JP3722210B2 - インクジェット印刷用紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特にインクジェットプリンターにより印刷しても変形が著しく少なく、寸法安定性に優れ、高い発色濃度、光沢感、鮮明な色相を持つ記録状態を提供するインクジェット印刷用紙に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
最近、インクジェットプリンターが低コスト化し、各種の印刷用に広く使用されている。これらのプリンターによる印刷物に優れた鮮明度、光沢感等を付与するために、いわゆる専用紙が市販されている。インクジェットプリンターの場合、専用紙は紙の表面に平滑なインク受容層を形成したもので、インクが滲まずに綺麗に発色するようになっている。このためにはインク受容層を支持する紙製基材は十分な吸湿性を有するが、紙の一般的性質として吸湿すると延びて波打ちや凸凹等を起こすので、紙を比較的厚手とする必要がある。
【0003】
しかしながら、印刷用紙を厚くすると用紙がかさばるのみならず、用紙コストが上昇する。その上、重ねた場合、密着し易く、重送され易いという問題もある。このような問題を解決するために、紙に樹脂を含浸させることも考えられるが、吸湿性と耐伸縮性とを併せ持つ樹脂はなく、例えばエポキシ樹脂等の含浸では耐伸縮性に優れているが吸湿性が消失し、またポリビニルアルコール等の吸水ポリマーの含浸では吸湿性に優れているが耐伸縮性が向上しない。また紙以外の繊維(例えばガラス繊維)を添加することも考えられるが、紙に特有の優れた印刷性が劣化するおそれがある。
【0004】
また、特開2000−52641号公報には、特定のシランの加水分解物で処理された低伸縮性印刷用紙が提案されているが、これは処理すると伸縮性は改善されるが、このものの処理だけでは印刷品質をも向上させることは困難であり、その上に他の樹脂でコーティングをしなければならないという問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、インクジェットプリンターのように水性インキを用いた場合でも、伸縮や変形が著しく低減され、なおかつ印字品質も良好なインクジェット印刷用紙を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
上記目的に鑑み鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、シラノール基含有シリコーン樹脂とラジカル重合性ビニルモノマーとを含有する混合物を乳化重合して得られた実質的に有機溶剤を含まないシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物により印刷用紙のセルロース繊維を少なくとも部分的に被覆することにより、インクジェットプリンターによる印刷に使用しても伸縮や変形が著しく低減され、更に高い発色濃度、光沢感、鮮明な色相を持つことを知見し、本発明をなすに至った。
【0007】
即ち、本発明は、
(1)(a−1)下記平均組成式
1 m2 nSi(OH)p(OX)q(4-m-n-p-q)/2
(但し、R1は炭素数1〜10の一価炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜10の置換された一価炭化水素基を表し、Xは炭素数1〜6の一価炭化水素基を表す。m、n、p、qは、0.5≦m≦1.8、0≦n≦1.0、0<p≦1.5、0≦q≦0.5、0.5≦m+n≦1.8、0<p+q≦1.5、0.5<m+n+p+q<3の範囲を満たす正数を表す。)
で表され、単独では水に溶解しないシラノール基含有シリコーン樹脂 100重量部、
及び
(2)ラジカル重合性ビニルモノマー 100〜100,000重量部
を含有する混合物を乳化重合して得られた、上記(1)成分と(2)成分の合計に対して有機溶剤量が5重量%以下である実質的に有機溶剤を含まないシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物中で抄紙するか、前記エマルジョン組成物を印刷用紙に塗布又は含浸することにより、前記エマルジョン組成物の固形物によりセルロース繊維が少なくとも部分的に被覆されていることを特徴とするインクジェット印刷用紙を提供する。
【0008】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
[1]シリコーン樹脂含有エマルジョン組成物
本発明において、このエマルジョン組成物は、シラノール基含有シリコーン樹脂及び/又はラジカル重合性ビニル基含有アルコキシシランとラジカル重合性ビニルモノマーのみからなる混合液を乳化重合することにより、実質的に有機溶剤を含まず、エマルジョンの同一粒子中に縮合型のシリコーン樹脂或いはシランとビニル樹脂とを含有しているものである。
【0009】
このシリコーン樹脂含有エマルジョンは、上述したように、(1)下記平均組成式(a−1)
1 m2 nSi(OH)p(OX)q(4-m-n-p-q)/2
(但し、R1は炭素数1〜10の一価炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜10の置換された一価炭化水素基を表し、Xは炭素数1〜6の一価炭化水素基を表す。m、n、p、qは、0.5≦m≦1.8、0≦n≦1.0、0<p≦1.5、0≦q≦0.5、0.5≦m+n≦1.8、0<p+q≦1.5、0.5<m+n+p+q<3の範囲を満たす正数を表す。)
で表される水に不溶性のシラノール基含有シリコーン樹脂及び/又は下記一般式(a−2)
CH2=CR34 bSiR5 a(OX)3-a
(但し、R3は水素原子又はメチル基を表し、R4は炭素数1〜10の酸素原子、−COO−基などが介在してもよい二価炭化水素基を表し、R5は炭素数1〜8の置換又は非置換の一価炭化水素基、Xは上記と同様、aは0又は1であり、bは0又は1である。)
で表されるラジカル重合性ビニル基含有アルコキシシランと、(2)ラジカル重合性ビニルモノマーとの混合物を乳化重合して得られるものである。
【0010】
ここで、上記一般式(a−1)中、R1は炭素数1〜10の一価炭化水素基を表し、特には脂肪族不飽和結合を有さないもので、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基などを具体例として示すことができる。この中でも、メチル基、プロピル基、ヘキシル基、フェニル基が好ましい。
【0011】
