JP3723932B2 - セラミックス複合プラスチックペレット及びその製造方法 - Google Patents

セラミックス複合プラスチックペレット及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性プラスチック〔熱可塑性マトリックス樹脂原料に同じ。以下、単にフラスチック又はマトリックス樹脂原料という。〕に表面処理セラミックス微粉体を充填材として複合することにより、プラスチック製品の高比重・高精度化を実現可能とするとともに、プラスチックにシランカップリング剤や機能性樹脂を付加することにより強度・衝撃・破断ひずみ等の機械的性質を改善可能とするセラミックス複合プラスチックペレット及びその製造方法に関する。ここで、セラミックス微粉体及びプラスチック〔マトリックス樹脂原料〕はいずれも廃材を利用するものであってよい。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、セラミックス微粒子を含有させた繊維において、セラミックス微粒子と繊維間に衝撃や化学的作用が加わってもセラミック微粒子が繊維から容易に剥離することがないよう、シランカップリング剤で、セラミックス微粒子を化学結合させた繊維を製造し、これより作製した肌着はセラミックス微粒子に汗を素早く吸収し、皮膚がべとつかない、さわやかな感触を与える手法の提案があった。(例えば、特許文献1を参照。)
【0003】
【特許文献1】
特開平6−116862号公報(全頁、全図)
【0004】
また、プラスチックにシランカップリング剤を表面処理した無機物のフイラーを添加・混練してスラリーを形成した後、このスラリーを真空脱泡して注型し、プラスチックを付加重合反応させて硬化形成させることにより、収縮が殆ど起こらない高精度の成形体を得る手法の提案があった。(例えば、特許文献2を参照。)
【0005】
【特許文献2】
特開平11−124442号公報(全頁、全図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1は、シランカップリング剤により、セラミックス微粒子を繊維に化学結合させる手法であるが、この手法は、加工条件を動物性繊維・植物性繊維・合成繊維によってそれぞれ相違させる必要があり、加工の複雑・多様化に大きな課題を有している。
【0007】
上記特許文献2は、既にシランカップリング剤で表面処理している無機物のフイラーとプラスチックとのスラリーを真空脱泡し、付加重合反応で硬化させ、高精度の成形体を得る手法であるが、これだと、シランカップリング剤で処理した無機物のフイラーに限定されることや、真空脱泡や付加重合反応では生産性が低下する等、大きな課題を有している。
【0008】
本発明者らは、従来技術の複雑・多様な加工法、セラミックス微粉体の限定、あるいは生産性の低下等の課題解決の要請に応えるため、押出機を用いて動的表面処理を施すことによりセラミックス微粉体とプラスチックとの結合強化を図り、低コストで機械的強度その他の物性を改善した複合プラスチックペレットの製造技術に関する研究開発をおこなってきた。
【0009】
あわせて、処分場や公害等の低負荷を図り、環境問題や環境会計に資するために、廃セラミックス微粉体(特に、廃鋳型微粉体。)や廃プラスチックのリサイクル技術に関する研究開発をおこなってきた。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、上記課題を解消し、押出機を用いて表面処理セラミックス微粉体とマトリックス樹脂原料の投入から混練、分散及び化学反応〔一連の動的表面処理〕を経る複合化とこれにつづくペレット作製までを1パスでおこなうようにしたセラミックス複合プラスチックペレット及びその製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するために本発明は、熱可塑性マトリックス樹脂原料と充填材であるセラミックス微粉体とを出発原料として複合化し、かつ、造粒してなる1.0以上の比重を有するセラミックス複合プラスチックペレットであって、
