JP3724173B2 - 放電による表面処理方法および放電による表面処理装置 - Google Patents
放電による表面処理方法および放電による表面処理装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面処理材料あるいは表面処理材料の元となる材料からなる電極と被処理材である金属等の導電性材料との間に放電を発生させることにより被処理材表面に表面処理膜(改質層)を形成する表面処理方法、及びこれを実施する表面処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液中放電によって金属材料等の表面をコーティングして、耐食性、耐磨耗性を与える技術は、例えば特開平7−70761号公報等により既に特許出願され公知となっている。その技術の骨子は次のとおりである。WCとCoの粉末を混合して圧縮成形した電極で液中放電を行うことにより電極材料をワークに堆積させる。この後、別の電極(例えば、銅電極、グラファイト電極)によって、再溶融放電加工を行い、より高い高度と高い密着力を得る。
【0003】
以下、従来技術について図14〜図17を用いて説明する。
図14において、WC−Co(タングステンカーバイド−コバルト)の混合圧粉体電極(第1の電極)30を用いて、被処理材(母材S50C)1に液中で放電加工を行い、表面処理膜40を被処理材1上に堆積させる(1次加工)。次いで銅電極のようなそれほど消耗しない第2の電極31によって再溶融加工(2次加工)を行う。1次加工の堆積のままでは、組織は硬度もHv=1410程度であり、また空洞も多かったが、2次加工の再溶融加工によって表面処理膜41の空洞が無くなり、硬度もHv=1750と向上する。
図15は従来の放電による表面処理装置を示す構成図であり、プレス金型の切り刃部分への加工の様子を示す。図において、3は電極、4は表面処理膜(改質層)、100は表面処理装置、101は加工槽、102は制御装置、103は電源であり、表面処理膜4は被処理材(ダイ)1のエッジ部分に形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図16は、図15に示す表面処理装置において被処理材1、電極3、形成された表面処理膜4部分を拡大したものである。図16のC−C線での断面を図17に示す。切り刃処理のようなエッジ端面への加工の場合、図17(a)に示すように電極端を端面すれすれに設定すると放電頻度の関係から加工を施したい角部に、表面処理がしっかりと施されないという問題点があった。また、図17(b)に示すように電極を大きくはみ出させた場合は、電極の片側だけが消耗するため、加工の進行に伴い、エッジ先端への放電の集中によりエッジ形状が損なわれるという問題があった。
【0005】
本発明は以上のような問題点を解決するためになされたもので、被処理材のエッジに対してはその形状を損なうことなく、確実に所望の形状の表面処理を施すことができる表面処理方法を提供することを目的とする。また、被処理材のエッジのみならず、被処理材に対して所望の形状の表面処理を施すことができる表面処理方法を提供することを目的とする。さらには、このような表面処理方法を実現する表面処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の第1の方法による表面処理方法は、表面処理材料または表面処理材料の元となる材料からなる電極と被処理材との間に電圧を印加して放電を発生させることにより上記被処理材に表面処理膜を形成する際に、上記電極が上記被処理材のエッジ部で 20 乃至 100 μm突き出た状態でエッジ部表面に表面処理を施すものである。
【0007】
この発明の第2の方法による表面処理方法は、被処理材のエッジ端面に向かって上記電極を走査しながらエッジ部表面に表面処理を施すものである。
【0008】
この発明の第3の表面処理方法は、電極を被処理材に対して一定速度で走査することにより、単位時間当たりの電極対向時間に変化を与える対向面形状をもった電極を用いて、上記表面処理膜の厚さに分布をもたせるようにしたものである。
【0009】