2は炭素数1〜10の置換された一価炭化水素基を表す。置換基としては、(1)フッ素、塩素などのハロゲン原子、(2)ビニル基などのアルケニル基、(3)グリシジロキシ基、エポキシシクロヘキシル基などのエポキシ官能基、(4)メタクリル基、アクリル基などの(メタ)アクリル官能基、(5)アミノ基、アミノエチル基、フェニルアミノ基、ジブチルアミノ基などのアミノ官能基、(6)メルカプト基、テトラスルフィド基などの含硫黄官能基、(7)(ポリオキシアルキレン)アルキルエーテル基、(8)カルボキシル基、スルフォニル基などのアニオン性基、(9)第4級アンモニウム塩構造含有基などが適用可能である。また、この置換された一価炭化水素基の具体例としては、トリフルオロプロピル基、パーフルオロブチルエーテル基、パーフルオロオクチルエチル基、3−クロロプロピル基、2−(クロロメチルフェニル)エチル基、ビニル基、5−ヘキセニル基、9−デセニル基、3−グリシジロキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、5,6−エポキシヘキシル基、9,10−エポキシデシル基、3−(メタ)アクリロキシプロピル基、(メタ)アクリロキシメチル基、11−(メタ)アクリロキシウンデシル基、3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−(N−フェニルアミノ)プロピル基、3−ジブチルアミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチル基、ポリオキシエチレンオキシプロピル基、3−ヒドロキシカルボニルプロピル基、3−トリブチルアンモニウムプロピル基などを挙げることができる。
【0012】
紙との密着性を向上させる場合には、エポキシ、アミノ官能性基などを適用するのがよい。ビニル重合体との緊密なブロック化を目指す場合、ラジカル共重合が可能な(メタ)アクリル官能性基、或いは連鎖移動剤としての機能を有するメルカプト官能性基を使用するのが好ましい。また、ビニル重合体とシロキサン結合以外の結合で架橋を試みる場合、ビニル重合体中に含有される有機官能基と反応可能な官能基を導入しておけばよく、例えばエポキシ基(ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基などとの反応)、アミノ基(エポキシ基、酸無水物基などとの反応)などを挙げることができる。
【0013】
OX基は加水分解性基を表し、Xは炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、アリール基などの一価炭化水素基を表す。加水分解性基OXの具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、イソプロペノキシ基、フェノキシ基などを挙げることができる。加水分解・縮合反応性、エマルジョン中での安定性から、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基を用いるのがよい。
【0014】
m、n、p、qは、各々0.5≦m≦1.8、0≦n≦1.0、0<p≦1.5、0≦q≦0.5、0.5≦m+n≦1.8、0<p+q≦1.5、0.5<m+n+p+q<3の範囲を満たす正数を表す。mが0.5未満では、無官能有機基R1の含有率が低くなりすぎて、紙との密着性が弱くなる。また、mが1.8を超過すると、鎖状単位が多くなり、安定性が悪くなる。より好ましくは、mが0.6以上1.5以下の範囲を満たすのがよい。nが1.0を超えると、R2の含有率が多くなり、紙との密着性も低下する。前述した有機官能基R2による機能の付与が不要ならば、この有機官能基R2は含有されていなくてもよい。また、設定されているm+nの最適範囲も、mの説明理由と同様である。シラノール基は必須成分であるが、シラノール基の含有率を表すpが1.5を超えると、シリコーン樹脂が不安定となる。保存安定性が良好で、同時に高い紙との密着性も確保するためには、pのより好ましい範囲は0.05〜0.8であり、更に好ましくは0.2〜0.7の範囲を満たしているのがよい。シラノール基以外に架橋可能な加水分解性基OXが存在してもよいが、その存在量qは0.5以下でなければならない。この範囲を超えると、水中で加水分解し易く、系内に有機溶剤であるアルコールが副生する。また、架橋可能な置換基の総数を表す(p+q)は、0<p+q≦1.5の範囲を満たしている必要があり、0であっては硬化せず、1.5を超えると分子が小さくなり、水溶性となってしまう。
【0015】
本発明に適用可能なシリコーン樹脂は、上記条件を満たしていると同時に、シラノール基を含有し、単独では水に溶解しないことが必要である。水に溶解すると乳化重合時、粒子中に完全には取り込まれないため、好ましくない。従って上記条件を満たしていれば、シリコーン樹脂はいかなる方法で製造してもよいが、加水分解性シラン化合物を水中で単純に加水分解するだけでは不十分である。具体的な製造方法を以下に述べる。
【0016】
製造するための原料として、加水分解性基の種類がクロル或いはアルコキシ基が好ましく、加水分解性基を1個、2個、3個又は4個含有し、上記条件を満たす有機置換基を有するシラン化合物であればいかなるものも使用可能である。具体的には、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジクロルシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、5−ヘキセニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、4−ビニルフェニルトリメトキシシラン、3−(4−ビニルフェニル)プロピルトリメトキシシラン、4−ビニルフェニルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどの所謂シランカップリング剤以外に、テトラクロルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルイソプロペノキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリクロルシラン、ブチルトリクロルシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリクロルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリクロルシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリクロルシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、プロピルメチルジクロルシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ヘキシルメチルジクロルシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルフェニルクロルシラン、及びこれらの部分加水分解物などが使用可能なシラン化合物として挙げられる。操作性、副生物の溜去のし易さから、メトキシシラン或いはエトキシシランを使用するのがより好ましい。使用可能な有機ケイ素化合物はこれに限定されるものではない。これらのシラン化合物の1種又は2種以上の混合物を使用してもよい。
