JP3723257B2 - レンズ付きフイルムユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズ付きフイルムユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レンズ付きフイルムユニットは、簡単な撮影機構を備えたユニット本体に予め未露光の写真フイルムパトローネを内蔵させたもので、カメラを携帯していなくても手軽に写真撮影を行うことができ、本出願人からも、例えば、「Super写ルンです」(商品名)等が広く一般に提供されている。
【0003】
レンズ付きフイルムユニットは、一般に、ISO規格に適合した135フイルムパトローネが用いられる。そして、その組み込み時にはパトローネから写真フイルムを引き出してロ−ル状にまとめ、それぞれパトローネ室、フイルム室に装填するか、あるいは、135フイルムパトローネをパトローネ室に装填したのち、パトローネから写真フイルムを引き出してフイルム室にロール状に収納する。そして、使用時には撮影の度に、パトローネ本体のスプールに係合している巻き上げノブを回転させて、フイルム巻き上げ操作を行うと、撮影済みの写真フイルムが順次パトローネ内に巻き込まれるようになっている。
【0004】
このようなレンズ付きフイルムユニットは、構成部品や構造が常に改良、改善されてきた結果、最新型のレンズ付きフイルムユニットの外形サイズは、初期型のものと比較すると、大幅に小型化されている。とくに、レンズ付きフイルムユニットの厚みは、その携帯性に非常に大きな影響があり、近年のレンズ付きフイルムユニットの厚みは、益々薄型化されてきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、レンズ付きフイルムユニットの外形、特にその厚みが大幅に薄くなると、それにつれて、フイルム巻き上げ操作を行うための巻き上げノブも、必然的に小径なものになる。しかしながら、巻き上げノブが小径になると、巻き上げノブの操作が重くなり、その操作力は巻き上げノブが小径になる程、大きくなる。その結果、レンズ付きフイルムユニットの快適な操作性が低下し、フイルム巻き上げ操作が非常に煩わしいものとなり問題である。
【0006】
また、巻き上げノブが小径になると、レンズ付きフイルムユニットの裏面から突出する巻き上げノブの周面の突出量が少なくなり、巻き上げノブの回動操作がしづらくなる。
【0007】
一方、レンズ付きフイルムユニットを薄型化しても、巻き上げノブは従来どおり大きな径ものを使用すると、巻き上げノブの操作力は大きくはならないが、今度は、巻き上げノブがレンズ付きフイルムユニットの前面から大きく突出する事になり、外観が悪くなるばかりか、携帯性も損なわれる。
【0008】
本発明は上記従来技術の問題点を考慮してなされたもので、レンズ付きフイルムユニットを薄型化しても、巻き上げノブの操作に必要な操作力を低く維持すると共に、巻き上げノブの操作性を向上させたレンズ付きフイルムユニットを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、本発明のレンズ付きフイルムユニットは、パトローネを収納するパトローネ室と、前記パトローネから引き出したフイルムをロール状に収納するフイルム室と、このパトローネ室の上部に回動自在に配置され、前記パトローネのスプールを回転させて撮影済みのフイルムをパトローネ内に巻き込む巻き上げノブとを有するレンズ付きフイルムユニットにおいて、前記スプールの上端には、内壁に内歯を形成した軸孔を設け、前記巻き上げノブの下面には、外壁に外歯を形成した駆動軸を設けるとともに、この駆動軸の外径をスプールの軸孔の内径よりも小さく形成し、前記内歯と外歯とを背面側で部分的に噛合させることにより、前記スプールの回転中心に対して巻き上げノブの回転中心を背面側に偏心させたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図2は本発明を実施したレンズ付きフイルムユニットの分解斜視図であり、図3は、そのパトローネ室付近の断面図である。レンズ付きフイルムユニット2は、シャッタ装置4や撮影レンズ5等を組み込んだ撮影ユニット6、本体部7及びこれに前後から爪止めされる前カバ−8、後カバ−9で構成されている。
【0011】
前カバ−8には撮影レンズ5、ファインダ11、撮影枚数表示板12などを露出させるための穴が設けられており、また、レリ−ズボタン14が一体に設けられている。本体部7には、露光開口であるアパーチャ10を挟んで両側にパトロ−ネ室16とフイルム室17とが一体に形成されている。そして、内部に写真フイルムパトロ−ネ18と、パトロ−ネ本体19から引き出された写真フイルム21をロール状にまとめたフイルムロール21aが各々収納される。
【0012】
