JP3723658B2 - 自動希釈装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、原液を自動的に所定の濃度に希釈する自動希釈装置に関し、詳しくは、例えば発電プラントのボイラ循環水等の水処理において、循環水に注入するヒドラジン等の薬液濃度を希釈調整する自動希釈装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発電プラント等のボイラ装置における循環水の水質を良好に管理するために種々の薬液等を注入している。例えば溶存酸素を除去するためにはヒドラジンを自動的に注入している。ヒドラジンは市販時には60〜80%の高濃度であり、循環水へ注入する際には5%以下に希釈して使用している。
図3は従来のヒドラジンの自動希釈装置の一例を示す概要図である。この自動希釈装置では原液槽1内の原液S0が希釈され最終的に希釈槽18で調整されて希釈液S1として一旦保留される。その後、目的とするヒドラジンの注入に使用されるようになっている。その詳細は次のとおりである。
【0003】
▲1▼ 計量槽への原液の供給
図3において、計量槽5内の原液S0の液面が低下し、計量槽5の液面センサ6が液面の下限レベルL0を感知した時、原液槽1の自動開閉弁2は「開」、計量槽5の吐出側の自動開閉弁13は「閉」となり、原液槽1から計量槽5へ原液S0の移送が開始する。これにより計量槽5内の液面が上昇し、液面センサ6が液面の上限レベルH0を感知した時、自動開閉弁2は「閉」(弁13の「閉」はそのまま維持)となり、計量槽5への原液S0の移送は停止し、計量槽5内に所定量の原液S0が貯留する。
【0004】
▲2▼ 希釈薬液の調整
希釈槽18内の希釈液S1の液面が低下し、希釈槽18の液面センサ19が液面の下限レベルL1を感知した時、自動開閉弁13と、希釈水源17と接続されている弁16は「開」、希釈槽釈18の吐出側の弁20は「閉」となり、希釈水が希釈水供給源17から混合器機14を経由して希釈槽18へ供給される。なお、混合器14としては、ここではエジェクタが使用されている。
このとき混合器14では混合器14の吸引力により計量槽5内の原液S0が吸引され、希釈水と混合して希釈槽18へ移送される。これによりの計量槽5内の液面が低下し、液面センサ6が液面の下限レベルL0を感知した時、自動開閉弁13は「閉」となるが、自動開閉弁16はそのまま「開」を維持し、希釈槽18への希釈水の供給は続行する。
【0005】
希釈槽18内の液面が上昇し、液面センサ19が液面のレベルH1を感知した時、自動開閉弁16は「閉」となり、希釈槽18への希釈水の供給は停止する。
以上により希釈槽18に所定量の原液S0と希釈水とが混合されて貯留する。よって原液S0は所定の濃度に希釈され希釈液S1となる。希釈槽18内の希釈液S1は自動開閉弁20を「開」にすることにより希釈槽18から送出され目的とするヒドラジンの注入に使用される。
なお、ヒドラジンの注入は定量ポンプにより微量であり、単位時間内では、希釈槽18内の液面の低下量は無視できる程度に小さい。かつ、希釈槽18の液面センサ19が液面の下限レベルL1を感知し、次の希釈薬液の調整工程に入る際でも希釈槽18内の希釈液S1が全く空になることはない。つまり、希釈槽18内の希釈液S1は常にかなり残っている状態で希釈薬液が追加されることになり、この同じ操作がサイクル毎に繰り返される。このため、希釈槽18へ原液S0および希釈水を送液している際に上記のように自動開閉弁20を「閉」にして希釈液S1の送液を停止するということは必要なく、実際のヒドラジンの注入の場合では希釈槽18の吐出側に自動開閉弁20を設けることはしていない。
【0006】
このように従来の自動希釈装置は、液面センサや自動開閉弁等の部品点数が多く、制御が複雑でメンテナンスも煩雑で、かつ原液槽1から計量槽5、および計量槽5から希釈槽18への原液の移送はヘッド差圧を利用しているため、計量槽5は希釈槽18より上方に、かつ、原液槽1は計量槽5よりさらに上方に設置させなければならず、そのため高い架台40等が必要となり、そのため装置全体の空間占有率が大きくなるなどの問題をかかえていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような事情に鑑みて発案したもので、液面センサ等の部品点数を少なくして制御の簡略化とメンテナンスの容易化を図り、かつ原液槽等の架台を低くして装置全体の縮小化を図ることにより上記の問題を解消する自動希釈装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、計量槽を気密に形成すると共に、先端部を計量槽の内底面付近に配置し他端部を混合器に連通した原液採取手段を設け、上記計量槽に圧縮気体圧を供給することにより上記計量槽内の原液を上記原液採取手段を介して混合器へ移送するようにし、従来、計量槽に付設されている液面センサや自動開閉弁等の部品を排除した構成でなっている。
