JP3724421B2 - 耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、家電、建材用途等に好適な耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
亜鉛系めっき鋼板の耐食性を向上させるための保護処理皮膜の形成方法として、クロメート処理が従来より広く用いられているが、最近では有害なクロムを使用しない耐食性処理層に対する要望が高まりつつあり、種々の耐食性処理層が提案されている。そのなかで電解処理による処理層の形成手法は、反応による処理層の形成手法に較べて付着量の制御が容易であるなどの利点を有しており、例えば、以下のような技術が提案されている。
【0003】
(1) Mg,Ca,Ni,Co,Alの中から選ばれる金属カチオンと、硝酸イオン等の酸化剤を含有する水溶液中で陰極電解処理を行う技術(特開平3−223472号)
(2) 縮重合リン酸化合物及びコロイド化合物を含有する水溶液中で陰極電解処理した後、さらにクリヤー塗膜を施す技術(特開平1−219193号)
(3) シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の酸化物ゾルと、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、バナジウム酸イオン等の酸素酸イオンを含有する水溶液中で陰極電解処理する技術(特開昭63−100194号)
【0004】
これらの技術は、いずれも酸化物ゾルや金属カチオン、リン酸塩、酸素酸イオン等を含有する水溶液中で電解を行うことにより、これら成分を含む処理層を金属板面に形成させることで金属板の耐食性を改善するものであるが、いずれも以下のような問題がある。
上記(1)の金属カチオンと硝酸イオン等の酸化剤を含む水溶液中で電解を行う技術では、得られる処理層の成分が金属の水酸化物だけであるため水への溶解度が比較的高く、特にアルミニウム系の処理層の場合には、腐食時においてアルカリ環境となる箇所では処理層が溶解し易く、十分な耐食性が得られない。
【0005】
上記(2)の技術はリン酸塩、或いは金属カチオンとリン酸を含有する溶液を用いて電解処理することによりリン酸塩皮膜を得ることができるが、リン酸塩の析出効率が低く、また緻密な皮膜を得られないため、工業的な条件では耐食性が十分でない。
上記(3)の技術では、酸化物ゾルと酸素酸イオンを含む水溶液を用いて電解処理を行うことにより、酸素酸イオンの緻密な還元皮膜と酸化物ゾルの高い造膜性で耐食性の高い皮膜を得ることが期待できる。特に、バナジン酸イオンは非常に還元しやすく短時間の析出が可能であるため、緻密な皮膜が得られ非常に高い耐食性が得られる。しかし、バナジン酸イオンの還元皮膜は黄茶色〜褐色の色調を持ち、高い耐食性を得るために皮膜厚を厚くすると皮膜が黒ずみ、皮膜外観が劣ったものとなるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなバナジン酸イオンの還元皮膜の問題に対して、特開平9−95796号には、バナジウム酸塩と還元力を有する有機酸を含有する溶液中で陰極電解処理を行う技術が開示されているが、この処理ではブロンズ色等の有色の皮膜を生成させるために黒変が目立ちにくくできただけであり、着色の少ない皮膜で皮膜外観を改善したものではない。
【0007】
したがって本発明の目的は、亜鉛系めっき鋼板を素材としたクロムフリーの表面処理鋼板であって、優れた耐食性と皮膜外観を兼ね備えた表面処理鋼板及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決するため、耐食性と皮膜外観を高度に満足する皮膜構成とその形成方法ついて詳細な検討を行い、その結果、亜鉛系めっき鋼板の表面にNi、Co、Feの中から選ばれる1種以上の金属の析出層を形成し、その上層にバナジン酸化合物と水分散性シリカを含有する、好ましくはこれらを主成分とする電解処理層を形成することにより、耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板が得られることを見い出した。
【0009】
また、電解処理層中に含まれるバナジン酸化合物として、特にピロバナジン酸化合物やオルトバナジン酸化合物を用いることにより、皮膜色がより少ない外観が得られることが判った。
さらに、電解処理層を形成するためのカソード電解処理において、バナジン酸又は/及びバナジン酸化合物と水分散性シリカを含む、好ましくはこれらを主成分とする電解処理用の水溶液中に多価陰イオンを添加することにより、シリカの析出量が増加し、皮膜外観、耐食性ともさらに向上することが判った。
【0010】
本発明は以上のような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下の通りである。
[1] 亜鉛系めっき鋼板の表面に、Ni、Co、Feの中から選ばれる1種以上の金属が析出して形成された付着量が0.1〜10mg/m2の金属析出層を有し、その上層にバナジン酸化合物と水分散性シリカを含有し、カソード電解処理により形成された電解処理層を有することを特徴とする耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板。
【0011】
[2] 上記[1]の表面処理鋼板において、電解処理層中に含まれるバナジン酸化合物がピロバナジン酸化合物又は/及びオルトバナジン酸化合物であることを特徴とする耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板。
