JP3723989B2 - 光学活性化合物、その製造方法、その中間体及びそれを含有する液晶組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な光学活性液晶性化合物、その中間体、その製造方法及びその光学活性な液晶性化合物を含有する液晶組成物に関し、更に詳しくは、特に応答性、メモリー性等に優れた強誘電性液晶表示用材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、その優れた特徴(低電圧作動、低消費電力、薄型表示が可能、明るい場所でも使用でき目が疲れない。)によって、現在広く用いられている。しかしながら、そのうち最も一般的な表示方式であるTN型においては、CRT等の他の発光型表示方式と比較すると応答が極めて遅く、且つ印加電場を切った場合の表示の記憶(メモリー効果)が得られないため、高速応答の必要な光シャッター、プリンターヘッド、あるいは更に時分割駆動の必要なテレビなど動画面への応用には多くの制約があり、必ずしも適した表示方式とはいえなかった。
【0003】
最近になって、強誘電性液晶を用いる表示方式が報告され、これによるとTN型液晶の100〜1000倍という高速応答とメモリー効果とが得られるため、次世代液晶表示素子として期待され、現在盛んに研究開発が進められている。
【0004】
強誘電性液晶の液晶相は、チルト系のキラルスメクチック相に属するものであるが、そのうちキラルスメクチックC(以下、SC*と省略する)相が最も低粘性であり最も望ましい。SC*相を示す液晶化合物は既に数多く合成され、検討されているが、強誘電性液晶素子として用いるための以下の条件、即ち、(イ)室温を含む広い温度範囲でSC*相を示すこと、(ロ)良好な配向性を得るためにSC*相の高温側に適当な相系列を有し、且つその螺旋ピッチが大きいこと、(ハ)適当なチルト角を有すること、(ニ)粘性が小さいこと、(ホ)充分な自発分極を有すること、(ヘ)高速応答を示すこと等を単独で満足するような化合物は知られていない。そのため数種、あるいはそれ以上の化合物を混合してSC*相を示す液晶組成物(以下、SC*液晶組成物と省略する)として用いる必要がある。
【0005】
SC*液晶組成物の調製方法としては、アキラルな化合物からなりスメクチックC(以下、SCと省略する)相を示す母体液晶(以下、SC母体液晶と省略する)に、光学活性化合物からなるキラルドーパントを添加する方法が、より低粘性の組成物を得ることができ、高速応答が可能となるので、最も一般的である。
【0006】
キラルドーパントとして用いる化合物は単独では必ずしもSC*相を示す必要はなく、また液晶相すら示す必要もないが、添加することにより液晶組成物に充分な自発分極を誘起することや、キラルドーパントとして誘起する螺旋のピッチが充分大きいことなどの性質を示すことが必要である。
【0007】
強誘電性液晶の応答時間(τ)がその粘度に比例し、自発分極に反比例することはよく知られている。従って、応答時間を短くするには液晶材料の粘度を低くして、自発分極を大きくすればよいことになる。しかしながら、自発分極については、あまり大きくするとメモリー性に悪影響を及ぼし、また同時に組成物の粘度を大きくする傾向があるため、実際にはある程度以上には大きくできないのが実状である。従って、キラルドーパントとしては、組成物の粘度を大きくしないように、できるだけ少量の添加で充分な自発分極を誘起するか、あるいはやや多量に添加しても組成物の粘度を大きくしないように、キラルドーパント自体の粘性を小さくする必要がある。
【0008】
このために、少量の添加でも大きい自発分極を誘起できるような光学活性化合物あるいは低粘性の光学活性化合物がこれまでにも多数合成されてきた。しかしながら、大きい自発分極を誘起できる化合物ではその粘性が大きすぎ、少量の添加にもかかわらず、組成物の粘度を大きくするものが多く、また逆に低粘性の化合物では自発分極が非常に小さいため、高速応答のためには添加量が非常に多くなり、多量の添加にともなって組成物の液晶相温度範囲等に悪影響を及ぼすことが多かった。
【0009】
そうした中で、誘起する自発分極はあまり大きくないが、粘性が比較的低い光学活性液晶化合物として、一般式(A)
【0010】
【化7】
【0011】
(式中、Ra及びRbはアルキル基を表わす。)
の2−フルオロアルコキシル基を有するフェニルピリミジン誘導体が報告されている。(第13回液晶討論会予稿集1Z02)
この一般式(A)の化合物は光学活性なオキシランから容易に製造できるうえに、その低粘性故にかなりの高速応答が可能であることが示されている。
【0012】
ところで、液晶表示素子が良好なコントラストを示すには、液晶材料の配向が均一であることが必要である。良好な配向性を得るためには、液晶材料としては高温域から、I(等方性液体)−N*(キラルネマチック)−SA(スメクチックA)−SC(キラルスメクチックC)の各相に順次転移する相系列と、N*及びSC*相、特にN*相における螺旋ピッチが充分長いことが必要であるとされている。前述の一般式(A)の化合物の誘起する螺旋ピッチは、他の光学活性液晶化合物と比較しても決して短い方ではないが、その誘起する自発分極があまり大きくないので、高速応答を得るためには組成物にかなり多量に添加する必要があり、キラルドーパントとして一般式(A)の化合物のみを添加すると、組成物の螺旋ピッチをある程度短くしてしまい、結果的に配向性を低下させてしまう。
