JP3722336B2 - 粉末成形用金型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンダーカット部を有する部品を粉末成形するための粉末成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉末材料を加圧して全周にアンダーカット部を有する部品を成形する従来の粉末成形用金型としては、例えば図9に示すものが存在する。この粉末成形用金型は、粉末材料が充填されるダイ孔1a,2aを有し、上下方向に分割されて所定間隔をおいて配置される下ダイス1及び上ダイス2と、この下ダイス1及び上ダイス2の対向する端面1b,2b間に挟むように配置されて水平方向において上記ダイ孔1a,2aに対し進退移動させられる第1カムダイスプレート3L及び第2カムダイスプレート3Rからなるカムダイス3と、このカムダイス3すなわち第1カムダイスプレート3L及び第2カムダイスプレート3Rをそれぞれ駆動する第1油圧シリンダ4L及び第2油圧シリンダ4Rからなる駆動機構4等を備えている。
【0003】
そして、粉末材料の加圧成形を行なう場合は、図9に示すように、第1及び第2油圧シリンダ4L,4Rを作動させて下ダイス1と上ダイス2とに挟まれた第1及び第2カムダイスプレート3L,3Rをダイ孔1a,2a内に向けて進出させ、それらの端部3La,3Rbを当接させた状態で粉末材料を供給し、上下パンチ(不図示)によりこの供給された粉末材料に所定の圧力を加えることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の粉末成形用金型においては、第1油圧シリンダ4Lの加圧力と第2油圧シリンダ4Rの加圧力との間に圧力差が生じると、第1及び第2カムダイスプレート4L,4Rのアンダーカット型部3Lb,3Rbの中心C2が下ダイス1及び上ダイス2のそれぞれのダイ孔1a,2bの中心線C1からずれることになる。従って、この状態で成形処理が行なわれると、成形品は、その環状をなすアンダーカット部の中心が柱状をなす本体の中心線からずれた不良品として得られることになる。
【0005】
このような不良品の発生を防止するには、第1及び第2カムダイスプレート3L,3Rを駆動する第1油圧シリンダ4L及び第2油圧シリンダ4Rの取り付け位置,作動圧力等を高精度に調節,コントロール等する必要があり、その結果製造コストの増加等を招くことになる。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、カムダイス3を駆動する駆動機構4の高精度なコントロール、あるいは、カムダイス3の先端位置の微妙な調節を行なうことなく、アンダーカット部の偏芯あるいはバリの発生を容易に防止することのできる成形用金型を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る粉末成形用金型は、請求項1に記載しているように、被成形体の輪郭の少なくとも一部を画定する成形空間を形成すると共に各々の端面が所定間隔をおいて対向するように配置される第1ダイス及び第2ダイスと、前記第1ダイス及び第2ダイスの対向する端面間に挟み込まれるように配置されかつ被成形体のアンダーカット部を画定する型部分が成形時に前記成形空間内の所定位置まで進出し非成形時に前記成形空間から後退するように前記端面に沿って往復動自在に配置された複数のカムダイス分割体からなるカムダイスと、前記複数のカムダイス分割体をそれぞれに駆動する駆動機構とを備え、前記第1ダイス及び第2ダイス並びにカムダイスを固定した状態で、前記成形空間に充填された被成形材料をパンチにより加圧してアンダーカット部を有する被成形体を成形する粉末成形用金型であって、前記第1ダイス及び第2ダイスの少なくとも一方に、前記カムダイスの前記所定位置までの進出動作で前記少なくとも一方のダイスとの当接により前記カムダイスが位置決めされる位置決め面を設けた、構成となっている。
【0008】
