JP3723094B2 - 横孔を有するパイプ状金物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば横架材と柱とを連結するパイプ状の建築用ホゾ金具や端部に螺子孔部を設けた長さ調整のためのパイプ状のターンバックル金具などの横孔を有するパイプ状金具の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
軸方向と直交する横方向に係止ピンを貫通させるための係止孔や、ハンドルを取り付けるための取付孔や、窓孔などを設ける必要のある横孔を有するパイプ状金具の製造方法においては、入手の容易なパイプに、この横孔を穿孔して製作しているが、このパイプに孔を明ける作業は容易ではない。
【0003】
また、パイプは入手容易ではあるが、様々な径に自由に設計することはできず、そのため用途に応じて外径を調整したい場合に対応することが難しく、実用性に劣る。
【0004】
例えば、ホゾ金具は、土台上面の取付孔と、この土台に立設する柱の底面の取付孔(ホゾ孔)とにこの金具を挿入配設し、土台,柱の側面から係止ピンを打ってこの金具の横孔に貫通させて、土台と柱とを連結するものであるが、様々な径のパイプを入手することができないため、この取付孔に対応してホゾ金具の外径を自由に選定することはできない。
【0005】
また、その他用途に応じて、例えば強度向上のため外径を太くしたり、使い易さ,持ち易さ,回動トルクを大きくしたいために太くしたい場合などがあるが、パイプを利用する場合、径の異なるパイプを入手することができないため、これらに対応することができず、実用性に劣る。
【0006】
本発明は、このような問題点を従来構造に見出し、これを解決した画期的な横孔を有するパイプ状金物の製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
特に、所望する外径のパイプ状金物を簡単に形成でき、しかも製造工程において横孔が変形せず、所望の精度ある横孔を簡易に形成できることとなる画期的な横孔を有するパイプ状金物の製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
基板材Aをプレス機によって所定の大きさの板材1に打ち抜き形成すると共に、この板材1の中央部1Bに切り離し用連設部3を残して基板材Aとこの板材1を完全に切り離さないようにし、この状態でパイプ状とするこの板材1の丸め加工における基点となる中央部1Bを境とした左右部1Aをプレス機によって夫々湾曲加工し、パイプに軸方向と直交する横方向に連通状態に対向する横孔2を穿孔するのではなく、この湾曲加工した板材1の左右部1Aの所定位置に、軸方向に対して直交する横方向に連通状態に対向する前記横孔2となる孔2を形成し、プレス機によって左右部1Aが湾曲し、孔2を形成したこの板材1の左右部1Aを夫々内側に折曲してこの左右部1Aの外縁を突き合わせることで横孔2を有するパイプ状金物Kとすると共に、前記切り離し用連設部3を切断することで前記基板材Aから完全に切り離すことを特徴とする横孔を有するパイプ状金物の製造方法に係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいてその作用効果を示して簡単に説明する。
【0011】
パイプ状とする板材1の左右部1Aを予め夫々湾曲加工し、この湾曲加工した左右部1Aに孔2を予め形成し、左右部1Aが湾曲し、孔2を形成したこの板材1の左右部1Aを夫々中央部を基点に内側に折曲してこの左右部1Aの外縁を突き合わせて、横孔2を有するパイプ状金物Kとすることで、例えば板材の選定とプレス機によって所望の外径,厚み,長さのパイプ状金物を容易に製造でき、しかも、製造工程時に横孔2が変形しずらく、精度の高い横孔2を容易に形成できることとなる。
【0012】
即ち、平の状態の板材に孔2を形成し、これを丸め加工したのでは、材料の伸びなどによって孔2が楕円状に変形する場合が多く、従って精度の高い所望形状の横孔2を得るには、この板材の変形を予め考慮(予想)した形状の孔2を形成する必要があり、簡易に形成できないおそれが生じるが、この点、前述のように孔2を形成する部分を予め湾曲させておき、この湾曲した部分(左右部1A)に孔2を形成することで、パイプに形成する場合に比べて孔明けが未だ容易である上、孔明け後の丸め工程における材料変形が少なく、複雑な計算や試作実験などを繰り返さなくても、材料変形が少ないから精度の高い横孔2を容易に形成できることとなる。