[3] 上記[1]又は[2]の表面処理鋼板において、電解処理層の上層に、無機系又は有機系若しくは無機−有機系の上塗り被覆層を0.05〜3μmの膜厚で形成したことを特徴とする耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板。
【0012】
[4] 亜鉛系めっき鋼板の表面にNi、Co、Feの中から選ばれる1種以上の金属を化学的又は電気的に析出させることにより、付着量が0.1〜10mg/m2の金属析出層を形成し、次いで、該亜鉛系めっき鋼板をバナジン酸又は/及びバナジン酸化合物と水分散性シリカを含むpH6〜12の水溶液中でカソード電解処理することにより、前記金属析出層の上層に電解処理層を形成することを特徴とする耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0013】
[5] 上記[4]の製造方法において、カソード電解処理を行う水溶液が、バナジン酸又は/及びバナジン酸化合物を0.001〜3モル/L、水分散性シリカを0.01〜2モル/L含有することを特徴とする耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[6] 上記[4]又は[5]の製造方法において、カソード電解処理を行う水溶液が、さらに多価陰イオンを0.01〜2モル/L含有することを特徴とする耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0014】
[7] 上記[4]〜[6]のいずれかの製造方法において、カソード電解処理を行う水溶液中含まれるバナジン酸又は/及びバナジン酸化合物が、ピロバナジン酸、オルトバナジン酸、ピロバナジン酸塩、オルトバナジン酸塩の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[8] 上記[4]〜[7]のいずれかの製造方法において、電解処理層の上層に無機系又は有機系若しくは無機−有機系の上塗り被覆層を0.05〜3μmの膜厚で形成することを特徴とする耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0015】
亜鉛系めっき皮膜の表面に上記のようなNi等の金属析出層を形成し、その上層にバナジン酸化合物と水分散性シリカを含有する、好ましくはこれらを主成分とするカソード電解処理層を形成することにより、表面処理鋼板の耐食性と皮膜外観が顕著に改善される理由は必ずしも明らかではないが、以下のような機構が考えられる。すなわち、Ni、Co、Feの中から選ばれる1種以上の金属を亜鉛系めっき表面に析出させると、これらの金属は亜鉛よりも水素過電圧が小さいため陰極電解時のめっき表面での水素発生量が増加し、水素イオンが多く還元されて陰極近傍のpHが局部的に上昇する。一方、バナジン酸イオンの陰極電解による還元物はVO、V2O3、VO2等多種にわたり、それらは主に水溶液のpHにより安定領域が変化することが判っている。その結果、電解処理時に陰極近傍におけるpHが上昇することにより、その還元析出物の組成が変化し、特に着色の少ない酸化物の割合が増加することで、同じ付着量でも着色が少なく皮膜外観が優れた電解処理層が得られるもの考えられる。また他の要因として、電解時に陰極近傍におけるpHが上昇することによりシリカの析出量が増加し、着色の原因となるバナジン酸化合物の析出量が相対的少なくなるため皮膜の着色が相対的に低減することが考えられる。これは、水に分散したシリカが不安定になるpHがアルカリ領域にあるため、pH上昇によりシリカが沈殿しやすくなるからである。シリカは耐食性の向上にも寄与するが、シリカは無色であるため、皮膜中に共析するシリカの割合が高いほど皮膜の着色は少なくなる。さらに、シリカが共析した皮膜は表面に微細な凹凸を生じるため、光の乱反射により皮膜の白色度が増す効果もあり、この点も皮膜の着色の低減化に寄与する。以上のようにNi、Co、Feの中から選ばれる1種以上の金属を亜鉛系めっき表面に析出させた上で、その上層にバナジン酸化合物と水分散性シリカを含有するカソード電解処理層を形成することにより、耐食性を確保しつつ着色の少ない皮膜外観とすることができる。
【0016】
また、電解処理層中にピロバナジン酸化合物やオルトバナジン酸化合物を含有させることにより皮膜色が少ない外観が得られるのは、これらのバナジン酸化合物によって着色がより少ない酸化物の割合が増加することで、同じ付着量でも着色が少なく皮膜外観が優れた電解処理層が得られるためであると考えられる。また、理由は明らかではないが、ピロバナジン酸化合物やオルトバナジン酸化合物を用いることにより耐食性も向上することが実験の結果判明した。
【0017】
さらに、電解処理層を形成するためのカソード電解処理において、電解処理液中に多価陰イオンを添加することにより皮膜外観及び耐食性が向上する理由も必ずしも明らかではないが、多価陰イオンが水溶液中に存在するとこれがシリカ表面に吸着するためシリカの表面電荷が増加し、電解時の泳動、析出量が高まる結果、皮膜外観、耐食性ともに向上するものと考えられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の表面処理鋼板の下地鋼板は亜鉛系めっき鋼板であり、亜鉛系めっき鋼板としては、例えば、電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni、Zn−Co、Zn−Co−Mo、Zn−Cr等の合金めっき皮膜を有する合金電気めっき鋼板、Zn−SiO2分散電気めっき鋼板、溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板(所謂5%Al−Zn溶融めっき鋼板、55%Al−Zn溶融めっき鋼板等)、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板、溶融亜鉛−マグネシウム合金めっき鋼板等が挙げられる。