【0013】
組成物の螺旋ピッチを長くするためには、螺旋ピッチの向きが逆の光学活性化合物を適当量添加して、その長さを調整すればよい。しかしながら、その際に自発分極を小さくしたり、応答性を悪化させないようにする必要がある。ところが、実際には一般式(A)の光学活性化合物と併用して、その応答性を悪化させることなく、螺旋ピッチを調整できるような光学活性化合物は、これまでほとんど知られていなかった。
【0014】
最近、本発明者等は一般式(B)
【0015】
【化8】
【0016】
(式中、Rc及びRdはアルキル基を表わす。)
の光学活性な3−フルオロアルキル基を有するフェニルピリミジン誘導体を報告した。この一般式(B)の化合物は、その自発分極の極性が一般式(A)の化合物と同一であるにもかかわらず、螺旋ピッチの向きが逆であり、しかもそのピッチが一般式(A)の化合物よりも短いという特徴を示す。更にこの一般式(B)の化合物はかなりの高速応答性をも示す。従って、一般式(B)の化合物は一般式(A)の化合物と併用して、高速応答性を保ちつつ、その螺旋ピッチを長く調整することも可能である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
前述の一般式(A)の化合物と一般式(B)の化合物の自発分極の極性、螺旋ピッチの向き及びその長さの関係から、絶対配置の等しい光学活性な2−フルオロアルコキシル基と、3−フルオロアルキル基の両方を側鎖として有する一般式(C)
【0018】
【化9】
【0019】
(式中、Rb及びRcはアルキル基を表わす。)
のフェニルピリミジン誘導体も、同様に一般式(A)の化合物と併用して用いることができると考えられる。
【0020】
一般式(C)の化合物は既に報告されており、一般式(A)の化合物及び一般式(B)の化合物と比較して、はるかに大きい自発分極を有し、応答性も優れていることが示されている。(日本化学会第65春季年会予稿集3C629)
【0021】
しかしながら、その誘起する螺旋ピッチに関しては何も示されていなかった。
そこで、本発明者等は実際に一般式(C)の化合物を合成し、その物性を測定したところ、予想通りその螺旋ピッチの向きは一般式(A)の化合物とは逆であることを見いだした。
【0022】
本発明が解決しようとする課題は、この一般式(C)の如きジキラル化合物をキラルドーパントの一部として用いることにより、高速応答が可能であり、且つ螺旋ピッチが充分長く、配向性が極めて良好な強誘電性液晶組成物及びそれを用いた強誘電性液晶表示素子を提供することにあり、更にこれらのジキラル化合物の新規で有利な製造方法及びその製造中間体を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために下記の如き強誘電性液晶組成物を提供する。
即ち、本発明は、イ)複数種の光学活性化合物からなるキラルドーパント及び
ロ)アキラルな化合物からなり、スメクチックC相を示すホスト液晶
からなる強誘電性液晶組成物において、キラルドーパントとして一般式(I)
【0024】
【化10】
【0025】
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立的に、置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基を表わすが、好ましくは炭素原子数3〜8の直鎖状アルキル基を表わし、環A及び環Bはそれぞれ独立的に、1個又は2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基又はピリミジン−2,5−ジイル基を表わすが、少なくとも一方は1,4−フェニレン基を表わし、好ましくは環Aはピリミジン−2,5−ジイル基を表わし、環Bは環Aの2位で結合している1,4−フェニレン基を表わす。*は共にその炭素原子が光学活性な不斉炭素であることを表わすが、両者の絶対配置は同一である。)で表わされる光学活性な化合物の表わされる光学活性な化合物の少なくとも1種、及び一般式(II)
【0026】
【化11】
【0027】
(式中、R3及びR4はそれぞれ独立的に、置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基を表わすが、好ましくはR3は炭素原子数3〜12の直鎖状アルキル基を表わし、R4は炭素原子数1〜8の直鎖状アルキル基を表わす。環C及び環Dはそれぞれ独立的に、1個又は2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基又はピリミジン−2,5−ジイル基を表わすが、少なくとも一方は1,4−フェニレン基を表わし、好ましくは環Cはピリミジン−2,5−ジイル基を表わし、環Dは環Cの2位で結合している1,4−フェニレン基を表わす。*はその炭素原子が光学活性な不斉炭素であることを表わすが、その絶対配置は一般式(I)と同一である。)