【0017】
上記加水分解性シラン化合物を加水分解して、本発明に使用可能なシリコーン樹脂を得る方法としては、以下の2方法がある。第1の方法は、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、オクタンなどの炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系化合物、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル系化合物、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノールなどのアルコール類から選ばれる有機溶剤中で加水分解する方法である。この方法の場合、できあがった単独では水に溶解しないシリコーン樹脂から、有害な有機溶剤を常圧或いは減圧下で除く必要がある。単純に有機溶剤を除去し、粘稠な液体としても固体化してもよいし、或いは次工程で使用する高沸点のラジカル重合性ビニルモノマーを添加し、その共存下に低沸点の有機溶剤を溜去して、有機溶剤を含まない溶液として取り出してもよい。第2の方法は、水中でクロルシラン以外の加水分解性シラン化合物を加水分解する方法である。有機溶剤を除去するためと同時に水に溶解しないレベルまでシリコーン樹脂を成長させるために、加水分解した後、常圧或いは減圧下、加熱して水と共に有機溶剤を溜去する。そうすることにより、有機溶剤を含有せず、水に不溶で、水中に分散或いは水中から分離・沈降した、シラノール基を多量に含有するシリコーン樹脂が得られる。このシリコーン樹脂を水中から分離した後、ラジカル重合性ビニルモノマーを添加し、その溶液としてもよいし、或いは、シリコーン樹脂を含有する水溶液にラジカル重合性ビニルモノマーを添加し、シリコーン樹脂を含有するビニルモノマー溶液として分離してもよい。
【0018】
加水分解を実施するに際し、加水分解触媒を使用してもよい。加水分解触媒としては、従来公知の触媒を使用することができ、その水溶液がpH2〜7の酸性を示すものを使用するのがよい。特に酸性のハロゲン化水素、カルボン酸、スルホン酸、酸性或いは弱酸性の無機塩、イオン交換樹脂などの固体酸などが好ましい。例としてはフッ化水素、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、マレイン酸に代表される有機カルボン酸、メチルスルホン酸、表面にスルホン酸基又はカルボン酸基を有するカチオン交換樹脂などが挙げられる。加水分解触媒の量はケイ素原子上の加水分解性基1モルに対して0.001〜10モル%の範囲内であることが好ましい。
【0019】
なお、上記シリコーン樹脂の数平均分子量は、500〜100,000、特に1,000〜200,000であることが好ましい。
【0020】
一方、(a−2)成分は、下記一般式
CH2=CR34 bSiR5 a(OX)3-a
で表されるラジカル重合性ビニル基含有アルコキシシランである。
【0021】
ここで、R3は水素原子又はメチル基を表し、R4は炭素数1〜10、特に1〜6の酸素原子、−COO−基などが介在してもよいアルキレン基、アリーレン基、アルキルアリーレン基等の二価炭化水素基を表し、R5は炭素数1〜8の置換又は非置換の一価炭化水素基、Xは(a−1)と同様であり、aは0又は1であり、bは0又は1である。なお、非置換の一価炭化水素基としては、R1と同様であり、置換一価炭化水素基としては、R2と同様である。
【0022】
具体的にはビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、5−ヘキセニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、4−ビニルフェニルトリメトキシシラン、3−(4−ビニルフェニル)プロピルトリメトキシシラン、4−ビニルフェニルメチルトリメトキシシランなどが挙げられる。使用可能なラジカル重合性ビニル基含有アルコキシシランはこれに限定されるものではない。これらのラジカル重合性ビニル基含有アルコキシシランの1種又は2種以上の混合物を使用してもよい。
【0023】
次に、第2成分である(2)ラジカル重合性ビニルモノマーについて述べる。ラジカル重合性ビニルモノマーとしては、ラジカル重合が可能なものであれば、以下に示す従来公知のものを適用できる。(b−1)アクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル又はシクロヘキシルエステルなどのアルキル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(b−2)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基又はその無水物含有ビニルモノマー、(b−3)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有ビニルモノマー、(b−4)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有ビニルモノマー、(b−5)ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有ビニルモノマー、(b−6)メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシ基含有ビニルモノマー、(b−7)グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテルなどのグリシジル基含有ビニルモノマー、(b−8)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー、(b−9)スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニルモノマー、(b−10)(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニルモノマー、(b−11)塩化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニルモノマー、(b−12)ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの1分子中にラジカル重合性不飽和基を2個以上含有するビニルモノマー、(b−13)エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシエチレン鎖含有ビニルモノマー、(b−14)片末端に(メタ)アクリロキシプロピル基を含有するジメチルポリシロキサン、片末端にスチリル基或いはα−メチルスチリル基を含有するジメチルポリシロキサンなどの片末端にラジカル重合性官能基を有し、シロキサン単位が1〜200個のジオルガノポリシロキサン等を具体例として例示することができ、これらの1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0024】