このような写真フイルムパトローネ18のパトロ−ネ本体19には、スプール22が軸着されている。スプール22には写真フイルム21が巻き付けられ、その一端はパトロ−ネ本体19から突出している。このスプール22のパトロ−ネ本体19から突出している部分には、図1に示すように、内面に係合部である内歯22bが刻まれた軸孔22aが設けられている。この内歯22bは、後述する巻き上げノブ26の駆動軸26aに刻まれた外歯26bの一部と噛合する。
【0013】
写真フイルム21は、ポリエチレンテレフタレート(PET),又はポリエチレンナフタレート(PEN)を40℃〜ガラス転移点以下の範囲でアニール処理したものをベースに、乳剤層を形成したものである。このようなアニール処理を施したPETやPENは、従来の写真フイルムベースに用いられていたトリアセチルセルロース(TAC)と比較して剛性に富み、また形状復元性も高いので、TACベースの写真フイルムよりも薄くすることができ、写真フイルム巻き上げ時の巻き上げ力の低減が図れる。
【0014】
パトロ−ネ室16の上面には、スプール22の一端が貫入して突出する開口25が設けられている。そして、この開口25の周縁部25aには、写真フイルム21を巻き上げるための巻き上げノブ26が軸着される。図1に示すように、この周縁部25aは、開口25に貫入するスプール22の回転軸aから後カバー9方向にずれるように形成されており、これにより、周縁部25aに軸着される巻き上げノブ26の回転軸bはスプール22の回転軸aよりも後カバー9方向にずれた位置になる。
【0015】
巻き上げノブ26の下面には、外歯26bが刻まれた駆動軸26aが一体に設けられている。この駆動軸26aの外径は、スプール22の軸孔22aの内径よりもかなり小さく形成されており、巻き上げノブ26が周縁部25aに軸着され写真フイルムパトローネ18がパトロ−ネ室16に収納されると、駆動軸26aが軸孔22a内に貫入する。そして、図1に示すように、互いに回転軸がずれている状態で、駆動軸26aの外歯26bの一部が軸孔22aの内歯22bと噛合する。このように、巻き上げノブ26とスプール22は、偏心ギアで連動する状態となる。
【0016】
後カバ−9には、パトロ−ネ室底蓋9a、及びフイルム室底蓋9bが各々一体に設けられ、パトロ−ネ室16の底部とフイルム室17の底部を各々光密に覆うようになっている。また、後カバ−9の上端部には、開口9cが設けられており、巻き上げノブ26の一部が露出している。
【0017】
上記構成による作用について説明する。レンズ付きフイルムユニット2のフイルム巻き上げ時には、後カバ−9の開口9cから露出している巻き上げノブ26を回動させる。巻き上げノブ26が回動すると、一体に形成された駆動軸26aも回動する。駆動軸26aの外歯26bは軸孔22aの内歯22bと噛合しているので、駆動軸26aの回動によりスプール22が回動する。これにより、撮影済みの写真フイルム21がパトロ−ネ本体19内に巻き上げられる。
【0018】
巻き上げノブ26が軸着される周縁部25aは、開口25に貫入するスプール22の回転軸aから後カバー9方向にずれるように形成され、巻き上げノブ26の回転軸bとスプール22の回転軸aとは互いに偏心位置で、外歯26bと内歯22bにより連動する。
【0019】
その結果、巻き上げノブ26はスプール22の回転軸aよりも後カバー9方向にずれた位置に軸着されるので、巻き上げノブ26を薄型のレンズ付きフイルムユニット2に合わせて小径のものを使用しても、巻き上げノブ26は後カバー9の開口9cから充分に露出し、撮影者は容易に巻き上げノブ26を回動させることができる。また、巻き上げノブ26が後カバー9方向にずれた位置に軸着されることにより、巻き上げノブ26の周面がレンズ付きフイルムユニット2の前面から見苦しく突出することもない。
【0020】
また、駆動軸26aの外径は、軸孔22aの内径よりもかなり小さく形成されており、外歯26bを回転させたときの内歯22bの回転は、減速ギアの組み合わせになるので、巻き上げノブ26を小径にしても、撮影者は軽い力で容易に巻き上げノブ26を回動させることができる。
【0021】
ところで、レンズ付きフイルムユニットは本来ユニット本体からフイルムを分離することができない商品として作られているが、一部のユーザー、あるいは現像取扱店の中にはフイルムを詰め替えて使用、販売を行うものがある。しかしながら、このようにフイルムの詰め替えを行うと、レンズ付きフイルムユニットの高い品質を維持することが難しくなり、フイルム巻き上げの不良や、甚だしい場合には光漏れによる感光等の障害が発生することがある。そして、レンズ付きフイルムユニットの高い信頼を損なうことになる。
【0022】