で表わされる光学活性な化合物の少なくとも1種を含有し、一般式(I)で表わされる化合物及び一般式(II)で表わされる化合物に存在する不斉炭素原子の絶対配置がすべて同一であることを特徴とする、前記強誘電性液晶組成物を提供する。
【0028】
本発明に係わる一般式(I)及び一般式(II)の化合物において、その中心骨格(コア)はその環A、環B、環C及び環Dの定義により、多種の化合物が得ることが可能であるが、コア全体としては一般式(I)、一般式(II)の化合物ともに、以下の(a)〜(c)の3種類の骨格を有するものであることが好ましいく、その中でも、(a)の骨格が特に好ましい。
【0029】
【化12】
【0030】
前述のように、光学活性な2−フルオロアルコキシル基を有する化合物及び光学活性な3−フルオロアルキル基を共に有する化合物を、キラルドーパントとしてSC相を示すホスト液晶に添加した時、それぞれの絶対配置が同一である場合には、誘起する自発分極の極性は同一であって、その螺旋の向きは互いに逆である。また、その螺旋ピッチは3−フルオロアルキル基を有する化合物がはるかに短い。従って、一般式(I)のように、同一分子中に両方の光学活性基を有する光学活性化合物では、その不斉炭素の絶対配置がすべて等しい場合には、一般式(II)の光学活性化合物と自発分極の極性は同一であって、且つ螺旋ピッチの向きは互いに逆である。
【0031】
例えば、その不斉炭素の絶対配置がすべて(S)配置の場合、一般式(II)の化合物の誘起する自発分極が−であり、その螺旋ピッチの向きが右であるのに対し、一般式(I)の化合物の誘起する自発分極は−で、螺旋ピッチは左向きである。従って、一般式(I)の化合物及び一般式(II)の化合物を併用することにより、螺旋ピッチが長く調整されたキラルドーパントを調製することができる。
【0032】
一般式(I)の化合物の誘起する螺旋ピッチは、一般式(II)の化合物を同一のホスト液晶に同量添加した場合に誘起する螺旋ピッチに比べてかなり短いため、そのピッチを調製するためには、一般式(I)の化合物と一般式(II)の化合物の使用比は1/3〜1/20、好ましくは1/5〜1/10の範囲にあることが好ましい。更に一般式(I)の化合物も一般式(II)の化合物と同様、高速応答が可能であることから、得られたキラルドーパントも高速応答が可能である。
【0033】
このような本発明の強誘電性液晶組成物の効果は、例えば、以下の例からも明らかである。
フェニルピリミジン系液晶からなるホスト液晶(H)
【0034】
【化13】
【0035】
(式中、「%」は「重量%」を表わす。)90重量%及び一般式(II)で表わされる化合物のうち、式(A−1)
【0036】
【化14】
【0037】
の化合物10重量%からなり、SC*相を示す強誘電性液晶組成物(M−A)を調製し、その組成物を用いて液晶セルを作製してその物性を25℃において測定したところ、自発分極は−5.4nC/cm2であり、110μ秒の高速応答性を示した。しかしながら、この組成物(M−A)はN*相において右巻きの螺旋が観察され、得られたセルの配向に若干乱れがあり、そのコントラストは約60/1であった。
【0038】
これに対し、同じホスト液晶(H)90重量%、式(A−1)の化合物8.5重量%、及び一般式(I)で表わされる化合物のうち、式(C−1)
【0039】
【化15】
【0040】
の化合物1.5重量%からなり、SC*相を示す強誘電性液晶組成物(M−1)を調製し、同様にセルを作製してその物性を25℃において測定したところ、自発分極は−5.8nC/cm2とやや大きくなり、115μ秒の高速応答性を示した。しかも、この組成物(M−1)のN*相における螺旋はほぼ解けた状態にあり、得られたセルの配向は良好でコントラストも85/1以上であった。
【0041】
さて、この一般式(I)の化合物のうち、一般式(C)で表わされる化合物は前述のように既に合成例があるが、それによると、一般式(IV)
【0042】
【化16】
【0043】
(式中、R1は一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされる光学活性オキシランから、一般式(VII)
【0044】
【化17】
【0045】
(式中、R1は一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされる光学活性3−フルオロアルカノールを製造し、これを中間体として製造されている。しかしながら、この製造方法では高価な一般式(IV)の化合物からの製造工程が非常に多く(8工程あるいはそれ以上)、到底実用的とは言えない。更に一般式(C)の化合物以外の、本発明に係わる一般式(I)で表わされる化合物への応用も容易ではない。
【0046】
そこで、本発明は、以下に示すような一般式(I)で表わされる化合物の新規な製造方法を提供する。
即ち、一般式(III)
【0047】
【化18】