出発原料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタールから選ばれた熱可塑性マトリックス樹脂原料と、廃鋳型微粉体にシランカップリング剤を表面塗布又は表面付着した表面処理セラミックス微粉体であり、
前記熱可塑性マトリックス樹脂原料に対して前記表面処理セラミックス微粉体を20〜50重量%配合して押出機に定量供給し、180〜250℃の溶融加熱下でスクリュー搬送しながら動的表面処理を推進して前記熱可塑性マトリックス樹脂原料と前記表面処理セラミックス微粉体とを複合化し、その溶融体を線状に押し出して急冷凝固させた後、線状方向に切断して粒状物を造形してなることを特徴とするものである。
【0012】
また、熱可塑性マトリックス樹脂原料と機能性樹脂と充填材であるセラミックス微粉体とを出発原料としてポリマーブレンドと複合化を同時的に行い、かつ、造粒してなる1.0以上の比重を有するセラミックス複合プラスチックペレットであって、
出発原料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタールから選ばれた熱可塑性マトリックス樹脂原料と、マレイン化変性ポリプロピレン、スチレン系エラストマーから選ばれた機能性樹脂と、廃鋳型微粉体にシランカップリング剤を表面塗布又は表面付着した表面処理セラミックス微粉体であり、
前記熱可塑性マトリックス樹脂原料に対して前記機能性樹脂を7.5〜12重量%の配合割合で添加し、かつ、これらの加算重量に対して前記表面処理セラミックス微粉体を20〜50重量%配合割合で添加して、それぞれ押出機に定量供給し、180〜250℃の溶融加熱下でスクリュー搬送しながら動的表面処理を推進して、前記熱可塑性マトリックス樹脂原料と前記機能性樹脂とのポリマーブレンドと、該ブレンド物と前記表面処理セラミックス微粉体との複合化とを同時的に行い、その溶融体を線状に押し出して急冷凝固させた後、線状方向に切断して粒状物を造形してなることを特徴とするものである。
【0013】
また、熱可塑性マトリックス樹脂原料と充填材であるセラミックス微粉体とを出発原料とし、複合化とこれにつづくペレット作製までを1パスでおこなうようにしたセラミックス複合プラスチックペレットの製造方法であって、
出発原料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタールから選ばれた熱可塑性マトリックス樹脂原料と、シランカップリング剤を表面塗布又は表面付着した表面処理セラミックス微粉体であり、
前記熱可塑性マトリックス樹脂原料に対して前記表面処理セラミックス微粉体を20〜50重量%配合して押出機に定量供給し、溶融加熱下でスクリュー搬送しながら、混練、分散及び化学反応を連続的に推進する動的表面処理を施して、前記熱可塑性マトリックス樹脂原料と前記表面処理セラミックス微粉体とを複合化し、その溶融体を線状に押し出して急冷凝固させた後、線状方向に切断して粒状物とすることを特徴とするものである。
【0014】
さらに、熱可塑性マトリックス樹脂原料と機能性樹脂と充填材であるセラミックス微粉体とを出発原料とし、ポリマーブレンドと複合化を同時的に行い、これにつづくペレット作製までを1パスでおこなうようにしたセラミックス複合プラスチックペレットの製造方法であって、
出発原料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタールから選ばれた熱可塑性マトリックス樹脂原料と、マレイン化変性ポリプロピレン、スチレン系エラストマーから選ばれた機能性樹脂と、シランカップリング剤を表面塗布又は表面付着した表面処理セラミックス微粉体であり、
前記熱可塑性マトリックス樹脂原料に対して前記機能性樹脂を7.5〜12重量%の配合割合で添加し、かつ、これらの加算重量に対して前記表面処理セラミックス微粉体を20〜50重量%配合割合で添加して、それぞれ押出機に定量供給し、溶融加熱下でスクリュー搬送しながら、混練、分散及び化学反応を連続的に推進する動的表面処理を施して、前記熱可塑性マトリックス樹脂原料と前記機能性樹脂とのポリマーブレンドと、該ブレンド物と前記表面処理セラミックス微粉体との複合化とを同時的に行い、その溶融体を線状に押し出して急冷凝固させた後、線状方向に切断して粒状物とすることを特徴とするものである。
