JP3525143B2 - 放電表面改質方法及びその装置 - Google Patents

放電表面改質方法及びその装置

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JP3525143B2 JP06377095A JP6377095A JP3525143B2 JP 3525143 B2 JP3525143 B2 JP 3525143B2 JP 06377095 A JP06377095 A JP 06377095A JP 6377095 A JP6377095 A JP 6377095A JP 3525143 B2 JP3525143 B2 JP 3525143B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、放電加工を行う工具
を利用可能とした放電加工による表面改質方法及びその
装置に関するものであり、特に、総型電極による型彫加
工と表面処理を同一機械上で行うことができる放電表面
改質方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は『電気加工技術、Vol.16 No.53
(1993)38.』(増井ほか「放電加工による表面の合金化
処理」の項参照)に掲載されている従来の放電表面改質
方法及びその装置を示した説明図である。図5におい
て、21は表面改質を行う工作物、22は電極、23は
電極22を保持する主軸であり、電極22は主軸23に
よって図示されない駆動装置により上下方向に可動とさ
れる。24は加工槽、30は改質材料粉末を混入した加
工液、31は加工用電源である。また、32は攪拌スク
リューで、加工槽24に収容した改質材料粉末が混入さ
れた加工液30を攪拌し、加工液30中の改質材料粉末
の濃度を均一化する。
【0003】次に、従来の放電表面改質について説明す
る。工作物21と電極22の間には、加工用電源31か
らパルス電圧が印加され、工作物21と電極22の間に
放電が発生する。電極22は主軸23とともに図示され
ない駆動装置により上下方向(Z軸方向)にサーボ駆動
され、放電加工が進行する。加工液30にはタングステ
ンの微粉末が混入されているため、工作物21の表面に
おいては放電により工作物21の母材が溶融されるとと
もに、そこに加工液30中のタングステン粉末が混入
し、工作物21の表面に改質層、即ち、タングステン合
金層が形成される。前記文献によれば、正極性放電(電
極側−、工作物側+)において、特に、均一な改質層が
得られることが記載されている。また、その他、シリコ
ン、クロム等の粉末を加工液30に混入して放電加工を
行うことにより、金属表面に同様な改質層が形成され、
高い耐食性や耐摩耗性が得られることも記載されてい
る。
【0004】また、金属表面に改質層を形成する別の方
法として、『電気加工学会全国大会講演論文集(1993)
79. 』(齋藤ほか「液中放電の表面加工への展開」の項
参照)に掲載の技術がある。この方法は、タングステン
カーバイト等の粉体を圧縮することにより形成した圧粉
体電極によって、工作物21の表面に表面処理層を形成
した後、銅電極により2次加工を行って、緻密な表面処
理層を形成する方法であり、先の文献に開示されている
技術と比較してより緻密な表面処理層が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の放電表面改質方
法及びその装置は、上記のように構成されており、単純
な形状の表面処理は可能であるが、複雑な形状の表面処
理を行うことができなかった。即ち、図5に示す従来の
放電表面改質方法の場合、加工液30に表面処理用の粉
末を混入して加工を行う方法であるから、総型電極を使
用すれば原理的には複雑形状の表面処理も可能である。
しかし、実際には、複雑な形状の電極や面積の大きな電
極による表面処理の場合には、工作物21と電極22の
間における粉末の濃度を均一に維持することが困難であ
るから、表面処理にムラが発生しやすく、均一な処理面
が得られない。
【0006】表面処理する粉末を加工液30に混入する
方法では、改質材料粉末の供給が対応できないから厚い
表面処理層が得られ難い。また、処理面の純度が低く、
所望の表面特性が得られ難い。このような粉末を混入す
る装置では粉末混入加工液用に専用の加工液タンクが必
要となり、大量の粉末を加工液に混入する必要があるこ
とから、コストが大幅に増大するとともに、メンテナン
ス性、操作性が大幅に悪化する。
【0007】また、後述の従来のタングステンカーバイ
ト等の粉体を圧縮することにより形成した圧粉体電極を
用いる場合、圧粉体電極によって複雑形状の電極を製作
することが困難であるから、複雑形状の処理ができな
い。
【0008】そこで、この発明は上記のような従来のも
のの課題を解消するためになされたもので、総型による
型彫放電加工と表面処理を同一機械で行うことを可能と
し、複雑な形状の加工においても均一かつ良質な放電表
面処理層を形成し、工作物の対磨耗性、耐食性を大幅に
向上させることの可能な放電表面改質方法及びその装置
を課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかる放電表
面改質方法は、工作物の金属表面に改質層を形成する表
面処理材料を、タングステンカーバイト、TiN 、TiC の
何れか1つ以上の金属からなる粉体を固化し圧粉体電極
とした円柱または角柱の単純形状に成形した単純形状電
極によって前記工作物の加工部分に表面処理層を形成す
る表面処理を行う表面処理加工工程と、前記工作物に製
品形状の転写加工を行う総型電極によって前記単純形状
