JP3721386B2 - ワークの芯出しクランプ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークにおける被加工孔の内径表面を研削する内径研削加工装置において、被加工孔の芯出しを迅速且つ正確に行なった後にワークをクランプし得る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、中ぐり盤や研削盤を用いてワークに設けた被加工孔の内径表面を、更に平滑にすると共に寸法精度を向上させ、或は、真円誤差を矯正するに際しては、一般にラップ盤やホーニング盤などの内径研削加工装置が用いられる。この内径研削加工装置には、被加工孔の研削工程に入る前にその芯をパイロットバーで規定された基準芯に一致させ、その状態でワークをクランプするために、図7に示す芯出しクランプ装置C’を備えている。
【0003】
この芯出しクランプ装置C’は次のように構成されている。即ち、内径研削加工装置のベースプレート100に門形枠101を立設し、該門形枠101の上枠部101a上に、案内ブッシュ119が保持されたステー118が横架される。120は、作業者が手作業で案内ブッシュ119から差し込んでいくパイロットバーであり、その先端の芯出し部分120aの外径はワークWの被加工孔Waの内径に略一致するものが用いられる。該パイロットバー120を案内ブッシュ119に差し込むとベースプレート100に対して直角にセットされて基準芯A―Aが規定される。また、前記門形枠101の下面には上部クランプメンバ102を、前記ベースプレート100の上面には下部クランプメンバ103をそれぞれ配設し、上下方向で対向している。
【0004】
上部クランプメンバ102は、門形枠101の上枠101aに環状の支持対104を固着し、該支持対104にX―クロスピン105を介して第1揺動部材106を揺動自在に取り付け、更に、該第1揺動部材106の内部に、前記X―クロスピン105と直交するY―クロスピン107を介して第2揺動部材108を揺動自在に取り付け、該第2揺動部材108の下面にクランプ板109を固着して、構成される。これによりクランプ板109はX、Y―クロスピン105、107の作用を受けて前記基準芯A―Aを中心に揺動自在である。また、基準芯A―Aが通過するクランプ板109の中心部分には、前記パイロットバー120の芯出し部分120aの外径よりも大きい開口109aを備えている。
【0005】
下部クランプメンバ103は、門形枠101の下部から水平方向に延びたステー101bに、二点鎖線で示す昇降操作手段110を介し基準芯A―A方向に沿って揺動自在に可動体111を立設し、該可動体111上に環状の支持体112を固着する。該支持体112にX―クロスピン113を介して環状の第1揺動部材114を揺動自在に取り付け、更に、該第1揺動部材114の内側には、図8にも示すように、X―クロスピン113と直交するY―クロスピン115を介して第2揺動部材116を揺動自在に取り付けると共に、該第2揺動部材116の上面にクランプ板117を固着して、構成される。これによりクランプ板117はX、Y―クロスピン113、115の作用を受けて前記基準芯A―Aを中心に揺動自在である。また、基準芯A―Aが通過するクランプ板117の中心部分には、前記パイロットバー120の芯出し部分120aが挿通自在なようにその外径よりも大きい開口117aを備えている。
【0006】
以上の構成の芯出しクランプ装置C’にワークWをクランプさせるにあたっては、作業者はまず最初に、ワークWを下部クランプメンバー103のクランプ板117上に載置して、パイロットバー120を案内ブッシュ119の上方から矢印方向に差し込みクランプ板109の開口109aを通じてその芯出し部分120aをワークWの被加工孔Waに挿入する。該芯出し部分120aの先端がクランプ板117の開口117aに到達するまで十分に差し込んだ時点で、被加工孔Waの芯が基準芯A―Aと一致して、ワークWの芯出しが終わる。
【0007】
次に、被加工孔Waの中にパイロットバー120の芯出し部分120aを挿入したままの状態で、昇降操作手段110を操作して下部クランプメンバ103を上向きに移動させ、ワークWの上面と下面とをクランプ板109、117のそれぞれに押し当ててワークWがクランプされる。
【0008】