なお、上記製造方法のいずれかにおいて、セラミックス微粉体が廃鋳型微粉体であって、精密鋳造廃鋳型を粗粉砕して磁力選別により金属類を除去した後、微粉砕し、かつ分級して得られたものであり、
表面処理セラミックス微粉体が、押出機に付設の撹拌機に前記セラミックス微粉体とシランカップリング剤を投入して高速撹拌し、前記セラミックス微粉体の表面に前記シランカップリング剤を塗布又は付着するものであり、
動的表面処理が、熱可塑性マトリックス樹脂原料と表面処理セラミックス微粉体、又は熱可塑性マトリックス樹脂原料と機能性樹脂と表面処理セラミックス微粉体からなる出発原料のいずれかを、それぞれ押出機に同時投入して180〜250℃に加熱溶融しながらスクリュー搬送し、かつ、混練、分散及び化学反応を連続的に推進し、前記出発原料の複合化処理、又はポリマーブレンドと複合化の同時的処理のいずれかを施すものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態は、上記構成のセラミックス複合プラスチックペレットの製造方法において、第1のステップは、2軸押出機のヘンセルミキサー(高速撹拌機:毎分1800回転)により、表面処理のシランカップリング剤を瞬時に充填材のセラミックス微粉体(廃鋳型材は材質:シリカ、アルミナ、ジルコニアの混合物、比重:2.5〜3.0、粒径:53〜210μm)の表面に0.2〜0.5重量%を均一に塗布又は付着することである。
【0016】
第2のステップは、シランカップリング剤を均一塗布(付着)したセラミックス微粉体(配合率20〜50重量%)とマトリックス樹脂原料(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール)とをそれぞれ押出機に定量供給し、マトリックス樹脂原料を180〜250℃加熱・溶融させながら、スクリュー(毎分100回転)で混練・分散・押出しを連続的に行うとともに、シランカップリング剤の化学反応により、セラミックス微粉体とプラスチック〔マトリックス樹脂原料〕との結合力を強化させることである。〔動的表面処理〜複合化〕
【0017】
第3のステップは、セラミックス微粉体を均一分散したプラスチック溶融体を、線状に押出し、水により急冷凝固させた後、刃物でペレット形状に切断することである。このペレット(及び後述の成形体)は比重が1.0〜1.5程度である。
【0018】
第4のステップは、選択的なステップであって、成形体の強度・破断ひずみ・衝撃値等の機械的性質を一段と向上させるために、マトリックス樹脂原料に機能性樹脂を添加配合したポリマーブレンドを用いることである。
【0019】
第5のステップは、選択的なステップであって、精密鋳物工場から廃棄されたセラミックス鋳型(精密鋳造廃鋳型)を微粉化処理したセラミックス微分体(廃鋳型微粉体)とプラスチック工場から排出された廃プラスチック〔マトリックス樹脂原料〕とを再利用することである。
【0020】
【実施例】
本発明の一実施例を添付図面に基づいて以下説明する。
【0021】
図1は、本発明のセラミックス複合プラスチックペレットの製造方法〔以下、実施例方法。〕の概要説明図であり、2軸押出機のヘンセルミキサー2でシランカップリング剤をセラミックス微粉体4に塗布又は付着した後〔動的表面処理〕、表面処理セラミックス微粉体4とプラスチック3〔マトリックス樹脂原料であって必要に応じて機能性樹脂5を添加配合する場合がある〕をそれぞれ定量フィーダー6により定量供給し、プラスチック3を加熱・溶融しながらスクリュー1により混練・分散・押出し、線状に押出された複合プラスチック7を水により急冷凝固させた後、刃物9により適宜寸法(粒径)に切断してペレット10を製造する。以下、添加配合又は配合に関してはブレンドと表記する。
【0022】
本発明では、シランカップリング剤を塗布した市販のセラミックス微粉体を使用しないので、独自の表面処理方法〔動的表面処理〕を開発したものである。
【0023】