これらの中で、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は1〜100モル%であることが好ましい。1モル%未満の含有量では光沢性、高光学濃度などの特性が得られない場合がある。更に好ましくは30〜99モル%の範囲を満たすのが好ましい。更に、光沢性、高光学濃度の特性を強化する場合には、架橋可能な官能基を含有するラジカル重合性ビニルモノマーを共重合させるのがよく、特にカルボン酸/エポキシ基の開環反応による架橋が期待できるエポキシ官能基を有する(b−7)に分類されるグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテルなどのグリシジル基含有ビニルモノマーが好適である。
【0025】
なお、表面に僅かな撥水性を付与したい場合には、(b−14)に例示されている片末端にラジカル重合性官能基を含有するジオルガノポリシロキサンを共重合するのがよい。
【0026】
また、第1成分の(a−1)及び/又は(a−2)成分100重量部に対して、第2成分のラジカル重合性ビニルモノマーは100〜100,000重量部の範囲で使用するのが好ましい。100重量部未満では、吸湿性が不十分となる。100,000重量部を超過すると、寸法安定性が不足する。更に好ましくは、このラジカル重合性ビニルモノマーを500〜10,000重量部の範囲で使用するのがよい。
【0027】
本発明のエマルジョン組成物は、シリコーン樹脂及び/又はラジカル重合性ビニル基含有アルコキシシランとラジカル重合性ビニルモノマーの乳化重合物からなるものであるが、本発明のエマルジョン組成物は実質的に有機溶剤を含有しないものである。この場合、有機溶剤には、従来公知の溶剤類は全て含まれ、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、フェノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、乳酸エチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル酢酸エステルなどのエチレングリコール誘導体、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコール誘導体、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミドなどを具体的に例示することができるが、これらの溶剤は、環境汚染を引き起こしたり、人体に有害であったり、エマルジョンの安定性を損ったり、塗布後均一な被膜の形成に支障をきたすため、これらの溶剤は本質的には含有されないのが好ましい。
【0028】
しかしながら、前述したように、(シリコーン樹脂+アクリル樹脂)の複合エマルジョンにおいて、これまで知られていた方法では実質的に溶剤を含有しないエマルジョンの形成は不可能であった。その原因は、分子末端に反応活性に富むシラノール基を含有するシリコーン樹脂が、低分子量体では水中に可溶であるが、有機溶剤が存在しないと不安定で著しく経時変化したり、逆に高分子量体ではかなり安定になるが、水に不溶となり、しかも有機溶剤が存在しないと固形化する傾向にあり、エマルジョン化が難しくなるためである。そのため、前述したように有機溶剤を併用したり、アルコキシシラン化合物或いはその部分加水分解物を原料として使用しているのがこれまでの例である。本発明では、乳化重合を実施する以前に、単独では水に不溶なレベルまで重縮合させたシリコーン樹脂の溶液から、加水分解性シラン化合物を加水分解する際に副生するアルコールなどを含めた有機溶剤を可能な限り除去し、更にラジカル重合性ビニルモノマーの溶液に変換したものを乳化重合に供することにより、実質的に有機溶剤を含有しないエマルジョンが得られる。従って、本発明のエマルジョン中には、除去不可能な微量の有機溶剤が含有される可能性があるが、有機溶剤量は、上記問題点を回避するためには、第1成分と第2成分の合計に対して5重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2重量%以下である。
【0029】
本発明のエマルジョン組成物は、上記非水溶性のシラノール基含有シリコーン樹脂及び/又はラジカル重合性ビニル基含有アルコキシシランとラジカル重合性ビニルモノマーとを主成分として含有し、有機溶剤量が上記量であるような実質的に有機溶剤を含まない溶液を乳化重合することによって製造することができる。
【0030】
この場合、乳化重合にあたって界面活性剤が用いられるが、界面活性剤としては、従来公知のノニオン系、カチオン系、アニオン系の各種界面活性剤、及びラジカル重合可能な官能基を含有する反応性乳化剤が適用可能である。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルアンモニウムクロライドなどのカチオン系界面活性剤、アルキル又はアルキルアリル硫酸塩、アルキル又はアルキルアリルスルフォン酸塩、ジアルキルスルフォコハク酸塩などのアニオン系界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型などの両性イオン型界面活性剤、特開平8−27347号公報中に記載されている分子中にスルフォン酸塩、ポリオキシエチレン鎖、第4級アンモニウム塩などの親水性基を含有するラジカル重合可能な(メタ)アクリレート、スチレン、マレイン酸エステル化合物などの誘導体を含む各種反応性界面活性剤を挙げることができる。このような界面活性剤を例示すると、下記の通りである。
【0031】
【化1】
Figure 0003722210
【0032】
【化2】
Figure 0003722210
【0033】
【化3】
Figure 0003722210
【0034】
これらの界面活性剤は1種を単独で又は2種以上を併用して使用してもよい。界面活性剤は、上記第1成分(a)及び第2成分(b)(有効成分)の合計量に対し0.5〜15重量%使用するのが好ましく、特には1〜10重量%使用するのがよい。
【0035】