このとき、ワークWの前加工においてワークWの上面や下面(被クランプ面)と、被加工孔Waの芯との垂直度に加工誤差があっても、クランプ板109、117の各々がX―クロスピン105、113、及び、Y―クロスピン107、115まわりに揺動変位し、その加工誤差が吸収され、パイロットバー120が基準の被加工孔Waの芯出し状態は維持される。
【0009】
そして、パイロットバー120を被加工孔Waから抜き取って一連の芯出し、クランプ工程が終了する。ここで作業者はクランプ装置C’を、ワークWの被加工孔Waの芯(基準芯A―A)を回転工具(図示せず)の芯に一致させるべく平行移動させ、該回転工具を下降させて被加工孔Waの研削加工に移行する。
【0010】
【発明が解決しようつする課題】
しかしながら、ワークWの被クランプ面と被加工孔Waの芯との垂直度の加工誤差を吸収するときのクランプ板109、117の動きは、X―クロスピン105、113を介した第1揺動部材106、114の動きと、Y―クロスピン107、115を介した第2揺動部材108、116の動きと、が合成されたものであることから、追従性が悪く、ワークWを素早くクランプすると加工誤差の吸収が十分になされないままでクランプしてしまうことがあった。この結果、被加工孔Wa内に位置するパイロットバー120の芯出し部分120aがこじられてしまい、パイロットバー120の抜き取りに相当な力を要し、ワークWを研削工程に移行するまでに時間がかかり生産能率が上がらない不具合があった。
【0011】
また、被加工孔Waに対するパイロットバー120の差し込み・抜き取りは作業者が手作業により行なっているが、この被加工孔Waの研削加工精度を上げるためにパイロットバー120は、その芯出し部分120aの外径が被加工孔Waの内径に略等しいものが選定されてその隙間は極めて微小となっているためにパイロットバー120の差し込み・抜き取りには相当な熟練と労力が要求され、前述したようにパイロットバー120がこじられてしまった場合にはなおさらその抜き取りに手間取ってしまう不具合があった。なお、パイロットバー120の差し込み・抜き取り工程を複動シリンダの伸縮作動により行わせることも考えられるも、前述したように被加工孔Waの中でこじれた状態のパイロットバーが抜き取られるような相当大きな容量のものが必要とされ、高価につく。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、そのような不具合を課題として解決し、第一の目的は、ワークの被クランプ面と被加工孔の芯との垂直度の加工誤差を迅速かつ確実に吸収してパイロットバーをこじることなく芯出しクランプを瞬時に行なえるようにすることであり、そのため、ワークの被加工孔にパイロットバーを差し込んで該被加工孔の芯をパイロットバーによって規定される基準芯に一致させ、該基準芯に対し略直交状に対向配置した2つのクランプ板をワークの、被加工面に対し略直角な二つの面にそれぞれ押し当ててクランプした後に被加工孔からパイロットバーを抜き取るよう構成した芯出しクランプ装置において、各々のクランプ板を、その凸状円弧面が前記基準芯に一致する半球状の球面軸受を介して支持したものである。
【0013】
また、本発明の第二の目的は、ワークの被加工孔の研削加工の精度を上げるために被加工孔の内径とパイロットバーの外径とを可及的に一致させながらも、安価なシステムでパイロットバーの差し込み・抜き取りを自動化することであり、そのため、前記パイロットバーに、パイロットバーを前記基準芯方向に沿って移動させて被加工孔に対する差し込み・抜き取りを行う第1アクチュエータと、パイロットバーを基準芯まわりに回転自在とする第2アクチュエータと、をそれぞれ設けると共に、この第2アクチュエータを、パイロットバーが被加工孔へ差し込まれたとき、並びに、被加工孔から抜き取られるまでの間に駆動して該被加工孔の中で該パイロットバーに回転力を付与するように構成したものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を具備する内径研削加工装置を概略示した全体正面図、図2は図1の一部を破断して示す全体側面図であり、ベッド1の前方上面には芯出しクランプ装置Cが、また、後方上面にはコラム2が垂直にそれぞれ配置される。該コラム2には、クランプ装置Cを向く側の垂直面に固定されたガイド3を有し、該ガイド3にて案内されつつ上下方向に移動可能な状態で設けられたアーム4に対し主軸ヘッド5を一体的に設け支持している。アーム4は主軸ヘッド昇降用油圧シリンダ4aに連結され該シリンダ4aを伸縮駆動することにより、アーム4、ヘッド5とをガイド3にて案内しつつ上下方向へ一体的に移動可能とする。主軸ヘッド5のスプライン軸7は回転駆動モータ6に連動連結され、また、主軸ヘッド5の下端には工具脱着用チャック8を備える。9はチャック8に取り付けられた回転工具であり、その先端外周面に砥石などの研削材を有する。
