JP3722902B2 - レーザ加工方法及び装置 - Google Patents
レーザ加工方法及び装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3722902B2 JP3722902B2 JP09646696A JP9646696A JP3722902B2 JP 3722902 B2 JP3722902 B2 JP 3722902B2 JP 09646696 A JP09646696 A JP 09646696A JP 9646696 A JP9646696 A JP 9646696A JP 3722902 B2 JP3722902 B2 JP 3722902B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nozzle
- piercing
- workpiece
- laser processing
- distance
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Laser Beam Processing (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ加工に関し、特に、レーザ加工におけるピアッシング(下孔加工)の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ加工装置は、板状のワークをレーザビームで切断して、様々の形状の製品を形成する装置である。この切断加工は、まず、ワーク上の、製品とは関係の無い位置にレーザビームでピアッシングし、ピアッシングにより穿設された貫通孔を始点として製品の形状等の切断線に沿ってレーザビームを移動してワークを切断し、製品を形成する。
【0003】
レーザ加工装置は、上記の加工を行うために、レーザビームを収束するレンズと、収束されたレーザビームを照射するノズルと、ワークをX−Y方向に移動するワーク位置制御部と、上記ノズルをZ軸方向に進退させるノズル位置制御部と、装置全体を制御する制御装置とを有する。
【0004】
また、ワークの加工面は平坦であるとは限らないのに対し、切断加工中は、レンズからワークまでの距離を一定に保ち、ワークに照射されるレーザビームの強度を一定に保つ必要がある。また、上記レンズは種々の焦点距離のものと交換可能であり、ワークの材質や厚さなどから適当な焦点距離のレンズが選択され、ノズルの先端位置は、レンズの焦点距離及び、ワークの材質や厚さ等からレンズの焦点位置に対して所定の位置にくるようにセットされる。
【0005】
したがって、ノズル先端からワークまでの距離を一定に保てば、レンズからワークまでの距離も一定となることになり、ワークに均一な強度のレーザビームを照射でき、精度のよい切断面を得ることができる。
【0006】
そのため、レーザ加工装置には、接触式あるいは非接触式の倣いセンサが設けられ、ノズル先端とワーク加工面との間の距離を一定に保つように倣い制御が行われている。ただし、倣い制御が可能なノズル先端と加工面との距離は、ある範囲(これを「倣い可能範囲」という)内に限定されている。
【0007】
一方、上記のピアッシングは、ノズル先端とワーク加工面との距離が、切断時よりも離れた距離から開始される。そして、このピアッシングが開始されるときの距離は、上記の倣い可能範囲外となっている。
【0008】
ノズルとワークとの間の距離を調整するため、従来のレーザ加工装置では、サーボモータやエンコーダを有し、制御装置はノズルをZ軸方向に所定の距離だけ移動することができるようになっている。しかし、ノズル先端とワーク加工面との間の正確な距離は測定できない。また、倣いセンサはノズル先端とワーク加工面との距離を正確に測定できるが、その測定範囲は上述したように倣い可能範囲に限られ、ノズルの移動可能な全範囲に比較すると、ごく一部にすぎない。
【0009】
このようなレーザ加工装置において、倣い可能範囲外でピアッシングを開始しようとする場合には、従来は次のようにしていた。まず、ノズルを倣い可能範囲までZ軸方向に下降させ、ここでノズルとワーク加工面との距離を倣いセンサで測定し、その測定値からピアッシング開始位置までのノズルの上昇量を算出し、ノズルを上昇させてピアッシングを開始していた。
【0010】
また、ピアッシング中は、ノズルからアシストガスが吹き付けられ、アシストガスとワークの溶融した金属とが酸化反応を起こし、その酸化反応熱も利用してピアッシングに要する時間の短縮を図ることも行われていた。
【0011】
こうして、ピアッシングが開始され、進行していくと、孔の深さが徐々に深くなり、それに連れてノズルが段々とワーク近づき、やがて倣い可能範囲に入り、孔がワークを貫通した後は、倣い制御がされて切断時の距離を保持するようになる。もっとも、ピアッシング中は一定の高さにノズルを保ち、ピアッシング後にノズルを倣い範囲に下降する方法もある。
【0012】
図7は、上記の従来技術によりピアッシングした状態を示す図である。同図において、1はノズルで、ここからレーザビームの照射とアシストガスの吹き付けとが行われ、ワーク2に孔2aが穿設される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の方法では、ノズルを一旦倣い可能範囲に進入させた後、再び上昇させるので、ノズルの動作が複雑で、動作時間も長くなり、ピアッシングに時間が掛かるといった問題があった。
【0014】
また、孔2aの形成に伴い、孔の回りに溶融した金属が盛り上がり、加工後に盛上部3が形成される。このような盛上部3が形成された部分では、ワーク2の板厚が厚くなるので、切断不良になったり、切断時にノズル1と盛上部3とが干渉するおそれがあった。
【0015】
さらに、盛上部3ができると、倣いセンサが誤った間隔を出力したり、センサの接触子が盛上部3に引っかかることもあり、その場合、ノズルとワークとの間隔が変化して切断不良の原因となった。
【0016】
そのため、ピアッシング後に盛上部3を切断する場合、ここだけノズルの高さやレーザビームの出力等の切断条件を変更する必要が生じ、ピアッシング作業が複雑で時間がかかっていた。
【0017】