この発明の第1の構成による表面処理装置は、表面処理材料または表面処理材料の元となる材料からなる電極と、この電極に対向する被処理面を有する被処理材と、上記電極と上記被処理材との間に電圧を印加する電源と、上記印加された電圧により、上記電極と上記被処理面との間に放電を発生させることにより上記被処理面に表面処理膜を形成する表面処理装置において、上記電極が上記被処理面のエッジ部で 20 乃至 100 μm突き出た状態で上記エッジ部表面に表面処理を施すものである。
【0010】
この発明の第2の構成による表面処理装置は、被処理面のエッジ部の内側から上記エッジ部まで、上記被処理面のエッジ端面に向かって、相対的に電極を走査する走査手段を備えたものである。
【0011】
この発明の第3の構成による表面処理装置は、電極の走査経路指令値として、上記被処理面を加工する際に使用したNCプログラムを利用して、上記電極を走査するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による放電表面処理装置を示す構成図である。図において、1は被処理材、2は電極保持装置、3は例えば、TiH2 (水素化チタン)系などの圧粉体の電極、5は電極保持装置2をZ軸方向に移動させる移動装置、6、7は被処理材1が設置された加工槽101をX軸、Y軸方向に移動させる移動装置であり、各々Xテーブル、Yテーブルである。8、9、10は各移動装置5、6、7を制御回路12の指令によりX、Y、Zの任意の方向に移動させる駆動機構であり、各々Z軸駆動機構、X軸駆動機構、Y軸駆動機構である。制御回路12は軌跡移動制御回路11を備え、極間検出回路13が接続される。103は放電を発生させるための電源、104は加工液である。
【0013】
次に上記表面処理装置を用いて放電による表面処理を行う方法について説明する。被処理材1にまず、Ti系の改質層を形成するため、電極3により、放電加工液104中において放電を発生させる。この放電により、電極3が消耗して電極3の成分であるTiを中心とした改質膜を被処理材1の表面に形成することができる。この場合の電極は、TiH2 (水素化チタン)系の圧粉体電極だけでなく、ソリッドのTi電極でもよい。被処理材1と電極3との間の放電で形成された改質層は、TiC(炭化チタン)が主成分となる。これは、加工液104が油であるため、放電の熱で分解した油の成分のC(炭素)と電極中のTiが熱により化学反応を起こしTiCとなるためである。被処理材1と電極3との間の放電により、被処理材1の表面は溶融し、改質層を形成する物質と母材との界面において改質層の主成分であるTiC(炭化チタン)と母材とが混合して再凝固した層が形成される。TiCは非常に硬質(ビッカース硬度2000〜3000)であり、改質層として良質のものである。Ti以外にも炭化物が硬質の物質であるV(バナジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)等を成分とする電極を使用しても同様の効果が得られる。形成された改質層により被処理材1の耐摩耗性が向上する。
【0014】
広範囲に改質層を形成するには、被処理材1と電極3のとの間で放電を発生させた状態でX軸駆動機構9およびY軸駆動機構10により電極3を走査する。このとき極間検出回路13により電極3の端面と被処理材1との極間距離を検出し、安定した放電を発生するように制御回路12によりZ軸駆動機構8を駆動させ極間距離を制御する。軌跡移動制御回路11による電極の軌跡情報にしたがって制御回路12がX、Y軸駆動機構9、10を駆動する。
【0015】
このようにして放電表面処理を行うことにより電極3が通過した部分にのみ改質層が形成される。処理対象部分が点在する場合は、X軸駆動機構9、Y軸駆動機構10、Z軸駆動機構8により電極3を処理対象部分に移動させて放電させながら走査することにより被処理材1にマスキングを施すことなく、選択的な被覆処理が実現できる。
【0016】
図2は実施の形態1による放電表面処理方法をさらに詳細に示す説明図であり、図2(a)は被処理材1をエッジ断面方向からみた図であり、図2(b)は被処理材1を上面からみた図である。本実施の形態における表面処理においては、電極3が被処理材1のエッジからわずかに突き出す状態を維持しながらエッジに沿って電極3を走査してエッジ部分に改質層4を形成する。このときの電極3の突き出し量が大きいと、従来の表面処理方法において述べたように、電極消耗によりエッジ側面に対しても電極が対向する状態となり、エッジに放電が集中してエッジが鈍化する。逆に、エッジから突き出さない状態では、改質層の最も必要な先端部分に改質層が形成されない場合がある。電極3の突き出し量を、例えば、20ミクロンから100ミクロン程度とした場合、エッジはだれずに改質層を形成することができる。これは、エッジに放電表面処理を適用した場合に形成される電極3のエッジ側面への回り込み形状は、エッジからの電極3の突き出し量が小さいと回り込み形状の厚さが薄く、放電により破壊され、除去されるためであり、被処理材1に対向する電極表面は均一に消耗されて常に平面状となることによる。