電極で形成した表面処理層の再溶融加工を行う再溶融加
工工程とを具備し、前記再溶融加工工程で使用した総型
電極と同一電極で加工面の仕上加工を行うものである。
【0010】請求項2にかかる放電表面改質方法は、総
型電極により荒加工を行う荒加工工程と、工作物の金属
表面に改質層を形成する表面処理材料を、タングステン
カーバイト、TiN 、TiC の何れか1つ以上の金属からな
る粉体を固化し圧粉体電極とした円柱または角柱の単純
形状に成形した単純形状電極によって前記工作物の加工
部分に表面処理層を形成する表面処理を行う表面処理加
工工程と、前記荒加工工程で使用した総型電極または前
記総型電極と略同一形状の総型電極により、前記単純形
状電極で形成した表面処理層の再溶融加工を行う再溶融
加工工程とを具備し、前記再溶融加工工程で使用した総
型電極と同一電極で加工面の仕上加工を行うものであ
る。
【0011】請求項3にかかる放電表面改質装置は、工
作物に製品形状の転写加工を行う総型電極と、表面処理
材料を、タングステンカーバイト、TiN 、TiC の何れか
1つ以上の金属からなる粉体を固化し圧粉体電極とした
円柱または角柱の単純形状に成形した単純形状電極と、
前記単純形状電極が前記工作物の加工部分の表面をなぞ
りながら加工を行うよう制御する軌跡移動制御手段とを
具備し、前記単純形状電極によって前記工作物の加工部
分の全面または一部の面に表面処理層を形成する表面処
理を行い、その後、前記総型電極により前記単純形状電
極で形成した表面処理層の再溶融加工を行うことによ
り、加工液中で前記工作物に改質層を形成し、前記再溶
融加工で使用した総型電極と同一電極で加工面の仕上加
工を行うものである。
【0012】請求項4にかかる放電表面改質装置は、工
作物に製品形状を転写する荒加工を行う総型電極と、表
面処理材料をタングステンカーバイト、TiN 、TiC の何
れか1つ以上の金属からなる粉体を固化し圧粉体電極と
した円柱または角柱の単純形状に成形した単純形状電極
と、前記単純形状電極が前記工作物の加工部分の表面を
なぞりながら加工を行うよう制御する軌跡移動制御手段
とを具備し、前記総型電極により荒加工を行った後、前
記単純形状電極によって前記工作物の前記荒加工後の加
工部分の全面または一部の面に表面処理層を形成する表
面処理を行い、その後、前記総型電極により前記単純形
状電極で形成した表面処理層の再溶融加工を行うことに
より、加工液中で前記工作物に改質層を形成し、前記再
溶融加工で使用した総型電極と同一電極で加工面の仕上
加工を行うものである。
【0013】
【作用】請求項1においては、表面処理材料のタングス
テンカーバイト、TiN 、TiC の何れか1つ以上の金属か
らなる粉体を固化し圧粉体電極とした円柱または角柱の
単純形状電極により工作物の加工部分に表面処理を行
い、次に、製品形状の転写加工を行う総型電極によって
前記単純形状電極で形成した表面処理層の再溶融加工を
行うことにより、工作物に改質層を形成するものであ
る。そして、前記再溶融加工工程で使用した総型電極と
同一電極で加工面の仕上加工を行う。
【0014】請求項2においては、総型電極により荒加
工を行った後、表面処理材料のタングステンカーバイ
ト、TiN 、TiC の何れか1つ以上の金属からなる粉体を
固化し圧粉体電極とした円柱または角柱の単純形状電極
により表面処理層を形成する表面処理を行い、その後、
前記荒加工で使用した総型電極またはその総型電極と略
同一形状の総型電極により、前記表面処理層の再溶融加
工を行うことにより、工作物に改質層を形成する。そし
て、前記再溶融加工工程で使用した総型電極と同一電極
で加工面の仕上加工を行う。
【0015】請求項3においては、表面処理材料のタン
グステンカーバイト、TiN 、TiC の何れか1つ以上の金
属からなる粉体を固化し圧粉体電極とした円柱または角
柱の単純形状に成形した単純形状電極により工作物の加
工部分の全面または一部の面に表面処理層を形成する表
面処理を行い、その後、総型電極により前記単純形状電
極で形成した表面処理層の再溶融加工を行うことにより
工作物に改質層を形成する。そして、前記再溶融加工工
程で使用した総型電極と同一電極で加工面の仕上加工を
行うものである。
【0016】請求項4においては、総型電極により荒加
工を行った後、表面処理材料のタングステンカーバイ
ト、TiN 、TiC の何れか1つ以上の金属からなる粉体を
固化し圧粉体電極とした円柱または角柱の単純形状電極
によって、荒加工後の工作物の表面をなぞりながら加工
を行うよう制御して表面処理層を形成する表面処理を行
い、その後、前記荒加工で用いた総型電極と略同一形状
の総型電極により前記表面処理層の再溶融加工を行うこ
とにより、工作物に改質層を形成する。そして、前記再
溶融加工工程で使用した総型電極と同一電極で加工面の
仕上加工を行うものである。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図を用いて説明す
る。 実施例1. 図1は本発明の一実施例における放電表面改質装置を示
した説明図である。図1において、1は加工液30中の
放電によって加工及び表面処理を行う工作物、2は再溶
融処理用の総型電極で、通常は銅、グラファイト等の材
料が用いられる。3は表面処理材料からなるタングステ
ンカーバイト(超硬)の粉末を圧力成形した表面処理用
の圧粉体電極からなる単純形状電極、4は前記総型電極
2及び表面処理用の単純形状電極3を交換する電極交換
手段、5は単純形状電極3の垂直方向の駆動を行うZ軸
駆動手段、6は工作物1の水平方向(X方向)への駆動
を行うためのXテーブル、7は工作物1の水平方向(Y