本発明は、上記の問題の解決を図ったもので、レーザ加工において、ピアッシング時間を短縮できるレーザ加工方法及び装置を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、レーザビームを収束するレンズの焦点位置に対して所定の位置にノズルをセットし、該ノズルをワークから倣い可能範囲以上離反してピアッシングを開始するレーザ加工方法において、上記ノズル先端のZ軸位置とワークの厚さとからピアッシングを開始するノズルの計算上の位置を求め、該位置までノズルを移動してピアッシングを行い、ノズルをワークに近づけ、ノズルが倣い可能範囲内に進入した後ノズルとワークとの距離を倣いセンサで測定してノズル位置を補正することを特徴としている。
【0019】
このとき、上記補正量を記憶して、次回以降のピアッシングを開始するノズル位置を補正したり、上記ノズルをワークに近づけるとき、ノズルの移動限度をノズルが移動可能な最下端までとすることが望ましい。
【0020】
上記方法を実施する本発明のレーザ加工装置は、レーザビームを照射するノズルと、該ノズルをZ軸方向に移動するZ軸管理部と、ノズルとワークとの間の距離を測定する倣いセンサと、を有するレーザ加工装置において、上記Z軸管理部が、予め入力されたワークの板厚に基づいてノズルを計算上のピアッシング開始位置に移動してピアッシングを開始させ、その後ノズルをワークに向けて移動して上記倣いセンサによりノズルとワークとの間の距離を測定し、該測定値によりノズルのZ軸方向の位置を補正することを特徴としている。
【0021】
また、本発明の他の方法は、レーザビームによりワークのピアッシングを行い、ピアッシング中の加工部にアシストガスを吹き付けるレーザ加工方法において、上記加工部にブローガスを吹き付けることを特徴としている。
【0022】
また、上記ブローガスをレーザビームと交叉する方向から吹き付けたり、上記ブローガスをピアッシング開始後、所定時間経過後に吹き付けることとしたり、上記レーザ加工方法が、ノズルとワークとの間の距離を倣いセンサによりセンシングしてワークに対するノズルの位置を一定に保つ倣い制御が可能なレーザ加工方法の場合は、上記ピアッシング中に上記倣い制御をOFFにすることが望ましい。
【0023】
上記方法を実施するレーザ加工装置は、ノズルからワークにアシストガスを吹き付けながらレーザビームによりピアッシングを行うレーザ加工装置において、ワークにブローガスを吹き付けるブローノズルを設けたことを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に図面を用いて本発明の実施例を説明する。
図1は本発明の実施例の図である。同図において、10はトーチで、先端にノズル11が取り付けられている。トーチ10内にはレンズ12があり、レーザ発振器から射出されたレーザビーム13は、図示しない反射鏡によってトーチ10内のレンズ12により収束され、レーザビーム13と同軸に設けられたノズル11からワーク14に照射される。ノズル11はトーチ10に、たとえば、ネジで取り付けられており、レンズ12との距離、すなわち、レンズの焦点位置に対して所定の位置にセットできるようになっている。
【0025】
ワーク14は、レーザ加工装置の図示しないX−Yテーブル上に固定され、X,Y平面内を移動自在である。また、トーチ10は、Z軸方向に進退自在である。また、トーチ10の下端には、たとえば、静電容量式の、非接触式倣いセンサ15が設けられ、倣い可能範囲内で、ノズル11先端とワーク14との間の距離を計測でき、倣い制御によりこの距離を一定に保つことができる。
【0026】
トーチ10のレンズ12より下方には、アシストガス流入口16があり、図示しないガス供給源から酸素、窒素、空気のいずれかのガスが供給される。アシストガスは、ノズル11の先端の孔11aからレーザビーム13とほぼ平行に吹き出し、ワーク14の孔14a内に吹き込まれ、溶融金属の酸化反応を促進させ、酸化反応熱によってピアッシングの進行を促す。
【0027】
トーチ10の左側面には、サポート17が取り付けられ、ここにブローガス流入口18が形成されるとともに、ブローノズル19が取り付けられる。ブローガス流入口18には、図示しないガス供給源から、窒素又は空気からなるブローガスが供給される。ブローノズル19は、レーザビーム13と交叉する方向にブローガスを吹き出す。
【0028】
図2は、本発明のレーザ加工装置の制御系統のブロック図である。主制御部21はコンピュータからなり、レーザ加工装置全体を制御するところで、図示しないが、ワークの板厚やピアッシング開始位置、レーザ出力、成型品の形状といった加工条件を入力するキーボード等の入力装置を有する。この主制御部21には、レーザ制御部22、X−Y位置制御部23、Z軸管理部24が接続されている。
【0029】
レーザ制御部22は、レーザ発振器25のレーザ出力の増減や、ON,OFFを行い、さらに、アシストガス機器26を制御してアシストガスの開閉や圧力の調整等を行う。
【0030】
X−Y位置制御部23には、X軸アンプ27とY軸アンプ28とを介してサーボモータ29,30が接続され、各サーボモータ29,30にはエンコーダ31,32が設けられている。そして、このような構成によって、X−Yテーブル上のワーク14をX−Y平面の任意の位置に移動できると共に、移動した後の位置情報をX−Y位置制御部23を介して主制御部21に入力する。したがって、主制御部21に入力された成型品の形状に合わせてワークを自在に移動できることになる。
【0031】
Z軸管理部24は、Z軸アンプ33とZ位置制御部34を介してサーボモータ35とエンコーダ36に接続され、ノズル11をZ軸方向に自在に移動し、かつ、エンコーダ36からのノズル11の位置信号を主制御部21に入力する。Z軸管理部24には、倣い制御部37が接続され、倣い制御部37には倣いセンサ15が接続されている。この倣いセンサ15は、静電容量式で非接触式のものを用いている。
【0032】
つぎに、図3、図4により本発明の第1実施例の作用を説明する。図3はZ軸管理部24の動作を示すフローチャートで、図4は、図3の実施例におけるノズル11のZ軸高さと、時間の経過との関係を線図にしたものである。ピアッシングを開始するにあたり、従来は、ノズルをZ軸方向に移動して倣い可能範囲まで一旦下降し、再び上昇させてピアッシング開始位置を決定していたのを、この実施例では、より簡単な動作で行えるようにしたものである。