【0048】
(式中、R2は置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基を表わし、環A及び環Bはそれぞれ独立的に、1個又は2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基又はピリミジン−2,5−ジイル基を表わすが、少なくとも一方は1,4−フェニレン基を表わし、*はその炭素原子が光学活性な不斉炭素であることを表わす。)で表わされる光学活性な1,3−ジチアン誘導体を、強塩基の存在下にアニオンとし、これを一般式(IV)
【0049】
【化19】
【0050】
(式中、R1は置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基を表わし、*はその炭素原子が光学活性な不斉炭素であることを表わすが、但しその絶対配置は前記一般式(III)における不斉炭素の絶対配置とは逆である。)で表わされる光学活性オキシランと反応させ、次いで還元的に脱硫して得られる一般式(V)
【0051】
【化20】
【0052】
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立的に、置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基を表わし、環A及び環Bはそれぞれ独立的に、1個又は2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基又はピリミジン−2,5−ジイル基を表わすが、少なくとも一方は1,4−フェニレン基を表わし、*は共にその炭素原子が光学活性な不斉炭素であることを表わすが、両者の絶対配置は逆である。)で表わされるジキラル化合物を得る。更にフッ素化剤と反させることを特徴とする前記一般式(I)で表わされる光学活性化合物の製造方法を提供する。
【0053】
ここで、本発明の製造方法で使用するフッ素化剤としては、例えば、ジメチルアミノ3弗フッ化硫黄(DAST)等を挙げることができる。
本発明の製造方法によると、一般式(IV)の光学活性オキシランからの製造工程は極めて短く、これまで知られていた方法に比べて顕著に経済的であり、且つ実用的であることが明らかである。
【0054】
ここで中間体として用いた一般式(III)の光学活性な1,3−ジチアン誘導体は新規な化合物であり、一般式(VI)
【0055】
【化21】
【0056】
(式中、環A、環B、R2及び*は一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)
の光学活性アルデヒドから容易に合成できる。本発明はこの一般式(VI)の光学活性アルデヒドをも提供する。
一般式(VI)の光学活性アルデヒドは、その環A及び環Bに応じて、例えば以下のようにして製造できる。
(a) 環Aが環Bの2位で結合する1,4−フェニレン基であり、環Bがピリミジン−2,5−ジイル基である化合物の場合
【0057】
【化22】
【0058】
(式中、R1は一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)
4−シアノフェノールを塩基存在下に光学活性な2−フルオロアルカノールのp−トルエンスルホン酸エステルと反応させ、得られた光学活性な4−(2−フルオロアルコキシ)ベンゾニトリルをアルコール溶媒中、アンモニア及び塩化水素と反応させてベンズアミジン塩酸塩を得る。これを塩基存在下に2−(N,N−ジメチルアミノメチレン)マロンジアルデヒドあるいはトリホルミルメタンと反応させることにより得ることができる。
(b)環Aがピリミジン−2,5−ジイル基であり、環Bが環Aの2位で結合する1,4−フェニレン基である化合物の場合
【0059】
【化23】
【0060】
(式中、nは1以上の整数を表わし、R1は一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)
4−シアノベンズアルデヒドのアセタールをアンモニア中、塩化アンモニウムと反応させてアミジン塩酸塩とする。これを2−メトキシ−3−(N,N−ジメチルアミノ)アクロレインと反応させた後、臭化水素酸等の酸で脱メチル化及び脱アセタール化を行い、得られた2−(4−ホルミルフェニル)−5−ヒドロキシピリミジンを塩基存在下に、光学活性な2−フルオロアルカノールのp−トルエンスルホン酸エステルと反応させることにより得ることができる。
【0061】
また、2−メトキシ−3−(N,N−ジメチルアミノ)アクロレインに代えて、2−メトキシマロン酸エステルを用い、塩素化した後に還元してもよい。
この方法を一般式(I)の化合物の合成に用いる場合には、4−シアノベンズアルデヒドのアセタールに代えて、2−(4−シアノフェニル)−1,3−ジチアンを用いて同様に反応させれば、アルデヒドからジチアンへの工程を省略して直接ジチアンを得ることができ、実用的である。
【0062】
(c) 環A及び環Bが共に1,4−フェニレン基である化合物の場合(ベンゼン環がフッ素置換されている場合も含む)