【0019】
電気亜鉛めっき鋼板を下地鋼板として用いる場合には、黒変(めっき表面の酸化現象の一種)を低減する目的で電気めっき浴に鉄族金属イオン(Niイオン、Coイオン、Feイオンの1種以上)を添加し、めっき皮膜中にこれらの金属の1種以上を1ppm以上含有させておくことができる。この場合、めっき皮膜中の鉄族金属濃度の上限については特に制限はない。また、めっき皮膜表面に電解処理層や有機皮膜を形成した際に皮膜欠陥やムラが生じないようにするため、必要に応じて、予めめっき皮膜表面にアルカリ脱脂、溶剤脱脂、表面調整処理(アルカリ性の表面調整処理、酸性の表面調整処理)等の処理を施しておくことができる。
【0020】
亜鉛系めっき鋼板の表面には、Ni、Co、Feの中から選ばれる1種以上の金属からなる金属析出層を形成させる。この金属析出層は上記金属の1種以上を化学的又は電気的に析出させたもので、亜鉛系めっき鋼板をNiイオン、Coイオン、Feイオンの中から選ばれる1種以上を含む酸性又はアルカリ性水溶液中に浸漬するか、又は同水溶液中で電解処理することなどにより形成されるものである。
金属析出層の付着量は、Ni、Co、Feの1種以上の合計で0.1〜10mg/m2とする。付着量が0.1mg/m2未満では金属析出層を形成することによる効果が十分に得られず、一方、10mg/m2を超えると付着量が不均一化し、皮膜外観が劣る。
【0021】
金属析出層を形成するために用いる上記水溶液としては、通常、水にリン酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の中から選ばれる1種以上のアルカリ成分や、塩酸、硝酸等の中から選ばれる1種以上の酸性物質を溶解させるとともに、Niイオン、Coイオン、Feイオンの1種以上を含有させるために硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸鉄等の中から選ばれる1種以上の塩を0.1〜10mg/L程度溶解させたものが使用される。
浸漬処理により上記金属析出層を形成させるには、亜鉛系めっき鋼板を上記水溶液中に1〜60秒程度浸漬させる。また、電解処理により上記金属析出層を形成させるには、上記水溶液中において亜鉛系めっき鋼板を陰極として0.1〜50A/dm2程度の電流密度で0.1〜5秒程度の通電を行えばよい。
【0022】
上記金属析出層の上層には、カソード電解処理によってバナジン酸化合物と水分散性シリカを含有する、好ましくはこれらを主成分とする電解処理層が形成される。電解処理層中でのバナジン酸化合物の含有量はバナジウム換算で1〜100mg/m2が適当であり、その含有量が1mg/m2未満では耐食性の向上効果が十分でなく、一方、100mg/m2を超えると皮膜の着色が目立ち皮膜外観が劣る傾向がある。また、電解処理層中での水分散性シリカの含有量は1〜100mg/m2が適当であり、その含有量が1mg/m2未満では耐食性の向上効果が十分でなく、一方、100mg/m2を超えると皮膜の着色が目立ち皮膜外観が劣る傾向がある。
【0023】
以上のような電解処理層は、バナジン酸又は/及びバナジン酸化合物と水分散性シリカを含む、好ましくはこれらを主成分とする水溶液中でカソード電解処理することにより形成できる。ここで、バナジン酸には、メタバナジン酸、ピロバナジン酸、オルトバナジン酸等がある。また、バナジン酸化合物としては、例えば、バナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウム、バナジン酸ストロンチウム、バナジン酸水素ナトリウム、リンバナジン酸等のメタバナジン酸塩、ピロバナジン酸塩、オルトバナジン酸塩、ポリバナジン酸塩等が挙げられ、これらの1種以上を使用することができる。
【0024】
また、水分散性シリカはシリカゾルのような水分散液や、ヒュームドシリカ、ホワイトカーボン等のシリカ微粒子を水に分散したものも使用可能である。この場合、シリカの一次粒径、形状等に特に制限はないが、緻密な電解処理層を形成するためには一次粒径の小さいものがより好ましい。
【0025】
電解処理液中でのバナジン酸又は/及びバナジン酸化合物の濃度は0.001〜3モル/L、水分散性シリカの濃度は0.01〜2モル/Lがそれぞれが適当である。電解処理液中でのバナジン酸又は/及びバナジン酸化合物の濃度が0.001モル/L未満では形成される電解処理層の緻密性が十分でなく、一方、3モル/Lを超えると沈殿物が生成し易くなるため好ましくない。また、電解処理液中での水分散性シリカの濃度が0.01モル/L未満では、シリカによる耐食性の向上効果が十分に得られず、一方、2モル/Lを超えると液の安定性も低下し、さらに電解処理層の緻密性が逆に阻害される。
【0026】
上述のようにバナジン酸には、メタバナジン酸、ピロバナジン酸、オルトバナジン酸等の種類があり、これまではメタバナジン酸が工業用の原料として使用されていたが、これらのバナジン酸イオンについて耐食性に対する作用効果を詳しく検討した結果、先に述べたようにメタバナジン酸よりもピロバナジン酸又はオルトバナジン酸を使用した方が皮膜色の少ない外観が得られ、また耐食性も向上することが判った。したがって、電解処理層中に含まれるバナジン酸化合物としてはピロバナジン酸化合物又は/及びオルトバナジン酸化合物が特に好ましく、また、このような電解処理層を形成するための電解処理液中に添加するバナジン酸又は/及びバナジン酸化合物としては、ピロバナジン酸、オルトバナジン酸、ピロバナジン酸塩、オルトバナジン酸塩の中から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