また、請求項2に記載しているように、請求項1に係る粉末成形用金型において、前記位置決め面を設ける領域に、被成形材料が逃げ込める凹部を設けた、構成となっている。
【0009】
また、請求項3に記載しているように、請求項1及び2に係る粉末成形用金型において、前記第2ダイスは、前記第1ダイスに対して上下方向下側に配置され、前記位置決め面は、前記カムダイス及び第2ダイスにおいて、前記カムダイスの往復動方向に垂直な面として形成され、前記カムダイスの位置決め面及び前記第2ダイスの位置決め面の少なくとも一方の下方領域に、被成形材料が逃げ込める凹部を設けた、構成となっている。
【0010】
また、請求項4に記載しているように、請求項1ないし3に係る粉末成形用金型において、前記第2ダイスは、前記第1ダイスに対して上下方向下側に配置され、前記位置決め面は、前記カムダイス及び第2ダイスにおいて、前記カムダイスの往復動方向に垂直な面として形成され、前記カムダイスの位置決め面及び前記第2ダイスの位置決め面の少なくとも一方に、被成形材料が逃げ込める複数の凹部を設けた、構成となっている。
【0011】
また、請求項5に記載しているように、請求項1ないし4に係る粉末成形用金型において、前記第2ダイスは、前記第1ダイスに対して上下方向下側に配置され、前記位置決め面は、前記カムダイス及び第2ダイスにおいて、前記カムダイスの往復動方向に垂直な面として形成され、前記カムダイスの位置決め面及び前記第2ダイスの位置決め面の少なくとも一方の下方領域に、被成形材料が逃げ込める第1凹部を設け、かつ、前記カムダイスの位置決め面及び前記第2ダイスの位置決め面の少なくとも一方に、被成形材料が逃げ込める複数の第2凹部を設け、前記第1凹部は、外部に連通する貫通孔として形成されており、前記第2凹部は、上下方向に伸長して前記第1凹部に連通する長尺溝として形成されている、構成となっている。
【0012】
さらに、請求項6に記載しているように、請求項1ないし5に係る粉末成形用金型において、前記カムダイスを形成する複数のカムダイス分割体は、前記位置決め面を境に、被成形体のアンダーカット部を画定する型部分が形成された先端側に比べて駆動力が付与される後端側が肉厚に形成された、構成となっている。
【0013】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る粉末成形用金型によれば、被成形体のアンダーカット部を画定する型部分をそれぞれ有するカムダイス(例えば、2分割構成の場合、第1カムダイス半体及び第2カムダイス半体)が成形時に成形空間の所定位置まで進出した際に当接により位置決めされる位置決め面を設けたことから、これら第1カムダイス半体及び第2カムダイス半体をそれぞれに駆動する駆動機構の駆動力を特に高精度に制御することなく、前進させて位置決め面同士を当接させるだけで、アンダーカット部を画定する型部分を成形空間内の所定位置に高精度に位置付けることができる。
【0014】
これにより、高精度の制御あるいは位置の微妙な調整を要することなく、アンダーカット部分がずれずに所望の位置に位置付けられた被成形体を成形することができ、又、カムダイスの合わせ面領域におけるバリの発生を抑制することができる。
【0015】
本発明の請求項2に係る粉末成形用金型によれば、カムダイスを位置決めする位置決め面を設ける領域に被成形材料が逃げ込める凹部を設けたことから、成形時にこの位置決め面領域に被成形材料が入り込んだ場合でも、この被成形材料を凹部に逃がすことで位置決め面内への被成形材料の噛み込みが防止され、位置決め面によりカムダイスを所定位置に確実に位置付けることができる。
【0016】