方向)への駆動を行うためのYテーブル、8はXテーブ
ル6を移動させる図示されない駆動モータを制御するX
軸サーボアンプ、9はYテーブル7を移動させる図示さ
れない駆動モータを制御するY軸サーボアンプ、10は
加工槽、11はCNC(Computerized Numerical Contr
ol)制御装置、12はCNC制御装置11内部に設けら
れ、表面処理用の単純形状電極3による加工時における
電極の動きを制御する軌跡移動制御手段、13は表面処
理用の単純形状電極3による加工のための電極パスプロ
グラム(NCプログラム)を軌跡移動制御手段12に供
給する電極軌跡生成用CAMである。
【0018】次に、図2を用いて本発明の一実施例にお
ける放電表面改質方法及びその装置について説明する。
図2は本発明の一実施例における放電表面改質方法及び
その装置の加工工程の概略を示した説明図で、(a)が
工作物1を機械的に切削する前加工工程、(b)が単純
形状電極3による表面処理加工工程、(c)が総型電極
2による再溶融加工工程の説明図である。
【0019】図2において、工作物1は放電加工を行う
前に行うフライス盤またはボール盤等の機械的切削を行
う前加工工程(a)で、機械的な切削加工にて荒取りが
なされ、概略の形状は既に形成されている。この状態の
工作物1を加工槽10にセットする。そして、工作物1
のセッティングを行った後、電極交換手段4によって表
面処理用の単純形状電極3をZ軸駆動手段5に取付け、
そして、表面処理加工工程(b)を開始する。表面処理
加工工程(b)においては、単純形状電極3によって荒
加工工程等の前加工工程(a)による横方向に加工表面
をなぞるように加工を行うため、単純形状電極3の軌跡
移動を前加工工程(a)によって形成された加工表面に
従って制御する必要がある。CNC制御装置11の内部
に設けられた軌跡移動制御手段12は、予め、電極軌跡
生成用CAM13によって作成された電極パス情報(N
Cプログラム)に基づき、表面処理用の単純形状電極3
の横方向の移動、即ち、Xテーブル6、Yテーブル7の
駆動制御を行う。このようにして、再溶融加工工程
(c)で機械的切削による前加工工程(a)で形成され
た加工表面の全部または一部の面について表面処理用の
単純形状電極3により、表面処理層Aを形成する表面処
理が行われる。
【0020】なお、単純形状電極3による表面処理加工
工程(b)は、厚い被膜を加工面に形成できるが、工作
物1と処理用粉体自体との溶融が不十分であるため、表
面処理層Aが均一でなく、かつ、その密度が低いため、
表面処理による所望の耐磨耗性、耐食性の向上等の特性
が得られない。また、処理後の面あらさ及び母材との密
着度が悪い等の問題がある。このため、通常、このまま
では表面処理層Aとしては使用できない場合が多い。そ
こで、表面処理加工工程(b)で形成した表面処理層A
に対して、総型電極2による再溶融加工工程(c)によ
る再溶融加工を行い、表面処理層Aを緻密にし、所望の
耐磨耗性、耐食性とし、また、面あらさ及び母材との密
着度を良くする必要がある。
【0021】そこで、前記表面処理加工工程(b)の終
了後、電極交換手段4は表面処理用の単純形状電極3を
Z軸駆動手段5から取外し、再溶融処理用の総型電極2
をZ軸駆動手段5にセットし、総型電極2による再溶融
加工工程(c)を開始する。再溶融加工は表面処理用の
単純形状電極3による横加工とは異なり、揺動動作を伴
ったZ軸サーボによる加工が主体となる。この再溶融加
工工程(c)により前加工工程(a)で形成された表面
処理層Aの再溶融加工が行われ、緻密で強固な表面処理
層Aを形成することができる。即ち、所望の耐磨耗性、
耐食性を得て、かつ、面あらさ及び母材との密着度が良
くなる。
【0022】更に、再溶融加工工程(c)で使用する総
型電極2と同一電極によって、微細なエネルギーのパル
スによる仕上加工を施すことにより、より良質な表面処
理面が得られる。その際、再溶融処理が完了した時点で
加工エネルギーを下げ、加工面の微細仕上げを行うよう
にしても良い。
【0023】このように、本実施例の放電表面改質装置
は、工作物1に製品形状の転写加工を行う総型電極2
と、表面処理材料を単純形状に成形した単純形状電極3
と、単純形状電極3が工作物1の加工部分の表面をなぞ
りながら加工を行うよう制御する軌跡移動制御手段12
とを具備し、単純形状電極3によって工作物1の加工部
分の全面または一部の面に表面処理層Aを形成する表面
処理を行い、その後、総型電極2により単純形状電極3
で形成した表面処理層Aの再溶融加工を行うことによ
り、加工液30中で工作物1の加工面に改質層を形成す
るものであり、これを請求項に対応する実施例とするこ
とができる。したがって、表面処理材料を単純形状に成
形した単純形状電極3により工作物1の加工部分に表面
処理層Aを形成する表面処理を行い、序で、製品形状の
転写加工を行う総型電極2によって単純形状電極3で形
成した表面処理層Aの再溶融加工を行うことにより、工
作物1の加工面に改質層を形成するものであるから、機
械加工または放電加工等で任意の複雑形状に加工された
金型等の表面の一部または全部に機械的特性に優れた均
一、かつ、緻密な表面処理層Aが極めて効率よく短時間
で形成でき、結果的に、金型の寿命が大幅に改善でき
る。
【0024】一方、本実施例の放電表面改質方法は、加
工液30中の放電により、電極に対向する工作物1の加
工面に改質層を形成する放電表面改質方法において、工
作物1の金属表面に改質層を形成する表面処理材料を単
純形状に成形した単純形状電極3によって工作物1の加
工部分に表面処理層Aを形成する表面処理を行う表面処
