JP3721889B2 - 分注装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生化学分野等で液状試料の分注に用いられる分注装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生化学分野等における試験において、培養や生化学反応を行わせるための液状試料を収納する容器としてマイクロプレートが用いられる。このマイクロプレートには、同時に行われる試験で取扱うサンプル数を多くして試験の効率を向上させる目的で、試料収納用の凹部であるウェルが多数設けられている。そしてウェル内に収納された試料を分注ティップによって吸入または吐出することにより分注が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、マイクロプレートのウェルは、ウェル数を増大して試験効率を向上させるとともに使用される試薬の消費量を削減するために内容積を小さくする目的で、ウェルのサイズが小型化する傾向にある。例えば、従来一般的であった96のウェルを備えたものに加えて、ウェルサイズを従来の約半分にし、ウェル数を4倍にした384ウェル型のものが用いられている。これにともなって、分注ティップの先端部をウェル内に挿入する際には高度な位置精度が求められるようになっている。
【0004】
しかしながら、従来の分注装置では、マイクロプレートのウェル内に液状試料を吐出する際に必要とされる分注ティップの挿入精度を確保することが困難で、分注ティップの先端部がウェル内の側壁に接触して分注精度を阻害する場合があるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、分注ティップの先端部の挿入精度を向上させることができる分注装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、分注ティップ装着部と、ティップ離脱部と、ノズルの下端部に分注ティップを着脱自在に装着する分注ヘッドとを備え、分注ヘッドを水平方向に移動させて分注ティップによりリザーバ内の液体試料を吸引し、マイクロプレートの各ウェル内に吐出するようにした分注装置であって、グリースを含浸させたグリース含浸部を有するグリース塗布部を設け、このグリース含浸部に接触させてグリースを塗布したノズルに前記分注ティップ装着部に備えられた分注ティップを装着するようにし、且つ前記分注ティップ装着部が貫通孔を設けたティップ装着テーブルを備え、この貫通孔に前記ノズルに装着された分注ティップを挿入して、この分注ティップを前記ノズルに対して所定高さ位置まで押し込むようにしたものである。
【0007】
本発明によれば、ノズルに分注ティップを装着する際にノズルをグリースを含浸させたグリース含浸部に接触させることによりノズルにグリースを塗布し、これにより分注ティップの装着精度を確保することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の分注装置の斜視図、図2は同分注装置のグリース塗布部の斜視図、図3、図4、図5、図6、図7、図8は同分注装置による分注ティップ装着方法の工程説明図である。
【0009】
まず図1を参照して分注装置の構造について説明する。図1において分注装置1のベース部2上には分注ステージ3が設けられており、分注ステージ3にはマイクロプレート4やリザーバ5が載置されている。リザーバ5内に貯溜された液状試薬をマイクロプレート4に格子状に多数設けられた小孔(ウェル)内に移すことにより分注が行われる。マイクロプレート4は搬送アーム6によってクランプされ、図示しない搬送アーム駆動機構によって、分注ステージ3と図示しないプレートストックエリアとの間で搬送される。
【0010】
分注ステージ3には分注ティップ装着部7が設けられている。分注ティップ装着部7では、ティップラック7aに所定数が配列収納された分注ティップ8が分注ヘッド10のノズルに装着される。分注ティップ装着部7に隣接してティップ離脱部9が配設されている。ティップ離脱部9には串歯状のティップ離脱部材を備えたティップ離脱ユニット13が設けられている。
【0011】