本発明の請求項3に係る粉末成形用金型によれば、カムダイスが上側にある第1ダイスと下側にある第2ダイスとにより上下方向から挟まれる状態で構成される場合において、カムダイスを所定位置に位置決めする位置決め面をカムダイス及び下側にある第2ダイスに上下方向に伸びる垂直面として形成し、これら位置決め面の少なくとも一方の下方領域に被成形材料が逃げ込める凹部を設けたことから、成形時にこの位置決め面領域に被成形材料が入り込んだ場合でも、この被成形材料を自らの重力により位置決め面に沿って下方に落下させ、下方領域に設けられた凹部に逃がすことができる。これにより、位置決め面への被成形材料の噛み込みが防止され、位置決め面によりカムダイスを所定位置に確実に位置付けることができる。
【0017】
本発明の請求項4に係る粉末成形用金型によれば、カムダイスが上側にある第1ダイスと下側にある第2ダイスとにより上下方向から挟まれる状態で構成される場合において、カムダイスを所定位置に位置決めする位置決め面をカムダイス及び下側にある第2ダイスに上下方向に伸びる垂直面として形成し、これら位置決め面の少なくとも一方に被成形材料が逃げ込める複数の凹部を設けたことから、成形時にこの位置決め面領域に被成形材料が入り込んだ場合でも、位置決め面に形成された複数の凹部に被成形材料を逃がすことができる。これにより、本来的に、位置決めの役割を受けもつ位置決め面への被成形材料の噛み込みが防止され、位置決め面によりカムダイスを所定位置に確実に位置付けることができる。
【0018】
本発明の請求項5に係る粉末成形用金型によれば、カムダイスが上側にある第1ダイスと下側にある第2ダイスとにより上下方向から挟まれる状態で構成される場合において、カムダイスを所定位置に位置決めする位置決め面をカムダイス及び下側にある第2ダイスに上下方向に伸びる垂直面として形成し、これら位置決め面の少なくとも一方の下方領域に被成形材料が逃げ込めると共に外部に連通する貫通孔をなす第1凹部を設け、さらに、位置決め面の少なくとも一方に被成形材料が逃げ込めると共に上下方向に伸長して第1凹部に連通する長尺溝をなす複数の第2凹部を設けたことから、成形時にこの位置決め面両領域に被成形材料が入り込んだ場合でも、この被成形材料を自らの重力により長尺溝をなす第2凹部に沿って容易に下方に落下させ、下方領域に設けられた貫通孔をなす第1凹部に逃がし、さらに、エアブロー等の手段を用いてこの第1凹部に溜った被成形材料を粉末成形用金型の外部に取り出すことができる。
【0019】
これにより、位置決め面への被成形材料の噛み込みがより一層防止され、位置決め面によりカムダイスを所定位置により一層確実に位置付けることができる。また、第1凹部に溜った被成形材料をエアブロー等を用いて定期的に取り除くことにより、長期に亘る連続成形が可能となる。
【0020】
本発明の請求項6に係る粉末成形用金型によれば、カムダイスを形成する複数のカムダイス分割体をそれぞれに駆動するための駆動機構による駆動力は、位置決め面よりも後端側すなわちカムダイス分割体の肉厚の部分だけで受け持つことになり、アンダーカット部を画定する型部分すなわち先端側の肉薄部分に押圧力が及ぶことはない。従って、被成形体のアンダーカット部例えば環状溝の溝幅寸法に応じて、カムダイス分割体の先端側をより薄くしても押圧力による変形等を生じることはなく、成形処理を連続して安定的に行なうことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る粉末成形用金型の一実施例を示すものであり、この粉末成形用金型は、被成形材料としての粉末材料を充填する円筒状のダイ孔10aを有する第1ダイスとしての上ダイス10と、同様に粉末材料を充填する円筒状のダイ孔20aを有する第2ダイスとしての下ダイス20と、これら上ダイス10の下側端面10bと下ダイス20の上側端面20bとの間に挟み込まれるように配置されて水平方向に往復移動させられるカムダイス分割体としての第1カムダイスプレート31及び第2カムダイスプレート32からなるカムダイス30等を備えている。
【0023】