理加工工程(b)と、工作物1に製品形状の転写加工を
行う総型電極2によって単純形状電極3で形成した表面
処理層Aの再溶融加工を行う再溶融加工工程(c)とを
具備するものであり、これを請求項に対応する実施例と
することができる。したがって、表面処理材料を単純形
状に成形した単純形状電極3により工作物1の加工部分
に表面処理層Aを形成する表面処理を行い、序で、製品
形状の転写加工を行う総型電極2によって単純形状電極
3で形成した表面処理層Aの再溶融加工を行い、工作物
1の加工面に改質層を形成するものであるから、機械加
工または放電加工等で任意の複雑形状に加工された金型
等の表面の一部または全部に機械的特性に優れた均一、
かつ、緻密な表面処理層Aが極めて効率よく短時間で形
成でき、結果的に、所望の耐磨耗性、耐食性を得て、か
つ、面あらさ及び母材との密着度が良くなり、金型の寿
命が大幅に改善できる。
【0025】また、前記再溶融加工工程(c)で使用し
た総型電極2と同一電極で加工面の仕上加工を行うもの
であり、これを請求項に対応する実施例とすることがで
きる。この種の実施例によれば、複雑な総型電極2を複
数種類製造する必要がなくなり、それだけ金型の製造コ
ストが廉価となる。また、再溶融加工工程と同一工程に
て加工面の仕上加工を行うようにしたため、極めて面あ
らさの細かい表面処理層を得ることができ、適用できる
金型の特性領域(要求)が大幅に拡大できる効果があ
る。
【0026】そして、表面処理材料を単純形状に成形し
た単純形状電極3は、タングステンカーバイト、TiN 、
TiC の何れか1つ以上の金属粉体を圧力成形により固化
して圧粉体電極としたものであり、これを請求項に対応
する実施例とすることができる。この種の単純形状電極
3は、タングステンカーバイト、TiN 、TiC の何れか1
つ以上の金属粉体を圧力成形により固化した圧粉体電極
であるから、製造が簡単であり、しかも、タングステン
カーバイト、TiN 、TiC の何れか1つ以上の金属の融合
により、機械的特性に優れた均一かつ緻密な表面処理層
Aが極めて効率よく短時間で形成でき、結果として、金
型の寿命を大幅に改善する等の効果がある。
【0027】更に、単純形状電極3は、表面処理材料を
円柱または角柱に成形したものであり、これを請求項に
対応する実施例とすることができる。したがって、表面
処理材料を円柱または角柱に成形するものであるから、
電極形成が容易であり、特に、金属粉体を圧力成形によ
り固化した圧粉体電極においては、圧縮圧力が効率良く
金属粉体に伝わり成形が容易であり、堅固な電極が得ら
れる。
【0028】実施例2. 図3は本発明の他の実施例における放電表面改質装置を
示した説明図である。図3において、1は加工及び表面
処理を行う工作物、2aは工作物1の形状型彫加工を行
う荒加工用の総型電極、2bは再溶融処理用の総型電極
で、通常の総型電極2bは銅、グラファイト等の材料が
用いられる。3は表面処理材料からなるタングステンカ
ーバイト(超硬)の粉末を圧力成形した表面処理用の圧
粉体電極からなる単純形状電極、4は総型電極2aまた
は総型電極2b及び表面処理用の単純形状電極3を交換
し、何れか1つを選択する電極交換手段、5は電極交換
手段4で選択された電極の垂直方向の駆動を行うZ軸駆
動手段、6は工作物1の水平方向(X方向)の駆動を行
うためのXテーブル、7は工作物1の水平方向(Y方
向)の駆動を行うためのYテーブル、8はXテーブル6
を移動させる図示されない駆動モータを制御するX軸サ
ーボアンプ、9はYテーブル7を移動させる図示されな
い駆動モータを制御するY軸サーボアンプ、10は加工
槽、11はCNC制御装置、12はCNC制御装置11
の内部に設けられ、表面処理用の単純形状電極3による
加工時における電極の動きを制御する軌跡移動制御手
段、13は表面処理用の単純形状電極3による加工のた
めの電極パスプログラム(NCプログラム)を軌跡移動
制御手段12に供給する電極軌跡生成用CAMである。
【0029】次に、図4を用いて本発明の他の実施例に
おける放電表面改質方法及びその装置について説明す
る。図4は本発明の他の実施例における放電表面改質方
法及びその装置の加工工程の概略を示した説明図で、
(a)が総型電極2aによる荒加工工程、(b)が単純
形状電極3による表面処理加工工程、(c)が総型電極
2bによる再溶融加工工程の説明図である。
【0030】まず、加工に先だって工作物1のセッティ
ングを行った後、電極交換手段4によってZ軸駆動手段
5に荒加工用の総型電極2aを取付けて型彫加工を行
う。即ち、図4に示す総型電極2aによる荒加工工程
(a)を行う。加工中はZ軸駆動手段5によるZ軸サー
ボの制御が主体であり、X軸方向及びY軸方向の駆動は
揺動運動、ピッチ送り移動以外は基本的に行われない。
なお、通常の荒加工工程(a)においては、荒加工とと
もに中仕上げ加工も施し、表面処理前の加工面をある程
度の面あらさまで細かくしておく必要がある。通常、こ
の工程後の面あらさの目安としては10〜20ミクロン
程度である。
【0031】この荒加工工程(a)の工程終了後、電極
交換手段4は、荒加工用の総型電極2aをZ軸駆動手段
5から取外し、替りに表面処理用の単純形状電極3をZ
軸駆動手段5に取付け、表面処理加工工程(b)を開始
する。表面処理加工工程(b)においては、図4に示す
ように、単純形状電極3によって荒加工工程(a)によ
る横方向に加工表面をなぞるように加工を行うため、単
純形状電極3の軌跡移動を制御する必要がある。CNC
制御装置11に設けられた軌跡移動制御手段12は予め
電極軌跡生成用CAM13によって作成された電極パス
情報(NCプログラム)に基づき、表面処理用の単純形