分注ステージ3の上方には、多数の分注ティップ8が格子状に装着された分注ヘッド10がXテーブル12、Yテーブル11によって水平方向に移動可能に配設されている。分注ヘッド10をリザーバ5上に位置させた状態でリザーバ5に対して分注ヘッド10を下降させ分注ティップ8の先端部をリザーバ5内に挿入した状態で図示しない吸引機構を駆動することにより、分注ティップ8はリザーバ5内の液状試料を吸引する。
【0012】
この後分注ヘッド10を上昇させ、マイクロプレート4上に移動させてマイクロプレート4に対して下降させることにより、分注ティップ8の先端部はマイクロプレート4の各ウェル内に挿入され、分注ティップ8から液状試料を吐出させることにより分注が行われる。
【0013】
分注ティップ装着部7の後方にはグリース塗布部14が配設されている。グリース塗布部14には、グリース塗布テーブル15およびティップ装着テーブル16が水平方向にスライド自在に収納されている。グリース塗布テーブル15、ティップ装着テーブル16をスライドさせ水平方向に突出させた状態では、これらのテーブルは分注ティップ装着部7の上方に、すなわち分注ヘッド10の下方に位置する。
【0014】
図2(a)に示すように、グリース塗布テーブル15の内側にはグリース含浸部15aが設けられており、グリース含浸部15aはスポンジ様の多孔性樹脂材にグリース成分を含浸させたものである。グリース含浸部15aには分注ティップ8の配列に対応した位置に貫通孔15bが設けられている。この貫通孔15b内に分注ヘッド10の下部に設けられたノズル10aを挿通させることにより、ノズル10aはグリース含浸部15aに接触しグリース成分が塗布される。グリース塗布テーブル15は、ノズル10aにグリースを塗布するグリース塗布手段となっている。
【0015】
図2(b)は塗布テーブル15を後退させて、ティップ装着テーブル16を突出させた状態を示している。ティップ装着テーブル16には同様に分注ティップ8の配列に対応して貫通孔16aが設けられており、貫通孔16a内にノズル10aを挿入して所定高さ位置まで分注ヘッド10を下降させることにより、分注ティップ8をノズル10aに対して所定装着高さ位置まで押し込む機能を有している。
【0016】
次に図3〜図7を参照して、分注ヘッド10への分注ティップ8の装着について説明する。この装着操作に先立って、既に使用され分注ヘッド10に装着された状態の分注ティップ8の除去が行われる。この除去操作は、分注ヘッド10をティップ離脱部9上に位置させ、ティップ離脱ユニット13を進出させて、串歯部材を分注ティップ8の間に挿入した状態で分注ヘッド10を上昇させることにより行われる。これにより、ノズル10aからは使用済みの分注ティップ8が離脱し、ティップ離脱部9に設けられたティップ回収孔内に落下して回収される。
【0017】
この後、ティップ装着操作が行われる。まず図3に示すように、分注ティップ8がノズル10aから除去されシール用のOリング10bが露呈された状態の分注ヘッド10を分注ティップ装着部7上に位置させる。このとき、ティップ装着部7にはティップラック7aが載置されており、ティップラック7aには新しい分注ティップ8が配列状態で収納されている。
【0018】
次いで、グリース塗布部14からグリース塗布テーブル15をスライドさせて突出させ、ティップラック7a上に位置させる。このとき、分注ヘッド10のノズル10a、グリース塗布テーブル15の貫通孔15bの位置がティップラック7aの分注ティップ8の配列位置と合致するように位置合わせされる。
【0019】
次に図4に示すように、分注ヘッド10を下降させてノズル10aの下部のOリング10bが装着された部位を塗布テーブルの貫通孔10b内に挿入する。これにより、ノズル10aのOリング10bにはグリース成分が塗布される。この後、分注ヘッド10が上昇し、次いでグリース塗布テーブル15はグリース塗布部14内に収納される。
【0020】
この後、図5に示すように、分注ヘッド10を下降させてノズル10aの下部をティップラック7aに収納された状態の分注ティップ8の装着孔内に挿入する。このとき、ノズル10aにはグリース成分が塗布されているので、分注ティップ8の装着がスムースに行われるとともに、ノズル10a下端のテーパ部分と分注ティップ8内面との密着性がグリース成分の存在によって向上する。これにより分注ティップ8の装着状態での姿勢不良が防止される。
【0021】