上記上ダイスと下ダイス20とは、上下方向において相対的に移動可能となっており、成形時においては上下ダイス10,20をお互いに接近させて所定間隔を形成し、これら上下ダイス10,20の対向する下側端面10b及び上側端面20b間に第1及び第2カムダイスプレート31,32を挟み込むように配置される。また、上ダイス10のダイ孔10aと下ダイス20のダイ孔20aとは、被成形体の輪郭の少なくとも一部、すなわち円柱形状をなす被成形体の外周面を画定する成形空間を形成している。
【0024】
さらに、下ダイス20の上側端面20bは、ダイ孔20aを挟んで径方向外側が低くなった段差形状に形成されており、この段差部を境に背丈の高い上側端面20b´と背丈の低い上側端面20b´´との2段構成となっている。そして、この段差部は、上下方向に伸長すると共に第1及び第2カムダイスプレート31,32の往復動方向に直交する垂直な面、すなわち、第1及び第2カムダイスプレート31,32が当接して位置決めされる位置決め面20cを形成している。
【0025】
上記カムダイス30を構成する第1カムダイスプレート31と第2カムダイスプレート32とは、略矩形形状をなし、お互いに対向する先端面31a,32aの略中央部には、被成形体のアンダーカット部すなわち環状溝を画定する半円状の型部分31b,32bが形成されている。また、上ダイス10の下側端面10bと接する上面31c、32cは平坦に形成され、一方、下ダイス20の上側端面20bと接する下面31d,32dは、先端側が薄く後端側が厚くなるような段差形状に形成されており、この段差部を境に薄板部の下面31d´,32d´と厚板部の下面31d´´,32d´´とからなる2段構成となっている。そして、この段差部は、成形時に第1カムダイスプレート31及び第2カムダイスプレート32が成形空間すなわちダイ孔10a,20a内の所定位置まで進出した際に、下ダイス20の位置決め面20cに各々当接してそれ以上の進出を禁止するように位置決めする位置決め面31e,32eを形成している。
【0026】
さらに、第1カムダイスプレ−ト31と第2カムダイスプレート32との後端側には、連結部材41,42をそれぞれ介して、駆動機構としての第1カムダイスシリンダ51及び第2カムダイスシリンダ52が取り付けられており、この第1及び第2カムダイスシリンダ51,52の押圧作動により、第1及び第2カムダイスプレート31,32がそれぞれ前進させられて、その先端部領域がダイ孔10a,20a内に進出すると共に各々の位置決め面31e,32eが下ダイス20の位置決め面20cにそれぞれ当接して、それ以上の前進移動が制限されるようになっている。
【0027】
この際、位置決め面31e,32eが下ダイス20の位置決め面20cに当接するため、第1及び第2カムダイスプレート31,32の厚板の部分だけで第1及び第2カムダイスシリンダ51,52による押圧力を受け持つことになり、先端側の薄板の部分に押圧力が及ぶことはない。従って、被成形体のアンダーカット部すなわち環状溝の溝幅寸法に応じて、第1及び第2カムダイスプレート31,32の先端側をより薄くしても押圧力による変形等を生じることはない。
【0028】
また、第1及び第2カムダイスプレート31,32と下ダイス20との寸法関係については、得られる被成形体のアンダーカット部(環状溝)の偏芯及び第1及び第2カムダイスプレート31,32の先端面31a,32a間に発生する成形バリをできるだけ最小とするために、図2に示すように、下ダイス20のダイ孔20a中心線C1から下ダイス20の位置決め面20cまでの距離L1(mm)と、第1及び第2カムダイスプレート31,32の先端面31a,32aから第1及び第2カムダイスプレート31,32の位置決め面31e,32eまでの距離L2(mm)との関係が、次式(1)
L1=L2+0.01 …(1)
の条件を満たすように、設定するのが好ましい。また、第1及び第2カムダイスプレート31,32が成形時の所定位置に向けて前進させられた状態で、先端面31a,32a間の隙間が大き過ぎると、被成形体に生じる成形バリの幅が大きくなるため、上記寸法L1,L2の製造公差を0.005mm以内とするのが好ましい。
【0029】