上記乳化重合には、ラジカル重合開始剤が使用されるが、ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素水、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキシド、2,2’−アゾビス−[2−N−ベンジルアミジノ]プロパン塩酸塩等の水溶性タイプ、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、アゾイソブチロニトリル等の油溶性タイプ、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等の還元剤を併用したレドックス系などを使用することができる。この重合開始剤の使用量は、ラジカル重合性ビニルモノマーに対して、0.1〜10重量%使用すればよく、好ましくは0.5〜5重量%使用するのがよい。
【0036】
次に、本発明のエマルジョンの製造方法について更に具体的に述べると、好適な方法としては、(a−1)を用いる場合以下の2方法に大別される。第1の方法は第1の工程でシラノール基を含有する単独では水不溶性のシリコーン樹脂溶液から有機溶剤を溜去し、実質的に有効成分のみにし、第2の工程で有機溶剤を除去したシリコーン樹脂をラジカル重合可能なビニルモノマー化合物に添加・溶解することによりその溶液とし、第3の工程で界面活性剤を使用して第2の工程で調製したシリコーン樹脂含有ビニルモノマー溶液及び/又はラジカル重合性ビニル基含有アルコキシシランを乳化重合してエマルジョンとする方法である。溶剤を溜去する工程では、活性の高いシラノール基を温存するため、できるかぎり低温で除去するのがよい。従って、この方法は、一度有機溶剤を分離するため、比較的シラノール基含有量の少ない安定性に優れるシリコーン樹脂に適している。必要に応じて、比較的高沸点のラジカル重合性ビニルモノマーを共存させた状態で有機溶剤を溜去する、ラジカル重合性ビニルモノマーを溶剤の代わりとする所謂溶剤置換法を採用してもよい。乳化重合する方法としては、一括して乳化した後、重合する一括仕込法、ラジカル重合性ビニルモノマー含有溶液或いはその乳化液を連続追加しながら重合する単量体添加法など従来公知の種々の方法が適用可能である。また、乳化液の一部を予め重合した後、残りの乳化液を追加しながら重合するシード重合法、更にはコアとシェルのモノマー組成を変えたコア/シェル重合法も適用できる。
【0037】
ラジカル重合性ビニルモノマー含有溶液の乳化液は、ラジカル重合性ビニルモノマー含有溶液を界面活性剤水溶液に添加し、ホモミキサー或いは高圧ホモジナイザーを使用して乳化することが好ましい。乳化重合は10〜90℃、好ましくは30〜80℃の温度で3〜8時間で完結する。
【0038】
第2の方法は、第1の工程で加水分解性シラン化合物を水中で加水分解し、更に縮合重合させ、分子末端にシラノール基を含有する上記式(a−1)のシリコーン樹脂を含む反応混合物を得、第2の工程でこの反応混合物から加水分解により副生したアルコール等の有機溶剤、その他の加水分解副生物を溜去し、式(a−1)のシラノール基含有シリコーン樹脂成分と水のみとし、ここに第3の工程でラジカル重合可能なビニルモノマー化合物を添加し、水系に分散或いは不溶な状態で存在するシリコーン樹脂をビニルモノマー化合物中に溶解させ、シリコーン樹脂を含有するラジカル重合性ビニルモノマー溶液として水層から分離し、更に第4の工程で界面活性剤を使用して、第3の工程で調製したシリコーン樹脂含有ラジカル重合性ビニルモノマー溶液を乳化重合する方法である。この方法では、工程の途中でシリコーン樹脂単独で存在する状態がないため、反応活性に富むシラノール基の縮合を抑制することが可能である。従って、この方法は、シラノール基を豊富に含有するが、水に不溶なシリコーン樹脂の場合に適している。また、この水中で加水分解・縮合させたシリコーン樹脂は、有機溶剤中で調製した同一組成のシリコーン樹脂と比較して、より耐水性を与え、硬化性にも優れるため、好ましい方法である。
【0039】
成分(a−2)を使用する場合は、第1の工程でラジカル重合性ビニル基含有アルコキシシランをラジカル重合可能なビニルモノマー化合物に添加・溶解することによりその溶液とし、第2の工程で界面活性剤を使用して第1の工程で調製した溶液を乳化重合してエマルジョンとする方法である。この場合も溶剤を溜去する工程ではできるかぎり低温で除去するのがよい。必要に応じて、比較的高沸点のラジカル重合性ビニルモノマーを共存させた状態で有機溶剤を溜去する、ラジカル重合性ビニルモノマーを溶剤の代わりとする所謂溶剤置換法を採用してもよい。乳化重合する方法としては、一括して乳化した後、重合する一括仕込法、ラジカル重合性ビニルモノマー含有溶液或いはその乳化液を連続追加しながら重合する単量体添加法など従来公知の種々の方法が適用可能である。また、乳化液の一部を予め重合した後、残りの乳化液を追加しながら重合するシード重合法、更にはコアとシェルのモノマー組成を変えたコア/シェル重合法も適用できる。
【0040】
[2]印刷用紙
印刷用紙としては通常のコピー用紙を使用することができ、その坪量は50〜130g/cm2程度、例えば52.3〜129g/cm2でよい。印刷用紙に本発明のエマルジョン液を塗布又は含浸した後で、必要に応じて公知の表面処理を行ってもよい。
【0041】
[3]エマルジョン液によるセルロース繊維の被覆
(1)塗布法
(A)塗布液の調製
上記方法により得られた水性エマルジョン液に必要に応じて水を添加することにより濃度調整し、かつ必要に応じて増粘剤を添加することにより粘度調整する。また、エマルジョン液の粘度及び安定性等に影響を与えない範囲で、白土、サチンホワイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン等を添加してもよい。また、印刷用紙に吸水性及び柔軟性を付与するために、ポリビニルアルコール等の吸水性ポリマーを添加してもよい。
(B)塗布
エマルジョン液の塗布は、抄紙工程の後、例えばサイジング工程で行ってもよいし、乾燥後に行ってもよい。塗布の場合にはエマルジョン液の濃度は比較的高くするのが好ましく、例えば10〜67重量%程度とするのが好ましい。エマルジョン液の塗布量は、固形分基準で0.01〜20g/m2とするのが好ましい。エマルジョン液の塗布は印刷用紙の片面又は両面に対して各種の塗工機、例えばブラシコータ、エアーナイフコータ、ロール・コータ等を用いて行い、トンネルドライヤー等を通過させることにより乾燥させるのが好ましい。
【0042】
(2)含浸法
(A)含浸液の調製
含浸法の場合、エマルジョン液の濃度は比較的低くするのが好ましく、例えば1〜10重量%程度とするのが好ましい。
(B)含浸
エマルジョン液の含浸は印刷用紙の抄紙工程で行うのが好ましいが、サイジング工程で行ってもよいし、乾燥後に行ってもよい。エマルジョン液の含浸量は、固形分基準で0.01〜20g/m2とするのが好ましい。含浸後に、各種の表面処理を行ってもよい。
【0043】
[4]コーティング
インクジェットプリンター用に使用する場合、印刷の鮮明度を向上するために、エマルジョン被覆した後、表面にコーティングを施してもよい。コーティング剤としては、公知のものを使用することができるが、例えばポリビニルアルコール、アクリル樹脂、シリカ微粒子、ポリビニルピロリドン及び四級アミンからなる組成等やシリカアエロジル、アクリル樹脂及びポリアセタール樹脂からなる組成等が好ましい。