対応する4’−ヒドロキシ−4−ホルミルビフェニルを、塩基存在下に光学活性な2−フルオロアルカノールのp−トルエンスルホン酸エステルと反応させることにより得ることができる。
【0063】
ここに示していない化合物も、これらの類似の方法によって容易に製造することができる。
また、他の合成原料として用いた一般式(IV)の光学活性エポキシ化合物は、R1が直鎖状の基である一部の化合物が市販されており、市販されていない化合物も、市販の光学活性エピクロロヒドリンから容易に合成することができる。
【0064】
本発明の強誘電性液晶組成物において、SC相を示すホスト液晶の構成成分として用いられるアキラルな化合物としては、例えば下記一般式(D)
【0065】
【化24】
【0066】
(式中、Re及びRfはそれぞれ独立的に、直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基又はアルコキシカルボニルオキシ基を表わし、互いに同一であっても異なっていてもよい。)で表わされるフェニルベンゾエート系化合物や、一般式(E)
【0067】
【化25】
【0068】
(式中、Re及びRfは一般式(D)におけると同じ意味を表わす。)で表わされるフェニルピリミジン系化合物を挙げることができる。
また一般式(D)及び(E)を含めて、一般式(F)
【0069】
【化26】
【0070】
(式中、Re及びRfは一般式(D)におけると同じ意味を表わし、環L及び環Mはそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基あるいはこれらのハロゲン置換体を表わし、互いに同一であっても異なっていてもよく、Zaは−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2−、−C≡C−又は単結合を表わす。)で表わされる化合物も同様の目的に使用することができる。
【0071】
また、SC相の温度範囲を高温域に拡大する目的には一般式(G)
【0072】
【化27】
【0073】
(式中、Re及びRfは一般式(D)におけると同じ意味を表わし、環L、環M及び環Nは、前記一般式(F)における環L、環Mと同じ意味を表わし、互いに同一であっても異なっていてもよく、Za及びZbは前記一般式(F)におけるZaと同じ意味を表わし、互いに同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる3環の化合物を用いることができる。
【0074】
これらの化合物は、混合してSC液晶組成物として用いるのが効果的であるが組成物としてSC相を示せばよいのであって、個々の化合物については必ずしもSC相を示す必要はない。
【0075】
また、本発明の強誘電性液晶組成物を2枚の透明ガラス電極間に1〜20μm程度の薄膜として封入することにより、表示用素子を作製することができる。良好なコントラストを得るためには、均一な配向を得る必要があるが、そのためには、液晶材料が前述のように高温側からI相−N*相−SA相−SC*相の相系列を示し、N*相及びSC*相、特にN*相における螺旋ピッチが充分長いことが重要である。本発明の液晶組成物ではその螺旋ピッチを充分長くすることができるので、容易に良好な配向を得ることができる。
【0076】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、勿論本発明の主旨、及び適用範囲は、これらの実施例により制限されるものではない。
【0077】
なお、相転移温度の測定は温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡及び示差走査熱量計(DSC)を併用して行った。また、化合物の構造はNMR、IR、MS及び元素分析により確認した。IRにおける(neat)は液膜による測定を、(KBr)は錠剤成形による測定を表わす。NMRにおけるCDCl3は溶媒を表わし、sは1重線、dは2重線、tは3重線、mは多重線を表わし、また例えばdtは2重の3重線を表わし、broadは幅広い吸収を表わす。MSにおけるM+は親ピークを表わし、( )内の数値はそのピークの相対強度を表わす。組成物中における「%」はすべて「重量%」を表わす。
【0078】
(実施例1) (S)−2−[4−(2−フルオロオクチルオキシ)フェニル]−5−ホルミルピリミジン(一般式(VI)の化合物)の合成
【0079】
【化28】
【0080】
(1−a) (S)−4−(2−フルオロオクチルオキシ)ベンゾニトリルの合成
(S)−2−フルオロ−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)オクタン2.9g(約90%ee)、4−シアノフェノール1.2g、水酸化ナトリウム0.38gのブタノール10ml溶液を3時間加熱還流した。飽和食塩水を加えて、反応生成物をエーテルで抽出した後、カラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−300,ヘキサン/酢酸エチル=9/1)を用いて精製して、(S)−4−(2−フルオロオクチルオキシ)ベンゾニトリル1.85g(収率77%)を得た。
