JP3723157B2 - ポリ乳酸系重合体組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、透明性、耐衝撃性、柔軟性などが改良された生分解性ポリマー組成物およびその成型品に関する。
【0002】
【従来の技術】
自然環境保護の見地から、自然環境中で分解する生分解性ポリマー及びその成型品が求められている。近年、脂肪族ポリエステルなどの自然分解性樹脂が開発されつつあり、特にポリ乳酸は融点が170〜180℃と十分に高く、しかも透明性にすぐれるため包装材料などとして大いに期待されている。しかしポリ乳酸は、その剛直な分子構造のために、耐衝撃性が劣り脆いという欠点がある。さらに意外にも、ポリ乳酸を射出成型したり押出し成型した製品は耐熱変形性に劣り、その融点以下の50〜100℃程度の比較的低温でも容易に熱変形することを、本発明者らは見出だした。食品用包装容器の多くは、当然耐熱変形性が高いことが必要であり、また一般の容器や包装材でも成型後の輸送、保管中や使用中に、例えば40〜60℃程度の温度にさらされることがあり、それに耐える熱変形温度の高いものが求められる。さらに、包装材料や容器では、高い透明性が要求される場合が多い。従来の脂肪族ポリエステルの成型品は、耐熱性と透明性とを両立させることは難しく、両者を満足する生分解性包装材料や容器が求められている。さらにポリ乳酸は、溶融粘度が高く、製造や成型が困難という問題がある。 ポリ乳酸に他の脂肪族ポリエステルをブロック共重合して、柔軟性や透明性に優れるポリマーが得られることは、特開平7−173266号に開示されている。しかし、耐熱変形性の改良、特に耐熱性と透明性とを合せ持つものについては、知られていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、自然環境下で完全に分解可能であり、且つ熱変形温度と透明性が共に改良され、しかも溶融流動性が改善されて実用性が大幅に高められた、新規なポリ乳酸系重合体組成物およびその成型品を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の目的は、次の(1)、(2)、(3)及び(4)の項目を全て満足する新規重合体組成物、およびその成型品によって達成される。
【0005】
(1)ポリL−乳酸ホモポリマー、ポリD−乳酸ホモポリマー、ポリL/D乳酸共重合体より選ばれたポリエステル重合体(A)と、脂肪族ジカルボン酸および鎖状ジオールを成分とする結晶性ポリエステルセグメントとポリ乳酸セグメントとが結合されているポリエステルブロック共重合体(B)とが混合されている。
【0006】
(2)組成物中の重合体(A)のポリ乳酸セグメントの結晶の融点が、140℃以上であり、且つその溶融吸熱量が、10ジュール/グラム以上である。
【0007】
(3)組成物中の重合体(B)の上記ジカルボン酸とジオールを成分とするセグメントの結晶の融点が、60〜130℃の範囲であり、且つ重合体(B)の構成成分中の乳酸由来の成分の比率が3〜50重量%である。
【0008】
(4)重合体(A)と重合体(B)との混合比率(A/B)が、97/3〜40/60の範囲である。
【0009】
ここで、ポリエステル重合体(A)とは、重合体中のL−乳酸及び/又はD−乳酸由来の成分が50%以上のポリエステルを言い、ポリL−乳酸ホモポリマー、ポリD−乳酸ホモポリマー、ポリL/D乳酸共重合体、及びそれらに他の成分を50重量%以下共重合又は/及び混合したものをすべて包含する。結晶性重合体とは、熱処理又は/及び延伸により十分結晶化したポリマー試料を、走査型示差熱量計(DSC)やX線回折装置によって分析したとき、主鎖の結晶が検出可能なものを言い、例えばDSCでは結晶の溶融による吸熱ピークが0.5ジュール(J)/グラム(g)以上、特に1J/g以上であれば検出は容易である。また、ポリマーの融点は、十分結晶化、乾燥したポリマーを、窒素ガス中、試料量10mg、昇温速度10℃度/minでDSC分析した時の、溶融による吸熱のピーク値温度とする。また、セグメントは、ポリマー分子鎖の一部分を言い、ブロックと言うこともある。