また、上記第1及び第2カムダイスプレート31,32の位置決め面31e,32e及び下ダイス20の位置決め面20cの領域には、被成形材料としての粉末材料が逃げ込める凹部が設けられている。すなわち、図3に示すように、第1カムダイスプレート31の位置決め面31eの下側領域は、紙面に垂直な方向において両端まで貫通するように肉抜きされた凹部31hとして形成されており、又、下ダイス20の位置決め面20cの下側領域及び上側端面20b´´の一部は、同様に紙面に垂直な方向において両端まで貫通するように肉抜きされた凹部20hとして形成されている。上記凹部31h及び凹部20hは、第1カムダイスプレート31の位置決め面31eが下ダイス20の位置決め面に当接した状態で、外部に連通する貫通孔の形状をなすと共に粉末材料が逃げ込める第1凹部を形成している。
【0030】
また、第1カムダイスプレート31の位置決め面31e上には、上下方向に伸長して上記第1凹部20h,31hに連通する長尺溝31iが複数配列して形成されており、この複数の長尺溝31iは、粉末材料が逃げ込める第2凹部を形成している。
【0031】
上記凹部20h,31h及び長尺溝31iを設けたことにより、成形時にこれら位置決め面31e,20c領域に粉末材料が入り込んだ場合でも、この粉末材料を長尺溝31iを通して下方に位置する凹部20h,31h内に落下させることができ、又、凹部20h,31hは両端が開放した貫通孔を形成していることから、一端側からエアブロー等を用いて、この凹部20h,31h内に溜った粉末材料を取り除くことができる。
【0032】
尚、凹部20hの底面を開放両端側に向けて下り傾斜するような面に形成すれば、この凹部20h,31hに落下した粉末材料を外部に向けて自然に滑落させることができる。
【0033】
尚、図3においては、第1カムダイスプレート31と下ダイス20との関係のみを示したが、第2カムダイスプレート32と下ダイス20との関係も同様に構成されており、第2カムダイスプレート32には上述同様の凹部32h,長尺溝32i(共に不図示)、下ダイス20には上述同様の凹部20hが形成されている。
【0034】
上記構成においては、被成形材料としての粉末材料が逃げ込める凹部として、第1及び第2カムダイスプレート31,32の位置決め面31e,32eの下方領域に凹部31h,32h、又、下ダイス20の位置決め面20cの下方領域に凹部20h,さらに、第1及び第2カムダイスプレート31,32の位置決め面31e,32e上に凹部としての長尺溝31i,32iを設けたが、いずれか1つの凹部を設ける構成を採用することも可能である。
【0035】
次に本発明に係る粉末成形用金型を用いた成形処理手順について説明する。先ず、図4に示すように、下ダイス20のダイ孔20aに下側第1パンチ61及び下側第2パンチ62が挿嵌され、かつ、第1及び第2カムダイスプレート31,32が第1及び第2カムダイスシリンダ51,52により前進駆動されて各々の位置決め面31e,32eが下ダイス20の位置決め面20cにそれぞれ当接して位置決めされた状態で、上ダイス10の上側端面にフィーダ70を配置する。
【0036】
そして、上下ダイス10,20のダイ孔10a,20a等により画定される成形空間内に、粉末材料Mを充填する。この際、この成形空間内に突出した第1及び第1カムダイスプレート31,32の先端部の下側に粉末材料Mが十分回わり込むように、下側第1及び第2パンチ61,62に振動を加えつつ、オーバフィル状態に充填する。
【0037】
続いて、図5に示すように、フィーダ70を後退させて、上側第1パンチ71及び上側第2パンチ72を前進(降下)させて、上ダイス10のダイ孔10a内に挿嵌し、上下方向から圧力を加えて加圧成形を開始する。ここで、上側第1及び第2パンチ71,72と下側第1及び第2パンチ61,62とにより加圧する場合に、第1及び第2カムダイスプレート31,32の上下面に圧力差を生じないように、すなわち、上下方向において第1及び第2カムダイスプレート31,32を中心に圧力のニュートラルゾーンができるように加圧を行なう。