【0033】
フローチャートの開始に先だって、予めワークの板厚やピアッシング開始高さ、成型品の形状等の必要なデータを主制御部21に入力しておく。
ピアッシング開始の指示が主制御部21からZ軸管理部24にされると、Z軸管理部24は、Z軸アンプ33にサーボモータ35を駆動するよう指示を出す(101)。サーボモータ35が回転すると、ノズル11は下降を始めるが、下降量はエンコーダ36により逐一Z位置制御部34に入力される。Z軸管理部24はZ位置制御部34からの信号を監視して、ノズル11が計算上のピアッシング開始位置に達するのを待つ(103)。
【0034】
ノズルが計算上のピアッシング開始位置に達したら、前述した実施例と同様にピアッシングを開始する。そして、ピアッシングの進行に伴いノズル11を少しづつ下方に下げていく。この下降は、ノズル11の下降可能範囲の下端を限度とする(105)。
【0035】
ピアッシングの進行に伴いノズル11は下降を続け、やがて、ノズル先端とワーク加工面との間の距離が倣いセンサ15の倣い可能範囲に達する(107)。そこで、倣いセンサ15によりノズル先端からワーク加工面までの距離を正確に測定する。そして、それまで使用していた計算上のノズル位置との差を計算し、ノズル11のZ軸位置を補正する(109)。
【0036】
以上でノズル先端からワーク加工面までの距離がZ軸管理部24及び主制御部21に伝達されたので、主制御部21は、切断のための目標位置を決め、Z軸管理部24に指示をだし(111)、Z軸アンプ33、サーボモータ35、エンコーダ36及びZ位置制御部34により、ノズル11を切断位置に移動する(113)。このときピアッシングも終了する。
【0037】
ノズル11が切断位置に移動したら、倣い制御部37に指示し、倣い制御に切り替える(115)。これによって、ノズルはワーク加工面から一定の距離に保たれて、予め入力されている成型品の形状に合わせてワークの切断加工が行われることになる。
【0038】
以上のように、この実施例によれば、計算上で求めたピアッシング開始位置でピアッシングを開始し、その後、ノズル11を下げて倣い制御可能範囲に入ったところでノズル位置を補正している。したがって、ノズルを一旦倣い制御可能範囲まで下降してからピアッシング開始位置まで上昇させる手間が不用となり、ピアッシング時間を短縮することができる。
【0039】
また、ノズルを下降させる際の下限位置を、最下端、すなわちレーザ加工装置におけるノズルの下降限度位置にしているので、ワーク加工面が計算上の位置より低い場合に、ノズルが倣い可能範囲に進入できずに補正できなくなるといった事態を回避できる。ワーク加工面が計算上の位置より高い位置にある場合には、予定より早く倣い可能範囲に進入できることになる。
【0040】
また、上記の補正量を記憶しておくことにより、2回目のピアッシングにおけるノズル11位置を補正することができ、2回目以降の高さ制御の精度を上げることができる。
【0041】
なお、上記実施例では、前回の補正量を記憶しておいて、次回の補正に反映させることとしているが、複数回の補正量を記憶しておき、それらの平均値をその後の補正量としてもよい。
【0042】
次に図1及び図5を用いて本発明の第2実施例の説明をする。
まず、前述した実施例で説明したようにして、ノズル11先端とワーク14との距離H(図5(a))を倣い可能範囲hより広くとった位置でレーザビーム13をワークに照射し、ピアッシングを開始する。同時にアシストガスがノズル11から吹き付けられる。ワーク14のレーザビームが照射された加工部が溶融し溶融金属14bができ始める。アシストガスは溶融金属14b内に吹き込まれ、酸化反応を促進させ、孔14aが形成され始め、ピアッシングが開始される。次に、ブローノズル19からブローガス19aが孔14aに向けて吹き付けられる。
【0043】
ブローガスはレーザビームと交叉する方向に吹き付けられるので、孔14a周辺の溶融した金属が吹き飛ばされ、従来例に示した盛上部3が形成されないようにすることができる。また、ブローガスの吹き付け開始をアシストガスの吹き付け開始から任意の時間遅らせ、ブローガスによりアシストガスが遮断されないようにすることが望ましい。
【0044】
レーザビームの照射が続けられ、孔14aは図5(b)に示すように、段々深くなって、やがて図5(c)に示すように、ワークを貫通し、ブローガス19aは停止される。
【0045】
この後、ノズル11は主制御部21によりコントロールされ、倣い可能範囲内で、ワーク14との距離hを一定に保ちながらワークを切断していくことになる。このように、本発明によれば、盛上部3が形成されないので、ピアッシングが終了したら直ちに切断のための距離hやその他の加工条件に移行することができ、盛上部の切断不良を防止できるとともに、レーザ加工時間を短縮することができる。
【0046】
なお、上記実施例では、ブローノズル19を1個としたが、複数個設けてもよい。また、ピアッシング中にノズル11の高さHが徐々に下がり、最終的にhになるようにしているが、ピアッシング中の高さをHのまま一定に保ち、ピアッシング後にhまで下げるようにしてもよい。
【0047】
図6は本発明の第3実施例を示す図である。上記の実施例のように、ピアッシング中に倣い制御がONになっていると、倣いセンサ15が静電容量型非接触センサの場合には孔14aから飛散する溶融金属を検出することによって誤った間隔を出力し、その結果、ノズルとワークとの間隔が変化してピアッシングが不良となることがあった。
【0048】
そこで、本実施例では、図6に示すようなフローチャートにしたがって以下のように制御されるようにしている。
ノズル11が下降し(201)、ノズル11とワーク14との間隔(ピアッシング高さ)が所定の高さになると、倣い制御がOFFされる(203)。
【0049】
レーザビームが出力され、同時にアシストガスが開かれる(205)。そして、ワークの表面が溶融し始めるまでの指定された時間の経過を待って(207)ブローガスが開かれる(209)。
【0050】
ブローガスは、ピアッシングが終了するまで吹き付ければよく、ピアッシングに要する時間は、予め知ることが可能である。したがって、制御装置でブローガスの吹き付け開始から時間を測り、所定のブロー時間が経過したら(211)、ブローガスを閉じる(213)。