さらに、グリース成分により分注テイップ8の内壁とOリング10bとの摺動抵抗が少なくなるため、分注ヘッド10を分注ティップ8側へ押し込む力(押し込み力)を小さくすることができる。これは本実施の形態のように多数のノズル10aに分注ティップ8を同時に装着するような場合に顕著な効果として現れるものであり、分注ヘッド10を支持する構造物の剛性を小さくして装置全体の小型化、軽量化を実現することができる。
【0022】
この後、図6に示すように、再び分注ヘッド10を上昇させる。これによりノズル10aは装着された分注ティップ8とともに上昇する。この状態では、分注ティップ8のノズル10aに対する装着高さ位置は必ずしも正確に確保されていないため、装着テーブル16を用いた装着高さ位置の矯正を行う。
【0023】
まず装着テーブル16を塗布部14からスライドさせて分注ティップ8が装着された分注ヘッド10の下方に位置させる。この状態では、分注ティップ8の位置は装着テーブル16の貫通孔16aと合致している。次いで、図7に示すように、分注ヘッド10を下降させて分注ティップ8を貫通孔16a内に挿入し、分注ティップ8の装着部8aの段差部分を装着テーブル16の上面に押し付けるまで分注ヘッド10を下降させる。そしてこの後に再び分注ヘッド10を上昇させる。これにより各分注ティップ8はノズル10aに対して均一に押し込まれ、正しい装着高さ位置に装着される。この場合も、分注ヘッド10の押し込み力はグリース成分によって小さくて済む。
【0024】
この結果分注ティップ8の装着孔の内面がノズル10aのテーパ部に密着することにより、図8に示すように分注ティップ8の先端部の配列ピッチPは均一に保たれる。したがって、分注対象のマイクロプレートのウェルの配列ピッチが小さい場合にあっても、ウェル内への分注ティップ8の先端部の挿入位置精度が確保される。これにより分注ティップ8の位置ずれによるウェルへの挿入ミスや先端部がウェルの側壁に接触することによる分注精度の低下を防止できる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、ノズルに分注ティップを装着する際にノズルをグリースを含浸させた多孔性樹脂材に接触させることによりノズルにグリースを塗布し、これにより分注ティップの装着精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態の分注装置の斜視図
【図2】 本発明の一実施の形態の分注装置のグリース塗布部の斜視図
【図3】 本発明の一実施の形態の分注装置による分注ティップ装着方法の工程説明図
【図4】 本発明の一実施の形態の分注装置による分注ティップ装着方法の工程説明図
【図5】 本発明の一実施の形態の分注装置による分注ティップ装着方法の工程説明図
【図6】 本発明の一実施の形態の分注装置による分注ティップ装着方法の工程説明図
【図7】 本発明の一実施の形態の分注装置による分注ティップ装着方法の工程説明図
【図8】 本発明の一実施の形態の分注装置による分注ティップ装着方法の工程説明図
【符号の説明】
3 分注ステージ
4 マイクロプレート
5 リザーバ
8 分注ティップ
10 分注ヘッド
14 グリース塗布部
15 グリース塗布テーブル
Claims (1)
- 分注ティップ装着部と、ティップ離脱部と、ノズルの下端部に分注ティップを着脱自在に装着する分注ヘッドとを備え、分注ヘッドを水平方向に移動させて分注ティップによりリザーバ内の液体試料を吸引し、マイクロプレートの各ウェル内に吐出するようにした分注装置であって、グリースを含浸させたグリース含浸部を有するグリース塗布部を設け、このグリース含浸部に接触させてグリースを塗布したノズルに前記分注ティップ装着部に備えられた分注ティップを装着するようにし、且つ前記分注ティップ装着部が貫通孔を設けたティップ装着テーブルを備え、この貫通孔に前記ノズルに装着された分注ティップを挿入して、この分注ティップを前記ノズルに対して所定高さ位置まで押し込むようにしたことを特徴とする分注装置。
Priority Applications (1)
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JP28956299A JP3721889B2 (ja) | 1999-10-12 | 1999-10-12 | 分注装置 |
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1999
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