【0015】
前記クランプ装置Cは、ワークWに対する芯出し部Caとクランプ部Cbとで成り、芯出し部Caは、ベッド1の前方上面に立設した門形枠10上に、また、クランプ部Cbは、門形枠10の内方で、スライドシリンダ機構11を介してベッド1上で前後方向へ移動自在なベースプレート12上に構成される。クランプ部Cbは、スライドシリンダ機構11を収縮作動したときには前方に引き寄せられ門形枠10の下方の、図2の破線で示すワーククランプ位置におかれ、また、それを伸長作動したときには後方に押し出されて図2に二点鎖線で示すワーク加工位置におくことができる。
【0016】
図3は前記芯出し部Caを示した正面断面図であり、門形枠10における上枠部10aの上面の左右端側に一対の案内ロッド13、13を立設し、この案内ロッド13、13の各々の上端に跨って支持ステー14を横架してある。案内ロッド13、13の中途部には案内ブッシュ15を介して昇降板16を上下方向へ移動自在に取り付けている。昇降板16の中央部には、その下端部にパイロットバー17を装着した短軸18が鉛直に軸受支持されている。このパイロットバー17は短軸18に取り付けられた際に、前記回転工具9の回転軸線に対して平行な状態で該工具9の前方に位置し、その長手方向軸線は後述するワークWの被加工孔Waを芯出しする際の基準芯A―Aとして規定される。
【0017】
前記短軸18の上端部には自在継手19を介してロッド20が取り付けられ、その先端は支持ステー14を貫通して上方に延びてピストン21aが固着されている。このロッド20とピストン21aとをシリンダ筒21bにて覆い該シリンダ筒21bの両端側に流体給排ポート21c、21dを設けることにより、エアなどの流体圧を受けて駆動される複動式の第1アクチュエータ21を構成している。流体給排ポート21cに流体を供給するとピストン21aが図示位置よりロッド20が下向きに伸長して、自在継手19と昇降板16を介して短軸18、パイロットバー17を下降させることができ、また、流体給排ポート21dに流体を供給するとロッド20が上向きに収縮してパイロットバー17を図示位置に復帰させることができる。
【0018】
この第1アクチュエータ21の流体給排ポート21c、21dのいずれかに流体を供給するための方向制御弁(図示せず)は、内径研削加工装置の操作パネル(図示せず)に配した研削加工開始スイッチ(図示せず)を作業者が入り操作した時に流体給排ポート21cに対する流体供給位置へ切り換わり、そして、この研削加工開始スイッチを切り操作した時、並びに、後述するクランプ検出スイッチ50がワークWがクランプ状態にあることを検知した時には流体給排ポート21dに対する流体供給位置へ切り換えられるように、構成している。
【0019】
前記ロッド20の中途部にはピニオンギア22aを、図4に示すように相対回転不能で、かつ、軸方向に相対摺動自在に外嵌させて設けて、このピニオンギア22aにラック22bを噛合せている。そして、ラック22bの両端にはピストン22c、22dを配設し、これらピニオンギア22a、ラック22d、ピストン22c、22dをシリンダケース22eにより覆い、該シリンダケース22eの両端に流体給排ポート22f、22gを設けることにより、エアなどの流体圧を受けて駆動される複動式の第2アクチュエータ22を構成している。ここで、流体給排ポート22fに流体を供給すると、ピストン22cがラック22bを図示位置より右方に摺動させ、ピニオンギア22aを介しロッド20に対して半時計回りの回転力を付与することができる。また、流体給排ポート22gに流体を供給すると、ロッド20に対して時計回りの回転力を付与することができる。
【0020】