【0010】
ポリ乳酸に共重合可能な成分としては、エステル結合形成性のものがよく知られており、例えば(1)グリコール酸、ヒドロキシブチルカルボン酸などのような脂肪族ヒドロキシカルボン酸、(2)グリコリド、ブチロラクトン、カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン、(3)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどのような脂肪族ジオール、(4)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/プロピレングリコール(共重合体)、ポリブチレンエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレン/プロピレングリコールなどのポリアルキレンエーテルおよびそのオリゴマー、(5)両末端に水酸基を持つポリブチレンカーボネート、ポリヘキサンカーボネート、ポリオクタンカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートおよびそのオリゴマー、(6)コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。この他にテレフタル酸、イソフタル酸、スルホイソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族成分も応用可能である。上記ポリエステル重合原料は、ポリ乳酸にランダム共重合又は/及びブロック共重合することが出来る。一般に、ランダム共重合ではポリマーの結晶性が損なわれる傾向が強く、結晶性を保つには、第2成分の共重合比率(重量比)は20%程度以下、特に1〜10%程度が好ましいことが多い。一方ブロック共重合では、あまり結晶性を損なわずに例えば耐衝撃性や柔軟性などを改良することが出来る。また、上記ポリエステル重合原料以外に、例えばイソシアネート化合物、エポキシ化合物、単官能化合物、3官能以上の多官能化合物を副次的に用いることも出来る。
【0011】
本発明の組成物を構成する重合体(B)は、脂肪族ジカルボン酸及び鎖状ジオールを成分とする結晶性セグメントとポリ乳酸セグメントが結合されたものである。脂肪族ジカルボン酸は、炭素数4〜20程度のアルキル基をもつものが好ましく、例えばコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などが挙げられる。
【0012】
鎖状ジオールは、脂肪族ジオール、エーテル結合を持つジオールおよびカーボネート結合を持つジオールを包含する。脂肪族ジオールは、炭素数2〜12程度のアルキル基を持つものが好ましく、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオールなどが挙げられる。エーテル結合を持つジオールは、炭素数2〜8程度のアルキル基をもつものが好ましく、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヒドロキシエチル/ヒドロキシプロピルエーテル、ビスヒドロキシエトキシヘキサンなどが挙げられる。カーボネート結合を持つジオールは、炭素数4〜8程度のアルキル基を持つ物が好ましく、例えばビスヒドロキシブチレンカーボネート、ビスヒドロキシヘキサンカーボネートなどが挙げられる。
【0013】
ポリ乳酸のガラス転移温度は約60℃で、脂肪族ポリエステルの中では特別に高く、しかも結晶化温度も約100℃と相当高い。このため、射出成型、押出し成型などで溶融状態から急冷されると、ポリ乳酸はほぼ非結晶状態となり、(透明性は優れるが)、ガラス転移点付近から結晶化温度までの温度領域(50〜100℃)では、重力や外力によって容易に変形する傾向があることが判明した。重合体(B)を構成する脂肪族ジカルボン酸及び鎖状ジオールを成分とする結晶性セグメントの組成物中の融点は、60〜130℃の範囲であるが、そのガラス転移点や結晶化温度は常温以下で、溶融状態から急冷されても結晶化する。そこでこの低融点の結晶性ポリマーを含む本発明組成物の成型品は、その低融点結晶により40〜120℃程度の熱に耐え、それ以上の温度では重合体(A)を構成するポリ乳酸が結晶化しそれによって成型品は熱に耐え変形しない。つまり比較的低温での熱変形と、比較的高温での熱変形を、融点(及び結晶化温度)の異なる2種の結晶性ポリマーの混合によって、それぞれ分担させて防ぐのである。