状電極3の横方向の移動、即ち、Xテーブル6、Yテー
ブル7の駆動制御を行う。このようにして、総型電極2
aによる荒加工工程(a)で形成された加工表面の全部
または一部の面について、表面処理加工工程(b)によ
り表面処理用の単純形状電極3による表面処理層Aを形
成する表面処理が行われる。
【0032】なお、この表面処理加工工程(b)により
形成された表面処理層Aは、厚い被膜を加工面に形成で
きるが、処理用粉体自体の溶融が不十分であるため、処
理層が均一でなく、密度が低いため、表面処理による所
望の耐磨耗性、耐食性等の特性の向上が得られない。ま
た、面あらさ及び母材との密着度が悪い等の問題を有し
ているため、通常、このままでは表面処理層Aとしては
使用できない場合が多い。そこで、表面処理加工工程
(b)で形成した処理面に対して、再溶融加工を行い、
表面処理層Aを緻密にする必要がある。
【0033】表面処理加工工程(b)の終了後、電極交
換手段4は表面処理用の単純形状電極3をZ軸駆動手段
5から取外し、仕上用の総型電極2bをZ軸駆動手段5
にセットする。この総型電極2bは荒加工工程(a)で
使用した総型電極2aをそのまま使用する場合もある
が、特に、加工精度が重要な場合は、荒加工で用いた総
型電極2aと同一形状の仕上用の総型電極2bを用意し
ておき、総型電極2bにより再溶融加工工程(c)の加
工を行う。加工は荒加工工程(a)と同様、揺動動作を
伴ったZ軸サーボによる加工が主体となる。
【0034】再溶融加工工程(c)の工程により、表面
処理加工工程(b)で形成された表面処理層Aの再溶融
加工が行われ、緻密で強固な表面処理層Aを形成するこ
とができる。したがって、金型等の表面の一部または全
部に機械的特性に優れた均一、かつ、緻密な表面処理層
Aが極めて効率よく短時間で形成でき、結果的に、所望
の耐磨耗性、耐食性を得て、かつ、面あらさ及び母材と
の密着度が良くなり、金型の寿命が大幅に改善できる。
【0035】なお、上記実施例においては荒加工用の総
型電極2aと再溶融加工用の総型電極2bとして別個の
ものを用いる例を示したが、精度の要求がそれほど高く
ない場合は、両者を同一の総型電極で兼用してもよい。
また、上記再溶融加工工程(c)の再溶融加工と同一電
極にてより微細なエネルギーのパルスによる仕上加工を
施すことにより、より良質な表面処理面が得られる。そ
の際、再溶融処理が完了した時点で加工エネルギーを下
げ、加工面の微細仕上げを行うようにしても良い。
【0036】このように、本実施例の放電表面改質装置
は、工作物1に製品形状を転写する荒加工を行う総型電
極2a及び仕上用の総型電極2bと、表面処理材料を単
純形状に成形した単純形状電極3と、単純形状電極3が
工作物1の加工部分の表面をなぞりながら加工を行うよ
う制御する軌跡移動制御手段12とを具備し、総型電極
2aにより荒加工を行った後、単純形状電極3によって
工作物1の荒加工後の加工部分の全面または一部の面に
表面処理層Aを形成する表面処理を行い、その後、総型
電極2bにより単純形状電極3で形成した表面処理層A
の再溶融加工を行うことにより、加工液30中で工作物
1の表面処理層Aの面に改質層を形成するものである。
【0037】したがって、荒加工用の総型電極2a及び
仕上用の総型電極2bと、例えば、タングステンカーバ
イト、TiN 、TiC 等の表面処理材料を円柱、角柱電極等
の単純形状に成形した単純形状電極3と、単純形状電極
3が荒加工後の工作物1の表面をなぞりながら加工を行
うよう制御する軌跡移動制御手段12を備え、荒加工用
の総型電極2aにより荒加工を行った後に、表面処理材
料からなる単純形状電極3が荒加工後の工作物1の表面
をなぞりながら加工を行うよう制御することにより表面
処理層Aを形成する表面処理を行い、そして、再度、荒
加工用の総型電極2aまたは荒加工用の総型電極2aと
略同一形状の仕上用の総型電極2bにより前記処理面の
再溶融加工を行うことにより、工作物1の加工面に改質
層を形成できる。しかも、金型等の表面の一部または全
部に機械的特性に優れた均一、かつ、緻密な表面処理層
Aが極めて効率よく短時間で形成でき、結果として、金
型の寿命が大幅に改善する等の効果がある。更に、同一
機械上にて荒取りから、仕上、表面処理まで行うことが
可能となるため、段取り時間が大幅に削減できる等の効
果がある。特に、荒加工用の総型電極2a及び仕上用の
総型電極2bを用意するものでは、その表面処理層Aと
してより良質な表面処理面が得られる。しかし、本発明
を実施する場合には、荒加工用の総型電極2aと仕上用
の総型電極2bを別々に用意しておかなくても実施でき
る。
【0038】一方、本実施例の放電表面改質方法は、加
工液30中の放電により、電極に対向する工作物1の加
工面に改質層を形成する放電表面改質方法において、総
型電極2aにより荒加工を行う荒加工工程(a)と、工
作物1の金属表面に改質層を形成する表面処理材料を単
純形状に成形した単純形状電極3によって工作物1の加
工部分に表面処理層Aを形成する表面処理を行う表面処
理加工工程(b)と、荒加工工程(a)で使用した総型
電極2aまたは総型電極2aと略同一形状の総型電極2
bにより、単純形状電極3で形成した表面処理層Aの再
溶融加工を行う再溶融加工工程(c)とを具備するもの
である。したがって、総型電極2aにより荒加工を行っ
た後、例えば、タングステンカーバイト、TiN 、TiC 等
の表面処理材料を円柱、角柱電極等の単純形状に成形し
た単純形状電極3により表面処理を行い、序で、荒加工
用の総型電極2aまたは荒加工用の総型電極2aと略同
一形状の総型電極によって単純形状電極3で形成した表
面処理層Aの再溶融加工を行うことにより、工作物1の