【0027】
さらに、上記電解溶液中に硫酸イオン、リン酸イオン等の多価陰イオンを添加すると、上述したようにシリカの析出量が増加し、その結果、皮膜外観と耐食性がともに向上する。そのような多価陰イオンを電解溶液中に添加するには、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム等の水溶性硫酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸アンモニウム、リン酸カリウム等の水溶性リン酸塩、ケイ酸塩やホウ酸塩等の1種以上を電解溶液中に添加すればよい。また、電解溶液中での多価陰イオンの最適な濃度は0.01〜2モル/Lであり、多価陰イオンの濃度が0.01モル/L未満では添加による効果が十分でなく、一方、2モル/Lを超えると電解処理層の均一性に問題を生じる恐れがある。
【0028】
またさらに、上記電解溶液中には過塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウム等の電気伝導度を高める成分や、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等のpH緩衝剤、電解処理層のさらなる緻密化を狙いとする水溶性有機樹脂等の添加成分を適宜添加してよい。
【0029】
また、上記電解溶液中には硝酸イオン、亜硝酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、過マンガン酸イオン、臭素酸イオン、モリブデン酸イオン等の酸化剤成分を添加することができ、これによってより緻密な電解処理層を生成させることができる。これらの成分は、いずれも電解処理層が形成される電位で水素イオンを消費しながら還元されるため、水素発生を抑え、緻密な電解処理層の形成を実現するものと考えられる。また、上記酸化剤成分の中でも、硝酸イオンは比較的反応性が制御し易いため特に有効である。さらに、上記酸化剤成分を電解溶液中に添加するには、アルカリ金属塩等の水溶性の金属塩を添加することが適当である。また、電解要液中での上記酸化剤(イオン)の最適な濃度は0.001〜2モル/Lであり、酸化剤の濃度が0.001モル/L未満では添加による効果が十分でなく、一方、2モル/Lを超えると反応性が非常に高くなるため、電解処理層の均一性に問題を生じる恐れがある。
【0030】
上記電解溶液のpHは6〜12が適当である。亜鉛系めっき表面にNi、Co、Feの1種以上の金属が析出していると、電解溶液中においてそれらの金属がカソード反応を促進するため、めっきの腐食(溶解)が起こりやすくなる。特に、電解溶液が酸性または強アルカリ性の時に溶解量は大きくなる。そこで、電解溶液のpHを亜鉛の溶解しにくい安定pH領域である6〜12とすることが好ましい。
【0031】
電解処理の条件に特に制限はないが、亜鉛系めっき鋼板を陰極として定電流で電解する条件が、金属の溶出を伴うことなく電解処理層を有効に形成できる点で特に望ましい。電流密度は0.1〜50A/dm2程度とすることが好ましい。また、特に水素ガス発生を抑制するためには電流密度は低い方が望ましく、この観点からは0.1〜20A/dm2が好ましい。
【0032】
また、電解時間についても特に制限はなく、電解用セルが複数あり、通電が多段階になるパターンでもよい。この場合、通電時間は合計で30秒以下が好ましい。これ以上の時間で通電した場合に、生産効率に問題を生じるだけでなく、電解処理層が厚くなるため処理層が欠落し易くなるなどの問題が生じ易い。好適な通電時間は0.1〜5秒である。また、電解浴の温度は特に限定されないが、40〜80℃程度が望ましい。
【0033】
電解方法にも特別な制限はないが、アノードが平行に配置されたセル中をめっき鋼板が通過する通常の電解セルを使用できる。この場合、縦型セル、横型セルのいずれでも適用可能である。陰極となるめっき鋼板の対極については特に限定されないが、Pb合金系電極、酸化イリジウム被覆電極等の不溶性アノード、電解浴成分を補給し得る自溶性アノードのいずれも適用可能である。
電解後の水洗方法も特に制限はないが、通常、スプレー水洗が行われる。また、水洗温度にも特別な制限はないが、通常は常温〜80℃程度である。また、乾燥方法についても特に制限はなく、高周波誘導加熱、熱風、赤外線等による乾燥を行うことができる。
【0034】
以上述べたような電解処理層の上層には、無機系又は有機系若しくは無機−有機系の上塗り被覆層を形成することができ、これにより耐食性がさらに向上する。
この上塗り被覆層は単層でもよいが、例えば電解処理層の上層に浸漬処理やスプレー処理などにより無機系被覆層を形成し、さらにその上層に有機被覆層を形成させるというような複層の被覆層を形成してもよい。
【0035】
無機系の上塗り被覆層としては、例えば、水ガラス、リチウムシリケート等のケイ酸系水溶液、メチルシリケート、エチルシリケート等のケイ酸エステルをエタノール、メチルセルソルブ等の有機溶剤又は有機溶剤と水の混合液に溶解させた溶液、シランカップリング剤を水又は有機溶剤に溶解させた溶液、溶剤にシリコーン樹脂を溶解させた溶液、リン酸塩水溶液、或いはこれら溶液にシリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア等の酸化物粒子を分散させたもの等を用い、塗布法、浸漬法、スプレー法等の方法で塗布した後、乾燥して得られる被覆層が挙げられる。