【0081】
無色油状物質
[α]D 20 +4.4°(c=1.2,CHCl3)
IR(neat) 2950,2880,2240,1610,1510,1460,1370,1305,1260,1180,1040,840,550cm-1
1H NMR(CDCl3) δ 0.90 (t,J=6.9Hz,3H),1.24〜1.16(m,8H),1.6〜1.88(m,2H),4.0〜4.2(m,2H),4.83(dm,J=49Hz,1H),6.97(d,J=9.0Hz,2H),7.59(d,J=9.0Hz,2H)
MS m/z 249(M+,8),120(44),119(100),69(92),55(62),43(78),41(74),29(51)
【0082】
(1−b) (S)−2−[4−(2−フルオロオクチルオキシ)フェニル]−5−ホルミルピリミジンの合成
上記(1−a)で得た(S)−4−(2−フルオロオクチルオキシ)ベンゾニトリル2.5g、エタノール4ml、エーテル20ml、ジクロロメタン12mlを塩化水素雰囲気下4日間攪拌した。反応液を濃縮した後、得られた残渣にエーテルを加え、沈澱を濾別、乾燥し、無色粉末2.48gを得た。これにメタノール20mlを加え、アンモニア雰囲気下、2日間攪拌した。反応液を濃縮した後、得られた残渣にエーテルを加え、沈澱を濾別、乾燥し、無色粉末状の(S)−4−(2−フルオロオクチルオキシ)ベンズアミジン塩酸塩2.48gを得た。この粉末1g、2−(N,N−ジメチルアミノメチレン)マロンジアルデヒド0.9gのメタノール5ml溶液にナトリウム1gとメタノール20mlから調製したナトリウムメトキシド−メタノール溶液を加えて5時間加熱還流した。反応液を濃縮した後、2M塩酸を加え、反応生成物を酢酸エチルで抽出し、カラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,ヘキサン/酢酸エチル=4/1)を用いて精製して、(S)−2−[4−(2−フルオロオクチルオキシ)フェニル]−5−ホルミルピリミジン700mg(収率64%)を得た。
【0083】
無色板状晶
融点 106℃
[α]D 20 +3.6°(c=0.99,CHCl3)
IR(KBr)2950,2880,1690,1590,1545,1440,1380,1265,1245,1230,1175,855,800cm-1
1H NMR(CDCl3) δ 0.90(t,J=7.0Hz,3H),1.25〜1.63(m,8H),1.64〜1.92(m,2H),4.10〜4.24(m,2H),4.86(dm,J=49Hz,1H),7.04(d,J=9.0Hz,2H),8.52(d,J=9.0Hz,2H),9.15(s,2H),10.11(s,1H)
MS m/z 330(M+,37),200(100),
【0084】
(実施例2) 5−(3−(S)−フルオロノニル)−2−[4−(2−(S)−フルオロオクチルオキシ)フェニル]ピリミジン(一般式(I)の化合物)の合成
【0085】
【化29】
【0086】
(2−a) (S)−2−[2−[4−(2−フルオロオクチルオキシ)フェニル]ピリミジン−5−イル]−1,3−ジチアンの合成
上記実施例1で得た(S)−2−[4−(2−フルオロオクチルオキシ)フェニル]−5−ホルミルピリミジン530mg、1,3−プロパンジチオール300mgとポリリン酸トリメチルシリル(PPSE)−ジクロロメタン溶液10mlを室温で10時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、反応生成物を酢酸エチルで抽出し、カラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,ヘキサン/酢酸エチル=4/1)を用いて精製して、(S)−2−[2−[4−(2−フルオロオクチルオキシ)フェニル]ピリミジン−5−イル]−1,3−ジチアン520mg(収率77%,88%ee)を得た。
【0087】
無色板状晶
相転移温度(℃) Cr98 I
[α]D 20 +1.5°(c=0.94,CHCl3)
IR(KBr) 2928,2857,1607,1582,1514,1427,1258,1169,853,799cm-1
1H NMR(CDCl3) δ 0.90(t,J=7.0Hz,3H),1.29〜1.55(m,8H),1.64〜1.90(m,2H),1.92〜2.03(m,1H),2.17〜2.24(m,1H),2.95(td.J=13and3.5Hz,2H),3.07(dt,J=12and2.5Hz,2H),4.07〜4.21(m,2H),4.86(dm,J=49Hz,1H),5.17(s,1H),7.01(d,J=9.0Hz,2H),8.39(d,J=9.0Hz,2H),8.84(s,2H)
MS m/z 421(M++1,21),482(M+,75),346(100),216(46),183(21),120(35),119(61),69(33),55(37),43(67),41(73)