加工面に改質層を形成するようにしたため、金型等の表
面の一部または全部に機械的特性に優れた均一、かつ、
緻密な表面処理層が極めて効率よく短時間で形成でき、
結果的には、金型の寿命が大幅に改善できる。更に、同
一機械上にて荒取りから、仕上、表面処理まで行うこと
が可能となるため、段取り時間が大幅に削減できる。
【0039】また、前記再溶融加工工程(c)で使用し
た総型電極2bと同一電極で加工面の仕上加工を行うも
のであり、これを請求項に対応する実施例とすることが
できる。この種の実施例によれば、複雑な総型電極2を
複数種類製造する必要がなくなり、それだけ金型の製造
コストが廉価となる。また、再溶融加工工程と同一工程
にて加工面の仕上加工を行うようにしたため、極めて面
あらさの細かい表面処理層を得ることができ、適用でき
る金型の特性領域(要求)が大幅に拡大できる効果があ
る。
【0040】そして、表面処理材料を単純形状に成形し
た単純形状電極3は、タングステンカーバイト、TiN 、
TiC の何れか1つ以上の金属粉体を圧力成形により固化
して圧粉体電極としたものであり、これを請求項に対応
する実施例とすることができる。この種の単純形状電極
3は、タングステンカーバイト、TiN 、TiC の何れか1
つ以上の金属粉体を圧力成形により固化した圧粉体電極
であるから、製造が簡単であり、しかも、タングステン
カーバイト、TiN 、TiC の何れか1つ以上の金属の融合
により、機械的特性に優れた均一かつ緻密な表面処理層
Aが極めて効率よく短時間で形成でき、結果として、金
型の寿命を大幅に改善する等の効果がある。そして、本
発明を実施する場合の金属は、タングステンカーバイ
ト、TiN 、TiC に限定されるものではなく、その用途に
応じて金属を選択すればよい。
【0041】更に、単純形状電極3は、表面処理材料を
円柱または角柱に成形したものであり、これを請求項に
対応する実施例とすることができる。したがって、表面
処理材料を円柱または角柱に成形するものであるから、
電極形成が容易であり、特に、金属粉体を圧力成形によ
り固化した圧粉体電極においては、圧縮圧力が効率良く
金属粉体に伝わり成形が容易であり、堅固な電極が得ら
れる。
【0042】ところで、上記実施例の工作物に製品形状
の転写加工を行う総型電極は、荒加工を行う総型電極2
aと仕上げ加工を行う総型電極2bとを用意し、両者を
使用することによって、仕上げを良好にすることができ
る。しかし、本発明を実施する場合には、荒加工を行う
総型電極2aまたは仕上げ加工を行う総型電極2bを工
作物に製品形状の転写加工を行う総型電極2とすること
ができる。また、専用に工作物に製品形状の転写加工を
行う総型電極を用意しても実施できる。
【0043】また、上記実施例の表面処理材料を単純形
状に成形した単純形状電極3は、タングステンカーバイ
ト、TiN 、TiC の何れか1つ以上の金属からなる粉体を
固化した圧粉体電極としたものを前提に使用したが、本
発明を実施する場合には、タングステンカーバイト、Ti
N 、TiC 自体の金属棒を電極としてもよい。勿論、金属
からなる粉体を固化した圧粉体電極としたものの方が、
容易に金属粒子が融合し易くなり、その効率が良くな
る。
【0044】そして、上記実施例の単純形状電極3が工
作物1の加工部分の表面をなぞりながら加工を行うよう
制御する軌跡移動制御手段12は、CNC制御装置11
に内蔵されている実施例で説明したが、本発明を実施す
る場合には、工作物1の加工部分の表面の軌跡を記憶し
ており、その記憶している記憶に従って単純形状電極3
を移動できるものであればよい。したがって、NC装
置、或いは他の制御装置の利用が可能である。しかし、
放電加工機の記憶してい情報が直接使用できるので、放
電加工機を制御する制御装置を、単純形状電極3が工作
物1の加工部分の表面をなぞりながら加工を行うよう制
御する軌跡移動制御手段12として使用するのが好適で
ある。
【0045】
【発明の効果】以上のように、請求項1の放電表面改質
方法においては、表面処理材料からなる単純形状電極に
より工作物の加工部分に表面処理を行い、次に、製品形
状の転写加工を行う総型電極によって前記単純形状電極
で形成した表面処理層の再溶融加工を行うことにより、
工作物に改質層を形成するものである。したがって、機
械加工或いは放電加工等で任意の複雑形状に加工された
金型等の表面の一部または全部に機械的特性に優れた均
一、かつ、緻密な表面処理層が極めて効率よく短時間で
形成でき、結果として、金型の寿命が大幅に改善する等
の効果がある。また、前記再溶融加工工程で使用した総
型電極と同一電極で加工面の仕上加工を行うものである
から、複雑な総型電極を複数種類製造する必要がなくな
り、それだけ金型の製造コストが廉価となる。また、再
溶融加工工程と同一工程にて加工面の仕上加工を行うか
ら、極めて面あらさの細かい表面処理層を得ることがで
き、適用できる金型の特性領域(要求)が大幅に拡大で
きる効果がある。そして、前記表面処理材料を単純形状
に成形した単純形状電極は、タングステンカーバイト、
TiN 、TiC の何れか1つ以上の金属粉体とし、それを固
化した圧粉体電極とするものであるから、単純形状電極
を金属粉体を圧力成形により固化した圧粉体電極とする
とき、その製造が簡単であり、しかも、タングステンカ
ーバイト、TiN 、TiC の何れか1つ以上の金属の融合に
より、機械的特性に優れた均一かつ緻密な表面処理層が
極めて効率よく短時間で形成でき、結果として、金型の
寿命を大幅に改善する等の効果がある。
【0046】請求項2の放電表面改質方法においては、