動的表面処理は、セラミックス微粉体とプラスチックとの結合を強化する化学反応を、スクリューにより混練・分散・押出しを強力に行うものであり、密度が高まり結合が非常に強固になることが重要なポイントである。また、一連の工程を動的に行うので、ペレットの生産性も大きく、低コスト化が実現できる。
【0024】
図2は、微粉体の粒子径がセラミックス複合プラスチック成形体〔以下、供試体という。〕の引張強さや破断ひずみに及ぼす影響を示すデータプロットである。ここでは、ポリエチレンに各粒子径の廃鋳型微粉体(シリカ、アルミナ、ジルコニア等を含有する混合セラミックスの微粉体)を20重量%ブレンドしてペレットを作製し、このペレットを射出成形機によって、JISK7139の試験片を作製した後、引張試験を行った。
【0025】
この図から、廃鋳型微分体の粒子径が供試体の引張強さや破断ひずみに与える影響は小さいことが認められる。
【0026】
図3は、廃鋳型微粉体のブレンド率が供試体の引張強さと耐力に及ぼす影響を示すデータプロットである。ここでは、ポリエチレンに粒子径20μmの廃鋳型微粉体を20、30、40、50重量%ブレンドしてペレットを作成し、このペレットを射出成形機によって、JISK7139の試験片を作製した後、引張り試験を行っている。
【0027】
この図から、ポリエチレンに廃鋳型微粉体をブレンドすると、ポリエチレン単体(ブレンド率0重量%)より、引張強さ、耐力ともに低下し、さらに、ブレンド率が増加すると引張強さ、耐力ともに大きく低下することが認められる。
【0028】
図4は、廃鋳型微粉体のブレンド率が供試体の破断ひずみと弾性率に及ぼす影響を示すデータプロットである。ここでは、図3と同様のJISK7139の試験片を使用した。
【0029】
この図から、ポリエチレンに廃鋳型微粉体をブレンドすると、ポリエチレン単体より、破断ひずみが低下するが、弾性率は逆に増大していくことが認められる。
【0030】
図5は、廃鋳型微粉体のブレンド率が供試体のアイゾット衝撃値と硬度に及ぼす影響を示すデータプロットである。
【0031】
この図から、アイゾット衝撃値は廃鋳型微粉体のブレンド率に比例して低下するが、硬度は逆に増大することが認められる。
【0032】
以上の結果から、廃鋳型微粉体にシランカップリング剤を塗布しない場合、ポリエチレンと廃鋳型微粉体との結合力が弱く、引張強さ、耐力、破断ひずみ、衝撃値等がポリエチレン単体より低下する。これらの特性を改善するには、廃鋳型微粉体にシランカップリング剤を塗布することが不可欠であると考察される。
【0033】
図6は、実施例方法により作製した供試体の性能を示すグラフであって、表面処理条件の変更が引張強さ、破断ひずみ及び曲げ強さに及ぼす影響を示すものである。ここで、廃鋳型微粉体にシランカップリング剤(トリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン)を表面処理条件を変えて塗布した後、ポリエチレンに20重量%ブレンドして作製した供試体の引張強さ、破断ひずみ、曲げ強さを求めている。
【0034】
すなわち、未処理はシランカップリング剤を塗布せず、ポリエチレンに廃鋳型微粉体を20%重量ブレンドしたものである。処理1はトリメトキシシラン0.2重量%、処理2はビニルトリメトキシシラン0.2重量%、処理3はトリメトキシシラン0.5重量%、処理4はビニルトリメトキシシラン0.5重量%塗布した後、それぞれポリエチレンに20重量%ブレンドして引張強さ、破断ひずみ、曲げ強さを求めたものである。
【0035】
この図からシランカップリング剤を塗布すると、引張強さ、破断ひずみ、曲げ強さが改善されており、とくに破断ひずみが大きく改善されたことが認められる。
【0036】
図7は、上記同様〔図6〕に作製した各供試体の他の性能を示すグラフであって、表面処理条件の変更が衝撃値と粘度に及ぼす影響を示すものである。
【0037】
この図から、廃鋳型微粉体にシランカップリング剤を塗布すると衝撃値が2倍以上に向上し、改善が著しいことが認められる。
【0038】
図8は、再生ポリプロピレンに廃鋳型微粉体を20重量%ブレンドした再生材供試体の機械的性質を示すグラフであって、表面処理(0.3重量%塗布)及び種々の機能性樹脂のブレンド(12重量%ブレンド)が引張強さ、破断ひずみ及び衝撃値に与える影響を示すものである。