元素分析 C22H29N2OFS2として
計算値:C,62.82%;H,6.95%;N,6.66%
実測値:C,62.64%;H,6.92%:N,6.52%
【0088】
(2−b) 2−(2−(R)−ヒドロキシオクチル)−2−[2−[4−(2−(S)−フルオロオクチルオキシ)フェニル]ピリミジン−5−イル]−1,3−ジチアンの合成
ジイソプロピルアミン58mgのTHF10ml溶液に−78℃で1.6Mブチルリチウム−ヘキサン溶液0.36mlを加え30分間攪拌した。これに上記(2−a)で得た(S)−2−[2−[4−(2−フルオロオクチルオキシ)フェニル]ピリミジン−5−イル]−1,3−ジチアン200mg、(R)−1,2−エポキシオクタン74mg(約90%ee)のTHF5ml溶液を加え、1時間かけて−60℃に昇温した。飽和食塩水で処理し、反応生成物を酢酸エチルで抽出した後、抽出液を濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−300,ヘキサン/酢酸エチル=9/1)を用いて精製して、2−(2−(R)−ヒドロキシオクチル)−2−[2−[4−(2−(S)−フルオロオクチルオキシ)フェニル]ピリミジン−5−イル]−1,3−ジチアン200mg(収率76%)を得た。
【0089】
無色粘稠性油状物質
[α]D 20 +10.2゜(c=0.94,CHCl3)
IR(neat) 3410,2928,2857,1607,1574,1528,1427,1254,1169,1040,801cm-1
1H NMR(CDCl3) δ 0.85(t,J=6.8Hz,3H),0.90(t,J=7.0Hz,3H),1.23〜1.56(m,18H),1.65〜1.87(m,2H),1.93〜2.04(m,2H),2.12(dd,J=15and1.8Hz,2H),2.15(d,J=3.6Hz,1H),2.24(dd,J=15and8.9Hz,1H),2.70〜2.78(m,4H),3.93(bs,1H),4.09〜4.22(m,2H),4.87(dm,J=49Hz,1H),7.03(d,J=9.0Hz,2H),8.43(d,J=9.0Hz,2H),9.24(s,2H)
MS m/z 548(M+,17),474(25),419(27),329(100),197(20),120(16),69(17),55(49),43(60),41(35)
元素分析 C30H45N2O2FS2として
計算値:C,65.66%;H,8.27%;N,5.10%
実測値:C,65.84%;H,8.25%:N,5.01%
【0090】
(2−c) 5−(3−(R)−ヒドロキシノニル)−2−[4−(2−(S)−フルオロオクチルオキシ)フェニル]ピリミジンの合成
上記(2−b)で得た2−(2−(R)−ヒドロキシオクチル)−2−[2−[4−(2−(S)−フルオロオクチルオキシ)フェニル]ピリミジン−5−イル]−1,3−ジチアン150mgのアセトン10ml溶液に、ラネーニッケル(W−4)エタノール懸濁液15mlを加え、30分間加熱還流した。反応液をセライト濾過した後、濾液を濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−300,ヘキサン/酢酸エチル=9/1)を用いて精製して、5−(3−(R)−ヒドロキシノニル)−2−[4−(2−(S)−フルオロオクチルオキシ)フェニル]ピリミジン109mg(収率91%)を得た。更にヘキサンから再結晶させて精製物95mg(収率79%)を得た。
【0091】
無色板状晶
相転移温度(℃) Cr102 (SA74) I
[α]D 20 −11.8°(c=1.0,CHCl3)
IR(KBr) 3389,2928,2859,1609,1586,1431,1254,1171,1084,856,797cm-1
1H NMR(CDCl3) δ 0.88(t,J=6.9Hz,3H),0.89(t,J=6.9Hz,3H),1.28〜1.53(m,19H),1.64〜1.90(m,4H),2.69(ddd.J=14,9.3,and7.2Hz,1H),2.82(ddd,J=14,9.3,and5.8Hz,1H),3.64(bd,J=4.4Hz,1H),4.07〜4.21(m,2H),4.87(dm,J=49Hz,1H),7.01(d,J=9.0Hz,2H),8.36(d,J=9.0Hz,2H),8.61(s,2H)
MS m/z 445(M++1,32),482(M+,100),199(19),198(18),185(35),69(20),55(57),43(76),41(59)
高分解能MS C27H41N2O2FとしてM+
計算値 m/z 444.3150
実測値 m/z 444.3156
【0092】
(2−d) 5−(3−(S)−フルオロノニル)−2−[4−(2−(S)−フルオロオクチルオキシ)フェニル]ピリミジンの合成