【0014】
しかし、脂肪族ジカルボン酸及び鎖状ジオールからなる低融点ポリマーとポリ乳酸とは、相溶性がやや低く、混合物は白濁し透明性が低下する傾向がある。本発明は、重合体(B)に重合体(A)の主成分であるポリ乳酸セグメントを導入し、両者の相溶性を改良し上記白濁を抑制・改良するものである。この効果を得るには、重合体(B)に含まれるポリ乳酸成分の量は、3〜50重量%の範囲である必要があり、5〜30%が特に好ましく、7〜20%の範囲が最も広く用いられる。重合体(B)の中の乳酸成分が少な過ぎると、両成分の相溶性改善が不足となり、多すぎると脂肪族ジカルボン酸及び鎖状ジオールからなる低融点ポリマーの結晶化を妨げるからである。同様に、両成分の親和性を改良するために、重合体(A)に、脂肪族ジカルボン酸及び鎖状ジオールからなる低融点ポリマーを少量(例えば30%以下、特に3〜20%)ブロック共重合することも、本発明の好ましい実施態様である。
【0015】
重合体(B)の主成分は、融点60〜130℃の脂肪族結晶性ポリエステルで、具体例としては、ポリエチレンスベレート(融点約65℃)、ポリエチレンセバケート(融点約75℃)、ポリエチレンデカンジカルボキシレート(融点約86℃)、ポリブチレンサクシネート(融点約117℃)、ポリブチレンアジペート(融点約72℃)、ポリブチレンセバケート(融点約66℃)などが挙げられる。これらのホモポリマーに、ポリ乳酸をブロック共重合することにより、融点をあまり低下させないで、ポリ乳酸を主成分とする重合体(A)との親和性が高められる。組成物の透明性を阻害する第1要因は、前記のように混合状態(特にミクロ相分離)であり、これは成分間の親和性の改良で改善される。第2要因は、ポリマーの球晶である。勿論、ポリマーを非晶性にすると、前記のように耐熱性が得られない。そこで球晶のサイズ(直径)を出来るだけ小さく、可視光線の波長(400〜800nm)よりもかなり小さい100nm以下、特に80nm以下とすることが好ましい。球晶のサイズは、(1)共重合法と(2)結晶核剤の応用の2つの方法で制御することが出来る。
【0016】
共重合法には、ブロック共重合とランダム共重合とがあるが、いずれにせよ、結晶性(融点)を保ちつつ、しかも結晶性をある程度抑制する必要がある。ランダム共重合では、結晶性セグメント(ホモポリマー部分)の平均の長さを、比較的容易に制御することが出来る。例えば異種の成分を1モル%ランダム共重合すれば、結晶性セグメントの平均の長さは重合度100程度と推測される。10モル%ならば結晶性セグメントの平均の長さは重合度10程度と推測されるが、実際に結晶としてDSCなどで検出され、耐熱性に効果をもたらすには、結晶性セグメントの平均重合度は20程度以上が必要と推測される。
【0017】
球晶サイズを抑制するには、結晶性セグメントの平均重合度は1000程度以下、特に500程度以下が必要と推測される。異種成分の結晶妨害作用は、その成分の立体構造などにより異なるので、一概に言えないが、ランダム共重合の場合、必要な異種(共重合)成分量は、大略0.05〜5モル%程度の範囲が適当であることが多い。ブロック共重合の場合は、非常に複雑だが、必要な異種(共重合)成分量は、大略1〜50重量%程度、特に3〜30重量%程度が適当であることが多い。共重合の組み合わせの例としては、ポリエチレンセバケート/ポリブチレンセバケート、ポリエチレンセバケート/ポリプロピレンセバケート、ポリブチレンサクシネート/ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート/ポリエチレンアジペートなど、異種のジカルボン酸又は/及び異種のグリコールの組み合わせがあげられる。もちろん、その他の原料例えばラクタムやヒドロキシカルボン酸も応用出来る。一般に、側鎖、芳香核や脂環基を持つもの(例えばプロピレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、スルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジメタノールなど)は、結晶妨害効果が強く、少量で有効である。
