JP3721645B2 - 自動車用ドアガラスラン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車のドアフレームの内周に取付けられるドアガラスランに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図2に示すように自動車のドアフレーム2の内周にはドアガラスラン4が取付けられており、ドアガラス3の昇降を案内し、閉じられたドアガラス3の周縁とドアフレーム2との間をシールするようになっている。
【0003】
図3に示すように、ドアガラスラン4としては、断面コ字形の本体部41の開口側の両端から、ドアガラス3の周縁を挟むリップ42,43が伸び出す構造のものが一般に用いられている。
ドアガラスラン4はゴムの押出成形体で、一般にJIS(A)硬度70°〜75°程度のものが用いられている。また、昇降時のドアガラスの摺動性を重視して、両方のリップ42,43の硬度を本体部41のそれよりも高くしたものもある(実開平5ー93940号)。しかしながら、両リップ42,43の硬度を上げて摺動性を高めると、一方においてシール性が低下する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところでドアフレームの縦枠部2A,2B、特に車体のセンターピラーに沿う縦枠部2Bは、車体の側面形状に沿わせるべく、上方へ向けて内側に湾曲傾斜している。このためドアガラスラン4は、上記縦枠部2Bに取付けられている垂直部4Bでは、ドアガラス3の昇降時に車外側のリップ43にドアガラス3の上端角部が強く押付けられる。特にドアガラス上昇時には、図4に示す如くドアガラス3の上端角部は車外側のリップ43を矢印の方向に突き上げるようにして上昇する。このためドアガラス3の閉力が大きくなるという問題がある。またこの突き上げでリップ43がドアフレームの縦枠部2Bからめくれ出るおそれがある。一方、ドアフレーム2の上枠部2Cに取付けられているドアガラスラン4の上辺部4Cにおいては、シール性を完全なものとするためにドアガラス3が車外側のリップ43に充分に押付けられていることが必要である。
【0005】
そこで本発明は、ドアガラス昇降時のガラス摺動性が良好で、かつシール性にすぐれたドアガラスランを提供することを課題としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、自動車ドアのドアフレームの内周に取付けられ、断面コ字形の本体部の開口側の両端にリップを備えたドアガラスランにおいて、車体のピラーに沿い上方に向けて内側に湾曲傾斜するドアフレームの縦枠部に取付けられる垂直部では車外側のリップを硬質の高分子材料で形成し車内側のリップよりも高硬度として剛性を高く形成し、ドアフレームの上枠部に取付けられる上辺部では車内側のリップを硬質の高分子材料で形成し車外側のリップよりも高硬度として剛性を高く形成することを特徴とする。
【0007】
硬度は、ドアフレームの縦枠部に取付けられる垂直部の車外側のリップおよびドアフレームの上枠部に取付けられる上辺部の車内側のリップの剛性を高くするものとして硬質の高分子材料で形成して、その硬度をJIS(A)75°〜95°とし、垂直部の車内側のリップおよび上辺部の車外側のリップをJIS(A)60°〜80°とするのが適当である。
【0008】
ドアガラスランにおいて、ドアフレームの縦枠部に取付けられる垂直部の車外側のリップを高硬度として剛性を高くしたことにより、ドアガラス昇降時のドアガラスの突き上げに対する受止め力およびガラス摺動性が向上する。またドアフレームの上枠部に取付けられる上辺部の車内側のリップを高硬度として剛性を高くしたことにより、ドアガラス閉状態における車外側のリップに対するドアガラスの押付け力が強化される。なお、特定のリップを高硬度として剛性を高くする手段として、例えば本体および一方のリップをEPDMゴムで形成し、他方の特定のリップをオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成する。なお、リップの剛性は、リップの厚さを変えたり、インサートを埋設しても上げることができるが、本発明はリップを高硬度として剛性を上げている。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1および図2に示すように、自動車のフロントドア1のドアフレーム2の内周には一連にドアガラスラン5が装着されている。ドアガラスラン5は、ドアフレーム2の前後の縦枠部2A,2Bに取付けられる垂直部5A,5Bと、ドアフレーム2の上枠部2Cに取付けられる上辺部5Cが型成形で接続されて一連に形成されている。垂直部5A,5Bはその下部がドア本体内へ延在しており、それぞれ上記縦枠部2A,2Bを下方へ延長するリテーナに取付けられている。