【0044】
【実施例】
以下、合成例及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0045】
[合成例1]
2リットルのフラスコに、メチルトリメトキシシラン408g(3.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、0℃で水786gを加えてよく混合した。ここに、氷冷下、0.05Nの塩酸水溶液216gを40分間かけて滴下し、加水分解反応を行わせた。滴下終了後、10℃以下で1時間撹拌し、更に室温で2時間撹拌して加水分解反応を完結させた。
【0046】
次いで、生成したメタノール及び水を70℃、60Torrの条件下で減圧溜去し、溜出液中にメタノールが検出されなくなるまで継続した。初期の88%まで濃縮した時点でメタノールは検出されなくなり、同時に液は白濁し始めた。この溶液を一昼夜静置したところ、2層に分離し、シリコーン樹脂は沈降した。
【0047】
この溶液から一部サンプリングし、沈降したシリコーン樹脂をメチルイソブチルケトンを用いて溶解させ、水から分離した。脱水処理後、メチルグリニャールを反応させてシラノール基を定量したところ、シラノール基の含有量は8.2%(対シリコーン樹脂)であった。また、GPC測定の結果、このシリコーン樹脂の数平均分子量は1.8×103であった。赤外吸収スペクトル分析の結果、メトキシ基は残存していないので、得られたシリコーン樹脂(A)は以下の平均組成式で表すことができると認められた。従って、このシリコーン樹脂(A)から有機溶剤は全く副生しない。
(CH31.0Si(OH)0.341.33
【0048】
上記溶液にメタクリル酸メチル(MMA)300g(3モル)を加え、沈降したシリコーン樹脂を溶解し、シリコーン樹脂含有MMA溶液として水層から単離した。不揮発分40.2%(105℃×3時間)のMMA溶液(A/MMA)が505g得られた。
【0049】
次に、撹拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水を730部、pH緩衝剤として炭酸ソーダを0.47部、ホウ酸を4.70部仕込み、撹拌しながら60℃に昇温した後、窒素置換した。これにロンガリット1.75部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.12部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.04部を添加すると同時に、シリコーン樹脂含有MMA溶液(A/MMA)175部、メタクリル酸メチル(MMA)385部、アクリル酸ブチル140部、t−ブチルハイドロパーオキサイド(純分69%)2.1部、反応性界面活性剤アクアロンRN−20(第一工業製薬(株)製/商品名)14.0部、アクアロンHS−10(第一工業製薬(株)製/商品名)7.0部からなる混合液を、重合容器内の温度を60℃に保持しながら2.5時間かけて均一に添加し、更に60℃にて2時間反応させて重合を完了させた。得られたエマルジョン(A−エマルジョン)の固形分濃度は50.1%、pHは7.0であった。
【0050】
[合成例2]
2リットルのフラスコに、メチルトリメトキシシラン408g(3.0モル)及びトルエン300gを仕込み、40℃で撹拌しながら、2.0%の塩酸水溶液41g(水として2.23モル)を1時間かけて滴下混合し、加水分解させた。更に、40℃で1時間撹拌しながら熟成した。次いで、10%の硫酸ナトリウム水溶液100gを加えて10分間撹拌した後、静置して水層を分離除去するという水洗操作を3回繰り返した。得られたシリコーン樹脂溶液から50℃、50Torrの条件下でメタノール及びトルエンを減圧溜去し、その後濾過して、シリコーン樹脂のトルエン溶液を得た。
【0051】
GPC測定の結果、このシリコーン樹脂の数平均分子量は2.0×103であった。また、シラノール基量を定量したところ、その含有量は4.2%(対シリコーン樹脂)であり、クラッキング法によりメトキシ基量を定量したところ、1.4%(対シリコーン樹脂)であった。以上から、得られたシリコーン樹脂(B)は以下の組成で表すことができると認められた。従って、このシリコーン樹脂(B)から副生するメタノールは、高々1.4%(対シリコーン樹脂)である。
(CH31.0Si(OH)0.17(OCH30.031.40
【0052】
上記トエン溶液を総合反応が殆んど起こらない50℃、10Torrの条件下でトルエンを減圧溜去し、粉体化した。この粉体化したシリコーン樹脂(B)の不揮発分(105℃×3時間)を測定したところ、0.3%であった。この粉体状のシリコーン樹脂にメタクリル酸メチル(MMA)を加えて溶解させ、シリコーン樹脂を40%含有するMMA溶液(B−1/MMA)とした。
【0053】
次に、撹拌機、コンデンサー、湿度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水を730部、pH緩衝剤として炭酸ソーダを0.47部、ホウ酸を4.70部位込み、撹拌しながら60℃に昇温した後、窒素置換した。これにロンガリット1.75部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.12部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.04部を添加すると同時に、シリコーン樹脂含有MMA溶液(B−1/MMA)175部、メタクリル酸メチル(MMA)385部、アクリル酸ブチル140部、t−ブチルハイドロパーオキサイド(純分69%)2.1部、反応性界面活性剤アクアロンRN−20(第一工業製薬(株)製/商品名)14.0部、アクアロンHS−10(第一工業製薬(株)製/商品名)7.0部からなる混合液を、重合容器内の温度を60℃に保持しながら2.5時間かけて均一に添加し、更に60℃にて2時間反応させて重合を完了させた。得られたエマルジョン(B−1エマルジョン)の固形分濃度は50.9%、pHは7.0であった。
【0054】
[合成例3]