この第2アクチュエータ22の流体給排ポート22f、22gのいずれかに流体を供給するための方向制御弁(図示せず)は、前記第1アクチュエータ21がパイロットバー17を下降させる方向に作動している時に流体給排ポート22fに対する流体供給位置へ切り換えられ、また、前記第1アクチュエータ21がパイロットバー17を上昇させる方向に作動している時に流体給排ポート22gに対する流体供給位置へ切り換えられるように、第1アクチュエータ21と連動連係して切り換え作動すべく、構成してある。
【0021】
パイロットバー17はその長手方向先端側から順に、芯出し部分17a、嵌合部分17b、取付部分17cを備えたものに構成されている。芯出し部分17aは、ワークWの被加工孔Waの中に突入してその内径と摺接し得るような形状としてある。また、嵌合部分17bは、その外径は芯出し部分17aのものより大きく、かつ、前述したように第1アクチュエータ22の作動によってパイロットバー17が下降した際に、前記門形枠10の上枠部10aに装着された案内ブッシュ23の軸受孔23a内に突入して摺接し得る大きさに設定してある。
【0022】
パイロットバー17の取付部分17cは、前記短軸18の下端面に形成した凹部へ差し込み可能に形成され、その長手方向の中途箇所の環状溝に、前記短軸18に蝶着した取付具24の先端を係止することによってパイロットバー17が短軸18に固着される。取付具24を緩めて前記環状溝に対する係止を解除するとパイロットバー17を短軸18から取り外すことができ、加工対象となるワークWが、その被加工孔Waの内径の異なるものに変更された場合には、その異なった内径に対し最適な外径の芯出し部分17aを有するパイロットバー17に付け替えることができる。
【0023】
図5は前記クランプ部Cbを示した正面断面図であり、ベースプレート12の上面の左右端側にそれぞれ一対のステー25、25を立設し、両ステー25、25の上端に跨がって上板26を横架している。そして、この上板26の四隅とベースプレート12との間に4本のネジ軸27、27、27、27(図6)を回転自在に配設し、該ネジ軸27の各々に雌ネジ付き金物29を介して下板28を支持させ、これらの上板26と下板28とにそれぞれ第1、第2クランプメンバ29、38が配設されている。
【0024】
前記第1クランプメンバ29は次のように構成されている。即ち、前記パイロットバー17により規定された基準芯A―Aが通過する上板26の部分に開口26aを設け、この開口26aの上方を覆うようにしてホルダ30がその上面に固着されている。基準芯A―Aが通過するホルダ30の部分には、前記パイロットバー17の芯出し部分17aが摺接案内されるブッシュ31を装着している。
【0025】
上板26の開口部26aとホルダ30とで囲まれた部屋の中に台座32が収納されており、この台座32の下面に、前記基準芯A―Aにその曲率中心が一致する凹状円弧面32aを形成している。33は、前記開口の中に収容された半球状の球面軸受であり、その凸状円弧面33aを上方に向けて台座32の凹状円弧面32aに嵌め合わせることによってその曲率中心を基準芯A―Aと一致させてある。また、この球面軸受33の基準芯A―Aが通る部分には、パイロットバー17の芯出し部分17aが挿通自在となるようにその外径よりも十分大きな内径を有する貫通孔33bを設けてある。
【0026】
そして、前記球面軸受33の平坦な下面に揺動板34を取り付け、この揺動板34の下面にクランプ板35を固着している。一方、上板26の下面には、この揺動板34の外周部に対して径方向で重合する内周部を有する環状の支持板36を固着し、揺動板34の外周部下面と支持板36の内周部上面との間に複数個のコイルバネ37を円周方向に沿って均等位置に配設してあり、これによって揺動板34を介し球面軸受33の凸状円弧面33aが台座32の凹状円弧面32aに密着支持される。
【0027】
上板26の下面と揺動板34の上面との間、並びに、揺動板34の下面と支持板36の上面との間には、それぞれ適当量のクリアランスを設けてあり、このクリアランスの分だけ球面軸受33の凸状円弧面33aが台座32の凹状円弧面32aに沿って摺動することができ、よって、球面軸受33と一体のクランプ板35は図示の、基準芯A―Aに対して直交する状態から該基準芯A―Aを中心とした任意の方向に自由に傾動し得る。なお、クランプ板35の基準芯A―Aが通過する部分にも、パイロットバー17の芯出し部分17aの外径よりも大きな開口を設けている。
【0028】
前記第2クランプメンバ38は次のように構成されている。即ち、下板28の上面に、流体圧ピストン39を基準芯A―A方向に沿って進退自在に収容したシリンダ筒40を固着してあり、このシリンダ筒40から露出したピストン39の部分に可動体41が固着されている。可動体41の上面に固着されたホルダ43には台座42を着脱自在に保持し、この台座42の上面に、基準芯A―Aに一致する曲率中心を有する凹状円弧面42aが形成されている。44は半球状の球面軸受であり、その凸状円弧面44aを下方に向けて台座42の凹状円弧面42aに嵌め合わせることによってその曲率中心を基準芯A―Aと一致させてある。また、この球面軸受44の基準芯A―Aが通る部分には、パイロットバー17の芯出し部分17aが挿通自在となるようにその外径よりも充分大きな内径を有する貫通孔44bを設けてある。
【0029】
そして、前記球面軸受44の平坦な上面に揺動板45を取り付け、この揺動板45の上面にクランプ板46を固着している。一方、ホルダ42の上面外周部には、この揺動板45の外周部に対して径方向で重合する内周部を有する環状の支持板47を固着し、揺動板45の外周部下面と支持板47の内周部上面との間に複数個のコイルバネ48を円周方向に沿って均等位置に配設してあり、これによって揺動板45を介し球面軸受44の凸状円弧面44aが台座42の凹状円弧面42aに密着支持される。
【0030】
支持板47の下面と揺動板45の上面との間、並びに、揺動板45の下面と台座42の上面との間には、それぞれ適当量のクリアランスを設けてあり、このクリアランスの分だけ球面軸受44の凸状円弧面44aが台座42の凹状円弧面42aに沿って摺動することができ、よって、球面軸受44と一体のクランプ板46は図示の、基準芯A―Aに対して直交する状態から該基準芯A―Aを中心とした任意の方向に自由に傾動し得る。なお、クランプ板46の基準芯A―Aが通過する部分にも、パイロットバー17の芯出し部分17aの外径よりも大きな開口が設けられている。
【0031】
前記クランプ部CbにてクランプされるワークWは互いに平行する2つの平坦面を有する形状をした、例えばバルブケースのようなものであって、これら平坦面に対して直角な方向に、中ぐり盤等で穿設された、例えばバルブスプール孔などの被加工孔Waを備えている。そして、ワークWの一方の平坦面を上面とし、他方を下面として前記第2クランプメンバ38のクランプ板46上に載置する。
【0032】
前記シリンダ筒40の外周面には一対の流体給排ポート40a、40bを開口してあり、前記研削加工開始スイッチ(図示せず)を作業者が入り操作する前の時点では、いずれのポート40a,40bにも流体は供給されず、第2クランプメンバ38は図示のアンクランプ位置にあり、この状態でワークWを上述したようにしてセットする。
【0033】
この流体給排ポート40a,40bのいずれかに、エアなどの流体圧を供給するための方向制御弁(図示せず)は、作業者が前記研削加工開始スイッチを入り操作して前記第1アクチュエータ21が所定量伸長しパイロットバー17の芯出し部分17aがワークWの被加工孔Wa内に突入した後に自動的に切り換わり、流体給排ポート40bに対する流体供給を開始する。これによって、ピストン39、可動体41が図示位置より上昇して第2クランプメンバ38がクランプ位置におかれ、ワークWの上面と下面とをそれぞれクランプ板35、46に押しつけてクランプする。
【0034】
前記可動体41の外周部には係合子49を固着する一方、下板28の上面にはL形金具(図示せず)を用い一定距離を浮上させるようにしてクランプ検出スイッチ50を設置してあり、前述したように第2クランプメンバ38がクランプ位置となるまで可動体41が上昇すると、係合子49がクランプ検出スイッチ50を入り側に切り換えるように構成されており、これによってワークWがクランプ状態にあることが検知されるようになっている。また、前記下板28の上面にはピン51を立設し、該ピン51に、可動体41の外周部に固着した廻り止め金具52を係止して、可動体41が昇降する際に基準芯A―Aまわりに回転するのを阻止している。
【0035】
前記下板28の四隅に固着した雌ネジ付金物29を蝶合する4本のネジ軸27の各々の下端部にはスプロケット53を固着し、各々のスプロケット53に、図6に示す一本の無端チェン54が巻回され、アイドルスプロケット55により緊張を与えている。そして、ネジ軸27の一本の先端部は上板26の上面より突出して嵌合軸57が固着され、該嵌合軸57には、図5に二点鎖線で示すハンドル56を嵌着することができるようになっている。
【0036】
このハンドル56によってそのネジ軸27を適当量回転操作すると、その回転運動はスプロケット53、無端チェン54を介して残りすべてのネジ軸27に均等に伝達されると同時に、雌ネジ付金物29によって直線運動に変換され、下板28を水平状態を保ったままネジ軸27に沿って上下方向へ移動させることができる。また、このとき係合子49やクランプ検出スイッチ50は下板28と一緒に移動するのでクランプ検出のタイミングは変わることがない。よって、可動体41の伸縮ストロークが一定であっても、如何なる大きさのワークWに対して、段取り換え無く対応できるようになっている。
【0037】
以上のように構成された芯出しクランプ装置CにワークWをクランプさせるにあたって作業者は、第2クランプメンバー38のクランプ板46上にワークWを載置した後、操作パネル上の前記研削加工開始スイッチを入り操作する。そうすると、まず第1アクチュエータ21の流体給排ポート21cに流体が供給されて可動体20が伸長し、パイロットバー17の芯出し部分17aが基準芯A―A方向に沿って、ブッシュ31を通じてワークWの被加工孔Waに向けて下降していく。
【0038】
パイロットバー17の芯出し部分17aが被加工孔Waに差し込まれる直前に至ると、第2アクチュエータ22の流体給排ポート22fに対する流体供給が自動的に開始され、芯出し部分17aは、ワークWの被加工孔Waの内径に摺接しつつ、基準芯A―Aまわりに回転しながら差し込まれていくことになる。
【0039】
パイロットバー17の下降が継続し、やがてその嵌合部分17bが案内ブッシュ23の軸受孔23aに摺接し、芯出し部分17aの先端がクランプ板46の開口46aに到達してワークWの被加工孔Waに充分差し込まれた時点で、被加工孔Waの芯がパイロットバー17による基準芯A―Aと一致し、ワークWの芯出しが終わる。
【0040】
次いで、被加工孔Waに芯出し部分17aを挿入したまま第1アクチュエータ21がストローク端に達すると、前記シリンダ筒40の流体給排ポート40bへ流体が供給されて第2クランプメンバ38が上昇してクランプ位置となり、その上面と下面がそれぞれクランプ板35、46により押し当てられてワークWがクランプされる。
【0041】
このとき、ワークWの前加工においてワークWの被クランプ面(上面や下面)と、被加工孔Waの芯との垂直度に加工誤差があっても、クランプ板35、46は、球面軸受33、44の凸状円弧面33a,44aが台座32、42の凹状円弧面32a,42aに沿って任意の方向に摺動することから、基準芯A―Aまわりに任意の方向に傾動し、その加工誤差を迅速に吸収して、パイロットバー17を基準とした被加工孔Waの芯出し状態を良好に維持する。
【0042】
そして、クランプ検出スイッチ50にてワークWのクランプ状態が検知されると、第1アクチュエータ21の流体給排ポート22dに流体を供給しつつ、第2アクチュエータ22の流体給排ポート22gに流体を供給するよう切り換わるので、パイロットバー17の芯出し部分17aが、ワークWの被加工孔Waの中で基準芯A―Aまわりで回転して被加工孔Waの内径に摺接回転しながら、被加工孔Waより抜き取られる。
【0043】
パイロットバー17が上昇して図3に示す位置まで復帰すると、スライドシリンダ機構11が伸長作動してクランプ部Cbを、基準芯A―Aを保った状態のワークWの被加工孔Waが回転工具9の真下に来るように位置させて、被加工孔Waの研削加工に移行する。
【0044】
被加工孔Waの研削加工が終わると、スライドシリンダ機構11が収縮作動してクランプ部Cbがワーククランプ位置に復帰し、第2クランプメンバ38は、その流体給排ポート40aに流体が供給されてアンクランプ位置となり、加工処理されたワークWを取り外して一連の作業を終える。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明は、ワークWの被加工孔Waにパイロットバー17を差し込んで該被加工孔Waの芯をパイロットバー17によって規定される基準芯A―Aに一致させ、該基準芯A―Aに対し略直交状に対向配置した2つのクランプ板35、46をワークWの、被加工孔Waに対し略直角な二つの面にそれぞれ押し当ててクランプした後に被加工孔Waからパイロットバー17を抜き取るよう構成した芯出しクランプ装置において、各々のクランプ板35、46を、その凸状円弧面33a,44aが前記基準芯A―Aに一致する半球状の球面軸受33、44を介して支持したものであるから、ワークWの前加工においてワークWの被クランプ面と被加工孔Waの芯との垂直度に加工誤差があったときにワークWを迅速にクランプしても、クランプ面35、46は球面軸受33、44によって任意の方向へ自在に、且つ、迅速に傾動して追従して、その加工誤差を瞬時に吸収する。この結果、パイロットバー17が被加工孔Waの中でこじられることがなくなり、ワークWのクランプ後にはパイロットバー17を軽い力で抜き取ることができる。よって、ワークWの芯出しクランプ工程が迅速に行なえるようになり、研削工程へ移行するまでの時間が大幅に短縮され生産能率を向上させることができる。
【0046】
また、前記パイロットバー17に、パイロットバー17を前記基準芯A―A方向に沿って移動させて被加工孔Waに対する差し込み・抜き取りを行う第1アクチュエータ21と、パイロットバー17を基準芯A―Aまわりに回転駆動させる第2アクチュエータ22と、をそれぞれ設けると共に、この第2アクチュエータ22を、パイロットバー17が被加工孔Waへ差し込まれたとき、並びに、被加工孔Waから抜き取られるまでの間に駆動して該被加工孔Waの中で該パイロットバー17に回転力を付与するように構成することによっては、被加工孔Waの研削加工の精度を上げるために被加工孔Waの内径にパイロットバー17の外径を可及的に一致させても、被加工孔Waに対するパイロットバー17の差し込み・抜き取りは第1アクチュエータ21によって自動的に行わせるので作業者にかかる負担は全くなくなり、しかも、第1アクチュエータ21がパイロットバー17の差し込み・抜き取りを行う最中に、第2アクチュエータ22がパイロットバー17を被加工孔Waの中で積極的に回転させるので、第1アクチュエータ21の差し込み・抜き取りが軽い力で円滑に行え、よって、該第1アクチュエータ21に小容量で安価なものを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具備する内径研削加工装置を概略示した全体側面図である。
【図2】図1の一部を破断して示した全体側面図である。
【図3】図1における芯出し部を示した正面断面図である。
【図4】第2アクチュエータを示した断面図である。
【図5】図1におけるクランプ部を示した正面断面図である。
【図6】4本のネジ軸を示した平面断面図である。
【図7】従来例に係る芯出しクランプ装置を示した正面断面図である。
【図8】同じくクランプ板を示した平面断面図である。
【符号の説明】
W ワーク
Wa 被加工孔
A―A 基準芯
17 パイロットバー
35、46 クランプ板
33、44 球面軸受
21 第1アクチュエータ
22 第2アクチュエータ
Claims (2)
- ワークWの被加工孔Waにパイロットバー17を差し込んで該被加工孔Waの芯をパイロットバー17によって規定される基準芯A―Aに一致させ、該基準芯A―Aに対し略直交状に対向配置した2つのクランプ板35、46をワークWの、被加工孔Waに対し略直角な二つの面にそれぞれ押し当ててクランプした後に被加工孔Waからパイロットバー17を抜き取るよう構成した芯出しクランプ装置において、各々のクランプ板35、46を、その凸状円弧面33a、44aが前記基準芯A―Aに一致する半球状の球面軸受33、44を介して支持したことを特徴とするワークの芯出しクランプ装置。
- 前記パイロットバー17に、パイロットバー17を前記基準芯A―A方向に沿って移動させて被加工孔Waに対する差し込み・抜き取りを行う第1アクチュエータ21と、パイロットバー17を基準芯A―Aまわりに回転自在とする第2アクチュエータ22と、をそれぞれ設けると共に、この第2アクチュエータ22を、パイロットバー17が被加工孔Waへ差し込まれたとき、並びに、被加工孔Waから抜き取られるまでの間に駆動して該被加工孔Waの中で該パイロットバー17に回転力を付与するように構成してある請求項1記載のワークの芯出しクランプ装置。
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