【0039】
ここでは、再生ポリプロピレン[PP(R)] に廃鋳型微粉体20重量%ブレンド[PP(R):WM]、廃鋳型微粉体20重量%にシランカップリング剤のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを0.3重量%塗布後再生ポリプロピレンとブレンド[PP(R):WM(903 0.3%)]、廃鋳型微粉体20重量%にγ−アミノプロピルトリエトキシシランを0.3重量%塗布後再生ポリプロピレン68重量%と機能性樹脂のマレイン化変性ポリプロピレン12重量%とをブレンド[PP(R):WM(903 0.3%):MPP]、廃鋳型微粉体20重量%にγ−アミノプロピルトリエトキシシランを0.3重量%塗布後再生ポリプレン68重量%と機能性樹脂のスチレン系エラストマーを12重量%とをブレンド[PP(R):WM(903 0.3%):SBC]、これら5種類について引張強さ、破断ひずみ、衝撃値を比較検討している。
【0040】
この図から、マレイン化変性ポリプロピレン、スチレン系エラストマー(いずれも機能性樹脂)をブレンドすると再生ポリプロピレンより、引張強さ、破断ひずみ、衝撃値が大きくなる。このことから、引張強さにはマレイン化変性ポリプロピレン、破断ひずみ、衝撃値にはスチレン系エラストマーをブレンドするとより効果的なことを見出した。
【0041】
図9は、再生ポリプロピレンに廃鋳型微粉体のブレンドを50重量%まで増加させた再生材供試体の機械的性質を示すグラフであって、表面処理(0.3重量%塗布)及び種々の機能性樹脂のブレンド(7.5重量%ブレンド)が引張強さ、破断ひずみ及び衝撃値に与える影響を示すものである。
【0042】
この図からも、図8と同様に機能性樹脂は大きな効果を示すことが認められる。
【0043】
また、実施例方法によるセラミックス複合プラスチック成形体の成形ひずみを評価するために、廃鋳型微粉体をブレンドした方向指示板用重り〔成形体〕を作製した。その成形ひずみと重量を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003723932
【0045】
この表から理解されるように、従来の塩化ビニルやポリエチレン単体より、ポリエチレンに廃鋳型微粉体をブレンドした方向指示板用重りの成形ひずみが少ないことが認められる。
【0046】
因みに、微粉体とプラスチックの複合化において、動的表面処理(の導入)の有効性を考察しておく。
【0047】
上述した溶融粘度に関して、本発明の動的表面処理を施した供試体(セラミックス複合プラスチック成形体)は、未処理のものに対して5〜10%低下している。〔図7〕
【0048】
これは表面処理効果によりマトリックス樹脂(上記供試体ではポリエチレン)との濡れ性が改善されるためであると推認される。このことは同時に分散性の向上を期待させるものでもある。
【0049】
確認までに、図10及び図11に破断面のSEM観察像(図面代用写真)を示す。
【0050】
図10は未処理の廃鋳型微粉体をブレンドした供試体の破断面であり、微粉体の剥離した空隙や粉体とプラスチックの界面にクラックが見られ、界面剥離が生じていることが確認される。
【0051】
図11は動的表面処理を施した廃鋳型微粉体をブレンドした供試体の破断面であり、粉体とプラスチックの界面が確認できない。これは破壊がプラスチック層で生じているためであり、表面処理の効果であると推認される。
【0052】
この結果からも、微粉体とプラスチックの複合化において動的表面処理は有効な手法であることが認められる。
【0053】
【発明の効果】
上述したように本発明は、押出機でシランカップリング剤の塗布と化学反応とを、1パスで動的に行う新たな製造技術を創出するものであり、高生産性を実現し、大幅なコストの低減が図れる。
【0054】
プラスチックに廃鋳型微粉体を20〜50重量%ブレンドすると機械的性質が低下するが、シランカップリング剤を塗布すると機械的性質が向上し、さらに機能性樹脂をブレンドすると、機械的性質がプラスチック単体(廃鋳型微粉体のブレンド率0重量%)より増大する等の新技術を創出した。
