JP3723176B2 - 落下物捕獲装置 - Google Patents

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    • E04G21/00Preparing, conveying, or working-up building materials or building elements in situ; Other devices or measures for constructional work
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、橋梁、建造物等からの落下物を捕獲する落下物捕獲装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、橋梁、建物等のうち常時人が多く集まるような場所には、落下防止用の落下防止ネット、保護柵又はトンネルネットなどが取り付けられ、人又は物体の落下を未然に防ぐ構造が取られていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−15095号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の落下防止ネット、保護柵又はトンネルネットなどは、著しく景観を損なうものであり、他の構造物又は景色など対して違和感を与えるなどの欠点を有していた。また、従来の落下防止ネット、保護柵又はトンネルネットなどは、風を受けることで構造物に悪影響を与え、火災時においては救助者の救助活動の妨げになるなど避難、救助に支障をきたす構造物となる恐れも否定できないものであった。
【0005】
また、一時的に人が集まる場所又は集まる人が少ない場所などでは、転落、落下について注意を喚起する立て看板などが設置され、他の防護措置が取られていない場合がある。しかし、このような場所では、事故が起こったことも判らず、例えば人が転落した場合、転落直後に死亡に至らなくても放置されることで人命を落とすことが考えられる。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、風を受けることなどによる構造物への影響を抑制でき、火災時における避難及び救助へ支障を及ぼすことを回避でき、景観を損なう又は違和感を持つなどの不都合を抑制し、落下危険ゾーンに人又は物体が侵入したときにだけ捕獲機能を発揮することができる落下物捕獲装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の落下物捕獲装置は、物体が所定領域に入ったことを検出するセンサと、前記センサの検出信号に応じて圧搾空気を送出する圧搾空気送出手段と、前記圧搾空気送出手段から送出された圧搾空気によってシート形状となる捕獲用シートとを有することを特徴とする。
【0008】
ここで、所定領域とは、例えば落下危険ゾーンである。そしてセンサは、複数種類及び複数個の検出手段からなることが好ましく、人又は比較的大きな物体が落下危険ゾーンに侵入したことを検出できるものであることが好ましい。また、圧搾空気送出手段は、前記センサの検出信号で動作するとともに、高速に動作する電磁弁などの開閉器を有し、この開閉器を介して圧搾空気を送出するものであることが好ましい。
【0009】
また、捕獲用シートは、橋梁、建物などの下部又は側部に折り畳みなどされて格納されていることが好ましく、例えば折り畳まれたゴムボートに空気を挿入することでボート形状となるように、前記圧搾空気によってシート形状となることが好ましい。そこで、落下危険ゾーンに人などの物体が侵入すると、収納などされていた捕獲用シートが圧搾空気によってシート形状に拡張するなどして、落下危険ゾーンから落下した人などの物体を捕獲用シートが捕獲することができる。これらにより、本発明によれば、落下する人の人命保護及び物体落下による破壊を防止することができ、落下地点において落下物に巻き込まれることによる事故発生及び物体の破壊等の防止をすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係る落下物捕獲装置の概略構成を示すものであり、図1(a)は正面図であり、図1(b)は側面図である。図1では、橋梁に落下物捕獲装置を設置した実施形態を挙げている。本落下物捕獲装置は、支柱1、圧力センサ2−1、遮断検知センサ2−2、捕獲用シート支持用ワイヤ3、高速開閉器4、配管5、圧搾空気タンク6、制御システム7、捕獲用シート8、格納容器9及び捕獲用シート固定器具10で構成されている。
【0011】
支柱1は、捕獲用シート支持用ワイヤ3の起点となるものであって橋梁に固定されている。圧力センサ2−1は、欄干等に取り付けられるセンサであって重量を検出する。遮断検知センサ2−2は、支柱1に取り付けられており、物体が赤外線又はレーザ光などを遮断したことを検知して人又は物体が所定領域に侵入したことを検出する。
【0012】
捕獲用シート支持用ワイヤ3は、捕獲用シート8を支持するワイヤである。高速開閉器4は、配管5から捕獲用シート8ヘ圧搾空気を送出するか否かを高速に切り替える開閉手段となる電磁弁などからなるものである。配管5は、圧搾空気タンク6から捕獲用シート8へ送出される圧搾空気の通路となるものである。圧搾空気タンク6には、圧搾空気が充填されている。制御システム7は、圧力センサ2−1及び遮断検知センサ2−2の検出信号に基づいて高速開閉器4の動作を制御するものである。捕獲用シート8は、配管5などを介して送出された圧搾空気によって拡張してシート形状になるものである。格納容器9は、捕獲用シートがジャバラ状に折り畳まれて収納される容器である。捕獲用シート固定器具10は、圧搾空気によってシート形状に拡張された捕獲用シート8の一辺などを固定又は支持するものである。また図1における符号Aは、捕獲用シートの拡張方向を示す。
【0013】
人又は物体が落下危険ゾーンに侵入すると、圧力センサ2−1及び遮断検知センサ2−2からなる複数種類及び複数個のセンサから検出信号が出力される。ここで、落下危険ゾーンとは、絶対に落下(転落)する位置をいう。例えば、橋梁の欄干上に設置された重量を感知する圧力センサ2−1と、橋梁と一体的に構築されているシート支持用ワイヤ3の起点となる橋梁に固定された支柱1の欄干の外側の絶対に落下(転落)する位置に配置されている遮断検知センサ2−2との双方が動作することで、上記侵入を感知し検出信号を出力する。