このような弊害は、特に上述した内歯22bのない従来のスプールを用いたフイルムパトローネを詰め替えしたときに発生する。ところが、上述したレンズ付きフイルムユニット2では、内歯のないスプールをもったフイルムパトローネが詰め替えされたとしても、巻き上げノブ26の外歯26bがスプールと係合することがなく、最初から使用不能状態となり、上述のような弊害は生じない。
【0023】
なお、上記実施の形態では、巻き上げノブの駆動軸とスプールの軸孔との係合手段として、内歯と外歯の歯車噛合によっているが、もちろん、係合手段はこれに限定するものではない。また、写真フイルムベースにはPET、PEN樹脂を用いているが、もちろんこれも他の各種樹脂を用いてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、本発明のレンズ付きフイルムユニットによれば、スプールの上端に設けた軸孔の内壁に内歯を形成し、巻き上げノブの下面に設けた駆動軸の外壁に外歯を形成するとともに、駆動軸の外径をスプールの軸孔の内径よりも小さく形成し、内歯と外歯とを背面側で部分的に噛合させたので、外歯を回転させたときの内歯の回転は減速ギアの組み合わせになり、巻き上げノブを小径にしても、軽い力で容易に巻き上げノブを回動でき、巻き上げノブの操作性を向上できる。また、スプールの回転中心に対して巻き上げノブの回転中心を背面側に偏心させたので、巻き上げノブを薄型のレンズ付きフイルムユニットに合わせて小径のものを使用しても、巻き上げノブが背面側から充分に突出し、撮影者は容易に巻き上げノブを回動でき、巻き上げノブの操作性を向上できるとともに、巻き上げノブの周面がレンズ付きフイルムユニットの前面から見苦しく突出することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施したレンズ付きフイルムユニットのパトローネ室付近を示す説明図である。
【図2】本発明を実施したレンズ付きフイルムユニットの分解斜視図である。
【図3】本発明を実施したレンズ付きフイルムユニットのパトローネ室付近の断面図である。
【符号の説明】
2 レンズ付きフイルムユニット
16 パトローネ室
18 写真フイルムパトローネ
22 スプール
22a 軸孔
22b 内歯
25 開口
25a 周縁部
26 巻き上げノブ
26a 駆動軸
26b 外歯
Claims (1)
- パトローネを収納するパトローネ室と、前記パトローネから引き出したフイルムをロール状に収納するフイルム室と、このパトローネ室の上部に回動自在に配置され、前記パトローネのスプールを回転させて撮影済みのフイルムをパトローネ内に巻き込む巻き上げノブとを有するレンズ付きフイルムユニットにおいて、
前記スプールの上端には、内壁に内歯を形成した軸孔を設け、前記巻き上げノブの下面には、外壁に外歯を形成した駆動軸を設けるとともに、この駆動軸の外径をスプールの軸孔の内径よりも小さく形成し、前記内歯と外歯とを背面側で部分的に噛合させることにより、前記スプールの回転中心に対して巻き上げノブの回転中心を背面側に偏心させたことを特徴とするレンズ付きフイルムユニット。
Priority Applications (1)
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JP28963095A JP3723257B2 (ja) | 1995-11-08 | 1995-11-08 | レンズ付きフイルムユニット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP28963095A JP3723257B2 (ja) | 1995-11-08 | 1995-11-08 | レンズ付きフイルムユニット |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09133988A JPH09133988A (ja) | 1997-05-20 |
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ID=17745732
Family Applications (1)
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JP28963095A Expired - Fee Related JP3723257B2 (ja) | 1995-11-08 | 1995-11-08 | レンズ付きフイルムユニット |
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-
1995
- 1995-11-08 JP JP28963095A patent/JP3723257B2/ja not_active Expired - Fee Related
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