撹拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備た重合容器に、脱イオン水を300部、pH緩衝剤として炭酸ソーダを0.47部、ホウ酸を4.7部仕込み、撹拌しながら60℃に昇温後、窒素置換した。これにロンガリット1.75部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.12部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.04部を添加すると同時に、シリコーン樹脂含有MMA溶液(B−1/MMA)175部、メタクリル酸メチル(MMA)385部、アクリル酸ブチル108部、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(2−メタクリロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール30部、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート2部、t−ブチルハイドロパーオキサイド(純分69%)2.1部の均一混合液をイオン交換水400部、ラウリル硫酸ナトリウム7.0部、ノイゲンEA−170(第一工業製薬(株)製/商品名)14.0部の水溶液中に添加し、ホモミキサーで乳化した混合物の乳化液1121部の内、56部を添加してシード重合を行い、引き続き重合容器内の温度を60℃に保持しながら残りの乳化液を3.5時間かけて均一に添加し、更に60℃にて2時間反応させて重合を完了させた。得られたエマルジョン(B−2エマルジョン)の固形分濃度は50.1%、pHは7.5であった。
【0055】
[合成例4]
合成例2で合成した粉体状のシリコーン樹脂にメタクリル酸メチル(MMA)を加えて溶解させ、シリコーン樹脂を20%含有するMMA溶液(B−2/MMA)とした。
【0056】
次に撹拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備た重合容器に、脱イオン水を730部、pH緩衝剤として炭酸ソーダを0.47部、ホウ酸を4.70部仕込み、撹拌しながら60℃に昇温した後、窒素置換した。これにロンガリット1.75部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.12部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.04部を添加すると同時に、シリコーン樹脂含有MMA溶液(B−2/MMA)175部、メタクリル酸メチル(MMA)385部、アクリル酸ブチル140部、t−ブチルハイドロパーオキサイド(純分69%)2.1部、反応性界面活性剤アクアロンRN−20(第一工業製薬(株)製/商品名)14.0部、アクアロンHS−10(第一工業製薬(株)製/商品名)7.0部からなる混合液を、重合容器内の温度を60℃に保持しながら2.5時間かけて均一に添加し、更に60℃にて2時間反応させて重合を完了させた。得られたエマルジョン(B−3エマルジョン)の固形分濃度は50.9%、pHは7.0であった。
【0057】
[合成例5]
合成例1において、メチルトリメトキシシランの代わりに、メチルトリメトキシシラン326.4g(2.4モル)、ジメチルジメトキシシラン36g(0.3モル)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン70.8g(0.3モル)を使用して同様な調製を行った。
【0058】
GPC測定の結果、このシリコーン樹脂の数平均分子量は1.6×103であった。また、シラノール基量を定量したところ、その含有量は8.6%(対シリコーン樹脂)であり、メトキシ基は含まれていなかった。以上から、得られたシリコーン樹脂(C)は以下の組成で表すことができると認められた。従って、このシリコーン樹脂(C)から有機溶剤は全く副生しない。
【0059】
【化4】
Figure 0003722210
【0060】
上記水溶液にメタクリル酸メチル(MMA)を加えて沈降したシリコーン樹脂を溶解し、シリコーン樹脂を20.1%含有するMMA溶液(C/MMA)として水層から単離した。
【0061】
次に、撹拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水を730部、pH緩衝剤として炭酸ソーダを0.47部、ホウ酸を4.70部仕込み、撹拌しながら60℃に昇温した後、窒素置換した。これにロンガリット1.75部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.12部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.04部を添加すると同時に、シリコーン樹脂含有MMA溶液(C/MMA)175部、メタクリル酸メチル(MMA)385部、アクリル酸ブチル70部、アクリル酸35部、スチレン35部、t−ブチルハイドロパーオキサイド(純分69%)2.1部、反応性界面活性剤アクアロンRN−20(第一工業製薬(株)製/商品名)14.0部、アクアロンHS−10(第一工業製薬(株)製/商品名)7.0部からなる混合液を、重合容器内の温度を60℃に保持しながら2.5時間かけて均一に添加し、更に60℃にて2時間反応させて重合を完了させた。得られたエマルジョン(C−エマルジョン)の固形分濃度は50.2%、pHは7.3であった。
【0062】
[合成例6]
合成例1において、メチルトリメトキシシランの代わりに、メチルトリメトキシシラン326.4g(2.4モル)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン65.4g(0,3モル)、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン74.4g(0.3モル)を使用して同様な調製を行った。
【0063】
GPC測定の結果、このシリコーン樹脂の数平均分子量は1.3×103であった。また、シラノール基量を定量したところ、その含有量は9.2%(対シリコーン樹脂)であり、メトキシ基は含まれていなかった。以上から、得られたシリコーン樹脂(D)は以下の組成で表すことができると認められた。従って、このシリコーン樹脂(D)から有機溶剤は全く副生しない。
【0064】
【化5】
Figure 0003722210
【0065】
この水溶液にメタクリル酸メチル(MMA)/アクリル酸ブチル(BA)=80/20を加え、沈降したシリコーン樹脂を溶解し、シリコーン樹脂を20.2%含有するMMA溶液(D/MMA−BA)として水層から単離した。
【0066】
次に、撹拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水を730部、pH緩衝剤として炭酸ソーダを0.47部、ホウ酸を4.70部仕込み、撹拌しながら60℃に昇温した後、窒素置換した。これにロンガリット1.75部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.12部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.04部を添加すると同時に、シリコーン樹脂含有MMA溶液(D/MMA)175部、メタクリル酸メチル(MMA)385部、アクリル酸ブチル70部、メタクリル酸グリシジル35部、片末端アクリルジメチルシリコーンオイル35部、t−ブチルハイドロパーオキサイド(純分69%)2.1部、反応性界面活性剤アクアロンRN−20(第一工業製薬(株)製/商品名)14.0部、アクアロンHS−10(第一工業製薬(株)製/商品名)7.0部からなる混合液を、重合容器内の温度を60℃に保持しながら2.5時間かけて均一に添加し、更に60℃にて2時間反応させて重合を完了させた。得られたエマルジョン(D−エマルジョン)の固形分濃度は50.3%、pHは7.2であった。