【0051】
以上でピアッシングは終了する。そこで、倣い制御をONにし(215)、ノズル11の高さを切断のための高さに保つようにし(217)、切断を開始する(219)。
【0052】
このようにピアッシング中は倣い制御をOFFにすることによって、ノズルとワーク加工面との距離を誤って測定するということが防止でき、ピアッシング不良を防止することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、倣い可能範囲外からピアッシングを開始するレーザ加工方法において、ノズル先端のZ軸位置とワークの厚さとからピアッシングを開始するノズルの計算上の位置を求め、該位置までノズルを移動してピアッシングを行い、ノズルをワークに近づけ、ノズルが倣い可能範囲内に進入した後ノズルとワークとの距離を倣いセンサで測定してノズル位置を補正するので、ピアッシングを短時間で行うことができる。
【0054】
上記補正量を記憶して、次回以降のピアッシングを開始するノズル位置を補正することとすれば、さらに時間を短縮できる。
上記ノズルの移動限度をノズルが移動可能な最下端までとすれば、ワーク加工面が計算より下方にあっても、スムーズに倣い制御に移行できる。
また、ピアッシング中の加工部にアシストガスとともにブローガスを吹き付けると、ピアッシング加工後に盛上部が形成されなくなり、ピアッシング加工が容易で、加工時間を短縮することができる。
【0055】
上記ブローガスをレーザビームと交叉する方向から吹き付ければ、効果的に盛上部の形成を防止できる。また、上記ブローガスをピアッシング開始後、所定時間経過後に吹き付けることとすれば、ブローガスによりアシストガスを吹き飛ばすことがない。
【0056】
また、上記レーザ加工方法が、倣い制御が可能な場合、上記ピアッシング中に上記倣い制御をOFFにすれば、ピアッシング中にノズル位置を誤り、ピアッシング不良となることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ加工装置の要部構成を示す要部断面図である。
【図2】本発明のレーザ加工装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施例を示すフローチャートである。
【図4】図3の実施例において、ノズル位置と時間の経過との関連を示す線図である。
【図5】本発明によるのピアッシング状態を示す図で、(a)は開始後間もない状態、(b)はピアッシング中、(c)はピアッシング完了状態を示す。
【図6】本発明の第3実施例を示すフローチャートである。
【図7】従来のレーザ加工方法を説明する要部断面図である。
【符号の説明】
11 ノズル
12 レンズ
13 レーザビーム
14 ワーク
14a 孔
15 倣いセンサ
19 ブローノズル
19a ブローガス
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ加工に関し、特に、レーザ加工におけるピアッシング(下孔加工)の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ加工装置は、板状のワークをレーザビームで切断して、様々の形状の製品を形成する装置である。この切断加工は、まず、ワーク上の、製品とは関係の無い位置にレーザビームでピアッシングし、ピアッシングにより穿設された貫通孔を始点として製品の形状等の切断線に沿ってレーザビームを移動してワークを切断し、製品を形成する。
【0003】
レーザ加工装置は、上記の加工を行うために、レーザビームを収束するレンズと、収束されたレーザビームを照射するノズルと、ワークをX−Y方向に移動するワーク位置制御部と、上記ノズルをZ軸方向に進退させるノズル位置制御部と、装置全体を制御する制御装置とを有する。
【0004】
また、ワークの加工面は平坦であるとは限らないのに対し、切断加工中は、レンズからワークまでの距離を一定に保ち、ワークに照射されるレーザビームの強度を一定に保つ必要がある。また、上記レンズは種々の焦点距離のものと交換可能であり、ワークの材質や厚さなどから適当な焦点距離のレンズが選択され、ノズルの先端位置は、レンズの焦点距離及び、ワークの材質や厚さ等からレンズの焦点位置に対して所定の位置にくるようにセットされる。
【0005】
したがって、ノズル先端からワークまでの距離を一定に保てば、レンズからワークまでの距離も一定となることになり、ワークに均一な強度のレーザビームを照射でき、精度のよい切断面を得ることができる。
【0006】
そのため、レーザ加工装置には、接触式あるいは非接触式の倣いセンサが設けられ、ノズル先端とワーク加工面との間の距離を一定に保つように倣い制御が行われている。ただし、倣い制御が可能なノズル先端と加工面との距離は、ある範囲(これを「倣い可能範囲」という)内に限定されている。
【0007】
一方、上記のピアッシングは、ノズル先端とワーク加工面との距離が、切断時よりも離れた距離から開始される。そして、このピアッシングが開始されるときの距離は、上記の倣い可能範囲外となっている。
【0008】
ノズルとワークとの間の距離を調整するため、従来のレーザ加工装置では、サーボモータやエンコーダを有し、制御装置はノズルをZ軸方向に所定の距離だけ移動することができるようになっている。しかし、ノズル先端とワーク加工面との間の正確な距離は測定できない。また、倣いセンサはノズル先端とワーク加工面との距離を正確に測定できるが、その測定範囲は上述したように倣い可能範囲に限られ、ノズルの移動可能な全範囲に比較すると、ごく一部にすぎない。
【0009】
このようなレーザ加工装置において、倣い可能範囲外でピアッシングを開始しようとする場合には、従来は次のようにしていた。まず、ノズルを倣い可能範囲までZ軸方向に下降させ、ここでノズルとワーク加工面との距離を倣いセンサで測定し、その測定値からピアッシング開始位置までのノズルの上昇量を算出し、ノズルを上昇させてピアッシングを開始していた。
【0010】
また、ピアッシング中は、ノズルからアシストガスが吹き付けられ、アシストガスとワークの溶融した金属とが酸化反応を起こし、その酸化反応熱も利用してピアッシングに要する時間の短縮を図ることも行われていた。
【0011】