【0036】
有機系の上塗り被覆層の代表例は有機樹脂皮膜である。この有機樹脂皮膜の基体樹脂に特に制限はなく、水溶性樹脂、水分散性樹脂、有機溶剤可溶性樹脂のいずれでもよく、また樹脂種についても、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリル−エチレン共重合体、アクリル−スチレン共重合体、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン樹脂等を用いることができるが、特に耐食性の観点からはOH基および/またはCOOH基を有する有機高分子樹脂を用いることが好ましい。また、そのなかでも熱硬化性樹脂が好ましく、さらにエポキシ樹脂又は変性エポキシ樹脂が最も好ましい。熱硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性変性エポキシ樹脂、エポキシ基含有モノマーと共重合したアクリル系共重合体樹脂、エポキシ基を有するポリブタジエン樹脂、エポキシ基を有するポリウレタン樹脂、及びこれらの樹脂の付加物もしくは縮合物などが挙げられ、これらのエポキシ基含有樹脂の1種を単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0037】
OH基及び/又はCOOH基を有する有機高分子樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、アルキッド樹脂、ポリブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミン樹脂、ポリフェニレン樹脂類及びこれらの樹脂の2種以上の混合物若しくは付加重合物などが挙げられる。
【0038】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ノボラック等をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂、ビスフェノールAにプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド又はポリアルキレングリコールを付加し、グリシジルエーテル化したエポキシ樹脂、さらには脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、ポリエーテル系エポキシ樹脂等を用いることができる。
これらエポキシ樹脂は、特に低温での硬化を必要とする場合には、数平均分子量1500以上のものが望ましい。なお、上記エポキシ樹脂は単独又は異なる種類のものを混合して使用することもできる。
【0039】
変性エポキシ樹脂としては、上記エポキシ樹脂中のエポキシ基又はヒドロキシル基に各種変性剤を反応させた樹脂が挙げられる。例えば、乾性油脂肪酸中のカルボキシル基を反応させたエポキシエステル樹脂、アクリル酸、メタクリル酸等で変性したエポキシアクリレート樹脂、イソシアネート化合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂にイソシアネート化合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂にアルカノールアミンを付加したアミン付加ウレタン変性エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0040】
上記ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、単核型若しくは2核型の2価フェノール又は単核型と2核型との混合2価フェノールを、アルカリ触媒の存在下にほぼ等モル量のエピハロヒドリンと重縮合させて得られる重合体である。単核型2価フェノールの代表例としてはレゾルシン、ハイドロキノン、カテコールが挙げられ、2核型フェノールの代表例としてはビスフェノールAが挙げられ、これらは単独で使用しても或いは2種以上を併用してもよい。
【0041】
ウレタン樹脂としては、例えば、油変性ポリウレタン樹脂、アルキド系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。
アルキド樹脂としは、例えば、油変性アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、スチレン化アルキド樹脂、シリコン変性アルキド樹脂、アクリル変性アルキド樹脂、オイルフリーアルキド樹脂、高分子量オイルフリーアルキド樹脂等を挙げることができる。
【0042】
アクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸及びその共重合体、ポリアクリル酸エステル及びその共重合体、ポリメタクリル酸エステル及びその共重合体、ポリメタクリル酸エステル及びその共重合体、ウレタン−アクリル酸共重合体(又はウレタン変性アクリル樹脂)、スチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられ、さらにこれらの樹脂を他のアルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等によって変性させた樹脂を用いてもよい。
【0043】