総型電極により荒加工を行った後、表面処理材料からな
る単純形状電極により表面処理層を形成する表面処理を
行い、その後、前記荒加工で使用した総型電極またはそ
の総型電極と略同一形状の総型電極により、前記表面処
理層の再溶融加工を行うことにより、工作物に改質層を
形成するものである。したがって、金型等の表面の一部
または全部に機械的特性に優れた均一、かつ、緻密な表
面処理層が極めて効率よく短時間で形成でき、結果とし
て、金型の寿命が大幅に改善する等の効果がある。更
に、同一機械上にて荒取りから、仕上げ、表面処理まで
行うことができるから、段取り時間が大幅に削減できる
等の効果がある。また、前記再溶融加工工程で使用した
総型電極と同一電極で加工面の仕上加工を行うものであ
るから、複雑な総型電極を複数種類製造する必要がなく
なり、それだけ金型の製造コストが廉価となる。また、
再溶融加工工程と同一工程 にて加工面の仕上加工を行う
から、極めて面あらさの細かい表面処理層を得ることが
でき、適用できる金型の特性領域(要求)が大幅に拡大
できる効果がある。そして、前記表面処理材料を単純形
状に成形した単純形状電極は、タングステンカーバイ
ト、TiN 、TiC の何れか1つ以上の金属粉体とし、それ
を固化した圧粉体電極とするものであるから、単純形状
電極を金属粉体を圧力成形により固化した圧粉体電極と
するとき、その製造が簡単であり、しかも、タングステ
ンカーバイト、TiN 、TiC の何れか1つ以上の金属の融
合により、機械的特性に優れた均一かつ緻密な表面処理
層が極めて効率よく短時間で形成でき、結果として、金
型の寿命を大幅に改善する等の効果がある。
【0047】請求項3の放電表面改質装置においては、
表面処理材料を単純形状に成形した単純形状電極により
工作物の加工部分の全面または一部の面に表面処理層を
形成する表面処理を行い、その後、総型電極により前記
単純形状電極で形成した表面処理層の再溶融加工を行う
ことにより工作物に改質層を形成するものである。した
がって、機械加工或いは放電加工等で任意の複雑形状に
加工された金型等の表面の一部または全部に機械的特性
に優れた均一、かつ、緻密な表面処理層が極めて効率よ
く短時間で形成でき、結果的に、金型の寿命が大幅に改
善する等の効果がある。また、前記再溶融加工工程で使
用した総型電極と同一電極で加工面の仕上加工を行うも
のであるから、複雑な総型電極を複数種類製造する必要
がなくなり、それだけ金型の製造コストが廉価となる。
また、再溶融加工工程と同一工程にて加工面の仕上加工
を行うから、極めて面あらさの細かい表面処理層を得る
ことができ、適用できる金型の特性領域(要求)が大幅
に拡大できる効果がある。そして、前記表面処理材料を
単純形状に成形した単純形状電極は、タングステンカー
バイト、TiN 、TiC の何れか1つ以上の金属粉体とし、
それを固化した圧粉体電極とするものであるから、単純
形状電極を金属粉体を圧力成形により固化した圧粉体電
極とするとき、その製造が簡単であり、しかも、タング
ステンカーバイト、TiN 、TiC の何れか1つ以上の金属
の融合により、機械的特性に優れた均一かつ緻密な表面
処理層が極めて効率よく短時間で形成でき、結果とし
て、金型の寿命を大幅に改善する等の効果がある。
【0048】請求項4の放電表面改質装置においては、
総型電極により荒加工を行った後、表面処理材料からな
る単純形状電極によって、荒加工後の工作物の表面をな
ぞりながら加工を行うよう制御して表面処理層を形成す
る表面処理を行い、その後、前記荒加工で用いた総型電
極と略同一形状の総型電極により前記表面処理層の再溶
融加工を行うことにより、工作物に改質層を形成するも
のである。したがって、金型等の表面の一部または全部
に機械的特性に優れた均一、かつ、緻密な表面処理層が
極めて効率よく短時間で形成でき、結果的には、金型の
寿命が大幅に改善する効果がある。更に、同一機械上に
て荒取りから、仕上げ、表面処理まで行うことが可能と
なるため、段取り時間が大幅に削減できる等の効果があ
る。また、前記再溶融加工工程で使用した総型電極と同
一電極で加工面の仕上加工を行うものであるから、複雑
な総型電極を複数種類製造する必要がなくなり、それだ
け金型の製造コストが廉価となる。また、再溶融加工工
程と同一工程にて加工面の仕上加工を行うから、極めて
面あらさの細かい表面処理層を得ることができ、適用で
きる金型の特性領域(要求)が大幅に拡大できる効果が
ある。そして、前記表面処理材料を単純形状に成形した
単純形状電極は、タングステンカーバイト、TiN 、TiC
の何れか1つ以上の金属粉体とし、それを固化した圧粉
体電極とするものであるから、単純形状電極を金属粉体
を圧力成形により固化した圧粉体電極とするとき、その
製造が簡単であり、しかも、タングステンカーバイト、
TiN 、TiC の何れか1つ以上の金属の融合により、機械
的特性に優れた均一かつ緻密な表面処理層が極めて効率
よく短時間で形成でき、結果として、金型の寿命を大幅
に改善する等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施例における放電表面改
質装置を示した説明図である。
【図2】 図2は本発明の一実施例における放電表面改
質方法及びその装置の加工工程の概略を示した説明図で
ある。
【図3】 図3は本発明の他の実施例における放電表面
改質装置を示した説明図である。
【図4】 図4は本発明の他の実施例における放電表面
改質方法及びその装置の加工工程の概略を示した説明図
である。
【図5】 図5は従来の放電表面改質方法及びその装置
を示した説明図である。
【符号の説明】
1 工作物、2a 荒加工用の総型電極、2b 再溶融