【0068】
[合成例
水120g(6.67mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた200mlの反応器に入れ、撹拌しながらH2NCH2CH2NHCH2CH2CH2Si(OCH3355.6g(0.25mol)及びSi(OCH2CH3410.4g(0.05mol)の混合物を室温で10分間かけて滴下したところ、27℃から49℃に液温が上昇した。更にオイルバスにより60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取付け、液温を98℃まで上げ、副生したメタノール、エタノールを除去することにより、有機ケイ素化合物の水溶液137g(−水溶液)を得た。水溶液中の不揮発分(105℃/3時間)は31.1%であった。
【0069】
[合成例
水120g(6.67mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備た200mlの反応器に入れ、撹拌しながらH2NCH2CH2NHCH2CH2CH2Si(OCH3366.6g(0.30mol)及びCH3Si(OCH33 4.1g(0.03mol)の混合物を室温で10分間かけて滴下したところ、27℃から49℃に液温が上昇した。更にオイルバスにより60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取付け、液温を98℃まで上げ、副生したメタノールを除去することにより、有機ケイ素化合物の水溶液149g(−水溶液)を得た。水溶液中の不揮発分(105℃/3時間)は28.7%であった。
【0070】
[実施例1]
坪量64g/m2の普通紙に上記合成例1〜により製造したエマルジョン液或いは水溶液をコーターにより10g/m2の量で塗布し、加熱ロール間を通すことにより乾燥させた。得られたゲル被覆用紙(サンプルNo.1〜)はいずれも平滑であった。これらに、キャノン(株)製のインクジェットプリンター(BJC−430J)により、カラーインク(BC−21e)を用いてカラー印刷を行い、インクが乾燥した後の状態を観察した。変形及び鮮明度の評価基準は以下の通りである。またエマルジョン或いは水溶液を被覆しない普通紙に対しても同じ試験を行った(サンプルNo.9)。
それぞれの試験結果を表1に示す。
【0071】
(1)印刷用紙の変形
○:凹凸等の変形が全くなかった。
△:若干凹凸が生じた。
×:著しい凹凸が認められた。
(2)印刷の鮮明度
○:非常に鮮明で、滲み等が全くなかった。
△:若干滲みが認められた。
×:著しい滲みが認められた。
【0072】
【表1】
Figure 0003722210
注:No.9はエマルジョン液或いは水溶液の含浸なし。
【0073】
以上の結果から、本発明のエマルジョン液を塗布した普通紙はインクジェットプリンターにより印刷した時でも変形が起こらず、また印刷の鮮明度も一般のコート紙と変わらないことが分かった。これに対して、有機ケイ素化合物の水溶液を塗布したものは鮮明性が今一つであり、一般の普通紙(サンプルNo.)では、印刷後に凹凸が生じた。
【0074】
[実施例2]
上記合成例1〜により製造したエマルジョン液或いは水溶液を水により20倍に希釈し、その中で抄紙を行い、加熱ロール間を通すことにより乾燥させて、坪量64g/m2の印刷用紙を作製した。得られたエマルジョン或いは水溶液被覆用紙(サンプルNo.10〜17)は平滑であった。
各エマルジョン被覆用紙に対して、実施例1と同様にインクジェットプリンター(BJC−430J)によりカラーインク(BC−21e)を用いてカラー印刷を行い、インクが乾燥した後の印刷用紙の変形及び印刷の鮮明度を肉眼により観察した。またエマルジョンを被覆せずに抄紙した紙に対しても同じ試験を行った(サンプルNo.18)。変形及び鮮明度の評価基準は実施例1と同じである。
それぞれの試験結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
Figure 0003722210
注:No.18はエマルジョン液或いは水溶液の含浸なし。
【0076】
以上の結果から、本発明のエマルジョン液中で抄紙し処理した普通紙はインクジェットプリンターにより印刷した時でも変形が起こらず、また印刷の鮮明度も一般のコート紙と変わらないことが分かった。これに対して、有機ケイ素化合物の水溶液中で抄紙したものは鮮明性が今一つであり、エマルジョン液中で抄紙しない紙(サンプルNo.18)では、印刷後に凹凸が生じた。
【0077】
【発明の効果】
本発明のインクジェット印刷用紙は、印刷用紙中のセルロース繊維にアクリルシリコーンエマルジョンによるアクリルシリコーン樹脂が被覆されているので、吸水時に伸縮したり変形したりすることが非常に低減されている。そのためインクジェットプリンターにより印刷しても、伸びやカール、凹凸等の変形が著しく少なくまたコート紙と同等レベルの印字品質を提供できる。本発明は普通紙に適用できるので、インクジェットプリンター用の専用印刷用紙の低コスト化に寄与する。

Claims (1)

  1. (1)(a−1)下記平均組成式
    1 m2 nSi(OH)p(OX)q(4-m-n-p-q)/2
    (但し、R1は炭素数1〜10の一価炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜10の置換された一価炭化水素基を表し、Xは炭素数1〜6の一価炭化水素基を表す。m、n、p、qは、0.5≦m≦1.8、0≦n≦1.0、0<p≦1.5、0≦q≦0.5、0.5≦m+n≦1.8、0<p+q≦1.5、0.5<m+n+p+q<3の範囲を満たす正数を表す。)
    で表され、単独では水に溶解しないシラノール基含有シリコーン樹脂 100重量部、
    及び
    (2)ラジカル重合性ビニルモノマー 100〜100,000重量部
    を含有する混合物を乳化重合して得られた、上記(1)成分と(2)成分の合計に対して有機溶剤量が5重量%以下である実質的に有機溶剤を含まないシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物中で抄紙するか、前記エマルジョン組成物を印刷用紙に塗布又は含浸することにより、前記エマルジョン組成物の固形物によりセルロース繊維が少なくとも部分的に被覆されていることを特徴とするインクジェット印刷用紙。
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