エチレン樹脂としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、カルボキシル変性ポリオレフィン樹脂等のエチレン系共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン系アイオノマー等が挙げられ、さらに、これらの樹脂を他のアルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等によって変性させた樹脂を用いてもよい。
アクリルシリコン樹脂としては、例えば、主剤としてアクリル系共重合体の側鎖又は末端に加水分解性アルコキシシリル基を含み、これに硬化剤を添加したもの等が挙げられる。これらのアクリルシリコン樹脂を用いた場合、優れた耐候性が期待できる。
【0044】
フッ素樹脂としては、フルオロオレフィン系共重合体があり、これには例えば、モノマーとしてアルキルビニルエーテル、シンクロアルキルビニルエーテル、カルボン酸変性ビニルエステル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル、テトラフルオロプロピルビニルエーテル等と、フッ素モノマー(フルオロオレフィン)とを共重合させた共重合体がある。これらフッ素樹脂を用いた場合には、優れた耐候性と優れた疎水性が期待できる。
【0045】
また、樹脂の乾燥温度の低温化を狙いとして、樹脂粒子のコア部分とシェル部分とで異なる樹脂種類、又は異なるガラス転移温度の樹脂からなるコア・シェル型水分散性樹脂を用いることができる。
また、自己架橋性を有する水分散性樹脂を用い、例えば、樹脂粒子にアルコキシシラン基を付与することによって、樹脂の加熱乾燥時にアルコキシシランの加水分解によるシラノール基の生成と樹脂粒子間のシラノール基の脱水縮合反応を利用した粒子間架橋を利用することができる。
また、有機皮膜に使用する樹脂としては、有機樹脂をシランカップリング剤を介してシリカと複合化させた有機複合シリケートも好適である。
【0046】
また、有機樹脂皮膜の耐食性や加工性の向上を狙いとして、特に熱硬化性樹脂を用いることが望ましい。この場合、尿素樹脂(ブチル化尿素樹脂など)、メラミン樹脂(ブチル化メラミン樹脂)、ブチル化尿素・メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹脂、ブロックイソシアネート、オキサゾリン化合物、フェノール樹脂等の硬化剤を配合することができる。
【0047】
また、上記の皮膜には、さらに耐食性を向上させるための防錆添加剤として、酸化物微粒子(例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アンチモン等)、ポリリン酸塩、リン酸塩(例えば、リン酸亜鉛、リン酸二水素アルミニウム、亜リン酸亜鉛等)、バナジン酸塩、モリブデン酸塩、リンモリブデン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウム等)、有機リン酸及びその塩(例えば、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩及びこれらの金属塩、アルカリ金属塩)、有機インヒビター(例えば、ヒドラジン誘導体、チオール化合物、ジチオカルバミン酸塩等)、有機化合物(ポリエチレングリコール)等から選ばれる1つ以上の化合物を皮膜組成物に添加してもよい。
【0048】
さらに、その他の添加剤として、有機着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料等)、着色染料(例えば、有機溶剤可溶性アゾ系染料、水溶性アゾ系金属染料等)、無機顔料(例えば、酸化チタン等)、キレート剤(例えば、チオール等)、導電性顔料(例えば、亜鉛、アルミニウム、ニッケル等の金属粉末、リン化鉄、アンチモンドープ型酸化錫等)、カップリング剤(例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等)、メラミン・シアヌル酸付加物等を添加することができる。
【0049】
有機樹脂皮膜中には、さらに必要に応じて、皮膜の加工性を向上させる目的で固形潤滑剤を配合することができる。
本発明に適用できる固形潤滑剤としては、例えば、以下のようなものが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
(1) ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス:例えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素等
(2) フッ素樹脂微粒子:例えば、ポリフルオロエチレン樹脂(ポリ4フッ化エチレン樹脂等)、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂等
【0050】
また、この他にも、脂肪酸アミド系化合物(例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド等)、金属石けん類(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム等)、金属硫化物(例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステン等)、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリアルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩等の1種又は2種以上を用いてもよい。
【0051】
以上の固形潤滑剤の中でも、特に、ポリエチレンワックス、フッ素樹脂微粒子(なかでも、ポリ4フッ化エチレン樹脂微粒子)が好適である。