上記により計量槽内の原液を混合器へ移送する際、計量槽内の原液が液面から圧縮気体で加圧されため、ヘッド差圧を必要とすることなく、計量槽内の原液は原液採取手段から混合器へ圧送される。よって計量槽を希釈槽より上方に設置する必要もない。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施例を示し、以下の説明において図3の従来例と共通する事項については同符号を使用する。本実施例も薬液としてはヒドラジンを使用した例を示しているが、以下の説明では特にヒドラジンに限定した記載はしないで単に原液あるいは希釈液という。本実施例においても原液槽1から計量槽5への原薬液S0の移送はヘッド差圧を利用するため原液槽1と計量槽5との位置関係は上記の従来例の場合と同じである。すなわち原液槽1は計量槽5より上方に位置させ、原液槽1と計量槽5とを内通する配管3により原液槽1から計量槽5へ原液S0が供給される。4は配管3に設けた逆止弁で原液S0の流れ方向を原液槽1から計量槽5方向のみに規制する。
【0010】
7は3方切換弁で、計量槽5の上面を密閉する上蓋5aの上側に設置する。該3方切換弁7の3方口の内、1方口は計量槽5の内部と内通させ、他の2方口は各々配管8、9へ接続する。配管8の他端部は原液槽1の上面部に接続し、配管9の他端部は図示しない圧縮空気供給源10へ接続する。
3方切換弁7の切換により計量槽5は原液槽1の上面部または圧縮空気源10と交互に連通させることができる。
【0011】
11は計量槽5に設けたコレクタノズルである。該コレクタノズル11はパイプ体でなり、その基部11aを計量槽5の上蓋5aに固定し、先端部を計量槽5の底面近くに設定すると共に、基部11a側の端部を上蓋5aの上側に突出させる。その突出させた端部に配管12を接続する。配管12の他端部はエジェクタからなる混合器14の吸引口に接続する。
【0012】
混合器14は希釈水供給源17から希釈槽18へ希釈水を供給する配管15に設ける。希釈槽18、希釈槽18に設けた液面センサ19および配管15に設けた自動開閉弁16等の構成は従来例と同じである。
なお、計量槽5から希釈槽18の原液S0の移送はヘッド差圧を利用しないため、計量槽5と希釈槽18との位置関係については特に規制する条件はない。従って希釈槽18の上方に計量槽5を配置させる必要はない。
【0013】
21は制御装置で、液面センサ19、3方切換弁7、自動開閉弁16,20等と電気的に接続し、液面センサ19からの信号を受信することにより、3方切換弁7、開閉弁16,20へ信号を印加し、これらを作動させる。以下の作用の説明では、この制御装置21と液面センサ19、3方切換弁7、開閉弁16,20等との信号の送受信については説明を省略する。
なお、注入薬液がヒドラジンのように単位時間当たりの注入量が微少の場合には、従来の技術の項で述べたように、開閉弁20は通常必要でないが、本例では自動開閉弁20があるものとして説明する。
【0014】
次に上記実施例の作用について説明する。計量槽5は、通常は3方切換弁7を介して原液槽1の気相部と連通しており、かつ原液槽1より低位置に設置され、かつ、配管3、逆止弁4を介して常に原薬液S0で満たされている。
そこで希釈槽18の希釈薬液S1液面レベルが下がってL1に達し、液面センサ19が液面のレベルL1を感知した時(または初めての使用時などで希釈槽18が空である場合)、弁16が「開」となり、配管15、希釈水源17から希釈水が弁16、混合機14などを経由して希釈槽18へ供給される。これと同時に3方切換弁7の接続口が切換り、配管9を介して空気供給源10からの圧縮空気が計量槽5内に圧入すると共に、原液槽1と計量槽5との通路(配管8)が遮断する。この結果、計量槽5内の原液S0は加圧され、コレクタノズル11から配管12を介して混合機14へ供給される。混合機14では希釈水と原液とが連続的に混合する。混合した液はただちに希釈槽18へ流入する。
【0015】