【0010】
ドアガラスラン5の各部は実質的に同一の断面形状で、図1(B),(C)に示すように、断面コ字形の本体部51の開口側の両端から相対向する方向にリップ52,53が伸び出している。車内側のリップ52は車外側のリップ53よりもやや長く形成してある。本体部51の両側の角部および開口側の両端には外方へ突出する突起が形成されて、チャンネル状のドアフレーム2の底面角部および開口両端に係合されている。
【0011】
ドアガラスラン5はEPDMゴムからなり、本体部51の硬度は垂直部5A,5Bおよび上辺部5Cともに共通でJIS(A)60°〜80°としてある。そして垂直部5A,5Bでは、車外側のリップ53の硬度はJIS(A)75°〜95°、車内側のリップ52の硬度はJIS(A)60°〜80°としてある。この場合、車外側のリップ53を車内側のリップ52よりも相対的に高硬度とするもので、例えば車内側のリップ52の硬度が80°の場合は車外側のリップ53はそれよりも高硬度とする。一方、上辺部5Cでは、車外側のリップ53の硬度はJIS(A)60°〜80°、車内側のリップ52の硬度はJIS(A)75°〜95°としてある。
【0012】
上記垂直部5A,5Bおよび上辺部5Cは、部分的に上記の硬度となるように調整されたゴム材料または熱可塑性エラストマーを一体押出成形することにより得られる。そして、両垂直部5A,5Bと上辺部5Cとはこれ等と共通の断面形状で型成形接続される。型成形接続部は上記押出成形体と材料よりなり、硬度は押出成形体の本体部51とほぼ同一ないしは若干低いものとする。
【0013】
上記構造のドアガラスラン5が装着されたドア1(図2)において、ドアガラス3を上昇させて閉じるとき、ドアフレーム2の縦枠部2Bに装着されたドアガラスラン5の垂直部5Bでは、車外側のリップ53はドアガラス3の上部後端の角部により突き上げられるが、リップ53は本体部51よりも高硬度で高剛性として大きな変形を防ぎ、かつガラス摺動性を上げているから、ドアガラス3はスムーズに上昇する。そしてドアガラス3が閉じられた状態において、ドアフレーム2の上枠部2Cに装着されたガラスラン5の上辺部5Cでは、高硬度、高剛性とした車内側のリップ52によりドアガラス3の周縁が外方へ押されて車外側のリップ53に押付けられ、かつ車外側のリップ53の剛性を下げたことと相まってドアガラス3とリップ53の密着性が良好であり、シール性能が高められる。またドアガラス3を下降させて開くときも、ドアガラスラン5の垂直部5Bでは車外側のリップ53にドアガラス3の角部が強く圧接するが、上昇時と同様にスムーズに下降する。
【0014】
ドアフレーム2の前方側の縦枠部5Aに装着されたガラスラン5の垂直部5Aでも、ドアガラス昇降時に、ガラスラン5の後側の垂直部5Bと同様の作用効果が奏せられる。しかしながら縦枠部5Aはドア本体のベルトラインから僅かに上方へ突出する長さであるから、上記作用効果は垂直部5Bにおけるほど顕著ではない。従って、ドアガラスラン5の前側の垂直部5Aとしては、全体を本体部と同一の硬度としたものを用いてもよい。
【0015】
ドアガラスラン5の各部のリップの硬度は、ドアガラス3の開閉操作性と、閉状態でのドアガラス3の保持安定性およびドアガラス3まわりのシール性のバランスから決められるが、ドアフレーム2の縦枠部2Bに取付けられるドアガラスラン垂直部5Bにおいて、車外側のリップ53の硬度を上記範囲の上限よりも上げるとシール性が低下する。またドアフレーム2の上枠部2Cに取付けられるドアガラスラン上辺部5Cにおいて、車内側のリップ52の硬度を上記範囲の上限よりも上げると、ドアガラス3が上昇してその上縁が上記上辺部53に押込まれるときの反力が大きくなる。一方、上記垂直部5Bの車内側のリップ52および上辺部5Cの車外側のリップ52の硬度を上記範囲の下限よりも下げると、閉状態でのドアガラス3の保持安定性が低下する。