ポリエチレンワックスとしては、例えば、ヘキスト社製のセリダスト 9615A、セリダスト 3715、セリダスト 3620、セリダスト 3910、三洋化成(株)製のサンワックス 131−P、サンワックス 161−P、三井石油化学(株)製のケミパール W−100、ケミパール W−200、ケミパールW−500、ケミパール W−800、ケミパール W−950等を用いることができる。
【0052】
また、フッ素樹脂微粒子としては、テトラフルオロエチレン微粒子が最も好ましく、例えば、ダイキン工業(株)製のルブロン L−2、ルブロン L−5、三井・デュポン(株)製のMP1100、MP1200、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフルオンディスパージョン AD1、フルオンディスパージョン AD2、フルオン L141J、フルオン L150J、フルオン L155J等が好適である。
【0053】
また、これらのなかで、ポリオレフィンワックスとテトラフルオロエチレン微粒子の併用により特に優れた潤滑効果が期待できる。
有機樹脂皮膜中での固形潤滑剤の配合量は、基体樹脂100重量部(固形分)に対して1〜80重量部(固形分)、好ましくは3〜40重量部(固形分)が適当である。固形潤滑剤の配合量が1重量部未満では潤滑効果が乏しく、一方、配合量が80重量部を超えると塗装性が低下するので好ましくない。
上記基体樹脂および添加成分を含む皮膜形成用の塗料組成物は、通常、溶媒(有機溶剤及び/又は水)を含有し、さらに必要に応じて中和剤等が添加される。
【0054】
無機−有機系の上塗り被覆層としては、先に述べたような有機樹脂と無機系化合物を含む塗料組成物を塗布し、乾燥させて被覆層としたものの他に、有機樹脂と無機系化合物を溶液中で化学的に反応させた塗料組成物を塗布し、乾燥させて被覆層としたものであってもよい。
【0055】
以上述べた無機系又は有機系若しくは無機−有機系の上塗り被覆層の乾燥膜厚は0.05〜3μm、好ましくは0.1〜1μmとする。上塗り被覆層の膜厚が0.05μm未満では被覆層による効果が十分に発現されない。一方、膜厚3μmを超えると耐食性は良好であるが皮膜外観が劣り、また導電性も劣るため溶接できないなどの問題を生じる。
【0056】
また、電解処理層の上層にシーリング層を形成し、その上層に上述した上塗り被覆層を形成してもよい。このシーリング層は主に電解処理層の欠陥をシーリングすることを目的として形成されるもので、例えば上述した上塗り被覆層用の塗料組成物を用いて形成することができる。シーリング層の膜厚に特別な制限はないが、一般には0.05〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μm程度が好適である。また、シーリング層を形成するには、例えば、電解処理層を形成するための電解処理を行った後、水洗し又は水洗することなく、スプレー法、浸漬法、塗布法などにより塗料組成物を塗布し、乾燥させる。
【0057】
電解処理層又は上記シーリング層の上層に上塗り被覆層を形成するには、上塗り被覆用の塗料組成物を電解処理層又は上記シーリング層の上層に塗布し、加熱乾燥させる。上塗り被覆用の塗料組成物を塗布する方法に特に制限はなく、塗布方式、浸漬方式、電解方式、スプレー方式等のいずれでもよい。また、塗布方式ではロールコーター(3ロール方式、2ロール方式等)、スクイズコーター、ダイコーター等のいずれの塗布手段を用いてもよい。また、スクイズコーター等による塗布処理、浸漬処理、スプレー処理の後にエアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
【0058】
上塗り被覆層の形成は、通常、先に述べた電解処理層形成のための電解処理−水洗−乾燥工程に引き続き行われるが、必要に応じて水洗に引き続き連続して処理が行われてもよい。
また、上塗り被覆層を形成するための処理液の温度については特に制限はないが、通常は常温〜60℃が適当である。常温以下では冷却等のための設備が必要となるため不経済であり、一方、60℃を超えると水分が蒸発するため液管理が煩雑になる。
【0059】
上塗り被覆用の塗料組成物を塗装した後、通常水洗することなく加熱乾燥を行うが、塗装後に水洗してもよい。塗料組成物の加熱乾燥方法は特に制限はなく、高周波誘導加熱、熱風、赤外線等による乾燥のいずれでもよい。加熱乾燥温度は、到達板温で50〜300℃、好ましくは80〜200℃、さらに好ましくは80〜160℃の範囲で行うのが適当である。
【0060】
【実施例】
表1に示した各種亜鉛系めっき鋼板をアルカリ脱脂処理し、水洗、乾燥した後、日本パーカラジング製CL−342を10g/Lと硫酸ニッケル6水和物(又は硫酸コバルト7水和物若しくは硫酸鉄7水和物)を0.05g/L溶解した60℃の溶液に1〜50秒浸漬し、Ni、Co又はFeをめっき表面に析出させた。析出量は浸漬時間で調節した。次いで、亜鉛系めっき鋼板に対して表2及び表3に示した各種電解浴(浴温50℃)において電解処理を行い、引き続き水洗、熱風乾燥を行い電解処理層を形成した。
【0061】
電解浴は、表2及び表3に示す成分をイオン交換水に溶解させることで調製した。浴のpHは50℃の状態の値であり、pHを上げる場合には希釈した水酸化ナトリウムを用いた。
また、一部の表面処理鋼板については、上記電解処理後、表4に示す有機系被覆用組成物又は表5に示す無機系被覆用組成物をロールコーターを用いて塗布して加熱乾燥させ、電解処理層の上層に上塗り被覆層を有する表面処理鋼板とした。上塗り被覆層の膜厚は被覆用組成物の固形分、塗装用ロールの圧下力や回転速度等を調整することにより調整した。