【0014】
これらの圧力センサ2−1及び遮断センサ2−2から出力された検出信号は、制御システム7に送られる。制御システム7は、検出信号を受信して圧力センサ2−1及び遮断センサ2−2双方が同時に動作したこと認識することで、落下危険ゾーンに人又は物体が侵入したと判断する。すると、制御システム7は、危険落下ゾーンに人又は物体が侵入したとの判断により、瞬時に高速開閉器4に開放信号を送出してその高速開閉器4を「開」状態にする。これにより、瞬時に圧搾空気タンク6に充填されていた圧搾空気が配管5及び高速開閉器4を通って捕獲用シート8に送り込まれる。すると、捕獲用シート格納容器9にジャバラ状に折り畳まれて収納されている捕獲用シート8がシート形状に広がるように拡張する。この拡張した捕獲用シート8は、落下物を捕獲する捕獲機能を発揮する。
【0015】
図2は捕獲用シート8が動作したときの状態を示し、図2(a)は正面図であり、図2(b)は側面図である。図3は捕獲用シート8が格納容器9内にジャバラ状に格納されている状態を示し、図3(a)は拡張方向から見た正面図であり、図3(b)は上面図であり、図3(c)は側面図である。図4は捕獲用シート8が捕獲機能を有効にしたときの状態を示し、図4(a)は上面図であり、図4(b)は側面図である。
【0016】
捕獲用シート8は、図1から図4に示すように、ゴムボートが折り畳まれた状態から本来目的のボート形状になるのと同様に、空気を送り込むことでシート形状となるものである。そして、捕獲用シート8は、圧搾空気が注入されると、木材程度の強度を持つゴム引き素材などで構成されており、板が張り出したような状態になる。ただし、捕獲用シート8だけでは落下物体を支えきれない。そこで、捕獲用シート8が空気注入されることで拡張することにより、捕獲用シート8の両先端に固定して取り付けられている捕獲用シート支持用ワイヤ3の一端が引き出されることで、その捕獲用シート支持用ワイヤ3が所定位置で捕獲用シート8を支持し、捕獲用シート8の捕獲機能をより強力なものとする。捕獲用シート固定器具10は、橋梁に固定設置されている格納容器9と捕獲用シート8を固定する機能を持つ器具である。
捕獲用シート8は、ゴム引き素材などからなり、圧搾空気が注入されると図4に示すように周辺部及び中央横断線部がチューブ形状に膨らみ、全体として長方形の板形状となる。
【0017】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図5及び図6を参照して説明する。図5は本発明の第2実施形態に係る落下物捕獲装置の概略構成を示すものであり、図5(a)は正面図、図5(b)は側面図である。本実施形態は、本発明に係る落下物捕獲装置を建造物に設置したものである。図6は捕獲用シート8が動作したときの状態を示し、図6(a)は正面図であり、図6(b)は側面図である。図5及び図6において、図1から図4に示す第1実施形態の各構成部材と同等の部材には同一符号を付している。
【0018】
本実施形態の落下物捕獲装置は、上記第1実施形態の落下物捕獲装置と原理的に変わるところはない。ただし、圧力センサ2−1及び遮断検知センサ2−2の設置位置と、捕獲用シート支持用ワイヤ3、高速開閉器4、配管5、圧搾空気タンク6、制御システム7、捕獲用シート8、格納容器9及び捕獲用シート固定器具10の設置位置とは、本実施形態と第1実施形態では異なる。
【0019】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、捕獲用シート8は、圧搾空気が注入されると図4に示すように周辺部及び中央横断線部がチューブ形状に膨らみ、その周辺部と中央横断線部に囲まれた部位に網状部材を取り付けた構成としてもよい。
また、本発明に係る落下物捕獲装置は、設置対象が橋梁又は建造物に限定されるものではなく、崖っぷちなど自然物における人が転落しやすい場所、落石が起きやすい場所などを設置対象とすることもできる。
【0020】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、センサの検出信号に応じて捕獲用シートがシート形状となるので、通常時は捕獲用シートを小さく折り畳んでおくことができ、例えば落下危険ゾーンに人又は物体が侵入したときにだけ捕獲用シートが広がり、人命保護及び物体の破壊防止をすることができる。そこで、本発明によれば、例えば風等による構造物への影響を低減でき、火災時における避難又は救助活動の妨げにもならず、景観を損なうことがなく、違和感を持つなどの不都合を解消することができる落下物捕獲装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る落下物捕獲装置の構成図である。
【図2】 同上の落下物捕獲装置の捕獲用シートが動作したときの状態を示す図である。
【図3】 捕獲用シートが格納容器に格納されている状態を示す図である。
【図4】 捕獲用シートが捕獲機能を有効にした状態を示す図である。
【図5】 本発明の第2実施形態に係る落下物捕獲装置の構成図である。
【図6】 同上の落下物捕獲装置の捕獲用シートが動作したときの状態を示す図である。
【符号の説明】
1;支柱、2−1;圧力センサ、2−2;遮断検知センサ、3;捕獲用シート支持用ワイヤ、4;高速開閉器、5;配管、6;圧搾空気タンク、7;制御システム、8;捕獲用シート、9;格納容器、10;捕獲用シート固定器具

Claims (1)

  1. 物体が所定領域に入ったことを検出するセンサと、
    前記センサの検出信号に応じて圧搾空気を送出する圧搾空気送出手段と、
    前記圧搾空気送出手段から送出された圧搾空気によってシート形状となる捕獲用シートとを有する落下物捕獲装置であって、
    前記捕獲用シートは、前記圧搾空気が送出される前は橋梁を含む建物の側部又は崖の側部であって地面から離れた部位に折り畳まれて格納されており、前記圧搾空気が注入されるチューブ形状部と該チューブ形状部に繋がっているシート部又は網状部材とを有しており、
    前記チューブ形状部、シート部及び網状部材のうちの少なくとも1つの一端が前記地面から離れた部位に固着されており、
    前記捕獲用シートを支持するワイヤを有することを特徴とする落下物捕獲装置。
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