【0038】
また、この加圧時には約5ton/cm2の成形圧力が粉末材料に加わり、そのうちの数十パーセントの側圧が成形中の粉末材料を介して第1及び第2カムダイスプレート31,32の先端面31a,32a及び型部分31b,32bの端面に作用し、これら第1及び第2カムダイスプレート31,32をそれぞれ後退させようとする。この後退を許すと、先端面31a,32a間の隙間が大きくなって成形バリが発生すると共に、成形されるアンダーカット部すなわち環状溝の真円度が低下することになる。従って、第1及び第2カムダイスプレート31,32を駆動する第1及び第2カムダイスシリンダ51,52の駆動押圧力を上記加圧成形時の側圧に負けない程度に大きくする必要がある。
【0039】
そして、図6に示すような状態まで圧縮して所定の形状に成形されると、上側第1及び第2パンチ71,72及び下側第1及び第2パンチ61,62による加圧を終了し、図7に示すように、第1及び第2カムダイスシリンダ51,52を駆動させて、第1及び第2カムダイスプレート31,32を成形空間(ダイ孔10a,20a)から後退させる。
【0040】
その後、図8に示すように、上ダイス10を上方に向けて移動させると共に、被成形体M´を挟んだ状態で、下側第1及び第2パンチ61,62と上側第1及び第2パンチ71,72とを下ダイス20に対して相対的に上方に移動させて、下側第1及び第2パンチ61,62の上端面が、下ダイス20の上側端面20b´と面一になるか、あるいは、それ以上に突出したところで停止させる。続いて、上側第1及び第2パンチ71,72を若干上方に移動させた後、被成形体M´を金型から取り出す。
【0041】
以上のような手順によって粉末材料の成形を行なえば、アンダーカット部である環状溝が偏芯したりあるいは真円度が低下したりすることはなく、又、成形バリの発生も最小に抑えられた所望の被成形体M´を成形することができる。
【0042】
尚、上記加圧成形時において、第1及び第2カムダイスプレート31,32の後退を防止するために、公知の拘束手段を併せて採用することも可能である。
【0043】
以上述べた実施例においては、被成形材料として粉末材料を適用する場合について説明したが、本発明の粉末成形用金型はこれに限定されるものではなく、樹脂材料等の粘流動性の被成形材料を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る粉末成形用金型の一実施例を示すものであり、(a)は縦断面図、(b)は(a)中のE1−E1部における横断面図である。
【図2】 本発明に係る粉末成形用金型の一部拡大図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のE2−E2部における縦断面図である。
【図3】 本発明に係る粉末成形用金型の一部を構成する被成形材料逃がし用の凹部を示すものであり、(a)は縦断面図、(b)は(a)中のE3−E3部における横断面図である。
【図4】 本発明に係る粉末成形用金型を用いて成形処理を行なう場合の一工程図である。
【図5】 本発明に係る粉末成形用金型を用いて成形処理を行なう場合の一工程図である。
【図6】 本発明に係る粉末成形用金型を用いて成形処理を行なう場合の一工程図である。
【図7】 本発明に係る粉末成形用金型を用いて成形処理を行なう場合の一工程図である。
【図8】 本発明に係る粉末成形用金型を用いて成形処理を行なう場合の一工程図である。
【図9】 従来の粉末成形用金型を示すものであり、(a)は縦断面図、(b)は(a)中のE4−E4部における横断面図である。
【符号の説明】
10 上ダイス(第1ダイス)
10a ダイ孔(成形空間)
10b 下側端面
20 下ダイス(第2ダイス)
20a ダイ孔(成形空間)
20b,20b´,20b´´ 上側端面
20c 位置決め面
20h 凹部(第1凹部)
30 カムダイス
31 第1カムダイスプレート(カムダイス分割体)
31a 先端面