【0018】
結晶核剤は、無機粒子、有機化合物粒子、有機化合物結晶粒子など、それを核としてポリマーが結晶化するものである。結晶核剤が完全に働くと、すべての球晶の中心に1個の核剤粒子が存在する筈である。従って、核剤粒子を多くすれば、球晶サイズは小さくなる。例えば、直径10nmの核剤粒子の周りに直径100nmの球晶があれば、核剤の混合(体積)比率は1/1000=0.1%である。球晶の直径が50nmであれば、体積比率は1/125=0.8%である。核剤が完全には働かないことや、その比重を考慮すると、球晶を十分小さくするには、直径100nm以下、特に50nm以下の核剤を0.1〜5重量%程度、特に、0.2〜3%程度ポリマーに混合することが好ましい。
【0019】
脂肪族ポリエステルの核剤としては、タルク、珪酸カルシウム、窒化ボロン、チタン酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、酸化亜鉛、炭酸カルシゥムなどの無機粒子、サッカリンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、ポリ乳酸系ポリマーよりも融点の高いポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどのポリマーその他の有機化合物の微粒子が挙げられる。核剤は、結晶化度を低下させずに球晶のサイズを小さくすることが可能で、製品の耐熱性の観点からは、優れた方法である。勿論、核剤法と共重合法を併用することも好ましい。
【0020】
本発明組成物を構成するポリマーの分子量は、特に限定されない。しかし、重合体(A)のポリマー部分は組成物の骨格をなすものであり、成型品に十分な強度をもたせるためには、その平均分子量は5万以上が好ましく、8〜30万が特に好ましく、10〜20万の範囲が最も広く用いられる。一方、重合体(B)のポリマー部分は、成型品の耐熱性に寄与するもので、分子量は1万以上が好ましく、2〜30万が特に好ましく3〜20万の範囲が最も広く用いられる。
【0021】
本発明組成物の溶融粘度は、特に限定されないが、通常の溶融成型条件、例えば温度150〜250℃程度、多くの場合170〜230℃、最も多くの場合180〜220℃において、500〜20000ポイズ程度、多くの場合1000〜10000ポイズ、最も多くの場合1500〜8000ポイズが好ましい。溶融粘度の温度依存性やせん断速度依存性は、小さいことが望ましいが、本発明組成物は、溶融流動性改善成分(ポリエーテル、ポリカーボネートなど)を含むため、比較的分子量が高くても比較的低温で成型可能であり、成型性にすぐれ、強度、柔軟性、耐衝撃性などに優れた成型品を得ることが出来る。
【0022】
本発明の組成物は、重合体(A)と重合体(B)とを混合することにより、容易に製造される。混合方法や混合装置は、特に限定されないが、連続的に処理出来るものが、工業的に有利で好ましい。例えば、両ポリマー(A)、(B)のペレットを所定比率で混合し、1軸のスクリュー押出機や2軸の混練押出機などで溶融し、直ちに射出成型したり製膜または紡糸してもよい。また両成分を溶融混合した後、一旦ペレット化し、その後で必要に応じて溶融成型してもよい。同じく、両ポリマーをそれぞれ別の押出機などで溶融し、所定比率で静止混合器または/及び機械的攪拌装置で混合し、直ちに成型しても良く、一旦ペレット化してもよい。押出機などの機械的攪拌による混合と、静止混合器とを組み合わせてもよい。溶剤を用い、溶液状態で混合しても良い。
【0023】