【0017】
このようにエッジからの突き出し量を20ミクロンから100ミクロン程度に保ちながら電極走査することで、エッジをだらすことなく、かつ、無処理領域を形成することなく改質層を形成することができる。
【0018】
また、この放電表面処理方法を、例えば打抜きプレス金型のエッジ部分に適用した場合、切れ刃を鈍らせることなく、切れ刃の耐摩耗性を向上させることができるため、金型寿命が大幅に延長する。
【0019】
なお上記実施の形態では電極3をX軸、Y軸方向に走査し、電極面積よりも広範囲に改質層を形成するものを示したが、このような走査を行わないで特定の個所に改質層を形成するものに対しても、エッジに対してその形状を損なうことなく、確実にエッジ部分に表面処理を施すことができる効果がある。
【0020】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2による放電表面処理方法を説明する説明図であり、図3(a)(b)は被処理材1をエッジ断面方向からみた図であり、(a)は電極中心がエッジの内部にある場合、(b)は電極中心がエッジの外部にある場合を示す。本実施の形態における表面処理においては、電極3の被処理材1との対向面形状が円形の場合、電極中心を、被処理材1のエッジより内側もしくは外側へ、例えば、数ミクロン〜数百ミクロンずらして設置し、さらに電極3をエッジ近傍に位置決めした後、電極保持装置2の主軸8(電極の中心とほぼ一致)の周りに回転させながら放電することによってエッジに改質層を形成する。
【0021】
電極3を回転させながらエッジに表面処理することにより電極3の消耗量を均一にすることで電極3の消耗形状を均一にすることができ、対向面が常に平面に保たれるため、エッジ側面に電極3が回り込むことがなくなり、エッジをだらすことなく、かつ確実にエッ ジに改質層を形成することができる。
【0022】
また、表面処理用電極3を回転させながら走査することにより、表面処理用電極の消耗形状を容易に均一にすることができ、エッジをだらすことなく、しかも、放電表面処理対象の輪郭形状の変化に影響されることなく、安定した被覆処理ができる。
【0023】
なお、上記実施の形態ではエッジ部分の表面処理について述べたが、エッジ以外の表面処理においても、電極を回転させながら表面処理することにより、安定した被覆処理ができる。
【0024】
また、電極の中心が回転中心に対して偏心している場合、図4のように電極外周を放電加工することにより、容易に偏心しないで回転中心と電極の中心が一致した電極を得ることができ、こうした電極を使用することにより、形成される改質層の精度が向上する。
【0025】
実施の形態3.
図5は本発明の実施の形態3による放電表面処理方法を説明する説明図であり、図5(a)は被処理材1をエッジ断面方向からみた図であり、図5(b)は被処理材1を上面からみた図である。図5(b)において、3aは電極中心がエッジの内部の場合の電極位置、3bは電極中心がエッジの外部の場合の電極位置を示す。本実施の形態においては、電極3がパイプ形状をしており、さらにこのパイプ状電極3を回転させながら走査することにより、被処理材1のエッジ部分に改質層4を形成する。
【0026】
電極3が上記実施の形態2のように中実形状の場合、電極対向面における径方向の周速度の違いから電極の回転中心で放電が発生し易く、そのため、被膜形成速度の差から処理状態が不安定となり、被覆面性状も悪かった。しかし、表面処理用電極をパイプ形状とすることにより、中実形状の電極の回転による被覆処理の利点に加え、電極回転中心での放電集中がなくなり、より安定した被覆処理を行うことができるようになる。
【0027】
なお、エッジ部分以外での表面処理の場合、パイプ形状の電極は必ずしも回転させながら走査させる必要はなく、固定した状態で走査してもよい。
【0028】
実施の形態4.