こうして、ピアッシングが開始され、進行していくと、孔の深さが徐々に深くなり、それに連れてノズルが段々とワーク近づき、やがて倣い可能範囲に入り、孔がワークを貫通した後は、倣い制御がされて切断時の距離を保持するようになる。もっとも、ピアッシング中は一定の高さにノズルを保ち、ピアッシング後にノズルを倣い範囲に下降する方法もある。
【0012】
図7は、上記の従来技術によりピアッシングした状態を示す図である。同図において、1はノズルで、ここからレーザビームの照射とアシストガスの吹き付けとが行われ、ワーク2に孔2aが穿設される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の方法では、ノズルを一旦倣い可能範囲に進入させた後、再び上昇させるので、ノズルの動作が複雑で、動作時間も長くなり、ピアッシングに時間が掛かるといった問題があった。
【0014】
また、孔2aの形成に伴い、孔の回りに溶融した金属が盛り上がり、加工後に盛上部3が形成される。このような盛上部3が形成された部分では、ワーク2の板厚が厚くなるので、切断不良になったり、切断時にノズル1と盛上部3とが干渉するおそれがあった。
【0015】
さらに、盛上部3ができると、倣いセンサが誤った間隔を出力したり、センサの接触子が盛上部3に引っかかることもあり、その場合、ノズルとワークとの間隔が変化して切断不良の原因となった。
【0016】
そのため、ピアッシング後に盛上部3を切断する場合、ここだけノズルの高さやレーザビームの出力等の切断条件を変更する必要が生じ、ピアッシング作業が複雑で時間がかかっていた。
【0017】
本発明は、上記の問題の解決を図ったもので、レーザ加工において、ピアッシング時間を短縮できるレーザ加工方法及び装置を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、レーザビームを収束するレンズの焦点位置に対して所定の位置にノズルをセットし、該ノズルをワークから倣い可能範囲以上離反してピアッシングを開始するレーザ加工方法において、上記ノズル先端のZ軸位置とワークの厚さとからピアッシングを開始するノズルの計算上の位置を求め、該位置までノズルを移動してピアッシングを行い、ノズルをワークに近づけ、ノズルが倣い可能範囲内に進入した後ノズルとワークとの距離を倣いセンサで測定してノズル位置を補正することを特徴としている。
【0019】
このとき、上記補正量を記憶して、次回以降のピアッシングを開始するノズル位置を補正したり、上記ノズルをワークに近づけるとき、ノズルの移動限度をノズルが移動可能な最下端までとすることが望ましい。
【0020】
上記方法を実施する本発明のレーザ加工装置は、レーザビームを照射するノズルと、該ノズルをZ軸方向に移動するZ軸管理部と、ノズルとワークとの間の距離を測定する倣いセンサと、を有するレーザ加工装置において、上記Z軸管理部が、予め入力されたワークの板厚に基づいてノズルを計算上のピアッシング開始位置に移動してピアッシングを開始させ、その後ノズルをワークに向けて移動して上記倣いセンサによりノズルとワークとの間の距離を測定し、該測定値によりノズルのZ軸方向の位置を補正することを特徴としている。
【0021】
また、本発明の他の方法は、レーザビームによりワークのピアッシングを行い、ピアッシング中の加工部にアシストガスを吹き付けるレーザ加工方法において、上記加工部にブローガスを吹き付けることを特徴としている。
【0022】
また、上記ブローガスをレーザビームと交叉する方向から吹き付けたり、上記ブローガスをピアッシング開始後、所定時間経過後に吹き付けることとしたり、上記レーザ加工方法が、ノズルとワークとの間の距離を倣いセンサによりセンシングしてワークに対するノズルの位置を一定に保つ倣い制御が可能なレーザ加工方法の場合は、上記ピアッシング中に上記倣い制御をOFFにすることが望ましい。
【0023】
上記方法を実施するレーザ加工装置は、ノズルからワークにアシストガスを吹き付けながらレーザビームによりピアッシングを行うレーザ加工装置において、ワークにブローガスを吹き付けるブローノズルを設けたことを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に図面を用いて本発明の実施例を説明する。
図1は本発明の実施例の図である。同図において、10はトーチで、先端にノズル11が取り付けられている。トーチ10内にはレンズ12があり、レーザ発振器から射出されたレーザビーム13は、図示しない反射鏡によってトーチ10内のレンズ12により収束され、レーザビーム13と同軸に設けられたノズル11からワーク14に照射される。ノズル11はトーチ10に、たとえば、ネジで取り付けられており、レンズ12との距離、すなわち、レンズの焦点位置に対して所定の位置にセットできるようになっている。
【0025】
ワーク14は、レーザ加工装置の図示しないX−Yテーブル上に固定され、X,Y平面内を移動自在である。また、トーチ10は、Z軸方向に進退自在である。また、トーチ10の下端には、たとえば、静電容量式の、非接触式倣いセンサ15が設けられ、倣い可能範囲内で、ノズル11先端とワーク14との間の距離を計測でき、倣い制御によりこの距離を一定に保つことができる。
【0026】
トーチ10のレンズ12より下方には、アシストガス流入口16があり、図示しないガス供給源から酸素、窒素、空気のいずれかのガスが供給される。アシストガスは、ノズル11の先端の孔11aからレーザビーム13とほぼ平行に吹き出し、ワーク14の孔14a内に吹き込まれ、溶融金属の酸化反応を促進させ、酸化反応熱によってピアッシングの進行を促す。
【0027】
トーチ10の左側面には、サポート17が取り付けられ、ここにブローガス流入口18が形成されるとともに、ブローノズル19が取り付けられる。ブローガス流入口18には、図示しないガス供給源から、窒素又は空気からなるブローガスが供給される。ブローノズル19は、レーザビーム13と交叉する方向にブローガスを吹き出す。
【0028】
図2は、本発明のレーザ加工装置の制御系統のブロック図である。主制御部21はコンピュータからなり、レーザ加工装置全体を制御するところで、図示しないが、ワークの板厚やピアッシング開始位置、レーザ出力、成型品の形状といった加工条件を入力するキーボード等の入力装置を有する。この主制御部21には、レーザ制御部22、X−Y位置制御部23、Z軸管理部24が接続されている。