そして希釈槽18の液面が上昇し、液面センサ19が液面のレベルH1を感知した時、自動開閉弁16は「閉」となり、希釈槽18への希釈水の供給は停止する。同時に、3方切換弁7の接続口が切換わり計量槽5は圧縮空気供給源10とは遮断し、原液槽1の気相と内通する。これにより原液槽1内の原薬液S0が配管3を介し計量槽5へ流入し初期状態に戻り再び同じ工程が繰り返される。以上により希釈槽18においては所定量の原薬液S0と希釈水が混合されて貯留する。よって原薬液S0は所定の濃度に希釈され希釈薬液S1となる。希釈槽18内の希釈薬液S1は自動開閉弁20の「開」により希釈槽18から取り出され目的とする薬液注入に使用される。希釈槽18についても以下同じ工程が繰り返される。
【0016】
【実施例】
▲1▼ 原液槽1
形状:円筒容器
内径 ……………………………………………………………… 680mm
高さ ……………………………………………………………… 700mm
架台の高さ(床面から原液槽の底面までの高さ)…………… 400mm
▲2▼ 計量槽5
形状:円筒容器
内径 ……………………………………………………………… 280mm
高さ ……………………………………………………………… 300mm
架台の高さ(床面から計量槽の底面までの高さ)…………… 100mm
原液採取ノズルの内径 ………………………………………… 7.53mm
原液採取ノズルの基部から先端部までの長さ………………… 170mm
▲3▼ 希釈槽18
形状:円筒容器
内径 ……………………………………………………………… 770mm
高さ ………………………………………………………………1000mm
架台の高さ(床面から計量槽の底面までの高さ)…………… 400mm
液面レベルH1の希釈槽6底面からの高さ…………………… 800mm
液面レベルL1の希釈槽6底面からの高さ…………………… 370mm
▲4▼ 混合器14
詳細は図2に示す。該図において、25は混合器の全体を示し、該混合器はエジェクタからなり、26は原薬液S0の流入口、27は希釈水の流入口、28は流出口、29は原薬液を圧縮噴射するためのノズル、30は原薬液S0と希釈水とを混合する混合部である。
混合器の全長A▲5▼ ………………………………………………125mm
▲5▼ 圧縮空気源10
圧力………………………………………………………4〜7kg/cm2
▲6▼ 計量槽5からの混合器への原薬液S0の供給時間………… 約15分
▲7▼ 液面レベルL1からH1までの希釈水の供給時間………… 約20分
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、計量槽の液面センサや自動開閉弁の一部を不要とし、その分、部品点数を少なくすることが可能となり、制御システムの簡略化が図れる。また、計量槽から希釈槽へ原薬液の移送は圧縮空気圧を利用して行うようにしたので、希釈槽に対する計量槽のヘッド圧(高さ)を確保する必要もなくなり、希釈槽は計量槽の位置に関係なく、任意に設定することができ、床面等の低い位置に設置ができる。よって、原液槽の位置の高さをその分、低くすることが可能となり、装置全体の容積スペースも縮減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動希釈装置の概要を示すブロック図。
【図2】本発明の自動希釈装置に使用する混合器の実施例を示す断面図。
【図3】従来の自動希釈装置の概要を示すブロック図。
【符号の説明】
1 原液槽
4 逆止弁
5 計量槽
7 3方切換弁
10 圧縮空気供給源
11 コレクタノズル
18 希釈槽
Claims (1)
- 計量槽で所定量採取した原液を混合器に移送しながら希釈液と混合して希釈液と混合して希釈槽へ連続に移送する自動希釈装置において、
気密に形成した計量槽と、該計量槽の上方に配置した原液槽と、該原液槽内と上記計量槽内を内通する配管と、1方向口を上記計量槽の内部と内通させ、他方向口を上記原液槽の上方と内通させ、さらに別の他方向口を圧縮気体供給源と接続して上記計量槽の上面に設けた3方弁と、先端部を上記計量槽の底面近くに設定し、基部を上記計量槽の上面から突出させたパイプ状のコレクタと、吸引口が配管を介して上記コレクタの基部と接続されると共に流入口が配管を介して希釈水供給源と接続され、かつ、流出口が配管を介して希釈槽と接続された混合器とを有し、
常時は上記3方弁を介して上記計量槽と上記原液槽の上方部とを内通させ、上記計量槽から上記希釈槽への原液移送時には上記3方弁を切り換えて上記計量槽と上記原液槽とを遮断すると共に、上記3方弁を介して上記計量槽内に圧縮気体を供給し、該計量槽内の原液を上記コレクタから配管を介して上記混合器へ供給するように構成したことを特徴とする自動希釈装置。
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