【0055】
廃鋳型材、再生ポリプロピレンを使用することにより、埋め立て処分や炭酸ガス排出を低減でき、環境低負荷に寄与することができる。
【0056】
廃鋳型微粉体を含有させたプラスチック成形品は、比重が1〜1.5となり、水に沈み、大雨や台風での洪水にも流されにくい利点がある。
【0057】
また、廃鋳型微粉体をブレンドさせたプラスチック成形品は、成形ひずみが少ないので利用価値が高く、車椅子用の段差解消板や農業用水路用のU字溝、福祉関連製品等としての用途拡大が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例方法の概要説明図である。
【図2】微粉体の粒子径が引張強さや破断ひずみに及ぼす影響を示すデータプロットである。
【図3】廃鋳型微粉体のブレンド率が引張強さと耐力に及ぼす影響を示すデータプロットである。
【図4】廃鋳型微粉体のブレンド率が破断ひずみと弾性率に及ぼす影響を示すデータプロットである。
【図5】廃鋳型微粉体のブレンド率がアイゾット衝撃値と硬度に及ぼす影響を示すデータプロットである。
【図6】実施例方法により作製した供試体の性能を示すグラフであって、表面処理条件の変更が引張強さ、破断ひずみ及び曲げ強さに及ぼす影響を示すものである。
【図7】実施例方法により作製した供試体の他の性能を示すグラフであって、表面処理条件の変更が衝撃値と粘度に及ぼす影響を示すものである。
【図8】再生ポリプロピレンに廃鋳型微粉体を20重量%ブレンドした再生材供試体の機械的性質を示すグラフであって、表面処理及び機能性樹脂のブレンドが引張強さ、破断ひずみ及び衝撃値に及ぼす影響を示すものである。
【図9】再生ポリプロピレンに廃鋳型微粉体を50重量%ブレンドした再生材供試体の機械的性質を示すグラフであって、表面処理及び機能性樹脂のブレンドが引張強さ、破断ひずみ及び衝撃値に及ぼす影響を示すものである。
【図10】未処理の廃鋳型微粉体をブレンドした供試体の破断面の組織(SEM観察像)を示す図面代用写真である。
【図11】動的表面処理を施した廃鋳型微粉体をブレンドした供試体の破断面の組織(SEM観察像)を示す図面代用写真である。
【符号の説明】
1 スクリュー
2 ヘンセルミキサー
3 プラスチック〔マトリックス樹脂原料〕
4 セラミックス微粉体
5 機能性樹脂
6 定量フィーダー
7 複合プラスチック
8 水
9 刃物
10 ペレット

Claims (5)

  1. 熱可塑性マトリックス樹脂原料と充填材であるセラミックス微粉体とを出発原料として複合化し、かつ、造粒してなる1.0以上の比重を有するセラミックス複合プラスチックペレットであって、
    出発原料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタールから選ばれた熱可塑性マトリックス樹脂原料と、廃鋳型微粉体にシランカップリング剤を表面塗布又は表面付着した表面処理セラミックス微粉体であり、
    前記熱可塑性マトリックス樹脂原料に対して前記表面処理セラミックス微粉体を20〜50重量%配合して押出機に定量供給し、180〜250℃の溶融加熱下でスクリュー搬送しながら動的表面処理を推進して前記熱可塑性マトリックス樹脂原料と前記表面処理セラミックス微粉体とを複合化し、その溶融体を線状に押し出して急冷凝固させた後、線状方向に切断して粒状物を造形してなることを特徴とするセラミックス複合プラスチックペレット。
  2. 熱可塑性マトリックス樹脂原料と機能性樹脂とセラミックス微粉体とを出発原料としてポリマーブレンドと複合化を同時的に行い、かつ、造粒してなる1.0以上の比重を有するセラミックス複合プラスチックペレットであって、
    出発原料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタールから選ばれた熱可塑性マトリックス樹脂原料と、マレイン化変性ポリプロピレン、スチレン系エラストマーから選ばれた機能性樹脂と、廃鋳型微粉体にシランカップリング剤を表面塗布又は表面付着した表面処理セラミックス微粉体であり、