【0029】
レーザ制御部22は、レーザ発振器25のレーザ出力の増減や、ON,OFFを行い、さらに、アシストガス機器26を制御してアシストガスの開閉や圧力の調整等を行う。
【0030】
X−Y位置制御部23には、X軸アンプ27とY軸アンプ28とを介してサーボモータ29,30が接続され、各サーボモータ29,30にはエンコーダ31,32が設けられている。そして、このような構成によって、X−Yテーブル上のワーク14をX−Y平面の任意の位置に移動できると共に、移動した後の位置情報をX−Y位置制御部23を介して主制御部21に入力する。したがって、主制御部21に入力された成型品の形状に合わせてワークを自在に移動できることになる。
【0031】
Z軸管理部24は、Z軸アンプ33とZ位置制御部34を介してサーボモータ35とエンコーダ36に接続され、ノズル11をZ軸方向に自在に移動し、かつ、エンコーダ36からのノズル11の位置信号を主制御部21に入力する。Z軸管理部24には、倣い制御部37が接続され、倣い制御部37には倣いセンサ15が接続されている。この倣いセンサ15は、静電容量式で非接触式のものを用いている。
【0032】
つぎに、図3、図4により本発明の第1実施例の作用を説明する。図3はZ軸管理部24の動作を示すフローチャートで、図4は、図3の実施例におけるノズル11のZ軸高さと、時間の経過との関係を線図にしたものである。ピアッシングを開始するにあたり、従来は、ノズルをZ軸方向に移動して倣い可能範囲まで一旦下降し、再び上昇させてピアッシング開始位置を決定していたのを、この実施例では、より簡単な動作で行えるようにしたものである。
【0033】
フローチャートの開始に先だって、予めワークの板厚やピアッシング開始高さ、成型品の形状等の必要なデータを主制御部21に入力しておく。
ピアッシング開始の指示が主制御部21からZ軸管理部24にされると、Z軸管理部24は、Z軸アンプ33にサーボモータ35を駆動するよう指示を出す(101)。サーボモータ35が回転すると、ノズル11は下降を始めるが、下降量はエンコーダ36により逐一Z位置制御部34に入力される。Z軸管理部24はZ位置制御部34からの信号を監視して、ノズル11が計算上のピアッシング開始位置に達するのを待つ(103)。
【0034】
ノズルが計算上のピアッシング開始位置に達したら、前述した実施例と同様にピアッシングを開始する。そして、ピアッシングの進行に伴いノズル11を少しづつ下方に下げていく。この下降は、ノズル11の下降可能範囲の下端を限度とする(105)。
【0035】
ピアッシングの進行に伴いノズル11は下降を続け、やがて、ノズル先端とワーク加工面との間の距離が倣いセンサ15の倣い可能範囲に達する(107)。そこで、倣いセンサ15によりノズル先端からワーク加工面までの距離を正確に測定する。そして、それまで使用していた計算上のノズル位置との差を計算し、ノズル11のZ軸位置を補正する(109)。
【0036】
以上でノズル先端からワーク加工面までの距離がZ軸管理部24及び主制御部21に伝達されたので、主制御部21は、切断のための目標位置を決め、Z軸管理部24に指示をだし(111)、Z軸アンプ33、サーボモータ35、エンコーダ36及びZ位置制御部34により、ノズル11を切断位置に移動する(113)。このときピアッシングも終了する。
【0037】
ノズル11が切断位置に移動したら、倣い制御部37に指示し、倣い制御に切り替える(115)。これによって、ノズルはワーク加工面から一定の距離に保たれて、予め入力されている成型品の形状に合わせてワークの切断加工が行われることになる。
【0038】
以上のように、この実施例によれば、計算上で求めたピアッシング開始位置でピアッシングを開始し、その後、ノズル11を下げて倣い制御可能範囲に入ったところでノズル位置を補正している。したがって、ノズルを一旦倣い制御可能範囲まで下降してからピアッシング開始位置まで上昇させる手間が不用となり、ピアッシング時間を短縮することができる。
【0039】
また、ノズルを下降させる際の下限位置を、最下端、すなわちレーザ加工装置におけるノズルの下降限度位置にしているので、ワーク加工面が計算上の位置より低い場合に、ノズルが倣い可能範囲に進入できずに補正できなくなるといった事態を回避できる。ワーク加工面が計算上の位置より高い位置にある場合には、予定より早く倣い可能範囲に進入できることになる。
【0040】
また、上記の補正量を記憶しておくことにより、2回目のピアッシングにおけるノズル11位置を補正することができ、2回目以降の高さ制御の精度を上げることができる。
【0041】
なお、上記実施例では、前回の補正量を記憶しておいて、次回の補正に反映させることとしているが、複数回の補正量を記憶しておき、それらの平均値をその後の補正量としてもよい。
【0042】
次に図1及び図5を用いて本発明の第2実施例の説明をする。
まず、前述した実施例で説明したようにして、ノズル11先端とワーク14との距離H(図5(a))を倣い可能範囲hより広くとった位置でレーザビーム13をワークに照射し、ピアッシングを開始する。同時にアシストガスがノズル11から吹き付けられる。ワーク14のレーザビームが照射された加工部が溶融し溶融金属14bができ始める。アシストガスは溶融金属14b内に吹き込まれ、酸化反応を促進させ、孔14aが形成され始め、ピアッシングが開始される。次に、ブローノズル19からブローガス19aが孔14aに向けて吹き付けられる。
【0043】
ブローガスはレーザビームと交叉する方向に吹き付けられるので、孔14a周辺の溶融した金属が吹き飛ばされ、従来例に示した盛上部3が形成されないようにすることができる。また、ブローガスの吹き付け開始をアシストガスの吹き付け開始から任意の時間遅らせ、ブローガスによりアシストガスが遮断されないようにすることが望ましい。
【0044】
レーザビームの照射が続けられ、孔14aは図5(b)に示すように、段々深くなって、やがて図5(c)に示すように、ワークを貫通し、ブローガス19aは停止される。
【0045】
この後、ノズル11は主制御部21によりコントロールされ、倣い可能範囲内で、ワーク14との距離hを一定に保ちながらワークを切断していくことになる。このように、本発明によれば、盛上部3が形成されないので、ピアッシングが終了したら直ちに切断のための距離hやその他の加工条件に移行することができ、盛上部の切断不良を防止できるとともに、レーザ加工時間を短縮することができる。