31b 型部分
31c 上面
31d,31d´,31d´´ 下面
31e 位置決め面
31h 凹部(第1凹部)
31i 長尺溝(第2凹部)
32 第2カムダイスプレート(カムダイス分割体)
32a 先端面
32b 型部分
32c 上面
32d,32d´,32d´´ 下面
32e 位置決め面
41,42 連結部材
51 第1カムダイスシリンダ(駆動機構)
52 第2カムダイスシリンダ(駆動機構)
61 下側第1パンチ
62 下側第2パンチ
70 フィーダ
71 上側第1パンチ
72 上側第2パンチ
Claims (6)
- 被成形体の輪郭の少なくとも一部を画定する成形空間を形成すると共に各々の端面が所定間隔をおいて対向するように配置される第1ダイス及び第2ダイスと、前記第1ダイス及び第2ダイスの対向する端面間に挟み込まれるように配置されかつ被成形体のアンダーカット部を画定する型部分が成形時に前記成形空間内の所定位置まで進出し非成形時に前記成形空間から後退するように前記端面に沿って往復動自在に配置された複数のカムダイス分割体からなるカムダイスと、前記複数のカムダイス分割体をそれぞれに駆動する駆動機構とを備え、前記第1ダイス及び第2ダイス並びにカムダイスを固定した状態で、前記成形空間に充填された被成形材料をパンチにより加圧してアンダーカット部を有する被成形体を成形する粉末成形用金型であって、
前記第1ダイス及び第2ダイスの少なくとも一方に、前記カムダイスの前記所定位置までの進出動作で前記少なくとも一方のダイスとの当接により前記カムダイスが位置決めされる位置決め面を設けた、
ことを特徴とする粉末成形用金型。 - 前記位置決め面を設ける領域に、被成形材料が逃げ込める凹部を設けた、ことを特徴とする請求項1記載の粉末成形用金型。
- 前記第2ダイスは、前記第1ダイスに対して上下方向下側に配置され、
前記位置決め面は、前記カムダイス及び第2ダイスにおいて、前記カムダイスの往復動方向に垂直な面として形成され、
前記カムダイスの位置決め面及び前記第2ダイスの位置決め面の少なくとも一方の下方領域に、被成形材料が逃げ込める凹部を設けた、ことを特徴とする請求項1又は2記載の粉末成形用金型。 - 前記第2ダイスは、前記第1ダイスに対して上下方向下側に配置され、
前記位置決め面は、前記カムダイス及び第2ダイスにおいて、前記カムダイス
の往復動方向に垂直な面として形成され、
前記カムダイスの位置決め面及び前記第2ダイスの位置決め面の少なくとも一方に、被成形材料が逃げ込める複数の凹部を設けた、ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つに記載の粉末成形用金型。 - 前記第2ダイスは、前記第1ダイスに対して上下方向下側に配置され、
前記位置決め面は、前記カムダイス及び第2ダイスにおいて、前記カムダイスの往復動方向に垂直な面として形成され、
前記カムダイスの位置決め面及び前記第2ダイスの位置決め面の少なくとも一方の下方領域に、被成形材料が逃げ込める第1凹部を設け、かつ、前記カムダイスの位置決め面及び前記第2ダイスの位置決め面の少なくとも一方に、被成形材料が逃げ込める複数の第2凹部を設け、
前記第1凹部は、外部に連通する貫通孔として形成されており、前記第2凹部は、上下方向に伸長して前記第1凹部に連通する長尺溝として形成されている、ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか1つに記載の粉末成形用金型。 - 前記カムダイスを形成する複数のカムダイス分割体は、前記位置決め面を境に、被成形体のアンダーカット部を画定する型部分が形成された先端側に比べて駆動力が付与される後端側が肉厚に形成されている、ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか1つに記載の粉末成形用金型。
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