    前記熱可塑性マトリックス樹脂原料に対して前記機能性樹脂を7.5〜12重量%の配合割合で添加し、かつ、これらの加算重量に対して前記表面処理セラミックス微粉体を20〜50重量%配合割合で添加して、それぞれ押出機に定量供給し、180〜250℃の溶融加熱下でスクリュー搬送しながら動的表面処理を推進して、前記熱可塑性マトリックス樹脂原料と前記機能性樹脂とのポリマーブレンドと、該ブレンド物と前記表面処理セラミックス微粉体との複合化とを同時的に行い、その溶融体を線状に押し出して急冷凝固させた後、線状方向に切断して粒状物を造形してなることを特徴とするセラミックス複合プラスチックペレット。
  3. 熱可塑性マトリックス樹脂原料と充填材であるセラミックス微粉体とを出発原料とし、複合化とこれにつづくペレット作製までを1パスでおこなうようにしたセラミックス複合プラスチックペレットの製造方法であって、
    出発原料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタールから選ばれた熱可塑性マトリックス樹脂原料と、シランカップリング剤を表面塗布又は表面付着した表面処理セラミックス微粉体であり、
    前記熱可塑性マトリックス樹脂原料に対して前記表面処理セラミックス微粉体を20〜50重量%配合して押出機に定量供給し、溶融加熱下でスクリュー搬送しながら、混練、分散及び化学反応を連続的に推進する動的表面処理を施して、前記熱可塑性マトリックス樹脂原料と前記表面処理セラミックス微粉体とを複合化し、その溶融体を線状に押し出して急冷凝固させた後、線状方向に切断して粒状物とすることを特徴とするセラミックス複合プラスチックペレットの製造方法。
  4. 熱可塑性マトリックス樹脂原料と機能性樹脂と充填材であるセラミックス微粉体とを出発原料とし、ポリマーブレンドと複合化を同時的に行い、これにつづくペレット作製までを1パスでおこなうようにしたセラミックス複合プラスチックペレットの製造方法であって、
    出発原料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタールから選ばれた熱可塑性マトリックス樹脂原料と、マレイン化変性ポリプロピレン、スチレン系エラストマーから選ばれた機能性樹脂と、シランカップリング剤を表面塗布又は表面付着した表面処理セラミックス微粉体であり、
    前記熱可塑性マトリックス樹脂原料に対して前記機能性樹脂を7.5〜12重量%の配合割合で添加し、かつ、これらの加算重量に対して前記表面処理セラミックス微粉体を20 〜50重量%配合割合で添加して、それぞれ押出機に定量供給し、溶融加熱下でスクリュー搬送しながら、混練、分散及び化学反応を連続的に推進する動的表面処理を施して、前記熱可塑性マトリックス樹脂原料と前記機能性樹脂とのポリマーブレンドと、該ブレンド物と前記表面処理セラミックス微粉体との複合化とを同時的に行い、その溶融体を線状に押し出して急冷凝固させた後、線状方向に切断して粒状物とすることを特徴とするセラミックス複合プラスチックペレットの製造方法。
  5. セラミックス微粉体が廃鋳型微粉体であって、精密鋳造廃鋳型を粗粉砕して磁力選別により金属類を除去した後、微粉砕し、かつ分級して得られたものであり、
    表面処理セラミックス微粉体が、押出機に付設の撹拌機に前記セラミックス微粉体とシランカップリング剤を投入して高速撹拌し、前記セラミックス微粉体の表面に前記シランカップリング剤を塗布又は付着するものであり、
    動的表面処理が、熱可塑性マトリックス樹脂原料と表面処理セラミックス微粉体、又は熱可塑性マトリックス樹脂原料と機能性樹脂と表面処理セラミックス微粉体からなる出発原料のいずれかを、それぞれ押出機に同時投入して180〜250℃に加熱溶融しながらスクリュー搬送し、かつ、混練、分散及び化学反応を連続的に推進し、前記出発原料の複合化処理、又はポリマーブレンドと複合化の同時的処理のいずれかを施すものである請求項3又は4記載のセラミックス複合プラスチックペレットの製造方法。
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