溶融混合法では、ポリマーの劣化、変質、エステル交換反応による共重合体化を、実質的に防ぐことが必要で、出来るだけ低温で短時間内に混合することが好ましい。例えば温度は、230℃以下、特に好ましくは210℃以下、最も好ましくは190℃以下、時間は30分間以内、特に20分以内、最も好ましくは10分以内で混合することが好ましい。溶融による変質やエステル交換を防ぐには、分子末端の水酸基やカルボキシル基、残留モノマーや重合触媒を除去または低減しておくことが望ましい。エステル交換反応が無視出来ないほど(実質的に)起こると、重合体(A)と重合体(B)のブロック又はランダム共重合体が生成し、組成物の結晶性や耐熱性が低下する。
【0024】
本発明組成物には、金属粒子、無機系または有機系粒子その他の充填剤、結晶核剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤、染料、顔料などの着色剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、離型剤、撥水剤、可塑剤、抗菌剤その他の添加剤を配合することが出来る。
【0025】
以下の実施例において、%、部は特に断らない限り重量比である。脂肪族ポリエステルの分子量は、試料の0.1%クロロホルム溶液のGPC分析において、分子量1000以下の成分を除く高分子成分の分散の重量平均値である。
【0026】
【実施例】
[実施例1]
光学純度99.5%以上のL−ラクチド97部、分子量8000のポリエチレングリコール(以下PEGと記す)5部、酸化防止剤としてチバガイギー社のイルガノックス1010をPEGに対して0.1%、重合触媒としてオクチル酸錫100ppm、結晶核剤として直径9nmの窒化ボロン0.5%を混合し、2軸混練部押出機に連続供給し185℃で15分間反応した後、口金より押出し水で冷却後切断してポリL−乳酸/PEG=約95/5のブロック共重合体のチップC1を得た。チップC1を、乾燥後、140℃の窒素気流中で3時間熱処理(固相重合)したのち、塩酸を0.1%含むアセトンで洗浄し、さらに塩酸を含まぬアセトンで5回洗浄し、触媒および残存モノマーを完全に除去し、乾燥してチップA1を得た。チップA1の分子量は13.3万、融点は170℃であった。ポリブチレンサクシネート(PBS)/ポリブチレンアジペート(PBA)=4/1(モル比)のランダム共重合物で、分子量12.7万、融点92℃のものをCP1とする。CP1を90部、L−ラクチド11部、結晶核剤として直径8nmのシリカ粒子0.8%、オクチル酸錫をL−ラクチドに対して100ppm混合し、以下チップA1と同様にしてチップB1を得た。PBS/PBA共重合体CP1は、PBAが20モル%ランダム共重合されているが、PBSとPBAは分子構造が近いため、PBAの結晶妨害作用は弱く、共重合体は結晶性を保つ。しかしCP1は、融点がPBSより約25℃低下しており、球晶の発達のため不透明である。チップB1は、CP1/ポリ乳酸=約90/10のブロック共重合体で、分子量13.1万、融点89℃、透明度は、ブロック共重合の効果と結晶核剤の効果が共に作用して、CP1よりかなり改良されている。
【0027】
チップA1とチップB1とを4/1で混合し、さらにイルガノックス1010を全体の50ppmとなるよう加えつつ、200℃の2軸混練押出機で平均4分間溶融混合し、200℃のT型口金より押し出し、冷却ロールで冷却固化して厚さ0.3mmのシートS1を得た。シートS1を75℃の型を用い圧空成型し、電気ひげそり器の容器(ブリスター)BL1を製造した。なお、シートS1を120℃で2時間熱処理(結晶化)した試料のDSC分析で、融点として90℃と169℃の2つの吸熱ピークが観測され、それぞれの吸熱量は、7.0J/g及び37.9J/gであった。この2つの吸熱ピークは、それぞれPBS/PBA共重合体セグメントとポリ乳酸セグメントの結晶の融点である。
【0028】