上記(2−c)で得た5−(3−(R)−ヒドロキシノニル)−2−[4−(2−(S)−フルオロオクチルオキシ)フェニル]ピリミジン50mgのジクロロメタン5ml溶液に、−78℃で三フッ化ジメチルアミノ硫黄(DAST)−1.0Mジクロロメタン溶液0.2mlを加え、20分攪拌した。反応液に水を加え、反応生成物をエーテルで抽出し、抽出液を濃縮した後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−300,ヘキサン/酢酸エチル=10/1)を用いて分離精製して、5−(3−(S)−フルオロノニル)−2−[4−(2−(S)−フルオロオクチルオキシ)フェニル]ピリミジン36mg(収率79%)を得た。更にヘキサンから再結晶させて、精製物36mg(収率74%)を得た。これは5−(3−(S)−フルオロノニル)−2−[4−(2−(R)−フルオロオクチルオキシ)フェニル]ピリミジンを4.5%及び5−(3−(R)−フルオロノニル)−2−[4−(2−(S)−フルオロオクチルオキシ)フェニル]ピリミジン4.9%を含有していた。
【0093】
無色板状晶
相転移温度(℃) Cr72 SA78 I
[α]D 20 +13.7゜(c=0.98,CHCl3)
IR(KBr) 2928,2859,1609,1586,1543,1441,1256,851,797cm-1
1H NMR(CDCl3) δ 0.88(t,J=7.0Hz,3H),0.90(t,J=6.8Hz,3H),1.20〜2.01(m,22H),2.71(ddd,J=15,9.3,and7.3Hz,1H),2.83(ddd,J=15,9.6,and5.1Hz,1H),4.07〜4.22(m,2H),4.50(dm,J=50Hz,1H),4.86(dm,J=43Hz,1H),7.01(d,J=9.0Hz,2H),8.37(d,J=9.0Hz,2H),8.61(s,2H)
MS m/z 447(M++1,31),445(M+,100),316(20),185(34),43(21),41(18)
高分解能MS C27H40N2OF2としてM+
計算値 m/z 446.3106
実測値 m/z 446.3115
【0094】
(実施例3) 強誘電性SC*液晶組成物の調製及び強誘電性液晶表示素子の作製
SC相を示すホスト液晶(H)
【0095】
【化30】
【0096】
を調製した。このホスト液晶(H)の相転移温度は以下の通りであった。
12.5℃(Cr→SC)、55.5℃(SC−SA)、64.5℃(SA−N)、70℃(N−I)
次に、実施例2で得られた化合物85%及び一般式(II)で表わされる化合物のうち、式(A−1)
【0097】
【化31】
【0098】
の化合物15%から成るキラルドーパントを調製した。
前述のホスト液晶(H)90%及びこのキラルドーパント10%から成るSC*相を示す強誘電性液晶組成物(M−1)を調製した。この組成物の相転移温度は以下の通りであった。
53.5℃(SC−SA)、66.5℃(SA−N)、69℃(N−I)
この組成物(M−1)のN*相における螺旋ピッチは、67.5℃以下で測定限界以上に長く発散していた。
【0099】
次に、この組成物(M−1)を等方性液体(I)相まで加熱し、これを厚さ2μmの2枚の透明電極板(ポリイミドコーティング−ラビングによる配向処理を施してある)からなるガラスセルに充填して、表示用素子を作製した。これをSC*相を示すまで徐冷したところ、均一に配向したセルを得た。
【0100】
このセルに電界強度10Vp-p/μm、50Hzの矩形波を印加して、その電気光学的応答を測定したところ、25℃で115μ秒という高速応答が確認できた。この時のチルト角は22.5゜で、コントラストは85/1以上と良好であった。また三角波を印加してその自発分極を測定したところ、−5.8nC/cm2であった。
【0101】
(比較例1)
前述のホスト液晶(H)90%及び式(A−1)の化合物10%からなるSC*相を示す強誘電性液晶組成物(M−A)を調製した。この組成物の相転移温度は以下の通りであった。
54.5℃(SC−SA)、67℃(SA−N)、69.5℃(N−I)
この組成物(M−A)は、N*相の全温度範囲において右巻きの螺旋ピッチが観察された。
【0102】
この組成物(M−A)を用いて、実施例3と同様にしてセルを作製したところ、得られたセルの配向に若干乱れが観察された。
同様にしてその電気光学的物性を測定したところ、25℃で110μ秒という高速応答が確認できた。この時のチルト角は21.5゜でその自発分極は−5.4nC/cm2であった。しかしながら、得られたセルの配向に若干乱れがあり、そのコントラストは約60/1であった。
【0103】
【発明の効果】
本発明の液晶組成物は、キラルドーパントの構成成分として一般式(I)及び(II)で表わされる光学活性な化合物を含有し、これらの化合物よって誘起される自発分極の向きは同一であり、螺旋の向きは逆になる。従って、この組成物を構成材料とする強誘電性液晶表示素子は、広い温度範囲で高速応答性を有し、配向性に優れ、コントラストも高い。また、特に一般式(I)の化合物は、実施例にも示したように、工業的にも容易且つ安価に製造することができる。
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