【0062】
以上のようにして得られた表面処理鋼板について、下記の試験を実施して耐食性及び皮膜外観を評価した。その結果を、金属析出層の付着量、電解処理条件及びこの処理によるV(又はMn)、Si付着量、上塗り被覆層の処理条件とともに表6〜表15に示す。
【0063】
(1)耐食性
供試材に対して塩水噴霧試験(JIS Z 2371)を実施し、24時間後の腐食発生面積率で以下のように評価した。2.5点以上を合格とする。
5点 腐食発生なし
4.5点 腐食発生面積率3%未満
4点 腐食発生面積率3%以上、5%未満
3.5点 腐食発生面積率5%以上、10%未満
3点 腐食発生面積率10%以上、15%未満
2.5点 腐食発生面積率15%以上、30%未満
2点 腐食発生面積率30%以上、50%未満
1.5点 腐食発生面積率50%以上、70%未満
1点 腐食発生面積率70%以上
【0064】
(2)皮膜外観
皮膜外観をLab法による色調測定により以下のように評価した。◎及び○を合格とする。
◎ L値が80以上
○ L値が70以上、80未満
× L値が70未満
【0065】
なお、表6〜表15に示したNi量(又はCo,Fe量)、V量(又はMn量)、Si量は、次のようにして求めた。すなわち、処理層(金属析出層とその上層の電解処理層)と亜鉛系めっき皮膜を合わせて酸に溶解し、この溶解液中のNi量(又はCo,Fe量)、V量(又はMn量)、Si量をICP法により測定し、それらの測定値をそれぞれNi(1)(又はCo(1),Fe(1))、V(1)(又はMn(1))、Si(1)とした。一方、予めブランクとして上記処理層を有しない亜鉛系めっき皮膜を同じく酸に溶解し、この溶解液中のNi量(又はCo,Fe量)、V量(又はMn量)、Si量をICP法により測定し、それらの測定値をそれぞれNi(0)(又はCo(0),Fe(0))、V(0)(又はMn(0))、Si(0)とした。そして、Ni(1)−Ni(0)、Co(1)−Co(0)、Fe(1)−Fe(0)、V(1)−V(0)、Mn(1)−Mn(0)、Si(1)−Si(0)により処理層中のNi量(又はCo,Fe量)、V量(又はMn量)、Si量をそれぞれ求めた。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】
【表8】
【0074】
【表9】
【0075】
【表10】
【0076】
【表11】
【0077】
【表12】
【0078】
【表13】
【0079】
【表14】
【0080】
【表15】
【0081】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、表面処理皮膜がクロムフリーでありながら優れた耐食性と皮膜外観を兼ね備えた表面処理鋼板が提供される。
Claims (8)
- 亜鉛系めっき鋼板の表面に、Ni、Co、Feの中から選ばれる1種以上の金属が析出して形成された付着量が0.1〜10mg/m2の金属析出層を有し、その上層にバナジン酸化合物と水分散性シリカを含有し、カソード電解処理により形成された電解処理層を有することを特徴とする耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板。
- 電解処理層中に含まれるバナジン酸化合物がピロバナジン酸化合物又は/及びオルトバナジン酸化合物であることを特徴とする請求項1に記載の耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板。
- 電解処理層の上層に、無機系又は有機系若しくは無機−有機系の上塗り被覆層を0.05〜3μmの膜厚で形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板。
- 亜鉛系めっき鋼板の表面にNi、Co、Feの中から選ばれる1種以上の金属を化学的又は電気的に析出させることにより、付着量が0.1〜10mg/m2の金属析出層を形成し、次いで、該亜鉛系めっき鋼板をバナジン酸又は/及びバナジン酸化合物と水分散性シリカを含むpH6〜12の水溶液中でカソード電解処理することにより、前記金属析出層の上層に電解処理層を形成することを特徴とする耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- カソード電解処理を行う水溶液が、バナジン酸又は/及びバナジン酸化合物を0.001〜3モル/L、水分散性シリカを0.01〜2モル/L含有することを特徴とする請求項4に記載の耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- カソード電解処理を行う水溶液が、さらに多価陰イオンを0.01〜2モル/L含有することを特徴とする請求項4又は5に記載の耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- カソード電解処理を行う水溶液中含まれるバナジン酸又は/及びバナジン酸化合物が、ピロバナジン酸、オルトバナジン酸、ピロバナジン酸塩、オルトバナジン酸塩の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4、5又は6に記載の耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- 電解処理層の上層に無機系又は有機系若しくは無機−有機系の上塗り被覆層を0.05〜3μmの膜厚で形成することを特徴とする請求項4、5、6又は7に記載の耐食性及び皮膜外観に優れた表面処理鋼板の製造方法。
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