【0013】
また、このような製造方法とすることで、プレス機によって板材の切り出しも、孔明けも、丸め加工も行えることとなり、一層簡易に製造でき、量産性に秀れることとなる。
【0014】
また、中央部1Bに切り離し用連設部3を形成したため、左右部1Aの湾曲加工も容易に行えると共に、中央部1Bを基点とした左右部1Aの内側への立ち上げ(若しくは立ち下げ)折曲による丸め加工も容易に行え、パイプ状にした後、この切り離し用連設部3を切断してパイプ状金物Kを基板材Aから完全に切り離せるので、製造物管理も容易となり、また前記プレス機によって前記所定の工程をスムーズに行え極めて量産性に秀れることとなる。
【0015】
【実施例】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0016】
本実施例は、建築用ホゾ金具Kを形成する場合の実施例であり、板材1の丸め加工における基点となる中央部1Bを境とした左右部1Aを夫々内側に立ち上げ折曲することで丸めて、パイプ状とするこの板材1の左右部1Aを、予め夫々少しこの丸め方向に湾曲加工し、この湾曲加工した左右部1Aの湾曲頂部所定位置に、軸方向に対して直交する横方向に連通状態に対向する前記横孔2となる孔2を形成し、左右部1Aが少し湾曲し、この湾曲頂部に孔2を形成したこの板材1の左右部1Aを中央部1Bを基点に夫々内側に立ち上げ折曲して(若しくは垂下折曲して)孔2部分にほとんど変形を生じずに丸めることでこの左右部1Aの外縁を突き合わせ、横孔2を有するパイプ状金物Kを形成する。
【0017】
具体的には、搬出する帯状基板材Aをプレス機によって図1に示すように板材1の中央部1Bに切り離し用連設部3を残して基板材Aとこの板材1を完全に切り離さないようにして、所定の大きさの板材1に打ち抜き形成する。即ち、搬送される帯状の基板材Aの板材外縁部を前記切り離し用連設部3を残して打ち抜き、切り離し用連設部3によって完全に切り離さないながらも、所定形状の板材1を切り出した状態となるように順次打ち抜き加工する。
【0018】
そしてこの状態でこの板材1の中央部1Bを境とした左右部1Aを順次プレス機によって夫々パイプ面となるように湾曲加工し、この湾曲加工した板材1の左右部1Aの湾曲頂部所定位置に、順次プレス機によって軸方向に対して直交する横方向に連通状態に対向する前記横孔2となる孔2を形成し、このプレス機によって順次左右部1Aが湾曲し、孔2を形成したこの板材1の左右部1Aを夫々内側に立ち上げ折曲し(若しくは垂下折曲し)、更にプレス機で順次この左右部1Aの外縁を突き合わせるようにプレスするだけで横孔2を有するパイプ状金物Kに形成すると共に、前記切り離し用連設部3を切断することで前記基板材Aから完全に切り離す。
【0019】
そして、この基板材から切り離したパイプ状金物Kの両端部をプレス機によって、すぼめる。
【0020】
即ち、本実施例では、プレス機の各ステージでの工程を示した図4に示すように、先ず図1に示すように、基板材Aから基板1を打ち抜き、図2に示すように順次左右部1Aを湾曲加工し、そして、中央部1Bを基点に左右部1Aを夫々内側にプレスにより折曲し、更にパイプに仕上げるための最終型によってプレス挟持することでパイプ状に丸め、プレスによる丸め加工を終了し、その後切り離し連設部3を切断して、基板材Aから切り離した後に両端をすぼめ加工するように構成している。
【0021】
従って、平の状態の板材に孔2を形成し、これを丸め加工したのでは、材料の伸びなどによって孔2が変形する場合が多く、従って精度の高い所望形状の横孔2を得るには、この板材の変形を予め考慮(予想)した形状の孔2を形成する必要があり、簡易に形成できないおそれが生じるが、この点、前述のように孔2を形成する部分を予め湾曲させておき、この湾曲した部分(左右部1A)に孔2を形成することで、パイプに形成する場合に比べて孔明けが未だ容易である上、孔明け後の丸め工程においては、単に湾曲した左右部1Aを夫々プレスにより内側へ立ち起こし(若しくは垂下折曲し)、そして、最終プレス型でパイプ状に押圧するだけで丸め加工が完了し、孔明け部材にはほとんど材料変形がないため、複雑な計算や試作実験などを繰り返さなくても、材料変形が少ないから精度の高い横孔2を容易に形成できることとなる。
【0022】