比較のため、ポリL−乳酸ホモポリマー(未変性品)で、分子量13.5万、融点175℃のものを用い、溶融温度220℃でシート化し、以下ブリスターBL1と同様にしてブリスターBL2を得た。同じく比較のため、上記PBS/PBA=4/1(モル比)のランダム共重合体CP1を用い、溶融温度200℃でシート化し、65℃で圧空成型してブリスターBL3を得た。同じく比較のため、上記ポリ乳酸ホモポリマーのチップと、ランダム共重合体CP1のチップとを4/1で混合し、以下BL1と同様にしてブリスターBL4を得た。各ブリスターを、熱帯地方を船で輸送することを想定した耐熱変形試験、すなわち60℃、相対湿度80%の空気中に100時間静置した後、変形の程度および透明性を評価した。その結果を表1に示す。表1に見るように、本発明によるブリスターは熱変形がほとんどなく透明性にすぐれ内部の商品がよく見える。他方、比較例は耐熱変形性および透明性の一方または両方が劣っている。
【0029】
【表1】
Figure 0003723157
[実施例2]
実施例1のPEGのかわりに、分子量8000、両末端が水酸基のポリヘキサンカーボネートを用い、以下実施例1のA1と同様ににして、ポリ乳酸との共重合体A2を得た。以下実施例1のブリスターBL1とほぼ同様にして、ただしA2のチップとPBS/PBA共重合体とポリ乳酸の共重合体B1のチップを4/1で混合して溶融成型してシートを作成、圧空成型してブリスターBL5を得た。ブリスターBL5を耐熱変形試験を行ったところ、ほとんど変形は見られず、ほぼ透明で、内部の商品はよく見えた。なお、ブリスターBL5を熱処理したもののDSC分析では、融点として90℃と169℃の2つの吸熱ピークが観測され、それぞれの吸熱量は、7.2J/g及び35.9J/gであった。この二つの吸熱ピークは、それぞれPBS/PBA共重合体セグメントとポリ乳酸セグメントの結晶の融点である。
【0030】
【発明の効果】
本発明により、透明性は優れるが、射出成型や押出し成型などで溶融状態から急冷されたとき、ガラス転移点(約60℃)と結晶化温度(約100℃)との間で、成型品が(自重などで)大きく変形するポリ乳酸の欠点が大幅に改善され、透明性と耐熱変形性の両方に優れる生分解性重合体組成物を得ることができる。更に本発明組成物は、溶融流動性に優れるポリエーテルなどの成分およびガラス転移点が常温以下(多くの場合0℃以下)の成分を持つため、別の効果として溶融成型性、製造の容易性、成型品の耐衝撃性、柔軟性、透明性に優れ、各種容器などの成型品の製造に極めて好適に応用される。同様に、本発明重合体組成物は、その優れた透明性、耐熱性、耐衝撃性、柔軟性、成型性などを生かし(必要に応じ延伸して)、優れたシート、フィルム、繊維、各種成型品を製造することができる。
【0031】
本発明により、ポリ乳酸系樹脂の実用性が著るしく高まり、地球環境の保全に大きく貢献することが期待される。

Claims (1)

  1. 次の(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)の項目を全て満足する重合体組成物。
    (1)ポリL−乳酸ホモポリマー、ポリD−乳酸ホモポリマー、ポリL/D乳酸共重合体より選ばれたポリエステル重合体(A)と、脂肪族ジカルボン酸および鎖状ジオールを成分とする結晶性ポリエステルセグメントとポリ乳酸セグメントとが結合されているポリエステルブロック共重合体(B)とが混合されており、重合体(A)及び/又は重合体(B)の脂肪族ポリエステルには核剤が含まれている。
    (2)組成物中の重合体(A)のポリ乳酸セグメントの結晶の融点が、140℃以上であり、且つその溶融吸熱量が、10ジュール/グラム以上である。
    (3)組成物中の重合体(B)の上記ジカルボン酸とジオールを成分とするセグメントの結晶の融点が、60〜130℃の範囲であり、且つ重合体(B)の構成成分中の乳酸由来の成分の比率が3〜50重量%である。
    (4)重合体(A)と重合体(B)との混合比率(A/B)が、97/3〜40/60の範囲である。
    (5)前記脂肪族ポリエステルに含まれる核剤が、タルク、珪酸カルシウム、窒化ボロン、チタン酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム及びサッカリンのナトリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
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