【0016】
本発明のドアガラスランは、フロントドアに限らずリヤドアにも適用され得る。
【0017】
【発明の効果】
本発明のドアガラスランを用いることでドアガラスの開閉操作性が向上するとともに、ドアガラスまわりの良好なシール性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のドアガラスランを示すもので、図1(A)はドアガラスランの全体図、図1(B)および図1(C)はそれぞれ図1(A)のIB−IB線およびIC−IC線に沿う位置でのドアガラスランの取付状態断面図である。
【図2】本発明のドアガラスランが適用される自動車ドアの正面図である。
【図3】従来のドアガラスランを示すもので、図3(A)はガラスランの全体図、図3(B)および図3(C)はそれぞれ図3(A)のIIIB−IIIB線およびIIIC−IIIC線に沿う位置でのドアガラスランの取付状態断面図である。
【図4】ドアガラス上昇時にドアガラスランに作用する力の方向を示す図である。
【符号の説明】
1 自動車ドア
2 ドアフレーム
2A,2B 縦枠部
2C 上枠部
3 ドアガラス
4,5 ドアガラスラン
4A,4B,5A,5B 垂直部
4C,5C 上辺部
41,51 本体部
42,52 車内側のリップ
43,53 車外側のリップ
Claims (2)
- 自動車のドアフレーム(2)の内周に取付けられるドアガラスランであって、断面コ字形の本体部(51)の開口の両端からドアガラス(3)の周縁を挟むリップ(52,53)が伸び出すドアガラスラン(5)において、車体のピラーに沿い上方へ向けて内側に湾曲傾斜するドアフレーム(2)の縦枠部(2B)に取付けられる垂直部(5B)では車外側のリップ(53)を硬質の高分子材料で形成し車内側のリップ(52)よりも高硬度として剛性を高く形成し、車体のルーフサイドに沿うドアフレーム(2)の上枠部(2C)に取付けられる上辺部(5C)では車内側のリップ(52)を硬質の高分子材料で形成し車外側のリップ(53)よりも高硬度として剛性を高く形成したことを特徴とする自動車用ドアガラスラン。
- 請求項1記載の自動車用ドアガラスランにおいて、上記垂直部(5B)の車外側のリップ(53)および上記上辺部(5C)の車内側のリップ(52)の硬度をJIS(A)75°〜95°とし、上記垂直部(2B)の車内側のリップ(52)および上記上辺部の車外側のリップ(53)の硬度をJIS(A)60°〜80°とした自動車用ドアガラスラン。
Priority Applications (1)
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JP20920096A JP3721645B2 (ja) | 1996-07-18 | 1996-07-18 | 自動車用ドアガラスラン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP20920096A JP3721645B2 (ja) | 1996-07-18 | 1996-07-18 | 自動車用ドアガラスラン |
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JPH1035293A JPH1035293A (ja) | 1998-02-10 |
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JP20920096A Expired - Fee Related JP3721645B2 (ja) | 1996-07-18 | 1996-07-18 | 自動車用ドアガラスラン |
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JP (1) | JP3721645B2 (ja) |
-
1996
- 1996-07-18 JP JP20920096A patent/JP3721645B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH1035293A (ja) | 1998-02-10 |
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