処理用の総型電極、3単純形状電極、4 電極交換手
段、10 加工槽、11 CNC制御装置、12 軌跡
移動制御手段、13 電極軌跡生成用CAM、A 表面
処理層、なお、図中、同一符号及び記号は同一または相
当する構成部分を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 長男 愛知県春日井市岩成台9丁目12番地12 (72)発明者 毛利 尚武 愛知県名古屋市天白区八事石坂661−51 (72)発明者 真柄 卓司 愛知県名古屋市東区矢田南五丁目1番14 号 三菱電機株式会社 名古屋製作所内 (72)発明者 後藤 昭弘 愛知県名古屋市東区矢田南五丁目1番14 号 三菱電機株式会社 名古屋製作所内 (56)参考文献 特開 平7−70761(JP,A) 特開 平6−280044(JP,A) 特開 平5−148615(JP,A) 特開 平6−182626(JP,A) 特開 平6−146007(JP,A) 特開 昭48−60025(JP,A) 斎藤長男ほか,液中放電を利用した金 属表面改質(改質膜形成のメカニズムに 関する考察),日本機械学会東海支部第 44期総会講演会講演論文集,日本機械学 会東海支部,1995年 2月20日,p. 192−193 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23H 9/00 C23C 26/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加工液中の放電により、電極に対向する
    工作物の加工面に改質層を形成する放電表面改質方法に
    おいて、 前記工作物の金属表面に改質層を形成する表面処理材料
    を、タングステンカーバイト、TiN 、TiC の何れか1つ
    以上の金属からなる粉体を固化し圧粉体電極とした円柱
    または角柱の単純形状に成形した単純形状電極によって
    前記工作物の表面をなぞりながら加工を行うよう制御す
    ることにより、前記工作物の加工部分に表面処理層を形
    成する表面処理を行う表面処理加工工程と、 前記工作物に製品形状の転写加工を行う総型電極によっ
    て前記単純形状電極で形成した表面処理層の再溶融加工
    を行う再溶融加工工程と、 前記再溶融加工工程で使用した総型電極と同一電極で
    微細なエネルギーパルスを用いて加工面の仕上加工を行
    うことを特徴とする放電表面改質方法。
  2. 【請求項2】 加工液中の放電により、電極に対向する
    工作物の加工面に改質層を形成する放電表面改質方法に
    おいて、 総型電極により荒加工を行う荒加工工程と、 前記工作物の金属表面に改質層を形成する表面処理材料
    を、タングステンカーバイト、TiN 、TiC の何れか1つ
    以上の金属からなる粉体を固化し圧粉体電極とした円柱
    または角柱の単純形状に成形した単純形状電極によって
    前記工作物の表面をなぞりながら加工を行うよう制御す
    ることにより、前記工作物の加工部分に表面処理層を形
    成する表面処理を行う表面処理加工工程と、 前記荒加工工程で使用した総型電極または前記総型電極
    と略同一形状の総型電極により、前記単純形状電極で形
    成した表面処理層の再溶融加工を行う再溶融加工工程
    と、 前記再溶融加工工程で使用した総型電極と同一電極で
    微細なエネルギーパルスを用いて加工面の仕上加工を行
    うこと特徴とする放電表面改質方法。
  3. 【請求項3】 工作物に製品形状の転写加工を行う総型
    電極と、 表面処理材料を、タングステンカーバイト、TiN 、TiC
    の何れか1つ以上の金属からなる粉体を固化し圧粉体電
    極とした円柱または角柱の単純形状に成形した単純形状
    電極と、 前記単純形状電極が前記工作物の加工部分の表面をなぞ
    りながら加工を行うよう制御する軌跡移動制御手段とを
    具備し、 前記単純形状電極によって前記工作物の加工部分の全面
    または一部の面に表面処理層を形成する表面処理を行
    い、その後、前記総型電極により前記単純形状電極で形
    成した表面処理層の再溶融加工を行うことにより、加工
    液中で前記工作物に改質層を形成し、前記再溶融加工で
    使用した総型電極と同一電極で、微細なエネルギーパル
    スを用いて加工面の仕上加工を行うことを特徴とする放
    電表面改質装置。
  4. 【請求項4】 工作物に製品形状を転写する荒加工を行
    う総型電極と、 表面処理材料をタングステンカーバイト、TiN 、TiC の
    何れか1つ以上の金属からなる粉体を固化し圧粉体電極
    とした円柱または角柱の単純形状に成形した単純形状電
    極と、 前記単純形状電極が前記工作物の加工部分の表面をなぞ
    りながら加工を行うよう制御する軌跡移動制御手段とを
    具備し、 前記総型電極により荒加工を行った後、前記単純形状電
    極によって前記工作物の前記荒加工後の加工部分の全面
    または一部の面に表面処理層を形成する表面処理を行
    い、その後、前記総型電極により前記単純形状電極で形
    成した表面処理層の再溶融加工を行うことにより、加工
    液中で前記工作物に改質層を形成し、前記再溶融加工で
    使用した総型電極と同一電極で、微細なエネルギーパル
    スを用いて加工面の仕上加工を行うことを特徴とする放
    電表面改質装置。
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