図6は本発明の実施の形態4による放電表面処理方法を示す図である。本実施の形態では、被処理材1と電極3との間に放電を発生させて電極を走査することにより改質層を形成する。このとき、電極3を回転させながら処理することにより改質層を形成するが、放電発生状態や電極経路に応じて電極3の回転数を変更する。例えば、放電が不安定になると、電極の回転数を遅くしてZ方向のサーボを取りやすくするか、あるいは、回転を速くして極間の余分な電極屑を排出して放電を安定させことができる。また、電極の対向時間に違いが生じる電極経路の場合、例えばコーナ部分等の対向時間が長くなる領域では、電極回転数を減少させることで、対向時間を調整して均一な改質層を形成する。電極回転数の変化はランダム、あるいは1/f揺らぎの周波数で変化させても良い。
【0029】
実施の形態5.
図7は本発明の実施の形態5による放電表面処理方法を示す図である。本実施の形態では、被処理材1と電極3との間に放電を発生させて電極を走査することにより改質層を形成する際に、電極3を回転させながら処理することにより改質層4を形成するが、電極の回転中心Aに対して電極中心Bがずれた状態で電極3を回転させながら放電表面処理する。2つの中心がずれているため、電極3が対向する領域が大きくなり、直径の大きな電極で被覆処理したのと類似の効果が得られる。この処理方法により、電極の対向面積が小さくても回転中心からの距離により被覆処理面積を調整できる。
【0030】
実施の形態6.
図8は本発明の実施の形態6による放電表面処理方法を示す図である。図8(a)は被処理材1をエッジ断面方向からみた図であり、図8(b)は被処理材1を上面からみた図である。また、図8(c)は被処理材1をエッジ方向からみた図である。本実施の形態では、被処理材1と電極3との間に放電を発生させて電極を走査することにより改質層を形成する。このとき電極3の走査は、図8(a)に示すように、被処理材1のエッジ端面に向かって電極3を走査する。これにより、電極消耗によりエッジへの電極の回り込みが生じても、エッジ側面に対向する電極対向面はエッジから遠ざかる状況になるため、エッジへの放電の集中を抑制し、エッジをだらすことなくエッジに改質層4を形成することができる。さらに、エッジ頂点付近ほど生成する被膜厚さを厚くする効果が得られる。
【0031】
また、この方法では対向面積が減少していくため、放電が集中しやすくなる場合があるが、例えば、電極3が数mm程度被処理材1に対向した状態で電極の走査を終了するとよい。
【0032】
長いエッジを処理する場合は、図8(b)(c)に示すように、1回目に走査した経路の一部をオーバラップさせるように処理すると厚さのばらつきの少ない改質層4を形成できる。
【0033】
実施の形態7.
図9は本発明の実施の形態7による放電表面処理方法を示す図である。本実施の形態では、被処理材1と電極3との間に放電を発生させることにより改質層を形成する。このとき、図9(a)に示すように、電極底面3cを被処理材1に対向させて改質層4を形成する場合、電極3をZ方向にサーボさせることにより良好な改質層4を形成することができる。
【0034】
また、電極側面3dを使用して被処理材1の側面側のエッジを処理する場合は、Z方向サーボでは改質層が形成できないため、側面(X、Y)方向に電極3をサーボさせる必要がある。さらに、この状態では電極の消耗によりエッジへ放電が回り込むためにエッジがだれるため、実施の形態6と同様に、放電させながら電極3をZ方向へ引き上げる動作を付加することによりエッジの鈍化を抑制することができる。
【0035】
また、電極を走査する場合の電極走査速度に関しては、電極の走査距離に応じて電極の消耗量を補正することにより、厚さ精度の良好な改質層を形成することができる。
【0036】
実施の形態8.