しかも、本実施例では、平の板材から一挙に丸め加工するのではなく、プレス機で左右部1Aを少し丸め加工した上で、更にこの左右部1Aを中央部1Bを基点にプレスにより内側へ立ち上げる(若しくは立ち下げる)ように折曲し、そして最終プレス型でパイプ状に押圧するだけでパイプ状に丸め加工されるように構成したため、プレス機によって板材の切り出しも、孔明けも、丸め加工をも、わずかな工程で自動製造することが実現でき(本実施例ではプレス機による三工程(三ステージ)で丸め加工が完了し自動製造することが容易に実現でき)、一層簡易に製造でき、量産性に秀れることとなる。
【0023】
また、中央部1Bに切り離し用連設部3を形成したため、左右部1Aの湾曲加工も容易に行えると共に、中央部1Bを基点とした左右部1Aの内側への立ち上げ(若しくは立ち下げ)折曲による丸め加工も容易に行え、パイプ状にした後、この切り離し用連設部3を切断してパイプ状金物Kを基板材Aから完全に切り離せるので、製造物管理も容易となり、また前記プレス機によって前記所定の工程をスムーズに行え極めて量産性に秀れ、実用性に秀れた横孔を有するパイプ状金物の製造方法となる。
【0024】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【0025】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したから、極めて簡易にして所望外径の横孔を有するパイプ状金物を製造できる画期的な横孔を有するパイプ状金物の製造方法となる。
【0026】
即ち、平の状態の板材に孔を形成し、これを丸め加工したのでは、材料の伸びなどによって孔が変形する場合が多く、従って精度の高い所望形状の横孔を得るには、この板材の変形を予め考慮(予想)した形状の孔を形成する必要があり、簡易に形成できないおそれが生じるが、この点、本発明は孔を形成する部分を予め湾曲させておき、この湾曲した部分(左右部)に孔を形成することで、パイプに形成する場合に比べて孔明けが未だ容易である上、孔明け後の丸め工程における材料変形が少なく、複雑な計算や試作実験などを繰り返さなくても、材料変形が少ないから精度の高い横孔を容易に形成でき、しかも例えば板材の選定とプレス機によって所望の外径,厚み,長さのパイプ状金物を容易に製造できることとなる極めて画期的な横孔を有するパイプ状金物の製造方法となる。
【0027】
このような製造方法とすることで、プレス機によって板材の切り出しも、孔明けも、そして、丸め加工もわずかな工程で自動製造することが容易に実現できることとなり、一層簡易に自動製造でき、量産性に秀れることとなる。
【0028】
しかも、パイプ状にした後、この切り離し用連設部を切断してパイプ状金物を基板材から完全に切り離せるので、製造物管理も容易となり、また前記プレス機によって前記所定の工程をスムーズに行える極めて量産性に秀れ、実用性に秀れた横孔を有するパイプ状金物の製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例の板材打ち抜き工程を示す説明斜視図である。
【図2】 本実施例の板材の左右部を湾曲加工すると共に、孔明け加工する工程を示す説明斜視図である。
【図3】 本実施例の完成状態の説明斜視図である。
【図4】 本実施例のプレス機による加工工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 板材
1A 左右部
1B 中央部
2 横孔
3 切り離し連設部
A 基板部
K パイプ状金物
Claims (1)
- 基板材をプレス機によって所定の大きさの板材に打ち抜き形成すると共に、この板材の中央部に切り離し用連設部を残して基板材とこの板材を完全に切り離さないようにし、この状態でパイプ状とするこの板材の丸め加工における基点となる中央部を境とした左右部をプレス機によって夫々湾曲加工し、パイプに軸方向と直交する横方向に連通状態に対向する横孔を穿孔するのではなく、この湾曲加工した板材の左右部の所定位置に、軸方向に対して直交する横方向に連通状態に対向する前記横孔となる孔を形成し、プレス機によって左右部が湾曲し、孔を形成したこの板材の左右部を夫々内側に折曲してこの左右部の外縁を突き合わせることで横孔を有するパイプ状金物とすると共に、前記切り離し用連設部を切断することで前記基板材から完全に切り離すことを特徴とする横孔を有するパイプ状金物の製造方法。
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