【0046】
なお、上記実施例では、ブローノズル19を1個としたが、複数個設けてもよい。また、ピアッシング中にノズル11の高さHが徐々に下がり、最終的にhになるようにしているが、ピアッシング中の高さをHのまま一定に保ち、ピアッシング後にhまで下げるようにしてもよい。
【0047】
図6は本発明の第3実施例を示す図である。上記の実施例のように、ピアッシング中に倣い制御がONになっていると、倣いセンサ15が静電容量型非接触センサの場合には孔14aから飛散する溶融金属を検出することによって誤った間隔を出力し、その結果、ノズルとワークとの間隔が変化してピアッシングが不良となることがあった。
【0048】
そこで、本実施例では、図6に示すようなフローチャートにしたがって以下のように制御されるようにしている。
ノズル11が下降し(201)、ノズル11とワーク14との間隔(ピアッシング高さ)が所定の高さになると、倣い制御がOFFされる(203)。
【0049】
レーザビームが出力され、同時にアシストガスが開かれる(205)。そして、ワークの表面が溶融し始めるまでの指定された時間の経過を待って(207)ブローガスが開かれる(209)。
【0050】
ブローガスは、ピアッシングが終了するまで吹き付ければよく、ピアッシングに要する時間は、予め知ることが可能である。したがって、制御装置でブローガスの吹き付け開始から時間を測り、所定のブロー時間が経過したら(211)、ブローガスを閉じる(213)。
【0051】
以上でピアッシングは終了する。そこで、倣い制御をONにし(215)、ノズル11の高さを切断のための高さに保つようにし(217)、切断を開始する(219)。
【0052】
このようにピアッシング中は倣い制御をOFFにすることによって、ノズルとワーク加工面との距離を誤って測定するということが防止でき、ピアッシング不良を防止することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、倣い可能範囲外からピアッシングを開始するレーザ加工方法において、ノズル先端のZ軸位置とワークの厚さとからピアッシングを開始するノズルの計算上の位置を求め、該位置までノズルを移動してピアッシングを行い、ノズルをワークに近づけ、ノズルが倣い可能範囲内に進入した後ノズルとワークとの距離を倣いセンサで測定してノズル位置を補正するので、ピアッシングを短時間で行うことができる。
【0054】
上記補正量を記憶して、次回以降のピアッシングを開始するノズル位置を補正することとすれば、さらに時間を短縮できる。
上記ノズルの移動限度をノズルが移動可能な最下端までとすれば、ワーク加工面が計算より下方にあっても、スムーズに倣い制御に移行できる。
また、ピアッシング中の加工部にアシストガスとともにブローガスを吹き付けると、ピアッシング加工後に盛上部が形成されなくなり、ピアッシング加工が容易で、加工時間を短縮することができる。
【0055】
上記ブローガスをレーザビームと交叉する方向から吹き付ければ、効果的に盛上部の形成を防止できる。また、上記ブローガスをピアッシング開始後、所定時間経過後に吹き付けることとすれば、ブローガスによりアシストガスを吹き飛ばすことがない。
【0056】
また、上記レーザ加工方法が、倣い制御が可能な場合、上記ピアッシング中に上記倣い制御をOFFにすれば、ピアッシング中にノズル位置を誤り、ピアッシング不良となることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ加工装置の要部構成を示す要部断面図である。
【図2】本発明のレーザ加工装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施例を示すフローチャートである。
【図4】図3の実施例において、ノズル位置と時間の経過との関連を示す線図である。
【図5】本発明によるのピアッシング状態を示す図で、(a)は開始後間もない状態、(b)はピアッシング中、(c)はピアッシング完了状態を示す。
【図6】本発明の第3実施例を示すフローチャートである。
【図7】従来のレーザ加工方法を説明する要部断面図である。
【符号の説明】
11 ノズル
12 レンズ
13 レーザビーム
14 ワーク
14a 孔
15 倣いセンサ
19 ブローノズル
19a ブローガス
Claims (3)
- レーザビームを収束するレンズの焦点位置に対して所定の位置にノズルをセットし、該ノズルをワークから倣いセンサの測定範囲以上離反してピアッシングを開始するレーザ加工方法において、
上記ノズル先端のZ軸位置とワークの厚さとからピアッシングを開始する計算上のノズルの位置を求め、該位置までノズルを移動してピアッシングを行い、ノズルをワークに近づけ、ノズルが倣いセンサの測定範囲内に進入した後ノズルとワークとの距離を倣いセンサで測定してノズル位置を補正することを特徴とするレーザ加工方法。 - 上記補正量を記憶して、次回以降のピアッシングを開始するノズル位置を補正することを特徴とする請求項1記載のレーザ加工方法。
- 上記ノズルをワークに近づけるとき、ノズルの移動限度をノズルが移動可能な最下端としたことを特徴とする請求項1又は2記載のレーザ加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09646696A JP3722902B2 (ja) | 1996-04-18 | 1996-04-18 | レーザ加工方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09646696A JP3722902B2 (ja) | 1996-04-18 | 1996-04-18 | レーザ加工方法及び装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09277071A JPH09277071A (ja) | 1997-10-28 |
JP3722902B2 true JP3722902B2 (ja) | 2005-11-30 |
Family
ID=14165818