図10は本発明の実施の形態8による放電表面処理方法を示す図である。改質材料あるいは改質材料の元となる材料からなる電極3と被処理材1である導電性物質との間に電圧を印加して放電を発生させながら電極3を走査することにより該導電性物質表面に改質層4を形成する放電表面処理において、単位時間当たりの電極対向時間に変化を与える対向面形状をもった電極3を使用することにより電極3を一定速度で走査しながら改質層4の厚さに勾配をもたせることができる。例えば図10(b)に示すようにして、対向面が円である電極3により放電表面処理を行った結果を、図10(a)に示す。図10(a)の左側と下側に示すグラフは、形成された改質層4の断面の形状データを示している。電極中心が通過した部分で最も改質層の厚さが大きく、電極外周部分が通過したところの改質層は薄い。これは電極中心付近が通過する部分ほど処理時間が長くなるためである。このように電極の被処理材との対向面形状を選択することにより、電極の走査速度を変化させることなく、改質層厚さに勾配をもたせることができる。
【0037】
この処理方法により、円形状の対向面をもつ電極を使用してプレス金型のエッジ部分に改質層を形成する場合、図11に示すように電極中心がエッジ先端を通過するようにさせることにより、プレス工程で最も力が作用し、耐摩耗性が要求されるエッジ頂点付近の改質層を厚くすることができる。
【0038】
また、図12に示すように電極対向面形状や走査方向により容易に厚さに分布を持たせることが可能である。
【0039】
実施の形態9.
図13は本発明の実施の形態9による放電表面処理方法を示す図である。改質材料あるいは改質材料の元となる材料からなる電極3と被処理材1である導電性物質との間に電圧を印加して放電を発生させながら電極3を走査することにより該導電性物質表面に改質層4を形成する放電表面処理において、ワイヤ放電加工によって切り出された被処理材1のエッジ部分を放電表面処理する場合、そのときのワイヤ放電加工で使用したNCプログラムを利用して輪郭形状に沿って電極3を走査してエッジに改質層4を形成することができる。このとき、例えば、電極半径分を輪郭データにオフセットすることで容易に電極走査経路のプログラムを得ることができる。
【0040】
【発明の効果】
この発明の第1の方法による表面処理方法によれば、表面処理材料または表面処理材料の元となる材料からなる電極と被処理材との間に電圧を印加して放電を発生させることにより上記被処理材に表面処理膜を形成する際に、上記電極が上記被処理材のエッジ部で 20 乃至 100 μm突き出た状態でエッジ部表面に表面処理を施すようにしたので、被処理材のエッジ形状を損なうことなく、かつ確実にエッジ部表面に所望の形状の表面処理を施すことができる。
【0041】
この発明の第2の方法による表面処理方法によれば、被処理材のエッジ端面に向かって上記電極を走査しながらエッジ部表面に表面処理を施すようにしたので、被処理面のエッジ形状を損なうことなく、かつ確実に上記エッジ部表面に所望の形状の表面処理を施すことができる。
【0042】
この発明の第3の方法による表面処理方法によれば、電極を被処理材に対して一定速度で走査することにより、単位時間当たりの電極対向時間に変化を与える対向面形状をもった電極を用いて、上記表面処理膜の厚さに分布をもたせるようにしたので、単純な構成で厚さに分布を持つ表面処理膜が得られるようになる。
【0043】
この発明の第1の構成による表面処理装置によれば、表面処理材料または表面処理材料の元となる材料からなる電極と、この電極に対向する被処理面を有する被処理材と、上記電極と上記被処理材との間に電圧を印加する電源と、上記印加された電圧により、上記電極と上記被処理面との間に放電を発生させることにより上記被処理面に表面処理膜を形成する表面処理装置において、上記電極が上記被処理面のエッジ部で 20 乃至 100 μm突き出た状態で上記エッジ部表面に表面処理を施すようにしたので、被処理材のエッジ形状を損なうことなく、かつ確実にエッジ部表面に所望の形状の表面処理を施すことができる。
【0044】
この発明の第2の構成による表面処理装置によれば、被処理面のエッジ部の内側から上記エッジ部まで、上記被処理面のエッジ端面に向かって、電極を走査する走査手段を備えたので、被処理材のエッジ形状を損なうことなく、かつ確実にエッジ部表面に所望の形状の表面処理を施すことができる。
【0045】
この発明の第3の構成による表面処理装置によれば、電極の走査経路指令値として、上記被処理面を加工する際に使用したNCプログラムを利用して、上記電極を走査するようにしたので、容易に被処理材のエッジ部表面に表面処理を施すことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による放電表面処理装置を示す構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態1による放電表面処理方法を説明する説明図である。
【図3】 本発明の実施の形態2による放電表面処理方法を説明する説明図である。
【図4】 本発明の実施の形態2に係わる電極を得る方法を説明する説明図である。
【図5】 本発明の実施の形態3による放電表面処理方法を説明する説明図である。
【図6】 本発明の実施の形態4による放電表面処理方法を説明する説明図である。
【図7】 本発明の実施の形態5による放電表面処理方法を説明する説明図である。
【図8】 本発明の実施の形態6による放電表面処理方法を説明する説明図である。
【図9】 本発明の実施の形態7による放電表面処理方法を説明する説明図である。
【図10】 本発明の実施の形態8による放電表面処理方法を説明する説明図である。
【図11】 本発明の実施の形態8による放電表面処理方法を説明する説明図である。
【図12】 本発明の実施の形態8による放電表面処理方法を説明する説明図である。
【図13】 本発明の実施の形態9による放電表面処理方法を説明する説明図である。
【図14】 従来の放電による表面処理方法を説明する説明図である。
【図15】 従来の放電による表面処理装置を示す構成図である。
【図16】 従来の表面処理の様子を示す斜視図である。
【図17】 従来の表面処理方法による問題点を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 被処理材、2 電極保持装置、3 電極、4 表面処理膜、5,6,7 移動装置、8 Z軸駆動機構、9 X軸駆動機構、10 Y軸駆動機構、11 軌跡移動制御回路、12 制御回路、13 極間検出回路、30 第1の電極、31 第2の電極、40,41 表面処理膜、100 表面処理装置、101 加工槽、102 制御装置、103 電源、104 加工液。
Claims (6)
- 表面処理材料または表面処理材料の元となる材料からなる電極と被処理材との間に電圧を印加して放電を発生させることにより上記被処理材に表面処理膜を形成する際に、上記電極が上記被処理材のエッジ部で 20 乃至 100 μm突き出た状態でエッジ部表面に表面処理を施すことを特徴とする放電による表面処理方法。
- 被処理材のエッジ端面に向かって上記電極を走査しながらエッジ部表面に表面処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の放電による表面処理方法。
- 電極を被処理材に対して一定速度で走査することにより、単位時間当たりの電極対向時間に変化を与える対向面形状をもった電極を用いて、上記表面処理膜の厚さに分布をもたせるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の放電による表面処理方法。
- 表面処理材料または表面処理材料の元となる材料からなる電極と、この電極に対向する被処理材と、上記電極と上記被処理材との間に電圧を印加する電源と、上記印加された電圧により、上記電極と上記被処理材との間に放電を発生させることにより上記被処理材に表面処理膜を形成する表面処理装置において、上記電極が上記被処理材のエッジ部で 20 乃至 100 μm突き出た状態で上記エッジ部表面に表面処理を施すことを特徴とする放電による表面処理装置。
- 上記電極を、上記被処理材のエッジ端面に向かって走査する走査手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の放電による表面処理装置。
- 電極の走査経路指令値として、上記被処理面を加工する際に使用した NC プログラムを利用して、上記電極を走査することを特徴とする請求項5に記載の放電による表面処理装置。
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JPH11226820A (ja) | 1999-08-24 |
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