDCポンプは、羽根車1のラジアル方向のバランスがよいので、軸6を廃止した軸レスポンプとすることができるため、低コスト化ができる。そして、羽根車1がポンプケーシング4にあたることを防ぐため、長寿命のポンプを提供することができ、振動・騒音を低減できる。更に、ラジアル方向のバランスがよいため、動圧を発生させるための羽根車の溝1’の余計な圧力バランスを考慮した加工を不要とすることができる。また、ステータコア3の突極9,17の外周面が接する部分は全ての突極が同じ径のため、ポンプケーシングに圧入する際、簡単且つ偏りなく挿入され、モータの軸心のバラツキなく、騒音・振動を低減できる。
【0027】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5について図1に基づいて説明する。実施の形態5のDCポンプは、実施の形態1〜4のポンプにおいて、圧力差によるラジアル方向の力が1つだけ違う形状の突極9によりキャンセルされずバランスが取れない場合、突極9のティースに追加巻線するものである。圧力差によるラジアル方向の力に対して突極9の形状に起因する力を加えるとともに、追加巻線による力を加えた磁気力と釣り合わせることにより、バランスよく羽根車1が回転する。
【0028】
本実施の形態5のDCポンプは、羽根車1がポンプケーシング4等に接触することが防止され、長寿命のポンプを提供することができ、振動・騒音を低減できる。
【0029】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6について図1に基づいて説明する。実施の形態6のDCポンプは、実施の形態5と同様に、実施の形態1〜4のポンプにおいて圧力差によるラジアル方向の力が1つだけ違う形状の突極9によりキャンセルされずバランスが取れない場合のものである。図9(a)は本発明の実施の形態6におけるDCポンプの突極がマグネットロータへ及ぼす力と時間のグラフ、図9(b)は(a)のDCポンプの制御回路図である。図9(b)に示すように、突極9のティースに追加巻線をして追加コイル24を形成し、マグネットの磁極位置を検出する磁極位置センサ20と、磁極位置センサ20の出力信号からマグネットロータ10の回転数に変換する回転数変換装置21と、磁極位置センサ20の出力信号から追加コイル24への電流方向、回転数変換装置21の出力信号から追加コイル24への電流の大きさを制御する制御装置22を設けたものである。制御装置22は電源部23を制御し、追加コイル24へ供給する電流の大きさと方向を制御する。
【0030】
図4〜6に示すように、図4と図6は、突極9によりマグネットロータ10へ発生させる力は同じであるが、図5の場合は、突極9と回転方向の手前の突極の間にマグネットロータ10の極の変わり目がくるため、図4,図6のような力が働くなる。この状態を示すのが図9(a)である。図9(a)の領域18の部分が突極9から発生するマグネットロータ10への力がなくなるところであり、この位置でコギングが発生する。そこで、磁極位置センサ20を図5の突極9と手前の突極の間に配置し、マグネットの極が変わるタイミングを磁極位置センサ20の出力信号として、その信号からマグネットロータ10の回転数に変換する回転数変換装置21を設ける。そしてさらに、磁極位置センサ20からの信号を追加して巻線した追加コイル24へ流す電流の方向と大きさを制御する制御装置22を設ける。以上のように、回転数変換装置21と電流の制御装置22とを設けることで、滑らかな回転をすることができる。
【0031】
以上のように、ポンプの圧力差により発生させるラジアル方向の力に相反する力を追加巻線した突極で発生させる力と釣り合わせることによりバランスよく羽根車が回転し、更に、回転数変換装置21と制御装置22を用いることで円滑な回転にすることができる。
【0032】
本実施の形態6のDCポンプは、羽根車1がポンプケーシング4に接触することを防止し、滑らかに回転するため、長寿命のポンプを提供することができ、振動・騒音を低減できる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のDCポンプは、ポンプで発生する圧力差によるラジアル方向の力と釣り合わすために、DCブラシレスモータの作用でバランスをとるための力を発生させるため、機械損失を低減でき、軸にかかる荷重を軽減できるし、あるいは軸及び軸受け等を廃止し、ポンプの長寿命化、低コスト化、騒音・振動の低減ができる。
【0034】
また、動圧型の流体軸受けを使用してポンプの取扱い液の動圧でバランスをとる場合、吸込口と吐出口の圧力差によって発生するラジアル方向の力を支えるために従来複雑な溝を形成する必要があったが、DCブラシレスモータの作用でバランスさせた上に更に動圧によってバランスさせるため、高度な機械加工を不要にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるDCポンプの断面図
【図2】図1のDCポンプの構成を示す説明図
【図3】本発明の実施の形態2におけるDCポンプの構成を示す説明図
【図4】本発明の実施の形態1におけるDCポンプのモータにより発生する力の説明図
【図5】図4のDCポンプのマグネットロータが30度時計回りに回転したときの力の説明図
【図6】図5のDCポンプのマグネットロータが30度時計回りに回転したときの力の説明図
【図7】図4のDCポンプの突極から発生するラジアル方向の力を説明する拡大図
【図8】ステータコアの端部をモータのラジアル方向に対し垂直方向へ折り曲げた構造のDCポンプの構成図
【図9】(a)本発明の実施の形態6におけるDCポンプの突極がマグネットロータへ及ぼす力と時間のグラフ
(b)(a)のDCポンプの制御回路図
【図10】従来の渦流ポンプの構成図
【符号の説明】
1 羽根車
1’ 溝
2 マグネットロータ
3 ステータコア
4,108 ポンプケーシング
5 ケーシングカバー
6 軸
7,101 吸込口
8,102 吐出口
9,17 突極
9a,17a 折り曲げ部
10 マグネットロータ
11,12,13 ラジアル方向の力
14 突極の拡大領域
15,16,109 力
18 領域
103 通水路
104 ポンプ軸
105 ポンプ軸受
106 被駆動マグネット
107 羽根
Claims (4)
- 先端に突極が形成された複数のティースに巻線された電機子と、前記突極に対向しその周囲にリング状のマグネットロータが配設されたDCブラシレスモータを備え、
前記マグネットロータと一体化され周囲に羽根が形成された羽根車と、
前記羽根車を収容し、ポンプ室内に半径方向から流体を吸込む吸込口と、該ポンプ室から半径方向に流体を吐出する吐出口が設けられたポンプケーシングを備えたDCポンプであって、
前記ポンプ吐出口から最も離れた突極が、マグネットロータの反回転方向に向かって前記マグネットロータとの間のギャップが減少する形状を有し、その他の突極はすべて回転方向に向かって前記ギャップが減少する形状を備えたことを特徴とするDCポンプ。 - 各突極と前記マグネットロータ内周面との間のギャップがいずれも等しく、前記突極には該マグネットロータ内周面に沿って側方に延びる折り曲げ部が形成され、
ポンプ吐出口から最も離れた突極の折り曲げ部の折り曲げ量が、前記マグネットロータの反回転方向に向かって増加し、その他の突極の折り曲げ部の折り曲げ量は回転方向に向かって増加することを特徴とする請求項1記載のDCポンプ。 - ポンプ吐出口から最も離れた突極に対してだけ巻線することにより追加コイルを形成し、該コイルに流す電流の大きさと方向を制御する制御装置を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のDCポンプ。
- マグネットの磁極位置を検出する磁極位置センサと、前記磁極位置センサの出力信号からマグネットロータの回転数に変換する回転数変換装置と、前記磁極位置センサの出力信号から追加コイルへの電流の方向、前記回転数変換装置の出力信号から前記追加コイルへの電流の大きさを制御する制御装置を備えたことを特徴とする請求項3記載のDCポンプ。
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