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09646696A Expired - Fee Related JP3722902B2 (ja) | 1996-04-18 | 1996-04-18 | レーザ加工方法及び装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3722902B2 (ja) |
Families Citing this family (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3500071B2 (ja) | 1998-07-23 | 2004-02-23 | 株式会社日平トヤマ | レーザ加工方法及びレーザ加工装置 |
JP3056723B1 (ja) * | 1999-01-04 | 2000-06-26 | ファナック株式会社 | レ―ザ加工装置 |
JP4656855B2 (ja) * | 2004-04-07 | 2011-03-23 | 株式会社アマダ | レーザ加工ヘッド |
GB2414954B (en) * | 2004-06-11 | 2008-02-06 | Exitech Ltd | Process and apparatus for ablation |
JP4988168B2 (ja) * | 2005-04-08 | 2012-08-01 | 三菱電機株式会社 | レーザ加工装置 |
JP2011079037A (ja) * | 2009-10-09 | 2011-04-21 | Amada Co Ltd | レーザ加工装置及び同装置を用いたレーザ加工状態監視方法 |
JP5601866B2 (ja) * | 2010-03-31 | 2014-10-08 | 小池酸素工業株式会社 | ピアシング方法及びピアシング装置 |
CN103056520A (zh) * | 2013-01-14 | 2013-04-24 | 温州大学 | 一种激光钻孔方法 |
CN106112274A (zh) * | 2016-07-29 | 2016-11-16 | 奔腾激光(温州)有限公司 | 一种激光切割工艺 |
US10926353B2 (en) | 2016-10-25 | 2021-02-23 | Prima Power Laserdyne, Llc | Dual gas pierce using coaxial and directional assist |
DE112018008088B4 (de) * | 2018-12-03 | 2022-07-14 | Mitsubishi Electric Corporation | Laserbearbeitungsvorrichtung und Laserbearbeitungsverfahren |
-
1996
- 1996-04-18 JP JP09646696A patent/JP3722902B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09277071A (ja) | 1997-10-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6870130B2 (en) | Laser machining method and apparatus therefor | |
JP3292021B2 (ja) | レーザ加工方法およびレーザ加工装置 | |
JP3722902B2 (ja) | レーザ加工方法及び装置 | |
JP4628129B2 (ja) | レーザ加工方法及び装置 | |
KR20170122254A (ko) | 레이저 가공을 위한 초기 거리 접근 방법 | |
JPH067973A (ja) | レーザ加工装置 | |
JP2008110389A (ja) | レーザ加工装置 | |
JP2011079016A (ja) | レーザ加工装置およびレーザ加工方法 | |
JP3944718B2 (ja) | 物品加工装置 | |
JPH03490A (ja) | 切断加工機の制御方法 | |
JPH09267187A (ja) | レーザ加工方法 | |
US20190134768A1 (en) | Method and apparatus for water jet cutting standoff height | |
JPH08206862A (ja) | レーザ加工方法およびレーザ加工装置 | |
JP2528509B2 (ja) | レ―ザ加工方法 | |
JP2684480B2 (ja) | レーザ加工装置 | |
JPH09308980A (ja) | レーザ切断加工機の倣い制御装置及びその方法 | |
JP2003285173A (ja) | レーザ加工機およびその制御装置ならびにレーザ加工機の制御方法 | |
JPH0813430B2 (ja) | レーザ加工装置 | |
JPS6277193A (ja) | レ−ザ加工ヘツド調整装置 | |
US11433485B2 (en) | Cutting processing machine and cutting processing method | |
JPH04138886A (ja) | レーザ加工機の制御装置 | |
JP2005081434A (ja) | 数値制御装置 | |
JPH11291070A (ja) | レーザー加工装置及び加工ヘッド駆動方法 | |
KR100492848B1 (ko) | 레이저 용접장치 및 그 제어방법 | |
JPH03110091A (ja) | レーザ光の焦点位置決め方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050412 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050527 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050906 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050914 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |